ここは、魔法の森にある霧雨邸。
普通の生活の通りの時刻に、魔理沙は目を覚ました。
魔理沙「ふぁ~・・・。よく寝たぜ。」
実はここ最近、巨大妖怪の騒ぎが少なくなり、暇得隊も本当の意味で暇を得ていた。
なのでここの主、霧雨魔理沙も、結構暇していた。
暇と言うことは、即ち普通の生活を送れる、と言うわけである。
魔理沙「久しく平和な朝だ。よいよい。」
?「あ、起きた?おはよう。」
魔理沙「・・・む?」
平和な朝を乱すような、何かの声が聞こえた。
藍「よっ。」
魔理沙「何だ藍か・・・・。って、おい。」
藍「朝ご飯は作ってあるけど、食べる?」
魔理沙「おお、いただくぜ。・・・いやいや、それより。」
藍「あ~、それについては・・・。」
魔理沙「私は和食派だが、その辺は理解しているよな?」
藍「ああ、朝は御飯と味噌汁と・・・・いやいや、それより。」
話が二転三転したあと、本題に入る。
魔理沙「何で、お前が外に出ている?私はもう大丈夫なのか?」
藍「大丈夫だから、こうやって私が外に出ているの。」
魔理沙「そうかそうか。これで、ウルトラランな生活ともお別れだな。」
藍「うんうん。目出度いことだ。」
忘れられがちかも知れないが、魔理沙は最近、事故で致命傷を負った。
その事故を起こしてしまった八雲藍は、責任を感じ、魔理沙と同化することにより、彼女の命を繋ぎ止めた。
その後、何度も致命傷を負ったが、ここに来てようやく完治したと言うのだ。
藍「目出度いついでに、朝の用意しておいてやったよ。」
魔理沙「そうかそうか。殊勝な心がけだ。」
本職は八雲紫専属の雑用係である藍。
色々気が利いて、手際が良い。
魔理沙「と、その前に風呂だ。」
藍「ん?朝シャンってやつ?」
魔理沙「気分をさっぱりさせるには、熱い風呂に限る。さっぱりした気分の時も、風呂に限る。」
つまり、風呂はさっぱりするものである、と言うことだ。
魔理沙「と、言うことで、行ってくる。」
藍「いいなぁ、温泉脈。紫様に言って、うちも引いてもらおうかな。」
魔理沙の家は、床暖房として温泉脈が敷かれている。
つまり、風呂も温泉を利用することが出来る。
藍「私も後で、入れてもらうかな~。」
そんなことを思いながら、藍は台所へ向かう。
そして、少し洗い物を片付けていた、そのとき!
魔理沙「うぶわああああああ!!!?」
遠くから、魔理沙の悲鳴が聞こえた!
藍「な、何だ!何があった!?」
藍は、急いで風呂場へ向かった。
・
・
・
魔理沙「あ~・・・・、何か、ふわふわしてるぜ・・・・・。」
魔理沙は、何やらよく解らない空間に居た。
?「魔理沙・・・・。魔理沙・・・・。」
突如謎の声が、魔理沙を呼ぶ。
?「魔理沙・・・。目覚めろ、魔理沙よ・・・・。」
魔理沙「魔理沙魔理沙五月蝿いぜ。私が居なきゃほんと何にも出来ないんだからな、人間供。」
?「あんたも人間だろう?」
魔理沙「・・・・ん・・・?ここは何処だ?」
?「ここは、お前の精神の世界だ・・・。私は、お前の心に語りかけている。」
魔理沙「精神の世界?お前は誰だ?」
魔理沙は、声のする方を向く。
藍「ようやく目覚めたか。」
そこには、八雲藍が居た。
魔理沙「何だ狐か。何か用か?」
藍「何か用か?じゃない。何死んでるのよ、まったく・・・・。」
魔理沙「死んだ?私がか?」
藍「然り。どっかの誰かが長生きしそうに無いって言ってたけど、全くだわ。」
魔理沙「あ~、その、状況がよく飲み込めんが・・・。」
藍「頭打った・・・のか。実は、かくかくしかじか・・・。」
藍の説明によれば、魔理沙が風呂に行ってすぐに、魔理沙の断末魔の叫びが聞こえた。
びっくりした藍が風呂場に行ってみると、風呂場で滑って頭打って大変なことになっている魔理沙を発見した。
どう大変だったのかはともかく、とりあえず放っておくわけにもいかないので、再び同化した。
そういういうわけである。
魔理沙「・・・・・・。」
藍「折角・・・、折角、あの恐怖から逃れられると思ったのに・・・。」
魔理沙「でもまぁ、こうなってしまっては仕方が無い。犯人を捜すとするか。」
藍「犯人って・・・?」
魔理沙「ああ、実は、私が不覚にも叫んでしまったのは、風呂が異様に冷たかったからだ。」
藍「熱い風呂に飛び込んだつもりが、水風呂に飛び込んだと?」
魔理沙「そういうことだ、多分。」
藍「なるほど。そりゃあちょっと、懲らしめてやらんとなぁ・・・・。」
魔理沙「また、しばらくよろしくするが、頼むぞ。」
藍「仕様が無い・・・。」
二人は再び同化し、犯人を捜すことにした。
やがて、魔理沙の意識が回復する・・・。
・
・
・
魔理沙「やれやれ・・・と。さて、まずは・・・。」
霧雨魔理沙こと、『帰ってきたウルトララン』は、
意識を取り戻して早々、服を着に走った。
とにかく、タオル一枚では寒い。
魔理沙「湯たんぽにミニ八卦炉。これで防寒対策は万全だ。」
藍(それじゃあ、まずは事故現場の視察からだな。)
魔理沙「犯人は必ず、現場に戻ってくるものだ。」
北の果てにでも行くかのような装備で、魔理沙は再び風呂場へと向かった。
この状態では能力の半分も出せないが、大した問題では無いはずだ。
魔理沙「さてさて、ここが私の死んだ場所だが・・・。」
?「ふっふっふっふっふ・・・・。そこを探しても、何も無いわ、多分。」
魔理沙「あ~?」
風呂場に帰ってきて数秒。
いきなり、誰かに声をかけられた。
方角は丁度、浴槽の方向だ。
?「ようこそ、私の秘密基地へ・・・。」
魔理沙「墓地?」
?「いやいや、私はまだ死んでないし。」
魔理沙は、正面の誰かを見据えた。
徐々に形がはっきりしてくる。
その正体とは!
レティ「おはよう。」
魔理沙「お前は・・・・。」
レティ「ふっふっふ。ようやく会えたわね、宿敵・・・。」
魔理沙「誰だ?」
ばっしゃ~ん!
レティ「ブクブクブク・・・・。」
ざばぁ!
レティ「ぶはっ!・・・お、覚えてないの?」
魔理沙「全然。」
人影の正体、『レティ・ホワイトロック』は、魔理沙のつれない言葉を受け、豪快にずっこけた。
レティ「レティ!レティ・ホワイトロック!ほら、冬の妖怪の。」
魔理沙「あ~・・・・・・・。そんなの居たっけかな、確か。」
レティ「居たの!」
魔理沙「まぁいいや。私は・・・。」
レティ「霧雨魔理沙。・・・いえ、ウルトララン、かしら?」
魔理沙「・・・・・何のことだ?私は、『てるよ・優曇華院・ヤゴコロ』。薬通の猫耳兎だ。」
レティ「惚けても無駄よ。あなたがウルトラランだってことは、調べがついてるの。」
魔理沙「ほう・・・・・。」
藍(こいつ・・・。一体何なんだ?)
