君の瞳にコーリン裸夫(らヴ)
↓この先〔香・霖〕 注:一度迷い込んだらキレイな体では出られません。汚れたくない方はスルー推奨。
「 君は魔法を信じるかい? 」
序章 ある平穏な雨の日
BGM~ 森閑(東方萃夢想より)
――土砂降りだった。
我ながら唐突な事を言っていることは、そこはかとなく自覚している。だが、そんな捻りも糞も無い、屁の突っ張りにもならん常識言語しか言えない程度に、午後から降り出した雨は全くもって降り止まぬ様相を呈していたのだ。僕の形のいい素敵イアーを打つのは、店の屋根ごしに聞こえてくる雨音。それは、ダララララ……とまるで霊夢のバスウェイジョンニードルを元祖ノンディレクショナルレーザーの死角に入り込まれたあげく容赦無い零距離射撃をされて「いやーやめてーそんなに強引に入ってこないでー…………」と悶え苦しむ紅魔館の動けない大図書館の上げるか細い苦鳴が如き淫靡な歌声。時折混ざる天井付近の雨漏りのぴちょん…ぴちゃん…といういやらしくも刺激的な水音が、益々もって僕の豊かな想像の翼を大きく打ち振るわせる。――ふふ、毎度の事ながら、僕の詩的表現はなかなかに素晴しい。あまりのステキっぷりに目を付けられて、紅魔館の同人作家魔女から詩集寄稿の要請があったらどうしようか。まあ、どうせフリーザとかいうちんちくりん宇宙人の強大さを讃える詩を書くのよ! などと世迷言をほざくのだろうけど。うーむ……同じ趣味人とはいえ、幼女系の僕とは趣味が合わないし、まったくもって気が乗らないが、条件次第では考えてもいいかな……。以前ティーカップの一件で運命的な邂逅を果たしたあそこの主は、高貴な気品と幼い魅力が…堪らないからなぁ…(じゅるり)おっと、思わず涎が僕のはだけた胸のハート付近にまで溢れてしまったね。ふぅーー、剣呑剣呑。
その日僕はいつも通りに、こういったとりとめも無い知的で紳士的な思索を、幻想郷の中心から獲物を付け狙う蜘蛛の巣のように張り巡らせながら、どうせもうすぐこの僕のクールな笑顔を見るために、無防備な媚態を晒してノコノコとやって来るであろう、おしゃまで小生意気な仔猫ちゃんたちのことを考えていた。
博麗 霊夢、霧雨 魔理沙。
世間一般男女の常識的を鑑みるに――いくら彼女たちが強い霊力、魔力を持っていたとしても、漢のひとり暮らしの密室店内に「また来たわよ、霖之介さん(ファーストネームで僕を呼んでくれるのは霊夢だけなのさ)」「おう、香霖。相変わらずしけた面してやがるな(そうやって憎まれ口を叩くところが、萌えー)」などと嬉しそうにやってくるなぞ、ありえないことであろう。
だが…
だが、しかし!
彼女たちは自分が餓えた野獣の虎口に居るとも知らず、純真なモンシロチョウが野に咲く可憐なお花さんに『アハハ…待てー☆コイツゥ』と誘われるが如く、そっ首にギリリと括られた運命の紅い荒縄にグイグイと手繰り寄せられるが如く、毎度毎度、此処――香霖堂にやって来るのだよ。 この僕に会うために、わざと不機嫌な顔をしてどうでもいい口ぶりで「あら、居たの? 霖之介さん。別にストーブがあればあんたは要らないのに」とか「あー、邪魔するぜ、香霖。――さぁてと、今日はなにを蒐集していこうかね。ん? なに嫌そうな目で見てるんだよ、失礼なヤツだなぁ」などなど。ウフッ。照れ隠しに気の無い暴言を吐く彼女たちの――なんと、くぁわぃらすぃいことか。愛してるよ、マイ☆ハニーたち……僕は何時だって準備OKさ……ジュテーム、もなむぅー。ああ、それにしても彼女たちの――
なんたる、無防備。
なんたる、無警戒。
――ふふ、これも普段から胸に渦巻く欲望のタイフーンをまるで春にそよぐそよ風のように見せかけ、ハニーたちに万が一にも気取られぬよう抑え付けている、僕のたゆまぬ努力の結晶だろうね。でも、そろそろ素直に僕を求めてきてもいいんじゃないかな? いつまでもおあずけ放置プレイなんて……快感すぎるよ。ウフフ。
僕はカウンターに両肘を突きながら、蝋人形のようなたおやかなお手々をくいっとハート型に組み合わせ、出来上がった愛の小窓からそっと店のドアを覗き見て――
バチ☆コーン
とウインクをした。
と
ガラガラガラ……
「あー、凄い土砂降りだな。昼ぐらいまであんなに晴れていたのだが、まさか此処に来る途中でここまで降り出すとは思ってもみなかったぜ」
濡れ濡れの、未成熟な青い果実のラインが僕のイーグルアイに捉えられた。眼鏡がキラーンとダンディな輝きを放ち、僕の鋭い視線をカモフラージュする(脅えさせては可哀相だからね)。あられもない格好で、ぴちょぴちょと透明な液体を足元に滴らせながら……ふるふると震える(僕の)黒い仔猫ちゃん――霧雨 魔理沙が、僕と君とを繋ぐ愛の扉(ゴージャス ラブ ドアーズ)を開いて現れた。
----------------------------------------------------------------------
導章 マリーサマリーサ
BGM~ 珍客(萃夢想より)
「やあ、魔理沙じゃないか。雨雲程度にみすみす降られるなんて、君らしくも無いな。自慢の魔砲で雨雲ごと蒸発させればいいじゃないか」
(僕が精魂こめて調整し、君にプレゼントした愛のミニ八卦炉に、恋するココロをトローリと注ぎ込んでネ☆)
「そうしたいのは山々なんだが、どうもこの頃アレの出力が調節しづらくてな。下手にぶっ放すと大気の層ごとまとめて焼き尽くしてしまいかねん。いくら雨雲を消し飛ばしても、雨の代わりに降り注ぐ有害光線が多くなったら、私の玉のお肌が荒れてしまうからな」
「そうか。それは――幻想郷全体の損失だな。フム……――いいだろう。今日の僕は特別気分がいい、だから無償で調節しておこう」
(でもね、でもね。もしそうなったら……僕の特製ローションを君の全身に直接(キャッ)塗りたくって……日焼けを完全防禦して――ア・ゲ・ル)
「おっ、珍しいな。いつもはウダウダともったいぶって、直す代わりにアレくれコレくれと駄々をこねるのにな」
「……失礼だな、君は。いったい、僕がいつ何処で何時何分何十秒にそんなことをしたというんだい?言いがかりは止してくれよ」
「――3日前の香霖堂店内、そこのカウンターで。時間は15時33分33秒ぐらいだったと思いますわ」
「…………。そ、それより魔理沙。頭の先から爪先までずぶ濡れじゃないか。いくら君が健康優良魔砲少女だとはいえ、そのままでは風邪を引いて死んでしまうよ? どうだい、実は最近この店の地下に豪勢な温泉を増築したんだ。
ちょうどいい機会だから入っていかないか?」
香霖A(ここが、正念場だな)
香霖B(ああ、僕のリサーチに間違いは無い。自宅に温泉を引く程の風呂好き……ヤツは……入るさ)
香霖C(……長かったな。ここまで来るのに一体どれだけの犠牲が払われたことか)
香霖D(――問題ない。すべては例の計画通りに)
香霖E(我ら、”ピー”の為に)
香霖F(すべての趣味人に救いのあらんことを)
……………
…………………………
「うむ、そうだな。確かにこのままでは少々――いや、かなり、肌に濡れた服が張り付いて気持ち悪い」
「だろう? 自分で言うのもなんだが、コイツはかなり良く出来た部類に入る、香霖堂自慢の大浴場だ。僕以外では魔理沙が最初のお客、第一号だな。これは物凄く光栄なことだよ?」
「ほう、随分大きくでたじゃないか。これでショボイ棺桶風呂だったら店ごとミルキーウエイで押し流してやるぜ?」
「はは、その心配は無用さ。百聞は一見にしかず。いいから見てみろよ。きっと魔理沙なら気に入ってくれると思う」
〔香〕( ゚Д゚)ハ・イ・レ! ハ・イ・レ! は・い・れ! HA・I・RE!!(゚Д゚ )〔霖〕
「じゃあ、お言葉に甘えて入らせて貰いますわ」
「うん。うんうん。それは十全だね」
「………覗くなよ?」悪戯っぽく囁く魔理沙。
僕は――かぁっと顔をウブな少年のように紅く染めてみせる。
「な、なにを馬鹿なことを言ってるんだい!? 魔理沙! 僕はそこまで破廉恥じゃないつもりだよ」
ふふん……あくまで『つもり』だが。嘘はついていない。僕は自分に正直なのさ。アハァ!
「ははっ、悪い悪い。なにもお前さんを疑っている訳じゃない、香霖。ほんの冗談だ」
OH! 愛いヤツだネ! L O V E (えるおーぶいいー)魔理沙ぁぁッ!!
