※このお話は何となく『紅魔カレー』の続編みたいなお話です。先に読んでいただかなくても特に問題はありません。
じゅわ~~……
油の中から揚げあがったパンは、おいしそうなにおいを放っていた。
「良しッ…… ディ・モールト ディ・モールト(非常に 非常に)良いわ…… 良く学習しているっ……」
それを形がくづれないように一つ一つ慎重に網の上に上げていく。
古明地さとりはエプロンで手を拭い、手元の本に目を移した。
香霖堂で買ってきた本はカレーパンの専門書であった。外の世界の料理の本だ。ごく薄い冊子の様な本だが、写真と図入りでカレーパンの作り方がかなり分かり易く載っている。
「ベネ(良し)」
レシピ通りに作ってみたカレーパンは見事な輝きを放っていた。
さとりはにんまりと笑みを漏らす。彼女がこんなことをしているのにはもちろん訳があった。
『今年も龍神祭開催・郷の各地で準備始まる』
異変の後、地底にも届けられるようになった天狗の新聞は、地底に多くの新しい情報をもたらしていた。
それに伴い地上と地底の行き来も、少しつづではあるが出来る様になってきている。以前では考えられなかったことだ。
地霊殿。テラスの窓ガラスには、館の主・古明地さとりの決意に満ちた表情が映し出されていた。
『龍神祭本会場・夜店行列出店者募集!!』
彼女は手にした新聞の文句にもう一度視線を落とす。
今年も人里で龍神祭が開かれるのだ。幻想郷にとって龍神祭は夏の終わりを締めくくる一大イベントである。その本会場である人里では、毎年大規模な夜店行列が開催されるのだが。。
(今年は私達地霊殿も祭りに参加してみてはどうでしょうか!)
さとりに思い切ってそう切り出したのは、彼女のペットの火焔猫燐だった。
地上の何らかのイベントに参加すると言う案は、さとりもずっと前から考えていたことではあった。あの異変以降、地上と地底の交流をもっと盛んにする為のアイデアは、彼女の中の大きな課題であったのだ。
お燐やお空は異変以来、もう頻繁に地上に行き来していた。最近では彼女自身も妹のこいしを伴って、吸血鬼の館に遊びに行くようになっていたりするのだ。頃合としては悪いタイミングでは無いと思う。
「お姉ちゃん!」
不意に背後で明るい声がした。さとりは笑みを浮べて振り返る。
部屋の大きな扉の前で、いつの間に来たのか、妹の古明地こいしが上機嫌の表情で立っていた。
「どうしたの? こいし」
こいしの後ろでは戸が半ば開かれていた。その影から彼女のペット達が山なりに重なってこちらを覗き込んでいるのが見える。
「いまね。皆と話してたの」
「お店のことかしら?」
さとりは柔らかな笑顔を作る。龍神祭に参加するという意見は、地霊殿の住民を狂喜させていた。彼女たちは何のお店を出すかと言うことで先程から食堂で「作戦会議」を開いていたのだ。
「うん。それでね。なんとなくどうしようかっていうのは決まったんだけどね。皆がお姉ちゃんに聞いてみようっていうからね。だからね」
こいしのしゃべり方は要領を得ないことがままある。それでもお空ほどではないからまだマシだが。。
こいしはもじもじしながら懸命に言葉を繋いでいる。さとりはニッコリと微笑んでイスから立ちあがった。
今までずっと塞ぎ込んでいたこいしが、最近はさとりとも良く話をするようになってきていた。
それも地上の妖怪達との触れ合いのおかげであるのは明らかだ。わずかながら地上でも「友達」と呼べる妖怪もできている。この流れがこのままいい方向に進めばいい。異変以来、姉であるさとりの心にはそんな期待も日々膨らんできている。
「ゲームや出し物は向き不向きがあるので、今回はやめにしました。」
食堂でお燐がさっそくプランを書き込んだ帳面を捲りながら言う。心なしか声も上ずって楽しそうだ。
「だから食べ物にしようかって思ったんです。食べ物屋さんです。」
「やったー!」
お燐の提示した案になぜかお空が歓声をあげる。食べ物屋というのはなかなかいい。さとりは心の内で頷いていた。
「いや、お空さあ、まだ何やるかは決まってないんだからさあ」
「うにゅ?」
食べ物、料理と言うのは人との理解を繋げる上で重要な鍵の一つである。無意識であれ、彼女らはその結論を導き出していたのは素直に喜ばしいことだ。
「で、何の食べ物にしようかって話になってたんだけど……」
「そこでですね。地上では今どんな食べ物が好まれてるかっていう事をみんなで考えたんです。」
「カレーとか!」
こいしは両手を広げた。ああ、カレーは以前大変なブームになったことがあった。いまでも余韻が続いてるくらいだ。
地霊殿でもさとりが自ら腕を振るってカレー屋を始めたものだ。その時は地上から魔理沙と咲夜が一番乗りで食べに来たっけ。
「じゃあカレー屋さんをするのかしら?」
自分達がやりたいことではなく、地上の人たちのことを考えて店を決める。そう言う彼女達のやさしい心づかいが何よりもうれしい。お互いの交流を目的とするためには最も大切なことだ。
「でもいいんですけどねえ……それは一度やってますしねえ……」
お燐がそう言うと皆がう~んと腕を組んで首を傾げる。たしかに一度やったものはインパクトが少ない。なにかもう少し捻りがほしいものだ。
「コロッケやるっていうのはどうなったの?」
突然お空が不思議そうに言う。そう言うアイデアが出ていたのを唐突に思い出したのだろう。
