街道を真っ直ぐ進むと、
見えてくる。
「ワァー」「ウワー」
雲一つ無い、晴天の下、
そこに広がる大きな湖
「オキィミズゥタマリィダァネ」「ミズタマリー」
水辺まではまだ遠いのに街道から見えるその広さ。
小さい彼女たちには、余計に大きく見えたのだった。
「キラキラー」「キレーダネー」
降り注ぐ光をキラキラと反射させる水面に心奪われながら、
ふらふらと進んでいると、
「ン?」「ドウシタノ?」
何かが猛スピードで目の前を横切る
青い少女と、緑の少女。
「ハヤァイネェ」「ハヤイネー」
しかし、その表情は、
どこか必死で、悲しいものだった。
青と緑の2人は、湖を横切ると、森の中に入ってゆく。
「ネェネェシャンハイ、」
「ナニィ、ホォラィ?」
丁度、先ほどの2人が進んだ方向とは逆方向を指差す。
湖の畔に、一人佇んでいたのだ。
■□■□■
「ねぇ、チルノ」
「なに?」
「私ね、見たいものがあるのよ」
「ふぅん、何を見たいの?」
「この空みたいな青・・・そうね、青い薔薇が見たいの」
青い空を見上げ、先ほどの会話を思い出す。
チルノは「直ぐに持ってくるよ!」
とラミュスを連れて飛んでいったけど・・・
「・・・はぁ」
ラミュスは、気がついていると思う。
でも、多分チルノは・・・
「もう、すぐ・・」
「ネェ」「ネェ」
こんな顔、あの子には見せたくないし・・・
「ナァニミテェルノ?」「ナニミテルノー?」
突然、目の前に二つの顔が現れる。
「ひぇ!?」
な、なに、なんなの!?
「あ・・あなた達は・・?」
「シャハーイダァヨ」「ホウライダヨー」
「・・・人形・・・さん?」
コクコクと頷く二人
確かアリスって子の持ち物だっけ?
「オナァマェ、ナニィ?」「ナマエ、ナニ?」
「あぁ、レティよ」
「レティハ、ナァニミテェタァノ?」「ミテタノ?」
二人は空を見上げる。
あぁ、私が何か見てたと思ってるのね・・・
「あ、あぁ、ぼーっとしてただけよ・・・」
「ナァンデ、カナァシソナカァオナァノ?」「ナンデ、ナキソナカオナノ?」
あぁ、やっぱり表情にでてたのね・・・
「それはね、暫くお出かけするからなの・・」
「シャハーイタァチモ、」「オツカイー!」
きゃいきゃいと、私の周りを嬉しそうに回る。
ふふ、チルノよりも幼い感じね
「おつかいなんだ?
・・・私はね、来年にならないと帰ってこれないの」
「トォイノォ?」「トオイノ?」
動きを止めて、静かに話を聞いてくれる。
「・・・えぇ、とっても、」
「サァミシィ?」「サミシイ?」
「・・うん、寂しいわね・・・でも、行かなきゃならないし、仕方ないわ」
あの子達に、寂しい思いをさせてしまう・・・
あれ?
