誰かが泣いているような
そんな雨が降る
街は様々な色の光が溢れ
まるで宝石箱の中みたいだ
行きかう人々は雨に濡れまいと
小走りで帰路へと向かう
そんな事は特にこの上海では珍しくはない
でも
今日だけは違った
清でありながら外国租界の場所の特色からか
この街には清の伝統品とオルゴールが並んで売ってある
なんて事がよくある
ショーウィンドウの奥
私はある1つの人形に目を奪われた
燃えるような紅髪
深い森のような深緑の目
透き通るように美しい肌
清の人民服をベースにした洋服
それに・・・なんだろうか
ベレー帽に似た帽子に星のバッヂがついている
名前は・・・アリスというのか
なんとも不思議で、美しくかわいらしい人形だ
私はこの人形を買うことにした
娘達のプレゼントにちょうどいいな
喜んでくれるだろうか?
そう思いながら人形を持ち上げると
涼しげで美しい鈴の音がした
どうやら中に鈴を入れてあるらしい
家に帰りさっそく娘達に手渡すと
二人とも両手をあげて喜んでいた
おと~さんありがと~
お父さん幸せ過ぎて死にそうだよ
買ってきてよかった
ね~おと~さ~ん、この子の帽子のバッヂに龍って書いてある~
ほんとだ~、つよそ~、この子龍なのかな~?
最後に娘達を喜ばすことができてよかった
次の日
私は戦場にいた
戦争の中ではよくあることだ
昨日までの平和も
ある日突然壊される
笑い声は悲鳴に
暖かな明かりは闇となり
心地良い音楽は銃弾の飛び交う音に変わった
色鮮やかだった景色は灰色に
澄んだ青空は暗く重い
私はそんな中を走っていた
何のために?
そんな事はもう忘れた
昨日娘達の笑顔を見た時覚悟を決めたはずだった
だが
もう一度あの笑顔を見たい
生きたい
娘達の成長を見届けたい
何のために走っているのか?
そうだ、生き残るためだ
右も左も分からない戦場だが
これだけは分かる
生きて帰って、また家族と笑いあいたい
そうだ、生きて帰るんだ
突然真横の地面が抉れた
そうかと思うと前にいた仲間の体が崩れ落ちた
声をかけるより早く乾いた音が響く
突然右足が熱くなった
力が入らない
右足が赤く染まっていた
いたる所で叫び声が聞こえる
いつの間にか茶色かった地面は赤くなり
風の音は消え、代わりに爆音と悲鳴が響く
突然、胸に強い衝撃がきて仰向けに倒れた
立ち上がろうにも手足に力が入らない
それどころか抜けていくようだ
まぶたも重く
目を開けていられない
そうか
どうやら
私は死ぬらしい
悔しいなあ
死ぬ前に
神よ、最後に1つだけ願いを聞いてくれ
私を生かしてくれとは言わないから
家族を、娘達を
護ってくれ
音が消えていく
熱かった体も、今は何も感じない
自分が今どんな体勢でいるのかも分からなくなった
あなたの願い
あなたの想い
たしかにうけとりました
安心してください
私が、あなたの代わりに彼女達を護ります
そんな声が
消え行く意識の中で
最後に聞こえた気がした
その後、彼の家族がどうなったか
それは分からないが
彼の買った人形は何百年もの間
持ち主の家を災厄から護り続け、いつの日か
消えてしまったらしい
最後に彼女を見た者は
こう言った
あの人形が消えた日
あれにそっくりな女性が歩いてるのを見たなあ
同じ頃、とある国で
二人の幼い吸血鬼が命の危険にあった
安心してください
私があなた達を護ります
そんな雨が降る
街は様々な色の光が溢れ
まるで宝石箱の中みたいだ
行きかう人々は雨に濡れまいと
小走りで帰路へと向かう
そんな事は特にこの上海では珍しくはない
でも
今日だけは違った
清でありながら外国租界の場所の特色からか
この街には清の伝統品とオルゴールが並んで売ってある
なんて事がよくある
ショーウィンドウの奥
私はある1つの人形に目を奪われた
燃えるような紅髪
深い森のような深緑の目
透き通るように美しい肌
清の人民服をベースにした洋服
それに・・・なんだろうか
ベレー帽に似た帽子に星のバッヂがついている
名前は・・・アリスというのか
なんとも不思議で、美しくかわいらしい人形だ
私はこの人形を買うことにした
娘達のプレゼントにちょうどいいな
喜んでくれるだろうか?
