Coolier - 新生・東方創想話

東方雀鬼録(3)

2005/03/27 05:36:22
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<前回までのウラスジ>
69索






脱衣麻雀(だついまーじゃん)……
数ある麻雀の内 もっとも特異とされた条件下で行われるもの
元来麻雀とは四人で遊戯するものだが こちらは主に二人でやるものとされる
その取り決めは実に単純であり 基本的な仕様は四人打ちの麻雀と変わらず
対価として支払われるものが 現金から衣服へと変動したものである
商品価値として衣服を勝ち得るのではなく 
衣服を剥ぎ取るという行為そのものに 勝利の意義があるとされる

                                美鈴書房刊
                            『私脱ぐと凄いんです』より抜粋







魔理沙から放たれた突飛な単語『脱衣麻雀』に対して三人の意見はこうだった。
「脱衣ねぇ、要は「ほれほれ、よいではないか」「あーれー」の世界でしょ? 馬鹿らしい」
冷淡な霊夢。
「そもそも、女同士で持ち上げる場でも無いような……」
至極真っ当に返す妖夢。
「……」
何故か一人蒼ざめている咲夜。
と、三者三様の反応である。


「なんだいなんだい、やる気の無い奴らだな」
魔理沙はつまらなそうに言い捨てる。
その様子からして、魔理沙自身は興味を持っていたことが推測される。
「まぁ二人打ち専用らしいしな、こいつは忘れ……」
「「「「ダメよ」」」」
突如として、魔理沙の言葉を遮る四重結界。
無論、妖怪卓から放たれたものある。

「馬鹿らしいとかそういう問題じゃないのよ。やる事に意義がある、そうは思わないの?」
紫が、西を切り捨てながら言う。

「脱衣という神聖なる行為に男も女も無いの。それが分からないのは修行不足と言わざるを得ないわね」
それを間髪入れずポンしつつ言う幽々子。

「やれ」
リーチをかけると同時に、シンプル極まりない一言を放つレミリア。

「……」
無言で新たな人形を展開するアリス。
普段の可愛らしい外見をした人形と違い、サングラスにチョビ髭という実に怪しげな風体の人形である。

一つ、はっきり言えるのは。
この時、初めて妖怪卓の面子の心が一つになったという事実だ。




「……だそうだ。どうする?」
元よりやる気の魔理沙が、意を得たりといった面持ちで問いかけた。



霊夢は思う。

何だって、やる気って言葉からもっともかけ離れた存在にそんな事を言われなきゃならないのよ。
……そうは言っても、内心興味が無い訳じゃない。
こんな風に考える辺り、また酔いが回ってきたのかもしれないわね……

「別にいいわよ。負けなければ良いんでしょ」



妖夢は思う。
そんな事も分からないなんて……やはり私は未熟者だ。
幽々子様、どうかお見守り下さい。

「……私はやる」



咲夜は思う。
マズい。
バレてる。
もうだめぽ。

「……やるわよ。……ああ! やってやろうじゃないの! 脱衣がナンボのもんじゃい!」
何故かブチ切れた。




かくして行われることになった脱衣麻雀。
本来、脱衣麻雀は1on1で行われるものだが、今回は四人打ちという事でいくつかのルール訂正が話し合われた。
その結果。
・振り込んだ者が一枚脱ぐ。
・ツモ上がりは脱がす事は出来ないが、代わりに一枚着る事が出来る。
・ハコテンになったらその場で全部脱ぐ。
・喰いタン無し。
等が制定される運びとなった。






<妖怪卓>

南四局

人間卓が、激動に揺れている中、こちらの場は至って淡々と進んでいた。
誰かが奇抜な仕込みをすることもなければ、あっと驚くような展開もない。ごく普通の麻雀。
「ツモ。メンタンピン」
オーラスのこの局も、レミリアが何事も無かったかのようにツモ上がりし、終了した。

