1
「あーりーすー」
魔理沙がだらけた声をだした。
いま、魔理沙は長いソファーに身を横たえながら、本を読んでいる。
足は投げ出してぶらぶら。少しばかり少女らしからぬ格好である。
アリスは人形用の編み物をしている手を止めた。
「なに?」
「奴隷が欲しい」
「は?」
「私の言うことをなんでも聞いてくれる奴隷が欲しい」
「それで、どうして私にそういうことを聞くわけ?」
「うむ、つまりな……」魔理沙が突然真面目な顔つきになる。「物は相談なんだが、私の奴隷になってくれないか」
「今年の夏はちょっと人間には暑すぎたかしら」
「むむぅ……」
魔理沙は体を起こして、ぷくっと頬を膨らませた。
かわいい仕草を自然にしてしまうところが魔理沙の恐ろしい手口である。
「べつにおかしなこと言ってないだろ。歴史を紐解けば権力者が求めたのは結局のところ奴隷だ。それにアリスだって奴隷を持ってるみたいなものじゃないか」
魔理沙は本で上海人形を指した。
上海はその場でくるりとまわって、ほっぺたに手をあてた。
かわいさアピールに余念がない。
「人形はあくまで人形よ。奴隷じゃないわ。やれることだって限られているし、完全に自律しているわけじゃないもの」
「でも、いつのまにかなんでもできるようになっていたよな。物取ってくるだけじゃなくて、無駄話をしたりもできるし、夕飯もつくってくれる」
「教えるのはそれなりに大変だったけど」
「私が欲しいのはそういう便利さなんだ。人間には便利な生活が必要だ」
「怠惰なだけでしょう」
「怠惰で何が悪い」
「自分のことは自分でしないと、いずれなにもできなくなってしまうわ」
「人には向き不向きがあるからな。例えば私は片づけとかが苦手だ。三歳の頃から玩具はだしっぱなし、宝石箱はあけっぱなしだし、扉は閉めない。どっかからつかまえてきたカマキリにはエサをやらんで死なせてしまう。そんなやつだった」
魔理沙の顔にはどこにも悪びれた様子はない。
むしろそれが私なのだと誇りをもってさえいるようだった。
アリスはあきれてそっと目を閉じた。
「私は人形を遣っているけれど、そこには一定の敬意を払っているのよ。人形に意思があると思えばその意思を尊重しなければならないの」
「わずらわしい性格だな。したいようにやっちゃえばいいんだぜ」
「そういうわけにもいかないでしょう」
「私が欲しいのは、あくまで人形じゃなくて奴隷だからな。かわいくある必要なんかないんだよ」
「じゃあ人里に戻ってお嬢様生活でも始めればいいじゃないの。いいとこのお嬢さんなんでしょう?」
「人里の生活は窮屈なんだよ。なんでも聞いてくれるのはいいけど、口うるさかったりするしな」
「じゃあ、魔理沙は本当になんでも言うことを聞くだけの、自由意思もなにもない存在をそばに置いておきたいわけ?」
「そうだ」
「それは便利な道具と変わらないわね」
「ん。まあそういうことなのかもな。聞けば外の世界の生活はずいぶん便利だそうじゃないか。全自動で洗濯してくれる機械やら、全自動で掃除してくれる機械やら、全自動で扉を開けてくれる装置やらがあるらしい。あと、つったってるだけで動く床とかさ」
キラキラと瞳を輝かせる魔理沙。
そこには怠惰とは少し違う好奇心があるようだった。
アリスは推測する。
おそらく、魔理沙の心境としては、便利でありたいという思いとともに、単純に現在持っていない刺激を求めているのかもしれない。
好奇心に侵された少女を解毒するには、一度、その刺激を与えるしかない。
そっと心のなかで思い、アリスは上海に黙語の命令を与える。上海はすぐに了解して、アリスが望むものを持ってきた。
「そんなに奴隷が欲しいなら、作ってみたらどうかしら」
アリスは手のひらから目に見えないぐらいの細い糸を出して、魔理沙に見せた。
魔理沙の顔の輝きが増す。
「お、旧式の有線じゃないか」
「旧式じゃないわよ。いまでも使えるわ。有線操作は近接戦闘用、無線操作は日常と遠距離用というふうに分けているだけ」
「人形をいっぱい遣うときに使用する糸か」
「そうよ。無線操作よりは自分の意思を伝達しやすいし、初心者にはこっちのほうが楽でしょう」
「ん。要するにこれで奴隷が作れるってわけか?」