レティが何処で、魔理沙の秘密を知ったかは知らない。
が、この程度の妖怪の口なら、軽く封じることが出来る。
そう思ったので魔理沙は、この際いろいろと聞き出すことにした。
魔理沙「ていうか、ここは私の家の風呂場じゃないか。何が秘密基地だ。」
レティ「灯台下暗しって奴よ。」
魔理沙「ていうか、何でお前が私の家の風呂で、のんびりくつろいでる?」
レティ「風呂はやっぱり、10℃のお湯に限るわねぇ。」
魔理沙「ていうか、お前はスタイルいいのか?」
レティ「太ってないことは、確かよ。」
割とどうでもいいことを聞いてみた魔理沙であった。
藍(こらこら。要らんこと聞かない。さっさと本題に入れ。)
魔理沙「で、結局何の用なんだ?レティとやら。」
レティ「私はレティ・ホワイトロックではないっ!」
魔理沙「唐突に何だ。」
藍(レティって、自分で言ったくせに。)
どこからどう見ても、『レティ・ホワイトロック』だが、違うらしい。
自分でレティと名乗っていたという事実は、この際置いておこう。
レティ「私の名前はレティラス!そう、レティラス星人!!」
どどど~~~~ん!!
何処からとも無く、雷が落ちたような効果音が聞こえてきた。
多分、研究中の薬が、何やら反応して爆発したんだな、と魔理沙は思った。
思うことにした。
魔理沙「・・・・レティラス星人?」
兎に角、見た感じレティであろう生物は、自らを『レティラス星人』と名乗った。
輝夜たち以外に、宇宙人が幻想郷に存在したのか?
そもそも、『レティラス星』なんて星が存在するのだろうか?
疑問は尽きない。
魔理沙「あ~、そうか。今年の暖冬で、頭がやられたんだな。可哀想に。」
レティラス星人「そうなのよ。今年の冬は、暖かくてねぇ・・・・。」
しみじみと語る、レティラス星人。
確かに、今年は暖冬と言われている。
寒さに弱い魔理沙にしてみれば、どっちにしろ寒いからどうでもいいことだが。
レティラス星人「よって、私は暇得隊に、いや、幻想郷に対し挑戦をする!」
魔理沙「幻想郷とは、スケールがでかいな。で?」
レティラス星人「今年の冬を、長めに設定するの。」
魔理沙「春度を集める気か?」
レティラス星人「しかし、普通に春度を集めると、例によって人間に邪魔されるわけだから・・・。」
魔理沙「お望みとあらば、今すぐ止めてやるぜ?」
レティラス星人「ここらで、幻想郷の住人に、試練を与えるわ。」
魔理沙「試練?」
レティラス星人「心が弱ければ、私の脅しに屈する。つまり、心が冬。冬を望んでいることになる・・・。」
魔理沙「どういう理屈だよ。」
レティラス星人「さあ!選ばれし勇者よ、試練の時が来た!」
レティラス星人が手を掲げると、何処からとも無く人影が現れた!
その、人影の正体とは・・・・!
チルノ「こら~!はなせ~~!!」
チルノだった。
レティラス星人「・・・・・・・・・あれ?」
魔理沙「勇者?」
藍(愚者だねぇ。)
レティラス星人「おかしいわね。こんなはずじゃあ・・・。」
チルノ「ちょっと黒幕!これは何の真似よ!?」
レティラス星人にしてみれば、どうやら誤認拉致だったらしい。
哀れなのは、よく分からないうちに拉致されたチルノだ。
レティラス星人「まぁいいわ。そこの御馬鹿なチルノよ・・・。」
チルノ「馬鹿とか言うな!」
レティラス星人「今年の冬を少し長くするため、幻想郷の春度を貰いたい。承諾、してくれるわよね?」
チルノ「何言ってるのかわからないわよ!」
魔理沙「だから、馬鹿とか言われるんだぜ。」
チルノ「うるさ~い!」
とにかく、怒鳴り散らすチルノ。
まぁ、そりゃそうだな、と魔理沙は思った。
魔理沙「まぁとりあえず、こいつは冬の延長を了承しない。
つまり、お前の悪巧みは、温泉で取れる疲れのように、綺麗さっぱり流れたわけだ。」
レティラス星人「おっと、ここで事件発生よ。」
魔理沙「また唐突だな。」
レティラス星人「これを見なさい!」
レティラス星人が取り出したのは、暇得隊で連絡用に使っている水晶玉である。
映像入りで、相手と連絡が取れる、マジックアイテムだ。
他にも、他の場所を映し出したり、転がして遊んだり出来たりと、
色々な用途があって、何かと便利なモノである。
魔理沙「おい、勝手に持ち出すな。それじゃあ泥棒だぜ?」
レティラス星人「いいから。見てよ。」
魔理沙「・・・何だ、うちの玄関じゃないか。って、誰か来てるのか?」
チルノ「何なに?」
水晶玉を覗き込む魔理沙、そしてチルノ。
その画面には、霧雨邸の玄関、そして・・・・。
アリス「魔理沙~。居ないの~?」
アリスが写っていた。
魔理沙「アリスか。一体何の用だ?」
レティラス星人「ふっふっふ。これも策の内よ。」
魔理沙「策だと?」
何やら行き当たりばったりな感もあるが、とにかく策があるらしい。
レティラス星人「それじゃ、私は策を実行しに行くわ。また会いましょう。」
魔理沙「おっと、何を企んでるか知らんが、行かせるわけにはいかねぇな。」
レティラス星人「ふふふ・・・。私を止められると思って?」
レティラス星人は、湯船に手を突っ込んだ。
程なく、その手が動いた!
レティラス星人「秘技!桶ターニング!」
ばっしゃ~ん!!
魔理沙「うおわあっ!冷たい冷たい!!」
レティラス星人は、桶にたっぷり入ったお湯(10℃)を、魔理沙に向かってひっくり返した!
その冷水攻撃に、魔理沙は怯んだ!
魔理沙「こ、この!マジックミサイル!」
怯むも一瞬、魔理沙はレティラス星人に向かって、マジックミサイルを撃った!
どか~ん!
チルノ「ぎゃ~!!」
魔理沙「まだまだぁ!」
一発だけでは物足りないので、もう一発撃った!
どか~ん!!
チルノ「ふぎゃ~~!!」
魔理沙「もう一丁!」
もう一発撃った!
どか~ん!!
魔理沙「トドメだ!」
どっか~~ん!!
チルノ「ぎゃああ~・・・・・・・。」
魔理沙「どうだ?・・・って、おや。」
これでもかと言うくらい、マジックミサイルなりナパームなりを撃ちまくった。
が、それらは全て、捕らわれの身であるチルノに命中した。
チルノはその場で、気を失ってしまったようだ。
魔理沙「変わり身・・・・。しまった、逃したか!」
チルノのことなど、気にしている暇は無い。
魔理沙は急いで風呂場を出て、レティラス星人を追跡し始めた。
魔理沙「何を考えてるかは知らんが、やらせはしないぜ、レティラス!」
藍(お、何やら熱い展開。)
魔理沙「あと、表記長いから略せよレティラス!」
藍(同感。)
・
・
・
魔理沙がチルノに向かって、マジックミサイルを誤射していた頃、玄関では・・・。
アリス「・・・ったく、わざわざ出向いてやったって言うのに。」
蹴破ってでも中に入ってやろうかとも思ったが、それでは魔理沙と一緒だ。
よって、それだけはやらないでおこうと、アリスは思った。
しかし、待ってるだけというのも寒いので、出直そうかなぁとも思い始めていた。
そんな時である。
ガチャ
家のドアが、開いた。
アリス「漸く、出てき・・・・?」
アリスは、ドアの方を向いた。
その視界に入ってきたのは・・・・。
レティラス「おかえりなさ~い。」
アリス「・・・・・・・。」
レティ・ホワイトロックこと、レティラス星人だった。
無論、アリスがその名を知っているはずも無いわけだが。
レティラス「御飯にする?お風呂にする?それとも、わ、た・・・。」
アリス「ふんっ。」
バキィ!
