夏。夏まっさかり。
梅雨の時の雨の頻度はどこへやら、夏になったとたんに日照り続きになったりするものだ。これが反動というものか。
カンカン照りの太陽はその下に生きるあらゆる生物……いや、あらゆる物からそれが持てる水分を奪ってゆく。
妖怪も例外ではい。水分補給を怠ればあっというまに熱中症である。花に水をやらなければ枯れるように、妖怪とて水がなければ(人間よりは持つだろうが)流石に枯れる。
水。無味無臭の水。しかし、"生きる"という事には例外なく必須な物質だ。水を馬鹿に出来るものなどこの世にはどこにもいない。水すげぇ。
その水は夏になってみれば消費量は異常だ。一日に何度水を汲みに行くのだろうか。
とはいえ、暑ければ暑いほど、私は夏が来たことを実感する。今年の夏もまた見せてくれるであろう四季の花を想像し、心が躍るのだ。
夏の仮住まいである小屋の窓から外を見てみると、一瞬眩しく思えた。
黄色い花弁を大きく広げ、太陽の光を反射する大勢の向日葵が一面に広がっている。
その一本一本が、まるで太陽のように輝いている。
だからこう呼ばれる。"太陽の畑"、と。
「ああ、この光景を見るために生きているわ……」
私は呟きながら今日も川へ水を汲みに行った。
そういえばどこぞの鬼は言っていた。「ぷはーっ!この一杯のために生きてるねぇ。」
あいつは生きると呑むが同義語なので要するに酒を飲むために酒を飲むらしい。言ってて意味がわからない。所詮酔っ払いの妄言である。
妖怪の山の川は本当に綺麗だ。川辺も涼しい。
ここに住みかを作ってもいいかもしれない。が、夏はやはり太陽の畑がいいか。あれに勝る光景を私は知らないのだ。
川辺に足をつけてみた。いい冷たさだ。ずっとこのままで居てもいいくらいに気持ちがいい。
しかしまぁ、ずっとこのままでいるわけにはいかなかった。自分だけ涼しんでるわけにはいかないのが花の妖怪である。
私は少し名残惜しげに川から足を上げ、水を汲み、太陽の畑に戻った。
あらかた花の水やりが終わると、自分もグラスに水を注ぐ。
グラスのふちで向日葵の花を軽く叩き、飲み干す。
ああ、この一杯のために生きているとはこういうことなのだ。
向日葵と乾杯……のつもりで叩くのだが、昔一度霊夢に見つかって笑われた。ものすごく恥ずかしかったのは言うまでもない。
口外してないだろうな……。
「……さて、行こうかしらね。今日も。」
幽香は何故阿求の家に向かうのか?幻想郷縁起の改定を求めるため?
それとも……
っともったいぶってみても答えはこうだ。
退屈だから。
そう、私にとってそれだけであるのは紛れもない事実。
ただ……退屈ならば阿求の家に赴くという思考パターンが確立されているというのもまた事実だった。
私は一体何を期待して阿求の家に行くのだろう?
数秒考えてみたが、答えは出そうになかったので考えることをやめた。
また今度、また今度、と、できるのが妖怪である。
「いやぁ今日も暑いですね幽香さん。」
家に着くなり、家の主人である稗田阿求が定番の台詞を口にした。
よくも飽きないものだ。さすが人間。
「そうね。まぁ寒い日があり、暑い日があるからいろいろな花を見られるのだけれど。」
「そうですね。私も夏の幽香さんや冬の幽香さん、春や秋の幽香さんが見られて幸せです。まさしく、四季のフラワーマスターですね。」
「……いったいどういう違いに見えるのか分からないのだけれど。」
「色々な花を知っている幽香さんでも人の花模様は分かりませんか。ふふっ。」
小馬鹿にしたような言い方である。少しムッとなるが、いちいち反応してたら身が持たない。
「ふぅん、面白いこと言うじゃない。教えてくれるかしら?」
「そりゃもちろん!夏は水着!冬はマフラーに手袋!めくるめく萌装備の世界ッ!!」
「花への侮辱と受け取るわ。お供え物は何がいいかしら?」
というか、水着もマフラーに手袋も付けた覚えはない。
「いえいえその心配にはございません。幽香さんが共に来てくれればお供え物なんて……。」
「誰が逝くか!急に病むな!」
「そんなことより今日も暑いですね幽香さん。」
「話題をループさせないで頂戴。」
本当に飽きないな。まぁ阿求の年はまだ十代だ。
それに、九世代に渡って書いて、死んで、生き返って、書いて、死んで、と繰り返し続けている。
これくらいの事には飽きないのかもしれない。
……もっとも、私もよくも飽きずにここまで来るものだと思うが。
「ループには慣れてるんです、私。」
「……あっそう。」
「あー暑いですね。そうだ、どこかに泳ぎにでも行きません?」
朝っぱらから川で少し涼んだばかりである。
少し心が揺れるのは不可抗力だろう。
が、だ。
「唐突ね。まぁ確かに水浴びでもすれば気持ちいいでしょうね。だが断る。」
「どうしてですか。実は泳げないとか?」
「そういう訳じゃないのだけれど……。」
「水着イベントの無い夏休みなんてし炎天下の中道端でしおれているミミズみたいなものです!偉い人にはそれがわからんのです。」
「そんな事だろうと思ったから断ったのよ!」
いい加減阿求の行動パターンは読めている。
「おお、なんと私、幽香さんと以心伝心出来ちゃいました。」
「そういう言い方されるのはものすごく不本意なのだけれど……大体、水着が無いわ。」
「ああ、貸しましょうか?」
幽香は阿求の胸を見るなり言った。
「サイズが合わないわ。」
