この作品は、たいせつなもの#1からの続きで御座います。
もしもお読みいただけるのならば、#1からお読みくださいますよう、お願い致します。
では、どうぞ!
その日の暮れ。
いや、地霊殿の中で実際に日の昇りなどを確認できはしない。
地上の時間では、もう暮れなのであろう。
空はさとりの傍に向かっていた。
用件は単純明快、晃について。
きっとさとりならば、何故晃があんなに人を突き放したがるのかを知っていると空は思っていた。
さとりならば、晃の過去を知っていると。
さとりの元へ向かう道中、空はぶつぶつと何かを呟いていた。
「…アキラ君、なんであんなに怒ったのかな…?
私何かしちゃったのかな…。」
空は俯いて、ずっとそのことを引きずっていた。
晃を怒らせたのは自分自身だと、空はそう感じていた。
そして、そんな事を考えているうちに空はさとりのもとへと辿り着いた。
少し古めかしい雰囲気の家の玄関口。
其処がさとりの住む家であった。
其処に見えるのは小さな、人間1人が通れるくらいの普通の扉。
そして、二度ノックをすると、少女が扉を開けた。
赤い大きな瞳を胸に付けて、幼稚園児のような、そんな雰囲気の服を着て。
ヘアバンドを付けて、ピンク色の髪をした背の低い少女。
「…あら、どうしましたお空?」
地中の主、古明地さとり。
さとりは優しく微笑みながら、空にそう告げた。
その言葉を聞いて、空は1つ頷いて、そして言葉を続けた。
「えっと…さとり様、実は―――。」
空の話は少しの間続いた。
さとりはその話を真剣な面持ちで聞いていた。
「ってなことがあったんです。」
空がそう言った時、さとりはふむ、と言った様な表情をうかべた。
そして1人で頷いた後、空の顔を見て告げた。
「…お空、実は私も、あの少年のことは殆ど知らないんです。」
「え、そうなんですか?」
空は心底驚いていた。
まぁさとりが全てを知っているかといえばそうでもない。
簡単に考えれば分かるのだが、何分空は鳥頭。
さとりにならば何を聞いても分かると、そう考えていたのだ。
「はい、あの少年…晃が此処に入ったのは実に最近の事なのです。
地上の主八雲紫が、此方の世界に迷い込ませたそうなのですがね。
結局、余り喋らず、行動せず、そして能力も不明。
そんなことから、地中に追いやられてしまったそうですが…。」
さとりは空にそう話していた。
だが空は、理解できていないといった様子でぽかんと口を開けていた。
「…やっぱり分かりませんか。」
さとりは苦笑いしながらそう言った。
その言葉を聞いて、空は恥ずかしそうに頭を掻く。
「そっ、そんなことより!
アキラ君は元々こっちの…『幻想郷』の人じゃないんですか!?」
「…そうですね、元は『ニホン』と呼ばれる場所に住んでいた…という話を聞きました。」
さとりはそう言って、空を家の中へ上げた。
いつまでも立ち話もなんだ、とそういいながら。
空の表情は暗かった。
傍に居るな。何処かへ行け。
晃に言われた言葉が、いつまでも意味を持って空の心を締め付けていた。
いつもの様子ではないと感じたさとりは、1つの巻物を取り出してきた。
「さとり様?その巻物は…。」
「これは『幻想入り』して、此方の世界から『ニホン』へと戻った者達、また、そのまま此処へ居座り続けた者達のデータです。
ついこの間、碑田の者にまた更新してもらったのですよ。」
さとりはそう言って、空の目の前にある机の上に、巻物を広げた。
空はそれをじっと見ていた。
「この数年間、『幻想入り』する人物は増え続けています。
そして、その者達には共通してとある事が起こっています。」
さとりはそう言いながら、幻想入りした者の名前をすっと指でなぞった。
1人、2人と、なぞりながら説明を続ける。
「全員、この幻想郷の住人となんらかの関係を持ち、そしてニホンへと帰る。
または、その関係を崩し、幻想郷に居座る。という事に皆がなっています。
そして今回、晃との関係を持った幻想郷の住人は、空、貴女です。」
