「よぉ、メーリン。今日もお邪魔するぜ?」
「……どうぞ、お入りください。パチュリー様は今日も図書館にいらっしゃいます」
今日も……何時のまにかその言葉が自然になるくらい、最近のマリサはよく紅魔館を訪ねるようになっていた。そして訪れるたびに、メーリンの挨拶が余所余所しくなっていくことにマリサは気がついていた。
それは頻繁に訪れるマリサをわずらわしく思っていたからではないし、彼女がマリサを嫌っているからでもなかった。それはマリサを拒絶し、紅魔館から遠ざけようとする意思のわざであった。そしてこの意思は、メーリンのみがマリサに向けるものではなかった。メイドのサクヤも同様であった。図書館の小悪魔もそうであった。妖精メイドたちもそうであった。ただ暢気なフランと、鷹揚で瑣事を気に留めないレミリアと、当事者のパチュリーのみが例外であった。そうであるから、あたかも紅魔館全体がマリサを拒絶しようと努めているようであった。
しかしそのような意思が発揮され、マリサを拒絶しようとする試みがなされればなされるほど、マリサとパチュリーの距離は縮まっていくのであった。そして、一緒にいるとき、二人は全く不自然を感じるようなことがなくなっていったのであった。
紅魔館の雲は常に厚い。その雲は魔術師の創りし雲である。しかしその日紅魔館を覆う雲は、常よりも厚い、自然の雲であった。
「うん、これは参考になりそうだな」
「そう、それはよかったわ。また何か知りたいことがあったら言って頂戴」
「ああ、頼むぜ。いつも助かるよ。ありがとう、パチュリー」
図書館の豊富な蔵書とパチュリーの優れた見識がマリサの研究に役立ったことは一度や二度ではない。独力で魔法を研究開発する喜びを抜きに考えれば、パチュリーを頼り魔道を追求する利は多い。今まではレイムと世間に対する配慮から、パチュリーを頼ることをマリサは控えていた。それは誰の目からも明らかであった。そしてそれは当然の配慮であった。それ故にそれが破られていることが何を意味するのか。これもまた容易に想像し得ることであった。然るに紅魔館は、マリサを拒絶する意思を見せたのである。この二人の進もうとしている道は、破滅的な結果をもたらす、危険なものであるから……
だがそれでも、自然は二人を前に進めようとする。故に二人の距離は段々と縮まっていく。しかしそれでも、自然の圧力は、いつか理性の抑圧と拮抗する時が来る。人が完全に理性となり得ない様に、また人は完全に自然となり得ないからである。そして運命を分かつのは、この拮抗の時より他にない。そのとき果たして人に、運命を切り開く覚悟が在るや否やで、自然が勝つか理性が勝つかが決まるのである。
少なくともこの時、この少女には覚悟があった。孤独を寂しさとは感じず、空虚をむなしさとは捉えなかった少女には覚悟があった。
少女にとってただ一人本を読む時間は癒しであった。空虚は充足であった。世界は一人で満ち足りていた。しかしその世界は壊された。突然の来訪者がその世界を壊してしまった。彼女の世界を壊し、孤独を切なさに、空虚を渇望に変えた人を想う気持ちに、殉じる覚悟が、少女にはあった。
一人本を読むとき、あの人がそばにいてくれたならばと思い、胸が苦しくなるようになった。
広い図書館で一人たたずむ時、何故此処にしかいることが出来ないのかと苦しむようになった。
もし身体が強ければ、もしもっと明るい性格だったならば、もしもっと社交的であったならば……そう切望するようになった。
こういった感情を彼女は初めて知った。それはあまりにも新鮮で強烈であった。だから、この衝動にのまれて溺死しても良いと、彼女は覚悟したのであった。
その彼女が、第三者から見ても分かるような天然の働きを察知してなおも動かぬわけがなかった。彼女は人生で、今が最も積極果敢であることを自覚していた。
「マリサ……」
そう言って、マリサの手に自分の手を重ねた。人一倍温かいマリサの手がいっそう温かく感じられた。その熱は手の先を通じて、心臓を介し、パチュリーのおよそ全てに熱を持たせた。パチュリーは思わず涙が出そうになった。この温かみのためにだったら、死んだっていい……そう思えるぐらいに、その熱は彼女の心を満たしきったからである。
「マリサ……今日は、随分雨脚が強いわ。これから、もっと強くなって、終いには雷雨となってしまうに違いないわ。だから、今日は……無理に帰ろうとしないで頂戴」
パチュリーは、マリサを気遣うように懇願した。マリサを本当に気遣う気持ちと、マリサを求める気持ちとが確かに彼女の仲には存在していた。それは別の想いとして彼女の中に存在するのではなく、ほぼ同一の想いとして彼女の中に存在していた。
「パチュリー……」
マリサは驚きを隠せなかった。これほどまでに積極的なパチュリーを彼女は想像だに出来なかったからである。しかしそれ故に、マリサは二人を前に進めようとする自然の力がどれほどに強いかを知ることになる。
そのとき、マリサはアリスにレイムとパチュリーの間で揺れる気持ちを相談したときに返された彼女の言葉を思い出した。
「覚悟がないなら、やめておきなさい」
覚悟。そう、覚悟。きっと、この道は危険な道だから、覚悟がなくって進んで良いような道ではない。この道を進めばレイムも失う。ミマ様も失う。アリスも失う。家族友人は、かつての絆は、信頼は、全て失われる。思い出すらも思い出としてあることが許されなくなるような、それほどに破滅的な結末をもたらす道だから、この道を進むには覚悟が必要になる。
だから、マリサはその覚悟をパチュリーにも問わずにはおられなかった。
「パチュリー……どうしてパチュリーは、そんなにも大胆になれるんだ?」
パチュリーはマリサの手の上に添えたその手を少し強く握って答えた。
「だって私……他になんの希望もありはしないんですもの……」
その瞬間、マリサは雷に打たれたような衝撃を覚えた。目に涙を浮かべながら、持てる限りの勇気を振り絞った告白を終えた少女は、決してうつむかずにマリサをまっすぐに見つめていた。
その想いの強さと健気さとがマリサの心を揺さぶった。正気ではいられなかった。それでも最後の理性が、マリサに言葉を続けさせた。
「希望って……他になんの希望もないって……それは、どういう意味なんだ?」
「そのまんまの意味よ」
「そのまんまの意味じゃわからないから、聞いているんだぜ?」
パチュリーは決して目をそらさずに、あたかも全ての力をそこから得ているかのように、さらにマリサの手を握る力を強めて答えた。
「……私にとって、貴方がそばにいてくれることが唯一の希望だし、私という存在にとって、貴方の存在が唯一の希望だという意味よ。貴方しか、私に希望を与え得ないという意味よ……」
全てが吹き飛んだ。マリサの過去を作る全てが吹き飛んだ。マリサの過去と現在と未来とには、マリサとパチュリー以外に存在することが許されなくなった。