「いや私のじゃありませんよ。」
「で、水着売り場に来たわけですが。」
大型雑貨店"稗田屋"。
霧雨店に次ぐ人里の商店の一つであり、稗田家の収入源である。
「水着なんて売ってたの。」
「人間誰だって暑ければ泳ぎたくなりますし、泳ぎたければ水着ぐらい買います。つまり需要があるのです。」
質で勝負するのが霧雨なら、量で勝負するのが稗田である。
小さな需要も逃さずキャッチし、店頭に並べる。より広い範囲の需要を素早くカバーしてこその稗田屋なのだ。
「ああ、まるでライバルみたいと勘違いされますが、稗田と霧雨は仲がいいですよ。お互いに蹴りとか肩バンとか入れあっても笑って返してたりしますから。」
「限りなく険悪じゃないの。」
「そんなことより、どういう水着にしましょうか。」
「こういうのってよくわかんないわ。適当に見繕って。」
「ではこういうのでどうでしょうか。」
そう言って阿求が取り出したのは……
「……それ水着じゃなくて紐じゃないの。」
「ところがぎっちょんこれ水着なんです!!さぁこれを着て────
「あら首を絞めるのに調度いい紐が。」
「あぎゅううううううううう!?」
阿求は5秒でタップした。
「根性ないわね。」
「根性以前の問題ですから!窒息死する前に首が切れる勢いでしたから!!」
「ごめんなさい、わたし紐を見ると急に首を絞めたくなるの。」
「それは早急に治すべきだと思います……。」
喉を押さえる阿求を尻目に、幽香はそこらの水着を漁っていく。
といってもあまり種類も数もなかった。いわく、水着は幻想郷では珍しい素材で出来ているので、生産量が少なく、全て貸出専用のものだった。
とはいえ霧雨店は水着を取り扱っていないので大きなリードとなっているようだ。
「ふーん……ま、こんなところが無難かしらね……ん?」
幽香は見慣れた模様を売り場で見つける。
「あら、いいものがあるじゃない。」
幽香が取り出したのは所謂ビキニタイプの水着であった。
青空を背景に、向日葵の絵が描かれている。
「おおぅ!幽香さんがビキニに手を!?」
「私の勝手でしょうが。」
「誘導の必要はありませんでしたか。」
「誘導するつもりだったのね。」
「……いや、なんでもないです。」
「1日レンタル500円になります。」
「……金とるのね。」
「親しき仲にも金の礼儀あり、です。」
「なんかすごく嫌な言葉ね。」
少しだけ嫌そうな顔をする幽香に、紙を渡す。
「婚姻届」と書かれた、紙を。
「ですが、この紙に名前と判子を押すと無料に」
「普通に借りるわね」
婚姻届は瞬きする一瞬で焼かれ、無くなった。
少し泣きそうだ。
一悶着在ったけれど、無事水着を買ったわけだが。
「で、どこいくの?妖怪の山?紅魔の所?」
「海です!」
「海?」
海。
話には聞いたことがある。ただ、幻想郷は内陸なので見たことが無いだけだが。
いわく、塩水の超でかい湖だという。しかし、水分を奪う存在である塩が大量に含まれる湖となれば今一花の咲いているイメージが湧かない。
……いやしかし、逆の発想もあるか。
塩分を克服した花、とでも言おうか。進化という偉大な流れに、そういう変化もあるかもしれない。
興味は、ある。
「はい海です、青い空青い海に綺麗な砂浜、そこに光臨する一輪の花のゆうかさんを独り占めです。」
「いつ私があんたの物になったのよ。」
「いーじゃないですか、千年以上も生きている幽香さんの、たかだか十年貰うってだけの話ですよ。」
暴論だ。たかが十年。されど十年。
いや、そりゃあ千年近く生きている。が、それでも十年って結構長いぞ。
人間が百年生きるとしよう。もし、楽しみにしてた漫画やゲームが一年延期しますと言われて「はっはっはっ、たった一年か。食って寝てりゃすぐだな」で済むものか。
まだ2008年の31月だとか言ってネタにしてごまかせる奴ばかりではないだろう。
言っても聞かないだろうけど。
「はぁ……主張するだけならどうだっていいわよ、もう。」
「……そうですよね、私みたいな病弱ですぐ死ぬ小娘なんて心底どうでもいいんですよね。……グスッ。」
よよよと泣き崩れる。
明らか泣きまねなのだが、見るからに体の弱そうな阿求がすると絵面的に最悪である。
「いやいや、別にそんな訳で言った訳じゃ……。ほら、別に迷惑かけないのならあんたが私の事をどう思ってても……。」
「好きです。愛してます」
「…………。」
「あ、照れました?照れたんですね?照れゆうかりんかわいいー。」
……本当にこいつは。
どの口で言うか、まったく。
「急に真面目な声音で言われたからびっくりしただけよ!」
「私はいつも真面目です!さぁ婚前旅行で海にいきましょう。」
「何が婚前旅行よいつ婚姻が出来たのよ。そもそも幻想郷に海なんてないわよ。」
周知の事実だ。幻想郷は内陸であるために海はない。
「ふふふ、そうです幻想郷には海はありません、しかし海に行く方法はあるのですよ。」
「隙間にでも頼むの?」
「そんなことする必要はありませんよ。衝撃の事実!!実は稗田家は島を一つ持っているのですよ!」
「……どういうこと?」
「外の世界でどういうわけか島が一つ幻想入りしそうになってたんですよね。ですが、もともと海の無い幻想郷に"島"が来てはパニックになるのは目に見えています。紅魔館の湖に突然現われでもしたらあの付近の妖精に多大な影響を及ぼすことでしょう。ですが、そこで立ち上がったのが私たち稗田家!スキマトンネルで島と幻想郷を繋ぎ、我々稗田の心(見たものを一生忘れない程度の能力)に島の存在を刻みつけることで島の幻想入りを防いでいるのです。えっへん。」
