秋の初めは雨が多い。
梅雨と同じようなもので、それは秋雨と呼ばれるらしい。
私は一週間ほど引きこもって魔法の研究をしていた。
引越してきてまだ数ヶ月の魔法の森の新居。
香霖に教えて貰った空き家なのだが、元々は魔女が住んでいたという曰くつきの場所で、新たに魔法使いとして活動を始めた私にとってはぴったりの住処だった。
そこいらに生えているキノコは食べられはしないが、魔法の研究材料としては涎が出るようなものばかりだったのだ。
研究は思ったように進まず、最後には徹夜、飯抜きでキノコと自分の文字とにらめっこの作業の繰り返し。
一段落して外に出た時も、周りの様子なんかほとんど気に止めてなかったし、空を見上げることもしなかった。
日が暮れるのが早くなったな程度にしか考えなかったのだ。
外に出てすぐ箒を香霖の所に置き忘れた事に気づいても、後で取りに行けばいいやくらいにしか思っていなかった。
「やれやれ面倒くさいな」
魔法の森から人里への薄暗い道を一人歩く。
箒で飛べば一瞬の距離も、歩いて行くとなると一苦労だ。
先に香霖の店に箒を取りに行くことも考えたのだが、今の私には人里に行くことのほうが優先だった。
何故かというと、今猛烈にぎゅるぎゅると音を鳴らしている腹のせいである。
そう、私は腹が減っていたのだ。数日間ほとんど食べてなかったから、当たり前といえば当たり前なのだが。
とにかく何でもいいから食べたかった。
いや、何でもというのは嘘だ。
正確に言えば人里にあるうどん屋のうどんが食べたかった。
何故うどんかと問われると……まあ理由はいくつかある。
まず寒くて温かいものが食べたかったということと、半分寝ていた時に書いた文字がうねうねしていてうどんみたいに見えたせいだ。
初めは別にどうでもよかったのだが、一度意識してしまうともうそれしか考えられない。
うどんうどんうどん。
うどんが食べたい。
「……ん」
そんな事を考えながら歩いていると、ぽつぽつと水滴が落ちてきているのに気づく。
「雨か……」
少し前から降り出していたらしく、帽子の縁を触るとしっとりとしていた。
駆け足で道を進む。
すると私の速度に比例するかのように、雨の勢いが強くなってきた。
「くそっ、まずったぜ」
雨の勢いはますます強くなっていく。
この季節の雨は最初の勢いが強く、そのうえやたらと長く続くのが特徴なのだ。
びちゃびちゃと土と水を跳ね立てながら走る。
水に浸かった靴の感触が気持ち悪い。
「うひょー! ひゃー! つめてー!」
そんな感触を誤魔化すために、変に声を上げて気分を高めて走る。
「あひゃー! ……っと」
人里の灯りが見えた頃には私はすっかり濡れ鼠になってしまっていた。
スカートの裾からはぽたぽたと水滴が零れ落ちている。
「……少し休むか」
こんな状態じゃ飯どころではない。
私は民家の軒下に入り込み、服の裾を絞った。
水たまりに幾重にも波紋が広がっていく。
取りあえずミニ八卦炉を出して服を乾かそうとしたが。
「あれ?」
触れるべきそれが、ポケットの中には無かった。
帽子の中を覗いてみても、どこにもない。
「……ああ、今香霖のとこだっけか」
霧雨の家を飛び出し、新しい家での生活をする事に決めた私に香霖がくれたミニ八卦炉。
小さいが火力は高いし、家事に暖房になんでもござれ。
実用性の非常に高い香霖作にしては素晴らしい道具だった。
しかしそのミニ八卦炉にうっかり実験中の薬をぶちまけてしまい、ぼふんと白煙を立てた後動かなくなってしまったのだ。
持って行ってそれを伝えると、水に強いものを混ぜて強化しようというので、一旦預けることにしたのだ。
サービスで他にも何かつけようとも言っていた。
気分を良くした私は、景気付けに一杯と持ってきていた酒瓶を空けた。
その酒は修理代として持っていったはずなのだが、ほとんど私が飲んでいた気がする。
