Coolier - 新生・東方創想話

東方雀鬼録(6)

2005/04/11 02:24:08
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<人間卓>




北二局


「さぁ来い! お前にやられたアリスの怒り……私がすべて返してやる!!」

今や猛りに猛りきっている魔理沙。
一打一打がやかましくて仕方が無いのだが、
そんな周囲の迷惑もまったく顧みずに、己の世界に没頭している。



「これがアリスの分!」
「チー」
豪快な一打を、妖夢があっさり喰い流す。



「これが人形達の分!」
「ポン」
痛烈な一打を、咲夜が淡々と鳴く。



「そしてこれが……私の怒りだァァァァァッ!!」
「ロン、平和のみ」
疾風の如き一打を、霊夢が何事も無かったかのように引き寄せた。


当の魔理沙は、何も言うことなくエプロンを脱ぎ捨てた。
何故かその表情は満足気であった。






北三局


「(あの様子じゃ魔理沙は駄目ね……)」
咲夜は理牌しつつ、卓の様子を窺っていた。
この局面、単に勝利を目指すのならば、妖夢を狙い撃ちするのが早道であろう。
だが、今の咲夜に妖夢を攻撃する気は無い。
何故なら……

「……何よ?」
「……別に」

今だ一度の振込みもない霊夢の存在である。

振り返った咲夜は、妖夢に向けて視線を送る。
ただの視線ではない、明確な意図を持ったアイコンタクトだ。
その意図とは、共同作戦。
特に打ち合わせた訳では無い。
だが、同じ悩みを共有する者同士、きっと分かり合えると咲夜は信じていた。

「……」
「……」
「……」
「……!」

その視線に気が付いた妖夢が、一拍考えた後に大きく頷いた。

「(良かった、分かってくれたのね……)」
心の中でそっと感涙に咽ぶ咲夜。
人と半人、違いはあっても心は一つなのだ。
愛はすべてを救うのだ。
等とよく分からない思考を繰り広げつつ、一枚の牌を切る。

「ロン! 北ドラ1!」

喜色満面で宣言したのは、誰あろう妖夢であった。


「……うう……」
咲夜は涙に咽びつつ、靴下を脱ぐ。
心の中でもなければ感動の涙でもない。
妖夢と、そして自分自身のアホさ加減に対しての涙だった。









北四局


ついに人間卓は、一週目のラストを迎えた。
……と言っても、誰かが全裸にならない限りは、東へと戻るだけ。
この麻雀、果てしなく長い。



四順目

二四五八九89(3)(4)(8)(8)(9)南南

霊夢は手牌を睨む。
悪くは無い。が、些か重苦しい事は否定できない。
上がり速度重視の麻雀故に、役を付ける必要は無いのだが
ペンチャン待ちが3種ではどうにも動かしようがない。

「……もうそれでじゅうぶんだー……おおかみよかれをすくいたまえー……」
人間ジュークボックス咲夜が渋い声で歌いながら打、7筒。

「チー」
踏ん切りが付いたのか。霊夢が鳴く。
これで三色を付ける以外上がり目は無い。

「……かえれるんだ……これでただのおとこにかえれるんだ……」
更に咲夜、打7萬。

「チー」
迷わず霊夢は鳴く。

「……らいららいららいららい……」
咲夜、打7索。

「チー」
言うまでもないが鳴いたのは霊夢。
労せずして三色確定である。

「だああああああああ!!! 何考えてやがるこのダメイド! お前やる気あんのか!!」
気力ゼロの咲夜に、気力150の魔理沙が憤りをぶちまける。
それも当然だろう。
今や打倒霊夢が旗印の魔理沙にとって、咲夜の無気力行動は許せるものではない。
「……らいららいららいららいららい……」
「ええい止めろ! その歌を止めろ!」
「……らいららいららいららいららいららー……」
「この負け犬が! 修正してやる!」
「……いいから少し落ち付け。それじゃ勝てるものも勝てないぞ」
救いがたい問答に、妖夢が割って入る。
先程の一撃が、精神に有効に作用したのだろうか、多少落ち着きを取り戻していた。
「何一人で気取ってやがる! このノーパン娘が!」
「き、貴様! 言ってはならない事を!」
「……つかみかーけたーあついうーでをー……」
ボルテージ上がりっぱなしの魔理沙。
速攻で切れる妖夢。
二周目に入った咲夜。
もうどうにも止まらない。

「歌いたいのはこっちよ……」
霊夢はただ頭を抱えるばかり。
止める気など最初から無い。
暴走機関車に割って入るのはただの自殺に過ぎないからだ。
少し泣きそうになりながら、4索を切る。
これでテンパイだ。

「……お?」
今にも殴りかからんかの勢いだった魔理沙が、その牌に素早く反応した。
まるで宝石を持つかのように、慎重に掲げ持ち、何度も何度も図柄を確認する。
「……おい妖夢。お前、これが何に見える?」
「私の視力が確かなら4索だ」
「そうか。そうだよな。もしかしたら8索だったそういうオチかと思ったんだが…
 うん。4索……」
そして今度は目を閉じて考え込む。
当の霊夢は、何も出来る筈もなく、呆然とその光景を見守るだけだ。
「な、なんなのよ……もう……」

一分後。
カッ、と目を見開いた魔理沙が、オーバーハンドで牌を叩きつける。
「ルルルルルルルルルォォォオオオオン!!!! ピンフノミィィィィィ!!!」
そして、卓を破壊しかねない勢いで倒牌した。

二三四六六123567(5)(6)  (4)

1000点のみの最小役であるが、それはこの麻雀においては余り関係ない。
重要なのは……。


「あ……」

これが、博麗霊夢生涯初の放銃であるという事だ。

「ふふふ……全部作戦通りよ!」
「流石はメイド長だな! 私は信じてたぜ!」
「やーね、褒めたって何も出ないわよ」
咲夜は先程までの欝具合が嘘のように、悠然と振舞っている。
相変わらず立ち直りが早い事である。
「構わないぜ、何故なら出すのは……」
ぐいん、と首を90度回転させる魔理沙。
はっきり言って怖い。
「霊夢、お前だ!」


じわりじわりと、霊夢に押し迫る魔理沙。
釣られて咲夜と妖夢もにじり寄って来る。
「あ、う、あ」
さしもの霊夢も、この光景の前には怯えを隠せなかった。
身体は震え、声も擦れるような大きさしか出ない。

「さぁ脱げ!!」
「そら脱げ!!」
「やれ脱げ!!」

一同は異様に血走った目で、最後通告とばかりに囃し立てる。
「お、落ち着いてよ……今、脱ぐから……」
すべては在るがままに。
それが霊夢の基本理念である。
が、こういった異常極まりない状況では、そうも言ってられない。
どう言い繕おうとも、怖いものは怖いのだ。

「う、うう……」
霊夢は思案した末に、両の袖を取り去った。
こういうとき、独立式は便利である。

「こ、これで文句無いでしょ?」
「おう……」
魔理沙は、その言葉を聞くと、ゆっくりと椅子に座り込み、

倒れた。

「ま、魔理沙!?」
「おい、どうした! しっかりしろ!」
「へへ……もう思い残す事も無い……後は頼んだぜ……」
それは、すべてを成し遂げた漢の顔だった。
きっと今の魔理沙の脳は、スポンジ状に変質しているだろう。
「頼んだぜって言われても、誰も変わりなんていないんだけど?」
咲夜が呆れ顔で突っ込んだ。
せっかく打倒霊夢の足がかりを掴んだところだいうのに、ここで魔理沙に死なれる訳には行かない。
というか何故死ぬ。
「……ん、それもそうか。そいつは不味いな」
ぱちりと目を見開くと、瞬時に立ち上がり、椅子へと座りなおした。
「ほら、どうした。続きだ続き」
「う、うん」
良く分からないが、とりあえず今の魔理沙は、先程までの狂乱状態よりは些か落ち着いている……ように見える。
深く詮索するより、さっさと進めてしまうほうがマシだろう。
そう思う霊夢だった。