「そう、もっともらしい理由つけて海に行くのを正当化しただけってわけね。」
「まぁ先代の阿礼の子の気持ちなんて私は知りませんが、私だったらそうしますね。」
「だったら多分そうしたんでしょ。」
「そんなことはどうでもいいです。本来稗田家専用の稗田島(仮)に誘っているのですよ?海なんてどれほど貴重な体験か。」
確かに貴重だろう。
そう、興味はあったのだ。なら、行かない理由はあるまい。
阿求は家に着くや否や家の裏の物置に案内した。
古ぼけた小屋で、整備はあまり行きとどいていない。埃っぽい。
が、その中でも不思議と目立つのは物置なのにも関わらず飾るようにかけられた掛け軸であった。
何故こうも目立つのか。物置に飾られていることからくる違和感も確かにあるが、近くで見てみればこれだけまるで埃を被っていないことに気がついた。
つまり、ただの掛け軸ではないという事だ。
「この掛け軸の裏に隙間があります。」
「またありがちなんだかそうでもないんだか……。」
「ふふふ驚いたでしょう。」
「別に。許可とかは?」
「なに大丈夫です、基本的に仕事が終わった稗田一族の行為は黙認されるので、外に勝手にでても大丈夫ですよ。それにこの部屋から直接通じてる以上実質家の中なのです。」
「ご都合主義ね……。」
「それは言わない約束です。さぁ海に出発です!」
ばっと、阿求が掛け軸をめくった。
「…………。」
「…………。」
そこに隙間はなく、紙が一枚。
"盆なので隙間トンネルはお休みさせていただきます。"
「…………。」
「…………。」
「い、陰謀です!あの隙間年甲斐にもなく私たちに嫉妬しているんです!」
「落ち着きなさい。あれに歳の話をするのはタブーよ。」
「ってな訳で妖怪の山行ってきます。」
「どういう訳ですか。」
言うなり阿求は使用人に睨まれた。
おお、こわいこわい。
「妖怪の山、と言われましてもね、そんな危ない場所にそうですかいってらっしゃいと送れる訳が無いでしょう。」
「何のためのボディガードですか。」
「ボディーガードすら危険じゃねーか。つか、あれはボディガードじゃなくてただのクレーマーだ。」
「ただのクレーマーとは失敬な。普段はクレームばっかりですが、たまにデレるこのギャップがいいんじゃないですか。まさにクレデレ。これは流行る。」
「その略語は流行らないし流行らせない。」
(*´ω`*)
「その顔文字も未来永劫絶対流行らないし流行らせない。」
「ですよねー。」
と、余計な話をしている場合ではなく。
「むーまだ幽香さんが信用置けませんか?」
「妖怪の山に行くのが駄目なんです。何があるのか分かったもんじゃない。」
「だから、幽香さんが居れば。」
「記事にされるのが怖いって言ってるんです。」
「ああ……。」
確かにそうだ。天狗の本拠地なのだから、どこで見ているか分かったもんじゃない。
いくら幽香でも視線までは対応しきれないだろう。
「よし、分かりました。ではそれをふまえて、妖怪の山行ってきていいですか?」
「駄目。何強引に押し切ろうとしてんですか。」
「ちっ。」
そこはせめてのり突っ込みだろ……センスのない。
ならば、
「どうしてですか?幽香さんは、ずっと孤独だった私に毎日会いに来てくれるかけがえのない人です。なのに
「駄目です。」
「せめて最後まで聞いてくださいよ!」
泣き落とし作戦失敗。
阿求は思ったなんでこんな人が私の使用人なんだろうと。
……まぁ、この前聞いたらあなたのせいですとか言われたのだが。どういう意味だ。
「……で、そんなに行きたいですか。」
「行きたいです。」
「そうですか。残念でしたね。」
……殺意がわくぜこの使用人。
「もうわがままに付き合ってられないので私は寝ますね。昨晩稗田屋の在庫整理で忙しかったのです。」
「あ、そうですか。」
「私が寝てる間に行くとか考えないでくださいね。いいか絶対だぞ。」
「いやそんなわざとらしい言葉混ぜなくても分かりますって。」
「……では、お休みなさい。」
「…………えと。」
「あ、お土産はきゅうりがいいです。」
「…………はい。」
この稗田阿求をもってしてもわけのわからない使用人である。
よくよく考えてみると、この使用人私が生まれた時から姿形が変わってないような気がするし、一体何なのだろうか。実は妖怪?つぎの幻想郷縁起に載せてみようか。
「あの、
「私は眠たいんです、さっさと寝かせてください」
言い終える前に部屋から閉め出された。
やはりわけのわからない使用人である。実は妖怪だったりして?つぎの幻想郷縁起に載せてみようか。
まあそんなことは良い、早く幽香さんの元に戻らないと、結構時間が立っている。
急いで玄関に向かうと幽香の姿が無い 。
「幽香さん?」
ドアを開けるが幽香が見当たらない 。
「幽香さん?」
外に出てみるが幽香の姿は無い 。
「幽香さん、どこにいっちゃったんですかー」
帰ってしまった? まさか。嘘。
「まさか帰ってしまったとかないですよね幽香さん。」
いない。
「ゆーかさん。」
いない。
「ゆーかさーん!」
待って。
ちょっと待って。
マジで?本当にすっぽかされた?