「相変わらず人が悪いな、魔理沙は。安心していいよ。君が風呂に入ってる間は、この僕が全身全霊を以って不埒な輩から、可憐なお姫様をお守り致しますとも」
ああそうさ! 幻想郷では僕以外の漢なぞ不要、むしろ害悪細菌。確実に殲滅駆除対象だ。テメエらなんざ、僕が守護する妖除結界には、一歩たりとも……近づけるものかよ。僕だけさ。彼女が風呂に入ってる間、脱衣所に居ていいのは。――ああ、僕の輝ける星(スター)――まりしゃよ。不埒な(プラチナ)僕を許しておくれ……。
「そ、そうか。なんか恥ずかしいぜ。そんな風に言われると」
――クス。魔理沙ったら、て・れ・や・さ・ん(はーと
「らしくないことを言うね、魔理沙。いつもは僕が何度注意しても、傍若無人を地でいくような横暴ぶりを発揮するくせに」
「あー、死にたいのか? 香霖。八卦炉が無くとも、私を舐めると色々と目も当てられないことになるぜ」
「濡れ鼠のまま言っても説得力ないよ」
「うにゃー」
「さあさあ、そうと決まれば早いとこ行った行った。これ以上店内を水浸しにされては敵わないからね」
「あ、ああ。んじゃ、そうするぜ」
……………
…………………………
----------------------------------------------------------------------
崩沃天章 夢の小道
BGM~ 仰空(萃夢想より)
――主よ、僕はやり遂げました。
”おめでとう、おめでとう”(´∀`*
ヽ(´ー`)ノありがとう、ありがとう。
僕はこころのなかで全裸神に祝福を受ける。信仰を新たにし諸手をあげてさわやかな笑みを浮かべ、心よりの感謝を彼に返す。
その後、何故かリングの上で燃え尽きる程に白いスポットライトを燦然と浴び、背中を彼に向けて右こぶしを振りあげ、旅立ちの言葉を背後のリング下で片目眼帯をしてにこやかに見守ってくれている全裸神に投げかけた。
――じゃあ、逝ってくるよ…。天国で見守っててね? バトラッツュ。
”いってらっさい”(´∀`*
(*´ヮ`) イッてきま。
……………
…………………………
----------------------------------------------------------------------
浴章 湯汰怪狼
BGM~ 禍機(萃夢想より)
カポーーーン
古来より入浴の際に反響するお約束的音源素材をバックに、魔理沙は香霖堂地下3階に存在する特殊入浴施設『ヘルシーファンタズム沸く湧くコーリンランド(仮』に、一糸纏わぬ生まれたままの姿で入浴していた。
一糸纏わぬ、というのは無論、素っ裸(ALL☆テンコー)ということである。
諸兄には誤解なきよう、きちんと理由を述べておく。君たちはいちいち風呂に入るのに、水着や防護服を着込む通常ありえない異常行動を取るであろうか。いや、無いだろう?
もし「私はお風呂にダイブするときは、常に摂氏1300℃まで耐えれるスーツを着用せねば安心できないわ」「どこで誰が見ているかも知れないから、密室浴場で裸になるなんてトンでもない! ホラッ、そこの排水溝の中から邪な視線がッ」とか言い出す突き抜けた方々がいたらお目にかかりたいものである。当然のことながら、そんな変態とは関わり合いにはなりたくないが。
だから、別段これは極々自然な、人科の雌雄体が取る常識行動であり、いやらしくもエロくもないことをご理解頂きたい。僕、森近霖之介は、至極まっとうで常識的な趣味人なのだ。
ハァハァ ハァハァ
動悸と息切れが僕のちっちゃなピュアハートを震わせる。
スルリとサスペンダーに脈打つ鼓動のビートは熱く、速く、心地よく。ぎゅんぎゅん全身を駆け巡る血流にふしぎなパワーを宿してくれた。今ならソラ(宇宙)だって飛べる。虚空に浮遊するという謎の要塞、ソロモンやアクシズにまで褌一丁で泳いでいけそうだ。――ソロモンよ、僕は帰ってきた。ウシャァァアアァァーー、ハマァァーーン様(幼)、万歳ーーッ! ジーク・キュベレイッ!!
「………」
いかん。危うく僕の眼鏡に使用されているサイコフレームという素敵マテリアルが、別世界の思念とリンクしそうになった。剣呑剣呑。ご利用は計画的に、だな。
フォォォーー。キュッキュッ。湯気と漢気で曇ったガラス面に情熱の吐息を優しく吹きかけ、表面を褌の裾で丹念に磨き上げた。よし、これで万が一にも狩りの獲物を見間違うこともあるまい。僕はなかなかに冷静で慎重派なのだ。
……………
…………………………
少女の匂いがする。
僕は大浴場で気分良く鼻歌(恋色マスタースパーク、というらしい)を歌っている魔理沙に向かってごちそうさまでした、と両手を合わせて感謝した。何事にも、感謝の念を持つというのは大事である。人として僕は間違ったことなどしたくはない。
ゴソゴソ
脱衣場に備え付けられたコインロッカーをマスターキーで開きながら、内部に充満する――濡れた少女の服から醸しだされる芳醇な香りを胸いっぱいに吸い込み、恐らく此処にあるであろうお目当ての魔装具を捜索する。
☆
〔とんがり帽子〕――少々オリジナリティに欠けるが、これはこれでいいものだ。取り合えず捜索活動の邪魔にならぬよう頭部にセットハットした。
〔エプロン〕――うふ。現在僕は褌一丁の正式な漢スタイルをしている。きっとコレを直に装着したら「あなた、ご飯にする?お風呂にする?そ・れ・と・も……僕?」と言い出しかねない程気分が高揚するに違いない。だが、今回の目的はそういう方向性ではないので、残念ながらそれは股の機会に取って置こう。焦ることは無い。愉しみは多ければ多いほど……いいのだから。
〔スカート〕――うふふふふ。僕は腰にその衣類を当ててしゃららーんと思わずトリプルアクセルターンをかましてしまった。ふわーりと風にたなびく黒いフレアが痛々しい。否、清々しい。ラララララー、と歌いだしたくなるのを鋼の自制心で堪え、丁寧に折りたたんで床に置いた。――魔理沙、君は女の子なんだから衣類はもっときちんと畳まないと。折角の可愛いスカートがシワになってしまうよ? 感謝してくれたまえ。世話好きなこの僕に。
〔靴下〕――ふん。嗅ぐとでも思ったかい? お生憎様。僕はそこまで恥知らずな真似をするほど無思慮ではないのさ、レディ。でも、これは知り合いのハンターとの交渉カードとして接収しておこう。〔褌の股間にアイテムを回収した!〕
む、ちょっと擦れてしまったかも。~~~~~っ、我慢我慢。
おや、これは〔キャミソール〕か……ふむ。僕はポイッと床にソレをほうり捨てた。見損なっては困る。僕は女性用の下着を着用するほど変態ではないのだ。もっとも、ソレは小さすぎて――きゅっと引き締まった僕の肉体美を飾るには到底釣り合わない、というのが最大の理由だが。
さて、残された財宝もあと僅か。心してかからねばな。
〔上着〕は……どうでもいいや。問題は、これだッ!
魔理沙の〔ドロワーズ〕に隠された秘密、今こそ僕が白日の下に、バラして並べて揃えて晒してやろう。
せいぎは我にあり。ふふ、魔理沙。君の超スピードの謎、僕に予測がつかないとでも思ったかい?
だとしたら、それは甘々のねちょねちょのぐちょぐちょだぜ? 玄爺の名に賭けて(別にそんなヤツどうでもいいが)僕が真実を暴き出してやるッ。真実は常にひとつ。――僕たちは固定観念に囚われ、トンでもない思い違いをしていたんだよ!? その証拠に……ほらッ!!!!
----------------------------------------------------------------------
男章
男たちの舞踏会
BGM~ どどめ色マスタースポック
もしくは Demystify Feast(萃夢想より)
くるくるくるくるくるくるくるくる―――
まわれ
まわれ
くるくる まわーれ
くるりん くるくる くるるっぽー
くるるん くりりん ぎゅるるんぱー
ドロワーズを引っ掴み、帽子をかなぐり捨てて颯爽と顔を突っ込みながら、彼は目にも留まらぬ速度でコーリンゴージャスボーイズスペシャル(KGBS)大回転を実行した。
片足をトキのように折り曲げながら猛烈スピン。両手をヴァレリィナのように躍らせ、すぃーすぃーと優雅に振るう。
天上から鳴り響く脳内音楽が、程よくマインドブラストされた香り付き脳みそを、完全で瀟洒な品質SSS(トリプルエス)を誇る愚者のトリュフ味噌に品質アップさせた。
頭から被ったドロワーズが、彼を究極のエレガントマンに仕立て上げるべく、局所的に発生した竜巻トルネードにバタバタと揺らめく。見るべき者が見れば、その任侠溢れて颯爽とはためく様は――まるで男塾の大応援旗のようにも取れるだろう。
あまりの恍惚に口から零れたよだれが、べっとりと魔理沙の下着を濡らした。
くるくるくる、くるくるくる。ひとり男祭りは続いていく。
そして、最後の締めに両足を大きく左右に開脚し、床が陥没するほどの震脚。左手でがばっと悩ましく頭部を抱え(正面に腋が来るのがポイントだ)腰をキュッと捻りながら浴室のドアの向こうへと大気を切り裂くほど鋭い指差しを行なった。――――ギャランドゥッ!!!!