「そうよ。ま、あなたが作れるかどうかは才能次第でしょうけど」
「ふふん。アリスに負けない奴隷を作ってみせるぜ」
アリスから糸を受け取り、いそいそと魔理沙は帰っていった。
しばらくはこれで好奇心もおさまるだろう。
それにしても、本当に魔理沙は奴隷が欲しいのだろうか。ただの便利な道具が欲しいのだろうか。いったい何を求めているのだろう。
アリスは上海人形を手元に引き寄せて、ぎゅっと抱きしめてみる。
それでなんとなく――
おぼろげながらもわかった気がして、アリスはクスっと笑った。
――奴隷に飽きたらまた遊びに来るといいわ魔理沙。
2
魔理沙にはいろいろと足りないものがある。
第一に魔法に対する知識。人間にしてはもちろん天才のレベルではあるものの生粋の魔法使いに比べればまだまだ小物に過ぎない。
第二に材料。魔法を効率よく伝達する物質でなければ、おそらく魔力の総量に劣る魔理沙ではなにもできないだろう。
そこでいつものように死ぬまで借りることにした。
最初に向かったのは紅魔館の図書館である。
「で? いつものように借りパクしようとした理由はわかったけど。それで言い訳が通るとでも思ってないわよね」
パチュリーはどうやらお怒りの様子。
まあ当然といえば当然である。魔理沙はしれっとした態度で、まったく罪悪感がなさそうな晴れやかな顔だ。
「そんなふうに怒ることないじゃんか。どうせ全部は読めないんだろ。おまえが読みたいって思ったころには私は死んでるって」
だから迷惑をかけないというのが魔理沙の弁である。
「ともかく盗んだものをだしなさい」
しぶしぶといった感じで、魔理沙はサンタクロースがかついでいるような大きな袋のなかから数十冊以上の本をぼとぼとと床に落とした。
どこからともなく現れた小悪魔が野球少年ばりの必死のすべりこみで、ナイスセーブ。
パチュリーの顔がひきつったものになる。
「あなたね。もう少し本は丁寧に扱いなさい」
「どうせ借りられないと思うとなんだかどうでもよくなってな」
「ロイヤルフレ……」
「わ、わ、待った。悪かった。私が悪かった。謝るからさ。機嫌なおせよ。パチュリー」
「だいたいね。あなたが創りたい関係はなんなのよ?」
「関係? 変なことを聞くな。私が作りたいのはさっき言ったとおり奴隷だぜ」
「奴隷は身分の呼称に過ぎないでしょう。私が聞きたいのは作り出した生命体とどのような関係を結びたいと思っているかよ。あなた自身わかっていないんじゃないの?」
「だから奴隷とご主人様だ」
「ふむ。例えばの話だけど、私と小悪魔とのように契約で拘束された関係になりたいのかしら」
「いや。そんなわずらわしい関係にはなりたくないな。そもそも契約でどうこうというのが気に食わない」
「奴隷とご主人様という関係も同じようなものよ」
「いや、契約でどうこうというのじゃなくてな、もっと便利なんだよ奴隷っていうのはさ。私が思ったとおりに動いてくれるそんなやつ」
「それだと作り出す対象に自由意思は必要ないわね」
「意思はあったほうがいいな」
「状況判断能力という意味でかしら?」
「いや、たまに話相手になってくれたりするようなやつがいい」
「あなたの求めているものがさっぱりわからないわね。まあ、いいわ……」
パチュリーは小悪魔が持っている本のなかから一冊を取り出した。
「ホムンクルス。人造生命体の本か。これで奴隷が手に入るのか」
「一番の初歩の初歩の本よ。人造生命体なら多少の融通は聞くでしょう。ただ最初はリモートコントロール系のところを参照したほうがいいわ」
「リモコンか」
「まあ人造生命を作り出すのはあなたのような人間の魔法使いでは百年はかかるかしらね」
「アリスはさっくり創ってたじゃないか」
「私はあなたの話をしているのよ」
「アリスにはできて、私にはできないって思ってるんだな」
ぷくっ。ほっぺたが膨らんだ。
パチュリーはそんな魔理沙と目もあわせようとしない。
話は終わったとばかりに、パチュリーはいつもの椅子に腰掛けて本を読み始める。もうこうなってはもう一度交渉をするのは難しいだろう。
ともあれひとまず目標は達成した。
魔理沙は本を片手に意気揚々と帰還した。
3