コロッケは地霊殿の名物料理である。さとりが最も得意とする料理で、ペット達が最も喜ぶ料理でもあった。
「今のところ一番いいアイデアだよね!」
「こいし様はさとり様のコロッケ大好きですもんねぇ」
コロッケはいいかもしれない。何となく祭りに合っているようで、新しい様な感じもする。それに勝手の知ったものだ。
「コロッケねえ。いいかもしれないわね」
今のところあまり祭りに見合ったアイデアは出ていない様だ。コロッケが一番まともかもしれない。
「まあ、まだお祭りまで時間はあるわ。週末に人里で説明会があるからそこで色々聞いてきてもいいかもしれないし」
結局その日は夜まで祭りの話で盛り上がった。
こんなにペット達が楽しみにしてくれているんだから、是非とも成功させたいものだ。さとりはああでもないこうでもないと楽しそうに話合っている彼女達を見て心からそう願っていた。
龍神祭りの夜店行列は、多くの人妖の参加で今年も大いに賑わうだろう。人里で開かれた説明会に出席したさとりはその様子を楽しみに感じていた。
驚いたことがあった。説明会の冒頭で祭りを主催する稗田家の現当主と、「里の守護者」上白沢慧音から、地霊殿は特別ゲストとして紹介を受けたのである。
「今年は何と地底からも参加者が応募してくれた。紹介しよう。地霊殿の主・古明地さとり卿だ。」
慧音の紹介で名を呼ばれたさとりは反射的に立ち上がった。事前に申し込みをしてはいたがこのような扱いを受けるとは全く予想外のことである。
さとりは盛大な拍手で迎えられた。
会場からは其処彼処で暖かい歓迎の言葉が飛んだ。さとりは思っても見なかった反応に、ただただ頭を下げるのみだ。
「へ~。よかったじゃん。さとり」
隣に座っていた八坂神奈子が肘をついてにやにやしながら彼女を見上げていた。
「守矢ご一家はフランクフルト屋さんですか」
説明会の後、集会所の周りでは出てきた参加者達がお互い挨拶をしたり、情報交換をしたりと一時の即席懇親会がひらかれている。
会場の外で、さとりも他の参加者達と情報交換にいそしんでいた。
「ん~、早苗の希望でね。私はなんでもいいんだけど、面白そうだからね。」
「なるほど。とても新しい。ハイカラな感じがします」
「『特別ゲスト』様はコロッケかい? また地味だね~」
神奈子の傍らから鬼の伊吹萃香が遠慮なく茶化しに来る。
「まだ完全に決まりでは無いですが……最初は様子見です」
余裕の戻っていたさとりは萃香に流し目を送る。萃香は今年の夜店には「鉄球釣り」というビックリネタを用意していた。
「ほう……決定ではないのかい。どうしてだろうね?」
その横から顔を出すのは香霖堂店主・森近霖之介だ。
「色々な意見がありまして。まだ旨く纏まらないのです」
「あ~、あんたんとこのペット達ねえ。もめそ~」
神奈子はペット達の様子を想像したのだろうか。くしゃりと表情を崩し笑っている。
「まあカレーかコロッケかに分かれているのですけど。カレーは前にもやりましたので、ほぼコロッケで決まりかけてはいます」
ただ、予想外だったのはカレー屋もコロッケ屋も、他に2,3店舗出す人がいたと言う事だ。カレーについては誰かが出すだろうと予想はできていたが、コロッケ屋がこんなに出ているとは思わなかったのである。さとりがそれを言うと萃香は大いに頷いていた。
「あたしも意外だったけどコロッケは里の肉屋の持ちネタだったわ。毎年数件見かけたような気がする」
「……ふむ。では『カレーパン』というのはどうだろう?」
腕を組んで考えているさとりの耳に森近霖之介の声がすうっと響いた。
「カレーパン? ですか? ……霖之介さん。それは何でしょう?」
さとりは霖之介に顔を向ける。彼の店にはしばしはお邪魔しているので、二人はすっかり顔なじみの間柄であった。
「ふむ。外の世界の食べ物でね。油で揚げたパンにカレーを入れたものだよ。おいしいカレーを作れる技術とコロッケを揚げる感覚をわかっていたら難しい料理じゃ無い筈だ」
「ふえ~? なんか美味そうなパンだなあ!」
霖之介の説明に萃香が歓声をあげる。さとりはカレーパンという聞いたことも無い料理の響きに何か引かれるものを感じていた。
「たしか店に外の世界のカレーパンの本が置いてあった筈だ。よかったら帰りに寄ってみるかい?」
霖之介はそういった後、「うん……たぶんまだあったと思う」と不安そうに視線を彷徨わせている。
「自分の店の商品ぐらい覚えておけよ~」
そんな霖之介に萃香がちゃちを入れている。さとりはその様子を見ながら、心中ひそかな手ごたえを感じていた。ひょっとしたらこれはモノになるかもしれないと。。
――龍神祭り当日
人里の広場には所狭しと屋台が軒を連ねていた。いたる所から祭囃子の笛の音がこだまし、花火のように弾幕が夜空に上がっている。
龍神像の広場では大きな櫓が組まれ、その周りもたくさんの屋台が囲んでいた。
「さ~あいらっしゃい! いらっしゃい! 鬼の鉄球釣りだよ~!!」
「霊験あらかたなる御柱フランクフルトはいかがですか~? 40cmを超える超巨大フランクフルトですよ~!」
屋台はどれも多くのお客さんで賑わっていた。
人間・妖怪・妖精・神・仏に至るまで、みんな様々な工夫を凝らした屋台を思う存分楽しんでいる。
賑わいが最高潮に達する会場の中で、ひときわ寂しく静まり返る店舗が1つだけ存在した。