レティラス「あ~~~~~・・・・。」
どんがらがっしゃ~~ん!!
アリスは、突然目の前に現れた『→蹴』をかました。
防御の間に合わなかったレティラス星人は、家の奥へと吹っ飛ばされてしまった。
レティラス「あいたたた・・・・。ちょっと、いきなり何よ。」
アリス「何よ、はこっちの台詞。何であんたみたいなのが、こんなところに居るのかしら?」
レティラス「ふっふっふ・・・。ここが私の秘密基地だからよ。」
アリス「あら、そうだったの。それは知らなかったわ。」
レティラス「そうだったの。そしてあなたは、私の仕掛けた罠にはまった。」
アリス「罠?」
レティラス「くらえ!」
ばッ!
レティラス星人は、アリスに襲いかかった!
アリス「ふん!」
バキ!
レティラス「あ~~~~~・・・・。」
どんがらがっしゃ~~ん!!
ガラガラガラガラ・・・・・
アリスは蹴りを繰り出し、襲いかかるレティラス星人を家の奥に吹っ飛ばした!
吹っ飛んだ先にあった棚が倒れ、レティラス星人は棚やらガラクタやらの下敷きになってしまった。
アリス「・・・帰ろ。」
ここに居ても時間の無駄と言うことで、アリスは自分の家に帰ることにした。
後ろを向き、玄関から外に出ようとした、その瞬間!
ガラ・・・・
レティラス「隙有り!」
アリス「!?」
・
・
・
チルノの存在とレティラス星人の逃亡を確認した魔理沙は、急ぎ玄関に向かった。
しかし時は遅く、玄関とその付近は散らかり放題。
玄関は開けっ放しで、冷たい風が入ってくる。
折角ミニ八卦炉で暖めた空気も、これでは台無しである。
藍(外に出たんじゃないか?家からは何の気配も感じないぞ)
魔理沙「やれやれ、仕方ないな・・・。」
藍レーダーを当てにして、魔理沙は外へと出た。
魔理沙「う~、寒っ。」
春が近いとはいえ、まだまだ朝は冷え込む。
ましてや、今は冬の妖怪が近くに居るわけだから、余計に寒い。
さっさと見つけてお仕置きをせねばという思いで、魔理沙は家の周辺を見回した。
レティラス「助けてぇ~~~!!」
視界に入ってきたのは、逃げ惑うレティラス星人であった。
何から逃げているのやらと思い、魔理沙はレティラス星人が逃げて来た方を向いた。
ずず~~ん!!
魔理沙「?」
藍(何?)
瞬間、アレを彷彿させる地響きが起こった。
そして、魔理沙の目に入ってきたのは・・・。
ずず~ん!!
アリス『・・・・・。』
魔理沙「・・・・・・よう、アリス。」
何時の間にやら巨大化していたアリスであった。
アリス『魔理沙ぁ!あんた何てことすんのよ!』
魔理沙「おお。お前は正気なのか。なら話は早い。」
どういうわけか正気を保ってはいる。
だがそれだけに、この理不尽な状態には耐え難いものがあるだろう。
アリスは、相当怒っている。
アリス『ええ全く。こんなになったお陰で、人形を遣わないでもあんたなんかイチコロよね!』
魔理沙「おい、待て!誤解だ、誤解!全てはあいつが黒幕で・・・。」
ぷちっ!
魔理沙は、問答無用で踏み潰されてしまった。
アリス『ったく。さて、さっきの奴は・・・。』
ぴか~!!!
アリス『!?』
レティラス星人を探そうとしたアリスの足元が、突然光りだした!
とっさにその場を離れる巨大アリス。
尚も光るそこからは、アレが現れた!
ウルトララン「ヘア!」
帰ってきたウルトラランだ!
別に性能には変化が無いので、普通にウルトラランと呼ぶことにしよう。
つまり、普通のウルトラランが登場した!
アリス『ふぅん、なるほどねぇ・・・・。ウルトラランの正体は、魔・・・。』
ウルトララン「ジュワ!」
ブン!
アリス『っと・・・、危ないわね。』
何か言いかけたアリスに、パンチを繰り出すウルトララン。
アリスはそれを避けた。
ウルトララン「・・・・・・。」
アリス『心配しなくても・・・。こんな面白い話、皆に教えなきゃ損じゃない。』
ウルトララン「ヘアッ!ヘアッ!!」
まずい奴に正体がバレてしまったもんだと、魔理沙、そしてウルトラランは思った。
かくなる上はアリスを思いっきりぶちのめし、口封じをするしかない。
ウルトラランは、アリスに攻撃を仕掛けた!
レティラス「た、助かったあ~・・・・。」
一方でレティラス星人は、ターゲットが自分から逸れて安心していた。
レティラス「う~ん、予定外の展開ね。」
レティラス星人は、アリスを巨大化させて、魔理沙を倒すよう仕向けようとしたが、
まさか自分にも襲い掛かってくるとは思わなかったのだ。
一応、「これは魔理沙の仕業よ!」とは言ってみたが、「あんたもグルでしょ!」
って言うことで、結局追いかけられる羽目になってしまったのだ。
レティラス「・・・戦いが終わったら、私はどっちにも狙われるわけだから・・・。」
レティラス星人は、自分の身の振り方を考えた。
魔理沙(ウルトララン)に追われ、アリスにも追われている以上、
彼女の身は限りなく危険である。
下手をしたら消される。
レティラス星人には、新たな策が必要だった。
レティラス「・・・・よし。」
掛け声と罵声と地響きが鳴り止まない中、
レティラス星人は素早く霧雨邸の中へと入って行った。
そして数十秒後、何かを抱えて戻ってきた。
レティラス「待て!ウルトララン!そしてそこの怪獣!」
開幕一番、二人に声をかける。
チルノ「こら~~!!離せってば~!!」
レティラス「こいつの命が惜しければ、今すぐ攻撃をやめなさい!」
チルノ「ちょっと!何で私が殺されなきゃいけないのよ!私関係ないでしょ!」
チルノを人質にして、二人の戦いを止めさせようとすることが、
レティラス星人の、身の安全を守る策である。
レティラス「(こいつらの巨大化には、時間制限があるはず。それなら・・・。)」
攻撃をやめさせることで時間を稼ぎ、
巨大化が解けたところで切り札を・・・。
これこそが、レティラス星人の魂胆である!
無論チルノは何も聞かされていないので、あちこちに怒鳴り散らしているが、
レティラス星人も他の二人も、聞いちゃくれない。
レティラス「さあ!今すぐ戦いをやめるのよ!」
駄目押しとばかりに、もう一度叫んだ!
