何も無い、又は周囲が平坦で変化に乏しい所にポツンと置かれた物があれば、それを見た人はどう思うだろうか?
大概はその物に興味を示し、見てみるなり手で確かめるなりするであろう。
そして、そこに置かれた一冊の本もその様な状態にあった。正確にはその様な状況で放置されていたのだろう。
ここヴワル魔法図書館の一角、いつもであれば史書の小悪魔が座っている場所にその日記があった。
「アイテムゲーーット!」
でれれれ~♪
と言う効果音は流れないが。(じゃあ流すな)黒い魔法使いが日記を取り上げて遊んでいる。
しかしそんな事していると当然……
「図書室は静かに!」
ほら史書長に怒られた。
「そういう自分も十分うるさいじゃないか」
「屁理屈こねない」
「それよりも見てくれよ、これ日記だぜ、日記」
「あの子の日記でしょ? それが何か?」
「ああパチュリー君、何時からそんなにつまらない人間になったのだ。人類は探求する事によって成長し、欲を満たす事
で己の存在を更に高める……」
「無理に渋い声を作っても駄目だってば、それに私は人間じゃないし」
「アリスぅ、パチュリーが冷たいよぅ」
精神的に打ちのめされた(つもりの)魔理沙が、しおれながら横に座っていた青い魔法使いにすがり付くと……。
「ふぅ~」
「ひゃわわわわわわぁぁぁぁっ!!」
耳の奥に暖かい息を吹きかけた。
ズガン!
アリスのメガトンパンチが直撃。
「痛ぇよ」
「痛くしたのよ! ……じゃ無くって、なんで突然耳に息かけるか!」
「図書室では静かに」
「ほんの小さなサービスだ」
「何処をどう曲解すればそんな歪んだ結果が導き出されるの!」
「図書室では静かに」
「色気が無い女は美しくならないが」
「あんたの言う色気はどんな相手で何を対象にしているのよ」
「何時いかなる状況でもさまざまな局面に対応できなければ魔女とは言えないぜ」
「図書室では静かに!!」
パチュリーが懐からスペルカードを取り出したので大人しくなる2人。
「むう……とにかく、日記を見つけたらやる事は決まっているだろ?」
「……中身を見る為の口実が欲しかった訳ね」
「なあ、パチュも見たいだろ?」
「遠慮しておくわ」
あっさり断られた。
「そうか、じゃあ私達だけで見るとするか。アリス」
「やはり簡単だけどロックの魔法がかかっているわ」
「気にしない気にしない……」
「ええと、この形式の解呪は~」
ぱかっ
「開いたぜ」
「開いたわね」
「………………」
「うひゃぁ!」
「うわぁ!」
「………………」
「なかなか派手だな」
「結構可愛いデザインだと思うけど?」
「………………(ちらっ)」
やはり好奇心には勝てなかったのか、ちらっと横目で覗くと……
2人がパチュリーを見てニヤニヤしていた。
「………………」
「はいパチュリーの負け~」
「開いたのはカギだけよ」
「う~…………」
何だかんだ言って、椅子を2人の所まで持っていくパチュリー。女性は集まると強くなる。
3人寄り添って本を読む姿は、彼女達の容姿相応に可愛らしい。
皮の表紙が開かれた。まるで開かれる事を抵抗するかのように、キリキリと皮の軋む音が伝わってくる。
ふわ
そんな吹き抜ける風のような感覚が感じる。間違いない、この本は魔力を宿している。
魔女独特の澄んだ泉の様な透き通る瞳は、しっかりと魔法の奔流を受け止める。
清流の如くの魔の旋律は自らの意識内に発生する理力器官に確実にその情報を伝えてきた。
突然体を突き抜ける衝撃は彼女の意識を吹き飛ばしかねない、咄嗟に意識を集中する。
しかし慌ててはいけない、暴れる魔力を制する事は生まれ持った己の役割だ。
ゆっくり……ゆっくりと、その日記帳のページをめくっていく……
かさり
殆ど捲られていないのだろう、紙がかさりと乾いた音を発てた。
白い紙の上に自己の主張が無い機械的な字が書き綴られていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇1月13日
今日ははとてもいい買い物をしました。
今日丸一日お暇を頂いたので鬼市に顔を出したらこの日記帳を見つけました。この日記は私が手で書く必要が無いのです
何か印象に残る事があったら自分で日記をつけてくれます。ひそかにめんどくさがりで、いつも日記が三日坊主になって
しまう私にはぴったりです。
今日は帰ってお風呂に入ったら眠たくなりました。晩ご飯は食べない事にします、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇1月14日
又しても図書館に不法侵入の魔理沙さんが来ました。
何度減撃退しても懲りずにいらっしゃるので、パチュリー様も諦めつつあるようです。
「よっ、また来たぜ」
と、いつものようにいらしては、その辺りに座り込んで本を読み始めます。もう本を読むのは構わないですから、ちゃん
と椅子に座ってください。そのようにに寄りかかられると本が傷んでしまいます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「他人の日記を読むのはドキドキするな」
「貴女は常に悪印象が付きまとうのね」
「真実を追究する為には犠牲も必要だ」
「物は言い様」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇1月20日
今日は自分の手で書いてます。
たまにはこうやって書くのも悪くはないです、まるで私が過ごした時間を、文字に変換して日記帳に刻み付ける。まる
で時を操る能力みたいです。……と、こんな事書いたら咲夜さんに怒られてしまうかもしれませんね。
さてさて、今日はいつものように本を整理していたら妙な物を見つけました。
緑色の円盤が2個重なってその上に奇妙な丸い物体が乗っています、その円盤が木で出来た台座の上に乗っかっており、
2本の紅白色の触手を左右に伸ばしてました。一体これは何なのでしょうか?
新手の侵入者かと思って身構えてみたのですが、その奇妙なお方はピクリとも動かなければうんともすんとも言わずにそ
の場に鎮座しております。いよいよもって正体がわかりません、はっきり言って不気味です。
ついに私の隠された能力、名探偵並の推理力を振るう時が来たようです。
・
・
・
少し考えてみたのですが、やっぱり解りません。
丸い物体をつついたら転げ落ちてしまいました、土台の部分にかすかに白い色が見えます。その時、私の隠された天才
的な推理能力が働きました。ひょっとしてこれは元々白い色だったのではないでしょうか? 周囲全体が緑に覆われてい
るので緑色に見えるのではないでしょうか?
……白くて、2重になっていて、上に丸いものが乗っている物。これから連想される物は何なのでしょうか……?
