――燃え尽きろ。
――何もかも?
――何もかも。
――自分さえ?
――自分さえ。
――意味があるの?
――意味なんてないよ。
――そう。
――そうさ。
――――煙は昇る。
薄い雲間から月が見えた。
「あら。ちょうどいいときに」
「なんだよ」
迷いの竹林を抜けた先、永遠亭の大きな門構えを潜ったところで、藤原妹紅は唐突に話しかけられた。
まるで、来ることがわかっていたかのように、彼女はそこにいた。門のすぐわき。ちょうど妹紅からは死角になる位置に、蓬莱山輝夜は立っていた。
袖で口元を隠しながら、にやけた顔で話してくる。
ああ、こいつは最近ずっとこんな感じだ。
妹紅は思う。
あの事件。夜の終わらなかったあの日以来、こいつはずっとこんな感じだ。
いつもいつも楽しそうにしていやがる。
それが少し気に食わなくて、殴りつけてやろうか、と思ったけどやめた。
そんな気分でもなかった。
そもそもここに来たのは偶然だ。
散歩をしていて、何も考えずに歩いていたらここに着いた。もしかしたら、無意識に来たかったのかもしれない。そんなわけはないのだが。
ないと思いたい。
くすくすと笑いながら、輝夜は言う。
「ああ、おかげであなたを探す手間が省けたわ」
「? どういうことよ?」
「気にしないで。ちょっと頼みたいことがあったのよ」
妹紅は目を丸くした。
こいつが頼みごとだって? 冗談じゃない。
いったいどういう風の吹き回しだろうか。
輝夜は手招きをしながら、
「ほら、こっち。早くしなさいな」
非常に癪だったけれど、突っぱねる意味もない。そもこいつとの付き合いは結構長い。そのほとんどは殺し合いみたいなもんだが、それでも長く一緒にいる。
殺し合っても殺しきれない仲だけど、それでも長く顔を合わせている。
だったら、こういうときくらいは頼みを聞いてあげてもいいんじゃないんだろうか。
ぽり、と妹紅は小さく後頭部をかいた。
「しょうがないな」
ため息一つ。
ざぁ、と風が竹を揺らした。葉っぱが擦れる音がやけに大きく響いた気がした。
思わず髪の毛を押さえる。
夏の暑い空気をかき回すように風がくるくると回ってどこかにいってしまった。
まるで夜気に溶けていくように。
じっとりとした風は、消えていった。
風が通っただのと考えられないほどに静寂が戻る。
「ほら」
輝夜の声。
苛立った風もなく。けれどちょっと大き目の声。
「ああ、はいはい」
そうして、ようやく妹紅は歩きだした。
かさり、と葉っぱを踏みつける。
照らす月明かりは寂しくて、夜の暗さに負けてしまいそうだった。
風が吹いて、吹き散らすように、竹が揺れる。
揺れる。
そういえば、何日か前は、あの日だったか。
妹紅はようやくそのことを思い出した。
▼
七夕、という行事を聞いたのは他でもない、上白沢慧音からだった。
里では、笹に願い事をくくりつけて、織姫彦星天の川に願い事をするんだそうだ。だから、笹を取ってきてくれないか? と頼まれたのだ。
妹紅は聞いた。
それはどうして願い事を書くのだろうか、と言う疑問だった。
何故、星にお願いなどするのだろうか。
星に願ったとしても聞き入れてくれるとは限らない。さらに言ってしまえば見えないだろう。向こうは遠く遠く、空の向こうだ。
一度、星に向かって飛んでみたことがあったが、苦しくなってやめた。
それに、ちっとも着きやしない。
だから遠いのだ。
きっと、たぶん、見えていたとしても届かない。
あんなに高いところにあるものから、この地上が見えるものか。
そう聞くと、慧音はこう返した。
もとより星に願い事をする意味などはない。
妹紅は聞いた。
ならばどうして願うのか。
慧音は言う。