くるくるくるくるくるくるくるくる―――
ビシィッツ!!
――………………。
す、すばらしい……。あまりに完璧な自分が恐くなった。しばらく残心しながら、脳内大観衆に向けて惜しみない感謝の投げキッスを振りまく。ありがとう、ありがとう! 僕の熱烈なるファンたちよ。ははは、どうだい? 僕の肉体美は魅惑的だろう? いくらでもおさわりしていいんだぜ? ――あ、コラっ。褌を引っ張っちゃ駄目だって。おひねりを突っ込むふりして、いやっ、そんな所を撫でられたら…あ、ああ…あふぅん。
愛しき仔猫ちゃんたち、ふふ、我慢できないのはわかるけど順番は――――守らないとね? まずはお友達から始めようか……ベイベー。
----------------------------------------------------------------------
湯熱章 謎の白ジャム
BGM~ 夏明き(萃夢想より)
「~~~~~~~♪」
なにも知らない魔理沙は、よもや自分の衣服でそのようなマーベラスファンタズムが現在進行形で行なわれているとは露ほども思わず、暢気に恋色マスタースパークなどを口ずさんでいた。長い睫毛に隠された潤んだ瞳をしぱしぱしながら、マーライオン型の給水口からドバドバと吐き出される白濁温泉汁を手に取り、桜色に火照った顔をパシャパシャと洗い、芳しい汗を流す。
はい、そこの貴方。
白濁、と聞いてすぐさまいかがわしい想像をする者は――人間失格だと自ら喧伝しているのに変わりない。
外界の有名どころに湧いている、酸性-硫酸塩泉・塩化物泉の〔白濁汁〕は、効能として神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え性・病後回復期・健康増進・慢性皮膚病・動脈硬化症・きりきず・やけど・慢性婦人病・虚弱児童などの豊富なバリエーションを内包する優れた泉質なのだ。いかがわしいことなど、一つも無い。
……もっとも、この香霖堂地下には、まともな温泉流など無く……すべて店主が調合した胡乱で怪しげな白濁汁なのだが。さっきまでのやたら長くてウザい学術的な説明はなんだったのか……。
「いいじゃないか、僕は皆に夢を売ってあげているんだよ。偽温泉だなんて根拠の無いいいがかりはよしてもらおうか」
閑話休題
「ふぅ~~……いい湯だぜ。内装の趣味はちとアレだが、香霖が作ったにしては上出来だな」
たぷん…と肩まで湯に浸かりながら、霧雨 魔理沙は森近 霖之介を賞賛した。
ちゃぷん
頭の上に結い上げた蜂蜜色の長髪が、首を後ろにぐーっと伸ばした拍子にはらりと解け、湯面を覆う。善し悪し問わぬ添加物がたっぷり入ったラーメンが大鍋で茹でられるように、くっつき合う事無くサラサラとほどけた金色の極細麺は「ズルルルルーーー、うほっ。うめえ! オヤジ、替え玉じゃんじゃん持って来いや」と絶賛したくなるほどに食指をそそる。なんだかんだ言っても、やはりラーメンは麺が命なのだ。無論、じゅるじゅると飲み干したくなる程美味な汁も大事だが。……あれ? 魔理沙の髪の毛を讃えていた筈なのに……まあ、多分この絶妙(びみょん)で繊細な比喩表現でも彼女の美味しさは伝わるだろう。きっと。
……………
…………………………
先程までの、くっきり見えたうなじが刺激的な入浴姿も大変に素晴しいですが、英国の魔法学校に通う言い難い名前の少女のようなおろしたヘアースタイルも滅茶苦茶に可愛らしかったのです。気品…とでも言うのでしょうか? 今の彼女にはそのような儚い色気が――全身に満ち溢れていたのです。嗚呼、天は二物も三物も彼女に与えたのですね。幻想郷の長い歴史のなかでも、十指に入る程の美の才能。そう、美少女とは――そういうものなのです。
なにかの解説者風にモノローグが変質する程度に、いい魔理沙であった。
「あー……それにしても……」辺りを覗うように魔理沙はキョロキョロと落ち着かない挙動をした。
じっと視線を下げると、白濁したお湯の中にはささやかなふくらみが。
「……ううむ、さすがにフランよりは大きいとはいえ……アリスとは……微妙だぜ。矢張り、疑惑まみれのインチキ手品師のように特殊増加装甲を当てるべきなのか。んー、だが、秘密の加速装置との相性に不安が残るな……。今度ネグリジェマエストロ(寝巻き職人)、パチュリーの所で魔導具をバージョンアップして貰おうか」
湯の中でなにか(アヒルのおもちゃ)をペタペタといじって撫でくり回しながら、魔理沙は微笑ましい独り言を零した。
頬が赤く上気しているのは、果たして湯に当ってるせいか。はたまた…………これ以上は境界侵犯に当るので、やめておこう。上空でスキマ様が「ちっ……」と残念そうに消えていった。こんな所で深・弾幕結界に叩き込まれるのは、さすがに御免被る。いくら愛があるとはいえ、痛いのはキライだからね。
以上、現場中継終わり。
以下、変態。
「ふぅ……僕としたことが、少々ハメを外しすぎたようだね。以後、気を付けねば……。
さすがにこんな『大絶賛!君のダンスは百万ペリカ!!』な現場を見られては、言い訳が利かないからなぁ」
そう言うと彼は冷静な動作で、装着していたマスク……いや、ドロワーズをズポリと脱ぎ捨てる。
しかし、
彼の口には、
ドロワーズの下に隠されていた、
真のたからものが、
しっかりと、
咥えられていた。
まるで、
一輪の薔薇を、
優雅に口にするように……。
「モガッ。モガモガモガ(フッ。魔理沙よ、ついに尻尾を掴んだよ)
モガガガガガ(矢張り、僕の目に狂いは無かった)
ウググゴゴゴゴガ(これぞ、ありえざる超加速を可能にする)
ウガッガガウグ(伝説の封神具。その名も……)
グゴゴガァガァーー!!(黒のガーター!!)」
黒のガーターベルト。
それは一部の好事家の間で一時期話題になった、魔導の粋を凝らしたマジックアイテムである。
原型となったのは『霧雨の縣糸』という細い絹糸。霧雨家に長年祭られてきた出所不明の神器のひとつ。
その糸には一説によると、古代に猛威を振るった大悪魔の魂が封印されているという。
そのようないわく付きの逸品である為、本来門外不出で厳重に保管されていたのだが……。
「こんな家、一秒だって居たくない」
霧雨家の寵児、魔導を扱う才により将来を嘱望されていた娘、魔理沙の突然の出奔。
彼女はその際に行きがけの駄賃、と言わんばかりに実家に保管されていた沢山のアンティークを持ち出したのだ。
その中には、以前魔理沙から騙し…いや、譲り受けた『草薙の剣』など物凄く希少な物も数多く含まれていた。
この糸もその内の一つだ。だが、物の価値をさっぱり理解しようとしない魔理沙は、こともあろうにその糸を……。
「おう、新しい加速術式の定着にコイツはうってつけだな。どおれ、いっちょ試して見るかねえ」
結果はこの通りだ。もともとそんなに飛行速度の早いほうでは無かった魔理沙は、その加速アクセサリーの効果で――今では幻想郷で1,2を争う程のスピード狂になってしまった。ああ、あの僕に良く懐いていてくれた頃の素直で愛らしい幼…いや、少女は今何処に!? ……カムバーーック! まりしゃ……ッ!!
