Coolier - 新生・東方創想話

全てが終わった後のお話し

2005/04/04 13:02:49
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 意識の僅かな覚醒と同時に私の肉体が感じたもの。それは体全体に行き渡る筋肉の痛み。その激痛に私はまどろみと覚醒の境界を行ったり来たりだった意識を無理矢理目覚めさせられ、顔を歪ませる。体を動かそうとする以前に、痛みで条件反射的に動こうとするが動けない、その間にも痛みの感覚は強くなり、余計に体が動こうとする。正に悪循環。こういうの嫌だなぁ……

 私自身の思考も、体が動くように暫く奮闘していたが、それで痛みが消えるわけでも無かった。
 数十秒か数分か、私はいい加減諦めてそのまま痛みを我慢して寝ることにした。
 あ、そういえばここはけーねの家だった。でもまあ、いいか。どうせ彼女も昨夜の戦闘は知ってるし、第一あの後動けない私をここまで連れてきたのは彼女だったからね。



――――――――――――



 戦闘……ね。昨夜の2人は今までの連中とは段違いに強かったわね……あの輝夜のタカピーが負けたってのもあながち嘘じゃないみたい。



 昨夜は肝試しとかにやって来た人妖の2人に私―――藤原妹紅、あの輝夜が月の使者から逃れる時、口封じに彼女を育てた人達に渡した蓬莱の薬によって、不死となってしまった人間―――の放つ弾幕は悉く回避されて、金髪の白黒魔法使いと金髪の人形を連れてた魔法使い―――名前何かしら?まあいいわ―――は口喧嘩をしつつも絶妙な連携で私を幾度と無く「殺していった」

 リザレクションが出来なくなるまで殺され続けたのは久しぶりだわ。
 で、復活出来なくなるまで殺され続けたんだけど、あの2人は私をそれ以上殺そうとせずに何故か筍狩りに目的を変更して帰って行ったわね。そしてその後駆けつけて来たけーね―――知識と歴史の半獣にして歴史食い、上白沢慧音。私はけーねって言ってる―――にここまで連れてこられてこの部屋に寝かされ、今に至る……と。



――――――――――――



 段々と思考が鮮明になっていくに連れて、体中に感じる痛みも鮮明になっていく。何度も痛い目には合ったけど、慣れないわね……こういう「痛み」には。
 今の時間は……ええと……巳の三つあたりかな?けーねが私をここに連れてきて寝かせたのが虎二つだったから……

「妹紅、起きてるのか?」

 私が考え事をしていると廊下側の襖の向こうから声が聞こえる。死ねずの肉体を持つこんな私を、いつも構ってくれる友人にして、最も信頼できる者の声。

「起きてるわよー」

 とりあえず返事をすると襖が開いてけーねが手に何か乗ったお盆を持ってやってきた。

「大丈夫か?」
「何とか。筋肉痛で全然体が動かない上に目茶苦茶痛いけど」
「それは大丈夫とは言わん」

 私の横に来てお盆を置き―――小さなお鍋がお盆の上に乗ってるわね―――私の体を上半身だけ起こす。あいたたた。
 そうだ、ちょっと悪戯でもしてみようかな……

「ゴホッ、ゴホッ……いつも済まないねぇ」
「何阿呆なことを言っている」

 ちょっとお爺ちゃんやお婆ちゃんっぽく言って見たけどあっさり躱される。ちぇっ……

「朝食、作ったが食べれるか?」
「欲しいけどさっき言ったとおり体が動かないからちょっと無理」

 けーねがお鍋の蓋を開けるとそこにはお粥が入っていて、美味しそうな湯気を立てている。

「仕方ない……」

 けーねはそのまま木製のスプーンを使ってお粥を一口分掬い上げ、3度程その掬い上げたお粥に息を吹き付けて冷やし

「あ、あーん……」
「あーん……」

 少し顔を紅潮させながら言ってきたので私は従い口を開ける。ほんっと、何でこういう行為には彼女って免疫が無いのかしら?
 口に入っていったお粥を噛む……噛む、噛む。ん、美味しってあちゃちゃちゃ。