そして酔いどれ千鳥足で帰った挙句、ミニ八卦炉のこともホウキの事も忘れていたと。
酒は怖いな、うん。
「……ふう」
仕方なしにと立ったままでしばらく休む。
呼吸も落ち着いてきたが、雨は相も変わらず降り続けているし、止む気配は無い。
民家の中からは、あはははと笑い声が聞こえた。
「……腹減ったなあ」
お腹を撫でる。
姿にこだわっている場合ではないか。
なにせこの雨だ。濡れた客が入ってきたとて驚かないだろう。
あまり遅くなってしまうと店が閉まってしまう。
「よしっ」
私はうどん屋へ向けて駈け出した。
幸いにも、まだ店の光はついている。
扉をがらがらと開けると中には数人の客がいた。
客たちは一瞬私へ視線を向けたが、さほど関心はないようで再びうどんをすすり出す。
少し私は安堵した。
「……いらっしゃい」
奥からあまり元気のない店員が顔を出す。
「ええと……」
何を頼んだものだろう。
シンプルなうどんもいいが、やはりここは天麩羅を乗っけてた天麩羅うどんか。
きつねうどんも捨てがたい。
いっそのこと、たぬきときつねを混ぜあわせてしまおうか。
ミニ八卦炉があれば、餅でも焼いて力うどんにするのだが。
「……ミニ八卦炉?」
考え事をしていてあることに気がついた。
私はさっきミニ八卦炉を探した。その中で、手に触れるべきはずのものが無かったのだ。
嘘だろう? 私は心のなかで呟いた。
スカートのポケット。帽子の中。秘密の隠し場所。
「……ははは」
力無く笑う。
ああ、私はなんと愚かなのだろう。
財布が、無い。
雨の中を必死で走って来て、店の中に入って、初めてそんな事に気付くとは。
「どうかしましたか」
そんな私を、変な物を見るような店員の視線。
居心地が悪い。
「ああ、いや、店を、間違えた、ぜ」
かろうじてそう言葉を発し、私は逃げるようにその場を出た。
「……しくったな」
どうしたものだろうか。
財布もない。雨も降り続けている。腹は減ったままだ。
あまり人里に長居をすると、霧雨の関係者に見つかってしまうかもしれない。
またあいつの顔を見るなんて真っ平御免だった。
雨除けにもぐりこんだ木の下。
思わずその場にうずくまってしまう。
水に濡れた衣服が重い。
体も冷えてきて、がたがたと身震いをしてしまう。
「いや、何かあるはず、だ」
財布は無いとしても、小銭か何か。
「あるんだ、きっと」
さっき、探したときは何も見つからなかったのに。
脳がそれを理解することを拒んでいた。
それを認めてしまったら、余りにも自分が惨めすぎて。
「……」
探している中でくしゃくしゃに丸まった紙を開く。
「お」
見辛くなっていたが、なんとか読み取ることができた。
引換券。
饅頭屋の無料引換券だった。
「饅頭か……」
腹が減っている今、餡子の甘さはたまらなそうだ。
想像しただけでごくりと喉を鳴らしてしまう。
救いの手とはまさにこのこと。
饅頭で我慢しよう。
「待ってろよ饅頭!」
私は頬を叩いて気合を入れ、再び雨の中を走りだした。
「……は」
饅頭屋は何も悪くはない。
私が、来るのが遅かっただけなのだ。
『本日の営業は終了しました』
かしゃ、かしゃ。
扉に触れても、硝子の揺れる音が響くばかり。
雨はざあざあと降り続けている。
「……」
私は水たまりの広がる道を引き返した。
ぽたり、ぽたりと帽子の縁を水が零れ落ちる。
服が、体が重い。
何をやっているんだろう、私は。
こんな雨の中、一人で。
馬鹿みたいだ。馬鹿だ。大馬鹿野郎だ。
「……っ」
なんで。
なんでこんな。
なんでこんなつまらない事で私は。
「……ひっく、ぐすっ……」
誤魔化すように走りだす。
ぱちゃぱちゃっ!
泥が跳ね、衣服がぐちょぐちょに汚れていく。
「……う、ううっ」
情けない。
なんで、なんで。
泣くんじゃない、こんなことで。
泣いちゃ……
べちゃっ!