<妖怪卓>

南一局 八本場

麻雀のルールに、八連荘というものがある。
これは親が八回連続で上がり続けると、八回目の上がりが無条件で役満になるというものである。
そして現在、紫は七連荘中。
この局があらゆる意味で勝負の時であることは、言うまでも無いだろう。

「(さて……お人形さん達には悪いけど、これで決めさせてもらうわ)」
紫は心の中でそっと決意する。
ここまで、安い上がりだけを連発してきた理由。
それは、言うまでもなく、八連荘の為のステップに過ぎない。
が、正確にはそれが安手の理由ではない。
正しく言うならば、安く上がらざるを得なかったとでも言うべきだろうか。



四順目
これまでと変わらず、流れるような動きでツモる紫。
その牌は5萬……が二枚。
無論、山からは一枚しか牌は減っていない。

先程のレミリアの推測は半分当たっていた。
ツモの際に、手の平ギリギリの位置にスキマを展開。
そのスキマは別時空の雀卓へと繋がっている。
当然、そこには無数の牌が転がっており、それを同時にツモっていたのだ。
捨てる際に一枚回収することによって、枚数はぴったりとなる。
一人だけ毎回二枚ツモっているのだ、手が早いのも当然である。

これが紫究極の打法、『ワンインチスキマ ―第一種永久連荘―』であった。
ちなみにこの名前は、最初に考え付いた際、藍に全力で笑われた為に、紫の心の中のみに止められている。
今後も口に出す事は無いだろう。
もしかしたらレミリアくらいは名前を褒めてくれるかとも思ったが、余計悲惨な気がするので断念した。
スキマ妖怪にだって意地はあるのだ。


さて、この打法を中々実行しなかったのには理由がある。

一つは、非常に疲れる事。
考えてもみて欲しい。
卓上で矛盾が起こらないように、更に他者の目を逸らしつつ延々と二枚ずつツモるのだ。
普通ならどこかで破綻する。
だからこそ、紫はここぞという時にしか使用しない。

もう一つが、このイカサマは何ら確実性が無いということである。
二枚ツモれるからといって、それで確勝になるかと言えば、答えはNO。
運が悪ければ負ける事とて在り得るのだ。
しかし、そこが紫にとってお気に入りになる条件でもあった。
確実に勝てる勝負など面白くない。
だが、何事も無く平で打つのもまた性に合わない。
その相反する性質の妥協点がこのイカサマだった。

幽々子は既にこのイカサマを知っている。
だが今日の様子だと、気付く気付かない以前に、紫を見ているかどうかも怪しい。
となると、残りの二者が問題となるのだが……。

レミリアは今だに牌相手にうんうんと唸りを上げている。
この様子なら気付かれる事は無いと思われた。
「(となると、あとはお人形さん……まぁ問題ないで……)」
紫の思考はそこでストップした。
「……」
打ち手である蓬莱人形は、手牌を行ったり来たりしているだけである。
が、問題なのはもう一体……上海人形だ。
上海人形は、ツモ山の近くに立ち、紫をじっと見つめていた。

じー
「……」
じー
「……」
じー
「……」
じー

ただ、ただ真っ直ぐに紫を見つめる上海人形。
何の邪気も無い。純粋な瞳。
その視線に、これまで何をしようとも動じなかった紫の心が、僅かに乱れ始めた。
「(やめて……私をそんな目で見ないでっ!)」
思考のみならず、ついに手が止まる。




『人形相手にイカサマですか……いや、いいですよ。
 元々紫様はそういうお方でしたからね。
 ええ、最初から何の期待もしてませんとも』
『わぁ、紫様かっこわるーい』

「(ら、藍……橙……)」
その辛辣な言葉に、紫の繊細……というか戦災なハートはいたく傷つけられた。
無論これは紫の妄想に過ぎないのだが、普段から似たような態度を取られているので、区別が付かなかったようである。



『伝説のスキマ妖怪も落ちたものね、こんな卑劣な奴の友人をやっていたなんて……自分が情けないわ』
『人として云々以前に、有機物としてその行為はどうかと思います。
 少しは羞恥心というものを持ったほうが良いのではないでしょうか』

「(幽々子……妖夢……貴女達まで……!?)」
実際の所、幽々子は今だに卓へと伏しているし、妖夢に至ってはそれどころじゃないのだが
一度浮かんだ妄想はそう簡単に払えるものではない。




「くっ……」
スロー再生のような速度で牌をツモる紫。
これまでの流れるような動きではなく、迷いに迷いを重ねた末の、重苦しい動き。
手元に残された牌は……一つ。
そう、紫は耐え切れなかったのだ。




「ぬーーーーーーー……ぬ?」
114つ目の牌に念を送り込んでいた所に、ふと生じた違和感。
見れば、これまでとはうって変わって、重苦しい動作でツモる紫の姿。
「……!?」
その姿と、先程までの動作を、頭の中で重ね合わせた瞬間、
バラバラだったパズルのピースがぴったりと一致した。
「(そうか……流れるような動きとは、途中で手を止める事が出来なかったと同義。
 自然であるが故の不自然……そういう事か)」
キッ、と紫を睨み付ける。
直接行為を確認したわけでは無いので、手を止めることは出来ない。
が、何故か紫はイカサマを断念した様子だ。
そのお陰で気が付く事が出来たとも言えるのだが。



「!?」
紫がその視線に反応する。
「(気付かれた!?)」
混乱状態と高をくくってはいたことを後悔する。
相手はあのスカーレットデビル、僅かな隙も見せるべきではなかったのだ。
事の真相にまで辿り着いたかどうかは定かではない。
だが、いずれにせよこれで紫の手は封じられたに等しい。
一瞬の停滞が生み出した、致命的なミスである。
「(……仕方ないわね……こうなったら平で上がるしか……)」
牌を切る紫の手に、力が無いのも仕方ない事だった。

「ローン!」

「「!?」」
紫とレミリアが、同時にその声に反応する。
「エートォ ホンイツ イッツー ヤクハイー」
嬉しそうに役を数え上げているのは蓬莱人形。
それに合わせて上海人形がトテトテと山へ歩み寄り、裏ドラをひっくり返す。
「ツイカー ウラドラミッツー」

「………」
その様子を呆然と見ている紫を尻目に、蓬莱と上海がパチンとハイタッチを交わした。

「「バイマーン!」」

倍満の直撃、八本場で18400点。
先程の親っパネを、そのままお返しされたようなもの。
それは同時に、紫の八連荘の夢が途絶えた事を意味していた。



教訓その二  イカサマやるなら最後までやり通せ





『ふぅ……』
『やったね蓬莱!』
『うん……これで一安心、かな』
二人が喜ぶのも当然だろう。
ここで安全圏に入った事はこの上なく大きい。
人形達による確実な通しがある以上、蓬莱が振り込む事はまず無いのだ。
『でも、あのおばさん、どうして手を止めたのかな。上海何かしたの?』
『ううん? ただ見てただけだよ』
『見てたって、どうして?』
『何かの本で、じーっと見つめられるとやりにくい。って言葉があったのを思い出したの』
『そういうものなのかな……よくわかんない』
何にせよ、これで今後の方針は決定した。
手を最小限に抑えつつ、他家のツモ上がりを防いでいくこと。
『でも油断は禁物だよ、頑張ろうね』
『うん』