次に向かったのはにとり工房である。
そこは魔理沙とよく似た雑然とした空間だった。ただオイルと鉄の臭いは魔理沙の家にはないものだった。
にとりはスパナでなにやら機械のボルトをしめていたが、魔理沙の姿を見かけると、「お」と明るい声をだした。
この反応は妖怪にしては珍しい。人間に好意的かつ快活な反応を返してくれるのは、にとりとヤマメと鬼くらいなものかもしれない。
「なんかようかい。なんちゃって」
「ついに伝説級の洒落も幻想入りか。とりあえずお茶でも出してくれ」
「あいかわらずぶしつけなやつだなぁ」
といいつつも、きっちりお茶菓子もついてくるところはさすが人好きのする妖怪である。
「で、とりあえず科学の発展のために少しばかり援助してもらいたいんだがな」
「援助? でも金はないよ」
「金じゃなくて、主に物質的な話だな」
「物質ね。まあここだったらだいたいは揃えられると思うけど。いちおう河童の技術は秘匿情報でもあるわけだから、人間である魔理沙には教えることができないという建前になっているな」
「教えることができないのか?」
「建前ではね。でも協力開発ということになればある程度の融通は聞くと思うよ。だからまずは何を創ろうとしているのかを聞かせてもらわないとね」
「奴隷だよ」
「奴隷?」
「意のままに動く奴隷だ」
「もしかして、ロボットのことか?」
「ロボット……そういうのもあるのか。よくわからんが、そういうふうに全自動で動いてくれる機械があると便利だなって思ったんだよ」
「なるほど。確かにロボットは人類の夢。この前は夢が膨らみすぎてでっかくなりすぎてしまったが、確かに実用性を考えれば小さな人間サイズがいいかもしれない。人間の着眼点はときどき我々には思いつかないところに向いているものだな」
「そうだろそうだろ」
「だが小さなサイズで精巧に動くロボットを創るとなると、これは相当難しい。今の河童の技術では到底不可能だ」
「そこは魔法でなんとかならんか」
「魔法を技術として組みこむと、それは科学じゃない」
「あー、でも十分に発達した科学は……」
「魔法と区別つかないって言うんだろ。しかしそれは科学者としては負けだよ。魔法は科学とは違う。見分けがつかなくなるだけで、発祥が違うんだから」
「うーん。正直使えるんだったら魔法だろうが科学だろうがどうでもいいんだが」
「エンジニアとしてはそうはいかないね」
「私はそこらにこだわりがないからな。もしかするとうまいぐあいにロボットが創れるかもしれん。だとしたらそっちにも利益があるんじゃないか」
「ん……そうかもしれないね」
にとりは小さく頷いた。
もし魔理沙が成功したらどうするつもりなのか考えているのだろう。
「わかったよ」にとりは決断したようだ。「協力しよう」
「計画どおり」
「ん?」
「いや計画どおり成功するといいなって」
「人類と河童の共同の夢に向かってがんばろう!」
4
実験の結果はかんばしいとはいえなかった。
もともと魔力の総量が少ない人間の身のうえでは限界があるうえ、魔理沙のプログラムに対する造詣はさほど深いものではない。日頃から上海たちの動きを観察していたものの、さすがに限界があるらしい。いくらパチュリーの本やにとりの物質で底上げをしても一朝一夕に成功するほど甘くはなかった。
かといって、アリスに教えてもらうのも妙に悔しい気がしたからやめておいた。
自分のことは自分で――という心境からではない。
教えてくれといえば、なんだかんだ言って甘いアリスなら教えてくれるだろうという予想は立つ。
だからこそ、教えて欲しくない。
なんとなくそういう気持ちがある。
たぶん魔理沙は盗みたいのだろう。アリスの知らないうちにアリスの予想を超えたところで達成したいのだ。
そんな自尊心と少女らしい恋心がブレンドされた結果か、一ヶ月後にはどうにか自分の思ったとおりに動く球のようなものができあがった。
でかさは魔理沙の体長と同程度。魔力で少し熱せられて人肌の温かさがするように調整した。色は灰に近い。見た目は金属質だが実は結構柔らかだ。
肌触りは水銀で作られたスライムのような感触。ぴたりと肌に吸いついてプルルンと弾力がかえってくる。肌触りは重要だ。人間が対象に愛情を抱くのは熱と肌の感触に負うところが大きい。