マリサは理解した。マリサは自然の人であることを。自然であることが、マリサの自然であることを。それは打算のない、純粋感情の道であることを。全てを捧げる程の恋……それが自然の究極であることをマリサは理解した。
レイムに対して、マリサは愛情を持っている。あいしている。しかしそれは脳の感情である。理性の恋愛である。パチュリーに対して感じるこの気持ちとは異なるものである。パチュリーへの恋心は、確かに脈打ち鼓動する、心臓の想いである。本能の恋愛である。マリサは理性ではなく、本能にこそ尊さがあると確信した。
全てを捨て去ってもよい。パチュリー以外の全てから、二度と受け入れられることがなくてもよいという覚悟……マリサは、到底自分の想いを抑えることが出来なくなっていた
「パチュリー!!」
力の限り、強く抱きしめる。パチュリーが一瞬驚き、びくっとした。きっと今、パチュリーは歯を食いしばって、目を瞑って、驚きに耐えているに違いない。それがいとおしい。たまらなくいとおしい。
「好きだ。パチュリー、お前のことがどうしても好きだ!!何よりも好きだ!!たまらなく好きなんだ!!」
出来る限り強く、想いを込めてマリサは告白する。その想いだけパチュリーを強く抱きしめる。このまま壊してしまいたいくらいに、強く獰猛な想いをマリサはパチュリーにぶつけた。
「ああ……マリサ、マリサ……私も……私も貴方が好きよ。ずっと、ずっと貴方だけを想い続けていた……」
「パチュリー……」
どちらからともいえず、ただ自然の力に従って二人は唇を重ねた。それは、幸せなキスであった。そのキスを祝福するものは、ただパチュリーとマリサのみであった。しかしそれでも、その刹那は、永遠の価値を持つ様に思えた。だから二人は、ただただ幸せであった。
マリサにとって、口付けはもう驚きではなくなっていたはずであった。しかし確かに、今彼女の心は、パチュリーとの口付けで揺さぶられ、締め付けられていた。
目をぎゅっと瞑り、体を震わせるパチュリーの姿を見るに、マリサの心は満たされすぎて切なくなっていた。パチュリーが愛おしく、なんとしても守ってあげたいと思った。それと同時に、この初心な少女を蹂躙したいという獣心も沸き立ってきた。
頑ななパチュリーの唇をマリサは一気に割り込み、舌を絡め合わせた。パチュリーは驚き、一瞬びくっとした。体がかたくなるのを感じた。しかしそれでもマリサの気持ちに応えようとして、たどたどしくもマリサの舌に自分の舌を絡めようとパチュリーは頑張った。
それがいっそうマリサの獣心を煽った。マリサは息が苦しくなるのも構わず、パチュリーの舌を貪った。パチュリーも懸命に応じた。マリサはパチュリーの歯や歯茎に至るまで舌を這わせた。パチュリーの全てを自分で染めてしまいたいという欲望に全てを任しきっていた。
パチュリーはそれを全て受け入れた。彼女は長い間、自分の心も体も、全てがマリサのものになってしまうことが出来たならばどれほどに幸福だろうかと思ってきたのである。それが現実になったことの幸福感ですっかり満たされていた。
今までに経験したことがない鼓動の強さと、あまりにも激しいキスとが相まって、彼女は軽い酸欠状態になっていた。それを理解してなおもキスをやめないマリサの獣心が嬉しかった。酸欠状態に特有の浮遊感と、格別に幸福な心理状態が相まってもたらす夢見心地にパチュリーはすっかり酔っていた。
マリサがキスを終えたころには、パチュリーの目はすっかり潤み、とろんとしていた。四肢の力はすっかり抜け、マリサが抱きしめていなければ立ってはいられないくらいだった。呼吸はゆったりとしていたが、非常に深かった。
徐々に色を取り戻し、マリサの目をハッキリと見つめることが出来る様になった時、パチュリーはマリサの目が細く鋭くなっていることに気がついた。
それは貪欲さと慈悲深さと切なさの混ざり合った目であった。その目に見つめられていることに気がついたとき、パチュリーは自分の体が熱くなり、切なくなって来るのを感じた。
(……もっと、マリサに染められたい……)
マリサとは全く別のベクトルで、パチュリーの心も獣に満たされ始めていた。
とたんにマリサがキスを再開する。前と同じ様に、パチュリーのことをすっかり無視した自分勝手で貪欲なキスだった。それがあまりにもパチュリーには気持ちよかった。それほどにマリサが好きだった。だからマリサの欲望に応え切れないのが哀しくなった。
パチュリーも懸命にマリサの舌に自分の舌を絡めようとした。そのとき、不意にマリサの舌がパチュリーの舌からほぐれた。パチュリーが一瞬あれ?っと思った刹那、急激な快感にパチュリーは襲われた。マリサはパチュリーの上顎部分に舌を沿わせ始めたのである。
口蓋部分から体に突き抜けるくすぶったい快感に、パチュリーは声を上げることが我慢できなかった。
「ん、んんん!!んんんん!!ま、まり、んんんんん!!!!」
マリサに慈悲を求めた瞬間、マリサはパチュリーの意思を無視し、さらに激しいキスで責め立てた。
「ん、んん……んんん……」
蹂躙されるにつれ、動悸が快楽と重なっていく。真っ白になった頭では、押し寄せる快楽より他に知覚し得ず、思考し得なかった。それは至福の境地。雌の幸福は此処に極まる。
それ故急に胸を鷲づかみにし、乱暴に揉み解すマリサに対しても、強い痛みに倍する悦楽で彼女の体は応えたのだ。子宮はすっかり熱くなり、ショーツは愛液で濡れてしまっていた。マリサの乱暴な愛撫に、パチュリーは嬌声で歓迎した。
「あ、ああ!!マリサ!!まりさぁ……んん、好き、好きぃ……」
「ああ、パチュリー……私もパチュリーのことが大好きだぜ」
そういうとマリサは、服の中に手を入れ、直接パチュリーの胸を揉み始めた。パチュリーの乳首がすっかり勃起し、かたくなっているのがわかった。マリサはパチュリーの乳首を強くつまみ、乱暴に引っ張った。
「あぁ!!い、痛い、痛いよマリサ!!」
思わず声を上げ反発する。しかしマリサは、パチュリーが痛みの一方で快感を覚えていることを見破っていた。パチュリーには強い被虐性向がある……これはマリサの確信であった。
「でも、気持ち良いんだろ?」
そう言葉を投げかけてみると、パチュリーは何も答えなかった。マリサはやはりと思った。そして心底満足であった。マリサはパチュリーの性向について発見すると同時に、自分の知らざる性向についても発見しつつあった。
(私は、誰かをいたぶるのが好きだ……それも、痛みで屈服させるのではなく、快楽に溺れさせる形でいたぶるのが好きだ)
そういった自分の性癖を認識するにしたがい、ますますマリサはパチュリーと自分が一つになるべき存在であるということを確信していくのであった。
(どうやって、虐めようかな?)