「あふあふあふ……んく。美味しい」
「……」

 まだまだ熱いお粥を飲み込み、私は素直に感想を言ったらけーねは顔を真っ赤にさせてそっぽを向く。あらら、照れてる照れてる。
 再びお粥を掬い上げてさっきと同じ容量でお粥に息を吹きかけてから、私の口に運ぶ。私は差し出されるそのお粥を口に入れていく。そういう光景が十分ほど続いた。

「ご馳走様。美味しかったわよ」
「……お粗末様」

 笑顔で答える私にけーねはポツリと呟き、お盆ごとお粥の入っていた鍋を持って部屋を出ていった。既に私はけーねによって横になって布団をかけられている。



――――――――――――



「ちょっ!あっ!い、痛いって!」
「仕方ないだろう。昨夜は激しかったんだから」
「あっ、ひいっ!う、あっ、痛い痛い痛い!あっ、くうっ!うああああああああっ!」
「こらっ!」

 うつ伏せ状態の私の後頭部に平手打ちをかまされた……

「何よ?」
「マッサージなんだからそういう妙な叫び声は色々と誤解を招くだろうが!」
「誰のどんな誤解よ?」
「知らん!とにかくやめろ!」
「えー。全く頑固なんだからあぐっ!」

 私が愚痴を言うと本気で痛いツボを親指で突いてきた。あのーけーねさん、ツボ突いただけなのにグキッって音がしたんですけど……
 まあ、今の私達の状況はと言うと……私は上半身裸でうつ伏せになっていて、けーねは私の横で背中にマッサージをしているって所。
 全く、けーねってほんと頑固よねぇ……
 でも流石に今のを連続で喰らいたくも無いので私は黙ることにした。けーねも黙々とマッサージを続ける。
 それにしても……

「けーねって意外とマッサージも上手ねー。整体でも十分食べていけると思うわよ」
「殆ど見よう見まねでやってるだけだ。本家には敵わん」

 マッサージのペースは変えずに私の言葉に答えていく。

 むにむにむにむに……あー、筋肉の痛みはまだ残ってるけど気持ちいいかも。

「ほへ~~~~気持ちいい~~~」

 思わず顔がほころんでるのが自分でも分かった。いやぁ、ねぇ……



――――――――――――



「っと、この辺か。どうだ?」
「んっ?うーん……ふあぁ」

 どうやら眠ってたみたいで、けーねの声で私の意識は覚醒した。終わったみたいねー。

「今何時?」
「午三つだな」

 あらま。どうやら結構な時間寝てたみたいね。さて、体はどうなってるのかな?

「おっ……いい感じ」

 起き上がって腕を軽く回転させてみると、痛みはまだ残ってはいるがさっきのようなのた打ち回るほどのものではなく、普通に行動しても支障はないくらいだ。

「ありがとうけーね」
「……」

 服を着ながら私は素直にお礼を言うが、けーねはそのままそっぽを向いてしまった。まーた照れてるよけーねったら。

「さてと、今日一日は安静だぞ」
「わかったわよ」

 そのまま布団に潜り込み、寝ることにした。まだ体の節々が痛むけど朝起きた時よりは大分マシになってるからまあ、大丈夫ね。



――――――――――――



 どれくらい時間が経っただろうか……未だにまどろみの中にいる私の意識はある気配によって現実に引き戻された。

 気配……否、殺気……それが、1つ、2つ、3つ……

 まぁた輝夜の刺客かしら?私はゆっくりと布団から起き上がり、辺りに注意を払う。周りは既に夜の闇が支配しており、外から差し込まれる月の光以外に辺りを照らすものはない。
 そして、体の痛みは既に無い。

 ほんっと……あの輝夜が引っ切り無しに送る刺客連中の所為で良いのか悪いのか、こういう殺気に関してはかなり敏感なほうになってしまったわね。

 ……ゆっくりと、殺気の感じられる方……廊下側ではなく……外へ出れる襖の方へ……音を立てずに……歩く。抜き足、差し足、忍び足……だが
 殺気が、一気に膨れ上がり!