これで二人は、戦いを止めるはず、と思われた。
ズズズ~~ン・・・・
レティラス「あ、あれ・・・?」
ウルトララン「デュワ!!」
アリス『う~ん・・・・。』
が、その前に巨大アリスは倒されていた。
どうやら二人は、レティラス星人の声も聞こえてなかったらしい。
魔理沙(彼を知、己を知れば物知り博士、ってな。動きが鈍過ぎるぜ、アリスよ。)
巨大な身体は、理性を保ったままでは扱いが難しいらしい。
アリスの攻撃にはいつものキレが無く、大振りで読みやすい。
一方ウルトラランはこの状態にも慣れており、
しかも口封じの為に全力で攻撃していた。
その結果アリスは、あっさりと倒されてしまったのだ。
チルノ「ちょっとあんた!!私の命が惜しくないっていうの!?」
チルノはウルトラランに怒鳴ってはみたが、やっぱり聞いてはくれてないらしい。
ていうか、ウルトラランがチルノの存在を認識しているかどうかすら疑問だ。
レティラス「あ~・・・、ええと・・・。」
いきなり策が破られたので、ちょっと焦るレティラス星人。
レティラス「ふ、ふん。やるようね、ウルトララン。かくなる上は、私が自ら!」
気を取り直したレティラス星人は、懐に手をやった。
レティラス「・・・・私自らが相手をしてやるわ!・・・・・覚悟しなさい!」
ウルトララン「・・・・・・。」
レティラス「・・・・冬を司る私の力!・・・・・今の季節では、半端な物ではなくてよ!」
ウルトララン「・・・・・・。」
何か、懐をゴソゴソしっぱなしだ。
多分、何か道具を探しているのだろうが、一向にそれが出てくる気配は無い。
レティラス「・・・・私が巨大化して本気を出せば・・・・。あんたなんかイチコロ・・・・。」
ウルトララン「ヘアッ!!」
どばばばばばば!!
痺れを切らしたウルトラランは、マスター狐狸妖怪レーザーを撃った!
レティラス「げっ!」
どっか~~~~ん!!
チルノ「あ~・・・・・・・。」
ウルトラランの必殺光線は、逃げ遅れたチルノに直撃。
チルノは何処かに吹っ飛ばされてしまった。
レティラス「あ、あぶなか・・・。」
レティラス星人は、辛うじて回避出来たようだ。
が、それで済むはずもなく、
ずず~ん!!
レティラス「わ~~!?」
ウルトラランのでっかい足が、続け様に襲いかかる。
悲鳴をあげながら、回避に専心するレティラス星人。
ずず~ん!!
レティラス「うわ~~~!?」
ずず~ん!!
レティラス「わ~~~!!」
叫びながらも、迫り来る足を回避し続けるレティラス星人。
しぶとい。
テンコー!テンコー!
ウルトララン「ムッ!」
手間取っている間に、タイムリミット間近である!
冬の寒い時に、外でスッパテンコーなど、下手したら凍死する。
魔理沙(ち、不味いな。早く始末を・・・。)
ウルトララン「デュワ!」
いい加減腹が立ってきたところに、この警告音。
こうなったらもう一発必殺技を撃って、消し炭にしてやろうかと思い、
ウルトラランは構えを取った!
レティラス「よ、よそう、ウルトララン・・・・。ね?」
テンコー音をチャンスと思ったか、レティラス星人は命乞いを始めた。
ウルトララン「ア~?」
レティラス「こ、これ以上私たちが戦っても、仕方ないじゃん?ね?ね?」
ウルトララン「・・・・・。」
レティラス「このことは、口裂け女になっても言わないから。ね、見逃して?」
テンコー!テンコー!
魔理沙(おい、どうする?)
ウルトララン「ウーム・・・。」
このまま時間をかければ、コレの面前でスッパテンコーである。
片付けてやりたいのは山々だが、意外としぶといレティラス星人相手では、
タイムアップの可能性も否定は出来ない。
そんな心理をついたかどうかは知らないが、レティラス星人からの交渉に、
ウルトラランは、一瞬考えてしまった。
レティラス「今だ!」
ウルトララン「!?」
その隙を突きレティラス星人は、さっと後方に下がった。
レティラス「今回は退いてあげる。しかし!冬が続く限り、私は必ず戻ってくるだろう!」
そう言い放ったレティラス星人の姿が、見る見るうちに透明になって行く。
逃げる気だ!
レティラス「はっはっはっはっは・・・・・。」
ウルトララン「ヘア!」
ぷち・・・・
レティラス「ぎゃ・・・・・。」
消える寸前で、レティラス星人はウルトラランに踏み潰されてしまった。
ウルトララン「(・・・まぁ、ちょっとムカついたから。)」
魔理沙(その気持ちは、よく分かるよ。咎めはせん。)
・
・
・
さて、色々あって静寂の戻った霧雨邸。
アリス「・・・・う~?」
不慣れな身体でウルトラランと戦い、敗れたアリスは、
ウルトラランとレティラス星人が遊んでいる間に、元の姿に戻っていた。
魔理沙が気付いたときには意識を失っていたので、とりあえず家の中に運んでおいたのだ。
そのアリスが、目を覚ました。
魔理沙「お、気がついたか。」
アリス「見ての通りよ。・・・ここは?」
魔理沙「見ての通りだ。」
アリス「秘密基地ね。」
魔理沙「秘密基地だぜ。」
アリス「あんたの家から変な妖怪が出てきて、そんなこと言ってたけど。」
魔理沙「そう。お前は、あいつの策にはまった。」
アリス「策も何も力押ししてきたから、蹴り飛ばしてやったんだけど・・・、ん?」
魔理沙「けど、何だ?」
アリス「う~ん・・・・。何か、重要なことが思い出せないんだけど・・・。」
魔理沙「思い出さんでいい。どうせ、ロクな記憶じゃないだろうさ。」
アリス「人を記憶喪失みたいに言わないでよ。」
魔理沙「怪獣だろ。」
アリス「魔法使い。」
記憶が飛んではいるものの、アリスの健康状態に異常は無い。
魔理沙「ともあれアリス、無事で何よりだ。そうだ、私は今から昼食にするけど、一緒にどうだ?」
アリス「?妙に親切ね。気持ち悪いわ。」
魔理沙「何言ってんだ。私ほど親切な人間は、滅多に居ないぜ。」
アリス「まぁ、折角だから食べて行ってあげるわ。」
魔理沙「そうか。そんなに飢えていたか、可哀想に。とりあえず、作って来るよ。」
アリスに背を向け、魔理沙は炊事場へと向かった。
魔理沙「・・・どうやら上手い事、記憶がすっ飛んだようだな。」
藍(記憶があったら、強硬手段も取らざるを得なかったけど・・・。)
魔理沙「面倒なことにならずに済んで、よかったぜ。」
藍(穏便に事が運んでよかったよ。)
強硬手段とは、後頭部に衝撃を与えたり洗脳したりと、凶行とも言える手段である。
アリスにとっては、あるいは幸運であったかも知れない。
無い方が良い記憶というものも、存在するのである。
魔理沙「しかし・・・。」
アリスは、巨大化したときのことを覚えては居ない。
理性の有無の違いはあれど、症状はこれまでの怪獣事件と酷似している。
魔理沙「つまり、一連の事件はあいつが犯人・・・。いや、あれは唯の愉快犯だな。」
しかしながら、レティが犯人である可能性は、薄い。
藍(あいつが一連の事件に関わってるとは思えないけど。)
魔理沙「ああ。起こす理由が無いし、誰彼構わず巨大化させるほど、愚かじゃないぜ。多分。」
藍(そういえば、あいつはどうやって巨大化の術なんて覚えたんだ?)