「あら、誰も30000点超えてないのね」
「西入する?」
「んー、切りもいいし、流しましょ」
あっさりと言ってのけたのは幽々子。
「(さっきの争いはそんなに軽いものだったの!?)」
どこか府に落ちないものを感じるアリスだったが、
我を張る程の事でもないという結論から、幽々子の意見に賛同した。
レミリアと紫からも特に反論は無く、その結果、この一局は勝者無しという結果に終わったのであった。



「何か……ねぇ、燃える物が無いのよね」
点棒を配り直していた紫がそんな言葉を呟いた。
ちらりと、隣の卓を見やると、四者四様の面持ちで喧々諤々と議論を交わしている。
今の場に足りないものは、あの熱気だった。

「きっとスリルが足りないせいね……レートを上げるというのはどう?」
そこにレミリアからの提案。
「それは良いわね。麻雀に限らずギャンブルはある程度のリスクを伴ってこそ面白いものよ」
図らずして幽々子も賛同する。
「ちょ、ちょっと待ってよ! 突然そんな事言われても困るわよ!」
待ったをかけたのはアリス。
それも当然だろう。
幻想郷でも屈指の名家のお嬢様である二人にとっては、
レート変更などエッセンスの一つに過ぎないのかもしれない。
紫に至ってはどれだけ額が跳ね上がろうともスキマ一つで解決してしまう気がする。
だが、一介の家出少女であるアリスにとっては死活問題である。
「大丈夫よ。ほんの10倍だから」
「それのどこが「ほんの」なの! 言葉は正しく使いなさい!」
「じゃ、始めましょうか」
「話聞けっつーの!」
必死の抵抗をまるで無視して、準備を進める三人。
アリスとしてはこのまま有耶無耶の内にレートを上げられてしまう事だけは、何としてでも避けねばならなかった。
1000点ピンならまだ遊びの範囲で済ませられたろう。
が、10倍ともなると、間違いなく家計に多大な影響を及ぼす。


「さくやー、ちょっと家から現金持ってくるように手配して」
声をかけたと思ったその時には、既に咲夜はレミリアの後方に控えていた。
この辺りは完全で瀟洒な従者の名にふさわしい。
「如何程でしょう?」
「そうね……1000000GILくらいで良いわ」
「畏まりました。ただちに手配致します」
その言葉にアリスは耳を疑った。
「(1000000GIL! な、何考えてるのこいつ!?)」
一体どんな負け方をすればそんな額が必要になるというのか。
「…って、まさか」
ふと、ここでアリスに一つの疑念が生じる。
「ね、ねぇ、参考までに聞いておきたいんだけど」
「……? 何よ」
「1000点ピンって、100GILの事よね?」
そうだろう。そうに違いない。そうに決まってる。そうであってくれ。
アリスは祈るような気持ちでの問いかける。
だが、それに対するレミリアの答えは余りにも非情だった。
「何を寝惚けた事を……ピンと言ったら1000GILに決まってるでしょう」
その言葉の負荷に耐え切れなかったのか、アリスはその場に崩れ落ちた。
今まで自分が遊びの範囲でやっていた筈のものが、実は綱渡りに等しかったという事実。
しかも、それの10倍ときた。
もはや家計云々ではない。大負けでもしようのものなら間違いなくアリスは破産する。
「アリス ドウシタノ?」「ダイジョウブ?」
ぶっ倒れたアリスに声をかけたのは、上海人形と蓬莱人形。
人形や使い魔といった範疇を超えた、アリスがもっとも頼りにしている存在である。
「(上海……蓬莱……ごめんね……私もうダメかも……)」





『……ごほっ……ごほっ……』
一人、純和風の部屋で煎餅布団に横たわるアリス。
家具らしいものもなく、障子は穴だらけ、天井からは多数の雨漏りがしている悲惨な環境である。
『マスター、おかゆが出来ましたよ』
そこに、お盆を持って入ってきたのは蓬莱人形。
何故か人間サイズの大きさになっており、言葉も流暢だ。
『ごほっ……すまないわね蓬莱……私が不甲斐無いばっかりに……』
『それは言わない約束ですよ、マスター』
そう言って、蓬莱人形が優しく笑いかける。
もう一体……上海人形はこの場にはいない。
今頃は、あの紅い悪魔にこき使われているのだろう。
ああ、どうしてこんな事になってしまったのか。
そう、思えばあの時。宴会に紫がやってきた時から、歯車は狂ってしまったのだ……