 次の瞬間。私のいる部屋に、大量の弾幕が飛来した。



――――――――――――



「うっわ……危ない危ない」

 弾幕が部屋に飛来する直前、襖を破って外に出た私は部屋のあった方向を見て一言漏らした。私のいた部屋はもう完全に破壊されており、見る影も無い。けーねは大丈夫かしら?

「全く、本当に貴女って悪運だけは強いわねぇ……」

 …………やっぱりね。
 私の後ろの方―――今私はちょうどけーねの家の方を向いている―――から聞き慣れた声がする。聞き慣れた、それでいて何時までも忘れることの無い、この世で一番ムカつく嫉妬深くて卑怯で短気で自分1人では何も出来やしない相手の声……
 ゆっくりと私は声のした方を向き……彼女はいた。






 永遠と須臾の罪人にして、毎度毎度飽きることも無く私に刺客を送りつけて、殺している光景を見ては恍惚とした表情を浮かべる悪趣味な洗濯板女……蓬莱山輝夜が……






「全く、あんたも飽きないわねぇ。こう何度も刺客を送りつけるなんて」
「その点に関してはご心配なく。貴女の死に様は何時見ても面白くて飽きるという事も無いわ」
「……ナイムネサディストめ」
「ナイムネ言うな!うしちち!」

 ポツリと呟いたはずだが聞こえていやがった……地獄耳も追加ね。
 ん?そういえばさっきまで感じてた気配は確かに3つだったのに……何で洗濯板の輝夜1人しかいないのかしら……おかしいわね。

「じゃ、私は忙しいからこの辺でー」
「待ちなさい!久しぶりに外に出られたんだから暇潰しのために少しは殺されなさいよ!」
「嫌」

 輝夜のアホの言葉にほんのちょおぉぉぉぉぉぉっと怒りを覚えた私だが、それを抑えて拒否する。

「というか私はあんたの玩具じゃないんだから、お家に帰って兎とでも遊んでたら?」
「最近イナバは永琳の実験台にされてるから遊んでくれないのよ」

 何度か見かけた月の兎のことを挙げてみるが躱される。というか変な単語が聞こえたがまー気のせいでしょ……多分。

「と言うわけで、さっさとやられてね~(はぁと)」
「はぁ……あんたねぇ……少しは自分の年齢も考えなさいよね」
「五月蝿いわね!私は不老不死なんだから何時まで経っても若いわよ!」
「どーだかねぇ……1000年は余裕で生きてるんだからガチでババァじゃないの?」
「それを言うんだったら貴女もでしょ!」

 とりあえず輝夜の最後の台詞は幻聴と判断しておくので理解してもらいたい。というか理解しろ。
 だが、そんな掛け合いをやってる間に、私のさっきまでの疑問はある程度氷解していた。即ち……先の3つあったはずの気配。恐らく後の2つの気配は……

「っと、貴女なんかと漫才やってる場合じゃなかったわ。さあ、ヤッチマイナー!」

 いや、あんた、最後の台詞は色々と不味いでしょと言おうと思ったが、やめた。輝夜の後ろの森の陰にあった気配が動いたから。ああやっぱり。

『おーーーー!』

 何やら目茶苦茶ガキっぽい声を聞いて表れた2人の相手を見…………









 私は(別の意味で)絶句した。



――――――――――――



 相手2人―――まあ妖怪だが双方共に名前ぐらいは知っている―――は思いっきり飛び上がり、私の頭上よりかなり高いところで急停止後、急降下してきた。
 拍子抜かせるだけじゃなくそれを遥かに通り越して弾幕(や)る気すら抜けさせたそいつら―――まあ、何と言うか、思いっきり輝夜の人選……おっと、妖怪選をミスった2人―――チルノって氷精とリグル・ナイトバグって蛍の妖怪だった……
 一体全体なんでンな連中が輝夜の刺客をやってるんだろうか、頭を抱えたくなる衝動に駆られるが……まあいいや。彼女達はこっちに殺意をむき出しにしてるんだけど、こいつらなら2,3回ぐらいで……