泥水の中に、私は前のめりで倒れたようだった。
口の中に、苦い砂利が入り込んでくる。
「う、ううう……う……っ! ひっ……えぐっ……ぇうぅっ……」
それから先の事はあまり覚えていない。
私はぼろぼろ泣きながら歩いて、歩いて。
気づいたら、そこにいた。
「……香霖」
涙は止まっていたが、もう一度顔を拭う。
香霖堂も既に灯りは消えていた。
こん、こん。
控えめに店の入口を叩く。
こんな音じゃ聞こえないだろうに。
「裏口から入ろう」
合鍵の場所も知っているし、勝手に入っても香霖は怒らないだろう。
私は入り口から離れ、裏口に向かうことにした。
「誰だい、お客さんかな」
「っ!」
瞬間、入り口のほうから聞こえた声に慌てて振り返る。
店には灯りが灯く。
「こんな時間に来られるのは少し困るが、客なら大歓迎だよ。それとも……」
私は、香霖の声を聞いて。
「魔理沙かい?」
名前を呼ばれて。
「……香霖」
「どうしたんだい。その格好は……」
そいつの顔を見た瞬間。
収まっていたはずの感情が、再びぶり返してきた。
「香霖……こう……うっ……えぐっ……」
「……とにかく、中に入るんだ」
香霖は私の頭から帽子を取り、ぐいと肩を引き寄せ店の中に入れてくれた。
「丁度整備が一段落したところでよかったよ」
「むぐっ! あむっ! はふはふっ!」
ミニ八卦炉の火力で沸かした風呂に入り軽く体を洗い、汚れた衣類と交換で香霖の服を着る。
風呂から出て待っていたのは温かいスープとおにぎりだ。
私はがっつくようにそれを食べていた。
「むぐむぐ……むぐっ!」
「スープもちゃんと飲むんだよ」
「んっんっ……ぷはっ!」
美味い。美味い。
それ以外の感情が出てこなかった。
「初めて君がここに来た日も同じような事をした気がするよ」
「……そうだったかな」
あまりよく覚えていない。ついこの間の事だというのに。
「落ち着いたかい?」
「まあ、なんとか」
腹は膨れ、体もぽかぽかと温かい。
「どうせ徹夜で魔法の研究でもしてたんだろう。睡眠も食事も欠けると心が不安定になるものなんだ」
「……まあ、だいたいあってる」
徹夜に寝不足で、ろくに何も食べていない空腹の状態。
そんな状態だったから、あんな些細なことで心が大きく揺さぶられたのだろう。
人里での失態は、あまり話したくなかった。
「僕は半妖だからいいけれど、魔理沙はそんな無茶をしてはいけないよ」
「次は気をつけるぜ」
「そうして貰えるとありがたいね……ああ、そうだ」
香霖は思い出したように立ち上がり、奥の方へ向かった。
「忘れていっただろう、これ」
戻って来た時に持っていたのは私の箒だ。
「ついでだからこっちも整備しておいた。前より飛びやすくなっているはずだよ」
「そっか、ありがとな」
ミニ八卦炉を仕舞い、箒を傍らに置く。
「……あー、でも私今金持ってないんだが」
私がそう言うと、香霖は大きくため息をついてそれから苦笑いをした。
「しょうがない、ツケにしておくよ」
その瞬間、私は思った。
ああ、私は酷くこいつに甘えているんだなと。
私の我侭を、香霖はすんなりと受け入れるのだ。
「なんていうか、悪いな、香霖」
今度は私が香霖に食事を作ってやろう。
そんなことを考えながら謝罪の言葉を言うと香霖は目を丸くしていた。
「珍しいね、どういう風の吹き回しだい」
「うるさいな、なんとなくそう思ったんだよ」
「それはいい心がけだね」
「……ああ、もう」
どうにも調子が狂う。
こいつは私が言わない限り、何故泣いていたのかも聞かないだろう。
単に興味が無いだけなのかもしれないが。
香霖はニブチンの癖に妙なところで鋭かったりするのだ。
「しかし備えあれば憂いなしとはよく言ったものだ。準備をしておいてよかった。もしかしたら魔理沙が来るんじゃないかと思っていたんだ」
「えっ」
そんな事を考えていたので香霖の言葉にぎょっとする。
「一体どういう事なんだよ」