あれは願い事ではなく、こうしたい、こうありたい、ということを書くのだろう。
星に願って、現物が落ちてくる。そんなことがあるはずもないだろう。
だから願い事を書くのだ。
そうすれば、自分に誓いをたてたことになる。
結局、願いは自分で叶えるのだ。
妹紅は言った。
そういうものだろうか。
慧音は答えた。
そうであって欲しい。
ならば、そうしよう、と妹紅は笹を取りに行ったのだった。
七夕の日は、晴れていたと記憶にある。
確か、空には天の川がきれいに見えた。
星の連なる川を寝転がりながら、ぼんやりと見て、妹紅はきれいだな、と思った。
ただ、きれいだな、と思った。
笹に願い事などせずに。
ただ、きれいだと思った。
それが、七夕だった。
▼
「こっちこっち」
「どっちだって言うんだよ」
「こっちよ」
「そうかい」
輝夜に引かれるようにして、というより追いかけて、妹紅は永遠亭の中庭にやってきた。
四方を永遠亭と竹林に囲まれた、比較的大きな中庭。
その中央には笹が積んであった。
たくさんの折り紙や飾りのつけてある笹だ。
それが幾本も幾本も折り重なるように積まれていた。
「これは?」
「七夕に使った笹よ」
「ふん、それは分かる。ところで、私になんの用なの?」
「燃やして欲しいのよ」
「燃やす?」
「ええ」
「どうして?」
「そういう風習もあるんだって」
「そうかい」
「お願いしていい」
「いいよ。それくらい」
ぱちん、と妹紅が指を鳴らすと、火花が散った。
小さな火がぱっ、と笹の葉についた。
そのまま、ごうごう、と勢いを増していく。
夜闇の中に映えるように、明かりが灯った。
煙が、伸びていく。
天に。
空に。
彼方に。
月に。
星に。
ゆらゆら、とたゆたうように。まっすぐに、うねりながら、空へ昇っていく。
相変わらず、夜空は暗くて。相変わらず、月が照らしていた。
とんとん、と肩を叩かれた。
輝夜は長い黒髪を揺らしながら、妹紅の肩に手を置いて、縁側の方を指差した。
目の前で炎は勢いを増している。
じりじり、と肌を焼く熱さ。
指差された方を見て、妹紅は、ああ、と言った。
そうして、縁側の方に歩いていき、座る。
隣に、輝夜が腰掛ける。そのままじっ、と煙を眺めていた。
炎に照らされる横顔を眺めながら、妹紅は何となしに話しかけた。
「なぁ、なんであんなに多いのよ?」
「兎の分よ」
「そうかいな」
煙が昇る。
「なぁ、燃やす意味って何なんだ?」
「んー」
輝夜は人差し指をたてて、トンボを捕るときみたいに、くるくると回した。
「あれよ。煙が出るじゃない。燃やすと」
「ああ」
「それで、煙が天に届いたら、願い事が叶うとか何とか」
「曖昧だね」
「信じてないから」
「だろうな」
ところで、と挟んで、
「お前は、何て願い事をしたんだ?」
「あなたはどんな?」
「私は何にも」
「へぇ。どうして?」
「何でかなぁ」
「分からないのねぇ」
くすくす、と輝夜は笑う。口元を袖で隠した上品な笑い方。
妹紅はほっとけ、と言う。
「んで、お前は何て書いたんだ?」
「何にも」
「んだよ。同じか」
かはは、と笑う。
「この屋敷のことでも書けば良かったんじゃないか? ほら、家族のこととか」
「ああ、それがあったわね」
ぽん、と手を打つ。
だけど、と一拍置いて。
「でもいや」
「どうして?」
「ほら」
と、輝夜は空を指差す。月を。
「夜空には月があるじゃない。癪なのよ。空に願うと必然的に月が目に入る。見ていてきれいだけれども、願い事を叶えてもらう、何て気にはなれないわ」
「そいつはどうして?」
「だって丸見えじゃない、何願ったって」
「なるほど。しかし、願うのは月じゃないけどな」