<人間卓>


返り東三局

「……ひぐっ……うええ……」
「「「……」」」

場は、今だかつてない、みょんな空気に包まれていた。

「……なんで私ばっかり……うう……」
「「「……」」」

何とも形容し難い表情で、明後日の方向を向く一同。

「……ふぇぇ……もうやだよぅ……」
「「「……」」」

延々と泣き言を口にし続けているのは……霊夢であった。
既に服はひん剥きに剥かれ、残っているのはサラシとドロワーズのみ。
視線を落とし、ぐすぐすと鼻をすするその姿に、普段の面影は微塵も無い。

あの魔理沙の捨て身の一撃以降、これまでのツキが反転したかのように、霊夢は振込み続けた。
最初の内は、これまで通り平然と振舞っていたものの、
余りにも一方的な展開に、その意気も次第に消沈していく。
そして迎えた前局。
まさかのトリプルロン直撃により、霊夢を形成していた結界は砕け散ったのだった。


「……はぁ……」
そんな霊夢の姿に、魔理沙は深いため息をついた。。
興奮はとうに冷め、今はただ罪悪感に支配されている。
「(参ったな……何でこんな事になっちまったんだ……)」
たまには痛い目に合うのも良いだろう。という程度の考えで、霊夢を狙い続けていたのだが、
その結果が、まさかここまで極端な事態を生み出すとは……。

「……なぁ、もう止めにしないか?」
罪悪感に耐え切れなかったのか、ついにはそんな台詞を口にする魔理沙。
「……そうね。無理して続けるようなものでも無いし」
同じように思っていたのか、咲夜も賛意を見せる。
が、しかし。
「……やだぁ……」
肝心の霊夢は、ぐずりながらも麻雀を止めようとはしなかった。
「続ける……負けるのやだけど……でも続けるの……」
「……当たり前だ。そうでなくては困る」
難しい顔で答えたのは妖夢。
霊夢よりはるかに早くリーチ状態に入った妖夢としては、
これでおしまいなど、賛同できる筈も無い。
多数決を取ろうにも二対二では成立不能である。
「……ちっ、どうなっても知らないぜ」
民主主義の限界を感じつつ、魔理沙は諦めたように洗牌を始めた。










<妖怪卓>



ここで現在の得点状況を見てみよう。

紫      36700点
上海&蓬莱  34300点
レミリア   14700点
幽々子    14300点

夢破れたものの、何とかトップを守りたい紫。
ボーダーラインを超え、一安心といった所の上海&蓬莱。
一発逆転を狙うレミリアと幽々子。
といった構図である。






南二局


理牌し終えたレミリアが、素早く考察に入る。

二五189(2)(3)(4)(6)南南西白中

「(手早く鳴いて連荘か……? いや、この状況なら喰い下げる必要も無いか)」

紫はもうイカサマを使えない、人形達も攻勢に出るとは思えない。
ならば、ここは大きく出るべきだろうとレミリアは考えた。
直後に幽々子が南を落とすが、それを見送る。
二順目のツモは、南。
己の考えを後押しするかのような流れである。



七順目

二三789(1)(2)(3)南南南白白

この回のツモでテンパイのレミリア。
ダマテンの1、4萬の両面待ち。
白がドラなので、1萬ならチャンタが付き満貫確定である。

その直後に幽々子が4萬を切った。
しかし、レミリアは悩む事なくそれをスルーした。
「(大丈夫、流れは私に来ている。必ず……)」


果たしてそれは正しかった。
一順後。紫が悩みつつ切った牌は1萬。
「ロン! チャンタ南ドラ2」
この手により、レミリアは一気にトップへと接近した。








南二局 一本場

九順目
「リーチ」
「リーチ」
紫とレミリアが続けてリーチをかける。
幽々子がのそのそと現物を落とし、蓬莱の番を迎えた。

『……』
『蓬莱?』
『……』
不安気な上海を他所に、熟考する蓬莱。
『(どうしたんだろう、待ちは見えてるのに……)』
上海の言う通り、蓬莱には二人の待ち牌が分かっている。
ならば大人しくそれを避けるだけで事は済む筈なのだ。

『……これ』
蓬莱が一枚の牌を上海へと手渡す。
『え!?』
その牌を見て、一瞬驚きに固まる上海。
あろう事か、それは紫の当たり牌であった。
『いいから、お願い』
『……』
悩んでいる余裕は無い、ぐずぐずしていては通しが露見しかねないのだ。
『……わかったよ』
やむなく上海は牌を場へと持ち運ぶ。

「ロン。リーチ一発平和。一本場で4200点よ」
当然の如く、紫は倒牌した。
これで蓬莱は、レミリアや紫とほぼ同位置に並んだ事になる。



『……ごめんね』
『いいよ、何か考えがあっての事でしょ』
そっけなく答える上海。
もっとも、その態度に負の感情は見られない。
『(……大丈夫、きっとこれで正しかったんだ……)』
蓬莱の視界には、面子三者の手牌が明確に映し出されていた。



一方、親を流されたレミリアであったが、左程悲観はしていなかった。
『(配牌もツモも、流れは確実に来ている。後はその機を逃さず引き込む事が出来れば……私の勝ちよ)』
そして、その機は非常に近くまで来ている、と。









<人間卓>

返り東四局

八順目

「……」
「……うう……」
今だに泣きべそをかき続ける霊夢を、魔理沙は横目で睨みつける。
「(霊夢……一体どうしちまったってんだ……!)」
先程までは、いくらかその様子に同情していた魔理沙であったが、
次第に理不尽な怒りに包まれていった。
霊夢との付き合いの長い魔理沙だからこその感情である。
何があろうとも常に我が道を突き進む、そんな超然とした姿こそが霊夢だった筈。
少なくとも、魔理沙の知る霊夢は、こんな惰弱な存在では無い。
「(……お前がそのままだっていうんなら、こっちは叩き潰すだけだ。悔しいなら自力で何とかしてみろ!)」
リーチ棒の叩きつけられる音が、場に響いた。


「!!」
その音に、霊夢はびくりと身を震わせた。
「う、うぇぇ……」
たちまちの内に目尻に涙が溜まり出す。
「(も、もういや……こんなの……)」
続けると言ったのは、自分であるにも関わらずこれである。
完全なるヘタレ状態。略してヘタ霊夢といった所か。

妖夢、咲夜と通しで、ついにツモ番を迎える霊夢。
もっとも、今の霊夢にはツモが何であるかなどあまり問題ではない。
「……」
そっと上目遣いで、面子を見渡す。
が、すぐに手牌へと視線を引っ込めた。
その視界に入ったものに、耐え切れないかのように。
「(な、何でそんなに睨むの……私、そんなに悪い事したの……?)」
実際のところ、睨みつけてると言えるのは妖夢くらいで、魔理沙はどこか投げやりな空気を見せ始めており
咲夜に至ってはかなり同情的な視線であったのだが、
今の霊夢にはそれすらも伝わらない。

「……」
暫くじっと俯いていた霊夢だったが、ようやくといった感で一枚の牌を取り上げた。
8萬。
これが、魔理沙の当たり牌かどうかなど分からない。
ただ適当に選んだだけだ。
「(……もう、いいや……)」
霊夢は、力なくその牌を場に置いた。


ゆっくりと、霊夢が牌から手を離す。
場に浮かび上がったのは大きな丸模様……即ち、1筒。
「ちっ、通しだ」
魔理沙は憎々しげに言い捨てた。

「……へ?」

間抜けな声を出したのは、誰あろう捨てた本人である霊夢だった。
「(あ、あれ? 私あんな牌切ったっけ……?)」
自分は8萬を切ったはずなのだが、イマイチその記憶にも確証が持てない。
そもそも、手に1筒があったかどうかも定かではない。
「(……というか、何で私泣いてんのかしら)」
目尻から零れる液体に触れ、どこかズレた感想を洩らすその姿に、先程までのヘタレ具合は無い。