それとも博霊の巫女に目でもつけられた?
いや目を付けられたからとホイホイ退治されて終わりなんて妖怪ではないはずですが……。
「あら、どうしたのかしら?」
「あ、十六夜咲夜さん。幽香さん見ませんでしたか?」
「幽香?」
「風見幽香さんです。」
「ああ、風見幽香なら傘屋にいたわよ。」
「ありがとうございます!」
傘屋は稗田邸からそう離れていない。
傘作りの材料は稗田屋から卸しているお得意様である。
「はぁ…はぁ…。」
「あら、どうしたの?」
「ゆうかさんがいなくなったから探してたんですよ、どうしてどっかいっちゃったんですか。」
「日傘買いにきたのよ。」
「日傘?」
「こんな日差しの強い日にあんたみたいな病弱な娘が出歩いたら倒れるわよ、はい。」
「日傘…日傘…あははなんだそうだったんですか、私はてっきり帰ってしまったのかと。」
「流石に黙って帰ったりはしないわよ。」
「そうですよね、うん幽香さんはそんなことしたりしませんよね。」
「ほら、行くわよ。」
「ところでこれは所謂愛人へのプレゼントとかそういう奴なんでしょうか。」
「いちいちそういう事を言うから可愛げがないのよあんたは。」
「ちなみに給料何カ月分ですか?。」
「妖怪に給料はないしその傘は安物よ!」
妖怪の山へは割と遠い。
普通に歩いて三、四時間はかかるだろう。
しかし、あくまで歩いたらの話である。
阿求は今、幽香の背中におぶられて空を飛んでいた。
意外なことに幽香の方からおぶってやるという提案である。
さっきの傘といい、気配りのきくいい妖怪だ。さすが我が嫁。
それにしても、あれだ。
幽香とこれほどまでに体を寄せあったのは流石に初めてである。
ちょっと、緊張するというか、気恥ずかしいというか……うーむ、こんなうぶな部分がまだ自分に残っていたとは、私もまだまだという事か。
よし、ならばここで克服しようではないか。
まずは……そうだな、幽香のBodyをHoldしているMyHandを少しだけUnderにMoveしてたわわに実ったMiracleFruitsをCatchしてLet'sParly…………。
ってまてまてまて何を考えているんだ私は。そんなことをしたら最後、上空二十メートルからFallingでTheENDだ。つかLet'sParlyってなんだ。
どうやら私は落ち着きがなくなるとどこぞの奥州筆頭となるらしい。小十郎みたいな使用人が欲しい。
落ち着け。落ち着くんだ稗田阿求。まずは深呼吸だ。
すーはーすーはー
くんかくんか
あーゆうかりんが凄くいい匂いだぁー。
花の匂いがするなぁー、あの花この花じゃなくて、色々な花の匂いがするんだなぁー。
これがゆうかりんの匂いなんだなぁー。
ん……この匂いは…
「……あの女の匂いがする。」
「誰のことよ。」
「この匂いは……慧音さんに、花屋の娘に、あとは……リリー……だと……。」
「嗅いだことあるの?」
「見たものを忘れないということは匂いも忘れないんです。」
「いやそういう問題じゃなくて。」
「で、どういうことですか?」
「私が誰と会ってても関係ないじゃない。」
「浮気を見破るのは嫁としての大事な役目です。」
「だれが嫁なのよ。」
「大丈夫ですよ、そいつらは絶対、私が殺しますから。」
「こら、待て。」
冗談を言う。
冗談を言う。
大事なことなので二回言いました。
これはあくまで冗談なのです、少し幽香さんを困らせたいだけなのです。
本当に殺す気なんてありませんよ、うん。
人の物に手を出したとか、そんなこと少しも、いえ少しぐらいは思ってしまいましたが。
……うん、冗談だ。
「幽香さんの頭のてっぺんから、つま先まで、ぜーんぶ、私のモノなのに……。」