『地底発! コクと香りの古明地カレーパン!!』
ペット達が作った派手な看板の下で、地底の面々は沈んだ面持ちで周りの賑わいを眺めていた。
「ぬぬぬぬ……」
さとりの傍らでお燐が唸る。彼女は最初こそ威勢よく客引きをしていたが、さっきからはもう唸ってばかりだ。
夕方、閻魔による夜店行列の開始の宣言から、今に至るまで一人もお客さんが訪れていない。
カレーパンという、どこにも無い新しいアイデアを引っさげて意気揚々とやってきた彼女らは、今や完全に会場の中で浮いた存在になってしまっていた。
「うにゅ~……」
火力担当のお空はたまりかねて天を仰ぐ。開始からパンは1個も売れていないため、お空もやるべき仕事が無いのである。
(参りましたね……)
さとりは一人、心の内で苦笑していた。
さっきから店の前を遠巻きに通りかかる人間達や妖怪達の心の声が、彼女には見えていたのだ。
(あ! おいしそう! ……でも……行きにくいなあ……)
(うわあ……あれが地底の妖怪達か~ ……おいしそうだけどちょっとなあ……)
地底の妖怪という一種異世界の住民である彼女達に、地上の人妖達はどう接していいか分からないのである。
考えてみれば無理も無いことだ。地底と地上の交流が開かれたとはいえ、それはつい最近の出来事なのだ。郷の多くの人妖達は地底の事などほとんど知らない。声をかけづらいのは当然と言えた。お互いを知るにはある程度時間が必要だと言うことも、また事実なのである。
「お客さん……こないなぁ……」
さとりの側でこいしがぽつりと呟いた。心の目を未だ閉ざしている彼女が「手伝いたい」と言い出したことに最初は驚いたが、彼女の懸命な嘆願にさとりは屋台への同行を許していた。今回はちょっと残念な結果になってしまったが、何事も経験である。こいしがたくさんの人が集まるこの会場に「自分の意志で」やってきたということも、また大きな一歩なのだから。
「そうねえ…… でももうちょっとがんばりましょう。なんたって初めて来たわけだし勝手が分からないのも仕方ないわ」
さとりはそういって皆を励ます。
通りかかる人は、皆内心では興味を持っているのだ。遠目で食べたそうにこっちを見ている河童もいた。このなんとも言えない微妙な距離感が、実際の地上と地底との距離と考えていいのかもしれない。
「あ! こいしちゃんだー!!」
聞き覚えのある明るい声が聞こえたのはその時であった。
「フランちゃん!?」
こいしが指差す方を見ると、なんと紅魔館のフランドール・スカーレットがこっちに向かって駆けて来ているではないか。こいしの一番の親友とも言える地上の妖怪である。
「フラン??」
さとりは驚いてフランドールの姿をまじまじと見る。こいしと二人で紅魔館にお邪魔するときはしょっちゅう会っているが、こうして館の外で彼女の姿を見るのは初めてだった。
(まさか……?)
フランドールの後ろでは見慣れた紅魔館の面々がその後について来ていた。姉のレミリア、客分のパチュリー、メイドの咲夜、小悪魔までいる。門番の紅美鈴は肉まんの屋台を出していた。向こうの店舗で、今も行列で賑わう店を残像が残るほどの驚異的な身のこなしで一人でやりくりしている。
「フランちゃ~ん!!」
こいしは屋台を飛び出してフランに抱きついた。外でこうして会えるのがよほどうれしいらしい。その後ろでレミリアが片目をつぶって手を振っている。
どうやらフランドールもまた今日初めて館の外に出たと言うことらしい。
「こいしちゃんとお姉ちゃんも屋台だしてるんだね!」
フランは自分のことをお姉ちゃんと呼んでくれている。こいしとフラン、さとりとレミリアは同じような境遇と苦しみを味わってきた経緯があった為、彼女たちは家族ぐるみで深い付き合いがあるのだ。
「カレー……パン? パンのお店なの?」
フランはひとしきりこいしと外での出会いを喜び合った後、店の看板を見て興味深そうに言う。
「そうだよ! とってもおいしいんだよ!!」
こいしは両手を広げている。それを見てフランは「ねえ! 咲夜!」と後ろに居る咲夜に振り向いた。咲夜は微笑みながらサイフを取り出している。
初めてのお客さんだ。彼女達なら大歓迎。申し分ない。
「へえ~・。カレーと言えば私たちはうるさいわよ。私もひとつ頂こうかしら」 「おもしろそうね。わたしも頂くわ」
レミリアがそういうとめずらしくパチュリーもそれに同調した。結局料理の研究に熱心な咲夜も、乗り遅れたくない小悪魔もカレーパンを注文する。一気に5つもパンの注文が入ったのだ。
「はいよっ!」
それまで不遇をかこっていたお燐は生き生きとした表情で動き出す。お空も油のコンロにエネルギーを送り始める。
ジューーーー……
油が音をたてて沸き始めた。さとりはあらかじめ作ってきたパンに一つ一つパン粉をまぶしていく。
外の世界の本を元に作ったカレーパンに、さとりの一週間に及ぶオリジナルの研究成果を加えた物である。いわば地底の叡智を集結して誕生したパンと言っても過言ではないだろう。
お空が大きな金網を取り出した。その上にパン粉をまぶしたカレーパンが手際よく乗せられていく。祭りの前に何度も研究した手順だ。
「うわ~……!」
フランはわくわくした表情でそれを見つめる。後ろを振り向いてレミリアとさも楽しそうに笑い合っている。
ジュワ~~~~ッッ!!!!!