ひらめきました、これは鏡餅です。お正月にお供えするあの2段重ねのお餅です。
そういえば霊夢さんが「正月は鏡餅よ」と置いていったのですが、どうやらそのまま忘れてしまった様です。
どうしようか迷いました。普通に捨てれば良いのですが、誰かに見つかってしまうとちょっと厄介です。
図書館内の管理は私の仕事なので、責任を問われるのは私なのです。本を燃やした・無くした等で責任を追及されるなら
まだ解りますが、人様から頂いたお餅をカビだらけにしてしまったという理由で責められるのは嫌です。もう少しましな
理由で叱られたいものです。
なので証拠隠滅する事にしました。
とりあえず袋に入れた後、小さく砕いてしまいました。これで元の形は解らない筈です。
ごみの日は4日後なのでそれまで見つからないように隠します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇1月21日
今日は紅魔館施設魔法の一斉点検がありました。
お嬢様のお部屋を除き、あちこちで魔法設備が停止してしまいます。
当然暖房魔法も停止です、寒いです。とても寒いので、火鉢を引っ張り出してきました。一つでは足りないので、2~3
個と並べて沢山炭を入れました。ああ、暖かい……ぬくぬくと気持ちいいです。火鉢には人や魔物を捕らえて離さない魔力
があるに違いありません。
ちょっとしたアイデアが浮びました。床板を一部をはずして、空洞部分に火鉢を並べてみました。
ザ・床暖房!!
ああ床からぬくぬくと暖かいです、ついうつらうつらと船を漕いでしまいます。
ちりんちりんと、鈴を鳴らす音が聞こえました。パチュリー様がお呼びです。名残惜しいですが、その場を後にしました。
数十分後、用事も終わりようやく私の机に戻ってきました。何故かお部屋がきな臭いです。
床から煙が出てました。
さっき床暖房に改造した所です、もくもくと煙が出てます。
火事です、ファイヤーです、大変です。
とりあえず火は消しましたが、周囲の本が煤だらけになってしまいました。これを全て掃除するには一日どころでは終り
ません。……暫らくの間は「このあたりの本は全て背表紙が黒かった」という事で誤魔化しておきましょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「ふうん……さすがは小悪魔」
「をぃをぃ、これはまずくないか?」
「処罰はすんでいるから問題は無くってよ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇1月22日
非常に危険な事になってしまいました、この前のボヤ騒動がパチュリー様にばれてしまったのです。
パチュリー様が館中を飛び回って私を探しています。
【危険 99.99%】
一目見た瞬間危険な状態である事がわかりました。今のパチュリー様は悪鬼の様な形相を浮かべられています。とても危
険ですのでどこかに隠れてほとぼりが収まるまで待つ事にしました。
私は今、倉庫のダンボール箱の中に隠れています。他にもっといい隠れ場所があるのだと思いますが、パチュリー様の捜
索能力は私のそれを圧倒しています。……ならば、普通はこんな所には隠れないだろうと思われる場所に隠れるのが良策
では無いでしょうか。
「そんな所で何やってるの」
即バレでした、なんですぐに解ってしまったのでしょうか。
「……羽隠すの忘れてるわよ」
あう。
「さって、お仕置きの時間よ」
あううううぅぅぅぅ、勘弁してください。最近お仕置きの内容が過激になっているんですよぉ。
「自業自得じゃない」
かかかか勘弁してください、その大きなハリセンと封印のお札は一体なんですか。そんなハリセンで叩かれたら私……
「ショー・タイム」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇1月23日 (だと思われる、封印結界内につき正確な時間が不明)
暗いよぉ……
狭いよぉ……
怖いよぉ……
お腹すいたよぉ……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
パラパラパラ…
どの頁も内容が似通っているのか、次々と読み飛ばされている。
「ホント良くやるわねぇ……」
「どっちが」
ともかくページは捲られて、ふとあるページで手が止まる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇1月27日
ここ連日は忙しい日です。あまりに忙しい日なので、私も時々手伝いにまわされます。
本日も突然お客様がいらっしゃったので、パチュリー様が図書室を空けられました。
又、こんな日に限って魔理沙様もいらっしゃいました。間が悪いです。パチュリー様が不在だからでしょうか、少々ご機
嫌が斜めのようです。
そんな時こそ私の腕の見せ所です。図書室は穏やかに使ってもらいたいので、何か対策を講じる事にします。
……人間はお腹がすくと荒っぽくなると聞きました、ならばなにかお腹が膨れるものをご用意しましょう。
こう見えてもお料理は得意なんですよ~♪ ……メイド長程の腕前はありませんが。
館の台所を少しだけ拝借しました。ありあわせの材料だけなので、たいしたものが作れませんが……
そこら辺を漁ると小豆とお砂糖が見つかりました。これならお汁粉が作れますね。
小豆を茹でた後、致命的なミスを犯している事が解ってしてしまいました。お餅が無いのです。
どうしましょう、お餅の無いお汁粉は茶色い汁でしかありません。ああ、なんと言う初歩的なミスなのでしょうか。
あちこち探した結果、お米は見つかりましたがうるち米なので、お餅になりません。取り寄せるにしても一日がかりです。
どうしようと迷っていたところ、見慣れない袋を見つけました。
空けてみると、草もちがぎっしり詰まっているじゃありませんか! ああ魔王さまでも神様でもいいや、感謝いたします。
お汁粉の評価は上々でした。魔理沙様もすっかり機嫌を良くされて5杯もお替りされました、作った甲斐もあり大満足
です。さて今日も何とか乗り切る事が出来ました。
帰り際になって魔理沙様がおトイレに駆け込む姿が見られました。何があったのでしょうか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
パラ…パラ…
頁をめくる音だけがあたりに響く。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇2月2日
そうそう、すっかり忘れてましたが、例のカビカビ鏡餅を捨てておかなきゃいけません。
台所に様子を見に行ったら、鏡餅を入れておいた袋が開封されてました。それはもう全開な勢いでで。あれぇ? 中身は
一体どこに消えてしまったのでしょうか?
