Coolier - 新生・東方創想話

歴史と闇の弾幕1

2005/04/04 08:46:49
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「うー、また食べ損ねた~」

そう呟いたのは、今日のごちそうにありつくチャンスを逃した宵闇の妖怪、ルーミアである。

今日食べ損ねたものは紅白の人間、いままで食べるどころか触れることすらままならない相手。

「何が足りないのかなー?」

今日の戦闘では符の順番を変えてみたのだが、いとも簡単に読まれてしまった。

というか、紅白の人間はこちらの攻撃を予測しているかのように回避し、強烈な一撃を打ち込んできた。

実力の差はハッキリとしているのだが、それでもルーミアは「食料確保」に挑む。

「よーし、次は食べやすい人間を食べるぞー」

傍から見れば作戦でもなんでもないのだが、ルーミアにとっては立派な作戦なのであった。





「すっかり日が暮れてしまったな」

そう言うと、上白沢慧音は日課となっている人里の見回りに出かけた。

妖怪の活動時間は夜。中でも人間と妖怪の活動時間が重なる夕刻は人間にとって最も危険な時間帯なのだ。

慧音はいつもの通り里をぐるっと一周し、危険の無いことを確認する。

もっとも最近では慧音の護る里に近づく妖怪は化けたてのほやほやなので、見回りは形式的なものになってしまっている。

里に近づく妖怪を片っ端から懲らしめたので、妖怪の間でも慧音の強さは知れ渡っているのであった。



「ふ~~ぁ」つい欠伸が出る。

「……、見られたか?」警戒の矛先を人間に向ける慧音。

幸いにも屋外に人の姿は見当たらなかった。こんな姿は人間に見せられないな、とひとりで真っ赤になる慧音。

「…今日の見回りはこれで終わるか」





「なにか来る」

とっさに身構える慧音。帽子を被り直し服装を整え、いつでも戦える体制をとる。

『何か』が向かってくる方角に集中し、殺気を発する。

この殺気だけで下級妖怪のみならず、それなりに格の高い妖怪も尻尾を巻いて逃げ出す。

寄ってくるのは身の程知らずかスキマ級かのどちらかである。

今回の『何か』は殺気をものともせず突進してきている。慧音もまた覚悟を決める。

慧音と妖怪との戦いは「ごっこ遊び」では済まされない、食うか食われるかの『戦闘』なのだから。





「お前が今日の招かれざる客だな」

「お客?そーなのかー」

宵闇の妖怪ルーミア、その実力は慧音も十分に承知している。

「お客なら、あなたを食べさせてくれる?」ルーミアは真剣に問いかけてくる。

「残念ながらそれは聞き入れられないな」無駄だと解かっていても、あくまでも丁重に断ると同時に最後の警告を発する。

そのやりとりの間、既に両者は戦闘態勢を整えていた。





「うーん、それじゃあ勝手に食べちゃうぞ~!!」

先に仕掛けたのはルーミアだった、初撃から[ムーンライトレイ]を放つ。

しかし慧音は全く動く素振りを見せない。あたかもこのレーザーが閉じないことを知っているかのように。

ルーミアも慌てることなく間合いを詰める。初めから接近戦を挑むつもりだったのだ。

レーザーによって狭められた空間に弾を一斉にばら撒く。単純だが有効度の高い攻撃。その上ルーミアにとっての全力弾幕。

慧音は決して易しくは無いその弾幕をかわす。決して焦らず、かつ正確に。精神力を温存しつつ敵の疲労を待ち反撃する、これが慧音の戦い方。

そして、その激しい弾幕に紛れるように高速弾を一発だけ打ち込んだ。

「当たんないー、うわっ!」

ルーミアがその言葉を発すると同時に吹き飛ぶ。慧音の弾をまともに食らったのだ。

慧音がそのチャンスを逃すが無く、すぐさま[ファーストピラミッド]を展開し追撃する。

パニックになっているルーミアは1発、2発、3発とたちまち被弾し落下してゆく。そして森に向かって落下していった。





「――勝ったか?」

慧音は息一つ乱していない。そして妖怪の退治を確認すべくルーミアの落ちた森へと向かう。

打ち込んだ弾の量からして、それは致死量には達していない。そのため敵の戦意喪失を確かめなければならない。

慧音にとって妖怪殺しと妖怪退治とは全くの別物、殺さずに済めばそれに越したことは無いのだ。

これで終わって欲しいという期待と戦闘が続くという不安を抱きながら、ルーミアの落下ポイントを確認する。




「よかった、帰ってくれたようだな」

そこには地面のへこんだ跡だけがあり、ルーミアは既にいなかった。







だが、その近くには破れた紅いリボンが落ちていた。



皆さん初めまして。初投稿となります

けーねはキモさだけじゃないッ、知的に戦う人なんだという脳内設定を元に書いてみました。
…スイマセン1回だけ続きます
刺し身
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