魔理沙「道具だろ。それを、どうやって手に入れたかは知らないけどな。」
藍(大本の原因は別のところに有る、か・・・。)
魔理沙「勘弁して欲しいぜ、まったく。」
事件が完全に解決するのは何時になるのか。
何時になったら、この状態から開放されるのか。
変身からタイムアップで、スッパテンコーしてしまうのか。
ウルトラランの出番は、しばらく続きそうである。
つづく
普通の生活の通りの時刻に、魔理沙は目を覚ました。
魔理沙「ふぁ~・・・。よく寝たぜ。」
実はここ最近、巨大妖怪の騒ぎが少なくなり、暇得隊も本当の意味で暇を得ていた。
なのでここの主、霧雨魔理沙も、結構暇していた。
暇と言うことは、即ち普通の生活を送れる、と言うわけである。
魔理沙「久しく平和な朝だ。よいよい。」
?「あ、起きた?おはよう。」
魔理沙「・・・む?」
平和な朝を乱すような、何かの声が聞こえた。
藍「よっ。」
魔理沙「何だ藍か・・・・。って、おい。」
藍「朝ご飯は作ってあるけど、食べる?」
魔理沙「おお、いただくぜ。・・・いやいや、それより。」
藍「あ~、それについては・・・。」
魔理沙「私は和食派だが、その辺は理解しているよな?」
藍「ああ、朝は御飯と味噌汁と・・・・いやいや、それより。」
話が二転三転したあと、本題に入る。
魔理沙「何で、お前が外に出ている?私はもう大丈夫なのか?」
藍「大丈夫だから、こうやって私が外に出ているの。」
魔理沙「そうかそうか。これで、ウルトラランな生活ともお別れだな。」
藍「うんうん。目出度いことだ。」
忘れられがちかも知れないが、魔理沙は最近、事故で致命傷を負った。
その事故を起こしてしまった八雲藍は、責任を感じ、魔理沙と同化することにより、彼女の命を繋ぎ止めた。
その後、何度も致命傷を負ったが、ここに来てようやく完治したと言うのだ。
藍「目出度いついでに、朝の用意しておいてやったよ。」
魔理沙「そうかそうか。殊勝な心がけだ。」
本職は八雲紫専属の雑用係である藍。
色々気が利いて、手際が良い。
魔理沙「と、その前に風呂だ。」
藍「ん?朝シャンってやつ?」
魔理沙「気分をさっぱりさせるには、熱い風呂に限る。さっぱりした気分の時も、風呂に限る。」
つまり、風呂はさっぱりするものである、と言うことだ。
魔理沙「と、言うことで、行ってくる。」
藍「いいなぁ、温泉脈。紫様に言って、うちも引いてもらおうかな。」
魔理沙の家は、床暖房として温泉脈が敷かれている。
つまり、風呂も温泉を利用することが出来る。
藍「私も後で、入れてもらうかな~。」
そんなことを思いながら、藍は台所へ向かう。
そして、少し洗い物を片付けていた、そのとき!
魔理沙「うぶわああああああ!!!?」
遠くから、魔理沙の悲鳴が聞こえた!
藍「な、何だ!何があった!?」
藍は、急いで風呂場へ向かった。
・
・
・
魔理沙「あ~・・・・、何か、ふわふわしてるぜ・・・・・。」
魔理沙は、何やらよく解らない空間に居た。
?「魔理沙・・・・。魔理沙・・・・。」
突如謎の声が、魔理沙を呼ぶ。
?「魔理沙・・・。目覚めろ、魔理沙よ・・・・。」
魔理沙「魔理沙魔理沙五月蝿いぜ。私が居なきゃほんと何にも出来ないんだからな、人間供。」
?「あんたも人間だろう?」
魔理沙「・・・・ん・・・?ここは何処だ?」
?「ここは、お前の精神の世界だ・・・。私は、お前の心に語りかけている。」
魔理沙「精神の世界?お前は誰だ?」
魔理沙は、声のする方を向く。
藍「ようやく目覚めたか。」
そこには、八雲藍が居た。
魔理沙「何だ狐か。何か用か?」
藍「何か用か?じゃない。何死んでるのよ、まったく・・・・。」
魔理沙「死んだ?私がか?」
藍「然り。どっかの誰かが長生きしそうに無いって言ってたけど、全くだわ。」
魔理沙「あ~、その、状況がよく飲み込めんが・・・。」
藍「頭打った・・・のか。実は、かくかくしかじか・・・。」
藍の説明によれば、魔理沙が風呂に行ってすぐに、魔理沙の断末魔の叫びが聞こえた。
びっくりした藍が風呂場に行ってみると、風呂場で滑って頭打って大変なことになっている魔理沙を発見した。
どう大変だったのかはともかく、とりあえず放っておくわけにもいかないので、再び同化した。
そういういうわけである。
魔理沙「・・・・・・。」
藍「折角・・・、折角、あの恐怖から逃れられると思ったのに・・・。」
魔理沙「でもまぁ、こうなってしまっては仕方が無い。犯人を捜すとするか。」
藍「犯人って・・・?」
魔理沙「ああ、実は、私が不覚にも叫んでしまったのは、風呂が異様に冷たかったからだ。」
藍「熱い風呂に飛び込んだつもりが、水風呂に飛び込んだと?」
魔理沙「そういうことだ、多分。」
藍「なるほど。そりゃあちょっと、懲らしめてやらんとなぁ・・・・。」
魔理沙「また、しばらくよろしくするが、頼むぞ。」
藍「仕様が無い・・・。」
二人は再び同化し、犯人を捜すことにした。
やがて、魔理沙の意識が回復する・・・。
・
・
・
魔理沙「やれやれ・・・と。さて、まずは・・・。」
霧雨魔理沙こと、『帰ってきたウルトララン』は、
意識を取り戻して早々、服を着に走った。
とにかく、タオル一枚では寒い。
魔理沙「湯たんぽにミニ八卦炉。これで防寒対策は万全だ。」
藍(それじゃあ、まずは事故現場の視察からだな。)
魔理沙「犯人は必ず、現場に戻ってくるものだ。」
北の果てにでも行くかのような装備で、魔理沙は再び風呂場へと向かった。
この状態では能力の半分も出せないが、大した問題では無いはずだ。
魔理沙「さてさて、ここが私の死んだ場所だが・・・。」
?「ふっふっふっふっふ・・・・。そこを探しても、何も無いわ、多分。」
魔理沙「あ~?」
風呂場に帰ってきて数秒。
いきなり、誰かに声をかけられた。
方角は丁度、浴槽の方向だ。
?「ようこそ、私の秘密基地へ・・・。」
魔理沙「墓地?」
?「いやいや、私はまだ死んでないし。」
魔理沙は、正面の誰かを見据えた。
徐々に形がはっきりしてくる。
その正体とは!
レティ「おはよう。」
魔理沙「お前は・・・・。」
レティ「ふっふっふ。ようやく会えたわね、宿敵・・・。」
魔理沙「誰だ?」
ばっしゃ~ん!
レティ「ブクブクブク・・・・。」
ざばぁ!
レティ「ぶはっ!・・・お、覚えてないの?」
魔理沙「全然。」
人影の正体、『レティ・ホワイトロック』は、魔理沙のつれない言葉を受け、豪快にずっこけた。
レティ「レティ!レティ・ホワイトロック!ほら、冬の妖怪の。」
魔理沙「あ~・・・・・・・。そんなの居たっけかな、確か。」
レティ「居たの!」
魔理沙「まぁいいや。私は・・・。」
レティ「霧雨魔理沙。・・・いえ、ウルトララン、かしら?」
魔理沙「・・・・・何のことだ?私は、『てるよ・優曇華院・ヤゴコロ』。薬通の猫耳兎だ。」
レティ「惚けても無駄よ。あなたがウルトラランだってことは、調べがついてるの。」
魔理沙「ほう・・・・・。」
藍(こいつ・・・。一体何なんだ?)