お空が網に乗ったパンを油に沈めると、心地よい音が辺りに鳴り響いた。レミリアの後ろで咲夜が驚いた様な表情を浮べている。
通りすがりの人妖達が、何だ?何だ?と覗き込んでくる。先ほどの河童もたまらず近づいてきていた。
「はいっ! 一丁あがりだよ!!」
お空が網を引き上げると、ふわ~んといいにおいが辺りに広がっていった。
「うわ~~!! おいしそ~~~!!!」
フランは喜びと期待で大きな歓声をあげる。気がつけば屋台の周りにけっこうな人ごみがパラパラと集まってきていた。
「はい、お待たせ。熱いから気をつけるのよフラン」
さとりは出来立てのパンを、先ほど暇な時間に散々折った紙に包みフランに手渡す。
「わあ~! わあ~!」
フランは湯気を上げるカレーパンを手にはしゃいだ。そのまま有無を言わさずそれにかじりつく。
「ん~~~~~!!! おいっし~~~~~~~っっ!!!」
口をもごもごと動かしながらフランは幸せそうな表情で叫んでいる。
「あわてないでゆっくり食べるのよ」
「だってお姉さま! ……ハフ! すっごくおいしいよ! ハフハフ……!」
喜んでもらってよかった。レミリアや咲夜達も自分のパンを手にしたまま、フランドールの喜ぶ顔に笑顔を浮べていた。
「これはさとりが作ったのかしら?」
レミリアはパンを舐めるように見ながらにさとりに訪ねる。彼女がペットたちの食事を作っていることをレミリアはもちろん知っているのだ。
「ええ、そうよ。どうぞ食べてみて」
紅魔館でかつてカレーの大ブームが起ったことは知っている。果たして自分の作ったカレー料理が地上の彼女らに通用するのだろうか?それはさとりの密かな挑戦でもあった。
「ふふん。カレーの王女様と呼ばれた私の舌を満足させられるとは思わないけれど……。いただくわ」
レミリアは不敵な笑みを作ったままカレーパンにかじりついた。咲夜やパチュリー達もそれに続いて次々にパンを頬張る。
サクリ……
「え?」
パンを口にした彼女達に一瞬「何!?」という表情が浮かんだ。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド………………!!!!
余裕溢れる彼女達の表情にみるみる戦慄が広がっていった。
「こ、これはっ!! ば、ばかなぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~!!!!!!」
レミリアが目を剥いて叫んだ。
「な? 何ぃぃいいぃぃ!!!?? ま、まさかぁぁああぁぁ~~~~~~~!!!」
次の瞬間、紅魔館のメンバーの驚きの叫びが一斉に龍神像広場に轟いた。
「うう……うぐぐぐぐ……そんな……ばかな……」
レミリア達は片方の手で口を必死に塞ぎ悶絶している。一見毒でも飲んだかの様な素振りに、お燐やお空は一瞬不安な表情を浮べる。
だが、さとりには分かっていた。見えていたのだ。彼女たちの心を瞬時に満たし、溢れ出んばかりの歓喜の波が!
レミリア達のちっぽけなプライドが、押し寄せる大津波の様な歓喜の濁流を必死に抑えようとしているのだ。
さとりはビシリと彼女らを指差しキメの言葉を告げる。
「おイキなさい!」
ぶちん! と何かが切れる音がした。
ぶ……!! ぼああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!!!!!
次の瞬間屋台行列の一角に歓喜の大噴火が起った。
「う!!うーーーー!!まーーーー!!!いーーーー!!!!ぞぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!」
「デ!!デリシャスファンタスティックーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
レミリアと咲夜は天に向かって歓喜のマグマを噴出させる。夜空に誰のものか特大の弾幕の光が弾けた。
「フ!!フレアドライブァァァァぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
「デビルサバイバァァァァアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!!!!」
パチュリーと小悪魔は全身から閃光のオーラを爆発させている。
「し! 信じられん!!! こ、これは何だ!!?? 何だというのだ!!!」
レミリアは齧りかけのパンをまじまじと凝視しながら叫んでいる。
「い、いまの音『サクッ』という音……!! こ、これはパンを喰う音ではない!!」
「何なの!? このサクサクとした歯ごたえ……!! そんな……これは……まるで……!!」
「コロッケですっっーーーー~~~~~ーーーーーー~~~~~~っっ!!!!!!!」
小悪魔が拳を突き上げて叫んだ。どっぱ~~ん!!とコロッケの波がその背後に現れる。
「いかにもっっ!!!」
そのコロッケの波に宝船にのった古明地さとりが現れる。体を反らし、腕を胸の前で組んだその勇姿は地底の王者の風格が現れていた。
「ばっばかなぁあ!!!!」
パチュリーが劇画調の濃い顔で叫ぶ。
「庶民の味方『ちゃぶ台の守護神』コロッケの技術を応用していると言うのか~~~!!!!!???」
第一の衝撃。最初の歯ざわり舌触りこそ料理の味の最大の導入部だ。
(そう……。それはほんの一瞬のただ一度の好機!この最初の一撃で料理のイメージは半分以上決まってしまうものなのよ……!!)
「こ、これは……!? 何と荒々しいパン粉なの!? このパン粉の為だけにパンを作らないとこんな特殊なパン粉は出来ない!それを乾燥させ、独自の方法で削り出したと言うのーーーーーー!!!!???」
咲夜は一瞬でそれを分析してみせる。その通り。こだわりのパン粉を得る為に、職人は「パン粉用のパン」を作ることはあまり知られていない。
通常のパン作りとは製法も発酵方法も異なるこれらの工程は、このパン粉を得る為だけに行われる。大変な作業量だ。さとりは「最初の快感」を得る為に人知れずこのパン粉作りにこだわっていたのだ!
サクリ……!!