…………
…………………
おっと。話が逸れてしまったようだね。
兎に角、僕が霧雨家で奉公しながら密かに狙っていた特別な糸は、魔理沙の手でチャーミングな下着に合成されて生まれ変わったんだ。
このことは、幻想郷でもごく一部の限られた者しか知らないトップシークレット。よもや、あの――速さの代名詞である霧雨 魔理沙の超スピードが、こんな(スゥゥーハァーー)いい匂いのするガーターのおかげであったなど、お釈迦様でも、マリア様でも思うまいよ。このアダルティなヒミツを、ガボガボのドロワーズで隠そうったって、そうはいかないのさ! 少なくとも、この僕は最初から怪しいと睨んでいたね。いつも、いつも、君のスカートの中身をこっそり覗くたびに予測して空想していたのさ。あの下には、きっとなにか素敵なヒミツがある……と。そしてッ、今、あやふやな空想は……確固たる幻想となった。……さすがだ、僕よ。幻想郷中の乙女を魅惑する肉体美のみならず、知的な推理能力もピカいちであったとは……神さまは、なんとも不公平な采配をしたものだね。まあ、初期能力値ボーナスがランダムで不公平なのは、現実でもよくある仕様だから、仕方ないよネ☆ウフフ。
彼は口に咥えたままだった黒いガーターベルトを、か弱い小鳥さんをそっと手に取るように、丁寧に優しく両手に取った。そして、いそいそと自らのスネ毛の生えた両足にガーターを通し、くいっとジャストフィットする位置まで引き上げていく。……その様は、まさに、見るに耐えないほどにデンジャラスであり、ゴージャスメイリーン。でも、コレぐらいでへこたれていては、完全体となった彼を見たときに精神が、マインドフレア直撃ブレインブレイクショット! なことになってしまうだろう。だから、それでいいの? と最初に聞いたのだ。最初の警告を笑い飛ばして無視した報いが、このどうにも絶望的な状況を呼び込んだのです。もう、貴方はいかに痛々しい姿を見せ付けられようとも、最後まで彼の生き様を見守り続けなければいけない義務がある。ほら、そうこう言っている内に、おお……とうとう……褌一丁の香霖に、最後の、幻想分が、付加され……る。
ガララララーー
「ふぃー……いいお湯だったぜ。今日ばかりは香霖に感謝しないと……な…………」
「…………ハッ!?」
----------------------------------------------------------------------
魂蓄章 露見
BGM~ 裏心(萃夢想より)
「……………………………………」
「……………………………………」
「……………………………」
「……………………………」
「……………………」
「……………………」
「……………」
「……………」
「……」
「……」
「……な」
「……な?」
「な、な、な……」
「…ラッキーセヴン?」
「なにしてやがりますのだぜーーーッ!!! 香・霖ーーーー」
「………いやん。えっちー(はーと」
バスタオル姿の霧雨 魔理沙。
褌ガーター姿の森近 霖之介。
滅茶苦茶春度の高い組み合わせであった。
「こ、こここの野郎……よくも、よくも私の純情(ガーター)を弄びやがって……」
「お、落ち着きたまえ! 魔理沙。これには深い、ふかぁーーい訳があるんだよ!!」
「…………ほう、なるほどねぇ……その破廉恥な姿にどんな理由があるのかしら、だぜ……」
「よくぞ聞いてくれたね! さすがは僕が見込んだ美少女、霧雨 魔理沙。なかなかにお目が高い! 実は……」
「実は……?」
「そう、実は」
「履いてみたかったの」
「…………」
「てへっ☆ゴメンネ」
「……く。ククク……クフフフフ」
「おい、どうしたんだい? 魔理沙。いきなり俯きながら肩を震わせて。具合がわるいなら僕がお姫様抱っこして保健室に連れてってあげ…」
「黙れ」
「ヒィィッ、恐いッ、恐いよ……まり」
「いいから、だ ま れ」
「誤解だッ、これは何かの陰謀なんだ……そう! おかしな薬をばら撒く宇宙人の、キャッスルミーティングとかいう卑劣な人体実験だったんだよ!! 騙されるなッ魔理沙、君はそんなに愚かな娘では無い筈だろう!? さぁ、そんなに脅えて震えてないで、両手を上げて僕の胸に飛び込んでおいで? 大丈夫、これはすべて夢……悪い夢なんだよ。朝僕の隣で目が覚めたら『うにゃ……なんか悪い夢を見た気がするぜ』『へぇ、そうなのかい? ふふふ、でも安心しろよ。僕が突いてるんだから、恐いことなんて何も無いんだよ』『うん……好きだぜ、香霖』『ああ、僕もだ、魔理沙…』そしてふたりは熱いヴェーゼを交わすのでした……」
「ほほう、そいつは凄いな。で、お前の遺言はそんな戯けた妄想でいいんだな?」
「あれ? 騙され…いや、納得出来てない?」
「ええ、この状況でそんな寝言を吐ける大嘘つきの言うことなんて、まったくもって聞く耳持てませんわ」
「あちゃー、これは僕としたことが。失敗失敗。腕を上げたね、魔理沙。じゃ、僕はこれから大事な用件があるのでこれで失礼するよ」
シュタッと片手を上げて、着替える事無く何気ないそぶりでその場を去ろうとする香霖。
髪留めのリボン――緊急時の護身用スペカをこっそり発動させる魔理沙。
「ああそうかい、香霖。……うふふふふ。ほぅら―――何処へなりとも逃げるがいいさ」
「おっ。すまない、魔理沙。この恩は必ず……」
にこやかに哂う魔理沙を尻目に、猛スピードで褌ガーターのまま地上へ駆け上がり、そのまま店外へと駆け出した香霖。どうしてかは知らないが、魔理沙は彼をこの場で始末する気はないらしい。ミニ八卦炉と通常スペルカードも持たない今の彼女には、それぐらいしか取れる行動が無かったのだろう。いや、もしかして……
「フッ……どうやらまた一人、僕の裸身の虜にしてしまったようだね。嗚呼……なんて、罪作りな、僕」
----------------------------------------------------------------------
断章
星符「ドラゴンメテオ」
BGM~ ”夜が降りてくる ~ Evening Star”
「ん? なにやらお空が眩しいね。もしかして……」
―――――キュウォォオオォォォォーーーー………
「ふむ。これが俗に言う天の祝福というものなのかな…………あれ? なんだか命の危険を感じるよ!? 光が… 光が…」
キュボッ キュボッ
「おわっ! なんじゃこりゃああぁぁ!!」
香霖は慌てて身を躱した!!
天からの砲撃! 傍らの大地は嫌な音を立てて蒸発した!!
ジュゥゥオオォォ………
「…………」
「ぉぃぉぃ……本気かい? 魔理沙……」
キュボッ ――キュボッ
「うはぁ! いったい僕が、ウホッ! 君にナニを、したと言うんだねッ」
キュボボボボッ!!!!
「フォッ! アパパパパパパ!!! ――なんてこった。君は本当に僕を殺す気かい!?」
遥か上空、成層圏の彼方、衛星軌道上より飛来する幾条もの光柱。
一切の容赦が感じられない光の魔砲を一撃喰らえば、物理攻撃にしか耐性の無い彼の鋼の肉体は無残に焼き滅ぼされてしまうであろう。
次々に大地に突き立つ光の柱が放つ蒼白の輝きが、魔理沙の熾烈な怒りを物語っているようだった。
「フゥゥハァァーー……。魔理沙……。ど う や ら 、こ の 僕 を 本 気 に さ せ て し ま っ た よ う だ ね」
----------------------------------------------------------------------
流転の章 征旗掲揚
BGM~ ピアノ協奏曲第1番'蠍火'(Pf Concerto No.1 'Anti-Ares')
もしくは 御伽の国の鬼が島 ~ Missing Power
香霖はあたふたと逃げ回っていた先程とは別人のように、余裕ぶった不敵な表情で天を仰いだ。
ソラから落ちてくる絶望的な光量が、彼の眼鏡をキラリと妖しく光らせる。
往生際の悪さでは定評のある香霖堂店主が、よもや観念して入滅することなぞ……。
真っ白い健康的な歯を剥きだしながら、彼は叫ぶ。
両手を大きく振りかざして、自重に耐えかねた天を優しく支えてあげるかのように、惚れ惚れする程の漢笑いを表出させた。
「――天よッ」
キュォォオオォォ――…… 迫りくる、死
「地よッ」
――――――クォォォーーー……ン もう、回避は間に合わない
「ヨウジョよッ!」
ギュルルルルルルルル………… あ、此処に居たのかい? バトラッツュ。アハハハハ……
憤ッ。
「天衝天羅、地祇地祁 万幡!! 南無 恥幡態菩薩も照覧あれッ
……見よッ、僕の”ピー”は真っ赤に萌えているぅぅッ!!
―――驚裸大四侠殺、男祭り第一話―――」
ぐいっ!
ちらり…
「流符――――香・霖 フラーーーーーッシュゥゥーーーー……アハァアッ♪」
《カッ》
ズゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォ……………
――散。
…………もう、駄目だ。とてもじゃないが、描写は不可能。
拙すぎるんだよ……アンタは。――本当に。あらゆる意味で。
漢らっすぃーのは充分理解してるから、勘弁してくれ……いや、私が悪かったから……許して。
このシーンはなんとか、各自の想像で補完して下さい……。
……某サイトのフラッシュでも、見て。
……………
…………………………
……………
…………………………
……………
…………………………
かくして、彼は見事に魔理沙が放った上空の脅威を退け、念願の封神具〔黒のガーター〕を入手した…。
ふぅ……やっと、終わりか……。
だが
「フフフ……これからが、本番さぁ……。見てるがいい。最狂の機動力を手に入れた、この僕の――真のたたかいを。うふっ。うふふふふ。待っていたまえ、我が旧き宿敵(とも)よ。すべての準備は整った。もはや、君と僕とのハルマゲドンを阻む要因は――――皆無。さあ、このままどこまでも、どこまでも……突進あるのみッ!