「でも見えちゃうじゃない。願い事なんて、自分の中にでも閉まっておくわ」
薄い胸を親指で叩く。にやり、と笑み。
じゃあさ、と言いながら妹紅は倒れこんだ。ごろん、と寝転がって、月に昇る煙を見つめる。
「私に教えてくれないか? その願い事」
「やぁよ、恥ずかしいもの」
「いいじゃんか。どうせ浅くもない縁だろう」
「それもそっか。じゃああなたもね」
「いいよ。どうせ大したことない願い事だ。星に願うまでもない」
「笑わないでね」
「そっちこそ」
月明かりが、仄かに照らす。月光がはっきりと煙を映し出す。たゆたう雲がゆっくりと晴れる。
煙が昇る。一筋の煙が。小さく弧を描きながら。ゆらゆらと。ゆらゆらと。
そんな中で、二人は言った。
「無病息災よ」
「日々健康だな」
そうして、大声で笑った。二人とも包み隠さないような声で。口元を押さえることもなく。
ただただ夜空を見上げて笑った。
妹紅はごろごろ転がりながら。
輝夜はお腹を抱えて。
互いの願い事を、笑いあった。
そして、目の端の涙を拭いながら、輝夜は言った。
「日々健康? 不老不死なのに?」
くっくっく、と笑いながら妹紅は答える。
「不老不死だからさ。それよりお前はどうなんだ?」
「ばかね、不老不死だからに決まってるじゃない」
「ああ、そうか」
「ええ、そうよ」
二人して笑いながら、空を見た。
川はもうなくて。月明かりが薄っすらと夜空を照らす。
煙が昇る。
昇る。
どこまでも。
願いを乗せて?
さぁ?
自分の中にでも、届けばいいんじゃないんだろうかなぁ。
妹紅は目の端の涙を拭いながらそんなことを思った。
――煙が昇る。
高く、高く。
どこまでも。
[了]
――何もかも?
――何もかも。
――自分さえ?
――自分さえ。
――意味があるの?
――意味なんてないよ。
――そう。
――そうさ。
――――煙は昇る。
薄い雲間から月が見えた。
「あら。ちょうどいいときに」
「なんだよ」
迷いの竹林を抜けた先、永遠亭の大きな門構えを潜ったところで、藤原妹紅は唐突に話しかけられた。
まるで、来ることがわかっていたかのように、彼女はそこにいた。門のすぐわき。ちょうど妹紅からは死角になる位置に、蓬莱山輝夜は立っていた。
袖で口元を隠しながら、にやけた顔で話してくる。
ああ、こいつは最近ずっとこんな感じだ。
妹紅は思う。
あの事件。夜の終わらなかったあの日以来、こいつはずっとこんな感じだ。
いつもいつも楽しそうにしていやがる。
それが少し気に食わなくて、殴りつけてやろうか、と思ったけどやめた。
そんな気分でもなかった。
そもそもここに来たのは偶然だ。
散歩をしていて、何も考えずに歩いていたらここに着いた。もしかしたら、無意識に来たかったのかもしれない。そんなわけはないのだが。
ないと思いたい。
くすくすと笑いながら、輝夜は言う。
「ああ、おかげであなたを探す手間が省けたわ」
「? どういうことよ?」
「気にしないで。ちょっと頼みたいことがあったのよ」
妹紅は目を丸くした。
こいつが頼みごとだって? 冗談じゃない。
いったいどういう風の吹き回しだろうか。
輝夜は手招きをしながら、
「ほら、こっち。早くしなさいな」
非常に癪だったけれど、突っぱねる意味もない。そもこいつとの付き合いは結構長い。そのほとんどは殺し合いみたいなもんだが、それでも長く一緒にいる。
殺し合っても殺しきれない仲だけど、それでも長く顔を合わせている。
だったら、こういうときくらいは頼みを聞いてあげてもいいんじゃないんだろうか。
ぽり、と妹紅は小さく後頭部をかいた。
「しょうがないな」
ため息一つ。
ざぁ、と風が竹を揺らした。葉っぱが擦れる音がやけに大きく響いた気がした。
