紅魔館の何も変わりばえのしない日常だ。
私は紅茶を入れる、それをお嬢さまが飲む、ただそれだけ事だと思う。
「……咲夜のいれる紅茶は美味しいわね。咲夜がいなくなったらどうしようかしら?」
「いちごミルクを飲めばよろしいかと?」
お嬢様の顔が歪んだ、カタカタとティーカップを持つ手も震えている。
「笑えない冗談ね。そんな生意気な口を聞く人間なんて、人間なんて……人間?」
思い浮かばないみたいだ。無理もない、私いがいの人間だと霊夢、魔理沙、守矢の巫女ぐらいのものだろう。
霊夢と魔理沙は、いつも生意気な口を聞いているし、守矢の巫女とはあまり接点がない。
いつだったか一度、布教活動のために紅魔館に訪れた。
巫女の話を聞く前にお嬢様は……
「私はレミリア・スカーレット!! 私は、わたくし教の教祖様よ。貴方の方こそ私を崇め奉りなさい!!」
……と言った。守矢の巫女は、ぽかーんと呆れた顔をして、こちらを見ていた。
言いたい事はわかるが、ここは「私もお嬢様教徒なので……」と言って、お引き取り願った。
それ以来まったく音沙汰がない。おそらく神に見放されたのだろう悪魔の館にはぴったりだと思う。
「それはいいとして咲夜!!」
どうやら生意気な口をきかない人間は、思い浮かばなかったみたいだ。
「なんでしょうか?」と答えたが、これはいつものパターンだ。
「吸血鬼にならない?」
「いちごミルクはお嫌いでしたか? 妹様がお嬢様の分も飲んだ時に、あれほど……」
「うー、いちごミルクの話はもういいのよ!!
咲夜はどうして吸血鬼になりたくないの? 吸血鬼は素敵よ、私をみればわかるでしょ?」
「確かにお嬢様はステキですわ」
「……なにかトゲのある言い方ね。人間のどこいいのかしら? とても人間に愛着があるようには見えないけれど」
「それでもですわ……」
私が吸血鬼にならない理由は単純、人でいたいからだ。
人でいたい、そんな当然の事ですら叶わなかった。
能力のせいか、環境のせいかはわからない。
私は、化け物、鬼、悪魔、ひとでなし、人外の呼び名をつけられた。
なぜ人間でいたいのか? それは私にもわからない。
私を蔑み、拒んだ人達の仲間入りしたいわけじゃない。
記憶のどこか片隅にある温かいものが、人でいたいとつぶやき続ける。
何の根拠があるのかわからないが、それだけが頼りだった。
なんど失望し、幻滅した事だろう?
愛想笑いに磨きがかかり
しぐさや動作は、人形のように
心は冷たく硬く、ナイフのように尖ってゆく……
完璧? 瀟洒? どれも不幸の産物だ。
そんな事より私を人として見てほしい。
「そんなに人間がいいなら、紅魔館から出てゆけばいいのよ」
「私を人間扱いするのはお嬢様ぐらいですわ。それに生きている間は死ぬまで仕えますから、ご安心ください」
「今のうちに、いちごを育てておこうかしら?」
「紅茶を飲むよりお似合いですよ、お嬢様」
私を人として見てくれる。それだけでお嬢様に仕える理由は十分なのだ。
人外にかこまれて初めて私は人でいられる、ここの生活は好きだ。
私は紅茶を入れる、それをお嬢さまが飲む、ただそれだけ事だと思う。
「……咲夜のいれる紅茶は美味しいわね。咲夜がいなくなったらどうしようかしら?」
「いちごミルクを飲めばよろしいかと?」
お嬢様の顔が歪んだ、カタカタとティーカップを持つ手も震えている。
「笑えない冗談ね。そんな生意気な口を聞く人間なんて、人間なんて……人間?」
思い浮かばないみたいだ。無理もない、私いがいの人間だと霊夢、魔理沙、守矢の巫女ぐらいのものだろう。
霊夢と魔理沙は、いつも生意気な口を聞いているし、守矢の巫女とはあまり接点がない。
いつだったか一度、布教活動のために紅魔館に訪れた。
巫女の話を聞く前にお嬢様は……
「私はレミリア・スカーレット!! 私は、わたくし教の教祖様よ。貴方の方こそ私を崇め奉りなさい!!」
……と言った。守矢の巫女は、ぽかーんと呆れた顔をして、こちらを見ていた。
言いたい事はわかるが、ここは「私もお嬢様教徒なので……」と言って、お引き取り願った。
それ以来まったく音沙汰がない。おそらく神に見放されたのだろう悪魔の館にはぴったりだと思う。
「それはいいとして咲夜!!」
どうやら生意気な口をきかない人間は、思い浮かばなかったみたいだ。
「なんでしょうか?」と答えたが、これはいつものパターンだ。
「吸血鬼にならない?」
「いちごミルクはお嫌いでしたか? 妹様がお嬢様の分も飲んだ時に、あれほど……」
「うー、いちごミルクの話はもういいのよ!!
咲夜はどうして吸血鬼になりたくないの? 吸血鬼は素敵よ、私をみればわかるでしょ?」
「確かにお嬢様はステキですわ」
「……なにかトゲのある言い方ね。人間のどこいいのかしら? とても人間に愛着があるようには見えないけれど」
「それでもですわ……」
私が吸血鬼にならない理由は単純、人でいたいからだ。
人でいたい、そんな当然の事ですら叶わなかった。
能力のせいか、環境のせいかはわからない。
私は、化け物、鬼、悪魔、ひとでなし、人外の呼び名をつけられた。
なぜ人間でいたいのか? それは私にもわからない。
私を蔑み、拒んだ人達の仲間入りしたいわけじゃない。
記憶のどこか片隅にある温かいものが、人でいたいとつぶやき続ける。
何の根拠があるのかわからないが、それだけが頼りだった。
なんど失望し、幻滅した事だろう?
愛想笑いに磨きがかかり
しぐさや動作は、人形のように
心は冷たく硬く、ナイフのように尖ってゆく……
完璧? 瀟洒? どれも不幸の産物だ。
そんな事より私を人として見てほしい。
「そんなに人間がいいなら、紅魔館から出てゆけばいいのよ」
「私を人間扱いするのはお嬢様ぐらいですわ。それに生きている間は死ぬまで仕えますから、ご安心ください」
「今のうちに、いちごを育てておこうかしら?」
「紅茶を飲むよりお似合いですよ、お嬢様」
私を人として見てくれる。それだけでお嬢様に仕える理由は十分なのだ。
人外にかこまれて初めて私は人でいられる、ここの生活は好きだ。
読んでくれて、ありがとうございます。
咲夜さんは幻想郷でもよく「人間か?」と言われるので、こんなSSを書いてみました。
コメントありがとうございます。
それがなんなのかは人によるから難しいんだよなあ