そう、この瞬間に、霊夢は自分を取り戻していた。



「(……何だ? 今起きましたみたいな顔しやがって)」
ぽかん、と口を開けている霊夢を見て、魔理沙はそんな感想を浮かべる。
何が起こったのかは知らないが、今は麻雀だ。
ツモった牌を確認し、そのまま切り捨てる。
続けて妖夢もツモ切り。

ぱたり。

「……あ」
その牌を目にした瞬間、魔理沙は本能的に倒牌していた。
妖夢が切ったのは、8萬。
「こ、この馬鹿! お前が切ってどうするんだ!」
思わずそんな言葉を口にするが、倒牌してしまった以上手遅れである。


当の妖夢はと言うと、
「へ? へ?」
何が起きたか分かってないといった風で、目を白黒させている。

「……あー、まぁ仕方ないか……ロン。イーペイコードラ1だ」

投げやりに役を読み上げる魔理沙。
状況を良く分かっていない霊夢。
ほっ、と息をつく咲夜。


果てしなく長く、そして騒乱を極めた脱衣麻雀。
その決着は、何とも呆気ないものであった。






「……!?」
ようやくその意味を理解したのか、妖夢は着物の襟元を反射的に押さえつけた。
一瞬にして逆転した立場。
そして、その立場はもう覆る事はないのだ。
「い、いや、その、まだ心の準備が……」
「往生際が悪いぞ、ほら脱げ」
既に魔理沙にしてみれば、もうどうでも良い事ではあるのだが、
ルールである以上、譲るつもりはなかった。

しばらく魔理沙と睨み合いを続けていた妖夢だったが、
やがて吹っ切れたのか、ぶっきらぼうに言い放った。
「……いいわ。脱ぐ。脱げばいいんでしょ」
帯代わりのリボンを外し、最後の一枚である幽々子用の着物へと手をかける。
「ふん、たかが脱衣よ。こんなのどうって事……」


「待ていいいいぃっ!!!」


一陣の風が、妖夢の言葉を遮った。

「今の言葉……聞き捨てならんぞ」
ふさふさとした九本の尾が、美しくも鬱陶しい、八雲藍その人であった。

「そういやあんたもいたんだっけ……すっかり忘れてたわ」
さりげなくキツい台詞を放つ霊夢だが、それも無理はない。
実際作者も忘れかけていたのだ……ゲフンゲフン。
「一度戻って、橙を寝かしつけていたんだ。今日は遅くなりそうだったからな……」
特に気にした風も無く、言葉を返す藍。
扱いの悪さに関しては、普段から慣れ親しんでいるのだろう。
「妙な所だけはマメなのね」
「そいつはどういう意味だ……っと、話が逸れたな」
藍は言葉を切ると、頬を膨らませている妖夢へと歩み寄った。
「妖夢」
「……何ですか」
怒気を隠す事なく向き直る妖夢。
タイミングを失った事に対してか、はたまた単なる逆ギレか。
「たかが脱衣……お前はそう言ったのか?」
「……そうですよ。服を脱ぐくらい何だって言うんですか」



「この馬鹿弟子がッッッ!!!!」



「「「「!?」」」」
いや、弟子じゃないし。という突っ込みをする気さえ失わせる、それくらいの大音量。
そう、藍は本気で怒っていた。
「そ、そんな事言われても……」



「脱衣をなめるなッッッ!!!!」




藍は、再び大音量で言い放つと、ひらりと雀卓へと飛び乗る。
人間一同は、ただその勢いに押され、黙って見つめる事しか出来なかった。

「いいか……脱衣とは言葉で語るものではない。感じ取るものだ。
 すぐに理解しろとは言わない、私もこの域に到達するまで数百年を要したのだからな」
なんて無駄な年月だ。と、一斉に心の中で突っ込む。
怖いので口に出さないのも一致した所である。
「だが、その本質を無視したまま誤った脱衣道を歩む事だけは、許せるものではない!」
そんなもん歩みたくない。と、これまた一致した意見を脳内で述べる。
「だからこそ……その一端にでも触れてもらいたいのだ! 真なる脱衣に!」
熱弁を振るい続ける藍の姿はどこまでも神々しく、それでいて紙一重である。
「お前たちに見せてやろう……これが! これが!」
これ以上は不味い。と思ったのか、四人は一斉に藍へと飛びかかる。
しかし、それは遅すぎた。


「脱衣というものだッッッ!!!!」


導師服が空を舞い……
世界は光に包まれた。




       






 
            イリュージョン
       それはまさに幻想







  
   八雲藍という名の幻想が、支配する世界   
   


   藍は踊る。躍る。衣服という邪念を脱ぎ捨てて



   その姿はどこまでも美しい
 

 
   そう、彼女こそが、プリンセス天狐 
 
 

   藍は飛ぶ。跳ねる。優雅かつ不敵に、瀟洒かつ大胆に、妖艶かつ無垢に   



   そんな、どこか矛盾した表現でありながら、それが相応しい

   





   否、それこそ無粋



   言葉など、この奇跡の前には無意味



   考える必要などない、すべては心で感じ取るのだ



   例えそれが強制的であろうとも



   恐れるな、受け入れろ、感じろ、そして



   脱げ








   
   脱げ!  脱げ!  脱げ!  脱げ!  脱ぎ晒せ!





          ス ッ パ し ろ !














薄れ行く意識の中、魔理沙は思う。

「(これが……脱衣……か……はは……私の……負けだ……)」

絶対的な敗北感……そしてそれ以上の開放感が魔理沙を包んでいた。

「(ああ、私は何をくだらないことに一喜一憂していたんだろう。
 答えは……全部ここにあったんじゃないか)」

「……スッパ……テンコー……」

その言葉を最後に、魔理沙の意識は途絶えた。









『認識……出来ない!?』

名も無き人形は、その光景を受け入れられずにいた。
自慢のハンディカメラも、この奇跡の前にはただの黒い塊に過ぎない。

『だが……負けられぬ!』

嗚呼、愚かなる人形よ。
あろうことか、彼はカメラから目を外し、肉眼による確認を試みてしまった。

『!? め、目が! 目がぁ!!』

奇跡を目の当たりにするに、彼の存在は惰弱に過ぎた。
邪な感情も、無駄に強い使命感も、芸人魂も、すべてが焼き払われる。
そして、最後まで彼を支えていた力……クスリの力をもかき消された。


こうして、名も無き人形は消滅した。
その存在は、未来永劫誰も知る事は無いだろう。










後に、魂魄妖夢は語る。

「あの時、何があったのか……正直な所、良く覚えていません。
 恐らくは、勝負に負けたのは私。
 そして、勝ったのは魔理沙といった所でしょうか。

 ……ですが、
 ひょっとしたら、八雲藍こそが本当の勝者だったのでは無いでしょうか。
 何の根拠もありませんが、私にはそう思えてならないんです……」














<妖怪卓>


南三局

人間卓が決着を迎えたその頃、こちらもまた佳境へと入っていた。
藍の奇跡をもってさえも、彼女らの集中力を切る事はできない。
ここに集うは、百戦錬磨の妖怪変化。
彼女らに必要なのは奇跡ではない、闘争の末の勝利である。