マリサは考えながらパチュリーの胸を執拗に責め立てた。すっかり足がくだけたパチュリーは、なんとかマリサの腕をつかみ、倒れないようにするのが精一杯であった。
(そうだな……言葉責めをしてみようかな?)
そう考え付くと、マリサは意地の悪い笑みを浮かべてこう質問した。
「なぁ、パチュリー……パチュリーは、まだ初めてなんだよな?」
「はぁ、はぁ、うん……私、セックスなんてしたことないわ。女の人ともよ?」
「へぇ、そうなんだ。ふぅん?」
そう言って、マリサはさも疑っているように演技をする。
「ほ、本当よ?私、マリサ以外の人にこんなときめいたことなんてないもの!!」
潔白を懸命に主張するパチュリーに対して、マリサは疑いの色を面から消すことの無いように演技し続けた。
「でもさ、処女だって言うのに、何でこんなに感じてるんだ?さっきだって、あんなに強く乳首をいじったっていうのに、随分と気持ちよさそうだったじゃないか?」
「そ、それは、その……」
その反応があまりにも予想通りだったので、マリサは笑みを浮かべるのを抑え切れなかった。
(やっぱり、パチュリーはオナニーをしている。しかも、相当欲求不満がたまっていたみたいだぜ。
しかし、あれだけ告白に際して勇敢だったパチュリーが、自分の痴態に対してこうもシャイで俯き加減な様子を見せるとなると……ぞくっとするぜ。)
「それは、なんなんだ?」
「う、ううう……」
「まぁ、私が貞操を求められるような立場にいないことくらいは分かってるけどさ。なんか、隠されたりするのはちょっと……ショックだぜ」
わざとパチュリーが良心の呵責を感じるような態度をマリサがとると、パチュリーが必死になって弁明をしようとする。
「ち、ちがうのマリサ!!誤解よ!!本当に、私、誰ともエッチなことしたことないの!!」
「じゃぁ、なんでこんなに慣れてるんだ?」
「そ、それは……その……」
パチュリーが顔を真っ赤にして俯く。
(これは……たまらないなぁ……)
今にも押し倒してしまいたくなる気持ちを抑えるのにマリサは精一杯だった。
(……もう一押ししちゃうかな?)
「ふぅ……もういいよ……」
そういってマリサは、パチュリーの胸を掴んでいた両手を戻し、頭を掻き始めた。そしてパチュリーから目をそらし、さもがっかりしたように振舞うのだった。
「え……マリサ?」
「……まぁ、もっとパチュリーに信頼されるようにしないとな……」
そう言って、ダメ押しとばかりにため息をつく。
(どうだ?これで……)
そう思いパチュリーの顔を上目遣いでのぞいた瞬間、マリサはどきっとした。パチュリーの両目からは涙があふれ、パチュリーは小さな肩を大きく震わせていたのだった。
(やべ、やりすぎたか?)
そう思った刹那である。
「違うの!!私、私……私、毎日マリサで……マリサのことを思って……じ、自分を慰めてたから……ずっと……」
パチュリーは今にも恥ずかしさで死んでしまいそうなほどに顔を真っ赤にしてそう言い切った。
もはや我慢の限界である。
「パチュリー!!!!!!!!!」
マリサは思いっきりパチュリーを床に押し倒した。
「パチュリー……パチュリーが欲しい……私に、パチュリーの全てをくれ!!いや、私のものになってくれないと困る!!」
「マリサ……ええ、差し上げます。私の全てを、貴方のものにしてちょうだい……」
図書館の床に押し倒されたパチュリーは、目を瞑り、全てをマリサに任せきっていた。恐怖の色は確かにある。目にたまって溢れ出す涙、速い鼓動、微かな体の振るえ……しかしそれ以上の信頼と愛情がマリサに向けられていた。それがマリサには嬉しかった。
パチュリー以外の全てを失っても良い覚悟……自己の破滅さえ省みないマリサの熱情に対し、パチュリーは確かに自身を捧げて応えてくれている。それが、本当に尊い気持ちであるとマリサは気がついたから、何よりもマリサにはそれが嬉しかった。
パチュリーが愛しい。優しくしてあげたい。その一方でそんなパチュリーをむちゃくちゃにしてしまいたい。そういった矛盾した感情がマリサをいっそう興奮させた。
そして二人は、より甘い官能の世界へと進んで行くのであった……
「……どうぞ、お入りください。パチュリー様は今日も図書館にいらっしゃいます」
今日も……何時のまにかその言葉が自然になるくらい、最近のマリサはよく紅魔館を訪ねるようになっていた。そして訪れるたびに、メーリンの挨拶が余所余所しくなっていくことにマリサは気がついていた。
それは頻繁に訪れるマリサをわずらわしく思っていたからではないし、彼女がマリサを嫌っているからでもなかった。それはマリサを拒絶し、紅魔館から遠ざけようとする意思のわざであった。そしてこの意思は、メーリンのみがマリサに向けるものではなかった。メイドのサクヤも同様であった。図書館の小悪魔もそうであった。妖精メイドたちもそうであった。ただ暢気なフランと、鷹揚で瑣事を気に留めないレミリアと、当事者のパチュリーのみが例外であった。そうであるから、あたかも紅魔館全体がマリサを拒絶しようと努めているようであった。
しかしそのような意思が発揮され、マリサを拒絶しようとする試みがなされればなされるほど、マリサとパチュリーの距離は縮まっていくのであった。そして、一緒にいるとき、二人は全く不自然を感じるようなことがなくなっていったのであった。
紅魔館の雲は常に厚い。その雲は魔術師の創りし雲である。しかしその日紅魔館を覆う雲は、常よりも厚い、自然の雲であった。
「うん、これは参考になりそうだな」
「そう、それはよかったわ。また何か知りたいことがあったら言って頂戴」
「ああ、頼むぜ。いつも助かるよ。ありがとう、パチュリー」
