Coolier - 新生・東方創想話

裏・幻想入り

2010/10/14 00:43:05
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東方が大好きな諸君、君達へ一つの幻想を紹介しよう。
それは幻想郷にしてはあまりにも恐ろしく認識しがたい世界である。
故に、君達の幻想への認識を変える結果をもたらす恐れもあるだろう。





「ここはどこだ!?あ、ひょっとして幻想郷?イヤッフゥゥゥゥゥ!
これでかわいい女の子たちとちゅっちゅし放題だー!俺の人生☆薔☆薇☆色☆」


一人の男が幻想郷に入り込んでしまった。どこかで境界の歪みを見つけたのだろう。
彼が迷い込んだのは魔法の森。幻想郷では一番広い場所に当たる。


「かわいい女の子いないかなー。出ておいでー!」


男は自らの居場所を知らせるかのように叫ぶ。もちろんすぐには何も起こらない。
森は闇に包まれ、命の気配を感じさせない。





男の足音、声が森にただ響き、数刻の時が流れる。
そんな今は午前二時。


「はぁ・・・この森広いな。まあ出るまでの辛抱だ!ふふふ!」
「あなたは食べてもいい人類?」


背後からそんな声が聞こえた。


「その台詞はルーミアちゃん!はは!やったね!」


何の戸惑いもなく振り返るそこには、男の期待をはるかに越えるものが存在していた


「グチャァ・・・ギギ!」


それはどう捻じ曲げようと少女に見えない姿であり、認識するにはあまりにも衝撃の大きすぎるものであった。
金色の毛、全身を覆う硬そうな外殻、細長く割れたガラスのような赤い目、裂けたように大きな口、人間にしてはあまりにも長い腕、その先の三本の指に鉤爪、跳躍力のありそうな足。
歪な形は男の思考を一分も二分も停止させた。


「あ・・・え・・・?」
「あなたは食べてもいいのね?」


ルーミアは再び尋ねたが、男は何も話す事ができずにいる。


「いただきまーす。グ・・・ギジャアアアアア!」
「~~~~~!」


彼は泣きながら走った。ただひたすら一直線に。


「し、死ぬ!死にたくない!うわああああああ!」


そこにある選択肢は逃げる事。それしかなかった。
肺の苦しみも石を踏んで挫いた足の痛みも感じることなく必死に出口を探すのであったが、ルーミアは獲物が諦めるのを待っているかのように男の背後を追いかける。


「(出口!出口はどこだーーー!)」


そんな希望を受け入れるかのように、森の出口と人間の里が視界に入る。


「やっ・・・は、さ・・・えた・・・!(やった!里が見えた!)」


男は里に入るなりすぐに家の戸を開けて中に入る。


「たふけてくらはい!」


舌も回らず家の中の者に助けを求めるが、


「んん?ガジュ・・・ギィィ・・・」


家の中にいたのは、ルーミアと同じく歪な形の生物でしかなかった。


「うわああああああ!」


男は里中を走り回り助けを求めようとするが、誰もが背後のルーミアとそんなに変わらない。
皆が皆人間の姿をしていない。


「ひぃ・・・!ひぃ・・・!」
「わかるかしら?」


男の正面から、彼の知っているであろう姿が現れる。


「ゆ、ゆかりん・・・!」
「なぜこんな事になっているのか、あなたにはわかるかしら?」


それは少女の姿をした八雲紫その人であった。


「助け・・・」
「だめね。」


紫の断りと同時に背後のルーミアが男に手をかける。


「そんな・・・!」
「外の世界の常識は幻想郷では非常識になるの。わかる?」


紫は哀れむ目で男を見下した。


「え・・・」

「つまり、外の者たちが幻想郷の少女をあまりにも美しく描きすぎたのが原因よ。
そうなるほどここの少女たちは醜く恐ろしい姿へと変わっていく。
幻想郷は知られてはならなかったのに、誰かがそれを漏らして外の人間達は幻想郷に思いを馳せる。
愚かね。あなたもそうなのでしょう?」