レティが何処で、魔理沙の秘密を知ったかは知らない。
が、この程度の妖怪の口なら、軽く封じることが出来る。
そう思ったので魔理沙は、この際いろいろと聞き出すことにした。
魔理沙「ていうか、ここは私の家の風呂場じゃないか。何が秘密基地だ。」
レティ「灯台下暗しって奴よ。」
魔理沙「ていうか、何でお前が私の家の風呂で、のんびりくつろいでる?」
レティ「風呂はやっぱり、10℃のお湯に限るわねぇ。」
魔理沙「ていうか、お前はスタイルいいのか?」
レティ「太ってないことは、確かよ。」
割とどうでもいいことを聞いてみた魔理沙であった。
藍(こらこら。要らんこと聞かない。さっさと本題に入れ。)
魔理沙「で、結局何の用なんだ?レティとやら。」
レティ「私はレティ・ホワイトロックではないっ!」
魔理沙「唐突に何だ。」
藍(レティって、自分で言ったくせに。)
どこからどう見ても、『レティ・ホワイトロック』だが、違うらしい。
自分でレティと名乗っていたという事実は、この際置いておこう。
レティ「私の名前はレティラス!そう、レティラス星人!!」
どどど~~~~ん!!
何処からとも無く、雷が落ちたような効果音が聞こえてきた。
多分、研究中の薬が、何やら反応して爆発したんだな、と魔理沙は思った。
思うことにした。
魔理沙「・・・・レティラス星人?」
兎に角、見た感じレティであろう生物は、自らを『レティラス星人』と名乗った。
輝夜たち以外に、宇宙人が幻想郷に存在したのか?
そもそも、『レティラス星』なんて星が存在するのだろうか?
疑問は尽きない。
魔理沙「あ~、そうか。今年の暖冬で、頭がやられたんだな。可哀想に。」
レティラス星人「そうなのよ。今年の冬は、暖かくてねぇ・・・・。」
しみじみと語る、レティラス星人。
確かに、今年は暖冬と言われている。
寒さに弱い魔理沙にしてみれば、どっちにしろ寒いからどうでもいいことだが。
レティラス星人「よって、私は暇得隊に、いや、幻想郷に対し挑戦をする!」
魔理沙「幻想郷とは、スケールがでかいな。で?」
レティラス星人「今年の冬を、長めに設定するの。」
魔理沙「春度を集める気か?」
レティラス星人「しかし、普通に春度を集めると、例によって人間に邪魔されるわけだから・・・。」
魔理沙「お望みとあらば、今すぐ止めてやるぜ?」
レティラス星人「ここらで、幻想郷の住人に、試練を与えるわ。」
魔理沙「試練?」
レティラス星人「心が弱ければ、私の脅しに屈する。つまり、心が冬。冬を望んでいることになる・・・。」
魔理沙「どういう理屈だよ。」
レティラス星人「さあ!選ばれし勇者よ、試練の時が来た!」
レティラス星人が手を掲げると、何処からとも無く人影が現れた!
その、人影の正体とは・・・・!
チルノ「こら~!はなせ~~!!」
チルノだった。
レティラス星人「・・・・・・・・・あれ?」
魔理沙「勇者?」
藍(愚者だねぇ。)
レティラス星人「おかしいわね。こんなはずじゃあ・・・。」
チルノ「ちょっと黒幕!これは何の真似よ!?」
レティラス星人にしてみれば、どうやら誤認拉致だったらしい。
哀れなのは、よく分からないうちに拉致されたチルノだ。
レティラス星人「まぁいいわ。そこの御馬鹿なチルノよ・・・。」
チルノ「馬鹿とか言うな!」
レティラス星人「今年の冬を少し長くするため、幻想郷の春度を貰いたい。承諾、してくれるわよね?」
チルノ「何言ってるのかわからないわよ!」
魔理沙「だから、馬鹿とか言われるんだぜ。」
チルノ「うるさ~い!」
とにかく、怒鳴り散らすチルノ。
まぁ、そりゃそうだな、と魔理沙は思った。
魔理沙「まぁとりあえず、こいつは冬の延長を了承しない。
つまり、お前の悪巧みは、温泉で取れる疲れのように、綺麗さっぱり流れたわけだ。」
レティラス星人「おっと、ここで事件発生よ。」
魔理沙「また唐突だな。」
レティラス星人「これを見なさい!」
レティラス星人が取り出したのは、暇得隊で連絡用に使っている水晶玉である。
映像入りで、相手と連絡が取れる、マジックアイテムだ。
他にも、他の場所を映し出したり、転がして遊んだり出来たりと、
色々な用途があって、何かと便利なモノである。
魔理沙「おい、勝手に持ち出すな。それじゃあ泥棒だぜ?」
レティラス星人「いいから。見てよ。」
魔理沙「・・・何だ、うちの玄関じゃないか。って、誰か来てるのか?」
チルノ「何なに?」
水晶玉を覗き込む魔理沙、そしてチルノ。
その画面には、霧雨邸の玄関、そして・・・・。
アリス「魔理沙~。居ないの~?」
アリスが写っていた。
魔理沙「アリスか。一体何の用だ?」
レティラス星人「ふっふっふ。これも策の内よ。」
魔理沙「策だと?」
何やら行き当たりばったりな感もあるが、とにかく策があるらしい。
レティラス星人「それじゃ、私は策を実行しに行くわ。また会いましょう。」
魔理沙「おっと、何を企んでるか知らんが、行かせるわけにはいかねぇな。」
レティラス星人「ふふふ・・・。私を止められると思って?」
レティラス星人は、湯船に手を突っ込んだ。
程なく、その手が動いた!
レティラス星人「秘技!桶ターニング!」
ばっしゃ~ん!!
魔理沙「うおわあっ!冷たい冷たい!!」
レティラス星人は、桶にたっぷり入ったお湯(10℃)を、魔理沙に向かってひっくり返した!
その冷水攻撃に、魔理沙は怯んだ!
魔理沙「こ、この!マジックミサイル!」
怯むも一瞬、魔理沙はレティラス星人に向かって、マジックミサイルを撃った!
どか~ん!
チルノ「ぎゃ~!!」
魔理沙「まだまだぁ!」
一発だけでは物足りないので、もう一発撃った!
どか~ん!!
チルノ「ふぎゃ~~!!」
魔理沙「もう一丁!」
もう一発撃った!
どか~ん!!
魔理沙「トドメだ!」
どっか~~ん!!
チルノ「ぎゃああ~・・・・・・・。」
魔理沙「どうだ?・・・って、おや。」
これでもかと言うくらい、マジックミサイルなりナパームなりを撃ちまくった。
が、それらは全て、捕らわれの身であるチルノに命中した。
チルノはその場で、気を失ってしまったようだ。
魔理沙「変わり身・・・・。しまった、逃したか!」
チルノのことなど、気にしている暇は無い。
魔理沙は急いで風呂場を出て、レティラス星人を追跡し始めた。
魔理沙「何を考えてるかは知らんが、やらせはしないぜ、レティラス!」
藍(お、何やら熱い展開。)
魔理沙「あと、表記長いから略せよレティラス!」
藍(同感。)
・
・
・
魔理沙がチルノに向かって、マジックミサイルを誤射していた頃、玄関では・・・。
アリス「・・・ったく、わざわざ出向いてやったって言うのに。」
蹴破ってでも中に入ってやろうかとも思ったが、それでは魔理沙と一緒だ。
よって、それだけはやらないでおこうと、アリスは思った。
しかし、待ってるだけというのも寒いので、出直そうかなぁとも思い始めていた。
そんな時である。
ガチャ
家のドアが、開いた。
アリス「漸く、出てき・・・・?」
アリスは、ドアの方を向いた。
その視界に入ってきたのは・・・・。
レティラス「おかえりなさ~い。」
アリス「・・・・・・・。」
レティ・ホワイトロックこと、レティラス星人だった。
無論、アリスがその名を知っているはずも無いわけだが。
レティラス「御飯にする?お風呂にする?それとも、わ、た・・・。」
アリス「ふんっ。」
バキィ!