ふと思い出したのですが、この前魔理沙様に振舞ったお汁粉の草餅ってどこから出したのでしたっけ。
私、草もちなんて買ってきた覚えがありませんし、紅魔館のメイド達が買ってきたとも思えません。皆さん洋食派ですし。
ふと思い出しました、この前の魔理沙様はあのお汁粉をいっぱい食べていたと思います、しかも5杯もお替りして。
「おおっ草もちじゃないか、大好物だぜ♪」とか言ってましたっけ。
…
…
…
ええと
今日はもう寝て忘れる事にします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「やんごとなき事を思い出した故、ちょいと失礼するぜ」
言うが早いか、箒にまたがってすっ飛んで行く黒い魔法使い。
「気が早いわねぇ」
「とりあえず次行きましょうか」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇2月3日
節分です、豆まきは楽しく終りました。
私は鬼ではないので、外に出る必要はありません。が…
ちょっとはしゃぎすぎて、1つお茶碗を粉々に割ってしまいました。少々お値段が張りそうに見えますが……もう元の形も
解らない位に砕けてしまいました。まあ、良いでしょう。形有るものいつか滅すると言いますしね。
お茶碗はもともと入っていた木箱に入れておきました。薄暗い物置に入れておけばこれ以上壊れる事もないですよね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「……これって」
青い魔女が眉間に皺を作る。
「どうかしたの?」
「ううん、なんでもないの」
「変な子ね」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇2月13日
今日はパチュリー様と魔理沙様、それに最近はこの図書館にも馴染まれたアリス様がいらっしゃいました。
共同実験を行うとの事で、一番広い当館に集合されたとか。閲覧部屋が実験室に早変りです、机のあちこちにビーカーや
フラスコが立ち並んでます。あちこちから煙が立ち昇り、奇妙な匂いがあたりを漂います。私は助手として右へ左へと駆
け回ってます、とても忙しいです。
半日程実験を繰返した後、一段落したのでようやく落ちつきました。
「……あとは30分程煮詰めれば良いわ」
「よっしゃ、んじゃ飯にするか」
「朝から何も食べて無かったわね、おなかぺこぺこ~」
「休憩室にお食事を用意しました、皆様どうぞくつろいでください」
流石はメイド長です、これだけばっちしなタイミングでお食事を用意されるとは。
皆様がお食事を取られている間、私は部屋の片付けを任されました。
「……後片付けよろしく」
「腹減ったぜ、カツ丼7杯くらい食べたい気分だ」
「あんたどんな胃袋してるのよ」
皆様休憩室へ行ってしまいました、少々ふらついているようですが大丈夫なのでしょうか?
と、そこに魔理沙様が駆け足で戻ってきました。
「おっと危ない、忘れる所だったぜ! ……これだコレコレ、2つとも似てるからな」
先ほど完成したばかりの薬が入ったビーカーに「A薬」と「B薬」と書かれたラベルを貼り付けていきました。何でもこ
の2つの薬は両方とも無色透明の無臭なので間違えかねないのです、慎重になるのも解ります。
この2つの薬を間違えて使用してしまうとどうなってしまうのでしょうか? とお尋ねした所……
「解らない、そんな危険な事は誰もやった事が無いんだ」
と、おっしゃられてそのまま休憩室へと駆け込みました。
今、この部屋には私以外誰もいません。
目の前に2つのビーカーがあります、間違えるとどうなるのか解らないとおっしゃられた薬です。誰も試した事が無いそ
うです、どうなるか解らないとの事です。
・
・
・
では、2つを入れ替えてみましょう。
これは学術的好奇心です、解らない物を解明するのが学術というものです。
決して私の奥底に存在する悪魔的イタズラ増幅回路が命令したわけじゃありません。
解らない物には実験をもって解明する、こうやって人類は進化したのです! 私は人間じゃないですが。
皆様のお食事が終わった様です、皆様戻ってこられました。
後は最後の仕上げをするだけだそうですが、私はいったん席を外す事にしました。……決して巻き添えを食らわない為に
逃げたのではありません。それに何か起こった時は、正常な者が一人は居ないといけないのでしょうし。うんそうです、
そうに決まってます。
暫くしたら、実験室が騒がしくなりました。何か起こった様です。様子を見に行く事にしました、もちろん防護結界をし
っかり張ってからですが。ちょっとドアを開けて中を覗いてみると、空気が濁ってました。
「ウエーイ! 疾風怒濤疾風怒濤!!」
まあ、パチュリー様があんなに勢い良く空を飛び回ってます。あんなに元気なお姿は見た事がありません。
「ゴー!ゴー! 三日坊主三日坊主!!」
魔理沙様が机の上で箒を振り回しながらフラメンコを踊ってます。言葉と行動がちぐはぐですね。
「イエッフー! 焼肉定食焼肉定食!!」
あちこちで頭をぶつけながら地面をゴロゴロと転がっているのはアリス様です。ずいぶん丈夫なお方なのですね。
あちらこちらで弾幕が振りまかれて部屋の中は阿鼻叫喚な光景となってました、原因はあの薬でしょう。ああ、防御結界
を張ってて良かった。
この騒ぎが収まったのは半日後でした、実に楽しい一日でした。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「ちょっとした用事を思い出したわ、ゆっくりしていって」
言うが早いか、空をすっ飛んで行くネグリジェ姿の少女。
「気が早いわねぇ……とりあえず次行きましょうか」
パラパラパラ…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇3月6日
今日は嫌な仕事がありました。
突然ですが、「黒い閃光」と呼ばれるモノをご存知でしょうか?