レミリアの食べたパンの音が確かに辺りに伝わっていく。人ごみからどよめきが起った。
「ああ……ダメ……! 何てこと……!! 口が止まらないわ!! もっともっと!! 私の本能がこの食感を求め続けているというの……!!??」
パチュリーはまるで地獄の餓鬼のようにパンに貪り付く。その快感は一種の中毒症状を誘発する。二口三口と、この快感を得る為に口が止まらなくなるのだ。この衝撃は地霊殿の名物、コロッケのノウハウが十分に生かされたものだ。
そして間髪入れずに第二の衝撃が襲う。
「うおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
小悪魔は絶叫と共にパンの波に飲み込まれた。
「なんて柔らかいパンなのだ!? コロモのサクリとした食感とパンのふんわりとした温かさが見事にマッチしている!! いったい覚り妖怪はどこまで我々の心に入り込んでくると言うのか!? こんな快感から逃れる術なんてあるはずがないじゃないか……!!」
レミリアは充血する瞳を見開き一気に捲くし立てる。
カレーをコーティングするパンは、カレーライスで言うご飯に相当する。いわば準主役クラスの重要な役割を担っているのだ。
「何と言うこと!! 信じられない!! この食感はまるで図書館でフトンにくるまっている様よ!!! やめて!!! それに入ると私は抜け出せないのよ!!! でも体が! 口が言うことを聞かない!!?? いやあ~~~~~~!!!!!」
パチュリーはばくばくパンを食べながらフトンの渦にのまれていく。
パンは地霊殿に専用の窯があるほど地底の住民の得意とする料理である。火力、取り出すタイミング、どれをとっても地霊殿のメンバーにはお手の物の技術であった。
このパンにより、まるでフトンにくるむようにふんわりとカレーを包み込む。サクッとした最初の食感の後、もっっちりとしたパンの弾力が襲いかかる。コロモの質感、パンの厚み、そして油の温度と揚げ時間の感覚のすべてがベストマッチして初めて得られるハーモニーなのだ!
そして最大の大波が襲う。
「う!! これは!?」
「ばぁぁかなぁぁぁぁ!!!!!!!」
カレーのトロリとしたコクが一気に彼女達の舌に襲い掛かかった。
それらは瞬く間に口いっぱいに広がり、光り輝く黄金の大海を作り出す。
今回さとりが最も苦心したのがルーのコクと濃度だ。サラサラでもいけない。かといって固めすぎればパンの中でルーが偏ってしまう。ヒントのひとつとなったのが「パンを油で揚げる」という大逆転の発想だ。
「パンを油で揚げるなんて!!! パンのもちもちした歯ごたえとジューシーなコロモの食感がカレーのルーに深遠なるコクを与えています!! まさにアクマ的な発想です!!! アクマの仕業としか思えません!!!! こ~~あ~~~~~!!!!」
小悪魔は頭を抱えながら吹っ飛んでいく。彼女も料理の心得が十分にあるのだろう。理解が深い分衝撃も大きい。
パンに含まれる適度な油分がカレーのルーにマイルドさと深いコクを与えるのだ。さらにパンを揚げることで中のルーが温められ、理想的なトロミが得られるのである。これはもともと本に書かれていた外の世界の知識に倣ったものだが、さとり自身もこの奇想天外な発想に舌を巻いた。
ただ地霊殿のカレーはややサラッとしたルーが特徴である。この完成されたルーをベースにカレーパンを作ると言う困難な条件には「油で揚げる」という外の世界の知識と、さとり自身が考案したアイデアがなければ実現し得なかっただろう。
ドドドドと沸き起こったカレーの津波が紅魔館のメンバーを飲み込んだ。その上にさとりの宝船がさっそうと現れる。さとりはゆっくりと胸の第三の目に手をかざした。
彼女が目を閉じ何かを呟く。第三の瞳がカッと開かれた。
それを見たお燐は屋台から身を乗り出し、拳を突き上げてさけぶ。
「ふるえるぞハート! 」
その横でお空もうきゃーと両手を突き上げている。
「燃えつきるほどヒート!! 」
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ !!!!!!!!
「刻むぞ! 魂のビート!!!」
最後にこいしが絶叫する。
ビガ!
さとりの第三の目が輝いた。周りのひとごみはあまりの眩しさに顔を覆う。
ビィ!!!!!
瞳から放たれた光の束が広場に走った。
次の瞬間ドカドカドカドカ!!!!!! と辺り一面で爆発が起きる。同時に地の底から視界を覆い尽くさんばかりの羊の群が湧き上がった。
「こ! これは!! 見てください!!! 羊のひき肉ですわーーーーーーーーーーー!!!!!」
咲夜はカレーの海からドパッと立ち上がり叫んだ。それを見抜くあたりはさすがと言うべきだろう。咲夜は目を剥いたままパンにかじりつく。
「羊の肉がカレーのスパイシーな刺激を適度に中和している!!!!! さらにひき肉にしてカレーに合わせることでまるで地獄のマグマの様な理想的な濃度を実現させているのですわ!! 口にいれると……何てジューシーで柔らかいのーーーーーーーっっ!!!!!!!」
大平原を奔る羊の群が一気に咲夜を飲み込んだ。
「うおおおぉぉぉ~~~~……!!!」
(見事だったわ……!! 十六夜咲夜)
さとりは星になってしまった咲夜の幻に祈りを捧げた。とろみが少なく刺激の強い地霊殿のカレーに羊のひき肉を合わせる事で、これらの問題が一気に解決される。
更に羊肉の特徴ある香りが、ルーに深いコクと香りを加味していた。ルーは一見こぼれそうにとろりと溢れてくるが、羊のひき肉がつなぎとなり、これらはギリギリの線で抑えられる。さとりはこの一手こそ古明地カレーパンを形成する生命線なのだと自負していた。
「う……う、ぐぐ……!」
カレーの海から一人の少女が立ち上がった。紅魔館の主レミリア・スカーレットだ。
彼女は湧き上がる歓喜に打ちのめされながらよろよろと立ち上がる。その背中の羽からはカレーのルーがぽたぽたと滴っていた。
「ば!! ばかな!! うそだ……! 覚り妖怪なんかに……こんなパンが……作れるわけが……!!」
「それはどうかしら?」
甚大なダメージを受け、フラフラと彷徨うレミリアにさとりは言う。
「料理とは心よ! 食とは心の会話! 言葉以外に生き物と生き物とが分かりあえる手段なのよ!!」
「心……!? 料理は……心……」
レミリアは呆然とした表情で呟いている。そのうつろな表情が、彼女の受けた衝撃の大きさを物語っていた。
生き物と生き物とが食を通して分かりあえる。
そう。それは人と人ばかりではない。人と動物、ペットとだって食と言う言葉で分かり合える。
こんなちっぽけな一つのパンでさえ人の心を満たすことが出来る。料理に込めた思いにより人と分かり合えることが出来るのだ。
「カレーによってブームを巻き起こしたあなたなら分かるはずよ! あなたはそれによって何をしたの!? 何がしたかったの!?」
「は!!」
レミリアの瞳がくわっと釣り上がった。
かつて紅魔館のカレーによって郷の人妖はカレーブームに巻き込まれた。レミリアや紅魔館の仲間達はカレーと言う言葉によって郷の皆との確かな繋がりを実感した。自分達も幻想郷の仲間なのだと実感したのだ。
それはさとりの言う「心の会話」ではなかっただろうか?