「まず先に説明しないといけないね。名前というものは非常に重要なものなんだ。名前はその人、そのものに大きく影響を与える」
「前にそんな話を聞いた気がするぜ」
いつだったかはあまり覚えていないが。
「そしてこの時期の雨は秋霖と言う。長く続くのが特徴だね」
「しゅうりん? 秋雨じゃなくてか?」
「意味は同じだね。まあ色んな言い方があるって事だよ。ちなみに霖の字は僕の名前の霖だ」
僕の霖の字はそういう意味でつけたんじゃないけどね、と苦笑いをする。
「魔理沙の苗字、霧雨。属性としては同じだね。全身が秋雨で濡れたから、秋雨魔理沙というところかな」
「全然上手くないぞ」
「いや、雨に濡れて秋雨魔理沙になったから強く影響を受けたんだよ。天候というのは心の動きを比喩するのによく使われるだろう?」
どうやらまた香霖の悪い癖が始まったらしい。
割と、しょっちゅう、こいつはとんでもない理論を引っ張り出してくるのだ。
そういう話を聞くのは、まあ嫌いではないのだが。
「晴れは晴れ晴れした気分。曇りは憂鬱な、曇った気分。そして雨は悲しい気分の比喩に用いられる」
「そうだな」
「それは季節も同じなんだ。秋はどんな気分だと思う?」
「どうと言われてもな……」
食欲の秋、芸術の秋、スポーツの秋。
秋と言われると色々なイメージがありすぎて、まとまりがなかった。
「秋は変化の季節だと僕は思っている。木々は緑から赤や黄色に葉の色を変え、果実を宿す。天気もころころと変わり易い。変わりやすい喩えとして乙女心と秋の空ということわざがあるくらいだ」
「乙女心は複雑なんだぜ」
「とにかく、秋は気分も変化しやすいということなんだよ。乙女の方が秋という季節の影響を受け易いのかもしれないね」
「ふうん」
確かに秋が変化が多い季節だというのは納得する。
夏と秋とで森の景色は全く異なるものになるのだ。
「変化の季節、秋。そんな中に降る雨の持つ、悲しいという基質。この二つの要素を体に直接受けた魔理沙は、文字通り酷く悲しい気分に変化してしまったというわけさ」
「今までそんな事なかったけどな」
「普通の状態ならね。先に言っただろう。睡眠も食事も欠けると心が不安定になる。そういう影響を受けやすくなるんだ」
「……なるほど」
確かに睡眠不足や何も食べてない時は感情の起伏が激しくなる。
「そこを通り越してしまうと、今度は何一つ感じなくなってしまって余計まずい状況になるから気をつけなくてはいけないね」
「肝に命じておくぜ」
あんな状態になるのはもう懲り懲りだった。
「さて話を少し戻すが……秋雨は秋霖ともいう。さっきも言ったとおり、僕の名前にある字だ。秋雨魔理沙と森近霖之助。同じ属性同士、惹かれあったんだよ。顔見知りだから特に強くね」
「……惹かれあったね」
私は本当に無意識に、ここに来ていた。
「しかし僕は君と違って秋雨の影響を強く受けなかった。何故だと思う?」
「そりゃ香霖が半人半妖だからなんじゃないか?」
「それも要因のひとつかもしれないが、最大の要因は予め秋の変化の基質を中和していたからだよ」
「中和?」
「そう。魔理沙、君も中和をしたから今は普通の状態に戻っているんだ」
「中和ったって風呂入ってご飯を食べただけだが……」
そういえば、スープの中に妙なものが入っていた気がする。
「これは大陸から伝わった食べ物らしいんだが、名前が独特でね。これを体に取り込むことで秋を中和したというわけさ」
香霖はそう言って、鍋のスープから細長いそれを箸で取り出してみせた。
「春雨。名前の由来は文字通り、春に降る細い雨。つまり春の力で秋を中和したんだよ。秋雨魔理沙から春雨魔理沙になったんだ」
「はは、くだらない。ただの駄洒落じゃないか」
あまりにくだらなすぎて笑ってしまった。
「しかし今、魔理沙は笑っただろう? 春は陽気。明るい気分になるんだ」
「単に腹が膨れたからだぜ」
