天界に住む麗しき天人・比那名居天子は永江衣玖の顔面で盛大に屁をこいた。
「臭っさぁッッ!!」
ありったけの嫌悪を込めて衣玖がそう叫ぶ。
二人の共有していた幸せな時間が、その悲鳴にかき消されていく。
その数秒前まで彼女達はとても仲睦まじくあったというのに……。
……悲劇の一分前。
彼女たちはまだ幸せの中にいた。
天は高く空は青く、天界の住人たちはみんな平和で豊かで、天界に居座った萃香もどこかでのんびり酒を飲んでいる。
天子と衣玖も天上世界の例外ではなく、衣玖は自宅のベッドに寝そべってゆったりと本を読み、そこへ遊びに訪れた天子もまた衣玖の隣に寝ころび適当にくつろぐ。
とても穏やかな一日だった。
「ねぇ衣玖ぅー」
「はーい?」
衣玖は仰向けで本を読みながら、ジャレてくる飼い猫をあしらうように気のない返事を繰り返し、天子は天子で、うつ伏せで足をパタパタさせながら、空気が抜けていきそうな声色で言葉をふわふわ漂わせている。
「足の指にさぁーマニキュア塗らせてよー」
「えぇ?嫌ですよ。何で足の指なんかに」
「練習させてよー。せっかくお母様のを持ってきたのに」
「また勝手に持ち出して……。怒られますよ。とにかく嫌です」
「けちー」
光のどけき天の午後、とりたてて意味のない平凡な会話。
幸せであることの遠回りな証明である。
「自分の指にやってください」
「えー。失敗したら嫌だし……」
「……」
文字を追っていた衣玖の目がピタリと止まり、不満そうな目を隣に向ける。
そして、言葉で文句を伝えるかわりに、足をちょいと横に広げて軽く天子を小突いた。
「あ。痛たーい。蹴ったぁ」
「人を練習台に使ってはいけません」
ちなみに竜宮の使いふぜいが天人を蹴ったりなどすれば、不敬罪とまではいかなくても、普通は天人ソサエティの中で村八分にされてしまう。
しかし不良天人にそんな事は関係ないのか、それとも衣玖という相手が特別なのか、天子はただムゥーっと頬を膨らませただけだった。
「そ~いう事をするならねぇ……無理やりにやっちゃる!」
「わっ、総領娘様っ!?」
四つん這いになった天子が衣玖に飛びかかった。
ジャレているだけとは言っても興奮した猫のそれはかなり強力である。
天子は衣玖の腹をまたいで上四方固めの姿勢になろうとした。
上四方固めがよく分からなければローマ数字の<6>と<9>をジャック・バウアー風に発音すればよい(ただし人前では口にしてはいけない)。
……これが悲劇の5秒前である。
「ちょっと!止めてください!」
衣玖の胸の上で天子の尻が暴れている。
「ぐへへへー」
下卑た声を出す天子は衣玖の体をがっちりと抑えこみたいのだが、衣玖が足をばたつかせて抵抗するので未だに体の重心を落ち着かせられないでいた。
その時である。
バタバタと動かしていた衣玖の足が、意図せずして膝蹴りになってしまった。
天子の顎をそれが真下から突き上げた。
ガこッ。
天子の顔が跳ね上がる。
「おぶぅっ」
淑女とはおよそ程遠いうめき声。
仰け反る天子。
衣玖の視界いっぱいに迫る一面の尻。
顎を跳ね上げた一撃は脳みそをも揺らし、天子の膝が折れる。
支えを失った天子の尻は重力にしたがって落下していく。
「うぷ」
衣玖の顔面が天子の尻に覆われた。
そして、悲劇の一秒前……。
人間の顔は平らではなく円柱である。
そのため天子はデリケートな所に普段感じたことのない刺激を受けた。
天子は反射的に下腹部に力を入れてしまった。
そして……。
……ブぴっ
小さな爆音は、ド○ルドダックとピ○チュウが一音ずつスタッカートで発声したような音だったと言う。
「あっ……」
切なげな呟きと共に天子の体が固る。
たとえ意識が痛みと振動にくらまされていたとしても天子は己の過ちに気づいていたようだ。
おてんば娘の奔放な心にも、乙女の恥じらいが小さな切り傷を作ったのだろう。
その直後である。
衣玖の放った本能的な悲鳴が、アルマゲドンの隕石爆破よろしく天子の心の裂け目に核爆弾となってぶち込まれたのだ。