図書館の豊富な蔵書とパチュリーの優れた見識がマリサの研究に役立ったことは一度や二度ではない。独力で魔法を研究開発する喜びを抜きに考えれば、パチュリーを頼り魔道を追求する利は多い。今まではレイムと世間に対する配慮から、パチュリーを頼ることをマリサは控えていた。それは誰の目からも明らかであった。そしてそれは当然の配慮であった。それ故にそれが破られていることが何を意味するのか。これもまた容易に想像し得ることであった。然るに紅魔館は、マリサを拒絶する意思を見せたのである。この二人の進もうとしている道は、破滅的な結果をもたらす、危険なものであるから……
だがそれでも、自然は二人を前に進めようとする。故に二人の距離は段々と縮まっていく。しかしそれでも、自然の圧力は、いつか理性の抑圧と拮抗する時が来る。人が完全に理性となり得ない様に、また人は完全に自然となり得ないからである。そして運命を分かつのは、この拮抗の時より他にない。そのとき果たして人に、運命を切り開く覚悟が在るや否やで、自然が勝つか理性が勝つかが決まるのである。
少なくともこの時、この少女には覚悟があった。孤独を寂しさとは感じず、空虚をむなしさとは捉えなかった少女には覚悟があった。
少女にとってただ一人本を読む時間は癒しであった。空虚は充足であった。世界は一人で満ち足りていた。しかしその世界は壊された。突然の来訪者がその世界を壊してしまった。彼女の世界を壊し、孤独を切なさに、空虚を渇望に変えた人を想う気持ちに、殉じる覚悟が、少女にはあった。
一人本を読むとき、あの人がそばにいてくれたならばと思い、胸が苦しくなるようになった。
広い図書館で一人たたずむ時、何故此処にしかいることが出来ないのかと苦しむようになった。
もし身体が強ければ、もしもっと明るい性格だったならば、もしもっと社交的であったならば……そう切望するようになった。
こういった感情を彼女は初めて知った。それはあまりにも新鮮で強烈であった。だから、この衝動にのまれて溺死しても良いと、彼女は覚悟したのであった。
その彼女が、第三者から見ても分かるような天然の働きを察知してなおも動かぬわけがなかった。彼女は人生で、今が最も積極果敢であることを自覚していた。
「マリサ……」
そう言って、マリサの手に自分の手を重ねた。人一倍温かいマリサの手がいっそう温かく感じられた。その熱は手の先を通じて、心臓を介し、パチュリーのおよそ全てに熱を持たせた。パチュリーは思わず涙が出そうになった。この温かみのためにだったら、死んだっていい……そう思えるぐらいに、その熱は彼女の心を満たしきったからである。
「マリサ……今日は、随分雨脚が強いわ。これから、もっと強くなって、終いには雷雨となってしまうに違いないわ。だから、今日は……無理に帰ろうとしないで頂戴」
パチュリーは、マリサを気遣うように懇願した。マリサを本当に気遣う気持ちと、マリサを求める気持ちとが確かに彼女の仲には存在していた。それは別の想いとして彼女の中に存在するのではなく、ほぼ同一の想いとして彼女の中に存在していた。
「パチュリー……」
マリサは驚きを隠せなかった。これほどまでに積極的なパチュリーを彼女は想像だに出来なかったからである。しかしそれ故に、マリサは二人を前に進めようとする自然の力がどれほどに強いかを知ることになる。
そのとき、マリサはアリスにレイムとパチュリーの間で揺れる気持ちを相談したときに返された彼女の言葉を思い出した。
「覚悟がないなら、やめておきなさい」
覚悟。そう、覚悟。きっと、この道は危険な道だから、覚悟がなくって進んで良いような道ではない。この道を進めばレイムも失う。ミマ様も失う。アリスも失う。家族友人は、かつての絆は、信頼は、全て失われる。思い出すらも思い出としてあることが許されなくなるような、それほどに破滅的な結末をもたらす道だから、この道を進むには覚悟が必要になる。
だから、マリサはその覚悟をパチュリーにも問わずにはおられなかった。
「パチュリー……どうしてパチュリーは、そんなにも大胆になれるんだ?」
パチュリーはマリサの手の上に添えたその手を少し強く握って答えた。
「だって私……他になんの希望もありはしないんですもの……」
その瞬間、マリサは雷に打たれたような衝撃を覚えた。目に涙を浮かべながら、持てる限りの勇気を振り絞った告白を終えた少女は、決してうつむかずにマリサをまっすぐに見つめていた。
その想いの強さと健気さとがマリサの心を揺さぶった。正気ではいられなかった。それでも最後の理性が、マリサに言葉を続けさせた。
「希望って……他になんの希望もないって……それは、どういう意味なんだ?」
「そのまんまの意味よ」
「そのまんまの意味じゃわからないから、聞いているんだぜ?」
パチュリーは決して目をそらさずに、あたかも全ての力をそこから得ているかのように、さらにマリサの手を握る力を強めて答えた。
「……私にとって、貴方がそばにいてくれることが唯一の希望だし、私という存在にとって、貴方の存在が唯一の希望だという意味よ。貴方しか、私に希望を与え得ないという意味よ……」
全てが吹き飛んだ。マリサの過去を作る全てが吹き飛んだ。マリサの過去と現在と未来とには、マリサとパチュリー以外に存在することが許されなくなった。
マリサは理解した。マリサは自然の人であることを。自然であることが、マリサの自然であることを。それは打算のない、純粋感情の道であることを。全てを捧げる程の恋……それが自然の究極であることをマリサは理解した。
レイムに対して、マリサは愛情を持っている。あいしている。しかしそれは脳の感情である。理性の恋愛である。パチュリーに対して感じるこの気持ちとは異なるものである。パチュリーへの恋心は、確かに脈打ち鼓動する、心臓の想いである。本能の恋愛である。マリサは理性ではなく、本能にこそ尊さがあると確信した。
全てを捨て去ってもよい。パチュリー以外の全てから、二度と受け入れられることがなくてもよいという覚悟……マリサは、到底自分の想いを抑えることが出来なくなっていた
「パチュリー!!」
力の限り、強く抱きしめる。パチュリーが一瞬驚き、びくっとした。きっと今、パチュリーは歯を食いしばって、目を瞑って、驚きに耐えているに違いない。それがいとおしい。たまらなくいとおしい。