しかしまあ、こいつの言うことも多少は合っているような気分にもなる。
「香霖の言うことが合ってるなら、私は霧雨である限り秋の影響を少なからず受けるって事じゃないか」
「多かれ少なかれ人は周囲の影響を受けるものだよ。それとも、森近魔理沙にでも改名するかい?」
「そういう安易なのは勘弁願いたいね」
森の近くに住んでいるから森近。ああそうだ、こいつは昔から言葉遊びというか洒落が好きだったのだ。
「はは、ははは」
それがやたらとおかしくて、笑ってしまった。
こんなに仏頂面なのに、そういう遊びが好きだという奇妙な感じ。
「まさに乙女心と秋の空だね」
笑い出した私を見て香霖はしてやったりという顔をしている。
「あははは、面白くもなんとも無いぜ」
「言葉と表情が一致していないな」
「うるさいな」
私は香霖としばらくなんの中身もない下らない話を続けた。
「あはは……ふあぁー」
そしてひとしきり笑うと、急に眠気が襲ってきた。
「食欲が満たされ気分が落ち着けば眠気がやってくる。今日は家に泊まっていくといい」
「そうさせてもらうかな……」
雨はまだ止む様子も無いし、この眠さじゃ何かを考えるのも面倒だった。
「布団を敷いてくるから待っていてくれ」
香霖がいなくなり、一人になるとますます眠気が強くなる。
寄りかかり、目を閉じると一瞬で意識が溶けていった。
「……理沙、魔理沙」
香霖が何か言っているようだが何もわからない。
「やれやれ、仕方ないな」
香霖が、私の体を担ぎ上げたようだった。
ふわふわとした心地良い温かさの中、ぽつりと呟く香霖の声が聞こえた。
「やっぱり魔理沙は笑っている方がよく似合う。君が笑っていると僕も嬉しくなるよ」
「っ!」
瞬間、一気に意識が覚醒し飛び起きそうになったところで、私の頭を香霖の手がわしわしと撫でた。
「おやすみ、魔理沙。明日はきっといつも通りの魔理沙だ」
「……」
私はぎゅっと目を瞑っていた。
あまりに強く瞑りすぎて気づかれやしないかと思ったが、すぐ間近でふぁさりと布団を被る音が聞こえた。
しばらく待ってからうっすらと目を開くと、すぐ真横に香霖の背中が見える。
こいつ、なんで今日に限って私と同じ部屋で……
「……」
急に、さっきまでの会話が頭に浮かんできた。
魔理沙が来るんじゃないかと思っていたんだ。
同じ属性同士、惹かれあったんだよ。
やっぱり魔理沙は笑っている方がよく似合う。
「……ああ、もう」
小さく呟く。
あいつはそんなつもりで言ったんじゃないのはわかっている。
同じ部屋で寝ているのだって、どうせ掛け布団が一枚しか無かったとかそんな理由だ。
だが、私は実感してしまったのだ。
私は香霖を頼りにしているということを。
香霖の事を……
「……」
心臓がばくばくしている。
そういえば今私は香霖の服を着ているのだ。
急に恥ずかしくなってきてごろごろと転がりたくなる。
が、隣に香霖が寝ていてはそれも出来ない。
本当にこいつは、タイミングがいいんだか悪いんだか。
あー、うー。
敢えて香霖の言葉を借りるならばだ。
気づいてしまったのは、きっと影響を受けるものを食べたせいなのだろう。
「……何が森近魔理沙だよ、馬鹿」
人は言う。
恋に気づいた時。
春が来た―――と。
ちんまい魔理沙可愛いよ
俺には来なさそうだな。
自分の中では魔理沙は箒を魔法使いのポーズとして携帯していて実際は箒無くても飛べるんじゃないかと思ってます。
勝手ながら。
俺達の春も来たんだ
魔理沙の春も実を結ぶさ
そして、内面はしっかり少女な魔理沙が可愛いかったです。
ドキ魔理ですわ 冥途蝶
(いろんな意味で)ごちそうさまです
ひゃっほーーーーい!!!
楽しく読ませて頂きました。
しかし実際何歳くらいで勘当されたのでしょう。
現年齢や香霖堂の記述を見ると10歳くらいには魔法の森で独り暮らししてるっぽいですが。
なんて言ってしまっている霖之助が・・・
お前! ちゃんと責任持てよなっ!