「アリスー!アリスー!」「マスター! オキテー!」
「……!?」
ふと我に返るアリス。
見ると、上海と蓬莱が心配そうに肩を揺すっていた。
「あ、ああ、夢だったのね……ありがとう。もう平気よ」
我ながら、何と不吉な白昼夢を見たものだろう。と嘆息する。
が、あながち夢とも言い切れない。
この勝負如何によっては、たちまちそれは現実となって襲い掛かるだろう。
やはりここは逃げるべきか……そんなアリスの思考を遮ったのは、またしても上海と蓬莱であった。
「「……」」
二体共、何も言葉を発さない。
ただ、真っ直ぐにアリスを見詰めるだけだ。
その視線からは、絶対の信頼が嫌でも感じ取れる。

『戦う前から負ける事考えるバカがいるかよ!』

同時に、そんな台詞がアリスの脳裏を過ぎる。
誰が言ったとも知れないそんな言葉だが、確かにその通りだ。

少しずつ自分に勇気が沸いて来るのが分かった。
「(そうよ……私はこの子達の親のようなもの……こんな情けない姿を見せてはいけない……!)」
決意したアリスが、再び自分の席につく。
?を浮かべている三人をゆっくりと見渡すと、正面のレミリアに指を向けて宣言した。
「……分かったわ。その勝負受けて立とうじゃないの!」

それが、妖怪卓第二戦開始の合図であった。






<人間卓>


東一局

「ポン」
早々と白を鳴く妖夢。
その白を切った魔理沙は、しまった、といった表情をしている。
妖夢は今回のルールについて結論を出していた。
役も何も無い。何でもいいから早く上がったもの勝ちだ。
故に、場風や三元牌といった役牌……俗に言う特急券の扱いが勝敗を左右する。と。


8順目
妖夢がテンパイしてから3順が経過していた。
36萬の両面待ち。役は白のみ。
体裁などどうでもいい。上がればいいのだ。
ツモ順が回り、妖夢が牌を掴む。8萬。
「(……ちっ)」
当たり牌でないと分かると、手拍子で切り捨てる。
「ロン」
声の主は咲夜。
「平和のみよ……突っ走るのも良いけど、少しは相手にも目をやるべきね」
「くっ……」
「と、いう訳で……脱いでもらいましょうか」
ずい、と妙な迫力で迫る咲夜。
「さぁ」
「さぁ」
それに合わせて霊夢と魔理沙も妖夢へと迫る。
「わ、分かった。脱ぐ。脱げば良いんだろう」
妖夢はベストへと手をかけ……思い直したかのように頭のリボンを取り外した。
「こ、これも一枚の内でしょ?」
「……まぁ仕方ないわね」
しぶしぶといった感じだが、一同は認めざるを得なかった。
だが、この行動が、この後の展開を多いに左右することになるとは、妖夢は予想だにしていなかった。





<妖怪卓>

東二局

「ふ……ふふふふふふふふふ……」
壊れたステレオのように笑いを上げるアリス。
手牌を確認することもなく、適当に切り捨てている。
自分が今、何をやっているのかもよく分かっていないのだろう。
「ロン。三色チャンタ白」
そしてあっさりと振り込む。
手元の点棒はすでに10000を切っていた。
「ふふふふふ……ウチって……ほんまにアホやなぁ……」
ついには関西弁で自嘲を始める始末である。

「ね、ねぇ、この子どうしちゃったの?」
「さあ……悪い物でも食べたのかしら」
「そんな幽々子じゃあるまいに」
訳が分からないといった感じで、アリスを見やる三人。
ここで、名誉の為に言っておこう。
別に彼女らはアリスを追い込むつもりでレートを設定した訳ではない。
ただ、その価値観があまりにもかけ離れていた……それだけの事なのだ。