「カァナシィ?」「カナシイ?」
「・・・・悲しくは無いわよ・・・来年になれば、必ず戻ってくるんだから」
でも、仕方ない・・・
急に目の前が、
「シャハイハ、サァミシィト、カァナシィヨ」「ホライモ、カナシイヨ」
「でも、あの子達には・・・見せれないし」
滲んで
ポタリ、
「あ、あれ?」
ソレが、頬を伝う。
「ヤパーリ、カァナシィンダ」「ナイテルー」
悲しくないのに、
泣きたくないのに、溢れる。
私は溢れるソレを指でぬぐう。
また、溢れて、落ちる。
ソレをぬぐう。
なんども、なんども、
「ぅ、・・・ぐすッ・・・なんで・・・」
涙が、止まらない。
私は、悲しかったんだ。
あの子達との、別れが。
「うぅ・・、・・・少し、ごめんね、」
毎年毎年、あの二人にしてやりたかった事。
でも、こんな顔見られたくないし、
泣いている二人も見たくない。
だから、毎年毎年、あの二人にしてやれなかった事。
目の前の二人の人形をきゅっと抱き寄せる。
「ワアァ」「ウワァ」
「ぐすッ、・・ぅぅう、・・・、」
私は静かに泣いた。
■□■□■
木々の間をスルスルと飛んでゆく2人の妖精。
目的の色は「青」
しかし、今の時期緑の葉すら少ない。
その為に、随分遠くまで探しに着ていた。
レティが、あんなおかしなことを言う
いくらチルノでも、薄々は気がついている。
・・・レティが、居なくなってしまう事を
先頭を飛んでいたチルノが後ろの大妖精に話し掛ける
「ラミィ、青い薔薇ってどこにあるの?」
ラミュスの返事が遅い。
「ねぇ、どこって聞いてるのよ!」
焦っているために、つい、荒げた口調になってしまう。
「・・・無いです、」
「え・・・」
速度を緩めて、止まる。
思考も、止まる。
「そんな、・・・持ってくるって、約束したのに・・・」
後ろでは、ラミュスの嗚咽の音が聞こえる。
去年も、その前も・・・毎年そうだ。
レティがいなくなる時は、いつも知らない時だ。
そして、今年も?
「うぅ、・・・ひどいよ・・」
涙が溢れてくる。
それをこぼさないように、空を見る。
どうして、春が来るんだろう、
この雲一つ無い空が憎らしい。
この、青い空が・・・
あ、・・・・あった、
「・・・、ラミィ、」
「グスッ、・・なんで、すか?」
「あった、あったよ、」
ラミュスの手を握る。
「へ?」
「急ごう!」
ラミュスの手を引いて、チルノは湖に急いだ。
見つけた、青い薔薇。
今年こそは、笑顔で見送るから!
この薔薇をお土産にして!
■□■□■
蓬莱、レティって柔らかいね。
うん、柔らかいね、上海。
きゅっと優しく抱きしめられて、そんな事を思っていると、
押し殺した声で、漏れていた嗚咽が止まる。
「ゥ?」「ン?」
そっと胸から離される。
そして、私達に、ニコリと微笑んでくれた。
「ありがとう、」
瞬間、
晴天の下、
一陣の風と供に、雪が舞い散った。
そして、
■□■□■
見えた!
湖が見えた!
グングンスピードを上げる。
レティに、この薔薇を渡すんだ。
「もうすぐ!」
レティらしき人影も見えてきた!
その時、
湖から一陣の風が、雪を舞い散らせながら吹いてきた
「うわッ」
「キャッ」
何故か、その風と雪は、二人に向かって吹き付ける。
「・・・そんな、」
その風と雪で、二人は察してしまう。
レティが、居なくなってしまった事を。
冬が過ぎ、春が到来した事を。
「ぅ、・・・うぅ、」
また、何も言わずに消えちゃった。
今年も間に合わなかった。
それらの思いが、涙となって溢れてくる。
「チルノさん・・」
後ろから、そっとチルノに声を掛ける。
そんなラミュスも、泣いていた。
「ひっく、考えたのに・・・、せっかく、閃いたのに、」
チルノが手に持っている一厘の薔薇。
それを両手で胸元で持って、静かに泣きじゃくる。
「チルノさん・・ぅく、・・来年、見せましょう・・・」
「うん、・・・来年こそは、・・・、見送るよ、笑顔でまたねって、」
氷で創り出した、透明な薔薇。
それは、一目みただけでは、薔薇とはいえないような、不恰好だけど、
その薔薇は、空の色をしていた。
澄んだ青い色を。
■□■□■
風と雪が止んだ跡には人形二人だけだった。
さっきまで、二人を抱きしめていた彼女は、いない。
「レティ、イチャタァネ」「ウン、イッチャッタネ」
来年、また会えるといいね。
「ソォロソロォ、イコカァ」「ウン、イコー」
早くお使いを済ませよう。
待ってるアリスが寂しがってるかもしれない。
そうだね、早く済ませよう。
見えてくる。
「ワァー」「ウワー」
雲一つ無い、晴天の下、