「臭っさぁッッ!!」
ドンッ
天子の心と尻の裂け目に物理的精神的両側面から強い衝撃が加えられた。
衣玖が自分の顔面を覆う天子の尻を反射的に突き飛ばしたのである。
それは悪臭から逃れんとする人間の自然な防衛反応であって責められるべきものではないだろう。
なにしろ大気中に拡散された後でさえあんなに臭い<屁>というものを、衣玖はガス噴射口--品性を欠くので比喩表現を使わせていただく--から直接感覚器官に吹きつけられたのである。
しかしいったい、その言葉と行いが天子の意外な純情をどれほど傷つけただろうか。
「きゃあっ」
突き飛ばされた天子の悲鳴が衣玖にその事を気づかせた。
ボスっ、と天子がベッドに倒れこむ。
衣玖は体を起こし、頭を覆う黄色いモヤに顔をしかめた。
だがそれどころではない。
「そ、総領娘様大丈夫ですか?その……すみません。つい……」
衣玖の声には明らかな後悔が含まれていた。
しかし天子は何も答えず、ベッドに倒れたまま身動きさえしなかった。
「あの……総領娘様?」
心配になり始めていた時、天子がモゾモゾと衣玖に背を向けて起き上がり始める。
背を向けたまま天子はペタンとお姫様座りになった。
そしてゆっくりと後ろに両手を回して尻を--正確には尾骨のあたりを--押さえた。
なんとも天子らしくない姿である。
大の字になってだらしなく寝転がっているのがいつもの天子なのだ。
お姫様座りをして顔を俯かせているその後ろ姿はまるで別人のようである。
衣玖はなんだかむしょうに申し訳なくなってしまった。
「す、すみませんでした……」
衣玖が何もかも悪いわけではけっしてないのだが。
「……」
天子は俯いたまま何も答えない。
衣玖は天子の背中にそっと手を置いた。
その時に初めて気づいた。
衣玖の体が小さく震えている。
怒りによるものか、痛みによるものか、それは分からないが……。
「そ、総領娘様」
「……衣玖の馬鹿」
何かを噛み締めているような小さな天子の呻き声。
「え?」
次の瞬間、天子は衣玖の手を払いのけ大きく振り返った。
「衣玖の馬鹿!そんなに臭かったぁ!?」
そう怒鳴り声を上げる天子の顔を見て、衣玖は息を飲んだ。
いつものおてんばで生意気な顔つきは完全に消し飛んでいた。
眉は富士山を描き、目尻には涙がたまり、唇は見事なへの字に歪み、その顔は赤く熟れたりんごのように……いや煮えたぎるマグマのように湯気を吹きながら真っ赤に燃え上がっている。
「わ、私、オナラをしちゃうなんて……。で、でもわざとじゃないもんっ!あんなこと叫ばなくったっていいじゃない……!」
顔を歪めてそう叫ぶ天子の目から一筋涙がこぼれ落ちる。
予期しなかった反応に衣玖はすっかりあわててしまった。
どうやらマグマを煮え立たせている熱源は、恥辱の感情であるらしいのだ。
「も、もちろんわかっています。わざとじゃないですよね。わかっていますよっ」
衣玖は払いのけられた手をもう一度差し伸べて、天子を落ち着かせようとした。
だがその手は再び天子に拒絶されてしまった。
「馬鹿馬鹿っ!衣玖の馬鹿ぁ!!」
天子は泣きながらそう言い捨ててベットから飛び降り、そのまま逃げ出すように玄関へ向かう。
「そ、総領娘様!?」
衣玖は急いでその後を追いかけるが、その手が届く前に天子は玄関から外に飛び出した。
衣玖が外に出た時には、天子はもう空に飛び立っていて、涙の航跡を残しながら猛スピードへどこかへ飛び去ってしまった。
「ああ。困りましたね……」
運動能力に関しては衣玖よりも天子のほうが随分と優れているのだ
天子が本気で逃げたのなら、衣玖にはどうしたって追いつくことできない。
比那名居宅を訪れればいずれは会うことができるのだろうが……
「今日はやめておきましょうか……」
明らかに、天子は恥ずかしさのあまり逃げ出したのだ。
天子にそういう面があった事は驚きだが、とにかく今日はそっとしておいたほうがいいだろう。
衣玖はそう判断して、ため息をつきながら玄関を開けて家に戻った。
