○1から読むことをお勧めします
○永琳にオリジナル設定が多少ついています
永琳は表情を変えずに淡々と語った。
「輝夜も知っての通り、私は皆に万能とかいわれているけど、万能ではないわ。なにかしら万物には欠点がついているものよ」
完全無欠だといわれている永琳には唯一欠点があった。
新種の病気、主に病原体となるウィルスが体内で突然変異したものにはすぐ対処ができないのだ。
理由は素人にはわからない医学的要因が様々重なっているらしい。
つまり慧音は運悪く、そういうウィルスに感染してしまったのだ。
月の都の大規模な医療設備さえあれば永琳の弱点を補うことができる。
しかし、設備の乏しい幻想郷では無理なことだった。
永琳が地道に研究を重ね続けてやっと、そのウィルスを解明し、撃退することができるのだ。
だが、もうそんな時間が残されている余地は無かった。
「だからね、せめて彼女が妹紅と長くいられるように、私は薬で彼女の病気の進行や症状をおさえているの。彼女の早すぎる死に、妹紅は多分、すごいショックを受けるだろうから。でも、もう無理みたいね。多分今日か明日。そう遠くない」
輝夜は永琳の話を聞いたあと、複雑な心境に陥った。
言い表せないほどの複雑な心境。
彼女の頭の中をある思考が延々とループする。
慧音が死んでしまったら、妹紅はどうなってしまうのだろうか。
慧音が死んでしまったら、妹紅と私の関係はどうなるのだろうか。
慧音が死んでしまったら、私は慧音のかわりとして妹紅と一緒にいられるのだろうか。
慧音が死んでしまったら…
普段は考えないことまで色々と考えて彼女はとても気持ち悪くなってしまった。
胸へとなにか気持ちの悪いものがこみあげてきて、輝夜は思わず吐いてしまった。
全ての感情がごちゃごちゃに混ざって形をなくしたみたいだった。
輝夜は自らを落ち着かせるため、自身を取り戻すために優曇華の盆栽を眺めることにした。
輝夜がかけた永遠によって、永遠に不変の植物。
花を咲かせることも、実を結ぶこともない。
そんな優曇華と同じように、輝夜と妹紅と永遠に不変の関係、つまり永遠に戦い続けるライバル同士であるべきなのだ。
余計なことは考えてはいけない。
そう思うことで輝夜は落ち着くことができた。
そう、永遠の宿敵、そのはずだった。
ちょうどその夜遅くのことだった。
永琳の言うとおり、慧音の容態は急変してこと切れた。
早すぎる死だった。
「永琳、どういうことなんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
事情を微塵も知るはずもない妹紅は安らかに眠っている慧音を抱えながら肩を震わせていた。
永琳はなんとかそんな妹紅を宥めようとする。
「落ち着きなさい、妹紅」
「落ち着くなんてできるかよ!!!!こんなに早く慧音を失いたくはなかった。どうして、なんで」
半狂乱になって疑問詞を永琳に投げかける妹紅。
永琳は妹紅の質問に医学的な根拠や用語を交えて丁寧に答えながら懸命にあやまるが、彼女は納得できなかった。
納得するはずがなかった。
妹紅の感情がとある感情に大きく動いた。
それは、輝夜への憎悪だった。
そうだ、全てあいつがいけないんだ、と。
刻々と彼女の心は憎悪に黒く、底知れずの洞窟のように染まっていく。
「謝るなよ。永琳は悪くない。これはすべて、あいつのせいだ。また私の大切なものを愛しく思うものをあいつは奪っていった。そうだ、永遠亭に慧音を運んで行ったあの土砂降りの日…」
「妹紅?」
妹紅が永琳に顔を向けた。
永琳は度肝を抜かれる。
妹紅の顔が大きく憎しみに恐ろしく歪んでいた。
続く
○永琳にオリジナル設定が多少ついています
永琳は表情を変えずに淡々と語った。
「輝夜も知っての通り、私は皆に万能とかいわれているけど、万能ではないわ。なにかしら万物には欠点がついているものよ」
完全無欠だといわれている永琳には唯一欠点があった。
新種の病気、主に病原体となるウィルスが体内で突然変異したものにはすぐ対処ができないのだ。
理由は素人にはわからない医学的要因が様々重なっているらしい。
つまり慧音は運悪く、そういうウィルスに感染してしまったのだ。
月の都の大規模な医療設備さえあれば永琳の弱点を補うことができる。
しかし、設備の乏しい幻想郷では無理なことだった。
永琳が地道に研究を重ね続けてやっと、そのウィルスを解明し、撃退することができるのだ。
だが、もうそんな時間が残されている余地は無かった。
「だからね、せめて彼女が妹紅と長くいられるように、私は薬で彼女の病気の進行や症状をおさえているの。彼女の早すぎる死に、妹紅は多分、すごいショックを受けるだろうから。でも、もう無理みたいね。多分今日か明日。そう遠くない」
輝夜は永琳の話を聞いたあと、複雑な心境に陥った。
言い表せないほどの複雑な心境。
彼女の頭の中をある思考が延々とループする。
慧音が死んでしまったら、妹紅はどうなってしまうのだろうか。
慧音が死んでしまったら、妹紅と私の関係はどうなるのだろうか。
慧音が死んでしまったら、私は慧音のかわりとして妹紅と一緒にいられるのだろうか。
慧音が死んでしまったら…
普段は考えないことまで色々と考えて彼女はとても気持ち悪くなってしまった。
胸へとなにか気持ちの悪いものがこみあげてきて、輝夜は思わず吐いてしまった。
全ての感情がごちゃごちゃに混ざって形をなくしたみたいだった。
輝夜は自らを落ち着かせるため、自身を取り戻すために優曇華の盆栽を眺めることにした。
輝夜がかけた永遠によって、永遠に不変の植物。
花を咲かせることも、実を結ぶこともない。
そんな優曇華と同じように、輝夜と妹紅と永遠に不変の関係、つまり永遠に戦い続けるライバル同士であるべきなのだ。
余計なことは考えてはいけない。
そう思うことで輝夜は落ち着くことができた。
そう、永遠の宿敵、そのはずだった。
ちょうどその夜遅くのことだった。
永琳の言うとおり、慧音の容態は急変してこと切れた。
早すぎる死だった。
「永琳、どういうことなんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
事情を微塵も知るはずもない妹紅は安らかに眠っている慧音を抱えながら肩を震わせていた。
永琳はなんとかそんな妹紅を宥めようとする。
「落ち着きなさい、妹紅」
「落ち着くなんてできるかよ!!!!こんなに早く慧音を失いたくはなかった。どうして、なんで」
半狂乱になって疑問詞を永琳に投げかける妹紅。
永琳は妹紅の質問に医学的な根拠や用語を交えて丁寧に答えながら懸命にあやまるが、彼女は納得できなかった。
納得するはずがなかった。
妹紅の感情がとある感情に大きく動いた。
それは、輝夜への憎悪だった。
そうだ、全てあいつがいけないんだ、と。
刻々と彼女の心は憎悪に黒く、底知れずの洞窟のように染まっていく。
「謝るなよ。永琳は悪くない。これはすべて、あいつのせいだ。また私の大切なものを愛しく思うものをあいつは奪っていった。そうだ、永遠亭に慧音を運んで行ったあの土砂降りの日…」
「妹紅?」
妹紅が永琳に顔を向けた。
永琳は度肝を抜かれる。
妹紅の顔が大きく憎しみに恐ろしく歪んでいた。
続く
鬱モノは好きだ
殺しあえ殺しあえ(ぇ