「(これは……!)」
レミリアは配牌を開くと、心の中で声を上げた。

一八九369(1)(5)(7)東西白中

一見すると、救いようのないクズ手に見える。
しかし、レミリアはここまでの流れから、自分が狙うべき手を確信していた。
必ず来る、と。
レミリアの第一ツモ、9索。





四順目

蓬莱と上海は、変わらぬ様子で、淡々と打ち続けていた。
……が、無論、それは傍目から見てのこと。
実際の内情はと言うと……

『な、何よこの手! ぜったいこの人達何かやってるよ!』
『落ち着いてってば! 騒いだ所でどうにもならないでしょ!』
『で、でもこれじゃツモられても終わっちゃうよ』
『だったら先に上がれば良いでしょ!』
『それが出来ないから焦ってるの!』
『威張るなっ!』
と、いっぱいいっぱいの様子だった。
気丈に振舞うのも限界があったという事だろう。
『こ、こうなったら!』
『え、作戦でもあるの?』
『……ツモられない事を祈りましょう』
『しょ、消極的ね……それで、何に祈るの?』
『えーと、神様神様……あの方しか浮かばない』
『……奇遇ね。私もよ』
『……』
『……』
『『……魔界神様……どうか私達をお救い下さい……』』

果たして人形達の願いは届くのか。

『というか、届いた所で私にどうしろって言うのよ』

答えないで下さい。





六順目

それぞれ思う所があるのか、この一局、一打一打が非常に遅い。
当然、紫も例外ではなかった。
「(何か……嫌な予感がするわ)」

四五六八23445(7)(8)北北

紫は既にイーシャンテン。
そして、この回のツモは6索。
普段の紫ならば、8萬を落としてテンパイを取っていたろう。
しかし、紫の中の何かが、それを躊躇わせる。
「(まったく……私は何を考えているのかしらね)」
自嘲しつつ紫が落とした牌は、北だった。






七順目

「(運の良い奴……あと一手遅ければ直撃してやったのに)」
立て続けに北を落とした紫に、レミリアが心の中で舌打ちする。

一八九19(1)(9)東南西北発中

これが現時点のレミリアの手。
狙いが何であるか、最早説明の必要は無いだろう。

「……」
ある種の確信を持って、ツモるレミリア。
盲牌する指には、何の凹凸も感じられない。
即ち、国士無双13面待ち、テンパイである。
「(これで……私の勝ちだ!)」
レミリアは、迷う事なく8萬を切った。
そう、迷う事無く。




ぱたり。




「え?」

それは、あってはならない音だった。

「成る程……本当に強いわね」

レミリアが唖然とした表情で、声の主を見つめる。

「もし、あと一手早かったら、貴女の勝ちだったわ」

紫でも、蓬莱人形でも無い。
完全に意識から除外されていた人物。

「西行寺幽々子……!」




「そういう事、か。……参ったわね」
紫は天を仰ぐ。
先程の予感が、半分正解で半分不正解だった事への呆れから。




「「……」」
蓬莱と上海は、静かに牌を伏せる。
自分達の役目が終わった事を確信して。





「これまでの落ち込み具合もすべてブラフか……」
「そうでもないわよ。本当にショックだったんだから。
 ま、それが原因で負けを拾うほど耄碌はしていないけどね」

自分へのマークが完全に消えるまで身を潜め、
突出したところを狙い、二度と立ち上がれぬ致命傷を与える。
それが幽々子の本当の戦法であった。

この手が、何かしらのイカサマを使用したものなのか、それとも純粋な手作りの結果なのかの判別は付かない。
しかし、確実に言える事は。
この一打は、レミリアを食い尽くすに余りある物だったという事だ。
幽々子が倒牌した手……それは。


一一一二二三四五六七九九九


「九蓮宝燈。48000点よ」
上がると死ぬ、とまで言われる究極の役満。
またの名を、天衣無縫と言った。

「……皮肉ね」
「ふふ、そうかもね」
ジト目で呟く紫に、幽々子はにこやかに返した。
「私はもう死んでるもの」






こうして、狂気の飛び交うどこまでも無意味な戦いは、静かに幕を下ろした。





妖怪卓 最終結果

一位 幽々子    62300点
二位 上海&蓬莱  30100点
三位 紫      28900点
ケツ レミリア  -22700点
























「ふぅ……妙に疲れた一日だったな……」
魔理沙は一人、夜空を駆け抜ける。
……否、一人ではない。
跨っている愛用の箒の端っこに、ぶらさげられた簀巻き。
「……くー……」
その中身は、今だ目を覚まさないアリスである。
「やれやれ……暢気なもんだぜ」
魔理沙は他にも大荷物を抱えている。
上海、蓬莱、露西亜、京、オルレアンといった人形の数々である。
あの一局が終わった直後、すべての魔力を使い果たしたのか、人形達は次々とその活動を止めていた。
それを運良く見つけた霊夢が、アリスと一緒に連れて行けと魔理沙に託したのだ。
結果、このような定員オーバーな状況を生み出していた。

「……まりさぁ……」
「ん、何だ?」
起きたのかと思い、魔理沙が後ろを見やる。
しかしアリスは依然として瞳を閉じたままであった。
「……くー……」
「……寝言かよ。紛らわしい」
寝言にまで自分の名前が出るという事実に、
今日の一連の出来事が現実のものであったと再認識させられる。

「(まったく……何があったって言うんだろうな)」
これまで、幾度と無く行動を共にしてきた魔理沙とアリスだが、
お互い、口にするのは軽口がいい所で、まかり間違っても好意的な発言など出た試しが無かった。
従って、その関係を言葉にするなら、良くて蒐集仲間、せいぜいが腐れ縁、
一番分かりやすいのは犬猿の仲、というのが魔理沙の認識だった。
同様に、アリスもそんな風に思っているのだろう、と。
だが、今日あった事は、そんな前提を一気に覆すものだった。

魔人形に操られていたせいというのもあるだろう。
しかし、だからといって今まで考えてもいなかった事が、急に表に出始めるものだろうか。
否。
これまで思っていても表に出せなかったからこそ、ああいう状況で一気に飛び出したのだろう。
第一、その魔人形自体が魔理沙を模った存在だ。
「(いっそ、藁人形なら話は早かったんだがな……)」

もやもやとした感情を抱えたまま魔理沙は飛ぶ。
目指すは魔法の森。
自分の家、そしてアリスの家のある場所だ。
「そういやこいつ、危うく家を失う所だったんだよな……」
人形の入った袋に目を移す。
上海、蓬莱、露西亜、京、オルレアン、金貨
……金貨?
「……あー、そうか。勝ち分もあるよな、そりゃ」
だが、それにしたところで、あの僅かな浮きで大量の金貨である。
もしも、人形達が行動に出なかったなら……
「……まぁ、そんときゃ私の家に押しかけて来た気もするけどな……ううっ」
何気ない独り言だったが、その余りにもリアルな情景に思わず身を震わせる。
思えばあの時、多少なりとも手助けは出来た筈なのだが、何故そうしなかったかは魔理沙にもよく分からない。
恐らく自分自身もいっぱいいっぱいで、そこまで気が回らなかったのだろうという事にしておいた。
感謝すべきは勇気ある人形達だ。
「お前も人形達に感謝するんだぜ」
「……分かってるわよ」
「ぬわっ!」
後方からではない、横からの声に、一瞬驚いた魔理沙がバランスを崩す。
その拍子に、懐に抱え持っていた人形達が、ぽろぽろとこぼれ落ちる。
が、不味いと思ったのは一瞬の事。
「アリスガオキター」
「マスター!」
直ぐに人形達は、己の力で空を舞い、一点へと寄り集まる。
いつの間にか魔理沙の隣を飛んでいたアリスの元へと。
「驚かすなっ! 起きてたんならそう言え!」
「悪かったわね、今起きた所だったのよ」
アリスの様子に、特に不審な点は見られない。
頭を打ったことでむしろ正常に戻ったのだろうか。
「失礼ね、それじゃ私が異常だったみたいじゃないの」
「人の心を読むなっ!」
「全部口に出てたわよ、その癖なんとかしたほうが良いんじゃないの?」
「……むぅ」
口も良く回る。いつものアリスだ。
ほんの少し責任を感じていただけに、それは安心に値する事だった。