一人になった静けさが衣玖の耳をついた。
翌日。
お昼を食べてすぐ後の事。
衣玖は雲の中を漂いながら昨日の事を思い出して何度もくすくすと笑った。
思い返せば思い返すほど、天子の意外な女の子らしさが可愛らしくてならなかったのだ。
臭いと自分が絶叫した後の、恥ずかしさのあまりに涙を貯めていた天子のあの顔は、特にたまらなかった。
「うふふふふ……総領娘様のあんなお顔を見たのはいついらいでしょうか」
夢想しすぎて、ヨダレが垂れている事にも気づかなかった。
「おっと。あぶないあぶない」
衣玖はヨダレを拭きとってから、しぽんっ、と音をたてて雲上へ飛び出した。
目の前に広がるのは空の中に浮かぶ天上界である。
衣玖は、天子を探していた。
半分は天子の自業自得とは言え、膝蹴りをしたあげく臭いといって突き飛ばしたのは衣玖なのである。
両方に非があった。
喧嘩をしているわけではないけれど、昨日のような別れ方をしたのでは相手の事が気になってしまうのも事実で、お互いにちゃんと話しあってスッキリとさせたい。
それなりに広い天上界ではあるが、天子のいそうな場所は大体の目星が付いている。
「見つけた」
天界の外れにある桃の木の平原で、天子は大の字になって寝転がっていた。
遠目から見ると普段どおりの天子に見えるのだが……。
羽衣をたなびかせながら衣玖はふよふよと天子に近づいていく。
後十メートルほどという所で天子がひょいと顔を上げて、衣玖の方を向いた。
隠れる理由もないのだから、衣玖はニコリと笑って挨拶をする。
しかし、どうやら天子の方は違ったようだ。
衣玖の顔をみるなり顔を赤くして逃げ出してしまったのだ。
「あ、ちょっと……!ううむ。まだ気にしていましたか……」
やれやれとため息を付いている間にも、天子は青空の中にどんどん小さくなっていく。
だが衣玖は遠ざかって良く後ろ姿を見ながら、ニヤリと笑った。
「うん。追いかけましょう」
衣玖のいたずら心である。
恥ずかしそうに赤くなる天子の顔をもっと見たいのだ。
もし衣玖が射命丸文と知己であれば、きっと写真撮影を依頼していただろう。
天子が飛んでいった方向へ、衣玖もふわふわと風に乗って飛んだ。
とは言え飛行速度が絶対的に違うのである。
衣玖は早々に天子を見失っていた。
比那名居邸に行ってみようかなと思いながら羽衣をいじっているところで、衣玖は萃香の姿を発見した。
草っ原に寝転んで肩肘を突きながら瓢箪を煽っている。
衣玖はその直ぐ側に降り立った。
「どうも」
「おや。あんたは……」
衣玖です、と羽衣をひらひらさせながら会釈をする。
「お聞きしたい事があるのですが」
「あん?」
「総領娘様を見かけませんでしたか?」
「ああ。見たよ。地上の方へ飛んでいったようだが」
「地上ですか……」
少し面倒だな、という思いが衣玖に顔をしかめさせた。
地上には面倒な奴らが大勢いるため、気楽にあちこち探しまわるというわけにはいかないからだ。
けれど逆に考えれば天子の行き先もある程度絞られるのかもしれない。
「ほおずきみたいに赤い顔をしていたけど、何かあったのか」
「はぁ。まぁ少し」
「また悪さをしているんじゃなかろうね」
萃香は好戦的な笑みを見せた。
シバキ合いならいつでも参加するよ、という顔である。
「いえいえ。とんでもない」
衣玖が努めて冷静にそう言うと、萃香はつまらなさそうに肩をすくめてまた酒を煽った。
「では。ありがとうございました。これで失礼いたします」
そう言って地上に向かおうとした時である。
「はいはい。さいなら。……おや?」
「?」
「……キタっ。キタキタっ。これきたよ!きたぁっ!」
「な、なんです?」
いきなりフルテンションになった萃香は迫るような暑苦しい笑みを浮かべ、確変突入したパチ屋の客のごとく拳を振り上げた。
「ちょっと離れてな!」
手振りと共にそう言って、萃香は寝転んだままくの字になって衣玖とは反対の方向に尻を突き出した。
もしや、と衣玖が嫌な予感を覚えた次の瞬間。
バブゥゥうゥゥうゥゥッッ!!