ブームが広がることでその心の輪が広がっていった。各地で様々なカレーが誕生したのは様々な心の表現の輪が広がったからだ。
レミリアは愕然とした。
この暖かいカレーパンこそ、新しい言葉。地底の住民の心の言葉なのだ。レミリアはここに覚り妖怪の真髄を見た。
「ぼ、僕もひとつもらおうかな……!」
突然レミリアの横から一人の人間の青年が進み出た。先ほどの紅魔館の面々の騒ぎによって引き寄せられたのだろう。その人間は思い切った顔で一枚の硬貨を差し出している。
「は、はい!! まいど!!」
お燐は最初ビックリした顔をしたが、笑顔でそれを受け取る。二人の手がほんのわずか触れ合ったのをレミリアは見た。
生まれも育ちも、種族も違う、住んでいる場所も違う二人が今、彼女の目の前で文字通り触れ合ったのだ。それはほんのわずかな一瞬の間に過ぎないが、確かにそれは実現した。そして二人の手のその間に……
「はい! お待ち!! あつあつだから気をつけてね!」
黄金に輝くカレーパンがあった。青年はそれを受け取るとおいしそうにパンを口に運んだ。幸せそうな歓声をあげる。
「わ、わたしも!!」
今度は内気そうな河童の少女が進み出た。お燐に硬貨を渡し、パンを受け取る。地上の妖怪と、地底の妖怪の手が触れ合った。
「う……ううおおおおぉぉぉぉおおおおお~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!」
レミリアの感動の叫びが郷中にこだました。
「こ、これぞまさしく心の会話!! 精神の邂逅!! 大宇宙の永遠のテーマ! ニュータイプの誕生なのよーーーーーーーーーーーっっ!!!!!」
何だか良く分からないことを言っているが、どうやら心の琴線に触れる部分があったようだ。
「私は今モ~レツに感動しているぞ~~~~~~~~~~~~っっっっ!!!!!!!!」
さとりは号泣しながらパンに貪り付くレミリアを見ていた。不安もあったが本当に来てよかったと実感した瞬間だった。
その時不意に風が吹いた。
パンを揚げるにおいと、彼らが食べたカレーのにおいがふわ~~と風に乗って広がっていく。瞬く間に屋台の周りには黒山の人だかりが出来た。
「わたしもカレーパンください!」
「僕にもだ!」
地霊殿の屋台はたちまち押せや押せやの賑わいになった。さとりは向こう側にある屋台を見やった。フランクフルトの屋台で、八坂神奈子が売り物のフランクフルトを咥えてそっぽを向いている。さとりは深々と頭を下げた。
「う~~~ん!! おいしい!!」
「何これ!? 最っ強ーー!! 最っ強ーー!!」
あつあつのカレーパンを受け取った人妖達は、皆本当においしそうにハフハフとパンにぱくついている。
「お姉ちゃん! 見て、みんなおいしそうだよ!」
こいしは目をキラキラさせながらパンを食べている人妖を見ていた。
さとりは微笑んでこいしに返事をしようとした時、はたとあることに気がついた。
――こいしの第三の目が開きかけている
さとりは心臓が止まりそうなほどのショックを受けた。ほんの少し、ほとんどそれと分からないが黒い瞳の塊に、かすかに開く目が白い線の様に見えている。
こいしはそのことに気づいていないようだ。自分達の料理を食べている地上の人妖をみて、そのうれしそうな顔を見て、心の中が見たくなったに違いない。
どんな味か。どれくらい美味しいのか。その喜びがどれくらいのものなのか。彼らのことが知りたくなったのだ。その思いが無意識の内にこいしの心の目を開かせようとしているのだ。
さとりは口を覆った。みるみる涙が溢れ、視界がかすんでいくのが分かった。
こいしが楽しそうに何か言っている。
さとりはそれに、ただ何度も何度も頷くことしか出来ない。
こいしは今日はじめて多くの人が集まる祭りという場に来て、最初は残念な思いをした。おそらく来るんじゃ無かったと後悔したかもしれない。
彼女はさとりのパン作りを手伝ってくれた。カレールーの調整に何度も味見をし、積極的に意見を述べた。さとりも驚いたほどだ。
ペット達と一緒に木槌を振るって屋台も作った。
この屋台に、こいしは彼女なりに万感の思いを込めたに違いない。最初は多少のズレからそれは受け入れられなかったが、こうして郷の人々に自分の言葉が受け入れられ、こいしの心は大きく揺さぶられたのだ。
――わたしはこいし。古明地こいし。
彼女の声が、カレーパンという形で今始めて受け入れられたのだ。地底という暗い世界ではそれは叶わなかった。自分の声が届くということがどんなにうれしいことか、こいしは今それを実感しているに違いない。こいしの力いっぱい伸ばした両手がしっかりと受け止められたのだ。