レティラス「あ~~~~~・・・・。」
どんがらがっしゃ~~ん!!
アリスは、突然目の前に現れた『→蹴』をかました。
防御の間に合わなかったレティラス星人は、家の奥へと吹っ飛ばされてしまった。
レティラス「あいたたた・・・・。ちょっと、いきなり何よ。」
アリス「何よ、はこっちの台詞。何であんたみたいなのが、こんなところに居るのかしら?」
レティラス「ふっふっふ・・・。ここが私の秘密基地だからよ。」
アリス「あら、そうだったの。それは知らなかったわ。」
レティラス「そうだったの。そしてあなたは、私の仕掛けた罠にはまった。」
アリス「罠?」
レティラス「くらえ!」
ばッ!
レティラス星人は、アリスに襲いかかった!
アリス「ふん!」
バキ!
レティラス「あ~~~~~・・・・。」
どんがらがっしゃ~~ん!!
ガラガラガラガラ・・・・・
アリスは蹴りを繰り出し、襲いかかるレティラス星人を家の奥に吹っ飛ばした!
吹っ飛んだ先にあった棚が倒れ、レティラス星人は棚やらガラクタやらの下敷きになってしまった。
アリス「・・・帰ろ。」
ここに居ても時間の無駄と言うことで、アリスは自分の家に帰ることにした。
後ろを向き、玄関から外に出ようとした、その瞬間!
ガラ・・・・
レティラス「隙有り!」
アリス「!?」
・
・
・
チルノの存在とレティラス星人の逃亡を確認した魔理沙は、急ぎ玄関に向かった。
しかし時は遅く、玄関とその付近は散らかり放題。
玄関は開けっ放しで、冷たい風が入ってくる。
折角ミニ八卦炉で暖めた空気も、これでは台無しである。
藍(外に出たんじゃないか?家からは何の気配も感じないぞ)
魔理沙「やれやれ、仕方ないな・・・。」
藍レーダーを当てにして、魔理沙は外へと出た。
魔理沙「う~、寒っ。」
春が近いとはいえ、まだまだ朝は冷え込む。
ましてや、今は冬の妖怪が近くに居るわけだから、余計に寒い。
さっさと見つけてお仕置きをせねばという思いで、魔理沙は家の周辺を見回した。
レティラス「助けてぇ~~~!!」
視界に入ってきたのは、逃げ惑うレティラス星人であった。
何から逃げているのやらと思い、魔理沙はレティラス星人が逃げて来た方を向いた。
ずず~~ん!!
魔理沙「?」
藍(何?)
瞬間、アレを彷彿させる地響きが起こった。
そして、魔理沙の目に入ってきたのは・・・。
ずず~ん!!
アリス『・・・・・。』
魔理沙「・・・・・・よう、アリス。」
何時の間にやら巨大化していたアリスであった。
アリス『魔理沙ぁ!あんた何てことすんのよ!』
魔理沙「おお。お前は正気なのか。なら話は早い。」
どういうわけか正気を保ってはいる。
だがそれだけに、この理不尽な状態には耐え難いものがあるだろう。
アリスは、相当怒っている。
アリス『ええ全く。こんなになったお陰で、人形を遣わないでもあんたなんかイチコロよね!』
魔理沙「おい、待て!誤解だ、誤解!全てはあいつが黒幕で・・・。」
ぷちっ!
魔理沙は、問答無用で踏み潰されてしまった。
アリス『ったく。さて、さっきの奴は・・・。』
ぴか~!!!
アリス『!?』
レティラス星人を探そうとしたアリスの足元が、突然光りだした!
とっさにその場を離れる巨大アリス。
尚も光るそこからは、アレが現れた!
ウルトララン「ヘア!」
帰ってきたウルトラランだ!
別に性能には変化が無いので、普通にウルトラランと呼ぶことにしよう。
つまり、普通のウルトラランが登場した!
アリス『ふぅん、なるほどねぇ・・・・。ウルトラランの正体は、魔・・・。』
ウルトララン「ジュワ!」
ブン!
アリス『っと・・・、危ないわね。』
何か言いかけたアリスに、パンチを繰り出すウルトララン。
アリスはそれを避けた。
ウルトララン「・・・・・・。」
アリス『心配しなくても・・・。こんな面白い話、皆に教えなきゃ損じゃない。』
ウルトララン「ヘアッ!ヘアッ!!」
まずい奴に正体がバレてしまったもんだと、魔理沙、そしてウルトラランは思った。
かくなる上はアリスを思いっきりぶちのめし、口封じをするしかない。
ウルトラランは、アリスに攻撃を仕掛けた!
レティラス「た、助かったあ~・・・・。」
一方でレティラス星人は、ターゲットが自分から逸れて安心していた。
レティラス「う~ん、予定外の展開ね。」
レティラス星人は、アリスを巨大化させて、魔理沙を倒すよう仕向けようとしたが、
まさか自分にも襲い掛かってくるとは思わなかったのだ。
一応、「これは魔理沙の仕業よ!」とは言ってみたが、「あんたもグルでしょ!」
って言うことで、結局追いかけられる羽目になってしまったのだ。
レティラス「・・・戦いが終わったら、私はどっちにも狙われるわけだから・・・。」
レティラス星人は、自分の身の振り方を考えた。
魔理沙(ウルトララン)に追われ、アリスにも追われている以上、
彼女の身は限りなく危険である。
下手をしたら消される。
レティラス星人には、新たな策が必要だった。
レティラス「・・・・よし。」
掛け声と罵声と地響きが鳴り止まない中、
レティラス星人は素早く霧雨邸の中へと入って行った。
そして数十秒後、何かを抱えて戻ってきた。
レティラス「待て!ウルトララン!そしてそこの怪獣!」
開幕一番、二人に声をかける。
チルノ「こら~~!!離せってば~!!」
レティラス「こいつの命が惜しければ、今すぐ攻撃をやめなさい!」
チルノ「ちょっと!何で私が殺されなきゃいけないのよ!私関係ないでしょ!」
チルノを人質にして、二人の戦いを止めさせようとすることが、
レティラス星人の、身の安全を守る策である。
レティラス「(こいつらの巨大化には、時間制限があるはず。それなら・・・。)」
攻撃をやめさせることで時間を稼ぎ、
巨大化が解けたところで切り札を・・・。
これこそが、レティラス星人の魂胆である!
無論チルノは何も聞かされていないので、あちこちに怒鳴り散らしているが、
レティラス星人も他の二人も、聞いちゃくれない。
レティラス「さあ!今すぐ戦いをやめるのよ!」
駄目押しとばかりに、もう一度叫んだ!
