さあ、ページをめくりたまえ
〈これまでのあらすじ〉
真夏のさかり、紅魔館は暑かった。
主人、「何とかして頂戴」
従者、「何とか致します」
そこで冷気供給用に氷精チルノが拉致された。
「何すんのよ!?」
館の奥にチルノは監禁された。
「脱出してやるわ!」
できるのだろうか?
◆1 脱出への道
チルノが閉じ込められているのは、館の中心部にある大広間だった。
そこに吊り下げられたカゴの中に、カナリアよろしく放り込まれているのだ。
「ちょっとーー! 出しなさいよーーっ!!」
ガシガシと格子を揺らすと、見張りの平メイドが懐からナイフをひらめかせ、
「煩い小娘ね。あ? なに? チルノだかチビルノだか知らないけどね、なんなら鼻の穴もう一個増やす? あ?」
刃の背でぴたぴたと氷精のほっぺを撫でた。
「……ゴメンナサイ」
喧嘩っ早そうなメイドの恫喝に、すごすご引き下がるチルノ。
どうやら、ちょいと頭を使わなきゃいけないかもだ。
□頭を使う →◆1A
□頭を使わない →◆1B
◆1A
ガンガンガンガン!!
とりあえず格子に頭突きしてみた。
「煩いっつってんだろこのガキ氷がぁ!!」
プスッ
「アッ」
平メイドの投げたナイフがチルノの眉間に命中した。
チルノの冒険は終わった。
◆1B
「とりあえず寝ようっと」
ZZZZ……
「……あーよく寝た。ン?」
目を覚ますと、見張りが席を外していた。
カンバンには「*トイレきゅうけいちゅう!*」と書かれている。
ラッキー! この隙に脱出しよう。
◆2へ進め。
◆2 脱出決行
もっとも、見張りがいないからといって、そのまま出られるわけではない。
カギがあれば、カゴの南京錠を外せるが……
「んっ?」
見れば、見張り用の椅子に、カギが乗っている。
ううーんと手を伸ばしても届かない。
何とかならないだろうか?
□狙いをつけて氷のつぶてを撃つ →◆2A
□適当に氷のつぶてを撃つ →◆2B
◆2A
「そりゃあ!」
チルノはめいっぱい気合をこめて、氷の弾を放った。
威力抜群の弾丸は、狙いあやまたず、椅子ごとカギを粉砕した。
「……アッ」
戻ってきたメイドが怒り、チルノの顔面にナイフを叩き込んだのはいうまでもない。
冒険は終わった。
◆2B
「とりゃあ!」
あさっての方角に飛んでいった氷弾は、あっちこっちに跳ね返り、たまたま椅子に命中、カギを跳ね飛ばした。
うまいぐあいに、カギはカゴの中に飛び込んできた。
おかげでチルノは首尾よく脱出できた。
「日ごろの行いってやつね!」
それは違うけどね。
◆3へ進め。
◆3 廊下の攻防
広間を出ると、長い廊下が続いている。
たくさんの平メイドどもがひゅんひゅん忙しげに飛び回っており、うかつに出て行くと危険そうだ。
どうしたものかと迷っていると、一人のメイドがうとうとと居眠り飛行をしながらやってきた。
それを見たチルノは、
□「あのメイド服を奪ってやろう」 →◆3A
□「あたしも眠くなってきたなぁ」 →◆3B
◆3A
チルノが「キエーーッ!」とカラテふうの奇声をあげながら襲いかかると、メイドはびっくりして目を覚まし、仲間を呼んだ。
たちまちメイドB,メイドC、メイドD……メイドXXくらいまでが集まってきて、チルノをナマス斬りにしてしまった。
冒険は終わった。
◆3B
チルノがうとうとしていると、メイドは壁にぶつかり、失神してしまった。
「こりゃいいや」
さっそく身ぐるみをはぎ、メイド服を装備した。
半裸のメイドを氷漬けにして隠し、廊下を突破する。
◆4へ進め。
◆4 魔女の書斎
気がつくと、だだっぴろい部屋に出た。
あちこちに棚があり、革や紙でできたものが並んでいる。
どうやら「本」とかいうものらしい。
ためしにめくってみたが、へんてこな記号のようなものが並んでいるだけで、てんでわからない。
とはいえ、貴重なものではあるようだ。
□一冊くらいくすねていく →◆4A
□一冊くらいくすねていかない →◆4B
◆4A
「何だか知らないけど、一冊くらいならいいか!」
と持って行こうとすると、
『モッテカナイデー』
そんな呪詛の声とともに、本から炎が噴き出した。
盗難防止用の処置らしい。ご苦労なことだ。
ちなみにチルノはもう溶けていて、冒険はすでに終わっている。
◆4B
「一冊といわず、いっぱい持っていこうっと」