繋いだ手は輪となって広がっていくだろう。
地上と地底。人と妖怪。動物と自然。それらが手を繋ぎ一つの輪をつくることこそ、理想なのだ。彼らの心の言葉を聴き、その輪を広げる鍵となることが覚り妖怪の使命だとさとりは考えているからだ。
「おいしい!? ねえおいしい? 私のお姉ちゃんが作ったんだよ!」
こいしは夢中でパンをかじる人ごみに向かって身を乗り出している。
おいしいよ! 最高! 人ごみのあらゆるところから声が飛んだ。こいしは胸を張って、両手をいっぱいに広げて叫んでいた。
「わたしのお姉ちゃんの料理は世界で一番おいしいんだから!」
色とりどりの巨大な花火が祭りのフィナーレを飾っていた。
何百個と用意していた古明地カレーパンは、わずか2時間ほどで完売してしまった。こいしはフランと一緒に屋台を回るのだと今もどこかで遊んでいるだろう。
さとりは少し心配したが、紅魔館の人達がフランを見送るのを見てさとりもこいしを行かせることにした。
「さっきはありがとうございます。」
広場の櫓の上で、胡坐を掻いて花火を楽しんでいる神奈子にさとりは頭をさげる。
「さあ、何のことかねぇ」
神奈子は格好の良い笑みを作り杯を傾けた。守矢のフランクフルトもとっくに売り切れてしまったらしく、早苗や諏訪子も傍らで空を見上げて花火を楽しんでいる。
さとりは一度笑ってから、再び頭を下げる。そうしてふわりと浮き上がり、そのまま櫓の屋根に上った。
「レミリア」
屋根のてっぺんで、吸血鬼の少女が夜空の大輪の花を独り占めにしている。
「フランは行ったかい?」
「ええ。こいしがいつもお世話になっているわ。ありがとう」
さとりはそんな彼女の小さな背中と話していた。空の花火が弾ける度、そのシルエットに淡い光があたっている。
「あのパン……。なかなかおいしかったよ」
「そう、ありがとう。マネしてもいいわよ」
彼女の背中がフンと笑った。
「レミリア……。ありがとうね」
さとりは本当はもっと色々礼が言いたかった。彼女達が来てくれなければパンは最後まで売れていなかったかもしれない。彼女達だけではない。神奈子や主催者の阿求、慧音。郷の人妖皆にもっと礼が言いたかった。
今日一日の出来事が、地上と地底の妖怪達にとってどれだけ大きな一日となったか、計り知れないものがある。それはペット達やこいしにとっても大きな大きな前進だったのだから。
「レミリア……か……。あなた、もう私をその名で呼ぶのはやめなさい」
そしてそれは彼女自身にも言えることだ。さとりは友人の背に向けて静かに一歩を踏み出した。
レミリアが少しだけこっちを向いた。夜目でよくは分からないが複雑な表情をしている。
夜空で、ドンという音が弾けた。やや遅れて紅い光がその横顔をほんのりと染めあげていた。
彼女は乱暴に口を開く。さとりには彼女の心の声がすべて聞こえていたのだが、レミリアはようやくのことで言葉を発した。心の声そのままの言葉だった。
さとりの伸ばした両腕が彼女の背中に届こうとしていた。
「レミィよレミィ……! 今度からそう呼びなさい……わかった?」
(了)
カレーパン食べたくなったよ
どうしてくれるww
前に読んでいたら晩御飯がカレーパンになっていたに違いない勢いでした。
もちろん勢いだけでなく、地霊殿メンバーと地上との交流もほんわかしていてよかった。
特にレミリアや神奈子の気遣いが素晴らしく、カリスマたっぷりでしたね。
こいしの第三の目がうっすらと開いた所なんかは、じーんときました。
とにかく、貴女達の書く幻想郷は温かさがあって大好きです。
まだまだ書き足りないですが、大変満足の作品なので満点を。
途中でテンションがぶっ飛びました。いや良かったけど。
もう少しできる奴だと思うておったわ! ...って饅頭じゃないし、良いか!
お嬢様、貴女を待っていたぞ、お嬢様!
中華一番ばりの怒涛のシーン、堪能したわい。
フランクフルトくわえた神奈子様に100点!!
…100点までしか入れられないだとッ!?
あの弾力感のあるパン生地とちょっと味濃い目のカレーとの相性は異常
話の展開もカレパンみたいにクドめの描写もあるけどそれはそれで持ち味としていい感じ
紅魔カレーのときと同じく最後にはみんな笑顔
ご馳走様でしたよ
ところで御柱フランクフルトを早苗さんから手渡しで受け取りたいのですがどこに行けば
縁日に不夜城レッドが立ってなければよいのですがw
なんであれ、カレーパンを最初に考案した人は偉いと思います。
できればアンデルセンの揚げたてが。
カレーパンは、まわりのパン粉が「サクッ」て歯ごたえがあるのがいいよね
名作という陳腐な言葉にしかできない!!