さとりはくすりと微笑みながら告げた。
その言葉を聞いて、空は必死に考えた。
唸りながら、必死に、必死にさとりに言われた事を考え続ける。
「…それはつまり、私がアキラ君の傍にいなくちゃ駄目ってことですか?」
「その通り、しっかりと気にして上げるのが、貴女の役目です。」
さとりがそう言うと、パッと空の表情は明るくなった。
傍にいてはいけないと思っていたのに、傍にいていいと言われたのだ。
既に晃に言われた言葉は空の頭の中から消え去っていた。
「…ですが、空。貴方はあの少年と出会ってまだ長くないはずです。」
「そういえば…昨日会ったばかりでした。」
「昨日…っ。」
さとりは思わずブッと噴出してしまった。
それを見て空は思わず心配するが、さとりはそれに苦笑いしながら、平気と返した。
「だったら、もっと仲良くならなくちゃなりませんね。
もしあの少年の事で何か分かったら、逐一私に伝えてください。
私としても、地中の者達の事は知って置くべきだと思えますからね。」
さとりにそういわれて、空は1つ頷いた。
それを見て、さとりはにこりと微笑んだ。
「さぁ、今日はもう遅いですよ。
地中の者達もそろそろ寝る準備を始めている事でしょう。
…まぁ、貴女なら心配ないと思いますが、今日は此処へ泊まりなさい。
貴女の家から此処までは、結構な距離もありますしね。」
苦笑いしながらさとりはそう告げた。
その言葉を聞き、さとりの表情を見て、空の表情はより明るくなった。
「ハイっ!」
にこりと満面の笑みを浮かべながら、空はそう返した。
そして、その日の地中の睡眠時間が過ぎていった―――。
翌日。
さとりが目を覚ますと、既に空は家から出て行っていた。
早朝から出て行って、きっと家に帰ったのだろう。
さとりは思わずくすりと笑いながら、着替えてそのまま家から出て行った。
そして皆で食べる朝食も終わり、晃はまた誰とも会話せず1人で何処かへ行ってしまった。
空はそんな晃に、気付かれないように空を飛んで付いて行った。
その様子を、1人の女性と、少女が見ていた。
「最近、空は何をしてるんだい?」
頭から星の模様が描かれている角を生やして、まるで体操服のような服を着て。
下は特徴的な青のスカートを履いた、金髪の美しい女性がそう告げていた。
地中の鬼、星熊勇儀である。
そしてそんな勇儀の言葉に、これまた特徴的な服を着た少女が返事をした。
茶色の服、黒いリボン。これまた金髪の、可愛らしい少女。
スカートは何故か膨らんでいて、まるで蜘蛛のようにも見える。
「さぁ?なんだか男の人に会いに行ってるみたいだけどねぇ。」
土蜘蛛、黒谷ヤマメである。
「男の人…?この辺だったら鬼くらいしか住んでないけど…。
地獄鴉が鬼に惚れるか、それもそれで面白いかもね。」
勇儀がそう言うと、ヤマメもその言葉に合わせてクスクス笑った。
だがそんな2人の間を割って裂くように、主が現れる。
「楽しそうですね、2人とも。」
さとりであった。
にこりと微笑みながら、2人に向けてそう言い放つ。
すると2人はにこりと笑いながら、挨拶をする。
「よっ、さとり。今日もまた疲れたような顔してるねぇ。」
「さとり様、おはようございます。
いやはや…お空が何か逢引をしているそうで。結構楽しいんですよこれが。」
呼び捨てにしたのが勇儀、さん付けで丁寧に話すのがヤマメ。
そんな2人に、さとりは会釈をしながら1つ質問をする。
まぁ、さとり自身の『能力』を使えば質問などする必要はないわけだが。
「何が楽しいのですか?会いに行ってるのはお空なのでは…。」
「これがまた、相手を想像するんが楽しいんですよぉー。
鬼か、はたまた土蜘蛛か!なんだかんだで種族は豊富ですからねぇ♪」
完全に楽しんでいるヤマメ。
まぁ、趣味に口出しをするつもりもないとさとりは考えた。
だが、よく分からない嘘の噂が広まるのも面倒だ。
「で、さとりはこんなとこに何をしてんだい?
