Coolier - 新生・東方創想話

フランドール・スカーレットの紅魔館観察日記

2010/07/05 22:53:33
最終更新
サイズ
5.58KB
ページ数
1
閲覧数
1945
評価数
3/39
POINT
1700
Rate
8.63

分類タグ

 私、フランドール・スカーレットが紅魔館の廊下を歩いていると……
「うわぁぁぁん、咲夜ぁぁぁぁ!」
 突然、お姉様の泣き声が聞こえました。近くまで行って覗いてみると、メイドの咲夜に抱き付いていた。その咲夜の顔が物凄い笑顔になっていて、鼻血を出している。
「あぁ、お嬢様~。この時間が永遠に止まってくれれば、どんなに幸せかしら……」
 いやいや、咲夜は時間を操れるのだから止める事は出来るでしょうと私は心からつっこんだ。
 でも、そんなに咲夜に抱き付くのは気持ち良いのかな? 私はそれに興味を持った………

 咲夜が一人で廊下を歩いているのを発見した私は、角に隠れてタイミングを待った。咲夜が横に来た時、私は飛び出した。
「咲夜ぁぁぁ!」
「っ!? 妹様!?」
 私は咲夜に抱き付いた。咲夜の反応は……
「ど、どうかなされましたか、妹様?」
 あれ? お姉様みたいにならないし、鼻血も出さない。普通の反応だった……
「妹様?」
「ううん、何でもない……」
 咲夜から離れると、咲夜は頭を下げてから立ち去った。う~ん、おかしいなぁ………

「と言うわけなの。どうしたら咲夜をお姉様の時の様に出来るかな」
「なるほどね……」
 私はこの事をパチュリーに相談してみた。『困った事があったら、パチュリー様に訊いてみては如何ですか』とリトル(小悪魔)が言っていたから、パチュリーに訊いてみた。
「妹様、恐らくそれはレミィにしか出来ない事なのよ」
「えっ、そうなの?」
 お姉様にしか出来ない事だなんて……やっぱり、お姉様はスゴいんだね。
「それじゃぁ、お姉様の様になれば、私にも出来るのかな」
「う~ん、難しい所ね……妹様には出来るかどうか分かりませんね」
「どうすれば良いの?」
「それは……カリスマを無くすのです」
 カリスマを無くす?
「つまり、レミィみたいにカリスマが無くして咲夜に抱き付けば、恐らくそうなると思います」
 う~ん、それは難しいね。
「でも、私、そんなにカリスマはないと思うけど」
「いえいえ……カリスマゲージを調べると、妹様>絶対超えられない壁>レミィとなっていますから」
「あの、パチュリー様。それはレミリアお嬢様に失礼だと思いますけど」
 リトルが紅茶とクッキーを持って来てくれた。咲夜のも良いけど、リトルのも美味しいんだよね……
「そうね。真面目に答えるとしたら、一度レミィの真似をしてみては如何でしょうか」
「お姉様の真似を?」
「そうです。『技と言う物は学ぶ物ではなく、盗む物である』と言う言葉があります。レミィの技である以上、学ぶ事より、よく観察して盗んでしまえば、きっとうまくいくと思います」
「そっか、魔理沙の様にパチュリーの技を盗めば良いんだね」
 ガシャンとパチュリーはカップを落とした。
「くすくすくす……そういえばそうだったね。覚悟してなさい、魔理沙……」
「落ち着いて下さい、パチュリー様! あぁ、パチュリー様の背後に黒いオーラが見えます!」
 よし、早速お姉様の後をつけてみよう!

 紅魔館をウロチョロしていると、お姉様と咲夜を発見した。
「うぇぇぇん、咲夜! 霊夢がつれないのよ!」
「はぁ……お嬢様の泣き顔………最強です!」
 もう抱き付いているよ!? しかも、咲夜は既になっているし。これじゃぁ、技を盗めないじゃない……
 それにしてもお姉様、最近涙腺が緩んでいるのか、泣いている所しか見掛けていないのだけど……我が姉ながら、恥ずかしいね。
「……あっ! これだ!」
 私は何か見つける事が出来た。