「……」
「……」
しんと静まり返った夜、二人の魔女が空を飛ぶ。
あれから会話は無い。
お互い何かしら言いたい事はあるのだろうが、どうにも切り出すタイミングが見付からない。
「(……いかん。このままじゃ精神衛生上よろしくない)」
先に決心したのは魔理沙。
口にするのは……どうしても気になっていたあの事。
「……なぁアリス。あの魔人形って奴の事なんだが」
「!!」
瞬時に硬直するアリス。
顔はトマトのように赤く染まり、何やら蒸気まで噴き出している。
「あ、あれは、その、あの、た、ただの実験というか、その、もしかしたら、良い結果が、で、出るかもって、
 そ、そう思っただけで、べ、別に、魔理沙がどうこうとか、そ、そんなことじゃ、全然まったく、無いんだから
 か、勘違い、するにも程が、あ、あるでしょ! あ、で、でも、だからって、き、嫌いというわけでもなくて、あああ!」
支離滅裂、しどろもどろ、前後不覚。
混乱の極みの様子で、言葉を紡ぎ出すアリス。
「い、いや、別にいい。無理して聞こうとも思ってない」
そう返す魔理沙の顔も、心無しか紅潮していた。
「(って、なんで私まで恥ずかしがらないといけないんだ!?)」
自分の感情を把握しきれない。不味い傾向だ。


「アリス カオマッカー」
「マダ チョウシ ワルイノ?」
その混乱を抑えたのは、またしても人形達だった。
「あ、うん、大丈夫よ」
心配そうに見つめる人形達を前に、アリスの心は平静を取り戻していく。
そして、同時に浮かぶ別途の感情。
「(今、言ってあげないと駄目ね)」
アリスは、少しずつ速度を落とし、そして立ち止まる。
それを見た魔理沙と人形達も、動きを止める。
「何だ、忘れ物でもしたか?」
「……そうね。忘れちゃいけない事かも」
それは、魔理沙に対してではなく、自分自身へと向けた言葉のように聞こえた。

「上海」
「ナァニ?」
「蓬莱」
「ハイ」
「露西亜」
「…ハイ」
「京」
「ナンデショウ?」
「オルレアン」
「……」
アリスは、確かめるように、一体ずつ人形の名前を呼ぶ。
その真剣な様子に、傍観モードへと移行する魔理沙。
見ない、という選択肢は無いようだ。

「……今日は本当に良く頑張ったわね。みんな」
「「「「「……」」」」」
「貴女達は、自分の力で自分を守る事が出来たの。その事は誇りに思っていいわ」
「「「「「……」」」」」
「それに引き換え私は、自分の心にも勝てないような……そんな情けないご主人様だけど……
 だから、また同じような事があるかもしれないけど……
 ……それでも、これからも一緒にいてくれる?」
静かなアリスの問いかけ。
それに対して人形達は、きょとんとした表情を見せる。
「イミ ワカラナイ」
答えたのは蓬莱。
「ワタシタチノ マスターハ アリスヒトリ ホカノ ダレデモナイ」
「ミンナ アリス ダイスキ」
「ダカラ ズット イッショ」
堰を切ったように、次々と言葉を紡ぎ出す人形達。
「うん……ありがとう、ありがとう、みんな。本当に……」
感極まったのか、言葉を詰まらせるアリス。
だが、その瞳に涙は無い。
ここで泣いては、また人形達を不安がらせてしまう。
だから、見せるのは笑顔だけ。


「(あー、やっぱり先に行くべきだったか……)」
魔理沙はどことなく居心地の悪さを感じていた。
無理も無い事だが。
「(しかし、アレだな。アリスの奴、こんな場面だとまるで……)」
そこで魔理沙の表情が、にやりと歪んだ。
私、企んでます。と言わんばかりであるのだが、生憎アリスはそれに気付かない。


数分後、ようやくアリスは魔理沙へと向き直った。
「……さ、いいわ。行きましょ」
「あ、その前に、ちょっくら人形達を貸りるぜ」
「……は?」
魔理沙は返事を待たずに、人形達を引っ張り込むと、何やらぼそぼそと耳打ちした。
「……だ。分かったな?」
「「「「「ウン!」」」」」
「ちょっと魔理沙、あんた一体何を企んでるのよ」
「あー? 企むとは心外だなアリス君」
冗談めかした口調でとぼける魔理沙。
「ほら、君達も何か言ってやりたまえ」
「だから何を……」
更にアリスが問い詰めるべく、一歩近づいたところ。

「「「「「ママー!!!」」」」」

そんな発言と共に、人形達は一斉にアリスへと飛びついた。

「ま、ま、ま、ママ!?」

人形達を反射的に受け止めると、しばし言葉を反芻するように呆けていたアリスだったが
しだいにその次第に顔が紅潮していった。
無論、照れによるものと、怒りによるものの混合である。
「ま、魔理沙! あんた何吹き込んでるのよ!」
「ははっ、良いじゃないか。お 母 さ ん」
「っっっっっ!!」
「ほら、そろそろ行くぞ! のんびりしてたら夜が明けちまうぜ!」
「って、あんたはぁ!」
「「「「「マッテー ママー」」」」」
急発進する魔理沙、顔を真っ赤にして追いかけるアリス、更にそれを追う人形達。
先程の微妙な空気はどこへやら、あっという間にいつもの関係に逆戻りである。

「待ちなさい! 魔理沙ぁ!」
「はっ! 幻想郷最速と名高い私に追いつけるもんなら追いついてみな!」

アリスの春は遠い。



『結局いつも通りかぁ』
『つまらん。もっと血沸き肉躍る展開を期待したのに』
『……不謹慎』
『良いではありませんか。こうして皆が揃って帰れる事が一番ですわ』
『……そうだね、本当に』











無言で対峙する二人の妖怪。
一方は、押さえ切れない憤りをぶつけるかのような鋭い視線を送り、
一方は、そんな視線を受け流すかのような、どこまでも穏やかな表情であった。

「……」
「何かしら?」
「……これで勝ったと思わない事ね!!」
そんな捨て台詞を残し、レミリアは夜空へと飛び去って行った。
「お嬢様ー! それは三文悪役の台詞ですーーーー!!!」
続けて咲夜もレミリアを追う。

「ふぅ……騒がしい連中だこと」
しばらくその方向を眺めていた幽々子だったが、ふと気配を感じ、視線を背後へと移す。
「幽々子様、お疲れ様でした!」
そこには、満面の笑みを浮かべた妖夢の姿があった。
何故か風呂敷包みを背負っており、それが妙に似合っている。
「ふふ、妖夢もご苦労様」
穏やかな表情で妖夢へと向き直る幽々子。
お互いに含んだ物はまったく無い。
先程までの諍いは何だったのかと言いたくなる程である。
「あー……久しぶりに頑張ったらお腹空いちゃったわ」
「では戻って夜食にでもしましょう。今晩は特別です、何でもお作り致しますよ」
言いながら妖夢は背中の風呂敷包みをがさがさと鳴らす。
中身は本日の勝ち分……主にレミリアからせしめた物だ。
これが妖夢がご機嫌であることの大きな理由である。
お金は大事なのだ。本当に。
「あら、本当? なら雀が食べたいわ」
「す、雀ですか? 流石に今から捕まえるのはちょっと……」
「……何でも作るって言ったじゃない。あれは嘘なの?」
「で、ですが」
「……そう……妖夢は嘘をついたのね……」
「ゆ、幽々子様?」
「そうよね……妖夢にとって私なんてその程度の存在なのね……
 兆候はあったのよ……さっきも思いっきり殴られたし……」
先に殴ったのは幽々子様です。と言いたいのを何とか堪える妖夢。
「……はい、分かりました。雀だろうと鯨だろうと龍だろうとお作り致します。ですからご安心下さい」
「わーい! 妖夢大好きー!」
そんなじゃれ合いをしながら、幽々子と妖夢もまた帰途へと就いた。