今日は仕事があるみたいな事言ってた覚えがあるんだけど…。」
勇儀の質問に、さとりは苦笑いを浮かべていた。
「息抜きですよ。ご飯ですし、まぁ少し休憩みたいなものです。
ところで、お空が会いに行っている相手なのですが―――…。」
さとりがいい掛けた瞬間、ダッと全力で走りこんでくる1つの影。
黒と緑の服を着て、赤い髪、一部三つ編み。耳から黒い猫耳を生やした少女が、台車のような物を引きながら凄まじいスピードでさとりの傍へとやってきた。
「さとり様!なにサボってるのにゃ!!今日は紅白巫女に壊された場所の修繕作業の監督でしょ!?」
「お燐…少しくらい休憩させてくれてもいいじゃないですか。」
「駄目だにゃ!今日は忙しいのにゃ。休憩は明日です。」
そう言いながら、少女は引いてきた台車に無理やりさとりを乗せた。
そして、また全力で少女は台車を押しながら何処かへ消えていった。
「…なんだったんだろうね。」
「さぁねぇ、さっ勇儀、後を追いかけようじゃないの!」
ヤマメが言うと、勇儀は溜息を吐いた。
だがその後、拳を打ち合わせて、そのまま一言言い放つ。
「ま、暇だし付き合ってやろうじゃないか。
お空を追いかけるんだろ?」
勇儀がそう言うと、ヤマメはにこりと笑いながら頷いた。
そして2人は、機嫌よく飛んで行ったお空のあとを付いて行く。
目的はただひとつ。
お空が執心する相手の種族…というか。
正体を知るため、2人はお空の後を気付かれないように付いて行く。
そして、お空は晃が立ち止まった時に、晃の傍へと降り立った。
もしもお読みいただけるのならば、#1からお読みくださいますよう、お願い致します。
では、どうぞ!
その日の暮れ。
いや、地霊殿の中で実際に日の昇りなどを確認できはしない。
地上の時間では、もう暮れなのであろう。
空はさとりの傍に向かっていた。
用件は単純明快、晃について。
きっとさとりならば、何故晃があんなに人を突き放したがるのかを知っていると空は思っていた。
さとりならば、晃の過去を知っていると。
さとりの元へ向かう道中、空はぶつぶつと何かを呟いていた。
「…アキラ君、なんであんなに怒ったのかな…?
私何かしちゃったのかな…。」
空は俯いて、ずっとそのことを引きずっていた。
晃を怒らせたのは自分自身だと、空はそう感じていた。
そして、そんな事を考えているうちに空はさとりのもとへと辿り着いた。
少し古めかしい雰囲気の家の玄関口。
其処がさとりの住む家であった。
其処に見えるのは小さな、人間1人が通れるくらいの普通の扉。
そして、二度ノックをすると、少女が扉を開けた。
赤い大きな瞳を胸に付けて、幼稚園児のような、そんな雰囲気の服を着て。
ヘアバンドを付けて、ピンク色の髪をした背の低い少女。
「…あら、どうしましたお空?」
地中の主、古明地さとり。
さとりは優しく微笑みながら、空にそう告げた。
その言葉を聞いて、空は1つ頷いて、そして言葉を続けた。
「えっと…さとり様、実は―――。」
空の話は少しの間続いた。
さとりはその話を真剣な面持ちで聞いていた。
「ってなことがあったんです。」
空がそう言った時、さとりはふむ、と言った様な表情をうかべた。
そして1人で頷いた後、空の顔を見て告げた。
「…お空、実は私も、あの少年のことは殆ど知らないんです。」
「え、そうなんですか?」
空は心底驚いていた。
まぁさとりが全てを知っているかといえばそうでもない。
簡単に考えれば分かるのだが、何分空は鳥頭。
さとりにならば何を聞いても分かると、そう考えていたのだ。
「はい、あの少年…晃が此処に入ったのは実に最近の事なのです。
地上の主八雲紫が、此方の世界に迷い込ませたそうなのですがね。
結局、余り喋らず、行動せず、そして能力も不明。
そんなことから、地中に追いやられてしまったそうですが…。」
さとりは空にそう話していた。
だが空は、理解できていないといった様子でぽかんと口を開けていた。
「…やっぱり分かりませんか。」
さとりは苦笑いしながらそう言った。
その言葉を聞いて、空は恥ずかしそうに頭を掻く。
「そっ、そんなことより!