思わず髪の毛を押さえる。
夏の暑い空気をかき回すように風がくるくると回ってどこかにいってしまった。
まるで夜気に溶けていくように。
じっとりとした風は、消えていった。
風が通っただのと考えられないほどに静寂が戻る。
「ほら」
輝夜の声。
苛立った風もなく。けれどちょっと大き目の声。
「ああ、はいはい」
そうして、ようやく妹紅は歩きだした。
かさり、と葉っぱを踏みつける。
照らす月明かりは寂しくて、夜の暗さに負けてしまいそうだった。
風が吹いて、吹き散らすように、竹が揺れる。
揺れる。
そういえば、何日か前は、あの日だったか。
妹紅はようやくそのことを思い出した。
▼
七夕、という行事を聞いたのは他でもない、上白沢慧音からだった。
里では、笹に願い事をくくりつけて、織姫彦星天の川に願い事をするんだそうだ。だから、笹を取ってきてくれないか? と頼まれたのだ。
妹紅は聞いた。
それはどうして願い事を書くのだろうか、と言う疑問だった。
何故、星にお願いなどするのだろうか。
星に願ったとしても聞き入れてくれるとは限らない。さらに言ってしまえば見えないだろう。向こうは遠く遠く、空の向こうだ。
一度、星に向かって飛んでみたことがあったが、苦しくなってやめた。
それに、ちっとも着きやしない。
だから遠いのだ。
きっと、たぶん、見えていたとしても届かない。
あんなに高いところにあるものから、この地上が見えるものか。
そう聞くと、慧音はこう返した。
もとより星に願い事をする意味などはない。
妹紅は聞いた。
ならばどうして願うのか。
慧音は言う。
あれは願い事ではなく、こうしたい、こうありたい、ということを書くのだろう。
星に願って、現物が落ちてくる。そんなことがあるはずもないだろう。
だから願い事を書くのだ。
そうすれば、自分に誓いをたてたことになる。
結局、願いは自分で叶えるのだ。
妹紅は言った。
そういうものだろうか。
慧音は答えた。
そうであって欲しい。
ならば、そうしよう、と妹紅は笹を取りに行ったのだった。
七夕の日は、晴れていたと記憶にある。
確か、空には天の川がきれいに見えた。
星の連なる川を寝転がりながら、ぼんやりと見て、妹紅はきれいだな、と思った。
ただ、きれいだな、と思った。
笹に願い事などせずに。
ただ、きれいだと思った。
それが、七夕だった。
▼
「こっちこっち」
「どっちだって言うんだよ」
「こっちよ」
「そうかい」
輝夜に引かれるようにして、というより追いかけて、妹紅は永遠亭の中庭にやってきた。
四方を永遠亭と竹林に囲まれた、比較的大きな中庭。
その中央には笹が積んであった。
たくさんの折り紙や飾りのつけてある笹だ。
それが幾本も幾本も折り重なるように積まれていた。
「これは?」
「七夕に使った笹よ」
「ふん、それは分かる。ところで、私になんの用なの?」
「燃やして欲しいのよ」
「燃やす?」
「ええ」
「どうして?」
「そういう風習もあるんだって」
「そうかい」
「お願いしていい」
「いいよ。それくらい」
ぱちん、と妹紅が指を鳴らすと、火花が散った。
小さな火がぱっ、と笹の葉についた。
そのまま、ごうごう、と勢いを増していく。
夜闇の中に映えるように、明かりが灯った。
煙が、伸びていく。
天に。
空に。
彼方に。
月に。
星に。
ゆらゆら、とたゆたうように。まっすぐに、うねりながら、空へ昇っていく。
相変わらず、夜空は暗くて。相変わらず、月が照らしていた。
とんとん、と肩を叩かれた。
輝夜は長い黒髪を揺らしながら、妹紅の肩に手を置いて、縁側の方を指差した。
目の前で炎は勢いを増している。
じりじり、と肌を焼く熱さ。