この夜、とある夜雀が己の生命を賭けた逃亡劇を演じる事になるのだが、それはまた別の話である。










「お待ち下さいお嬢様ーーーーっ!!」
吸血鬼が最大の力を発揮すると言われる満月の夜である。
故に、追い付くのは至難の業であろうと思われたのだが……
「うるさいわね。そんな大声で呼ばなくても待つわよ」
「あら」
あっさりとレミリアは見つかった。
月を背景に、不機嫌そうに腕組みをしてぷかぷかと浮かんでいる。
「失礼致しました、余計なお世話だったようですね」
「……何よ。ニコニコしちゃって」
「そう見えますか?」
「見えるわね。私が不機嫌なのがそんなに楽しいのかしら?」
「とんでも無い事です。お嬢様の機嫌が宜しかったようなので、つい私もこのような表情になってしまいました」
「……理論的じゃないわね。私は不機嫌だと言っているのよ」
事実、レミリアは眉間に皺を寄せており、とても上機嫌には見えない筈なのだが、
当の咲夜と言えば相変わらず笑顔のままである。
「主の心情を見抜けないようでは従者など務まりませんわ。
 今日のお嬢様はずっと楽しそうにしておられましたもの。無理して不機嫌になる必要など御座いません」
「楽しそう? ……あれが?」
「ええ、あれほど楽しそうなお嬢様を見たのは久方振りですわ」
「……咲夜、貴女は眼鏡を作るべきね。ああ、コンタクトという手もあるわ」
「ご心配無く。視力は常に2.0を維持しております」
「……」
「何も恥ずかしい事などありませんわ。人間正直が一番です」
「生憎だけど私は人間じゃないわよ」
「ならば、吸血鬼も正直が一番と言うことで」
「むぅ……」
レミリアは、ぷー、と頬を膨らませる。
「ふふ……」
普段の毅然とした姿も魅力的だが、こうした外見相応の反応もまた良いものだ。
むくれるレミリアを前に、そんな感想を浮かべる咲夜だった。


「……」
実のところ、咲夜の言う通りだというのは、レミリア自身分かっていた。
無論、負けた事は非常に腹立たしいのだが、
それ以前に、こうして全力を持って何かに臨んだ事は、記憶を探ってもそう出て来るものではなかった。

幼きデーモンロードの称号は、そう軽いものではない。
そしてレミリアはそれに相応しい能力の持ち主である。
いかなる力自慢が戦いを挑んでこようとも、高名なる魔術師が策謀を凝らそうとも、
ほんの少し能力を開放するだけで事は済んでしまう。

だが、今日の相手は、レミリアが全力を出すに値するだけのものを持っていた。
麻雀のみならず、能力そのものも、果ては弾幕戦や格闘戦までも。
例えその結果が敗北だったとしても、その時間は実に貴重だったと言って良い。
言い換えるならば……確かに楽しかったのだ。
そういう意味では、少しだけあの面子に感謝しても良いかもしれない。

しかし、だ。
自覚するだけならともかく、それを従者に微笑ましい目で見られるというのは、いかがなものか。
この所ただでさえカリスマ低下が囁かれてるというのに、更に拍車をかけてしまうのではないだろうか。
従って、この件に関しては、断固とした姿勢で臨むべきである。

レミリアは考える。
今日の出来事を無かった事にする方法を。
その答えは、いとも簡単に見つかった。

「……咲夜」
「何でしょうか?」





「胸のパッド、ずれてるわよ」





後日、咲夜は言った。
『自分自身の時を止めるのって、きっとあんな感じなのね……』














「……で、片付けるのは私の役目なのね」

誰もいなくなった宴会場で、一人ぼやくのは霊夢。
無限の如く散乱する酒瓶やら皿を前に、眩暈を覚えるのも仕方のない事だろう。
そして、更に霊夢を欝へと誘うのは、どでんと鎮座する二台の雀卓と八台の椅子。
広大とは言いがたい博麗神社の居住区に、この存在は邪魔を通り越して嫌がらせに近い。
「まったく……持ってくるだけ持って来て置きっ放しったーどういう了見よ」
霊夢はぶつぶつと呟きながら、椅子へと座った。
「麻雀かぁ……今思えば、どうして皆あんなに興奮してたのかしらね……」
何気なく、散らばっていた牌の一つを取り上げる。
「……」
その牌を横へと傾け、ぱしんと卓へ置く。
「リーチ……なんてね」



「ロン……なんてね」
誰もいなかった筈の対面から、そんな言葉が返って来た。
「あら、いたの?」
「つれないお言葉どうも」
その人物……紫は、特に気にした風もなく、牌を手で弄んでいた。


「ねぇ、紫」
「ん、なーに?」
「さっきさ、私が捨てた牌に細工したの、あんたでしょ」
「……分かった?」
「そりゃ分かるわよ。冷静に考えれば、あんな事が出来る奴なんてあんた以外にいる訳が無いし。
 ……で、どうして?」
「内緒、じゃ駄目かしら」
「駄目」
「うーん……それじゃ、霊夢の裸を他の人に見せたくなかった。というのは?」
予期せぬ発言に、霊夢の頬が紅に染まる。
「ば、馬鹿な事言うんじゃないわよ!」
「あら、私は本気よ? まぁ、泣き顔の霊夢も貴重な記録ではあるけど、あれより先はやっぱり独り占めしたいものね」
「!?」
その台詞に自分の晒した醜態を思い出したのか、更に顔を紅くする。
「だ、誰が泣いたって言うのよ! 寝すぎで脳が退化しちゃったんじゃないの!
 というかあんた何しに来たのよ! さっさと帰れ!!」
誤魔化すように、一気にまくし立てる霊夢。
聞いているのか聞いていないのか、紫はくすくすと笑いながら、牌をかき混ぜるだけ。
「ねぇ、霊夢?」
「……何よ」
叫んだ事で多少落ち着いたのか、不機嫌そうにも答える霊夢。
「知ってるでしょ? 本来、脱衣麻雀というのは……」
話し出すと同時に、紫の手が素早く動き出す。
瞬時に積み上げられて行く牌。
たちまちの内に、卓上は麻雀の舞台へと変化した。
「一対一でやるものなのよ」
紫は悪戯っぽい表情を浮かべつつ、二つの賽を掲げ持つ。
「はぁ……結局あんたも狂気に囚われた一員な訳ね」
呆れる霊夢。
とは言うものの、霊夢にこれといった嫌悪感は無い。
その理由は実にシンプル。
「それはそうよ。だって今夜は」

屋外へと視線を移す紫。
釣られて霊夢もそちらを見やる。
広がっているのは満天の星空、そして……。

「「満月だもの」」

声が重なる。

そして二人は同時に笑い出す。

「ふふ、でも人間味に欠けるあんたが、月の影響を受けるなんてイマイチ信じられないけどね」
「あ、ひっどーい。これでも昔は深窓の令嬢で通ってたのよ」
「……それって何千年前の話よ」
今日、軽く二桁を超えてるであろうため息をつく。
そもそもが人間が存在する以前から生きていたとしても不思議では無いような存在だろうに。
「(でも、そんな大層な存在って事、時々忘れちゃうのよね)」
今、こうして目の前にいる紫は、単なる困ったお姉さん的存在でしかない。
というより、霊夢の前に現れる時は、いつだってそんな感じである。
かといって、それが本来の紫の姿なのかと言われると返答に苦しむ。
八雲紫にはまだまだ謎が多すぎるのだ。
「……どしたの?」
「ん、別に」
誤魔化した訳ではない、考えた所でどうにかなるものでも無いのだから。
ただ、はっきりと分かるのは、
そんな胡散臭い所も含めて、自分が紫を気に入っているという事実だった。