聞く分にはカッコイイ語感ですが、実際それを目にした時は皆そろって恐怖に震える事でしょう。
「黒い閃光」とは何でしょうか? 思いつく限りのものを上げてみましょう。
・とても素敵な黒ずくめの殿方、閃光のような動作が女性のハートをがっちりキャッチ。
・閃光の如き素早い剣撃、又は魔法等々、それを目にした人は生きて帰る事はない。
・通常の3倍早い黒く日焼けした男性、その逞しさにメロメロ。
・魔理沙様
いえいえ、そんなロマンチックなものではありません。
台所やお風呂場、床下やちょっとした隙間。特に湿ったくらい部分にそれは潜んでいます。
何処にでも潜り込む小さい体、数多くそろっている足、閃光の様に姿をくらます素早い動作、頭に揺れる2本の角の如き
触覚、そしてつやつやと黒光りする平べったい体……
もうお解りですよね、そのお方はゴキブリと呼ばれる昆虫です。ええ良いです突っ込まなくても。
とりあえずカッコイイ名前でも付けないとやってられません、と言うかどんなに飾ってもゴキブリはゴキブリです。
紅魔館の魔力でもどうやらこのお方達の繁殖は防げなかった様ですね、て言うか繁殖するな。
そしてあんまりにもあんまりなのですが、私がゴキブリの処理を任される事になってしまいました。
あうう……あんまりです。くじ運が悪いのは昔からの事なのですがあんまりです。
もっとも、ゴキブリを平然とまともに処理できるのは咲夜メイド長や前衛の門番者・美鈴様位なので、適任と言えば適材
適所な人事なのですが……はぁ。
何はともあれ処理が終わりました。
どう処理したかは書きたくも無いです、というか書いちゃ駄目です。
黒い閃光ご一行様は、今私が持っている木箱の中にいらっしゃいます。中でがさがさ動いてます。
さすがに叩き潰す事はしたくなかったので(と言いますか、そんなキモい事はしたくありません)まだ生き生きとしたま
ま入ってもらってます。とりあえずこの箱は物置にでも置いておく事にしました。さすがに数週間放って置けば、中の方
々もお亡くなりになられるでしょうし。
あー嫌な日だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「ほんっと飽きもしないでいろいろやる子ねぇ……ん?」
パラパラパラ……
とある頁で手が止まった、かすかに手が震えている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇3月23日
ご夕飯の支度をしていると、突然アリス様がいらっしゃいました。「預けていた荷物を取りに来た」との事です。
なんでしょう? ちょっと考えたら思い出した事が一つ。
去年アリス様がいらっしゃった時に木の箱を預けていたことがありました、なんでも紅魔館の魔力をサンプルとして
収集するマジックアイテムだそうです。
中身に何が入っているかは教えてもらえませんでしたが、取引の際、レミリア様からかなり無理難題を吹っかけられ
たそうですので無理も無いでしょう。
何でも、今日を逃すと魔力の流れが変わるとの事なので、非常に急いでいらっしゃいました。音速な勢いで物置に突
です。素早くアリス様に木箱を渡します、達人クラスの早業です。
ああっ! お味噌汁作っているの忘れてました! 急いで台所に戻ったら沸騰する直前でした、慌てて鎮火です。
ぎりぎりせーふです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇3月25日
特に何もありません。
雨が降ったのでお嬢様が不機嫌です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「まさかこれって……」
手の震えが大きくなる。
気のせいだか邪気すら滲み出始めていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇3月26日
ごみ捨ての日です。
何か捨てるものは無いでしょうか? 自分の部屋はOK、図書館内のごみ箱AからZZまで全てOK、パチュリー様
の秘密の小部屋OK、書庫内……は、捨てる本なんてありませんね。物置は……あれ?
非常に嫌なものを見てしまいました。
この間、黒い閃光ご一行様を閉じ込めた木箱がありました。……紅魔館備え付けの焼却炉で安らかに火葬する事にし
ましょう。
しかし、この後一つ疑問点に当たりました。1時間後に様子を見る為に焼却炉をオープンすると、木箱はモノの見事
に燃え尽きていました。しかし中身が残っていたのです。
普通中身が残るとしたら、その……何と言いますか? ゴキ……というか、黒い足やら羽やらが残ると思うのですが、
光る何かの塊しか残ってませんでした。
沢山あるのでちょっと解らないのですが、見た目は陶器にも見えます。何かの破片のようにも見えます。
調べるにしても、もともとゴキ……だったかもしれないものに触るのには抵抗があります。
紅魔館の魔力でゴキ……黒い閃光ご一行様も変質してしまったのでしょうか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「さてと……」
それだけ呟くと、すっ飛んで行く青い魔女。
後にはその日記帳だけが残されていた。
ペラ……パタパタパタパタパタパタパタタタタタタタ……
風に吹かれて日記帳が捲られて行く。風が止むと、白い白紙の頁で止まる。
不意に、その紙に文字がじわり……と浮かび始めた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇4月10日 (リアルタイム執筆中)
緊急事態です。
なぜか私が追いまわされる羽目になりました。
館中を魔理沙様とパチュリー様とアリス様が飛び回ってます。
私は今外れにある蔵の中に逃げて隠れています。
一体何故追いまわされる事に成ってしまったのでしょうか?
悪行もとい、おちゃっぴい☆は私のステータスですが、そう簡単にばれるような証拠の残し方はしていないはずです。
だとすると、誰かがちくったかさもなくば……そうか! 日記を置き忘れていたのですね!
ああ、なんと言うケアレスミスなのでしょうか。
今私は震えています。
いつ皆様がこの中に踏み込んでくるか、恐るべき魔力と破壊力を兼ねた攻撃手段を持っているお方たちがここに踏み込
んで破壊と暴虐の限りをつくすと思うと、体の奥底から氷原に飛び出たような寒気が湧き上がり、ぶるぶると震える子
ウサギのごとくとなるわけです。
ああ、神様でも魔王様でも良いので何とかこの場をしのげないでしょうか? しのぐ事が出来るほどの幸運を与えては
貰えないでしょうか?
しかし天は我を見放したのか、ああ窓の外に黒い影g
===========
所有者の意識が途絶しました。
再接続待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
所有者の意識が回復しました、記帳を続行します。
===========
いや、駄目です、やめてください。
今回はそんな太い縄をどうするつもりなのですか、というか天井からつる下げて何をされるつもりなのですか。
アリス様も何でそんなにいきり立ってらっしゃるのでしょうか? え? 家中に黒い閃光が?
何の事かさっぱり解りませんから、そんなにニコニコしながら鋭いものを振り回さないで下さい。
嫌です、その様なモノは駄目、だから近づけないでぇ……
だめぇ! 熱い! そ、そんな太いものは入りません! そんなの無理やり……嫌!! 壊れちゃう!!!
そんなの見せ付けないで下さい!! やめ……やめt
===========
所有者の意識が途絶しました。
再接続待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
大概はその物に興味を示し、見てみるなり手で確かめるなりするであろう。
そして、そこに置かれた一冊の本もその様な状態にあった。正確にはその様な状況で放置されていたのだろう。
ここヴワル魔法図書館の一角、いつもであれば史書の小悪魔が座っている場所にその日記があった。
「アイテムゲーーット!」
でれれれ~♪
と言う効果音は流れないが。(じゃあ流すな)黒い魔法使いが日記を取り上げて遊んでいる。
しかしそんな事していると当然……
「図書室は静かに!」
ほら史書長に怒られた。
「そういう自分も十分うるさいじゃないか」
「屁理屈こねない」
「それよりも見てくれよ、これ日記だぜ、日記」
「あの子の日記でしょ? それが何か?」
「ああパチュリー君、何時からそんなにつまらない人間になったのだ。人類は探求する事によって成長し、欲を満たす事
で己の存在を更に高める……」
「無理に渋い声を作っても駄目だってば、それに私は人間じゃないし」
「アリスぅ、パチュリーが冷たいよぅ」
精神的に打ちのめされた(つもりの)魔理沙が、しおれながら横に座っていた青い魔法使いにすがり付くと……。
「ふぅ~」
「ひゃわわわわわわぁぁぁぁっ!!」
耳の奥に暖かい息を吹きかけた。
ズガン!