「好きだ。パチュリー、お前のことがどうしても好きだ!!何よりも好きだ!!たまらなく好きなんだ!!」
出来る限り強く、想いを込めてマリサは告白する。その想いだけパチュリーを強く抱きしめる。このまま壊してしまいたいくらいに、強く獰猛な想いをマリサはパチュリーにぶつけた。
「ああ……マリサ、マリサ……私も……私も貴方が好きよ。ずっと、ずっと貴方だけを想い続けていた……」
「パチュリー……」
どちらからともいえず、ただ自然の力に従って二人は唇を重ねた。それは、幸せなキスであった。そのキスを祝福するものは、ただパチュリーとマリサのみであった。しかしそれでも、その刹那は、永遠の価値を持つ様に思えた。だから二人は、ただただ幸せであった。
マリサにとって、口付けはもう驚きではなくなっていたはずであった。しかし確かに、今彼女の心は、パチュリーとの口付けで揺さぶられ、締め付けられていた。
目をぎゅっと瞑り、体を震わせるパチュリーの姿を見るに、マリサの心は満たされすぎて切なくなっていた。パチュリーが愛おしく、なんとしても守ってあげたいと思った。それと同時に、この初心な少女を蹂躙したいという獣心も沸き立ってきた。
頑ななパチュリーの唇をマリサは一気に割り込み、舌を絡め合わせた。パチュリーは驚き、一瞬びくっとした。体がかたくなるのを感じた。しかしそれでもマリサの気持ちに応えようとして、たどたどしくもマリサの舌に自分の舌を絡めようとパチュリーは頑張った。
それがいっそうマリサの獣心を煽った。マリサは息が苦しくなるのも構わず、パチュリーの舌を貪った。パチュリーも懸命に応じた。マリサはパチュリーの歯や歯茎に至るまで舌を這わせた。パチュリーの全てを自分で染めてしまいたいという欲望に全てを任しきっていた。
パチュリーはそれを全て受け入れた。彼女は長い間、自分の心も体も、全てがマリサのものになってしまうことが出来たならばどれほどに幸福だろうかと思ってきたのである。それが現実になったことの幸福感ですっかり満たされていた。
今までに経験したことがない鼓動の強さと、あまりにも激しいキスとが相まって、彼女は軽い酸欠状態になっていた。それを理解してなおもキスをやめないマリサの獣心が嬉しかった。酸欠状態に特有の浮遊感と、格別に幸福な心理状態が相まってもたらす夢見心地にパチュリーはすっかり酔っていた。
マリサがキスを終えたころには、パチュリーの目はすっかり潤み、とろんとしていた。四肢の力はすっかり抜け、マリサが抱きしめていなければ立ってはいられないくらいだった。呼吸はゆったりとしていたが、非常に深かった。
徐々に色を取り戻し、マリサの目をハッキリと見つめることが出来る様になった時、パチュリーはマリサの目が細く鋭くなっていることに気がついた。
それは貪欲さと慈悲深さと切なさの混ざり合った目であった。その目に見つめられていることに気がついたとき、パチュリーは自分の体が熱くなり、切なくなって来るのを感じた。
(……もっと、マリサに染められたい……)
マリサとは全く別のベクトルで、パチュリーの心も獣に満たされ始めていた。
とたんにマリサがキスを再開する。前と同じ様に、パチュリーのことをすっかり無視した自分勝手で貪欲なキスだった。それがあまりにもパチュリーには気持ちよかった。それほどにマリサが好きだった。だからマリサの欲望に応え切れないのが哀しくなった。
パチュリーも懸命にマリサの舌に自分の舌を絡めようとした。そのとき、不意にマリサの舌がパチュリーの舌からほぐれた。パチュリーが一瞬あれ?っと思った刹那、急激な快感にパチュリーは襲われた。マリサはパチュリーの上顎部分に舌を沿わせ始めたのである。
口蓋部分から体に突き抜けるくすぶったい快感に、パチュリーは声を上げることが我慢できなかった。
「ん、んんん!!んんんん!!ま、まり、んんんんん!!!!」
マリサに慈悲を求めた瞬間、マリサはパチュリーの意思を無視し、さらに激しいキスで責め立てた。
「ん、んん……んんん……」
蹂躙されるにつれ、動悸が快楽と重なっていく。真っ白になった頭では、押し寄せる快楽より他に知覚し得ず、思考し得なかった。それは至福の境地。雌の幸福は此処に極まる。
それ故急に胸を鷲づかみにし、乱暴に揉み解すマリサに対しても、強い痛みに倍する悦楽で彼女の体は応えたのだ。子宮はすっかり熱くなり、ショーツは愛液で濡れてしまっていた。マリサの乱暴な愛撫に、パチュリーは嬌声で歓迎した。
「あ、ああ!!マリサ!!まりさぁ……んん、好き、好きぃ……」
「ああ、パチュリー……私もパチュリーのことが大好きだぜ」
そういうとマリサは、服の中に手を入れ、直接パチュリーの胸を揉み始めた。パチュリーの乳首がすっかり勃起し、かたくなっているのがわかった。マリサはパチュリーの乳首を強くつまみ、乱暴に引っ張った。
「あぁ!!い、痛い、痛いよマリサ!!」
思わず声を上げ反発する。しかしマリサは、パチュリーが痛みの一方で快感を覚えていることを見破っていた。パチュリーには強い被虐性向がある……これはマリサの確信であった。
「でも、気持ち良いんだろ?」
そう言葉を投げかけてみると、パチュリーは何も答えなかった。マリサはやはりと思った。そして心底満足であった。マリサはパチュリーの性向について発見すると同時に、自分の知らざる性向についても発見しつつあった。
(私は、誰かをいたぶるのが好きだ……それも、痛みで屈服させるのではなく、快楽に溺れさせる形でいたぶるのが好きだ)
そういった自分の性癖を認識するにしたがい、ますますマリサはパチュリーと自分が一つになるべき存在であるということを確信していくのであった。
(どうやって、虐めようかな?)
マリサは考えながらパチュリーの胸を執拗に責め立てた。すっかり足がくだけたパチュリーは、なんとかマリサの腕をつかみ、倒れないようにするのが精一杯であった。
(そうだな……言葉責めをしてみようかな?)
