Coolier - 新生・東方創想話

我が家のエアコン事情

2010/08/26 17:07:59
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今日も蝉の声が騒がしい。
が、その中に混じって人の声が聞こえてくる。
「姉さん」
「なんです?」
「今日もひたすらに暑いんですが…」
「そうですねぇ」
「…我が家の冷房はいつになったら直るんでしょうか」
「弟君の頑張り次第だと思います。――お姉ちゃんは今日中には何とかなると信じてます」
背後の透き通るような声は優しく柔らかいトーンで、しかしその裏には確実に恨み辛みを込めているのが解る。
…何故俺が責められねばならんのだ…!


初夏。
我が家のエアコンが壊れた。
そりゃもう完膚なきまでにぶっ壊れたのだが、その理由は至極簡単なものだった。
「衣玖姉」
「…はい」
「家の中では雷撃系スペルは使わない約束でしたよね?」
「それはその…でも仕方ないじゃないですか」
目の前で正座している姉さん――永江衣玖――は、自らの指を絡ませながら口を尖らせ、涙ぐんだ目でこちらを見上げている。
「兄さん。別に姉さんだって悪気があったわけでは…」
正座をする衣玖姉の隣、同じく正座をしながら苦笑を浮かべているのは妹のリグルだ。
姉のフォローをする健気な妹に見えないこともないが、今回の事の発端にはリグルも大いに関わっているため甘い目は見せない。
「そもそもお前が『昆虫採集~♪』とか言って家中の電気引っ張って来て河童から貰って来た大型のスポットライト幾つも幾つも点灯させたせいでブレーカーが落ちてそれを復旧させようとした機械音痴の姉さんがとりあえず電撃与えたら何とかなるとか勘違いした挙句何故かブレーカーじゃなくてエアコンに静電誘導弾ぶつけたせいでこんな有様になったんだろうが!!」
「おお…我が兄ながら今日もノリノリだね兄さん」
「誰のせいだよ!」
というか別にノってねぇよ!
「説明御苦労様でした。はい、お茶ですよ」
「ありがとう衣玖姉。――じゃなくて!!」
良く見れば既に二人とも正座をといてくつろぎ始めている。
どうやらお説教タイムは受けていた側の意思で強制終了されたらしい。
「ったく…、まぁいいや。それで修理の話なんだけど――」
「お金ならありませんよ」
「…一応聞くけど、なんで?」
無言で頷いた衣玖姉は、居間に置かれているかなり大きめの椅子に座り、備え付けられていたリモコンを操作する。
すると、機械の駆動音が椅子の中から聞こえ、座っている衣玖姉の身体が小刻みに震え始めた。
「娯楽費として使ってしまったので!」
「マッサージ機なんか買ってんじゃねぇよ!!」
「チッチッチ。…マッサージ椅子、ですよ?」
「聞いてないよ!なんでそんなの買ったんだよ!?」
「最近疲れが溜まってて…」
「衣玖姉最近何かしてたっけ…?基本家に居たと思うんだけど…」
「この椅子を買いに行きました。おかげで疲れちゃって☆」
「疲れちゃって☆…じゃねぇだろ!何考えてんだアン――」
ブチン。
妙な音と共に、家中の明かりが消えた。
「あれー?数減らしたから大丈夫だと思ったんだけどなぁ…」
庭からリグルの声が聞こえる。
恐らくまた昆虫採集のためにスポットライトを点灯させたのだろう。
「あぁもうどいつもこいつもぉぉぉ!!」