『持っていかないでー!!』
マーガトロイド邸は地獄と化していた。
人形や魔道書といった収集品から家財道具一式、果ては衣服やら食材まで、あらゆる物が運び出されていく。
指示を出しているのは、レミリア、幽々子、紫の三人。
何故か三人とも黒のサングラス姿だった。
『あら、負け犬が何をほざくのかしら。……こっちの部屋のも全部運び出しなさい。皿一枚残すんじゃないわよ』
『でもこれじゃ全然足りないわね、どうしたものかしら』
『家もとっくに抵当に入ってるしねぇ……こうなったら親から引き出すしか無さそうね』
『や、やめて! それだけはー!!』


場面は変わって、どこか懐かしさを感じる場所。
そこは以前の記憶と同様、火の海に包まれていた。
『な、何なの貴女達は!』
これまたどこか見覚えのある、跳ねた毛が特徴の女性が、三人組に足蹴にされている。
『うるさいわね。文句があるならあんたの娘に言いなさい』
『私達は社会常識という物を教えて差し上げただけですわ』
『取るものも取ったし……もう面倒だから全部破壊しちゃいましょう』
『ああ……なんてことなの……』





「……ごめんねお母さん……アリスは悪い子でした……」
アリスの瞳から涙が零れ落ちる。

『ロン!』

ああ、また上がられたのか。そう思ったアリスだが、
その声は隣の卓から発されたものだった。
何気に目をやると、魔理沙が勝ち誇った表情で倒牌しているのが見えた。

思えば魔理沙が落ち込んでいる事など見た試しが無い。
そんな、いつでも全力疾走の魔理沙を、冷ややかに見つめる一方で羨ましく思っていた。
「(私もあんな風になれるだろうか……)」

アリスの目に光が宿り始める。

「私はまだ……負けていない……!」

たとえ負けたとしても全力は出さない。本気を出して負けたら後が無いから。
それがアリスの持論だった。
が、それを覆す時がやって来た。
そう。本気を出そうが出すまいが、負けてしまったら、それで終わりなのだ。
それならば、形振り構わず突き進む以外に道は開けない。


「行くわ……これが私の本気よ! 禁為『黒衣の魔人形』!」


そんな気合とは裏腹に、ぽわん、と気の抜けた音と共にスペルが発動した。


アリスの前に現れたのは、一体の人形。
黒の尖り帽子に、これまた黒を基調とした衣装。
髪はお下げが特徴の金髪、そして手には箒を携えている。
そう……その人形はどこをどう見ても、霧雨魔理沙そのものの姿をしていた。


「待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て!!!! そりゃ一体全体どういうつもりだ!!」
それを見た魔理沙の驚いたこと。
ブレイジングスターもかくやといった速度でアリスに詰め寄る。
「さぁ魔人形、私を導いて頂戴!」
「導いて頂戴……じゃないだろ! 何だってそんな曰くありげな人形が私なんだ!」
今だかつてない必死っぷりの魔理沙が、アリスの襟首を掴み、ガックンガックンと揺さぶるが、まったく効果無し。
「あら、稼動して間も無いから、まだ本調子じゃないのかしら。うふふ、魔理沙らしいわね」
「って名前まで!?」
何とか正気を取り戻させようと、必死に呼びかける魔理沙。
が、突如、何者かに羽交い絞めにされたかと思うと、ずるずると引き摺られていってしまう。
「は、離せ! あのバカを何とかしなきゃ不味い!」
「いえ、とても興味深い事態よ。これは見届ける義務があるわ」
「その通り。こういう事は邪魔しちゃいけない」
止めたのは咲夜と妖夢だった。
邪魔してるのはお前らだろう、と必死に抵抗する魔理沙だが、所詮は普通の魔法使い。
相手が二人がかりではどうにもならない。
「れ、霊夢! お前なら分かるだろ!? アリスを止めてくれ!」
魔理沙は、一縷の望みを託して助けを求める。
その霊夢はというと、卓に座ったまま暢気にお茶などを啜っていた。
「……野暮な事させるもんじゃないわよ」
「何故だぁーーーーーー!!!」
孤立無援となった魔理沙は、抵抗も空しく雀卓へと縛り付けられた。


