壁の、中から作者: ND

僕の店の壁から手が生えていた。

その手は、土をはらえば白い色だった。

魔理沙が店に来た時は、その白い手を気味わるがった。

そして、その手から逃げるようにすぐに去って行った。

次の日、その手は、二本に増えていた。

その手は、ピクリとも動かない。

少し針でつつくとビクンと動くだけだ。

霊夢が店にやってきた。

だが、霊夢も気味悪がって逃げていった。

そして、その場から逃げていった。

この手が生えてからは、僕はどんどん孤独になっていた。

誰も、この店に訪れなくなったのだ。

まぁ、元々誰も来ないのだから別にいいのだが。

次の日、今度は足が生えていた。

その足は、手と同じように白い肌だった。

関節の部分を叩くと、ビクンと反応した。

少し面白かった。

次の日、顔の半分が出てきた。

壁に出てきたそれは、より一層気持ちわるくなっていた。

目が、左目がこちらを見ていた。

僕は気味が悪くなり、その場から離れようと店を出た。

『霖之助さん』

後ろから声がした。

どこかで聞いた事のある声だ。

だが、後ろには誰も居ない。

あの壁から生えた物体が語りだしたのだろうか。

馬鹿馬鹿しい。

僕は半日、その店には戻って来なかった。

次の日、顔は完全に出てしまっていた。

その顔は、見た事のある顔だ。

霊夢の顔だった。

その顔は泣いていた。

ずっと、ずっと泣いていた。

『どうして泣いてるんだい？』

僕はそう言っても、口を動かすだけで何も喋らなかった。

そうか。まだ肺の部分まで露出していないからか。

僕は、動いている生首に何も動じず、読書を続けることにした。

だが、涙がその場所に落ちるから厄介だ。

掃除が

次の日、壁から出たそれは、完全に姿を現し、壁の前に倒れていた。

壁に出てきたそれは、どう見ても霊夢だ。

服を着ていない。ただの霊夢

その霊夢は、涙を流し、泣き声を出しながら僕に歩み寄ってきた。

そして、僕の肩で泣いていた。

一体、幻想郷最強と呼べる少女が何をやっているのだろうか。

『どうしたんだ？どうして壁から出てきたんだ？』

質問をすると、霊夢は泣くのを止めて答えた。

『もうすぐ霖之助さんが死ぬからよ』

と、壁から出てきた霊夢はそう答えた。

そして目の前には、もう一人霊夢が立っていた

『どうして私が二人居るのよ！！！！！』

服を着ている霊夢がそう質問をした。

そして、裸の霊夢は答えた。

『あんたが死ねばよかったのよ』

二人の霊夢は、急に笑い出した

壁の、中から

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