アリスのメガトンパンチが直撃。
「痛ぇよ」
「痛くしたのよ! ……じゃ無くって、なんで突然耳に息かけるか!」
「図書室では静かに」
「ほんの小さなサービスだ」
「何処をどう曲解すればそんな歪んだ結果が導き出されるの!」
「図書室では静かに」
「色気が無い女は美しくならないが」
「あんたの言う色気はどんな相手で何を対象にしているのよ」
「何時いかなる状況でもさまざまな局面に対応できなければ魔女とは言えないぜ」
「図書室では静かに!!」
パチュリーが懐からスペルカードを取り出したので大人しくなる2人。
「むう……とにかく、日記を見つけたらやる事は決まっているだろ?」
「……中身を見る為の口実が欲しかった訳ね」
「なあ、パチュも見たいだろ?」
「遠慮しておくわ」
あっさり断られた。
「そうか、じゃあ私達だけで見るとするか。アリス」
「やはり簡単だけどロックの魔法がかかっているわ」
「気にしない気にしない……」
「ええと、この形式の解呪は~」
ぱかっ
「開いたぜ」
「開いたわね」
「………………」
「うひゃぁ!」
「うわぁ!」
「………………」
「なかなか派手だな」
「結構可愛いデザインだと思うけど?」
「………………(ちらっ)」
やはり好奇心には勝てなかったのか、ちらっと横目で覗くと……
2人がパチュリーを見てニヤニヤしていた。
「………………」
「はいパチュリーの負け~」
「開いたのはカギだけよ」
「う~…………」
何だかんだ言って、椅子を2人の所まで持っていくパチュリー。女性は集まると強くなる。
3人寄り添って本を読む姿は、彼女達の容姿相応に可愛らしい。
皮の表紙が開かれた。まるで開かれる事を抵抗するかのように、キリキリと皮の軋む音が伝わってくる。
ふわ
そんな吹き抜ける風のような感覚が感じる。間違いない、この本は魔力を宿している。
魔女独特の澄んだ泉の様な透き通る瞳は、しっかりと魔法の奔流を受け止める。
清流の如くの魔の旋律は自らの意識内に発生する理力器官に確実にその情報を伝えてきた。
突然体を突き抜ける衝撃は彼女の意識を吹き飛ばしかねない、咄嗟に意識を集中する。
しかし慌ててはいけない、暴れる魔力を制する事は生まれ持った己の役割だ。
ゆっくり……ゆっくりと、その日記帳のページをめくっていく……
かさり
殆ど捲られていないのだろう、紙がかさりと乾いた音を発てた。
白い紙の上に自己の主張が無い機械的な字が書き綴られていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇1月13日
今日ははとてもいい買い物をしました。
今日丸一日お暇を頂いたので鬼市に顔を出したらこの日記帳を見つけました。この日記は私が手で書く必要が無いのです
何か印象に残る事があったら自分で日記をつけてくれます。ひそかにめんどくさがりで、いつも日記が三日坊主になって
しまう私にはぴったりです。
今日は帰ってお風呂に入ったら眠たくなりました。晩ご飯は食べない事にします、おやすみなさい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
◇1月14日
又しても図書館に不法侵入の魔理沙さんが来ました。
何度減撃退しても懲りずにいらっしゃるので、パチュリー様も諦めつつあるようです。
「よっ、また来たぜ」
と、いつものようにいらしては、その辺りに座り込んで本を読み始めます。もう本を読むのは構わないですから、ちゃん
と椅子に座ってください。そのようにに寄りかかられると本が傷んでしまいます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「他人の日記を読むのはドキドキするな」
「貴女は常に悪印象が付きまとうのね」
「真実を追究する為には犠牲も必要だ」
「物は言い様」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇1月20日
今日は自分の手で書いてます。
たまにはこうやって書くのも悪くはないです、まるで私が過ごした時間を、文字に変換して日記帳に刻み付ける。まる
で時を操る能力みたいです。……と、こんな事書いたら咲夜さんに怒られてしまうかもしれませんね。
さてさて、今日はいつものように本を整理していたら妙な物を見つけました。
緑色の円盤が2個重なってその上に奇妙な丸い物体が乗っています、その円盤が木で出来た台座の上に乗っかっており、
2本の紅白色の触手を左右に伸ばしてました。一体これは何なのでしょうか?
新手の侵入者かと思って身構えてみたのですが、その奇妙なお方はピクリとも動かなければうんともすんとも言わずにそ
の場に鎮座しております。いよいよもって正体がわかりません、はっきり言って不気味です。
ついに私の隠された能力、名探偵並の推理力を振るう時が来たようです。
・
・
・
少し考えてみたのですが、やっぱり解りません。
丸い物体をつついたら転げ落ちてしまいました、土台の部分にかすかに白い色が見えます。その時、私の隠された天才
的な推理能力が働きました。ひょっとしてこれは元々白い色だったのではないでしょうか? 周囲全体が緑に覆われてい
るので緑色に見えるのではないでしょうか?
……白くて、2重になっていて、上に丸いものが乗っている物。これから連想される物は何なのでしょうか……?
ひらめきました、これは鏡餅です。お正月にお供えするあの2段重ねのお餅です。
そういえば霊夢さんが「正月は鏡餅よ」と置いていったのですが、どうやらそのまま忘れてしまった様です。
どうしようか迷いました。普通に捨てれば良いのですが、誰かに見つかってしまうとちょっと厄介です。
図書館内の管理は私の仕事なので、責任を問われるのは私なのです。本を燃やした・無くした等で責任を追及されるなら
まだ解りますが、人様から頂いたお餅をカビだらけにしてしまったという理由で責められるのは嫌です。もう少しましな
理由で叱られたいものです。
なので証拠隠滅する事にしました。
とりあえず袋に入れた後、小さく砕いてしまいました。これで元の形は解らない筈です。
ごみの日は4日後なのでそれまで見つからないように隠します。
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◇1月21日
今日は紅魔館施設魔法の一斉点検がありました。
お嬢様のお部屋を除き、あちこちで魔法設備が停止してしまいます。
当然暖房魔法も停止です、寒いです。とても寒いので、火鉢を引っ張り出してきました。一つでは足りないので、2~3
個と並べて沢山炭を入れました。ああ、暖かい……ぬくぬくと気持ちいいです。火鉢には人や魔物を捕らえて離さない魔力
があるに違いありません。
ちょっとしたアイデアが浮びました。床板を一部をはずして、空洞部分に火鉢を並べてみました。
ザ・床暖房!!