男の子は、斃れるときはァァ前のめりぃぃぃ」
――香霖は征く。店の敷地を乗り越え、一路愛しいアイツが待つ魔法の森へ。
空には、何時の間にか
――おおきな おおきな
真っ赤な 真っ赤な
不浄の血のように 赤い
落陽の紅(くれない)が
在った。
↓この先〔香・霖〕 注:一度迷い込んだらキレイな体では出られません。汚れたくない方はスルー推奨。
「 君は魔法を信じるかい? 」
序章 ある平穏な雨の日
BGM~ 森閑(東方萃夢想より)
――土砂降りだった。
我ながら唐突な事を言っていることは、そこはかとなく自覚している。だが、そんな捻りも糞も無い、屁の突っ張りにもならん常識言語しか言えない程度に、午後から降り出した雨は全くもって降り止まぬ様相を呈していたのだ。僕の形のいい素敵イアーを打つのは、店の屋根ごしに聞こえてくる雨音。それは、ダララララ……とまるで霊夢のバスウェイジョンニードルを元祖ノンディレクショナルレーザーの死角に入り込まれたあげく容赦無い零距離射撃をされて「いやーやめてーそんなに強引に入ってこないでー…………」と悶え苦しむ紅魔館の動けない大図書館の上げるか細い苦鳴が如き淫靡な歌声。時折混ざる天井付近の雨漏りのぴちょん…ぴちゃん…といういやらしくも刺激的な水音が、益々もって僕の豊かな想像の翼を大きく打ち振るわせる。――ふふ、毎度の事ながら、僕の詩的表現はなかなかに素晴しい。あまりのステキっぷりに目を付けられて、紅魔館の同人作家魔女から詩集寄稿の要請があったらどうしようか。まあ、どうせフリーザとかいうちんちくりん宇宙人の強大さを讃える詩を書くのよ! などと世迷言をほざくのだろうけど。うーむ……同じ趣味人とはいえ、幼女系の僕とは趣味が合わないし、まったくもって気が乗らないが、条件次第では考えてもいいかな……。以前ティーカップの一件で運命的な邂逅を果たしたあそこの主は、高貴な気品と幼い魅力が…堪らないからなぁ…(じゅるり)おっと、思わず涎が僕のはだけた胸のハート付近にまで溢れてしまったね。ふぅーー、剣呑剣呑。
その日僕はいつも通りに、こういったとりとめも無い知的で紳士的な思索を、幻想郷の中心から獲物を付け狙う蜘蛛の巣のように張り巡らせながら、どうせもうすぐこの僕のクールな笑顔を見るために、無防備な媚態を晒してノコノコとやって来るであろう、おしゃまで小生意気な仔猫ちゃんたちのことを考えていた。
博麗 霊夢、霧雨 魔理沙。
世間一般男女の常識的を鑑みるに――いくら彼女たちが強い霊力、魔力を持っていたとしても、漢のひとり暮らしの密室店内に「また来たわよ、霖之介さん(ファーストネームで僕を呼んでくれるのは霊夢だけなのさ)」「おう、香霖。相変わらずしけた面してやがるな(そうやって憎まれ口を叩くところが、萌えー)」などと嬉しそうにやってくるなぞ、ありえないことであろう。
だが…
だが、しかし!
彼女たちは自分が餓えた野獣の虎口に居るとも知らず、純真なモンシロチョウが野に咲く可憐なお花さんに『アハハ…待てー☆コイツゥ』と誘われるが如く、そっ首にギリリと括られた運命の紅い荒縄にグイグイと手繰り寄せられるが如く、毎度毎度、此処――香霖堂にやって来るのだよ。 この僕に会うために、わざと不機嫌な顔をしてどうでもいい口ぶりで「あら、居たの? 霖之介さん。別にストーブがあればあんたは要らないのに」とか「あー、邪魔するぜ、香霖。――さぁてと、今日はなにを蒐集していこうかね。ん? なに嫌そうな目で見てるんだよ、失礼なヤツだなぁ」などなど。ウフッ。照れ隠しに気の無い暴言を吐く彼女たちの――なんと、くぁわぃらすぃいことか。愛してるよ、マイ☆ハニーたち……僕は何時だって準備OKさ……ジュテーム、もなむぅー。ああ、それにしても彼女たちの――
なんたる、無防備。
なんたる、無警戒。
――ふふ、これも普段から胸に渦巻く欲望のタイフーンをまるで春にそよぐそよ風のように見せかけ、ハニーたちに万が一にも気取られぬよう抑え付けている、僕のたゆまぬ努力の結晶だろうね。でも、そろそろ素直に僕を求めてきてもいいんじゃないかな? いつまでもおあずけ放置プレイなんて……快感すぎるよ。ウフフ。
僕はカウンターに両肘を突きながら、蝋人形のようなたおやかなお手々をくいっとハート型に組み合わせ、出来上がった愛の小窓からそっと店のドアを覗き見て――
バチ☆コーン
とウインクをした。
と
ガラガラガラ……
「あー、凄い土砂降りだな。昼ぐらいまであんなに晴れていたのだが、まさか此処に来る途中でここまで降り出すとは思ってもみなかったぜ」
濡れ濡れの、未成熟な青い果実のラインが僕のイーグルアイに捉えられた。眼鏡がキラーンとダンディな輝きを放ち、僕の鋭い視線をカモフラージュする(脅えさせては可哀相だからね)。あられもない格好で、ぴちょぴちょと透明な液体を足元に滴らせながら……ふるふると震える(僕の)黒い仔猫ちゃん――霧雨 魔理沙が、僕と君とを繋ぐ愛の扉(ゴージャス ラブ ドアーズ)を開いて現れた。
----------------------------------------------------------------------
導章 マリーサマリーサ
BGM~ 珍客(萃夢想より)
「やあ、魔理沙じゃないか。雨雲程度にみすみす降られるなんて、君らしくも無いな。自慢の魔砲で雨雲ごと蒸発させればいいじゃないか」
(僕が精魂こめて調整し、君にプレゼントした愛のミニ八卦炉に、恋するココロをトローリと注ぎ込んでネ☆)
「そうしたいのは山々なんだが、どうもこの頃アレの出力が調節しづらくてな。下手にぶっ放すと大気の層ごとまとめて焼き尽くしてしまいかねん。いくら雨雲を消し飛ばしても、雨の代わりに降り注ぐ有害光線が多くなったら、私の玉のお肌が荒れてしまうからな」
「そうか。それは――幻想郷全体の損失だな。フム……――いいだろう。今日の僕は特別気分がいい、だから無償で調節しておこう」
(でもね、でもね。もしそうなったら……僕の特製ローションを君の全身に直接(キャッ)塗りたくって……日焼けを完全防禦して――ア・ゲ・ル)
「おっ、珍しいな。いつもはウダウダともったいぶって、直す代わりにアレくれコレくれと駄々をこねるのにな」
「……失礼だな、君は。いったい、僕がいつ何処で何時何分何十秒にそんなことをしたというんだい?言いがかりは止してくれよ」
「――3日前の香霖堂店内、そこのカウンターで。時間は15時33分33秒ぐらいだったと思いますわ」
「…………。そ、それより魔理沙。頭の先から爪先までずぶ濡れじゃないか。いくら君が健康優良魔砲少女だとはいえ、そのままでは風邪を引いて死んでしまうよ? どうだい、実は最近この店の地下に豪勢な温泉を増築したんだ。
ちょうどいい機会だから入っていかないか?」
香霖A(ここが、正念場だな)
香霖B(ああ、僕のリサーチに間違いは無い。自宅に温泉を引く程の風呂好き……ヤツは……入るさ)
香霖C(……長かったな。ここまで来るのに一体どれだけの犠牲が払われたことか)
香霖D(――問題ない。すべては例の計画通りに)
香霖E(我ら、”ピー”の為に)
香霖F(すべての趣味人に救いのあらんことを)
……………
…………………………
「うむ、そうだな。確かにこのままでは少々――いや、かなり、肌に濡れた服が張り付いて気持ち悪い」
「だろう? 自分で言うのもなんだが、コイツはかなり良く出来た部類に入る、香霖堂自慢の大浴場だ。僕以外では魔理沙が最初のお客、第一号だな。これは物凄く光栄なことだよ?」
「ほう、随分大きくでたじゃないか。これでショボイ棺桶風呂だったら店ごとミルキーウエイで押し流してやるぜ?」
「はは、その心配は無用さ。百聞は一見にしかず。いいから見てみろよ。きっと魔理沙なら気に入ってくれると思う」
〔香〕( ゚Д゚)ハ・イ・レ! ハ・イ・レ! は・い・れ! HA・I・RE!!(゚Д゚ )〔霖〕
「じゃあ、お言葉に甘えて入らせて貰いますわ」
「うん。うんうん。それは十全だね」
「………覗くなよ?」悪戯っぽく囁く魔理沙。
僕は――かぁっと顔をウブな少年のように紅く染めてみせる。
「な、なにを馬鹿なことを言ってるんだい!? 魔理沙! 僕はそこまで破廉恥じゃないつもりだよ」
ふふん……あくまで『つもり』だが。嘘はついていない。僕は自分に正直なのさ。アハァ!
「ははっ、悪い悪い。なにもお前さんを疑っている訳じゃない、香霖。ほんの冗談だ」
OH! 愛いヤツだネ! L O V E (えるおーぶいいー)魔理沙ぁぁッ!!