そう思いながら人形を持ち上げると
涼しげで美しい鈴の音がした
どうやら中に鈴を入れてあるらしい
家に帰りさっそく娘達に手渡すと
二人とも両手をあげて喜んでいた
おと~さんありがと~
お父さん幸せ過ぎて死にそうだよ
買ってきてよかった
ね~おと~さ~ん、この子の帽子のバッヂに龍って書いてある~
ほんとだ~、つよそ~、この子龍なのかな~?
最後に娘達を喜ばすことができてよかった
次の日
私は戦場にいた
戦争の中ではよくあることだ
昨日までの平和も
ある日突然壊される
笑い声は悲鳴に
暖かな明かりは闇となり
心地良い音楽は銃弾の飛び交う音に変わった
色鮮やかだった景色は灰色に
澄んだ青空は暗く重い
私はそんな中を走っていた
何のために?
そんな事はもう忘れた
昨日娘達の笑顔を見た時覚悟を決めたはずだった
だが
もう一度あの笑顔を見たい
生きたい
娘達の成長を見届けたい
何のために走っているのか?
そうだ、生き残るためだ
右も左も分からない戦場だが
これだけは分かる
生きて帰って、また家族と笑いあいたい
そうだ、生きて帰るんだ
突然真横の地面が抉れた
そうかと思うと前にいた仲間の体が崩れ落ちた
声をかけるより早く乾いた音が響く
突然右足が熱くなった
力が入らない
右足が赤く染まっていた
いたる所で叫び声が聞こえる
いつの間にか茶色かった地面は赤くなり
風の音は消え、代わりに爆音と悲鳴が響く
突然、胸に強い衝撃がきて仰向けに倒れた
立ち上がろうにも手足に力が入らない
それどころか抜けていくようだ
まぶたも重く
目を開けていられない
そうか
どうやら
私は死ぬらしい
悔しいなあ
死ぬ前に
神よ、最後に1つだけ願いを聞いてくれ
私を生かしてくれとは言わないから
家族を、娘達を
護ってくれ
音が消えていく
熱かった体も、今は何も感じない
自分が今どんな体勢でいるのかも分からなくなった
あなたの願い
あなたの想い
たしかにうけとりました
安心してください
私が、あなたの代わりに彼女達を護ります
そんな声が
消え行く意識の中で
最後に聞こえた気がした
その後、彼の家族がどうなったか
それは分からないが
彼の買った人形は何百年もの間
持ち主の家を災厄から護り続け、いつの日か
消えてしまったらしい
最後に彼女を見た者は
こう言った
あの人形が消えた日
あれにそっくりな女性が歩いてるのを見たなあ
同じ頃、とある国で
二人の幼い吸血鬼が命の危険にあった
安心してください
私があなた達を護ります
書き込みは薄く、おぼろげに情景が浮かぶような感じでしょうか。
読みにくいことはないです。日本語として間違っているわけではなく、
おかしな表現もないので。
小説に慣れると違和感はありますが、こういった形態もあっていいと思います。
ただこういったのは得てして描写が薄いので、構成が問われるかもしれません。
個人的には綺麗な話だと思いました。
しかし最後、人形が幼い吸血鬼姉妹を護る必然性に欠けていたのが腑に落ちませんでした。
吸血鬼と人形を紐付ける要素が抜け落ちている感じですね。
その辺が気になりました。
あとは、人形が何百年もの間、持ち主の家を災厄から護り続けたというくだり。
それだと未来の話になってしまうような気が……。
個人的には、もうちょっと味付け(物語の内容)を濃くしても良かったんじゃないかなと思いました。