「誰がアンタのモノなのよ。」
「そっか、全部アイツらが悪いんですね。」
「ああもう、面倒な娘ね。慧音は里の入り口、花屋の娘は村でぶつかってきて、リリーは花畑で寝てたのを起こしただけよ!」
「ならいいんです。」
私が生きてる間に他の女に手を出したら、私はショックでどうかなってしまいそうです。
絶対に譲りません。
あと十年程は、絶対に譲りません。
「ここがあの女のハウスね。」
いけない、先ほどのが少し残っていた。
「何言ってるの、ただの川よ。」
「言ってみたかったんです。それはさておき、どうですかここは。」
幽香は辺りを見渡した。阿求があの辺りにしましょうと言った場所は奇遇にも自分の水汲み場だった。
「ま、良い場所ね。なんで貴方がこんなところしってるのかしら。」
「時折里に下りてくる秋姉妹に聞いておきました。」
「ああ…あいつらね。」
「なあに私の手にかかれば、デートスポットの情報の一つや二つちょちょいのちょいです。」
「なにがデートよ。」
幽香は川の水に手を付けた。昼でもいい冷たさだ。
「さて、着替えて来るわね。覗いたら殺すわよ。」
「わかりました。」
「…どうして付いてくるのかしら。」
「やだなぁゆうかさん私達女同士じゃないですか、気にしないでください。」
「あんたの目が気持ち悪くなければ、目の前で着替えてやるわよ。」
「なぁに私はぜっっっっっっっったいに何もしませんから、ゆうかさんの艶めかしいエロ肢体を私に全て見せてくださいぐへへへへ。」
「やっぱ見るのも禁止。あんたは寝てなさい。」
「はぐあっ。」
頭を傘で殴るが、意識は失わなかったのか殴られた場所を手で押さえた
「……あんた、丈夫になったわね。」
「いやぁ、幽香さんのおかげですよ。」
「まったく……今世は長生きできるかもしれないわね。」
「出来たらいいですね。そうだ、もっと殴って私を鍛えてくださ
がっ
「本当に殴りますか……。」
「ええ、殴るわ。」
非情な嫁である。
哀れ、稗田阿求は昏倒させられ幽香の着替えを見ることができなかったのだ。
「まっ、我々の業界ではご褒美なんですけどね!」
「言ってなさいこの馬鹿。」
いや、それにしてもあれだ……。
なんとも素晴らしいプロポーションではないか……!!
年中着てる露出の少ない服とは打って変わって、抜群のスタイルが惜しみなく輝くビキニスタイルである。
これに興奮しない男はいない。女の自分も興奮しているんだから間違いない。
「それじゃ、適当に涼んでくるわ。」
「はぁ……私も着替えてきます。」
しかしあれだ、幽香の生着替えを見逃したのは非常に大きい。何かで埋め合わせる必要がある。
何で?……答えは一つだ。
阿求のドキドキ川遊び ~むしろポロリがメインだよ~ 大作戦!! 始動ッ!!
幸い幽香の水着はビキニタイプ。背中の紐をぴっと取ってやればあっという間に上半身は生まれたままの姿である。
そして今!私は隠れて着替えており、幽香はそれを気に留めずに川の浅瀬に足をつけて温度に慣れさせている!
そう!今こそがポロリを狙う最大のチャンスなのだ!
着替えた私はゆっくりと幽香の背後に寄る。
あしを滑らせながら、一切の水音を立てずに近寄る。
そして距離、わずか30cmまで接近に成功!!
阿求は思った。自分にはきっと忍者の才能があるのだと。今日の私は、由美か○るをも凌駕する存在なのだ。
阿求が手を伸ばす。綺麗に整ったリボン結びの端をロックオンし、全神経をそれに集中させる。
あと20cm!10cm! 9! 8! 7! 6! 5!
自分の足が浮いた!構うものか!
私のこの指を止められるものがどこにいようか!
ゆけっ!私の指!! あと、10cm!
……え?