 とりあえず私は右手を適当に1回振るう。瞬間、彼女達の少し前に灼熱の炎が現れた。

『ひえぇぇぇぇぇぇぇっ!!』

 予感的中。チルノとリグルの2人は情けない声を出しながら抱き合って思いっきり―――ずざざざって擬音がついても良いくらいのスピードで―――後退する。

「ちちちちちちチルノちゃん、ややややややっぱりやめたほうがいいよ~~。炎使ってるよ燃やされるよ~~~」
「だだだだだだ大丈夫よリグル君。かかかかかかかすめたってことはねねねね狙いつけがへへへヘタクソだと思うから」

 半泣き状態のリグルと、泣いてはいないもののいつ号泣してもおかしくないくらいに怯えているチルノ……っていうかリグルって子……男の子だったんだ……

「ちょっと貴女達!ビビってないでさっさとあいつを殺しなさいよ!」

 輝夜の一喝によってまだ抱き合ったままの2人は離れ、震えつつもゆっくりと私との距離を詰めてきた……それ威嚇もういっちょ。
 再び右手を振るう。そしてまた表れる灼熱の炎。さっきは少し離した所に発動させたけど今度はギリギリを掠めるくらいの至近距離。

『うわあぁぁぁぁぁぁぁん!!ごめんなさいいぃぃぃぃぃぃっ!!』

 流石にこたえたらしく、双方共に大泣きしながら逃げていった。おっし!

「ち、ちょっと待ちなさい!あんた達さっき紅白や白黒ぐらいなら楽勝って言ってたじゃないの!!」
「ごめんなさいあれ嘘ですーーーーーーー!!」
「なあぁぁぁんですってえぇぇぇぇぇっ!」

 泣き叫びながら逃げるチルノの言葉を聞いて絶叫する輝夜。成る程、チルノってお子チャマの大法螺を信じきってたってわけね。うぷぷ。
 だがしかし、これは滅多に無い好機。輝夜に思いっきり仕返しをするにはちょうどいい。

「かぁぁぁぁぁぐぅぅぅぅぅやぁぁぁぁぁぁ……」

 低ぅぅぅぅく、そして思いっきりドスの聞いた声でゆっくりと近付きながら呼ぶ。それを聞いて輝夜の肩がビクッっと震えたのを私は見逃さなかった。

「……」
「さあぁぁぁぁぁてと、よくもまあ色々やってくれたわねぇ……」

 輝夜の真後ろまで浮遊したが返事は、ない。
 やがて、輝夜はゆっくりとこちらを振り向いて不敵な笑み―――と思いきや頬に一筋の汗がたれてる―――を浮かべ

「ふっ……そ、そういえば用事があったんだわ!き、今日のところはここここれ位で許してあげる!あ、ありがたく思いなさい!」
「まてい」

 慌てて逃げようとした輝夜の襟首をがしっと掴んで逃走を阻止する。何やら蛙が潰れた時に発する断末魔のような悲鳴を輝夜は上げた。

「ちょっと!離しなさいよ!」
「い・や・よ。こおぉぉぉんなに良い機会は滅多にないんだから今までの仕返しさせてもらうわよ~(はぁと)」

 私の殺気を多分に含ませた声を聞いて輝夜は再びビクッと肩を震わせ……

「嫌あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!牛に犯されるうぅぅぅぅぅぅぅっ!!ウシチチに掘られるうぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

 いきなりあることないことを叫びだした。一応突っ込んでおくけど私は牛じゃないわよ輝夜。牛はハクタク状態のけーねだって。

「あーはいはいそれは良いからだまらっしゃい」

 やかましかったので黙らせるためにウメボシを喰らわせておく。ぎゅうぅぅぅぅぅぅぅっと強く。

「痛い痛い痛い痛い痛い!!割れる!割れる!割れる!割れる!中身飛び出るぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
「どうせあんたは私やあの永琳って言う月人と同じ不死なんだからその程度で死にゃあしないでしょ。つーわけでさらにパワーアップ♪」
「ふにょおおおおおおおおおおおっ!!痛い!痛い!痛い!死ぬっ!死ぬっ!死ぬっ!ホントに死ぬ!死ぬから!…………うわあぁぁぁぁぁぁぁん!!助けてえーりーーん!!」