そう考え付くと、マリサは意地の悪い笑みを浮かべてこう質問した。
「なぁ、パチュリー……パチュリーは、まだ初めてなんだよな?」
「はぁ、はぁ、うん……私、セックスなんてしたことないわ。女の人ともよ?」
「へぇ、そうなんだ。ふぅん?」
そう言って、マリサはさも疑っているように演技をする。
「ほ、本当よ?私、マリサ以外の人にこんなときめいたことなんてないもの!!」
潔白を懸命に主張するパチュリーに対して、マリサは疑いの色を面から消すことの無いように演技し続けた。
「でもさ、処女だって言うのに、何でこんなに感じてるんだ?さっきだって、あんなに強く乳首をいじったっていうのに、随分と気持ちよさそうだったじゃないか?」
「そ、それは、その……」
その反応があまりにも予想通りだったので、マリサは笑みを浮かべるのを抑え切れなかった。
(やっぱり、パチュリーはオナニーをしている。しかも、相当欲求不満がたまっていたみたいだぜ。
しかし、あれだけ告白に際して勇敢だったパチュリーが、自分の痴態に対してこうもシャイで俯き加減な様子を見せるとなると……ぞくっとするぜ。)
「それは、なんなんだ?」
「う、ううう……」
「まぁ、私が貞操を求められるような立場にいないことくらいは分かってるけどさ。なんか、隠されたりするのはちょっと……ショックだぜ」
わざとパチュリーが良心の呵責を感じるような態度をマリサがとると、パチュリーが必死になって弁明をしようとする。
「ち、ちがうのマリサ!!誤解よ!!本当に、私、誰ともエッチなことしたことないの!!」
「じゃぁ、なんでこんなに慣れてるんだ?」
「そ、それは……その……」
パチュリーが顔を真っ赤にして俯く。
(これは……たまらないなぁ……)
今にも押し倒してしまいたくなる気持ちを抑えるのにマリサは精一杯だった。
(……もう一押ししちゃうかな?)
「ふぅ……もういいよ……」
そういってマリサは、パチュリーの胸を掴んでいた両手を戻し、頭を掻き始めた。そしてパチュリーから目をそらし、さもがっかりしたように振舞うのだった。
「え……マリサ?」
「……まぁ、もっとパチュリーに信頼されるようにしないとな……」
そう言って、ダメ押しとばかりにため息をつく。
(どうだ?これで……)
そう思いパチュリーの顔を上目遣いでのぞいた瞬間、マリサはどきっとした。パチュリーの両目からは涙があふれ、パチュリーは小さな肩を大きく震わせていたのだった。
(やべ、やりすぎたか?)
そう思った刹那である。
「違うの!!私、私……私、毎日マリサで……マリサのことを思って……じ、自分を慰めてたから……ずっと……」
パチュリーは今にも恥ずかしさで死んでしまいそうなほどに顔を真っ赤にしてそう言い切った。
もはや我慢の限界である。
「パチュリー!!!!!!!!!」
マリサは思いっきりパチュリーを床に押し倒した。
「パチュリー……パチュリーが欲しい……私に、パチュリーの全てをくれ!!いや、私のものになってくれないと困る!!」
「マリサ……ええ、差し上げます。私の全てを、貴方のものにしてちょうだい……」
図書館の床に押し倒されたパチュリーは、目を瞑り、全てをマリサに任せきっていた。恐怖の色は確かにある。目にたまって溢れ出す涙、速い鼓動、微かな体の振るえ……しかしそれ以上の信頼と愛情がマリサに向けられていた。それがマリサには嬉しかった。
パチュリー以外の全てを失っても良い覚悟……自己の破滅さえ省みないマリサの熱情に対し、パチュリーは確かに自身を捧げて応えてくれている。それが、本当に尊い気持ちであるとマリサは気がついたから、何よりもマリサにはそれが嬉しかった。
パチュリーが愛しい。優しくしてあげたい。その一方でそんなパチュリーをむちゃくちゃにしてしまいたい。そういった矛盾した感情がマリサをいっそう興奮させた。
そして二人は、より甘い官能の世界へと進んで行くのであった……
それはともかく内容に関してです。
地の文が非常にわかりづらいです。
その理由として「それ」「そうであった」「そのような」「そうであるから」などを多用しすぎていて、描写が曖昧になっており、読者のイメージに委ねる部分が多くなってしまっているからということが挙げられます。
もしくは私の理解力不足。
それから、設定をあとがきで語るのは、逃げ以外のなにものでもありません。
それらの設定は作中で自然に説明しましょう。
あと、キャラクターの名前は、何か意図があるのでしょうか。狭量と思われるかもしれませんが、違和感バリバリでした。
色々と厳しいことを書きましたが、向上心がある人はきっと伸びます。
一度や二度の挫折で筆を折らないことを祈ってます。
なるほど、確かに「それ」などといった言葉を多用すると曖昧になりますね。こういうアドバイスを頂けると助かります。私はどうしても文法的に正解であればそれでよしとしてしまう癖がありますので、こういった過ちは指摘されるとなるほど、ありそうだと合点がいきます。名前の件もこういう癖の産物ですね。感覚的に違和感があることに対してあまりにも無頓着でした。よいアドバイスに感謝いたします。
設定をあとがきで書きましたが、別に書く必要はないと判断した上で、書いておいたほうがより良いだろうと思って書きました。ただし、自然な形でこの設定を組み込む方がよりよいであろうといことは自覚するところでした。ですが、この設定を物語に組み込んでいくとなるとさらにある程度の文章量が必要になります。もちろん、それが言い訳だということも理解しております。ですがその文章を付け足す時間的な余裕に乏しく、とりあえずある程度の文章量が出来ているので人の評価を得て参考にしたいという気持ちが強く、拙速に過ぎることを自覚した上で投稿したのも事実です。ここは判断の難しいところですが、やはり出来る限り完成させたものを投稿し、意見を求めるのが筋というものでしょうから、次回以降投稿する機会があればこの点に関して十分考慮いたします。
今後とも是非率直なご意見ご感想を賜りたく存じ上げます。
違和感があった点を少しばかり。
葉月様もおっしゃっていますが、キャラクターの名前が全部カタカナなのが凄い違和感がありました。
なんというか、読みづらいなぁという印象を受けました。
あと、言いまわしが少々しつこく感じました。
たとえばこの部分
>「……私にとって、貴方がそばにいてくれることが唯一の希望だし、私という存在にとって、貴方の存在が唯一の希望だという意味よ。貴方しか、私に希望を与え得ないという意味よ……」
もうちょっとストレートに、簡単に書いても良かったのではないかなぁと思います。
あと、もうちょっと行間があってもよかったかなぁとも思いました。
今度は、純粋な恋愛ものが見てみたいですわ。
少なからず具体的な性的描写のある作品はできるだけ自重して欲しいのですよ。
いくらタグをつけようとここは全年齢の場所であるのです。
以前、この場所で一部の作者様方が描写の限界を探るチキンレースのようなことを行い
それが問題になった事があり、またそれによって管理人様の手を煩わせた事もあるのです。
どれほどまでその描写が許されるのかは明確にされておりませんが、それは個人の解釈によるもの。
この程度の描写と考えずに、考慮してもらえるとありがたいです。
過去に数度このような問題があり、こんどこそ明確な基準のもとに管理人様が削除規制をしてしまったら
いまでこそ自由でありますがそのようなことになったら読者にとってもまた作者にとっても住みにくい場所になるかもしれません。
もしどうしてもといのであれば、そちら専用の場所がありますゆえに……。
1.出来る限り心理描写を丹念にし、登場人物の心境が伝わるようにした
2.自然と理性のどちらであるか、どちらをとるのかというマリサの悩み
3.パチュリーの世界観がマリサと出会う前後で変わることの描写(少女にとってただ一人本を読む時間は……あたりからです。個人的には良い描写だったと思うのですがどうでしょうか?)