ああ床からぬくぬくと暖かいです、ついうつらうつらと船を漕いでしまいます。
ちりんちりんと、鈴を鳴らす音が聞こえました。パチュリー様がお呼びです。名残惜しいですが、その場を後にしました。
数十分後、用事も終わりようやく私の机に戻ってきました。何故かお部屋がきな臭いです。
床から煙が出てました。
さっき床暖房に改造した所です、もくもくと煙が出てます。
火事です、ファイヤーです、大変です。
とりあえず火は消しましたが、周囲の本が煤だらけになってしまいました。これを全て掃除するには一日どころでは終り
ません。……暫らくの間は「このあたりの本は全て背表紙が黒かった」という事で誤魔化しておきましょう。
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「ふうん……さすがは小悪魔」
「をぃをぃ、これはまずくないか?」
「処罰はすんでいるから問題は無くってよ」
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◇1月22日
非常に危険な事になってしまいました、この前のボヤ騒動がパチュリー様にばれてしまったのです。
パチュリー様が館中を飛び回って私を探しています。
【危険 99.99%】
一目見た瞬間危険な状態である事がわかりました。今のパチュリー様は悪鬼の様な形相を浮かべられています。とても危
険ですのでどこかに隠れてほとぼりが収まるまで待つ事にしました。
私は今、倉庫のダンボール箱の中に隠れています。他にもっといい隠れ場所があるのだと思いますが、パチュリー様の捜
索能力は私のそれを圧倒しています。……ならば、普通はこんな所には隠れないだろうと思われる場所に隠れるのが良策
では無いでしょうか。
「そんな所で何やってるの」
即バレでした、なんですぐに解ってしまったのでしょうか。
「……羽隠すの忘れてるわよ」
あう。
「さって、お仕置きの時間よ」
あううううぅぅぅぅ、勘弁してください。最近お仕置きの内容が過激になっているんですよぉ。
「自業自得じゃない」
かかかか勘弁してください、その大きなハリセンと封印のお札は一体なんですか。そんなハリセンで叩かれたら私……
「ショー・タイム」
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◇1月23日 (だと思われる、封印結界内につき正確な時間が不明)
暗いよぉ……
狭いよぉ……
怖いよぉ……
お腹すいたよぉ……
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パラパラパラ…
どの頁も内容が似通っているのか、次々と読み飛ばされている。
「ホント良くやるわねぇ……」
「どっちが」
ともかくページは捲られて、ふとあるページで手が止まる。
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◇1月27日
ここ連日は忙しい日です。あまりに忙しい日なので、私も時々手伝いにまわされます。
本日も突然お客様がいらっしゃったので、パチュリー様が図書室を空けられました。
又、こんな日に限って魔理沙様もいらっしゃいました。間が悪いです。パチュリー様が不在だからでしょうか、少々ご機
嫌が斜めのようです。
そんな時こそ私の腕の見せ所です。図書室は穏やかに使ってもらいたいので、何か対策を講じる事にします。
……人間はお腹がすくと荒っぽくなると聞きました、ならばなにかお腹が膨れるものをご用意しましょう。
こう見えてもお料理は得意なんですよ~♪ ……メイド長程の腕前はありませんが。
館の台所を少しだけ拝借しました。ありあわせの材料だけなので、たいしたものが作れませんが……
そこら辺を漁ると小豆とお砂糖が見つかりました。これならお汁粉が作れますね。
小豆を茹でた後、致命的なミスを犯している事が解ってしてしまいました。お餅が無いのです。
どうしましょう、お餅の無いお汁粉は茶色い汁でしかありません。ああ、なんと言う初歩的なミスなのでしょうか。
あちこち探した結果、お米は見つかりましたがうるち米なので、お餅になりません。取り寄せるにしても一日がかりです。
どうしようと迷っていたところ、見慣れない袋を見つけました。
空けてみると、草もちがぎっしり詰まっているじゃありませんか! ああ魔王さまでも神様でもいいや、感謝いたします。
お汁粉の評価は上々でした。魔理沙様もすっかり機嫌を良くされて5杯もお替りされました、作った甲斐もあり大満足
です。さて今日も何とか乗り切る事が出来ました。
帰り際になって魔理沙様がおトイレに駆け込む姿が見られました。何があったのでしょうか?
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パラ…パラ…
頁をめくる音だけがあたりに響く。
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◇2月2日
そうそう、すっかり忘れてましたが、例のカビカビ鏡餅を捨てておかなきゃいけません。
台所に様子を見に行ったら、鏡餅を入れておいた袋が開封されてました。それはもう全開な勢いでで。あれぇ? 中身は
一体どこに消えてしまったのでしょうか?
ふと思い出したのですが、この前魔理沙様に振舞ったお汁粉の草餅ってどこから出したのでしたっけ。
私、草もちなんて買ってきた覚えがありませんし、紅魔館のメイド達が買ってきたとも思えません。皆さん洋食派ですし。
ふと思い出しました、この前の魔理沙様はあのお汁粉をいっぱい食べていたと思います、しかも5杯もお替りして。
「おおっ草もちじゃないか、大好物だぜ♪」とか言ってましたっけ。
…
…
…
ええと
今日はもう寝て忘れる事にします。
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「やんごとなき事を思い出した故、ちょいと失礼するぜ」
言うが早いか、箒にまたがってすっ飛んで行く黒い魔法使い。
「気が早いわねぇ」
「とりあえず次行きましょうか」
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◇2月3日
節分です、豆まきは楽しく終りました。
私は鬼ではないので、外に出る必要はありません。が…
ちょっとはしゃぎすぎて、1つお茶碗を粉々に割ってしまいました。少々お値段が張りそうに見えますが……もう元の形も
解らない位に砕けてしまいました。まあ、良いでしょう。形有るものいつか滅すると言いますしね。
お茶碗はもともと入っていた木箱に入れておきました。薄暗い物置に入れておけばこれ以上壊れる事もないですよね。
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「……これって」
青い魔女が眉間に皺を作る。
「どうかしたの?」
「ううん、なんでもないの」
「変な子ね」
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◇2月13日
今日はパチュリー様と魔理沙様、それに最近はこの図書館にも馴染まれたアリス様がいらっしゃいました。
共同実験を行うとの事で、一番広い当館に集合されたとか。閲覧部屋が実験室に早変りです、机のあちこちにビーカーや
フラスコが立ち並んでます。あちこちから煙が立ち昇り、奇妙な匂いがあたりを漂います。私は助手として右へ左へと駆
け回ってます、とても忙しいです。
半日程実験を繰返した後、一段落したのでようやく落ちつきました。
「……あとは30分程煮詰めれば良いわ」
「よっしゃ、んじゃ飯にするか」
「朝から何も食べて無かったわね、おなかぺこぺこ~」
「休憩室にお食事を用意しました、皆様どうぞくつろいでください」
流石はメイド長です、これだけばっちしなタイミングでお食事を用意されるとは。
皆様がお食事を取られている間、私は部屋の片付けを任されました。
「……後片付けよろしく」
「腹減ったぜ、カツ丼7杯くらい食べたい気分だ」
「あんたどんな胃袋してるのよ」
皆様休憩室へ行ってしまいました、少々ふらついているようですが大丈夫なのでしょうか?