 うわ!出しやがった!蓬莱山輝夜の最後にして真のラストワード。泣符「たすけてえーりん」を発動させやがったよこいつ!
 ……まあ、解説をすればこういう風に「たすけてえーりん」と言いながら泣き出し、自分の従者にして友人であるあの偽天帝の八意永琳に助けを求める非常にセコくて他力本願なスペルカードである。因みに発動にカードなどの媒体は必要ないらしい。だが発動率はどうも永遠亭との距離に反比例するとの報告もある。この辺はあそこと結構離れてるからまー来ることはないでしょ。
 それにしてもやかましい。黙らせるためにさらにパワーアップ……しようと思ったけどさすがに腕が疲れてきたからそろそろ離してあげましょうかね。

「さーさー、これ以上痛い目に遭いたくなかったらさっさと帰った帰った」

 腕を放して背中を肘打ちでゴスッっと言う程度に押し、しっしっと手を振って輝夜を追い払う。こめかみと背中を暫くの間押さえつつ呻き声を上げていたが、唐突にこちらを振り向きびしぃっと私を指差して言った。

「ふっ!こ、この程度で私に勝ったと思わないでよ!いずれまた殺してあげるんだから!」
「さっさと帰れと言ってるでしょうがあっ!!つーか勝ったと思ってないわよ!!不死「火の鳥 -鳳翼天翔-」!!」
「ひょええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 いい加減腹が立って来たので鳳凰の弾丸をスペルカード発動と同時にゼロ距離発射。おー盛大に飛んだわね。キュルキュルと横回転しながら吹っ飛ぶ様なんて初めて見たわ。あいつって意外と芸人の才能あるかもね。
 まあ一発外れてけーねの家の方に向かった気がするけど、気のせいでしょ。多分。

「お、覚えて」
「あげないから私のことは忘れてあのウサギ達とお幸せにーーーーーーー!!」

 駄目押しに台詞妨害(?)でさよーならーっと。ん、気分爽快、あーすっきりした。

「さーってと、今日は疲れたから帰るとしますかね」

 気分も優れて体調も良好。精神面でも肉体面でも最高の状態で私は肩を回しながら帰ろうと

「待て」
「ぎゅふっ!」

 した途端に後ろに回りこんでいる何者かに襟首を掴まれた。しかもこの声は……

「あ、けーね」
「『あ、けーね』じゃないだろう!!」

 後ろを振り向くとそこにはけーねがいた。だけど何故かかなり怒ってるみたいね。

「どうしたのよ?何か怒ってるように見えるけど」
「どうしたもこうしたもあるか!!お前のお陰で!!」

 ズビシィッ!とけーねは自分の家を指差して……はっ!ま、まさか!
 目茶苦茶嫌な予感が私を襲うがけーねはそんなことお構い無しに続けた。

「私の家がこうなってしまったんだぞ!!」
「おおうっ!?」








 ああああああああああああ。やっぱりいいぃぃぃぃぃぃぃぃ。
 予感的中!やっぱりあの鳳凰の弾丸が当たったみたいだよおぉぉぉぉっ!!