「・・・!」

「さらに人間が外で増えすぎた。そのせいでこっちには人間がいなくなったわ。霊夢も魔理沙も。
悔やむなら愚かな人類と自分自身を悔やみなさい。じゃあ、さようなら。」


紫はその場から姿を消した。


「いただきまーす・・・ジュル・・・グゥゥ!」
「ああああああ!」


必死に振り払おうとする男であったが、ルーミアの力は強く体を動かすことすらままならない。


「ジュアアアアア!」


ルーミアは男の両腕、両足を引き千切り、爪でおもむろに内臓をかき出す。
ブツッ!という肉の切れる音、グチャッ!という内容物の掻き出される音が里に響く。


「っ~~~!」


痛みさえ感じなくなるような強い恐怖が走り、恐怖の虜となった人間はそのまま彼女の糧となった。





「浅墓な人間が幻想入りしようなんて思わない事ね。
ちなみにさっきのは嘘。彼のような人間はこうやって別の幻想郷に送ってあげるのよ。
心の穢れなき者にしか本当の幻想郷は待っていない。
後悔するがいいわ。そこの貴方もね。」
初めて小説を投稿しました。
文章を作る事は苦手ですが何か形にしてみようと思い書いてみました。
あまり人の考えないようなジャンルをと思った結果がこれです。
読んでいただければ幸い、楽しんでいただければヘブン状態です。
サンティラ
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コメント



0.1560簡易評価
1.70名前が無い程度の能力削除
ご都合主義とか短すぎて話に入り込めないとか言いたいことは色々あるけど
結構おもしろかった
2.70名前が無い程度の能力削除
オチまでがちょっと早すぎたかも
逃げ回った果てに真相を知る感じの方が良いかも知れぬ
3.無評価名前が無い程度の能力削除
サイレントヒルの裏世界をイメージした。
幻想郷に表と裏があっても不思議じゃないぜ。
8.100名前が無い程度の能力削除
発想がおもしろい
これからもがんばってください
11.90奇声を発する程度の能力削除
ほう、これは中々…
13.60名前が無い程度の能力削除
と、トワイライトゾーン…
19.100名前が無い程度の能力削除
いいよ~斬新だね
そして東方信者ぷぎゃ~
かくいう俺も幻想郷行くとしてもきっと裏だな。。
20.100名前が無い程度の能力削除
紫の説明にあっさり納得してしまいました。
幻想はやっぱり幻想でしかないのか…
21.100名前が無い程度の能力削除
たぶん自分も裏・・・
22.90名前が無い程度の能力削除
心の穢れなき者にしかってことはつまり、行くとしたら皆裏ってことかw
24.90名前が無い程度の能力削除
色々気にはなるものの、話のプロットが面白いですね。
文章が何とかなればまだまだ面白くなりそうなので期待
27.80爆撃削除
悔しいながらも意外と面白かったです。まさに裏幻想入り。
どこか童話のようなノリがいいですね。
せっかくだから、その異様な生物をもっと具体的におどろおどろしく描いてほしかったかも。
28.90名前が無い程度の能力削除
短いけれど引き込まれました。アイデアの勝利です。この発想を下敷きにした長編が読んでみたい。
いや、しかし出来上がったものが東方SSと呼べるのかは疑問ですが。
30.80v削除
さっくりと刃物が刺さる話っすな……
ユニコーンだなぁ、幻想郷というか紫はんは。
32.80コチドリ削除
あきらめるのはまだ早い。
外の世界の常識は幻想郷では非常識? ならば逆もまた真なり。己の非常識を更に磨き上げるのだ。
心の穢れなき者にしか本当の幻想郷は待っていない? ならば常識・非常識の彼岸を超えて賢者に至るのだ。
俺? 表だろうが裏だろうが紫様が紫様ならば何の問題も無し!

あ、初投稿おめでとうございます! とって付けたようでゴメンね!
36.90名前が無い程度の能力削除
この考え方は面白いなあ
外の世界の非常識=幻想郷の常識という設定の元に書いたものだと考えればスっと読めた
心が穢れてなければこそいける幻想郷ってことはメリーなんかもそうなるのか
38.50名前が無い程度の能力削除
ピュアな心の持ち主でないと入れないんですね、わかります。
ゆかりん本人が受付してくれるならそれでも……
41.40名前が無い程度の能力削除
何をもって「穢れ」なのか・・・
まあ、このゆかりんの主観次第という話ですね。
42.80zody削除
俺は幻想入りしたら、女の子よりも魔法の使い方を勉強する。弾幕を使えるようになりたい!女の子はそれからでも遅くない!弾幕はパワーだぜ!
60.90名無し削除
人生を謳歌してからかな、幻想郷へ行くのは…。(あ、これも裏に入る類かな…?)