形はどうでもいい。あとからなんとでもなる。
問題となるのは自分の意思を確実に伝えることができるか、そして命令を完璧にこなせるかである。
「しかし……、これじゃあ、ヨーヨーと変わらんな」
ブオーンという魔力音とともに、その鈍色をした球体は確かに魔理沙の意思どおりに動くのであるが、ただそれだけである。もちろん球体から人形のかたちに変えれば、のびーるアームぐらいの用途には使えそうだが。そもそも魔理沙の最終目標は奴隷だ。だから少しの魔力の供給で長時間働けるような効率のいいタイプを作りたいと思っていた。いまの球体ではずっと魔力を供給し続けなければならないし疲れる。
「実験を繰り返すしかないな。そこらの妖精で試してみるか……」
妖精をピチューンさせまくり、チルノのヤル気がなくなるまで球を投げつけてみたりして、ずいぶんとヨーヨー的な扱いはうまくなった。
球に対する愛着も湧いて、いまでは『タマ』と呼んでいる。
自ら動くプログラムも仕こんでみた。上海人形のように半自律とまではいかないが、魔理沙の意思を離れたところで、ころころ回るのを見るのが妙に楽しい。
「タマ。こっち来い」
呼べばこっちに来る。
魔理沙の周りでころころ。
「ふむ。わりとかわいいじゃないか」
ぷにゅんぷにゅん。魔理沙はタマの側面部あたりを撫でるように触った。ぷるるんと震えてちょっとだけ嬉しそうにしているように思えるのは錯覚だろうか。
しかし、付喪神がいるような世界だ。いつのまにやらタマに魂が宿ってもおかしくはないだろう。
――いや、ちょっと待て。
魔理沙はそこで気づいてしまった。
いつからだろう。
いつのまにやらタマに感情移入してしまっている。
つまり、タマをかわいがろうとしている。これって奴隷とは違うじゃないか。
「もしかして私はペットが欲しかったのか」
いや違う。
いまでもいろいろとしてほしいことはある。タマがもしも夕飯をつくってくれたり、暇なときの話し相手になってくれるなら、そのほうがいい。でももし対象を無意識にかわいがってしまうのなら、なんとなく負けている気がした。たとえばタマがヤダヤダとかわいらしく命令を拒否してしまったら、たぶん魔理沙は許してしまうような気がする。
それって奴隷とは違うじゃないか。奴隷とは相手の意思を認めないってことなわけで、便利な道具じゃなければならないはずだ。
「便利な道具。ただの道具。でも愛着が湧くってことは、たぶん思い通りにならないことを認めてしまっているってことだよな」
意思とは自由だ。自由でない意思は意思ではない。
とすると、たぶん意思を抑圧することに、一種の罪悪感のようなものも湧いてしまうのだろう。
命令することは気持ちのよいことではない。
命令することで相手の自由が抑圧されてしまう。そこに一種の相対的な自由を感じ取れなくもないが、それ以上に自分の立場だったらどうだろうという共感の感覚を覚えてしまうのも人間である。例えば自分が明日に処刑される姫君だとして、飼っている小鳥を逃がそうとするのは、小鳥に自分を重ね合わせているからだ。
「つまり、結論として……」
魔理沙には奴隷は似合わない。
魔理沙には奴隷は使えない。
ということになる。
そこまで考えて、魔理沙は匙を投げた。現実的には魔女帽子をふわっと空中へ放った。
それからベッドにどかっと体を投げて、そのまま寝入ってしまった。不貞寝である。
5
「あーりーすー」
扉を無遠慮に叩く音が聞こえたので、アリスは上海人形に開けさせた。
案の定、飽きたらしい。
「もう奴隷ごっこはおしまいかしら」
「いやそんなことはないんだが、まあたまには敵情視察も必要と思ってな」
「上海たちを見ても奴隷は作れないわよ。だって上海には意思があるもの」
「シャンハーイ」
上海もにっこり笑ってアリスに応えた。
「ま、そうだな」
魔理沙はあっさりと自分の考えをひっこめて、いつもの定位置とばかりにソファに体をあずけた。
「で、結局、満足したの?」
「満足というかな。私の当初の予定ではなんでも言うことを聞く存在が欲しいと思ったんだが、そのなんでも言うことを聞くっていうのがくせものでな。言われてから行動してるんじゃ遅いんだよ。ヨーヨーみたいに自分で投げつけるのじゃ満足できないわけだ」