 そして、咲夜が一人で歩いている所を発見した。この作戦を実行する前に、パチュリーにこれならどうかなと訊いてみると、やってみてはどうですかと言って、目薬を渡してくれた。
「よしっ!」
 目薬をさして、準備完了。いざ出陣!
「さ、咲夜~」
 咲夜の前に現れて、泣きそうな顔をする。
「い、妹様!?」
 咲夜は少し後退りする。ここで一気に……
「うぇぇぇん、咲夜ぁぁぁ!」
 泣きながら咲夜に抱き付いた。(もちろん、嘘泣き)
「い、妹様!?」
 咲夜はプルプルと震えている。よし、ここでパチュリーから教わった事をやってみよう。
「咲夜……ぎゅってして……」
 涙目で咲夜に頼む作戦(パチュリー案)をしてみると、咲夜の顔が物凄い笑顔になり、ぎゅ~と抱き締めてくる。おぉ、これは……すごく気持ちいい。
「妹様……はっ!」
 すると、咲夜の顔が一気に変わった。
「咲夜……貴女、何をやっているのかしら」
 後ろに振り返るとお姉様が立っている。しかも、かなり怒っている。
「お、お嬢様……こ、これは私もよく分かりませんけど……その、何と言いますか……」
「じゃぁ、何でフランが泣いているのかしらね」
「わ、私も何が何やら……」
「これはキツいお仕置タイムね……」
 ど、どうしよう……私のせいで咲夜が大変な事になってしまった。
 すると、お姉様のさらに後ろの角で、リトルが何かカンペみたいなのを出している。『パチュリー様から伝言です。レミリアお嬢様にも同じ事をして下さいと』
 お姉様にも同じ事を? うん、やってみるか。
「お、お姉様……」
 うまく涙を流して(素早く目薬をさしただけ)、咲夜から離れてお姉様に近付く。
「うっ、ふ、フラン? 一体どうしたの?」
「ご、ごめんなさい……お姉様ぁぁぁ!」
 私はお姉様に抱き付いた。
「はぅあわわわぁぁぁ!」
 何やら奇声を出して、金縛りにあったみたいに動かなくなった。そして……
「ぐはっ!」
 もはや致死量レベルの域を超えたかのような勢いで鼻血を出しながら、倒れてしまった。
「お、お姉様!? しっかりして!」
「あぁ……我が人生に……一片の悔い……なしね……がくっ」
 お姉様が真っ白になっちゃった。しかも、スゴい笑顔で……

「えぇと……これは一体……」
「悪かったわね」
「ぱ、パチュリー様!?」
 ポツンと呆然としている咲夜の肩をパチュリーに叩かれて、咲夜は少し驚いた。
「実はかくかくしかじかでね。少し妹様に興味を持たれたのよ」
 事情を知った咲夜は頭を押さえる。つまり、これは自分が引き起こした事であると考える。
「まぁ、貴女の癖を、今更治せとは言わないわ。だが、少しは我慢をしてみる事ね」
「はい……申し訳ありません」
「まぁ、半分はレミィのせいでもあるけどね……」
 パチュリーはボソリと呟いてその場を去った。

 翌日の図書館にて……
「うわぁぁぁん! 咲夜ぁぁぁ!」
 またしても、お姉様が咲夜に抱き付いた。それを何かと戦っているかの様に必死に我慢する咲夜。
「ねぇ、パチュリー。やっぱり、あれはお姉様だけの物だよね」
「えぇ…もっとも、私はそれを見るのが楽しいのだけどね」
 くすくすと笑っているパチュリー。

 結果、お姉様が泣きながら咲夜に抱き付くのは紅魔館の日常茶飯事であると分かった事であった。
 はじめまして!! 今回が初投稿です。
 まず始めに言っておきます。レミリアファンと咲夜ファンの方には申し訳ありません……うちではこういう扱いになると思いますので、先に謝っておきます。
 紅魔館組が多くなるかもしれませんけど、他の所も書いていこうと思っています。
 これからも、よろしくお願いします。
水星 呂紀
[email protected]
http://utakatashrine.web.fc2.com/index.html
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.1430簡易評価
7.80名前が無い程度の能力削除
これはありだ
21.100名前が無い程度の能力削除
泣き虫レミィかわいいよ~。
紅魔館が紅いのは、みんなの鼻血のせいですねw

あなたのこれからの作品楽しみにしてます。
30.90名前が無い程度の能力削除
レミリアが泣き虫だと!?
アリだ。