指差された方を見て、妹紅は、ああ、と言った。
そうして、縁側の方に歩いていき、座る。
隣に、輝夜が腰掛ける。そのままじっ、と煙を眺めていた。
炎に照らされる横顔を眺めながら、妹紅は何となしに話しかけた。
「なぁ、なんであんなに多いのよ?」
「兎の分よ」
「そうかいな」
煙が昇る。
「なぁ、燃やす意味って何なんだ?」
「んー」
輝夜は人差し指をたてて、トンボを捕るときみたいに、くるくると回した。
「あれよ。煙が出るじゃない。燃やすと」
「ああ」
「それで、煙が天に届いたら、願い事が叶うとか何とか」
「曖昧だね」
「信じてないから」
「だろうな」
ところで、と挟んで、
「お前は、何て願い事をしたんだ?」
「あなたはどんな?」
「私は何にも」
「へぇ。どうして?」
「何でかなぁ」
「分からないのねぇ」
くすくす、と輝夜は笑う。口元を袖で隠した上品な笑い方。
妹紅はほっとけ、と言う。
「んで、お前は何て書いたんだ?」
「何にも」
「んだよ。同じか」
かはは、と笑う。
「この屋敷のことでも書けば良かったんじゃないか? ほら、家族のこととか」
「ああ、それがあったわね」
ぽん、と手を打つ。
だけど、と一拍置いて。
「でもいや」
「どうして?」
「ほら」
と、輝夜は空を指差す。月を。
「夜空には月があるじゃない。癪なのよ。空に願うと必然的に月が目に入る。見ていてきれいだけれども、願い事を叶えてもらう、何て気にはなれないわ」
「そいつはどうして?」
「だって丸見えじゃない、何願ったって」
「なるほど。しかし、願うのは月じゃないけどな」
「でも見えちゃうじゃない。願い事なんて、自分の中にでも閉まっておくわ」
薄い胸を親指で叩く。にやり、と笑み。
じゃあさ、と言いながら妹紅は倒れこんだ。ごろん、と寝転がって、月に昇る煙を見つめる。
「私に教えてくれないか? その願い事」
「やぁよ、恥ずかしいもの」
「いいじゃんか。どうせ浅くもない縁だろう」
「それもそっか。じゃああなたもね」
「いいよ。どうせ大したことない願い事だ。星に願うまでもない」
「笑わないでね」
「そっちこそ」
月明かりが、仄かに照らす。月光がはっきりと煙を映し出す。たゆたう雲がゆっくりと晴れる。
煙が昇る。一筋の煙が。小さく弧を描きながら。ゆらゆらと。ゆらゆらと。
そんな中で、二人は言った。
「無病息災よ」
「日々健康だな」
そうして、大声で笑った。二人とも包み隠さないような声で。口元を押さえることもなく。
ただただ夜空を見上げて笑った。
妹紅はごろごろ転がりながら。
輝夜はお腹を抱えて。
互いの願い事を、笑いあった。
そして、目の端の涙を拭いながら、輝夜は言った。
「日々健康? 不老不死なのに?」
くっくっく、と笑いながら妹紅は答える。
「不老不死だからさ。それよりお前はどうなんだ?」
「ばかね、不老不死だからに決まってるじゃない」
「ああ、そうか」
「ええ、そうよ」
二人して笑いながら、空を見た。
川はもうなくて。月明かりが薄っすらと夜空を照らす。
煙が昇る。
昇る。
どこまでも。
願いを乗せて?
さぁ?
自分の中にでも、届けばいいんじゃないんだろうかなぁ。
妹紅は目の端の涙を拭いながらそんなことを思った。
――煙が昇る。
高く、高く。
どこまでも。
[了]
やっぱこの二人には仲良くしてもらいたいですね
私の住んでる所も七夕が終われば笹を燃やしますよ~
と、邪推していたのですが、後書きを読んでホッと一安心しました。
うん、生きてりゃ色々あるけれど最後は前向きに行きたいですよね。
輝夜も妹紅も、悲壮感を漂わせず、無病息災や日々健康を願うような健やかさで
永遠を生きていってほしいと思います。