「相変わらず人が悪いな、魔理沙は。安心していいよ。君が風呂に入ってる間は、この僕が全身全霊を以って不埒な輩から、可憐なお姫様をお守り致しますとも」
ああそうさ! 幻想郷では僕以外の漢なぞ不要、むしろ害悪細菌。確実に殲滅駆除対象だ。テメエらなんざ、僕が守護する妖除結界には、一歩たりとも……近づけるものかよ。僕だけさ。彼女が風呂に入ってる間、脱衣所に居ていいのは。――ああ、僕の輝ける星(スター)――まりしゃよ。不埒な(プラチナ)僕を許しておくれ……。
「そ、そうか。なんか恥ずかしいぜ。そんな風に言われると」
――クス。魔理沙ったら、て・れ・や・さ・ん(はーと
「らしくないことを言うね、魔理沙。いつもは僕が何度注意しても、傍若無人を地でいくような横暴ぶりを発揮するくせに」
「あー、死にたいのか? 香霖。八卦炉が無くとも、私を舐めると色々と目も当てられないことになるぜ」
「濡れ鼠のまま言っても説得力ないよ」
「うにゃー」
「さあさあ、そうと決まれば早いとこ行った行った。これ以上店内を水浸しにされては敵わないからね」
「あ、ああ。んじゃ、そうするぜ」
……………
…………………………
----------------------------------------------------------------------
崩沃天章 夢の小道
BGM~ 仰空(萃夢想より)
――主よ、僕はやり遂げました。
”おめでとう、おめでとう”(´∀`*
ヽ(´ー`)ノありがとう、ありがとう。
僕はこころのなかで全裸神に祝福を受ける。信仰を新たにし諸手をあげてさわやかな笑みを浮かべ、心よりの感謝を彼に返す。
その後、何故かリングの上で燃え尽きる程に白いスポットライトを燦然と浴び、背中を彼に向けて右こぶしを振りあげ、旅立ちの言葉を背後のリング下で片目眼帯をしてにこやかに見守ってくれている全裸神に投げかけた。
――じゃあ、逝ってくるよ…。天国で見守っててね? バトラッツュ。
”いってらっさい”(´∀`*
(*´ヮ`) イッてきま。
……………
…………………………
----------------------------------------------------------------------
浴章 湯汰怪狼
BGM~ 禍機(萃夢想より)
カポーーーン
古来より入浴の際に反響するお約束的音源素材をバックに、魔理沙は香霖堂地下3階に存在する特殊入浴施設『ヘルシーファンタズム沸く湧くコーリンランド(仮』に、一糸纏わぬ生まれたままの姿で入浴していた。
一糸纏わぬ、というのは無論、素っ裸(ALL☆テンコー)ということである。
諸兄には誤解なきよう、きちんと理由を述べておく。君たちはいちいち風呂に入るのに、水着や防護服を着込む通常ありえない異常行動を取るであろうか。いや、無いだろう?
もし「私はお風呂にダイブするときは、常に摂氏1300℃まで耐えれるスーツを着用せねば安心できないわ」「どこで誰が見ているかも知れないから、密室浴場で裸になるなんてトンでもない! ホラッ、そこの排水溝の中から邪な視線がッ」とか言い出す突き抜けた方々がいたらお目にかかりたいものである。当然のことながら、そんな変態とは関わり合いにはなりたくないが。
だから、別段これは極々自然な、人科の雌雄体が取る常識行動であり、いやらしくもエロくもないことをご理解頂きたい。僕、森近霖之介は、至極まっとうで常識的な趣味人なのだ。
ハァハァ ハァハァ
動悸と息切れが僕のちっちゃなピュアハートを震わせる。
スルリとサスペンダーに脈打つ鼓動のビートは熱く、速く、心地よく。ぎゅんぎゅん全身を駆け巡る血流にふしぎなパワーを宿してくれた。今ならソラ(宇宙)だって飛べる。虚空に浮遊するという謎の要塞、ソロモンやアクシズにまで褌一丁で泳いでいけそうだ。――ソロモンよ、僕は帰ってきた。ウシャァァアアァァーー、ハマァァーーン様(幼)、万歳ーーッ! ジーク・キュベレイッ!!
「………」
いかん。危うく僕の眼鏡に使用されているサイコフレームという素敵マテリアルが、別世界の思念とリンクしそうになった。剣呑剣呑。ご利用は計画的に、だな。
フォォォーー。キュッキュッ。湯気と漢気で曇ったガラス面に情熱の吐息を優しく吹きかけ、表面を褌の裾で丹念に磨き上げた。よし、これで万が一にも狩りの獲物を見間違うこともあるまい。僕はなかなかに冷静で慎重派なのだ。
……………
…………………………
少女の匂いがする。
僕は大浴場で気分良く鼻歌(恋色マスタースパーク、というらしい)を歌っている魔理沙に向かってごちそうさまでした、と両手を合わせて感謝した。何事にも、感謝の念を持つというのは大事である。人として僕は間違ったことなどしたくはない。
ゴソゴソ
脱衣場に備え付けられたコインロッカーをマスターキーで開きながら、内部に充満する――濡れた少女の服から醸しだされる芳醇な香りを胸いっぱいに吸い込み、恐らく此処にあるであろうお目当ての魔装具を捜索する。
☆
〔とんがり帽子〕――少々オリジナリティに欠けるが、これはこれでいいものだ。取り合えず捜索活動の邪魔にならぬよう頭部にセットハットした。
〔エプロン〕――うふ。現在僕は褌一丁の正式な漢スタイルをしている。きっとコレを直に装着したら「あなた、ご飯にする?お風呂にする?そ・れ・と・も……僕?」と言い出しかねない程気分が高揚するに違いない。だが、今回の目的はそういう方向性ではないので、残念ながらそれは股の機会に取って置こう。焦ることは無い。愉しみは多ければ多いほど……いいのだから。
〔スカート〕――うふふふふ。僕は腰にその衣類を当ててしゃららーんと思わずトリプルアクセルターンをかましてしまった。ふわーりと風にたなびく黒いフレアが痛々しい。否、清々しい。ラララララー、と歌いだしたくなるのを鋼の自制心で堪え、丁寧に折りたたんで床に置いた。――魔理沙、君は女の子なんだから衣類はもっときちんと畳まないと。折角の可愛いスカートがシワになってしまうよ? 感謝してくれたまえ。世話好きなこの僕に。
〔靴下〕――ふん。嗅ぐとでも思ったかい? お生憎様。僕はそこまで恥知らずな真似をするほど無思慮ではないのさ、レディ。でも、これは知り合いのハンターとの交渉カードとして接収しておこう。〔褌の股間にアイテムを回収した!〕
む、ちょっと擦れてしまったかも。~~~~~っ、我慢我慢。
おや、これは〔キャミソール〕か……ふむ。僕はポイッと床にソレをほうり捨てた。見損なっては困る。僕は女性用の下着を着用するほど変態ではないのだ。もっとも、ソレは小さすぎて――きゅっと引き締まった僕の肉体美を飾るには到底釣り合わない、というのが最大の理由だが。
さて、残された財宝もあと僅か。心してかからねばな。
〔上着〕は……どうでもいいや。問題は、これだッ!
魔理沙の〔ドロワーズ〕に隠された秘密、今こそ僕が白日の下に、バラして並べて揃えて晒してやろう。
せいぎは我にあり。ふふ、魔理沙。君の超スピードの謎、僕に予測がつかないとでも思ったかい?
だとしたら、それは甘々のねちょねちょのぐちょぐちょだぜ? 玄爺の名に賭けて(別にそんなヤツどうでもいいが)僕が真実を暴き出してやるッ。真実は常にひとつ。――僕たちは固定観念に囚われ、トンでもない思い違いをしていたんだよ!? その証拠に……ほらッ!!!!
----------------------------------------------------------------------
男章
男たちの舞踏会
BGM~ どどめ色マスタースポック
もしくは Demystify Feast(萃夢想より)
くるくるくるくるくるくるくるくる―――
まわれ
まわれ
くるくる まわーれ
くるりん くるくる くるるっぽー
くるるん くりりん ぎゅるるんぱー
ドロワーズを引っ掴み、帽子をかなぐり捨てて颯爽と顔を突っ込みながら、彼は目にも留まらぬ速度でコーリンゴージャスボーイズスペシャル(KGBS)大回転を実行した。
片足をトキのように折り曲げながら猛烈スピン。両手をヴァレリィナのように躍らせ、すぃーすぃーと優雅に振るう。
天上から鳴り響く脳内音楽が、程よくマインドブラストされた香り付き脳みそを、完全で瀟洒な品質SSS(トリプルエス)を誇る愚者のトリュフ味噌に品質アップさせた。
頭から被ったドロワーズが、彼を究極のエレガントマンに仕立て上げるべく、局所的に発生した竜巻トルネードにバタバタと揺らめく。見るべき者が見れば、その任侠溢れて颯爽とはためく様は――まるで男塾の大応援旗のようにも取れるだろう。
あまりの恍惚に口から零れたよだれが、べっとりと魔理沙の下着を濡らした。
くるくるくる、くるくるくる。ひとり男祭りは続いていく。
そして、最後の締めに両足を大きく左右に開脚し、床が陥没するほどの震脚。左手でがばっと悩ましく頭部を抱え(正面に腋が来るのがポイントだ)腰をキュッと捻りながら浴室のドアの向こうへと大気を切り裂くほど鋭い指差しを行なった。――――ギャランドゥッ!!!!
くるくるくるくるくるくるくるくる―――
ビシィッツ!!