うちの地元は、カレーマドレーヌやらカレーソフトクリームとか、迷走してまして…。
長いお話でしたがお読みいただきありがとうございます。 冥途蝶
8番様 カレーパンは別腹ってことで!!! お嬢様
夕食はカレーパンっってことで!!!! 超門番
11番様 やさしい文面ね。ありがとう!いつも見てくれるのかしら?下ネタはちょっとアレだから
こういう内容になるのよwww 素敵なコメント心から感謝するわ!! お嬢様
こういうコメントはじ~んと来ます。長いお話でしたがありがとうございます!! 超門番
心やさしいコメントをありがとうございます。部室から感謝の気持ちをお送りいたします。 冥途蝶
奇声を発する程度の能力様
ちょっ!!! 奇声を発する人来てる!!すごい!wwwwww お嬢様
有名人(?)来てますよ!!すごい!! 超門番
14番様 三人で書いてるからどうしてもやかましくなるのよね! よかったらまた見てね! お嬢様
夏のなごりですよ!! 超門番
待っててくれたの!?ホントに!?楽しんでもらえるといいんだけど・ お嬢様
元ネタ分かりませんからっっwwww!!!!! 超門番
21番様 友達にするなら魔理沙か文。付き合うなら神奈子か魔理沙てのがウチらの意見。 お嬢様
冷静に考えれば魔理沙ちゃんスゲーですよ!! 超門番
23番様 磐石の態勢すぎるんだけどっwww!!考えてみれば『御柱フランクフルト』ていいネタよねぇ・・ お嬢様
ちょっと話がくどくなったのは仕様ですわ。評価していただける方は貴方くらいですわね。 冥途蝶
準備がスゴイ!!モノの楽しみ方を知ってらっしゃる方ですねぇ・・ 超門番
26番様 ホント料理は工夫って思い知らされるわね! レミィは一番好きだから登場回数多いのよ。 お嬢様
味っ子見ましたよ!!あれってすごいですねぇ・・ 超門番
「なんぞこれ」ですわw 冥途蝶
カレーパン好きな女の子って意外に多いんですよ! 超門番
28番様 みんな「味っ子、味っ子」ていうから見てみたわよ!なんぞこれって感じww。今回はちょっと意識した
わね!! お嬢様
数馬君のアシスタントのコオロギ君がかわいいですわ。 冥途蝶
30番様 今回の話は学校の近くの肉屋さんのがモデルなのよ!!店名知らないけど絶品!!! お嬢様
あれはカレーコロッケですわ。 冥途蝶
カレーソフト??・・・挑戦したいわね・・・ お嬢様
32番様 カレーかよ!!!wwwww お嬢様
カレーですか!!!wwwwww 超門番
35番様 おっとタイムリーね!長い話だけどここまで読んでくれてありがとう!! お嬢様
不思議な感じですねえ・・今もどこかで見てくれてるんですねぇ・・ 超門番
いかにもグルメSSって感じだよな。
カレーパン何気に大好きですので、読んでいて面白くて、おなかがすいてきましたよ(苦笑)。明日カレーパン買って食べましょうかねぇ・・・?
とりあえずあれですね、さとりんたちのこれからに幸あれ、と願うばかりです・・・。
・・・って、はっ?!だ、だめだ。こーいう食べ物の美味しさを誘うSS読んでたからか、つい『あの曲』のフレーズが・・・!!うぉおおお!??
・・・・・・1、2、3、4、GO,HA,N!!(を)
ちょっとクドクドのキレキレでしたわ。 冥途蝶
42番様 おっとまたもや常連さん!?いっつもホントありがとう!!今日はカレーパンだったのかしら? お嬢様
1、2、3、4、GO,HA,N!!!!ヘイ!! 超門番
1、2、3、4、GO,HA,N!!!! 冥途蝶
レート20くらい行っても誰も文句言わないでしょう
テンション高いだけじゃなく話も上手くまとめていて面白かったです
素晴らしいセンスをお持ちですね、明日休みだしカレーパン買ってくる!
コンビニで売っているようなのでも揚げなおすと随分ちがうのよね。
オーブンで軽く焼いたカレーパンもうまいよ
ところで「レート」てなに? お嬢様
カレパンはお召し上がりになられましたでしょうか。身に余るご評価ありがとうございます。 冥途蝶
愚迂多良童子 様
ありがとう!!名前検索してみたけど作品は無いのね。また書いたら教えてね!! お嬢様
「揚げなおす!!??」スゴイ!! お嬢様・超門番
48番様 そうそう!オーブン使うのよ!!私もそれやってるわ!!おいしいわよね!! お嬢様
フフフ・・今日はカレーパンですね? 超門番
後半展開との対比効果も含め、大変柔らかく、優しい4,224文字でした。
パン購入の際、カレーパンを買わなかった記憶がありません。
私は、カレーパンダー、カレーパンデミック、カレーパーンサロイドだったようです。
しかし、「どこそこの」というこだわりは全く無く、
70円の○○製パンのも、有名店のも、偏差値25~75の間に全部おさまっており、
「コレ、次は無いな」逆に「次も絶対コレ買おう」と感じたことはありません。
単に味オンチなんでしょうが、ラブ、は間違いなくあります。
言うなれば、カレーパン・チ・ラ、でしょうか。 (スベった)
・・なんて。何時になるかわかんないけど! お嬢様
紅川センセイ様
へ?前半部分のこと??・・・・
誰だろ? 今となっては覚えてないわね。。 でもごっそりけずって、ごっそり場面も
変更して、、て言うことをしてるから誰の・ていうのは分からないわね。ただそう今思い
出したんだけど中盤はゴツンと抜けてる部分があるのよ。だから展開が急変してるように
見えるのだと思う。。 今カレーパンのマイブームは去ってるのよ!ごめんなさいね?
おほほほh。 お嬢様
カレーパンチラ・・ なる程、鋭いボケ様でほとほと感銘いたし、、帰れーーっっ!!!!
冥途蝶
うん、お嬢様は最近確かにスカート短く、、て、帰れーーーーーっっっ!!!!!!!!!
超門番
誤字報告
けーねが彗音→慧音
だったハズ
「慧音」は直しました・・ 何と言うこと! お嬢様
どうもありがとうございます!時間が経ってから評価してくれる
のはありがたいですね。とっても嬉しいです! 超門番
お腹空いてきた。
とりあえず起きたらパン屋行ってカレーパン買ってくる予定が出来たな。
カレーパンで繋がる友達の輪