を努力する前に、もっと別の所に注意してから努力するべきだった。
「自分の感覚≠他人の感覚」は言わずとも分かっていると思うので。
コメント有難うございます。
なるほど、確かにもっと簡素にしたほうが良いところですね。これは十分自分も賛同するところです。ですが、それでも思うのは、もっとこの部分を活かすためにパチュリーの感覚というものに関してもっと深く量も多く描写すべきだったということです。
ご理解いただけるか分かりませんが、失意の中にある人間は世界の色を感知できなくなるものなのです。それを打ち破られる時の感覚というのは、この色を再認識することが出来る、あるいは発見することが出来る感動なのです。一人でいることに満足し得、空虚を充足として捉えていたような世界観というのは、色彩感覚に乏しい世界だと思います。これが打ち破られると、不思議なことですが今まで満足していた世界というのは、変わらないはずなのに全くつまらないものに思えてしまいます。慣れていたはずのものが恐ろしく違和感に溢れたものになってしまうのです。今回、パチュリーに色を与えたものは恋です。その対象は魔理沙です。そうなってくると、この部分に関しては、実は他より長く表現を考えたのですが、そばにいてくれることより他に望まないし、色を与えてくれる存在をえることが唯一の望みだし、魔理沙以外に色を与え得ない=希望を与え得ないという言葉が最も適切だろうと思うのです。
これは、より簡潔な言葉が無いことを意味しません。ただ、現時点ではどうにもそれが思いつかなかった。ただ思いつかなかったのならばそれはしょうがない。そうであれば他で補うべきであって、それはより緻密な背景描写ということになるのだろうと思うわけです。
今回コメントを頂いて、まず出来る限り簡潔で分かりやすい表現を試みるべきだという教訓を得ました。しかしその表現はどうしたってひらめきと技量に頼るものですから、それを補うためにしっかりとキャラクターの心理描写だとかそう思うに至った過程、背景描写などをしっかりしなくてはいけないだろうということを学びました。特に自分のような経験が不足している者はしっかりと書き込んだほうが良さそうですね。
またよかったらコメントをよろしくお願いします。
魔理沙は、とりあえず据え膳くわにゃ損って感じになってますね。
ここでやるならどう攻めるか詳しく考えさせないで、葛藤を前面に押し出したほうがよかったかもです。
個人的にはキャラの性格があまりにも剥離しすぎてなんともなんともでした。
10年とそこそこしか生きてない人間に手玉に取られる100歳の魔女はなぁ・・・・・・。
浮気という行為に浮き足立つ魔理沙を、搦め手でどうにかして欲しかったです。
努力すべきところを間違えているという方がいらっしゃいますが、何も具体性がないコメントですので参考になりません。自分は自分の感覚が他人の感覚と一致すると思うほど迂闊ではありませんが、自分の感覚と他人の感覚が全く異なると思うほど傲慢でもありません。どこが一致してどこが異なるのか。現実では異なりそうな部分は曖昧にするのが常で、共有できそうな感覚だけ共有するものですからなおの事分からなくなります。この言葉が出るあたり、これに関係した部分での指摘なのでしょうがさりとてそうと断言するほどの材料も無く、自分の直感を信じるほどに迂闊でもなく?だけが残ります。よかったらもっと具体的に仰ってください。よろしくお願いします。
これは話をぶつ切りにした弊害ですが、この続きというのは覚悟を決めたはずなのに現実に立ち返ると失ったものが多すぎて後悔したから浮気はしてはいけませんよという話になるのです。ですから、そこまで考えると据え膳食わねばという魔理沙ですっきりするのですが、ここで切る以上は葛藤させるべきでした。あんだけ色々悩んで浮気の決心をしてころっと変わる。実際に浮気して相手が妊娠しちゃったとかになったら絶対男はハットするだろうというのは持論なんです。ただ、このぶつ切りにしたからというのは、これは完全な言い訳というか、調整しなかった自分が悪いのですが、どうしても技術的な面でのアドバイスを一度貰っておきたかったのです。初めて文章をまとめて書くと、このまんま続けても良いのかどうか不安になってしまいまして……どうかご理解ください。
キャラの性格に関しては、思わなくもないですが、まぁ、二次創作だし原作から数年経ってたらこうなるのも許されるのかなぁ?と思って書きました。実際のところ、キャラの性格に関しては、みなさんどう思っているのですかね。設定を重視するとマリアリとかありえなさそうだし、そもそもありえないカップリングなんていくらでもあるだろうし、結構自由だというのが自分の見解です。でもこういうことに関しては、深い議論をしている熱心な方からは反論があるだろうなぁ。
ちなみに搦め手といえるかどうかは分かりませんが、パチュリーは魔理沙の浮気心を利用して霊夢から寝取ってやろうという気が満々である程度計算していたりする強かな女だと思っています。何せ魔女なんだからそれっくらいやってくれないと困る。なんかこう、魔理沙が盛るような工夫をしていても良いくらいだと思いますね。百年目の初恋だったら、そりゃさぞ想いも強いでしょう。
コメントありがとうございます。性的描写は浮気を決断したことで既に理性ではなく本能を選択したという描写がなされており必要不可欠ではないものの本当に必要なのかと疑問に思っていました。しかしこの描写が一層理性から本能への変化、もっと言うと堕落を印象付けることは間違いなく、不要なものではなかったのだと再認識することが出来ました。これは私にとって非常に元気付けられるものです。もちろん、今後あまり激しい官能描写をここですることはありませんが。考えてみれば城山三郎の『毎日が日曜日』だって濡れ場があるんですからね。無くってもよいのだけれども、アクセントのためにそういうシーンが必要な話っていうのはあるわけで、そこは忘れないようにしたいと思います。
すわりが悪いというご指摘有難うございます。実はこれ、自分もそうじゃないかと思ったのですが、どうしたらよい感じになるのか分からず、結局文法的に間違ってないから良いだろうということでそのままにしてしまいました。どうも年をとってから芸術に惹かれてきたものの若いうちはかたい事ばかり考えてかたい本ばかり読んで……というタイプにはこういうセンスがないようですね。文法的に大丈夫なら万事大丈夫と思ってしまうのです。しかしこれも良い機会ですので、直していこうと思います。もしよければ、座りの悪い文章を直すコツを教えてください。
中途半端、確かにそうかもしれません。もっと文章を推敲し、全体の流れを見直すべきでした。注意したいと思います。
双務的な関係。歎異抄に書かれている親鸞の言葉を思い出しますね。念仏の行者は皆同胞であり師弟の縁を持つべきではない。これは師弟の縁があれば浅ましい争いになるからという理由ですが、ここで思い起こすのは、教えるものに師の意識はなく、教わるものに弟子の喜びは深いが故に自然の教団は広大無辺であるというその後にある一文です。私は常々思うのですが、教えるものが驕らず、学ぶものが謙虚でありながら真摯であることが理想だと思います。即ち、助言に対して謙虚にそれを受けるものの、なんでもかんでも謙ることなく異論は異論として正直に告げる、納得できないものは納得できないとして退ける姿勢こそが学ぼうとする者の理想的姿だろうと思うのです。投稿者と閲覧者とは対等でありますから、閲覧者の助言に対しては謙虚でありながら真摯であろうと思います。
続きに関しては、もっと遡って作るべきか、あるいはこの先を作るべきか少し迷うところですが、仕事の合間を縫って書いていきたいと思います。
規約に無いから、作品に必要だからって何でも書いていい訳じゃないよね。
管理人の蚊さんがキス唾すら遠慮してくれとブログで書いているのに。
賛同するのはいいがここと某所の使い分けくらい教えるべきじゃね?