――………………。
す、すばらしい……。あまりに完璧な自分が恐くなった。しばらく残心しながら、脳内大観衆に向けて惜しみない感謝の投げキッスを振りまく。ありがとう、ありがとう! 僕の熱烈なるファンたちよ。ははは、どうだい? 僕の肉体美は魅惑的だろう? いくらでもおさわりしていいんだぜ? ――あ、コラっ。褌を引っ張っちゃ駄目だって。おひねりを突っ込むふりして、いやっ、そんな所を撫でられたら…あ、ああ…あふぅん。
愛しき仔猫ちゃんたち、ふふ、我慢できないのはわかるけど順番は――――守らないとね? まずはお友達から始めようか……ベイベー。
----------------------------------------------------------------------
湯熱章 謎の白ジャム
BGM~ 夏明き(萃夢想より)
「~~~~~~~♪」
なにも知らない魔理沙は、よもや自分の衣服でそのようなマーベラスファンタズムが現在進行形で行なわれているとは露ほども思わず、暢気に恋色マスタースパークなどを口ずさんでいた。長い睫毛に隠された潤んだ瞳をしぱしぱしながら、マーライオン型の給水口からドバドバと吐き出される白濁温泉汁を手に取り、桜色に火照った顔をパシャパシャと洗い、芳しい汗を流す。
はい、そこの貴方。
白濁、と聞いてすぐさまいかがわしい想像をする者は――人間失格だと自ら喧伝しているのに変わりない。
外界の有名どころに湧いている、酸性-硫酸塩泉・塩化物泉の〔白濁汁〕は、効能として神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え性・病後回復期・健康増進・慢性皮膚病・動脈硬化症・きりきず・やけど・慢性婦人病・虚弱児童などの豊富なバリエーションを内包する優れた泉質なのだ。いかがわしいことなど、一つも無い。
……もっとも、この香霖堂地下には、まともな温泉流など無く……すべて店主が調合した胡乱で怪しげな白濁汁なのだが。さっきまでのやたら長くてウザい学術的な説明はなんだったのか……。
「いいじゃないか、僕は皆に夢を売ってあげているんだよ。偽温泉だなんて根拠の無いいいがかりはよしてもらおうか」
閑話休題
「ふぅ~~……いい湯だぜ。内装の趣味はちとアレだが、香霖が作ったにしては上出来だな」
たぷん…と肩まで湯に浸かりながら、霧雨 魔理沙は森近 霖之介を賞賛した。
ちゃぷん
頭の上に結い上げた蜂蜜色の長髪が、首を後ろにぐーっと伸ばした拍子にはらりと解け、湯面を覆う。善し悪し問わぬ添加物がたっぷり入ったラーメンが大鍋で茹でられるように、くっつき合う事無くサラサラとほどけた金色の極細麺は「ズルルルルーーー、うほっ。うめえ! オヤジ、替え玉じゃんじゃん持って来いや」と絶賛したくなるほどに食指をそそる。なんだかんだ言っても、やはりラーメンは麺が命なのだ。無論、じゅるじゅると飲み干したくなる程美味な汁も大事だが。……あれ? 魔理沙の髪の毛を讃えていた筈なのに……まあ、多分この絶妙(びみょん)で繊細な比喩表現でも彼女の美味しさは伝わるだろう。きっと。
……………
…………………………
先程までの、くっきり見えたうなじが刺激的な入浴姿も大変に素晴しいですが、英国の魔法学校に通う言い難い名前の少女のようなおろしたヘアースタイルも滅茶苦茶に可愛らしかったのです。気品…とでも言うのでしょうか? 今の彼女にはそのような儚い色気が――全身に満ち溢れていたのです。嗚呼、天は二物も三物も彼女に与えたのですね。幻想郷の長い歴史のなかでも、十指に入る程の美の才能。そう、美少女とは――そういうものなのです。
なにかの解説者風にモノローグが変質する程度に、いい魔理沙であった。
「あー……それにしても……」辺りを覗うように魔理沙はキョロキョロと落ち着かない挙動をした。
じっと視線を下げると、白濁したお湯の中にはささやかなふくらみが。
「……ううむ、さすがにフランよりは大きいとはいえ……アリスとは……微妙だぜ。矢張り、疑惑まみれのインチキ手品師のように特殊増加装甲を当てるべきなのか。んー、だが、秘密の加速装置との相性に不安が残るな……。今度ネグリジェマエストロ(寝巻き職人)、パチュリーの所で魔導具をバージョンアップして貰おうか」
湯の中でなにか(アヒルのおもちゃ)をペタペタといじって撫でくり回しながら、魔理沙は微笑ましい独り言を零した。
頬が赤く上気しているのは、果たして湯に当ってるせいか。はたまた…………これ以上は境界侵犯に当るので、やめておこう。上空でスキマ様が「ちっ……」と残念そうに消えていった。こんな所で深・弾幕結界に叩き込まれるのは、さすがに御免被る。いくら愛があるとはいえ、痛いのはキライだからね。
以上、現場中継終わり。
以下、変態。
「ふぅ……僕としたことが、少々ハメを外しすぎたようだね。以後、気を付けねば……。
さすがにこんな『大絶賛!君のダンスは百万ペリカ!!』な現場を見られては、言い訳が利かないからなぁ」
そう言うと彼は冷静な動作で、装着していたマスク……いや、ドロワーズをズポリと脱ぎ捨てる。
しかし、
彼の口には、
ドロワーズの下に隠されていた、
真のたからものが、
しっかりと、
咥えられていた。
まるで、
一輪の薔薇を、
優雅に口にするように……。
「モガッ。モガモガモガ(フッ。魔理沙よ、ついに尻尾を掴んだよ)
モガガガガガ(矢張り、僕の目に狂いは無かった)
ウググゴゴゴゴガ(これぞ、ありえざる超加速を可能にする)
ウガッガガウグ(伝説の封神具。その名も……)
グゴゴガァガァーー!!(黒のガーター!!)」
黒のガーターベルト。
それは一部の好事家の間で一時期話題になった、魔導の粋を凝らしたマジックアイテムである。
原型となったのは『霧雨の縣糸』という細い絹糸。霧雨家に長年祭られてきた出所不明の神器のひとつ。
その糸には一説によると、古代に猛威を振るった大悪魔の魂が封印されているという。
そのようないわく付きの逸品である為、本来門外不出で厳重に保管されていたのだが……。
「こんな家、一秒だって居たくない」
霧雨家の寵児、魔導を扱う才により将来を嘱望されていた娘、魔理沙の突然の出奔。
彼女はその際に行きがけの駄賃、と言わんばかりに実家に保管されていた沢山のアンティークを持ち出したのだ。
その中には、以前魔理沙から騙し…いや、譲り受けた『草薙の剣』など物凄く希少な物も数多く含まれていた。
この糸もその内の一つだ。だが、物の価値をさっぱり理解しようとしない魔理沙は、こともあろうにその糸を……。
「おう、新しい加速術式の定着にコイツはうってつけだな。どおれ、いっちょ試して見るかねえ」
結果はこの通りだ。もともとそんなに飛行速度の早いほうでは無かった魔理沙は、その加速アクセサリーの効果で――今では幻想郷で1,2を争う程のスピード狂になってしまった。ああ、あの僕に良く懐いていてくれた頃の素直で愛らしい幼…いや、少女は今何処に!? ……カムバーーック! まりしゃ……ッ!!