と、そこに魔理沙様が駆け足で戻ってきました。
「おっと危ない、忘れる所だったぜ! ……これだコレコレ、2つとも似てるからな」
先ほど完成したばかりの薬が入ったビーカーに「A薬」と「B薬」と書かれたラベルを貼り付けていきました。何でもこ
の2つの薬は両方とも無色透明の無臭なので間違えかねないのです、慎重になるのも解ります。
この2つの薬を間違えて使用してしまうとどうなってしまうのでしょうか? とお尋ねした所……
「解らない、そんな危険な事は誰もやった事が無いんだ」
と、おっしゃられてそのまま休憩室へと駆け込みました。
今、この部屋には私以外誰もいません。
目の前に2つのビーカーがあります、間違えるとどうなるのか解らないとおっしゃられた薬です。誰も試した事が無いそ
うです、どうなるか解らないとの事です。
・
・
・
では、2つを入れ替えてみましょう。
これは学術的好奇心です、解らない物を解明するのが学術というものです。
決して私の奥底に存在する悪魔的イタズラ増幅回路が命令したわけじゃありません。
解らない物には実験をもって解明する、こうやって人類は進化したのです! 私は人間じゃないですが。
皆様のお食事が終わった様です、皆様戻ってこられました。
後は最後の仕上げをするだけだそうですが、私はいったん席を外す事にしました。……決して巻き添えを食らわない為に
逃げたのではありません。それに何か起こった時は、正常な者が一人は居ないといけないのでしょうし。うんそうです、
そうに決まってます。
暫くしたら、実験室が騒がしくなりました。何か起こった様です。様子を見に行く事にしました、もちろん防護結界をし
っかり張ってからですが。ちょっとドアを開けて中を覗いてみると、空気が濁ってました。
「ウエーイ! 疾風怒濤疾風怒濤!!」
まあ、パチュリー様があんなに勢い良く空を飛び回ってます。あんなに元気なお姿は見た事がありません。
「ゴー!ゴー! 三日坊主三日坊主!!」
魔理沙様が机の上で箒を振り回しながらフラメンコを踊ってます。言葉と行動がちぐはぐですね。
「イエッフー! 焼肉定食焼肉定食!!」
あちこちで頭をぶつけながら地面をゴロゴロと転がっているのはアリス様です。ずいぶん丈夫なお方なのですね。
あちらこちらで弾幕が振りまかれて部屋の中は阿鼻叫喚な光景となってました、原因はあの薬でしょう。ああ、防御結界
を張ってて良かった。
この騒ぎが収まったのは半日後でした、実に楽しい一日でした。
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「ちょっとした用事を思い出したわ、ゆっくりしていって」
言うが早いか、空をすっ飛んで行くネグリジェ姿の少女。
「気が早いわねぇ……とりあえず次行きましょうか」
パラパラパラ…
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◇3月6日
今日は嫌な仕事がありました。
突然ですが、「黒い閃光」と呼ばれるモノをご存知でしょうか?
聞く分にはカッコイイ語感ですが、実際それを目にした時は皆そろって恐怖に震える事でしょう。
「黒い閃光」とは何でしょうか? 思いつく限りのものを上げてみましょう。
・とても素敵な黒ずくめの殿方、閃光のような動作が女性のハートをがっちりキャッチ。
・閃光の如き素早い剣撃、又は魔法等々、それを目にした人は生きて帰る事はない。
・通常の3倍早い黒く日焼けした男性、その逞しさにメロメロ。
・魔理沙様
いえいえ、そんなロマンチックなものではありません。
台所やお風呂場、床下やちょっとした隙間。特に湿ったくらい部分にそれは潜んでいます。
何処にでも潜り込む小さい体、数多くそろっている足、閃光の様に姿をくらます素早い動作、頭に揺れる2本の角の如き
触覚、そしてつやつやと黒光りする平べったい体……
もうお解りですよね、そのお方はゴキブリと呼ばれる昆虫です。ええ良いです突っ込まなくても。
とりあえずカッコイイ名前でも付けないとやってられません、と言うかどんなに飾ってもゴキブリはゴキブリです。
紅魔館の魔力でもどうやらこのお方達の繁殖は防げなかった様ですね、て言うか繁殖するな。
そしてあんまりにもあんまりなのですが、私がゴキブリの処理を任される事になってしまいました。
あうう……あんまりです。くじ運が悪いのは昔からの事なのですがあんまりです。
もっとも、ゴキブリを平然とまともに処理できるのは咲夜メイド長や前衛の門番者・美鈴様位なので、適任と言えば適材
適所な人事なのですが……はぁ。
何はともあれ処理が終わりました。
どう処理したかは書きたくも無いです、というか書いちゃ駄目です。
黒い閃光ご一行様は、今私が持っている木箱の中にいらっしゃいます。中でがさがさ動いてます。
さすがに叩き潰す事はしたくなかったので(と言いますか、そんなキモい事はしたくありません)まだ生き生きとしたま
ま入ってもらってます。とりあえずこの箱は物置にでも置いておく事にしました。さすがに数週間放って置けば、中の方
々もお亡くなりになられるでしょうし。
あー嫌な日だった。
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「ほんっと飽きもしないでいろいろやる子ねぇ……ん?」
パラパラパラ……
とある頁で手が止まった、かすかに手が震えている。
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◇3月23日
ご夕飯の支度をしていると、突然アリス様がいらっしゃいました。「預けていた荷物を取りに来た」との事です。
なんでしょう? ちょっと考えたら思い出した事が一つ。
去年アリス様がいらっしゃった時に木の箱を預けていたことがありました、なんでも紅魔館の魔力をサンプルとして
収集するマジックアイテムだそうです。
中身に何が入っているかは教えてもらえませんでしたが、取引の際、レミリア様からかなり無理難題を吹っかけられ
たそうですので無理も無いでしょう。
何でも、今日を逃すと魔力の流れが変わるとの事なので、非常に急いでいらっしゃいました。音速な勢いで物置に突
です。素早くアリス様に木箱を渡します、達人クラスの早業です。
ああっ! お味噌汁作っているの忘れてました! 急いで台所に戻ったら沸騰する直前でした、慌てて鎮火です。
ぎりぎりせーふです。
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◇3月25日
特に何もありません。
雨が降ったのでお嬢様が不機嫌です。
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「まさかこれって……」
手の震えが大きくなる。
気のせいだか邪気すら滲み出始めていた。
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◇3月26日
ごみ捨ての日です。
何か捨てるものは無いでしょうか? 自分の部屋はOK、図書館内のごみ箱AからZZまで全てOK、パチュリー様
の秘密の小部屋OK、書庫内……は、捨てる本なんてありませんね。物置は……あれ?