文章が判りにくくて伝わってきません。
貴方は非常に知識がおありの方とお見受けします。もっと噛み砕いた、簡潔でわかり易い文章でも書けるはずです。そのような文章であれば評価も高まると思います。
> 2.自然と理性のどちらであるか、どちらをとるのかというマリサの悩み
こちらはそのまんまを書きすぎて情緒が出てないように思います。恋愛の雰囲気がなくて物語に浸れません。
登場人物のちょっとした仕草、反応、表情、セリフをじっくりと書き込んで、もっと雰囲気を出してください。
> 3.パチュリーの世界観がマリサと出会う前後で変わることの描写
なぜ魔理沙でなくてマリサなのでしょう?
> 個人的には良い描写だったと思うのですがどうでしょうか?
皆さんと同じで、あまりそう感じませんでした。このようなパチュリーの描き方は他の作品でもよく見られますし、他の作品ではもっと素晴らしい描写になっていますから。
あと、付け加えるなら起承転結が完成していません。パチュリーの告白部分は「転」であり、「結」が描かれていないのです。物語としてきちんと完成させてから投稿すべきだったと思います。
それとこちらのサイトは全年齢サイトですので、行き過ぎた性的表現はよろしくないと思います。アダルト色の強い物語でしたら、こちらに投稿されると良いと思います。
http://yotogi.com/
こちらでしたらアダルトな物語でも拒否反応がありませんので、よりよい評価をもらえると思いますよ。
以上、ご参考までに。
コメント有難うございます。
まず、文章をより簡素で平易なものにすべきというご指摘有難うございます。自分では自然な言葉が読み手にとって不自然であることは良くあることで、配慮が足りていませんでした。しかし理性と本能の葛藤、これをもっと簡単に表現するというのはどうにも難しそうです。それならば、もっと文章量を増やし、情報を心理描写ではなく何らかの会話から読み取れる形で発信することで解決できるかもしれない……と、今思いついたところです。物語自体が起承転結の結がないとご指摘頂いているように不完全で量も不足しているようですから、もっとボリュームを増やし、読みやすい様な工夫をしていこうと思います。
自然と理性のどちらであるか……という点に関して、情緒が出ていないようだというご指摘には納得するところがあります。これは私自身、情報の発信に終始しすぎていてムードが出ていないと自覚していたところだからです。ですがこれは、恋愛の雰囲気を出すほどに技量がない初心者ならば無理はせず、先ずは情報を発信し相手に伝えるという最低限を達成するように努力すべきだと考えた故に恋愛の雰囲気がなくなってしまったという事情がありますので、読み手としては不満が多大にあるかとは存じ上げますが何卒ご理解ください。もちろん、こういった部分での技量不足は理解しておりますし、それが必要なものであることも存じておりますから、少しずつ雰囲気を出すということも出来るようになっていこうと思っています。
魔理沙ではなくマリサとしたのはそのほうが楽だったからです。こういった名前の表記に対する違和感は自分にはなかったのですが、どうやら皆さん強い違和感を覚えられるようですので、今度からは漢字で表記しようと思います。
他のサイトをご紹介いただき有難うございます。そちらのサイトも見てみることにします。
詳細なご指摘参考になりました。有難うございます。
そして、「アクセント」というのもあやしいものです。よくある「ハシ」のたとえを考えれば分かることですが、高低の差違をはっきりさせなければ意味は伝わりません。お隣の中国語(普通話)などはそれが顕著でしょう。話の要点を整理し、構成を練って、強拍と弱拍をはっきりさせましょう。
また、わたくしが意味したかった「中途半端」ということは「推敲」とは別次元です。むしろずっと根本的な「改稿」を求めたかったのです。「推敲」「校正」「改稿」は3つとも全く異なる言葉です。よく注意してください。
台詞や心情描写意外の地の文は始めに一文字分スペース開けた方が見やすくなるんじゃないでしょうか。
あと、すでに他の方が書いていますが、人名が漢字でなくカタカナであるのもちょっと気になりました。
1行で済む内容を10行以上に引き伸ばして書いてるように見えます。
作者さんの場合、これ以上文章を増やすよりも、
少ない文章量で表現したいものを伝えられるように練習した方がいいですよ。
あと原作やキャラへの愛が全く感じられないです。
カタカナ表記にしても「そのほうが楽だったからです」って、
名前を辞書登録することすら面倒なら東方の二次創作なんかやらなきゃいいんでは。
ご指摘有難うございます。三点とも考えさせられる内容です。先の二点は技術的な問題でもあるので長期的に改善して行くべき課題だと思います。ですが「推敲」「校正」「改稿」に関してはすぐにでも出来ることですから、先ずはこれを心がけて話を作って行きたいと思います。
>山の賢者さん
地の分はご指摘に従い、一文字分スペースをあけるように致します。ご指摘有難うございます。
>No.29 名前が無い程度の能力さん
今後は一シーンを出来る限り短く簡潔にし、その分シーン数を多くすることで物語を簡潔で情報量の多いものにしていこうと思います。ご指摘有難うございます。