訳の分からないまま、再開される麻雀。
アリスはというと、魔人形を肩に乗せている以外は至って普通の様子で打っていた。
何か仕掛けてくるかと思っていただけに、これは拍子抜けだった。
「(……あの人形、意味あるのかしら)」
そんな事を考えつつ、リーチをかける紫。
間髪入れずに幽々子とレミリアもリーチをかけた。
逃げ場無しの三人リーチである。

「ふふ……リーチだなんて、点棒がもったいないわね」
が、それに対するアリスの反応は、強気そのものだった。
とても先ほどまでガタガタと震えていた人物とは思えない豪胆っぷりだ。
さっと手牌を見渡すと、魔人形に声をかける。
「魔理沙、出番よ! 何を切るべきか教えて!」
「「「なんじゃそりゃ!!!」」」
突っ込みがハモる。
「……カガ……」
その時、初めて魔人形が口を開いた。
「え、何?」

「……ナニ ネボケテヤガル コノバカガ! ドウセ ナニヲキッタッテ オナジダ! サッサト アキラメロ!」

場が、凍った。


「……なぁ、私ってあんなイメージなのか……?」
「いや、まぁ、合ってるような、合ってないような……」


「……」
押し黙るアリス。
何故か目を閉じてうんうんと頷いている。
「……そう、そういうことね!」
一人納得したかと思うと、力強く手牌の一つを取り上げた。
「何を切っても同じ……即ち! 何を切っても当たらないということ!」
そう言ってアリスが切ったのは……5萬。
誰の安牌でもなく、初牌であり、ドラという三拍子揃った牌だ。
しかし、誰もロンしない。いや、出来ない。
この危険牌は、通ったのだ。

結局この局は、誰も上がる事なく流れた。




「魔理沙、この待ちは?」
「パーダ パー オマエノ ノーミソ ミタイナ モンダ」
「魔理沙、リーチしたほうがいい?」
「タシカニ リーチダナ ドロップアウト ノナ」

その後も繰り返される聞くに堪えない問答。
だが、アリスはまったく落ち込んだ風も無く、勝手に解釈しては手を進めていく。
そして、それが何故かあらゆる方面で上手く働いている。
鳴かせず、振り込まず、手作りは早い。

「(まさか、本当にあの人形が導いているの……?)」
紫に、僅かな動揺が生まれる。
その動揺は、当然打ち筋にも現れる。
今までの強気一辺倒から、守りへの変化。
無論、良い方向である訳が無い。

「ロン! リーチ一発平和ドラ1!」
「……くっ……」
それは、アリスへの放銃という結果に現れていた。

アリス、完全復活である。







<人間卓>


「ロン。リーチのみ」
「ロン。タンヤオのみ」

目も当てられない早上がりが、次々と妖夢に襲い掛かる。

「ロン! 白のみだ!」
「うう……」
アリスの様子に気を取られていた筈の魔理沙も、
すっかり元の調子を取り戻し、妖夢に襲い掛かっていた。
そう、妖夢はターゲットに選ばれたのだ。
こういった勝負事に対して、妖夢は余りにも直情的過ぎた。
まだ全員が慣れない内ならまだしも、しだいにその傾向は他者にも見えてきている。
かと言って逃げるという言葉は妖夢の辞書には載っていない。それはこのルールではマイナスにしかならない。
また、先ほどの機転ともいうべきリボン逃げが、かえって一同の感に障った事も一因であった。
ターゲットにされる訳である。

既にリボン、靴下、タイ、ベストと剥ぎ取られ、身のやりどころなく縮こまる妖夢。
その姿は、特に百合っ気がある訳でもない連中にも、多いに感じ入る物があった。
「み、見ないでよ……」
晒される視線に、顔を赤らめる妖夢。
その反応が、また一同の被虐心を刺激するという悪循環だ。




「フゴー ポン フゴー」
幽々子の鼻息が荒い。
「少し落ち着きなさいな、気持ちは分かるけどね」
「フゴー 何を フゴー 言ってるの フゴー かしら フゴー 私は フゴー いつだって フゴー 冷静よ フゴー」
「いや、説得力無いから」