「ま、そうでしょうね」
あれだけ全自動にこだわっていた魔理沙のことだ。
スイッチを押すのもわずらしいに違いない。
「けど、オートマティックにしてしまうと感情移入が生じちゃうんだよな」
「共感するのは人間のいいところでしょう」
「んー。私は赤の他人を自由に動かして罪悪感が生じないほど悪人ではないらしい」
「そうね。魔理沙らしいわ」
「というわけでだ」魔理沙はソファに寝転がったまま、足をぶらぶらさせながら「おなかすいたアリス」
「私を奴隷扱いするのはやめてよね」
アリスは苦笑する。まあなんとなく予想はついていたので、さほど驚いたりはしなかった。
「べつに奴隷扱いしてるわけじゃないぜ。私はアリスの自由な意思をソンチョーしてるからな」
「尊重ねぇ。本当かしら」
「アリスのごはん、おいしいし……」
「じゃあ、かわいらしくおねだりしてみなさいよ」
「へ?」
「かわいらしく、ごはんたべたいっておねだりしなさい。そうしたら食べさせてあげる」
「子ども扱いはひどいぜ」
「子どもじゃないの」
ぷくう。
また、ほっぺたがふくらんだ。
けれど、結局はそっちのほうが楽だと踏んだのか、魔理沙は意を決した。
ソファーから体を起こして、そこらに脱ぎ散らかしてあった帽子をなぜか両手で深くかぶりなおして(たぶん顔を隠しているのだろう)
「あ、アリス。ごはんつくってくれ」
「そのほうが魔理沙らしいわね」
なぜか小さな笑いがこぼれてしまう。アリスのなかで雲のようなおぼろげな感覚が急速に了解の域にまで達した。魔理沙が本質的に求めていたのは意のままに動く奴隷でもなければ、単にかわいがるだけのペットでもない。自由な意思で、無条件に、世話をされたいのだ。
ご飯をつくってくれたり、話相手になってくれたり、まあそういうことを無条件にしてくれる存在はほとんど限られている。
無理もない。特に魔理沙のように、ずっと長い間、独りで過ごしてきた少女にとっては。
それで魔理沙は夕飯を食べたあとにうとうとし始め、アリスに寝かしつけられるようにしてソファーのうえで眠りに落ちた。
無償で何かをしてくれる相手=奴隷って直結する思考すらも
愛情不足で育ってきた背景を表してるのか。
ストレートなイチャこらちゅっちゅより却って趣あるこういう話が好きだ
アリスにあっさり見抜かれてるおこさまりさ、ごちそーさまでした
でもこれは母子のほうが近そうだけど。
縦はともかく横にもって
そこそこでかいよね
俺もアリスママンに甘えたいです
タマの弾幕は手ごわいらしいですね。
まくってるんだよな。
それでも許される。そこが気に食わない。
例えば原作の魔理沙ならもうちょっとスマートだし、きっちり
異変を解決しているから多少無茶してても気にならないんだけど。
好き放題にやったり相手を利用したのなら(本人のためにも)
きっちり報いを受ける必要がある。
こち亀の両津みたいに。ちゅっちゅなんていらないから。
タマ最終的にどうなったか気になるので
ちょっとマイナス
意外にすとんと落ちたのでびっくり。こういう話ならもっとごちゃごちゃした終わり方になると思っていたので。この題材をこの長さで綺麗にまとめ切る手腕に脱帽。何だかほっとするオチで、心があったまりました。
魔理沙の、奴隷に対する考察も興味深かった。
なんというか、「寂しく過ごした穴を埋めたい」のと「楽をしたい我儘」がごっちゃになっているような。
1とラストでのアリスの言動からしてこれは母親の愛を求めているのかとは思うけれど、魔理沙がその辺よくわかってない状態で無責任に世話をするような真似をアリスがするのはちょっと自分には不自然に感じられました。
魔理沙が気付いたのは、当初求めていたような奴隷を作るのは破綻するからアリスに頼るべし、ということだけで。自分に何が足りないのかは考えようともしていない気がしたので、ちょっと話の着地点が自分にとってはもやもやしたままで終わってしまいました。
利用したりされたりは幻想郷では日常茶飯事ですよ(公式的な意味で)
魔理沙の幼さとアリスの母性がツボにはまりました。かまわんもっとやれ