というのが大体1週間前の出来事である。
主に金銭面の問題で修理を頼むわけにもいかなくなったので、仕方なく俺自身がエアコンの修理を行うことにしたのだが、何故か未だに動かない。
「っかしいなぁ…。これで動くはずなんだけど」
「暑いよー兄さーん」
「暑いですねぇ弟君」
「早く直してくれないとアイス溶けちゃうよー」
「弟君のだけただの甘い水になっちゃいますね。あはは」
「もうお前ら黙ってろよ!!」
なんで作業中の俺の後ろでわざわざアイスキャンデー食ってんだよ!
嫌がらせ以外の何物でもない。
基本的に二人とも機械音痴のために手伝いとしても使えないので、本当に見ているだけだ。
「…なぁ、どっか涼しいとこでも行ってきたら?」
ただでさえ暑いのに後ろでマジマジと見られていると集中出来ない。
どこかで遊んできて貰うのが得策だろう。
「涼しいところ?…北極?」
「寒いところだろそれは!」
「寒すぎると妹ちゃんは冬眠しちゃいますしね」
「冬眠して何とかなる場所でもないし…」
「じゃあどこだろ…」
「もしや…コンビニ、ですか?」
「小学生か!いやほら、市民プールあるだろ近くに」
「あー!」
「あー!」
「夏に涼しい所で北極とコンビニを真っ先に思いつく姉妹とか初めて見たよ…」
しかも俺の姉と妹だったよ…。
溜め息を吐きながら作業に戻るが、背後の二人は動く気配が無い。
「…行かないの?」
「兄さんが頑張ってるのに私達だけでは行けないよ。ね?」
「え、あぁ。うーん…」
「そこは姉さんもすぐ頷いてよ!兄さん傷ついちゃうから!」
「妹の気遣いが心に沁みたのはこの日が初めてでした…」
いやホントに。
苦笑しながらリグルを見ていた俺の視界の中、腕を組んで唸っていた衣玖姉が不意に立ち上がり、こちらへと手を伸ばした。
「はい、あーん」
「――え?」
ポカンと開けていた俺の口に冷たい物が押し込まれた。
恐らく衣玖姉が咥えていたアイスキャンデーだろう。
「ひ、ひうふぇえ?」
突然だったこととその冷たさに驚き、まともに舌が回っていない。
「――行くなら皆で行きましょう。弟君も疲れたでしょうし」
「そうだね。それじゃ準備してこないと…」
リグルが居間を飛び出し、自分の部屋へと走っていく。
「…どうゆう風の吹きまわし?」
棒だけになったアイスキャンデーを口から取り出し、苦笑する。
「…あぁは言ったけど衣玖姉外出るの嫌いだし、市民プールなんて嫌なんじゃないか?」
「大丈夫ですよ。妹ちゃんもいますし――」
衣玖姉が俺の前で屈み、俺の額にかかっている前髪を優しく掻きあげて、空いた額に軽く触れるようにキスをした。
「弟君がいるなら、何処に行くのも平気ですから」
「衣玖姉――」
衣玖姉はふわりと微笑み、俺の頭を撫でて立ち上がった。
「さてと、それじゃ私も準備してきますね?」


夜。
「気持ちよかったねー!」
「はい、たまにはああいうのも良いですね」
「ソウデスネ…」
市民プールだというのにビーチボールを持ちこんで暴れまわる二人を止めるのに必死でほとんど落ち着けなかった。
かろうじて涼むことは出来たから目標自体は達成できたのだろうが。
「複雑な気分だ…」
「まぁまぁ、えーっと電気はここでしたっけ――」
カチカチカチカチ。
衣玖姉が手を伸ばし、幾つもあるバーをことごとく下げていく。
「いや、それブレーカーだから!!」
「――おや?一つだけ点いたままになってますね」
「…え?」
携帯を取り出し、そのライトで衣玖姉の手元を照らす。
そこには確かにすでに下げられているバーがあり、そこには『空調管理』と書かれたラベルシールが貼ってあった。
「まさか…ずっとブレーカー落としたままになって…」
「――そういえばこの前…」

『おや。この空調管理っていうのをいじったら直るんじゃないですか?』
『おー!姉さん今日冴えてるね!』
『どれどれ…カチっとな』
『…直ってないっぽいね』
『そのようですね…むむぅ』
『兄さんの手伝いになると思ったんだけどなぁ』
『まぁ私達では無理なようですし、大人しく見守っていましょうか』
『はーい』

「ということが」
「結局お前らのせいかぁぁぁ!!――二人ともそこに正座!!」
どうもどうも。
くだらない小話ですがここまでお付き合いありがとうございました。

初投稿で不安定な部分も多々あるかと思いますが、今後もこの程度のノリで投稿してくので、良かったらまた読んでみてやってください<(_ _)>

※自由を履き違え、ローカルルール(タグの件)ガン無視で投稿してしまって申し訳ないです。
まぁ叩いてもらえる分には直していけるんで、感謝しながら頑張っていきますよー。
依玖
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コメント



0.390簡易評価
9.無評価名前が無い程度の能力削除
とりあえずオリキャラ注意ってタグつけとけよ
12.50名前が無い程度の能力削除
家族構成?が分からない。
でも、それ以外はいいと思います。
14.無評価名前が無い程度の能力削除
よくわからない、なぜ俺君とリグルと衣玖さんが同居してるの? 作者の願望?
15.50名前が無い程度の能力削除
噂を聞いて何事かと思って読んでみれば意外と面白い。

次はオリキャラ無しで幻想郷らしさを強調した作品などを書いてみてはいかがでしょう。
16.10名前が無い程度の能力削除
オリキャラ注意のタグもなくいきなり作者がSSの中に出てくることほど不快なものはありません
半年くらい他の作品を見てから投稿してください。どうせmixiの宣伝だろうからもう二度としないでしょうが