アキラ君は元々こっちの…『幻想郷』の人じゃないんですか!?」
「…そうですね、元は『ニホン』と呼ばれる場所に住んでいた…という話を聞きました。」
さとりはそう言って、空を家の中へ上げた。
いつまでも立ち話もなんだ、とそういいながら。
空の表情は暗かった。
傍に居るな。何処かへ行け。
晃に言われた言葉が、いつまでも意味を持って空の心を締め付けていた。
いつもの様子ではないと感じたさとりは、1つの巻物を取り出してきた。
「さとり様?その巻物は…。」
「これは『幻想入り』して、此方の世界から『ニホン』へと戻った者達、また、そのまま此処へ居座り続けた者達のデータです。
ついこの間、碑田の者にまた更新してもらったのですよ。」
さとりはそう言って、空の目の前にある机の上に、巻物を広げた。
空はそれをじっと見ていた。
「この数年間、『幻想入り』する人物は増え続けています。
そして、その者達には共通してとある事が起こっています。」
さとりはそう言いながら、幻想入りした者の名前をすっと指でなぞった。
1人、2人と、なぞりながら説明を続ける。
「全員、この幻想郷の住人となんらかの関係を持ち、そしてニホンへと帰る。
または、その関係を崩し、幻想郷に居座る。という事に皆がなっています。
そして今回、晃との関係を持った幻想郷の住人は、空、貴女です。」
さとりはくすりと微笑みながら告げた。
その言葉を聞いて、空は必死に考えた。
唸りながら、必死に、必死にさとりに言われた事を考え続ける。
「…それはつまり、私がアキラ君の傍にいなくちゃ駄目ってことですか?」
「その通り、しっかりと気にして上げるのが、貴女の役目です。」
さとりがそう言うと、パッと空の表情は明るくなった。
傍にいてはいけないと思っていたのに、傍にいていいと言われたのだ。
既に晃に言われた言葉は空の頭の中から消え去っていた。
「…ですが、空。貴方はあの少年と出会ってまだ長くないはずです。」
「そういえば…昨日会ったばかりでした。」
「昨日…っ。」
さとりは思わずブッと噴出してしまった。
それを見て空は思わず心配するが、さとりはそれに苦笑いしながら、平気と返した。
「だったら、もっと仲良くならなくちゃなりませんね。
もしあの少年の事で何か分かったら、逐一私に伝えてください。
私としても、地中の者達の事は知って置くべきだと思えますからね。」
さとりにそういわれて、空は1つ頷いた。
それを見て、さとりはにこりと微笑んだ。
「さぁ、今日はもう遅いですよ。
地中の者達もそろそろ寝る準備を始めている事でしょう。
…まぁ、貴女なら心配ないと思いますが、今日は此処へ泊まりなさい。
貴女の家から此処までは、結構な距離もありますしね。」
苦笑いしながらさとりはそう告げた。
その言葉を聞き、さとりの表情を見て、空の表情はより明るくなった。
「ハイっ!」
にこりと満面の笑みを浮かべながら、空はそう返した。
そして、その日の地中の睡眠時間が過ぎていった―――。
翌日。
さとりが目を覚ますと、既に空は家から出て行っていた。
早朝から出て行って、きっと家に帰ったのだろう。
さとりは思わずくすりと笑いながら、着替えてそのまま家から出て行った。
そして皆で食べる朝食も終わり、晃はまた誰とも会話せず1人で何処かへ行ってしまった。
空はそんな晃に、気付かれないように空を飛んで付いて行った。
その様子を、1人の女性と、少女が見ていた。