「ほら、貸しなさい。初心者なんだから私が親よ」
霊夢は紫から賽を引ったくり、そして振る。
出目は1と4。自5だ。
「よしよし、やる気になったようね。そうこなくっちゃ」
手をワキワキさせながら牌を取っていく紫。
器用なものだ。
「でもね、そう簡単に勝てるなんて思わない事」
霊夢は素早く理牌すると、一枚の牌を取り上げる。
そして、力強く打ち出した。

「私の裸は安くないわよ」
「大いに結構、それでこそ脱がせがいがあるんじゃない」

こうして、夜は静かに更けていった。












後に、霊夢はこの日の出来事について、簡潔に纏めていた。
ここで、その全文を抜粋してみよう思う。







 『今日も平和な一日でした』




<完>
どうもYDSです。
読んで頂き、真にありがとうございました。
これにて東方雀鬼録完結です。


この話、麻雀という特異な題材ということもあって、かなり試行錯誤の日々でした。
実際、麻雀に深く親しんでいる方はともかく、殆ど知らないという方も多数おられるだろうという事で、
いかにその辺りを表現するか……その匙加減が悩みどころでした。
ですが、思いの他(というのも変な話ですが)好評を頂けたようで、真に嬉しく思っております。マジで。

さて、今回の話を書くにあたって一つ目標にしていた事があります。
それは『死にキャラを出さない』
と言っても幽々子の事ではなく、登場する意義の無いキャラを作らない、という意味です。
まぁ要するに全員に見せ場を作ってやりたかったんです。はい。
その目標は九割型達成できたとは思いますが、そのせいでやたらと話が長くなる&脱線するの
二点まで付いて回ってしまったのは反省材料です……。

次に書く機会があったら、麻雀とは関係ない話にしたいなぁ、というかその前に文章力鍛えないとなぁ
……等と思っていたのですが、先程言った目標の残り一割が気になって仕方がありません。
その一割というのは、作中において僅かに2行で存在を抹消されたあのキャラです。
ですので、そのキャラの補完を外伝という形で書いてみたい等と考えております。
よろしければまたお付き合い下さいませ。
YDS
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コメント



0.7540簡易評価
7.無評価七死削除
この一ヶ月かそこいら、この物語を読むのが楽しみでした。
こういう純粋に楽しむための物語ってのもいいですね。 まるで
ゲーム見たいでw。
ちょっと見慣れない、でも非常に楽しい麻雀を見せて頂きました。
作者様にお疲れ様、そして有難う御座いますを送ります。

それにしても、あ~久しぶりに麻雀したくなってきたぁ!! 
でも面子がいなけりゃ時間もねえス・・・orz
35.80世界爺削除
お疲れ様でした。実に楽しく、そして素晴らしきまったり加減の作品でした。
……一部まったりというかブースト入っている部分はありましたが(何
マージャンなどは久しくやっていないのですが、
これを読んでいるとどうもやりたくなってしまう次第です。
あと泣き霊夢萌(ry

ところで、やっぱりカメラ持ってる人形って……tうわなにをするやめ(ry
37.100名前が無い程度の能力削除
やっぱり来たかテンコー!

それはともかく麻雀を殆ど知らない自分でも楽しめました。
外伝の方も期待しています
39.100ABYSS削除
完結ごくろうさまです。

いやあ面白かったです。
こういう作品を書けるというのが非常に羨ましいですね。

で、まあ結局今回は藍様の一人勝ちですね。
スッパ……そこまで情熱を賭ける物なのか……。
妖怪卓は地味に麻雀モノとしての面白さを追求してたような。
ラストなどはそういう漫画でもありそうな展開でしたし。
あと、紫様被害妄想逞しすぎます。

また、氏の作品を読むことを楽しみにしてます。
40.90名前が無い程度の能力削除
一気に読ませていただきました。
読みながら必死でレミリア様を応援していました。
非常に格好よい負けっぷりに感激。

ロン・・・ 中のみっ!
41.100しん削除
最高でした。いや、本当に。
43.90なまえはまだ無い削除
藍様大暴走(笑)
これに関しては、ゆかりん超えていたりして?
・・・それともまさか、ゆかりんのはさらに
ものすご(スキマ

第1話から、大変楽しく読まさせていただきました。
全員、生き生きと描かれているのが印象的でした。

次回作も楽しみにしていますね♪
48.100てーる削除
いやぁ、最高でした。纏め方といい、戦闘(?)シーンといい、楽しめましたw
49.90TAK削除
いやはや、純粋に面白かったです。
やはり、そうですね、霊夢にとってこれが平和な日常なのでしょう。
…そして、藍…かけている情熱は分かりましたからスッパで飛び跳ねるのはやめ(ry

次回作、楽しみに待ってます。では。
55.100っぉ削除
最初から最後まで読ませていただきました
お疲れ様です
57.90名前が無い程度の能力削除
色々な作品で作られている麻雀モノ。
私が読んだ中では最高峰の出来でした。
素敵な作品どうもありがとうございます。
59.無評価名前が無い程度の能力削除
とても面白かったです。 
 
細かいツッコミですが、魔理沙の北四局の平和は
咲夜の七索と同順ですので、霊夢の四索であがっちゃうとチョンボになりますよw
64.90名前が無い程度の能力削除
やばい、人形が可愛い!
なんかもう、色々と最高でした。
人形の祈りが届いた神綺様も含めて。

しかし藍さま……やっぱりスッパといえば貴方ですか……
どさくさに紛れて妖夢の脱衣は無かった事になったんでしょうか。
68.100シゲル削除
完結お疲れ様でした、楽しくってしょうがなかったです。
最後は皆気持ちよく終わってよかったなぁ♪
霊夢と紫様あの後どうなったのか想像できないですねぇ。
アリスと人形達も良かったです、特に「ママ」に感動しました♪
これからも応援してますね♪
70.100SETH削除
ウヤハー!
82.80名前が思い出せない程度の能力削除
お疲れ様でした。
久しぶりに麻雀したくなってきましたよ。
85.100名前が無い程度の能力削除
登場キャラクター全員に萌えまくりでした。素晴らしきかなまったり世界。次回作も楽しみにしております。

あ、泣き霊夢はお持ち帰りで一つ。
100.100東方が大好きな程度の能力削除
あなたは最高です。
またこのような話をつくってほしいです。
霊夢の反応かわいくてすき。
106.無評価nagare削除
いやあ、最後のまとまり方がもう脱帽です。
あれだけのドタバタ劇をしれっと纏める氏の手腕。ううん♪

それぞれの帰路に見えるそれぞれの個性。
東方世界の面白さを再認識できました。お疲れ様です。
そしてありがとう!^^ノツ
110.100no削除
長い時間かけて読んだだけはあった
最高でした
118.無評価T.削除
よかったと思います
ただ麻雀好きの人間として一言言わせてもらいます
トリプルロン(三家和)って流局扱いじゃなかったですっけ
間違ってたらすんません
155.100名前が無い程度の能力削除
いやぁ、面白かった。自分も東方を舞台にした闘牌を妄想しましたよ(笑)

それと、三家和(トリプルロン)の取り決めは地方で違うからアリといえばアリですよ
167.100名前が無い程度の能力削除
おもしろかったです。これから外伝読んできます。
172.100名前が無い程度の能力削除
時間を忘れて読み耽りました。
175.80名前が無い程度の能力削除
藍がwww
176.70名前が無い程度の能力削除
人形カワイイ
181.100名前が無い程度の能力削除
面白かったよー