そこらの本を思い切り積み重ねた。
いざ運ぼうとしたところ、ついあやまってドサドサと倒してしまった。
「ギャース!!」
悲鳴がしたので見てみると、本の山で黒い服の少女がノックアウトされていた。
どうやら同業者だったらしい。
駆けつけた書斎の主やその従者に感謝され、チルノはお小遣いまで貰って書斎を後にする。
「情けは人のためならず、ってやつね!」
いや全然違うけどね。
◆5へ進め。
◆5 地下室へのいざない
書斎を抜けて進んでいると、地下室への階段を見つけた。
カンバンには
「*あなたのレベルでは はいれませんよ*」
と書かれている。
□素直に入らない →◆5A
□好奇心に駆られて入っちゃう →◆5B
◆5A
世の中には二種類の妖精がいる。
生きている妖精と死んだ妖精だ。
ところでチルノが地下室をスルーして先に進もうとすると、
「アッ」
流れナイフがぷすりと背中に刺さった。
特に理由もなく、チルノは散り、故チルノとなった。
人生はおおむねそんなものかもね。
冒険は終わった。
◆5B
好奇心に勝てず、チルノは地下室へ入っていった。
そこには閉じ込められた少女がいた。
「あんたはどうして閉じ込められてるの?」
「さぁ? 世の中、理由があることばかりじゃないしね……」
同じような境遇に同情したチルノは、扉を開けて彼女を解放してあげた。
少女は大いによろこび、遊びに出かけた。
「いいことをしたなぁ」
背後で起きる爆発音や悲鳴には気もとめず、チルノは鼻歌交じりに出口を探した。
◆6へ進め。
◆6 時計台の影
どこをどう迷ったのか、時計台に出てしまった。
見ると、長針に人が縛りつけられている。
「あぁ……っ、お嬢様……こんな仕打ち……
でも私を時計に拘束するだなんて、流石お嬢様、
粋でいらっしゃいますわ……嗚呼……」
メイド姿の女はうっとりとつぶやいていたが、チルノを見ると
「何見てるのよ!」
逆ギレして、襲いかかってきた!
□一目散に逃げ出す →◆6A
□むしろ逆に迎え撃つ →◆6B
◆6A
慌てて逃げ出そうとしたので、時計台から落ちてしまった。
飛べばいいのだが、焦りのあまりいっぱいいっぱいで、飛び方も忘れてしまったのだ。
とどのつまり、チルノの死因は時計台からの墜落死ということとはなった。
冒険は終わった。
◆6B
「……あっ! しまった……縛られてた……」
威勢は良かったが、このメイドはどこか抜けているのかもしれない。
「……プッ」
思わず吹き出すと、真っ赤になって怒っているが、どうしようもない。
時計台を立ち去った。
◆7へ進め。
◆7 門番エレジー
ついに館の門まで達した。
さすがに入り口だけあって警備が厳重だ。
とはいえ、外からの者には厳しくても、中からの者には緩いのがこういうところのお決まり。
特になにごともなく、門を抜けられた。
◆8へ進め。
◆8 さいごの戦い
「やった! ついに自由の身~~!!」
門を抜け湖上に出ると、チルノは喜びのあまりメイド服も脱ぎ捨て、氷精につたわるアイスダンスを踊った。
「――そりゃ、虫がいいってものね」
「!?」
悪い予感に振り向くと、そこにはかの屋敷の主、紅い悪魔が立っていた。
「ちょっと散歩に行ってきたんだけど……ホント、うちのネズミ捕りたちは無能だわ」
「~~~~っ」
「さ、戻って頂戴。あなたがいないと、暑くって仕方がないのよ」
「…………っ」
チルノは、
□素直に従う →◆8A
□徹底抗戦する →◆8B
◆8A
「……わかった」
なにせ相手はスカーレットデビル。
まともに刃向かって勝てるわけもない。
「お利口ね。……なぁに、いつまでもってわけじゃない。
夏が終わったら、帰してあげるわよ」
「うぅぅ……」
*
――時は流れた
夏は過ぎ、秋もたけなわ
しかし、今なお……
「……ちょっとおっ! いいかげん出してよおっ」
「煩いわね。削るわよ? むしろ掻くわよ?」
「……スミマセン」
チルノは紅魔館に居た――
冷凍庫がわりとなって
いつまでも屋敷に監禁され続けるのだ
「いやぁ、チルノは役に立つわ」
「そうね、チルノは最高ね」
「チルノは可愛いわ」
「……うぅぅぅぅ……」
(ENDING A)
◆8B
「……やなこったっ」
チルノ、あかんべーで返答。
「何ですって?」
「悪魔だろーが妖怪だろーがっ!