「きゃああああああああああああああああ!?」
みっともない叫び声の後、川に水しぶきが上がった。
それはまるで川の流れのように美しい動きの背負い投げであった。技あり。
「うぷっ、がっ、けほっ、ちょぉっ、お、たすけぇっ!」
溺れている阿求を幽香は浅瀬に戻した。
要するに不埒なことをしようとした阿求を幽香が投げたのだが、投げた先からは急に深くなっていたらしく、阿求の低身長では足が届かないらしい。
「じゅ……寿命が縮みました……。」
「投げた相手の寿命を10年奪う背負い投げ……私はこれを十年投げと名付けるわ。」
「十年も取られたら死にますよ私……。というか、三十年パンチは自分の寿命を三十年奪うパンチな訳でして……。」
「いや、十年背負いのほうがカッコいいかしら?」
「聞いてます?」
「私のログには何もないわね。」
「もう……いいです……。」
阿求が着てきたのはワンピース型の水着である。紺色だが、"あきゅう"とかかれた白い布が張り付けてあったりはしない。そんなものは幻想郷にはない。
「で、どうですか私の身体は。」
「色白で痩せてて、骨が見えるわね。」
「そうですとも、私の身体はポンコツですから艶かしい体もってる幽香さんとは正反対なのですよ。」
「そうね。」
「しかし一族に伝わる夜の床の技術、そして小さいが故に感度には自信があります。」
「はいはいそこまでよ。」
「ところでゆうかさんの下は生え
「死にたいの?」
「何でもないです。」
割と本気で睨まれた。過剰な下ネタはアウトなのか、それとも……いや、やめておこう。妄想は帰ってからじっくりしなければ、顔に出る。
今は見えないものより見えるものを見ようではないか。
「それにしてもこれは……。」
「なによ。」
「ありがてぇありがてぇ、幽香さんのこんな姿がみれるなんてありがてぇ。」
「はい?」
「私の視界に飛び込んでくる胸の谷間!通説だと八十九のDですがアキューセンサーがEはあるとつげています!次に身体!日焼けもせず絹のようになめらかが艶々、一年中日傘を差し、肌に天然花化粧品を使っているのは間違いない!次にスタイル!華奢でありながら違和感が無くEはある胸!そしてくびれている腰、そして胸とくびれにあった絶妙な大きさの尻!満点以外にありえません。足も太くなく細い、そして我々の業界でのご褒美に適した綺麗な足!殺し合いばかりなはずなのに繊細そうな手!うむ完璧だ流石私の嫁。」
「ああもうこの変態を誰かなんとかしてよ、それに誰が嫁よ!」
「細かいことです、さあさっそく水浴びしましょう!」
「……そうね。」
突然幽香が温和な顔から殺気だった目つきへと変貌する。
このギャップもたまらない。たまらないが、果たしてどうしたというのだろう。
「どうかしたのですか。」
「そこの天狗、何用かしら。」
幽香があらぬ方向をむいて言った。
天狗だって?まさかもう来ていたのか。
しかしさすがは風見幽香、見つけるのが早い。
そして茂みから顔を出したのは射名丸文だった。
「侵入者を追い出しに来た、そのはずだったんですがねぇ。」
すーっと、場の温度が下がる。
幽香も文も、いつものほんわかした雰囲気は消えうせ、重苦しい雰囲気が漂う。
ちなみに私はその空気に着いていけずにぼーっとしていた。ゆーかさーん、私ボールもってきたんですがーきーてませんかーそーですかー。
「風見幽香がきた、そう聞き知り合いである私が対処にしにきたと思ったら、何ですかこれは。」
嫌悪、拒絶、絶望、負の感情に染まった顔を浮かべ。
文は幽香と私のいる場所に視線を向ける。
長年新聞を取った仲であるが、このような表情は初めてみた。
毎度おなじみの取材モードではない。まさか日が悪かった?今日は妖怪の山で何か大事なイベントでもあったりしたのか。
「デートで水浴びです。」
「……水浴びしてたのよ。」
「ええ、見たらわかるんですよ。人が暑い中警護して、緊急事態と思って来たら水着を着た二人が楽しそうに、楽しそうに遊んでいる……ふざっけんな!」
文は憤怒を顔にあらわにして叫んだ。
「幻想郷ランキングの、社交性が無さそうな妖怪、友達がいなさそうな妖怪、独り言が多そうな妖怪ランキング一位の幽香さんに恋人がいて、何で私には恋人すらいないんですか!同僚に聞いても友人ならいいけど恋人にするのはちょっと…、可愛いし、美人だけど彼女にはしたくない、アイドルにはなれそうだけど彼女にはしたくない、一体私と幽香さんに何の違いがあるんですか!」
って嫉妬かよ!!見苦しいなオイ!!
「射命丸文さん。」
「なんですか、人間。」
「そんなことより一緒にビーチバレーならぬリバーサイドバレーでもしませんか。」
「殺してやりましょうか。」
話は通じないらしい。
「お断りさせて頂きます。あと十年程は死ぬ気はありませんよ。貴方は……文さんは幽香さんのことを何もわかってません。」
ほう?と文が阿求を睨む。
「貴方の何百倍もの付き合いがある私が何もわかっていないと?」
「ええ、幽香さんは……可愛いんです!それはもう!愛らしくて美人なんですよ!あの可憐な容姿、出るところは出ているにも関わらず華奢な体つき、眩しい笑顔、花を操る程度の能力、おまけに強くて頼もしい!どこを見ても完璧です。それに知ってますか、幽香さんと待ち合わせしたら……一分程遅れるだけでそわそわし始めるんですよ!?かわいくね!?五分程遅れると私に何かあったのか心配そうな顔し始めて三十分ほど遅れると約束をすっぽかされたと思って悲しそうな顔をするんですよ!?でも私が来たら毅然とした態度で私を待たせるなんていい度胸ねとか言うんですよ!?」
「いつの話だコラ。」
幽香にどつかれた。作り話でもなんでも評価を上げてやってるんだからいいじゃん。
「社交性が無い?違います、幽香さんは大切な人としか会話しないだけです。友達がいない?リリーさんやチルノさんといった妖精達と花畑で一緒に遊んでる時の可愛さも知らないのに何をいってるんですか。独り言が多い?花と喋ってるだけです!むしろそういうメルヘンな所も可愛いんです!」
「殺すわよ。」
「ごめんなさい。」
ものすごくドスの聞いた声だった。あれー?フォローしてはずなのにおかしーな―?