…………
…………………
おっと。話が逸れてしまったようだね。
兎に角、僕が霧雨家で奉公しながら密かに狙っていた特別な糸は、魔理沙の手でチャーミングな下着に合成されて生まれ変わったんだ。
このことは、幻想郷でもごく一部の限られた者しか知らないトップシークレット。よもや、あの――速さの代名詞である霧雨 魔理沙の超スピードが、こんな(スゥゥーハァーー)いい匂いのするガーターのおかげであったなど、お釈迦様でも、マリア様でも思うまいよ。このアダルティなヒミツを、ガボガボのドロワーズで隠そうったって、そうはいかないのさ! 少なくとも、この僕は最初から怪しいと睨んでいたね。いつも、いつも、君のスカートの中身をこっそり覗くたびに予測して空想していたのさ。あの下には、きっとなにか素敵なヒミツがある……と。そしてッ、今、あやふやな空想は……確固たる幻想となった。……さすがだ、僕よ。幻想郷中の乙女を魅惑する肉体美のみならず、知的な推理能力もピカいちであったとは……神さまは、なんとも不公平な采配をしたものだね。まあ、初期能力値ボーナスがランダムで不公平なのは、現実でもよくある仕様だから、仕方ないよネ☆ウフフ。
彼は口に咥えたままだった黒いガーターベルトを、か弱い小鳥さんをそっと手に取るように、丁寧に優しく両手に取った。そして、いそいそと自らのスネ毛の生えた両足にガーターを通し、くいっとジャストフィットする位置まで引き上げていく。……その様は、まさに、見るに耐えないほどにデンジャラスであり、ゴージャスメイリーン。でも、コレぐらいでへこたれていては、完全体となった彼を見たときに精神が、マインドフレア直撃ブレインブレイクショット! なことになってしまうだろう。だから、それでいいの? と最初に聞いたのだ。最初の警告を笑い飛ばして無視した報いが、このどうにも絶望的な状況を呼び込んだのです。もう、貴方はいかに痛々しい姿を見せ付けられようとも、最後まで彼の生き様を見守り続けなければいけない義務がある。ほら、そうこう言っている内に、おお……とうとう……褌一丁の香霖に、最後の、幻想分が、付加され……る。
ガララララーー
「ふぃー……いいお湯だったぜ。今日ばかりは香霖に感謝しないと……な…………」
「…………ハッ!?」
----------------------------------------------------------------------
魂蓄章 露見
BGM~ 裏心(萃夢想より)
「……………………………………」
「……………………………………」
「……………………………」
「……………………………」
「……………………」
「……………………」
「……………」
「……………」
「……」
「……」
「……な」
「……な?」
「な、な、な……」
「…ラッキーセヴン?」
「なにしてやがりますのだぜーーーッ!!! 香・霖ーーーー」
「………いやん。えっちー(はーと」
バスタオル姿の霧雨 魔理沙。
褌ガーター姿の森近 霖之介。
滅茶苦茶春度の高い組み合わせであった。
「こ、こここの野郎……よくも、よくも私の純情(ガーター)を弄びやがって……」
「お、落ち着きたまえ! 魔理沙。これには深い、ふかぁーーい訳があるんだよ!!」
「…………ほう、なるほどねぇ……その破廉恥な姿にどんな理由があるのかしら、だぜ……」
「よくぞ聞いてくれたね! さすがは僕が見込んだ美少女、霧雨 魔理沙。なかなかにお目が高い! 実は……」
「実は……?」
「そう、実は」
「履いてみたかったの」
「…………」
「てへっ☆ゴメンネ」
「……く。ククク……クフフフフ」
「おい、どうしたんだい? 魔理沙。いきなり俯きながら肩を震わせて。具合がわるいなら僕がお姫様抱っこして保健室に連れてってあげ…」
「黙れ」
「ヒィィッ、恐いッ、恐いよ……まり」
「いいから、だ ま れ」
「誤解だッ、これは何かの陰謀なんだ……そう! おかしな薬をばら撒く宇宙人の、キャッスルミーティングとかいう卑劣な人体実験だったんだよ!! 騙されるなッ魔理沙、君はそんなに愚かな娘では無い筈だろう!? さぁ、そんなに脅えて震えてないで、両手を上げて僕の胸に飛び込んでおいで? 大丈夫、これはすべて夢……悪い夢なんだよ。朝僕の隣で目が覚めたら『うにゃ……なんか悪い夢を見た気がするぜ』『へぇ、そうなのかい? ふふふ、でも安心しろよ。僕が突いてるんだから、恐いことなんて何も無いんだよ』『うん……好きだぜ、香霖』『ああ、僕もだ、魔理沙…』そしてふたりは熱いヴェーゼを交わすのでした……」
「ほほう、そいつは凄いな。で、お前の遺言はそんな戯けた妄想でいいんだな?」
「あれ? 騙され…いや、納得出来てない?」
「ええ、この状況でそんな寝言を吐ける大嘘つきの言うことなんて、まったくもって聞く耳持てませんわ」
「あちゃー、これは僕としたことが。失敗失敗。腕を上げたね、魔理沙。じゃ、僕はこれから大事な用件があるのでこれで失礼するよ」
シュタッと片手を上げて、着替える事無く何気ないそぶりでその場を去ろうとする香霖。
髪留めのリボン――緊急時の護身用スペカをこっそり発動させる魔理沙。
「ああそうかい、香霖。……うふふふふ。ほぅら―――何処へなりとも逃げるがいいさ」
「おっ。すまない、魔理沙。この恩は必ず……」
にこやかに哂う魔理沙を尻目に、猛スピードで褌ガーターのまま地上へ駆け上がり、そのまま店外へと駆け出した香霖。どうしてかは知らないが、魔理沙は彼をこの場で始末する気はないらしい。ミニ八卦炉と通常スペルカードも持たない今の彼女には、それぐらいしか取れる行動が無かったのだろう。いや、もしかして……
「フッ……どうやらまた一人、僕の裸身の虜にしてしまったようだね。嗚呼……なんて、罪作りな、僕」
----------------------------------------------------------------------
断章
星符「ドラゴンメテオ」
BGM~ ”夜が降りてくる ~ Evening Star”
「ん? なにやらお空が眩しいね。もしかして……」
―――――キュウォォオオォォォォーーーー………
「ふむ。これが俗に言う天の祝福というものなのかな…………あれ? なんだか命の危険を感じるよ!? 光が… 光が…」
キュボッ キュボッ
「おわっ! なんじゃこりゃああぁぁ!!」
香霖は慌てて身を躱した!!
天からの砲撃! 傍らの大地は嫌な音を立てて蒸発した!!
ジュゥゥオオォォ………
「…………」
「ぉぃぉぃ……本気かい? 魔理沙……」
キュボッ ――キュボッ
「うはぁ! いったい僕が、ウホッ! 君にナニを、したと言うんだねッ」
キュボボボボッ!!!!
「フォッ! アパパパパパパ!!! ――なんてこった。君は本当に僕を殺す気かい!?」
遥か上空、成層圏の彼方、衛星軌道上より飛来する幾条もの光柱。
一切の容赦が感じられない光の魔砲を一撃喰らえば、物理攻撃にしか耐性の無い彼の鋼の肉体は無残に焼き滅ぼされてしまうであろう。
次々に大地に突き立つ光の柱が放つ蒼白の輝きが、魔理沙の熾烈な怒りを物語っているようだった。
「フゥゥハァァーー……。魔理沙……。ど う や ら 、こ の 僕 を 本 気 に さ せ て し ま っ た よ う だ ね」
----------------------------------------------------------------------
流転の章 征旗掲揚
BGM~ ピアノ協奏曲第1番'蠍火'(Pf Concerto No.1 'Anti-Ares')
もしくは 御伽の国の鬼が島 ~ Missing Power
香霖はあたふたと逃げ回っていた先程とは別人のように、余裕ぶった不敵な表情で天を仰いだ。
ソラから落ちてくる絶望的な光量が、彼の眼鏡をキラリと妖しく光らせる。
往生際の悪さでは定評のある香霖堂店主が、よもや観念して入滅することなぞ……。
真っ白い健康的な歯を剥きだしながら、彼は叫ぶ。
両手を大きく振りかざして、自重に耐えかねた天を優しく支えてあげるかのように、惚れ惚れする程の漢笑いを表出させた。
「――天よッ」
キュォォオオォォ――…… 迫りくる、死
「地よッ」
――――――クォォォーーー……ン もう、回避は間に合わない
「ヨウジョよッ!」
ギュルルルルルルルル………… あ、此処に居たのかい? バトラッツュ。アハハハハ……
憤ッ。
「天衝天羅、地祇地祁 万幡!! 南無 恥幡態菩薩も照覧あれッ
……見よッ、僕の”ピー”は真っ赤に萌えているぅぅッ!!
―――驚裸大四侠殺、男祭り第一話―――」
ぐいっ!
ちらり…
「流符――――香・霖 フラーーーーーッシュゥゥーーーー……アハァアッ♪」
《カッ》
ズゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォ……………
――散。
…………もう、駄目だ。とてもじゃないが、描写は不可能。
拙すぎるんだよ……アンタは。――本当に。あらゆる意味で。
漢らっすぃーのは充分理解してるから、勘弁してくれ……いや、私が悪かったから……許して。
このシーンはなんとか、各自の想像で補完して下さい……。
……某サイトのフラッシュでも、見て。
……………
…………………………
……………
…………………………
……………
…………………………
かくして、彼は見事に魔理沙が放った上空の脅威を退け、念願の封神具〔黒のガーター〕を入手した…。
ふぅ……やっと、終わりか……。
だが
「フフフ……これからが、本番さぁ……。見てるがいい。最狂の機動力を手に入れた、この僕の――真のたたかいを。うふっ。うふふふふ。待っていたまえ、我が旧き宿敵(とも)よ。すべての準備は整った。もはや、君と僕とのハルマゲドンを阻む要因は――――皆無。さあ、このままどこまでも、どこまでも……突進あるのみッ!
男の子は、斃れるときはァァ前のめりぃぃぃ」
――香霖は征く。店の敷地を乗り越え、一路愛しいアイツが待つ魔法の森へ。
空には、何時の間にか
――おおきな おおきな
真っ赤な 真っ赤な
不浄の血のように 赤い
落陽の紅(くれない)が
在った。
なんだこの破壊力は・・・
アニキは今伝説となったのですね・・・ゴフッ
とんでもねぇぇぇ!
以下、変態 吹きました
そうだそれでこそ兄貴だ!兄貴は間違いなくこの中に生きている!
その躍動を確かに見たんだ!
100点だよもちろん!否!100点じゃ足りない!
兄貴の褌の内側に隠された夢幻の小宇宙の規模から割れば、
100点など0に等しい!ああ、兄貴ぃぃぃ!!!
と、いっても題材のキャラが好きだから、という理由を評価に加えるのは書き手さんに失礼だと思うので、秀作賞で80いれときます!
今後ともがんばってください!
あのFlashを見て何も思わねぇ奴はいねぇ!!
蠍火、いいですよね。旦那の崩れそうな理性を抽象するような激しいメロディ…
でも、魔理沙に手を出したということで、俺が裁く!
ヴァレンSSも期待しておりますよー。
殺しますよ?
とか言われそうです。 怖い怖い。
彼女に見つかったらただじゃ済みませんよ。 逆らう者は皆殺しですから。
ご馳走様でした~。 君のおっぱ以下略~。
香霖、最ッッッッ高に、変態ですね。(変態と書いて”オトコ”と読む)
笑わせていただきました!無敵な作品をありがとー!!
夜中に読んだら眠れなくなったじゃないですか!w
いやもうなんていうかGJ!
香霖変態度120%て感じですね
十全でしたわw
なんというか・・・GJとしか言いようがない!!
変態香霖のファンになりそうだ。(笑)