あたしは誰にだって頭なんか下げるもんかっ!」
「……別に、あなたの忠誠なんか望んじゃいないわ。
欲しいのは……その、能力だけなのだから」
ざわり、と紅魔の周囲に凶悪な気が溜まってゆく――
「…………!」
ピカーー
「っ! 日の出……!!」
「隙ありっ!!」
チルノは、全力で――
逃げ出した。
「あたしが欲しかったら!」
振り返りながら、叫ぶチルノ。
「たくさんのワイロで気を引くことねっ! じゃーーねっ」
暁の空を駆け巡り、軽やかに翔んでゆく氷の精。
「……フン。大口を叩く」
鼻で笑い、レミリア・スカーレットは屋敷へ向かった。
*
(……あの氷精)
たるみきった門番を湖に投げ込み、吊るされたメイドを短針に結びなおし、暴れる妹を裸締めで落とした後、知識人とモーニングティーを飲みながら、紅い悪魔はぼんやりと思った。
「氷精が好きなものって、何かしら?」
「そりゃ、決まってるわ」
知識人は、本から目を離さず、答えた。
「あの連中が、好きなのは――」
奔放に舞い、気ままに跳ねて。
(ここはあたしの湖! この空はあたしのもの!)
いつだってどこへだって、飛んでいけるのだから。
「――『自由』よ」
(ENDING B)
〈これまでのあらすじ〉
真夏のさかり、紅魔館は暑かった。
主人、「何とかして頂戴」
従者、「何とか致します」
そこで冷気供給用に氷精チルノが拉致された。
「何すんのよ!?」
館の奥にチルノは監禁された。
「脱出してやるわ!」
できるのだろうか?
◆1 脱出への道
チルノが閉じ込められているのは、館の中心部にある大広間だった。
そこに吊り下げられたカゴの中に、カナリアよろしく放り込まれているのだ。
「ちょっとーー! 出しなさいよーーっ!!」
ガシガシと格子を揺らすと、見張りの平メイドが懐からナイフをひらめかせ、
「煩い小娘ね。あ? なに? チルノだかチビルノだか知らないけどね、なんなら鼻の穴もう一個増やす? あ?」
刃の背でぴたぴたと氷精のほっぺを撫でた。
「……ゴメンナサイ」
喧嘩っ早そうなメイドの恫喝に、すごすご引き下がるチルノ。
どうやら、ちょいと頭を使わなきゃいけないかもだ。
□頭を使う →◆1A
□頭を使わない →◆1B
◆1A
ガンガンガンガン!!
とりあえず格子に頭突きしてみた。
「煩いっつってんだろこのガキ氷がぁ!!」
プスッ
「アッ」
平メイドの投げたナイフがチルノの眉間に命中した。
チルノの冒険は終わった。
◆1B
「とりあえず寝ようっと」
ZZZZ……
「……あーよく寝た。ン?」
目を覚ますと、見張りが席を外していた。
カンバンには「*トイレきゅうけいちゅう!*」と書かれている。
ラッキー! この隙に脱出しよう。
◆2へ進め。
◆2 脱出決行
もっとも、見張りがいないからといって、そのまま出られるわけではない。
カギがあれば、カゴの南京錠を外せるが……
「んっ?」
見れば、見張り用の椅子に、カギが乗っている。
ううーんと手を伸ばしても届かない。
何とかならないだろうか?