「とにかくっ!幽香さんのことが何もわかってないくせに、なんにもわかってない貴方が幽香さんのことを語らないでください!」
「へぇ、恋は盲目ですか。リア充め爆発しろロリコンが。」
「誰がロリコンよ。好きで居る訳じゃないっての。」
「それに下着!幽香さんの下着は……。
「何を語ろうとしてんだコラァァァァァァァ!!」
ゆうかのこうげき!かいしんのいちげき!
あきゅうに65536のダメージをうけた!
「があああああ!息ぴったりですねぇこのバカップルめ!」
「どこがっ!?」
「そうです!私と幽香さんはSとMという最高のパートナー関係なのです!」
「Sは基本Mが嫌いよ!!」
そうなのか。こっちの道はまだまだ複雑だ。
「SとかMとかじゃなくてボケと突っ込み的にの話です!くそおおおおお、私だって彼女がいたら…いたら…。」
「そんなことより、さっさと幽香さんのこの愛らしさ可愛さ美人さ胸尻太ももを新聞にのせるんです!」
「何が楽しくて、恋人話をのせないとダメなんですか。そうだ、なんなら今すぐ別れてください。それを書きますんで。」
「出来るわけないでしょう!?」
「阿求、私との関係……これっきりにしましょう。」
「ゆーかさぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!??」
「というのは嘘で、ハナから付き合ってないわ。」
ウソでもやめてほしい。というか幽香さんはこの期に及んで付き合ってないと言って信じてもらえると思っているのでしょうか。
「口先ではなんとでも言えるでしょうねぇ、ケッ。」
ものっそい不機嫌だ―!?
「で、でもアレでしょう?射命丸さんには犬走椛さんという恋人が……。」
「……と、星蓮船ぐらいまでは思っていたけど実は嫌われていました。」
「……。」
「……。」
「フラれたのね。」
「はっきり言うなコラ!!」
たぶん射命丸の思い込みだったから振られるとはニュアンスが違う気がする。
ただ、それが原因でこうなってると考えればなんともかわいそうに思える。
「クッ!ここまで言われて黙って帰る私ではありません!こうなったら写真の一つでもあさめてから帰ります!」
「あっ、そうですか。ではお言葉に甘えて。」
私は幽香さんにすり寄った。
「離れなさい。」
「ぎゃっ。」
幽香さんが私を突き飛ばしたその時である。
「今です!!食らいなさい!!」
そう叫んだ射命丸が手に持っていたのはスペルカードだった。
弾幕戦!?まさか幽香さんは私が巻き込まれないように───────
突風「エッチな風」
ふわーりと、飛んでゆく向日葵。
それが私の目の前に落ちて、それがビキニの上なのだと分かった。
まぁつまり何が言いたいかっていうと……。
「射命丸ぐっじょぶはぁっ!?」
ああ、今日は何時にも増してよく殴られる日だなぁ。
だが、わが生涯に一片の悔いなしッ……!!
「鳥タイプは、雷に弱い。」
「いやマスタースパークは別に雷属性じゃ────!?」
マッハいくつで飛ぶとか何とか言う射命丸文もさすがにレーザーの光の速さより早く逃げ切ることはできなかった。
「ふふ完全勝利です、さてゆうかさん私と水浴びを……。」
「ねぇ阿求。」
「なんですか。」
「私の水着、返しなさい。」
幽香は水着の無い上半身を腕で隠しながら言った。
「え、ないんですか?それは大変、私も探しますね。」
「返しなさい。」
「はは、私は持ってないですってば。」
「返しなさい。」
「私がそんなことするわけないじゃないですか。」
「返しなさい。」
「あー、川に流されて行っちゃったんですかねー。」
「ねぇ阿求」。
「はいなんでしょう?」
「あんたの水着、胸になんかが隠してある風に見えるんだけど。」
「し、失敬な、私結構胸あるんですよ。」
「三角形に膨らんでるわね。」
「違います!嘘ついたのは謝ります!これ実はパッドで
「阿求。」
「…………幽香さんが大事なところを隠している腕を避けてくれれば返します。」
「そう、残念ね。」
「いやああああああああっ!?」
幽香さんの傘からマスタースパークの光が見える
ああわたしはこんなところでしんでしまうのか…
そう思っていると、急にそのエネルギーが霧散する。
「…はぁ…もういいわよ。」
「えっ?」
「アンタが変態なことは知ってるし、どうでもいいわよ。」
「見せてくれるのですか?」
「あんたの我儘に付き合ってやるのもまた一興な気がしてきたのよ。」
「え……。」
「そうよね。どうせ短い付き合いなんだし、こういうのもいいかなって思えてきたって、そう言ってるのよ。」
「ほ、本当ですか……?」
「ようやく分かったわ。私が退屈になったらあんたの家に行く理由。いや、私も心底認めたくないと思う部分があったのかもしれないけど……ようするに私は貴女といるのが好きなのね。」
「……ちょっ……えっ……あの……へぇっ!?」
なんだなんだなんだこれは!?
いつのまにこんなフラグがたった?
まさか夢!?いやこの際夢でも構うものか!!
告白イベント!両想い確定!!
次に来るイベントは何か!?決まっている!