 そう、けーねの家はあの鳳翼天翔の炎弾が直撃したため屋根の部分がこんがりと原形を止めないくらいに焼けていた。の割には他の部分は焦げ目は見えるもののちゃっかり無事なのがみょんだけど……

「あ、あは、あははははははははは……」

 やっちまった……もう私の頭の中はその言葉だけが反芻されていた。えーとえーとえーとえーとどうしたら……
 ややあって、ある程度頭の整理がつけた私は明後日の方向を向き

「おにょれ輝夜ぁっ!何の罪もないけーねの家にまで火をかけるとは言語道断!!」
「お前の攻撃だお前の!」

 中指をおったてて輝夜に怒りを向けるがけーねには無効果だった。ちぇっ。

「さてと、こんな所で怒鳴っても何の特にもならんからな。向こうでゆっくりと話させてもらうぞ」
「え、あっ、ちょ、まっ……」

 けーねはいきなり私の襟首を掴んで無理矢理降下し始める。

「ちょっ、ちょっと待って!私は今病み上がりだからねっ、ねっ?あまり乱暴しないでね(はぁと)」
「今まであの輝夜と渡り合ってたんだからもう大丈夫だろう?」

 うっ……そうきたか……
 ちゅーかけーねさん……顔は笑ってるんですけど目が笑ってませんって……怖いですよ……人里の子供が見たら絶対泣きますよその笑顔は……

「さぁて、どうしてこのような事態になったかゆっくりと搾り取らせてもらうぞ」
「嫌あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!牛に犯されるうぅぅぅぅぅぅぅっ!!きもけーねに掘られるうぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!へるぷうぅぅぅぅぅぅぅっ!!へるぷみいぷりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃづっ!!」
「誰がきもけーねだっ!!」

 空中なのにズリズリという効果音が着きそうな位な状態の私は引き摺られながら必死で助けを請うが、そんなことを聞く者は私を引き摺ってるけーね以外におらず、されるがままけーねの家に運ばれて行った。



――――――――――――



 それから人里の人達の手によってけーねの家の屋根が修復されるまでの間、私はけーねの身の回りの世話を無理矢理やらされる羽目になった。

 しくしくしくしく…………
















「そういえば他の所は結構被害あったのに書庫だけは大丈夫だったみたいね?」
「ああ、以前から結界を張ってたからな。それのお陰で被害無しだ」
「…………だったら家全体に結界を張ってたらよか」
「なあぁぁぁぁんにも聞こえんぞおぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 …………忘れてたなこのけもけーねは…………



 終われ
リグルは俺の中では既に男の子なアルト・フリューゲルです。お久しぶり。

今回は永夜抄EX詠唱組クリア記念で全て、即ち永夜抄の一件が全部終わった後のお話を書いてみました。
正直な話、書きたかったのは泣符「たすけてえーりん」とリグル=男の子ですが……。

しっかし……何だろう。妹紅と輝夜の2人の掛け合いに既視感を感じるのだが……(沈思黙考)




ああそうか、俺にとって妹紅と輝夜はス○イヤー○のリ○とナー○な位置付けなんだ。胸のサイズは全く逆ですが。

因みに、リグチルがなぜ輝夜と一緒にいたかと言うと。

輝夜、永琳に内緒で永遠亭をこっそりと出る。
       ↓
途中で遠出してたリグチルコンビに遭遇。
       ↓
「私の手にかかれば紅白や白黒なんてちょろいもんよ!」なんてチルノの大法螺を輝夜は信じきって人間(妹紅)の殺害を依頼。チルノ承諾。
       ↓
リグルは反対するもチルノと輝夜に押される形で渋々承諾。
       ↓
レッツゴーと言うわけです。

輝夜は何となくリグチル並みとまでは行きませんが頭が弱い感じがしたものでつい……
ではではこの辺で失礼します。
次いつになるか分かりません(逃走


4/5 名無しさんから指摘された部分を修正しました。ほんっとすいません。
アルト・フリューゲル
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コメント



0.1420簡易評価
3.60玖薙削除
てか一連の流れを見て真っ先に浮かび上がったのがその二人組みでしたが、納得w
9.30名前が無い程度の能力削除
同じく スレイヤーズを思い出しながらよんでました
10.無評価名無し削除
まあ文体も神坂一風味で見事にスレイ○ーズですね。

一つだけ突っ込みを入れるとしたら
「馬三つ」ではなく「午三つ」です。
11.60TAK削除
なるほど、リ○と○ーガ…ぴったりかもしれません。
29.無評価名無し削除
ちょっくら指摘を
「けもけーね」は誤字では無いのですかね?