そこに広がる大きな湖
「オキィミズゥタマリィダァネ」「ミズタマリー」
水辺まではまだ遠いのに街道から見えるその広さ。
小さい彼女たちには、余計に大きく見えたのだった。
「キラキラー」「キレーダネー」
降り注ぐ光をキラキラと反射させる水面に心奪われながら、
ふらふらと進んでいると、
「ン?」「ドウシタノ?」
何かが猛スピードで目の前を横切る
青い少女と、緑の少女。
「ハヤァイネェ」「ハヤイネー」
しかし、その表情は、
どこか必死で、悲しいものだった。
青と緑の2人は、湖を横切ると、森の中に入ってゆく。
「ネェネェシャンハイ、」
「ナニィ、ホォラィ?」
丁度、先ほどの2人が進んだ方向とは逆方向を指差す。
湖の畔に、一人佇んでいたのだ。
■□■□■
「ねぇ、チルノ」
「なに?」
「私ね、見たいものがあるのよ」
「ふぅん、何を見たいの?」
「この空みたいな青・・・そうね、青い薔薇が見たいの」
青い空を見上げ、先ほどの会話を思い出す。
チルノは「直ぐに持ってくるよ!」
とラミュスを連れて飛んでいったけど・・・
「・・・はぁ」
ラミュスは、気がついていると思う。
でも、多分チルノは・・・
「もう、すぐ・・」
「ネェ」「ネェ」
こんな顔、あの子には見せたくないし・・・
「ナァニミテェルノ?」「ナニミテルノー?」
突然、目の前に二つの顔が現れる。
「ひぇ!?」
な、なに、なんなの!?
「あ・・あなた達は・・?」
「シャハーイダァヨ」「ホウライダヨー」
「・・・人形・・・さん?」
コクコクと頷く二人
確かアリスって子の持ち物だっけ?
「オナァマェ、ナニィ?」「ナマエ、ナニ?」
「あぁ、レティよ」
「レティハ、ナァニミテェタァノ?」「ミテタノ?」
二人は空を見上げる。
あぁ、私が何か見てたと思ってるのね・・・
「あ、あぁ、ぼーっとしてただけよ・・・」
「ナァンデ、カナァシソナカァオナァノ?」「ナンデ、ナキソナカオナノ?」
あぁ、やっぱり表情にでてたのね・・・
「それはね、暫くお出かけするからなの・・」
「シャハーイタァチモ、」「オツカイー!」
きゃいきゃいと、私の周りを嬉しそうに回る。
ふふ、チルノよりも幼い感じね
「おつかいなんだ?
・・・私はね、来年にならないと帰ってこれないの」
「トォイノォ?」「トオイノ?」
動きを止めて、静かに話を聞いてくれる。
「・・・えぇ、とっても、」
「サァミシィ?」「サミシイ?」
「・・うん、寂しいわね・・・でも、行かなきゃならないし、仕方ないわ」
あの子達に、寂しい思いをさせてしまう・・・
あれ?
「カァナシィ?」「カナシイ?」
「・・・・悲しくは無いわよ・・・来年になれば、必ず戻ってくるんだから」
でも、仕方ない・・・
急に目の前が、
「シャハイハ、サァミシィト、カァナシィヨ」「ホライモ、カナシイヨ」
「でも、あの子達には・・・見せれないし」
滲んで
ポタリ、
「あ、あれ?」
ソレが、頬を伝う。
「ヤパーリ、カァナシィンダ」「ナイテルー」
悲しくないのに、
泣きたくないのに、溢れる。
私は溢れるソレを指でぬぐう。
また、溢れて、落ちる。
ソレをぬぐう。
なんども、なんども、
「ぅ、・・・ぐすッ・・・なんで・・・」
涙が、止まらない。
私は、悲しかったんだ。
あの子達との、別れが。
「うぅ・・、・・・少し、ごめんね、」
毎年毎年、あの二人にしてやりたかった事。
でも、こんな顔見られたくないし、
泣いている二人も見たくない。
だから、毎年毎年、あの二人にしてやれなかった事。
目の前の二人の人形をきゅっと抱き寄せる。
「ワアァ」「ウワァ」
「ぐすッ、・・ぅぅう、・・・、」
私は静かに泣いた。
■□■□■
木々の間をスルスルと飛んでゆく2人の妖精。
目的の色は「青」
しかし、今の時期緑の葉すら少ない。
その為に、随分遠くまで探しに着ていた。
レティが、あんなおかしなことを言う
いくらチルノでも、薄々は気がついている。
・・・レティが、居なくなってしまう事を
先頭を飛んでいたチルノが後ろの大妖精に話し掛ける
「ラミィ、青い薔薇ってどこにあるの?」
ラミュスの返事が遅い。
「ねぇ、どこって聞いてるのよ!」
焦っているために、つい、荒げた口調になってしまう。
「・・・無いです、」
「え・・・」
速度を緩めて、止まる。
思考も、止まる。
「そんな、・・・持ってくるって、約束したのに・・・」
後ろでは、ラミュスの嗚咽の音が聞こえる。
去年も、その前も・・・毎年そうだ。
レティがいなくなる時は、いつも知らない時だ。
そして、今年も?