非常に嫌なものを見てしまいました。
この間、黒い閃光ご一行様を閉じ込めた木箱がありました。……紅魔館備え付けの焼却炉で安らかに火葬する事にし
ましょう。
しかし、この後一つ疑問点に当たりました。1時間後に様子を見る為に焼却炉をオープンすると、木箱はモノの見事
に燃え尽きていました。しかし中身が残っていたのです。
普通中身が残るとしたら、その……何と言いますか? ゴキ……というか、黒い足やら羽やらが残ると思うのですが、
光る何かの塊しか残ってませんでした。
沢山あるのでちょっと解らないのですが、見た目は陶器にも見えます。何かの破片のようにも見えます。
調べるにしても、もともとゴキ……だったかもしれないものに触るのには抵抗があります。
紅魔館の魔力でゴキ……黒い閃光ご一行様も変質してしまったのでしょうか?
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「さてと……」
それだけ呟くと、すっ飛んで行く青い魔女。
後にはその日記帳だけが残されていた。
ペラ……パタパタパタパタパタパタパタタタタタタタ……
風に吹かれて日記帳が捲られて行く。風が止むと、白い白紙の頁で止まる。
不意に、その紙に文字がじわり……と浮かび始めた。
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◇4月10日 (リアルタイム執筆中)
緊急事態です。
なぜか私が追いまわされる羽目になりました。
館中を魔理沙様とパチュリー様とアリス様が飛び回ってます。
私は今外れにある蔵の中に逃げて隠れています。
一体何故追いまわされる事に成ってしまったのでしょうか?
悪行もとい、おちゃっぴい☆は私のステータスですが、そう簡単にばれるような証拠の残し方はしていないはずです。
だとすると、誰かがちくったかさもなくば……そうか! 日記を置き忘れていたのですね!
ああ、なんと言うケアレスミスなのでしょうか。
今私は震えています。
いつ皆様がこの中に踏み込んでくるか、恐るべき魔力と破壊力を兼ねた攻撃手段を持っているお方たちがここに踏み込
んで破壊と暴虐の限りをつくすと思うと、体の奥底から氷原に飛び出たような寒気が湧き上がり、ぶるぶると震える子
ウサギのごとくとなるわけです。
ああ、神様でも魔王様でも良いので何とかこの場をしのげないでしょうか? しのぐ事が出来るほどの幸運を与えては
貰えないでしょうか?
しかし天は我を見放したのか、ああ窓の外に黒い影g
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所有者の意識が途絶しました。
再接続待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
所有者の意識が回復しました、記帳を続行します。
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いや、駄目です、やめてください。
今回はそんな太い縄をどうするつもりなのですか、というか天井からつる下げて何をされるつもりなのですか。
アリス様も何でそんなにいきり立ってらっしゃるのでしょうか? え? 家中に黒い閃光が?
何の事かさっぱり解りませんから、そんなにニコニコしながら鋭いものを振り回さないで下さい。
嫌です、その様なモノは駄目、だから近づけないでぇ……
だめぇ! 熱い! そ、そんな太いものは入りません! そんなの無理やり……嫌!! 壊れちゃう!!!
そんなの見せ付けないで下さい!! やめ……やめt
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所有者の意識が途絶しました。
再接続待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
待機中……
次回に期待してます。
おいおい小悪魔っていうわりに優しかったりほんわか
してたりで悪魔っぽくないなぁと思っていたところこの
SSにて小悪魔のまさに「小悪魔っぽさ」が十二分に発揮されてて
ナイスでござる。
個人的つぼはA薬とB薬を入れ替えるところかな。
まさに小悪魔の悪戯。
あと「黒い閃光」は多分幻想郷にはいないんじゃないかなぁ、と。
だって、私たちの世界にて現役じゃないですか。
幻想のイキモノじゃないですか。
次回もこういったネタだと嬉しいですね。
でも、3人の魔女にこれだけの悪戯をする子悪魔ってやっぱりいいですねw
自動で筆記してくれる日記というアイデア、面白いですね。そんな機能のおかげで、日記帳には三人の魔女達にお仕置きされる小悪魔の様子が生々しくかつ緻密に描写されているハズで、それはつまりまたその日記帳を盗み読みしろと(ry
いやー、こういうギャグを書けない身としては羨ましい限りで。
ふと思ったのですが、妙な所で改行されている所が結構あったのですが、これは意図的なんでしょうか? ちょっと読み難かったかなぁ、と思ったり。意図的にやった事なら気にしないで下さい。
最後の方、どう読んでもネチョしか思いつかない私はどうかしてr(意識が途絶しました。
と、そんなところで。
ではまた。
所々に取り入れられてるギャグがうまい具合にくすくす笑いを誘発させました。
個人的にやっぱり黒い閃光が(笑)
でもやっぱり一番最初に連想したのは魔r(待機中・・・・・
灯油とガソリンを間違えて、
紅魔館を全焼させかねんばかりのドジ娘ぷりが可愛くて、可愛くて…
そしてパチュリーの口から「疾風怒濤」という言葉が発せられるとは…
基本的に魔理沙は自爆だと思います。逆恨みの被害者、南無…