アリスの暴走に妖夢の苦難。
博麗神社は今だ混迷の最中である。




どうも、YDSです。
第三話お届けします。

今回は少々実験的要素が強い回となりました。
麻雀要素もかなり薄いです。

特に、東方の世界に直接的な金銭を持ち込むべきかどうかの点を多いに悩みましたが、
麻雀という題材上、これは外せないということで導入となりました。
単位に関してはノーコメントで……
YDS
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コメント



0.4890簡易評価
5.90aki削除
東方雀鬼録(3) 読ませて頂きました。
またまた面白かったです。
今回のツボは魔理沙人形でした。
「タシカニ リーチダナ ドロップアウト ノナ」ってもはや助言でも何でもないし。
それで調子を上げるアリスもまた良し。
……ところで、てっきり妖怪卓も脱衣だと思っていたのは自分だけでしょうか?
6.100東方が大好きな程度の能力削除
黒衣の魔人形の魔理沙が面白かったです。
アリスの壊れ具合がいい。
あなたは最高
12.90削除
次回にも期待してます!
13.100シゲル削除
まさか、ホントにやるとは。。(笑
しかしレート10倍凄い。。。
魔人形、助言してない気が、でもいい方向に進んでるのがさすがアリスですね。(気持ちの問題かなぁ?
この魔人形が今後どう影響するのか気に成るところです。。
・・最初に狙われるのは妖夢何ですねぇ。。(苦笑
15.100七死削除
ここに来てそう動くかアリス! 腹、腹が痛い!
だめだ、やべえ、ついうっかり(点を)振り込んじまった!

二種八通りの狂気が楽しめるとは、この局、東方だから面白い!
20.90名前が無い程度の能力削除
今まで、数ある二次創作で見た中で一番切羽詰まった「持っていかないでー」が最高。
妖怪卓のアリスと、人間卓の妖夢、弄られキャラの魅力を存分に引き出しています。
26.無評価人妖の類削除
フゴー ゆゆ様 フゴー 興奮 フゴー しすぎ フゴー
34.100名前が無い程度の能力削除
妖夢とアリスが可愛過ぎです。もういっそ景品は二人のお持ち帰り権ということで(オ)

しかし咲夜さんは何故青ざめたんだろう。……まさかひょっとしてレミリアの(以下略)
37.90名前を名乗らない程度の能力削除
誰も作品冒頭の<ウラスジ>に付いて言及しないのか?
43.100しん削除
なんて、面白い。
傍観するにはいいが、このレートと面子では絶対混ざりたくない……けど…むう…なんか…こう…燃えるかも。
いや、それより人間卓を フゴー 観戦 フゴー した フゴー い フゴー 咲夜さん の胸疑惑を確認しt
兎に角、アリスかわいいよアリス
50.無評価瀬月削除
1GIL稼ぐのにも数時間かかる私には遠すぎる世界だw

時にアリス、吹っ切れたんだったら・・・

アリアリの東風戦、ウマ5・10のデカウーピン(1千点で5千)
赤12枚入り、焼き鳥、ワレメ、アリス、ブットビ有り。
あと、ついでにビンタも500くらいで。

このレートでやってみない?
1時間で、1億くらい吹っ飛ぶよ?w
51.90瀬月削除
↓点数入れるの忘れてた。失礼しました。
52.90ななち削除
一同の被虐心を刺激する > 一同の嗜虐心?

アリス素敵過ぎフゴー!
57.90TAK削除
麻雀についてはあまり詳しくはありませんが、
それでも存分に楽しく読ませていただきました。
この局、どうなっていくか楽しみです。……色々な意味で。
59.80っぉ削除
咲夜様に何が隠されているんだー!!
60.100東方を愛するもの削除
妖怪卓も脱衣マージャンにしてほしかったです。
そっちのほうが面白そう。
できれば絵がほしい。
114.60名前が無い程度の能力削除
久々に読み返し。
誤字指摘。
X府に落ちない O腑に落ちない
臓腑の腑ですよー
115.100名前が無い程度の能力削除
魔人形ひでえ
118.80名前が無い程度の能力削除
アリスがw