「うぅ、・・・ひどいよ・・」
涙が溢れてくる。
それをこぼさないように、空を見る。
どうして、春が来るんだろう、
この雲一つ無い空が憎らしい。
この、青い空が・・・
あ、・・・・あった、
「・・・、ラミィ、」
「グスッ、・・なんで、すか?」
「あった、あったよ、」
ラミュスの手を握る。
「へ?」
「急ごう!」
ラミュスの手を引いて、チルノは湖に急いだ。
見つけた、青い薔薇。
今年こそは、笑顔で見送るから!
この薔薇をお土産にして!
■□■□■
蓬莱、レティって柔らかいね。
うん、柔らかいね、上海。
きゅっと優しく抱きしめられて、そんな事を思っていると、
押し殺した声で、漏れていた嗚咽が止まる。
「ゥ?」「ン?」
そっと胸から離される。
そして、私達に、ニコリと微笑んでくれた。
「ありがとう、」
瞬間、
晴天の下、
一陣の風と供に、雪が舞い散った。
そして、
■□■□■
見えた!
湖が見えた!
グングンスピードを上げる。
レティに、この薔薇を渡すんだ。
「もうすぐ!」
レティらしき人影も見えてきた!
その時、
湖から一陣の風が、雪を舞い散らせながら吹いてきた
「うわッ」
「キャッ」
何故か、その風と雪は、二人に向かって吹き付ける。
「・・・そんな、」
その風と雪で、二人は察してしまう。
レティが、居なくなってしまった事を。
冬が過ぎ、春が到来した事を。
「ぅ、・・・うぅ、」
また、何も言わずに消えちゃった。
今年も間に合わなかった。
それらの思いが、涙となって溢れてくる。
「チルノさん・・」
後ろから、そっとチルノに声を掛ける。
そんなラミュスも、泣いていた。
「ひっく、考えたのに・・・、せっかく、閃いたのに、」
チルノが手に持っている一厘の薔薇。
それを両手で胸元で持って、静かに泣きじゃくる。
「チルノさん・・ぅく、・・来年、見せましょう・・・」
「うん、・・・来年こそは、・・・、見送るよ、笑顔でまたねって、」
氷で創り出した、透明な薔薇。
それは、一目みただけでは、薔薇とはいえないような、不恰好だけど、
その薔薇は、空の色をしていた。
澄んだ青い色を。
■□■□■
風と雪が止んだ跡には人形二人だけだった。
さっきまで、二人を抱きしめていた彼女は、いない。
「レティ、イチャタァネ」「ウン、イッチャッタネ」
来年、また会えるといいね。
「ソォロソロォ、イコカァ」「ウン、イコー」
早くお使いを済ませよう。
待ってるアリスが寂しがってるかもしれない。
そうだね、早く済ませよう。
上海と蓬莱のおかげで少しは寂しい気持ちも晴れて良かったでわ無いでしょうか。
今度はチルノ達が見送れると良いですねぇ。。。
次はどんな事が待ってることやら、楽しみです。