□狙いをつけて氷のつぶてを撃つ →◆2A
□適当に氷のつぶてを撃つ →◆2B
◆2A
「そりゃあ!」
チルノはめいっぱい気合をこめて、氷の弾を放った。
威力抜群の弾丸は、狙いあやまたず、椅子ごとカギを粉砕した。
「……アッ」
戻ってきたメイドが怒り、チルノの顔面にナイフを叩き込んだのはいうまでもない。
冒険は終わった。
◆2B
「とりゃあ!」
あさっての方角に飛んでいった氷弾は、あっちこっちに跳ね返り、たまたま椅子に命中、カギを跳ね飛ばした。
うまいぐあいに、カギはカゴの中に飛び込んできた。
おかげでチルノは首尾よく脱出できた。
「日ごろの行いってやつね!」
それは違うけどね。
◆3へ進め。
◆3 廊下の攻防
広間を出ると、長い廊下が続いている。
たくさんの平メイドどもがひゅんひゅん忙しげに飛び回っており、うかつに出て行くと危険そうだ。
どうしたものかと迷っていると、一人のメイドがうとうとと居眠り飛行をしながらやってきた。
それを見たチルノは、
□「あのメイド服を奪ってやろう」 →◆3A
□「あたしも眠くなってきたなぁ」 →◆3B
◆3A
チルノが「キエーーッ!」とカラテふうの奇声をあげながら襲いかかると、メイドはびっくりして目を覚まし、仲間を呼んだ。
たちまちメイドB,メイドC、メイドD……メイドXXくらいまでが集まってきて、チルノをナマス斬りにしてしまった。
冒険は終わった。
◆3B
チルノがうとうとしていると、メイドは壁にぶつかり、失神してしまった。
「こりゃいいや」
さっそく身ぐるみをはぎ、メイド服を装備した。
半裸のメイドを氷漬けにして隠し、廊下を突破する。
◆4へ進め。
◆4 魔女の書斎
気がつくと、だだっぴろい部屋に出た。
あちこちに棚があり、革や紙でできたものが並んでいる。
どうやら「本」とかいうものらしい。
ためしにめくってみたが、へんてこな記号のようなものが並んでいるだけで、てんでわからない。
とはいえ、貴重なものではあるようだ。
□一冊くらいくすねていく →◆4A
□一冊くらいくすねていかない →◆4B
◆4A
「何だか知らないけど、一冊くらいならいいか!」
と持って行こうとすると、
『モッテカナイデー』
そんな呪詛の声とともに、本から炎が噴き出した。
盗難防止用の処置らしい。ご苦労なことだ。
ちなみにチルノはもう溶けていて、冒険はすでに終わっている。
◆4B
「一冊といわず、いっぱい持っていこうっと」
そこらの本を思い切り積み重ねた。
いざ運ぼうとしたところ、ついあやまってドサドサと倒してしまった。
「ギャース!!」
悲鳴がしたので見てみると、本の山で黒い服の少女がノックアウトされていた。
どうやら同業者だったらしい。
駆けつけた書斎の主やその従者に感謝され、チルノはお小遣いまで貰って書斎を後にする。
「情けは人のためならず、ってやつね!」
いや全然違うけどね。
◆5へ進め。
◆5 地下室へのいざない
書斎を抜けて進んでいると、地下室への階段を見つけた。
カンバンには
「*あなたのレベルでは はいれませんよ*」
と書かれている。
□素直に入らない →◆5A
□好奇心に駆られて入っちゃう →◆5B
◆5A
世の中には二種類の妖精がいる。
生きている妖精と死んだ妖精だ。
ところでチルノが地下室をスルーして先に進もうとすると、
「アッ」
流れナイフがぷすりと背中に刺さった。
特に理由もなく、チルノは散り、故チルノとなった。
人生はおおむねそんなものかもね。
冒険は終わった。
◆5B
好奇心に勝てず、チルノは地下室へ入っていった。
そこには閉じ込められた少女がいた。
「あんたはどうして閉じ込められてるの?」
「さぁ? 世の中、理由があることばかりじゃないしね……」
同じような境遇に同情したチルノは、扉を開けて彼女を解放してあげた。
少女は大いによろこび、遊びに出かけた。
「いいことをしたなぁ」
背後で起きる爆発音や悲鳴には気もとめず、チルノは鼻歌交じりに出口を探した。
◆6へ進め。
◆6 時計台の影
どこをどう迷ったのか、時計台に出てしまった。
見ると、長針に人が縛りつけられている。
「あぁ……っ、お嬢様……こんな仕打ち……
でも私を時計に拘束するだなんて、流石お嬢様、
粋でいらっしゃいますわ……嗚呼……」
メイド姿の女はうっとりとつぶやいていたが、チルノを見ると
「何見てるのよ!」
逆ギレして、襲いかかってきた!