これで二人は、戦いを止めるはず、と思われた。
ズズズ~~ン・・・・
レティラス「あ、あれ・・・?」
ウルトララン「デュワ!!」
アリス『う~ん・・・・。』
が、その前に巨大アリスは倒されていた。
どうやら二人は、レティラス星人の声も聞こえてなかったらしい。
魔理沙(彼を知、己を知れば物知り博士、ってな。動きが鈍過ぎるぜ、アリスよ。)
巨大な身体は、理性を保ったままでは扱いが難しいらしい。
アリスの攻撃にはいつものキレが無く、大振りで読みやすい。
一方ウルトラランはこの状態にも慣れており、
しかも口封じの為に全力で攻撃していた。
その結果アリスは、あっさりと倒されてしまったのだ。
チルノ「ちょっとあんた!!私の命が惜しくないっていうの!?」
チルノはウルトラランに怒鳴ってはみたが、やっぱり聞いてはくれてないらしい。
ていうか、ウルトラランがチルノの存在を認識しているかどうかすら疑問だ。
レティラス「あ~・・・、ええと・・・。」
いきなり策が破られたので、ちょっと焦るレティラス星人。
レティラス「ふ、ふん。やるようね、ウルトララン。かくなる上は、私が自ら!」
気を取り直したレティラス星人は、懐に手をやった。
レティラス「・・・・私自らが相手をしてやるわ!・・・・・覚悟しなさい!」
ウルトララン「・・・・・・。」
レティラス「・・・・冬を司る私の力!・・・・・今の季節では、半端な物ではなくてよ!」
ウルトララン「・・・・・・。」
何か、懐をゴソゴソしっぱなしだ。
多分、何か道具を探しているのだろうが、一向にそれが出てくる気配は無い。
レティラス「・・・・私が巨大化して本気を出せば・・・・。あんたなんかイチコロ・・・・。」
ウルトララン「ヘアッ!!」
どばばばばばば!!
痺れを切らしたウルトラランは、マスター狐狸妖怪レーザーを撃った!
レティラス「げっ!」
どっか~~~~ん!!
チルノ「あ~・・・・・・・。」
ウルトラランの必殺光線は、逃げ遅れたチルノに直撃。
チルノは何処かに吹っ飛ばされてしまった。
レティラス「あ、あぶなか・・・。」
レティラス星人は、辛うじて回避出来たようだ。
が、それで済むはずもなく、
ずず~ん!!
レティラス「わ~~!?」
ウルトラランのでっかい足が、続け様に襲いかかる。
悲鳴をあげながら、回避に専心するレティラス星人。
ずず~ん!!
レティラス「うわ~~~!?」
ずず~ん!!
レティラス「わ~~~!!」
叫びながらも、迫り来る足を回避し続けるレティラス星人。
しぶとい。
テンコー!テンコー!
ウルトララン「ムッ!」
手間取っている間に、タイムリミット間近である!
冬の寒い時に、外でスッパテンコーなど、下手したら凍死する。
魔理沙(ち、不味いな。早く始末を・・・。)
ウルトララン「デュワ!」
いい加減腹が立ってきたところに、この警告音。
こうなったらもう一発必殺技を撃って、消し炭にしてやろうかと思い、
ウルトラランは構えを取った!
レティラス「よ、よそう、ウルトララン・・・・。ね?」
テンコー音をチャンスと思ったか、レティラス星人は命乞いを始めた。
ウルトララン「ア~?」
レティラス「こ、これ以上私たちが戦っても、仕方ないじゃん?ね?ね?」
ウルトララン「・・・・・。」
レティラス「このことは、口裂け女になっても言わないから。ね、見逃して?」
テンコー!テンコー!
魔理沙(おい、どうする?)
ウルトララン「ウーム・・・。」
このまま時間をかければ、コレの面前でスッパテンコーである。
片付けてやりたいのは山々だが、意外としぶといレティラス星人相手では、
タイムアップの可能性も否定は出来ない。
そんな心理をついたかどうかは知らないが、レティラス星人からの交渉に、
ウルトラランは、一瞬考えてしまった。
レティラス「今だ!」
ウルトララン「!?」
その隙を突きレティラス星人は、さっと後方に下がった。
レティラス「今回は退いてあげる。しかし!冬が続く限り、私は必ず戻ってくるだろう!」
そう言い放ったレティラス星人の姿が、見る見るうちに透明になって行く。
逃げる気だ!
レティラス「はっはっはっはっは・・・・・。」
ウルトララン「ヘア!」
ぷち・・・・
レティラス「ぎゃ・・・・・。」
消える寸前で、レティラス星人はウルトラランに踏み潰されてしまった。
ウルトララン「(・・・まぁ、ちょっとムカついたから。)」
魔理沙(その気持ちは、よく分かるよ。咎めはせん。)
・
・
・
さて、色々あって静寂の戻った霧雨邸。
アリス「・・・・う~?」
不慣れな身体でウルトラランと戦い、敗れたアリスは、
ウルトラランとレティラス星人が遊んでいる間に、元の姿に戻っていた。
魔理沙が気付いたときには意識を失っていたので、とりあえず家の中に運んでおいたのだ。
そのアリスが、目を覚ました。
魔理沙「お、気がついたか。」
アリス「見ての通りよ。・・・ここは?」
魔理沙「見ての通りだ。」
アリス「秘密基地ね。」
魔理沙「秘密基地だぜ。」
アリス「あんたの家から変な妖怪が出てきて、そんなこと言ってたけど。」
魔理沙「そう。お前は、あいつの策にはまった。」
アリス「策も何も力押ししてきたから、蹴り飛ばしてやったんだけど・・・、ん?」
魔理沙「けど、何だ?」
アリス「う~ん・・・・。何か、重要なことが思い出せないんだけど・・・。」
魔理沙「思い出さんでいい。どうせ、ロクな記憶じゃないだろうさ。」
アリス「人を記憶喪失みたいに言わないでよ。」
魔理沙「怪獣だろ。」
アリス「魔法使い。」
記憶が飛んではいるものの、アリスの健康状態に異常は無い。
魔理沙「ともあれアリス、無事で何よりだ。そうだ、私は今から昼食にするけど、一緒にどうだ?」
アリス「?妙に親切ね。気持ち悪いわ。」
魔理沙「何言ってんだ。私ほど親切な人間は、滅多に居ないぜ。」
アリス「まぁ、折角だから食べて行ってあげるわ。」
魔理沙「そうか。そんなに飢えていたか、可哀想に。とりあえず、作って来るよ。」
アリスに背を向け、魔理沙は炊事場へと向かった。
魔理沙「・・・どうやら上手い事、記憶がすっ飛んだようだな。」
藍(記憶があったら、強硬手段も取らざるを得なかったけど・・・。)
魔理沙「面倒なことにならずに済んで、よかったぜ。」
藍(穏便に事が運んでよかったよ。)
強硬手段とは、後頭部に衝撃を与えたり洗脳したりと、凶行とも言える手段である。
アリスにとっては、あるいは幸運であったかも知れない。
無い方が良い記憶というものも、存在するのである。
魔理沙「しかし・・・。」
アリスは、巨大化したときのことを覚えては居ない。
理性の有無の違いはあれど、症状はこれまでの怪獣事件と酷似している。
魔理沙「つまり、一連の事件はあいつが犯人・・・。いや、あれは唯の愉快犯だな。」
しかしながら、レティが犯人である可能性は、薄い。
藍(あいつが一連の事件に関わってるとは思えないけど。)
魔理沙「ああ。起こす理由が無いし、誰彼構わず巨大化させるほど、愚かじゃないぜ。多分。」
藍(そういえば、あいつはどうやって巨大化の術なんて覚えたんだ?)
魔理沙「道具だろ。それを、どうやって手に入れたかは知らないけどな。」
藍(大本の原因は別のところに有る、か・・・。)
魔理沙「勘弁して欲しいぜ、まったく。」
事件が完全に解決するのは何時になるのか。
何時になったら、この状態から開放されるのか。
変身からタイムアップで、スッパテンコーしてしまうのか。
ウルトラランの出番は、しばらく続きそうである。
つづく
僭越ながら主題歌を考えてみました。
ほとんどオリジナルのパクリですが・・・。
君にも見えるマヨヒガの家 遠くはなれて魔理沙の中に
怪獣退治の被害はでかい 無事な建物あとわずか
とどろくテンコー耳にして
帰ってきたぞ 帰ってきたぞ
ウルトララン