「最近、空は何をしてるんだい?」
頭から星の模様が描かれている角を生やして、まるで体操服のような服を着て。
下は特徴的な青のスカートを履いた、金髪の美しい女性がそう告げていた。
地中の鬼、星熊勇儀である。
そしてそんな勇儀の言葉に、これまた特徴的な服を着た少女が返事をした。
茶色の服、黒いリボン。これまた金髪の、可愛らしい少女。
スカートは何故か膨らんでいて、まるで蜘蛛のようにも見える。
「さぁ?なんだか男の人に会いに行ってるみたいだけどねぇ。」
土蜘蛛、黒谷ヤマメである。
「男の人…?この辺だったら鬼くらいしか住んでないけど…。
地獄鴉が鬼に惚れるか、それもそれで面白いかもね。」
勇儀がそう言うと、ヤマメもその言葉に合わせてクスクス笑った。
だがそんな2人の間を割って裂くように、主が現れる。
「楽しそうですね、2人とも。」
さとりであった。
にこりと微笑みながら、2人に向けてそう言い放つ。
すると2人はにこりと笑いながら、挨拶をする。
「よっ、さとり。今日もまた疲れたような顔してるねぇ。」
「さとり様、おはようございます。
いやはや…お空が何か逢引をしているそうで。結構楽しいんですよこれが。」
呼び捨てにしたのが勇儀、さん付けで丁寧に話すのがヤマメ。
そんな2人に、さとりは会釈をしながら1つ質問をする。
まぁ、さとり自身の『能力』を使えば質問などする必要はないわけだが。
「何が楽しいのですか?会いに行ってるのはお空なのでは…。」
「これがまた、相手を想像するんが楽しいんですよぉー。
鬼か、はたまた土蜘蛛か!なんだかんだで種族は豊富ですからねぇ♪」
完全に楽しんでいるヤマメ。
まぁ、趣味に口出しをするつもりもないとさとりは考えた。
だが、よく分からない嘘の噂が広まるのも面倒だ。
「で、さとりはこんなとこに何をしてんだい?
今日は仕事があるみたいな事言ってた覚えがあるんだけど…。」
勇儀の質問に、さとりは苦笑いを浮かべていた。
「息抜きですよ。ご飯ですし、まぁ少し休憩みたいなものです。
ところで、お空が会いに行っている相手なのですが―――…。」
さとりがいい掛けた瞬間、ダッと全力で走りこんでくる1つの影。
黒と緑の服を着て、赤い髪、一部三つ編み。耳から黒い猫耳を生やした少女が、台車のような物を引きながら凄まじいスピードでさとりの傍へとやってきた。
「さとり様!なにサボってるのにゃ!!今日は紅白巫女に壊された場所の修繕作業の監督でしょ!?」
「お燐…少しくらい休憩させてくれてもいいじゃないですか。」
「駄目だにゃ!今日は忙しいのにゃ。休憩は明日です。」
そう言いながら、少女は引いてきた台車に無理やりさとりを乗せた。
そして、また全力で少女は台車を押しながら何処かへ消えていった。
「…なんだったんだろうね。」
「さぁねぇ、さっ勇儀、後を追いかけようじゃないの!」
ヤマメが言うと、勇儀は溜息を吐いた。
だがその後、拳を打ち合わせて、そのまま一言言い放つ。
「ま、暇だし付き合ってやろうじゃないか。
お空を追いかけるんだろ?」
勇儀がそう言うと、ヤマメはにこりと笑いながら頷いた。
そして2人は、機嫌よく飛んで行ったお空のあとを付いて行く。
目的はただひとつ。
お空が執心する相手の種族…というか。
正体を知るため、2人はお空の後を気付かれないように付いて行く。
そして、お空は晃が立ち止まった時に、晃の傍へと降り立った。