□一目散に逃げ出す →◆6A
□むしろ逆に迎え撃つ →◆6B
◆6A
慌てて逃げ出そうとしたので、時計台から落ちてしまった。
飛べばいいのだが、焦りのあまりいっぱいいっぱいで、飛び方も忘れてしまったのだ。
とどのつまり、チルノの死因は時計台からの墜落死ということとはなった。
冒険は終わった。
◆6B
「……あっ! しまった……縛られてた……」
威勢は良かったが、このメイドはどこか抜けているのかもしれない。
「……プッ」
思わず吹き出すと、真っ赤になって怒っているが、どうしようもない。
時計台を立ち去った。
◆7へ進め。
◆7 門番エレジー
ついに館の門まで達した。
さすがに入り口だけあって警備が厳重だ。
とはいえ、外からの者には厳しくても、中からの者には緩いのがこういうところのお決まり。
特になにごともなく、門を抜けられた。
◆8へ進め。
◆8 さいごの戦い
「やった! ついに自由の身~~!!」
門を抜け湖上に出ると、チルノは喜びのあまりメイド服も脱ぎ捨て、氷精につたわるアイスダンスを踊った。
「――そりゃ、虫がいいってものね」
「!?」
悪い予感に振り向くと、そこにはかの屋敷の主、紅い悪魔が立っていた。
「ちょっと散歩に行ってきたんだけど……ホント、うちのネズミ捕りたちは無能だわ」
「~~~~っ」
「さ、戻って頂戴。あなたがいないと、暑くって仕方がないのよ」
「…………っ」
チルノは、
□素直に従う →◆8A
□徹底抗戦する →◆8B
◆8A
「……わかった」
なにせ相手はスカーレットデビル。
まともに刃向かって勝てるわけもない。
「お利口ね。……なぁに、いつまでもってわけじゃない。
夏が終わったら、帰してあげるわよ」
「うぅぅ……」
*
――時は流れた
夏は過ぎ、秋もたけなわ
しかし、今なお……
「……ちょっとおっ! いいかげん出してよおっ」
「煩いわね。削るわよ? むしろ掻くわよ?」
「……スミマセン」
チルノは紅魔館に居た――
冷凍庫がわりとなって
いつまでも屋敷に監禁され続けるのだ
「いやぁ、チルノは役に立つわ」
「そうね、チルノは最高ね」
「チルノは可愛いわ」
「……うぅぅぅぅ……」
(ENDING A)
◆8B
「……やなこったっ」
チルノ、あかんべーで返答。
「何ですって?」
「悪魔だろーが妖怪だろーがっ!
あたしは誰にだって頭なんか下げるもんかっ!」
「……別に、あなたの忠誠なんか望んじゃいないわ。
欲しいのは……その、能力だけなのだから」
ざわり、と紅魔の周囲に凶悪な気が溜まってゆく――
「…………!」
ピカーー
「っ! 日の出……!!」
「隙ありっ!!」
チルノは、全力で――
逃げ出した。
「あたしが欲しかったら!」
振り返りながら、叫ぶチルノ。
「たくさんのワイロで気を引くことねっ! じゃーーねっ」
暁の空を駆け巡り、軽やかに翔んでゆく氷の精。
「……フン。大口を叩く」
鼻で笑い、レミリア・スカーレットは屋敷へ向かった。
*
(……あの氷精)
たるみきった門番を湖に投げ込み、吊るされたメイドを短針に結びなおし、暴れる妹を裸締めで落とした後、知識人とモーニングティーを飲みながら、紅い悪魔はぼんやりと思った。
「氷精が好きなものって、何かしら?」
「そりゃ、決まってるわ」
知識人は、本から目を離さず、答えた。
「あの連中が、好きなのは――」
奔放に舞い、気ままに跳ねて。
(ここはあたしの湖! この空はあたしのもの!)
いつだってどこへだって、飛んでいけるのだから。
「――『自由』よ」
(ENDING B)
笑わせていただきました。
個人的には時計メイドの咽び声は「んふおおおお」のままがよかったです。
中身も期待を裏切らぬ素晴らしいチルノでした。
短針に結びなおしたのは、長針のままだと1時間に1回ほど危機が訪れるからでしょうか。
自分で選んだらほとんど全部死んだぞ?
俺、ある意味チルノ以下…?