幽あきゅベッドにインしたお!!きゃっふぅぅぅぅぅぅぅい!!!
「けどふっきれたらなんか考え方も変わるわねぇ……ねぇ阿求、見るだけで満足?」
「ななななななななななななななななななななな何をぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
もう限界です。
リミッター解除ですよ。解除しちゃいますよ。
もうこの際ベッドじゃなくても構うものか。ここでこのまま ウ フ フ な展開にっ!!いやむしろこれはそういう流れッ!!
「幽香さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
幽香の元へ駆け寄る!膝まで川に浸かっているのにまるで空を飛んでいるように体が軽い!!
幽香の腕が動く!ああ、ついに!念願の!ミラクルフルーツを!我が手にッ!!
私の手も動く!!夢を掴み取るために!!まっすぐと伸ばす!!
嗚呼!僕たちの両手は、夢を掴み取るためにあるんだぜ!!ありがとう皆!ありがとう夏目先生!!誰だよ!!
阿求が手を伸ばす。細い腕一本で隠された果実をロックオンし、全神経をそれに集中させる。
あと20cm!10cm! 9! 8! 7! 6! 5!
自分の足が浮いた!構うものか!
デジャヴがちらついた!構うものか!そんな現実認めるものか!!
ゆけっ!私の指!! あと、10cm! それでも!!認めたくない現実があるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
柔道「十年背負い」
技あり!一本!
阿求は泣いていた。
「ひっく……乙女の純情を弄ばれたぁ……ぐすっ……。」
「それを言うなら変態の欲情でしょ。」
いつのまに幽香はこんな芝居を使えるようになっていたのだろうか。まんまと引っ掛かったではないか。
いや、むしろあれは誰でも引っ掛かる。この阿礼乙女が言うんだから間違いない。
……まぁ、過ぎたことは過ぎたこととして。
「それにしてもあんまり水浴び出来ませんでしたね……。」
「貴女は十分過ぎるくらいやったんじゃない?」
「……いや、一回川に行っただけで2回も溺れるとか普通の人間ならトラウマになってますよ?」
「よかったじゃない、河童に足引っ張られて光り輝く水底のトラウマにならなくて。」
「洒落になってません……。」
……でも、水浴びこそ短かったものの、今日一日では楽しかったなぁ。
やっぱり、彼女といると一日の楽しさが段違いだ。中毒になりそうなくらいに。一日居なかったら禁断症状が出そうなくらいに。
けどまぁ、風見幽香が自分だけのものじゃないというのも分かっている。
幽香はよく私に会いに来てくれるし、私の目から見ても楽しそうだ。
でも私だけの物にはならない。……幽香の友人は私だけじゃない。
射命丸文に言った妖精等もそうだし、霊夢や魔理沙とも仲がいい。それを邪魔する権利は私にはない。
「ねぇ幽香さん、来年も再来年もその次もその次の次も、川、もしくは海にいきませんか。私がいなくなるまで、ずっと。」
けど……こうやって予約とっとくくらい……いいですよね?
「毎年って……そんなに水着がみたいの?」
「…………。」
ああ、そういう目で見られる?……まぁ、いっか。
これが私と幽香さんだ。
「なに言ってるんですか、エロゲの主人公にとっちゃ恒例行事でしょう。」
「エロゲ?」
「幻想郷よりも幻想郷な物語の事です。」
「意味がわからないわ。」
「で、来年の水着は紐、その次はボディペイント、そして最後に何も着ずにっ……ごめんなさい嘘ですここ空中なんで背負い投げされたらやばいです。すでに背負われてますけど。」
空の帰り道。高い所にいると夕日がまぶしい。
いいことがあった日には特にだ。
「ところで幽香さん。」
「何?」
「さっきの、どこまで本気だったんですか?」
「なんて言ったらあれとこれは本気だったと言うとでも思ったの?残念ながら全部演技よ。」
「はぁ……そうですか…………。」
すこし高度を落とすのが早いかと思ったが、幽香は太陽の畑の前に私を降ろした。
……まさか。
「まさか泊めてくれるとか。」
「こっからは歩いて帰りなさい。」
「……えー。」
こっから人里入るまで一時間くらいかかるじゃん……。
「えーじゃない。私も疲れたのよ。」
「うー……。」
「うなったって駄目。じゃあね。」
幽香は太陽の畑に入って行った。どうやら本気らしい。
でもまぁ、いいか。家からここまで歩いて行けるくらいの体力があれば、私は自分から幽香に会いに行けるようになる。
「じゃぁ幽香さん、また明日。」
「……そうね、また明日。」
願わくば、一日も長くこの日々が続きますように。
あ、そういえばキュウリ忘れた。まぁいいや稗田屋の在庫からパクッて渡そう。
(一発でバレました☆)
でも幽あきゅもいいです。
というかあっきゅんww
最高なのに
そして幽あきゅ流行れ。
なんだか中の良い姉妹のようにもみえ、バカップルにもみえる。
そして幽香の水着・・・阿求GJ!
取り敢えずもっと流行れ
そのうちこのあきゅはテーレッテーするだろwwwww
ところで幽あきゅと同じくらいもこパチュとレミミスに興味があるのですが……。
幽あきゅ万歳!