「ひぃぃぃぃっ!!」
イクラちゃんにジェットエンジンを搭載したかのような屁にあるまじき轟音である。
恐怖感を覚えてしまうほどの音量に、衣玖は耳をふさいで身を屈めた。
「がはははは。良い一発だったろう」
噴射が止まって、萃香はぺしぺしと尻を叩きながら全く悪びれるずに笑った。
衣玖が恐る恐る顔をあげると、萃香の尻の向こう側で、爆風になぎ倒された若草達が悲しげに身を横たえていた。
「はっ……!」
衣玖は冷や汗をかきながら風向きを探った。
幸い衣玖は風上に位置していた。
だがそよ風程度の強さであるし、いつ風向きが変わるかも分からない。
衣玖はそそくさとその場を離れた。
「で、では、失礼します」
「あいよー。がはは。がははは」
萃香は自分の屁の威力に気を良くしたようで、その笑い声はいつまでも衣玖の背中を追いかけてきた。
「……」
天子の純情は絶対に守らねばならぬ。
衣玖の心に強い決心が生まれていた。
天子があんなふうになってしまったら、衣玖は泣いてしまう自信があった。
そろそろ博麗神社の屋根瓦が一枚一枚識別できるくらいの距離にまで近づいている。
天子が向かいそうな地上の場所で、まず浮かんだのがここだった。
と言うよりここ以外には心当たりがない。
居てくれますように、と願いつつ衣玖はフワリと境内に降り立った。
天界にくらべていくらか緑に湿った風が衣玖の鼻先を撫でる。
博麗神社は相変わらず人気のない神社であった。
妖気ならば時々はあるのだが、今はそれすらない。
風に揺れる木々が時折ざぁと音をたてる他には何もなく、神社特有の静けさに衣玖は包まれていた。
「霊夢は裏でしょうか」
表の境内にいない時は、たいてい裏の縁側で茶を飲んでいる。
衣玖は足音を立てぬよう静かに歩いた。
もし霊夢と一緒に天子もいた場合、いきなり自分が現れるとまた天子が逃げ出してしまうかもしれない、と思ったのだ。
ならどう登場すればいいのかは、分からないのだが……。
本殿裏手の角から衣玖はこっそりと顔だけ覗かせ、縁側の様子を伺った。
「……いますね」
霊夢と天子が縁側に並んで腰掛けていた。
天子は霊夢に何か話しかけている。
「ねぇ。どうしたらいいと思う?」
「どうもこうもねぇ……」
霊夢はいつもどおり、ひょうひょうとした体で茶をすすっている。
「屁の一発や二発、気にすることないでしょ。出るもんはしかたない」
「で、でもぉー……」
昨日の事を話したのか……。
衣玖はほんのすこしパルパルしい気持ちで二人の会話を聞いていた。
以前から、天子は霊夢の事をそれなりに気に入っているようだった。
天子に相談相手ができたことは嬉しいのだが、この子が頼れるのは私だけ!という母性本能の充足が阻害されるのもまた事実である。
ギリリと羽衣を噛みながら、衣玖は監視を続ける。
「あんたがそんな事を気にするとは思わなかったわ。あ、でもそう言えば……」
「何?」
「らしくない、と言えば、魔理沙もそうだったわねぇ」
「あいつが?どうしたの?」
「魔理沙と二人でお茶を飲んでいたときなんだけど。あいついきなり空に向けてマスタースパークを射ったのよ。物凄い風が吹いておせんべいが吹っ飛んじゃったわ。だから私が、何してんの!って怒ったら……」
「怒ったら?」
「オナラをしたくなったんだけど、音や臭いが恥ずかしいから誤魔化したんだってさ」
「……なにそれ」
「それならどこか離れた所にいってしてくればいいのに。馬鹿よねぇ。あはは」
「……あはは」
それまでため息顔だった天子が、霊夢につられて笑った。
そして衣玖は其の笑顔をみて、微笑むのである。
今なら出ていっても大丈夫かもしれない。
衣玖はそう考えて、静かに二人の方へと歩き始めた。
「あっ……」
すぐ天子が衣玖に気付いた。
顔を赤くしてうつむいてしまったが、けれど逃げ出しはしせず、衣玖はホッとした。
「あらあら。災難だったらしいわね」
霊夢が余計なことを言った。
その言葉を聞いた天子が太ももに置いていた手をぎゅっと握り締め、その仕草にいくらか加虐心を刺激された衣玖ではあるが、なんとか理性でそれを押し留めた。
「こんにちわ。霊夢さん」
とだけ答える。
「総領娘様。お隣。いいですか?」
そう言って、天子の答えを待たず隣に腰を下ろす。
「……い、衣玖」
天子はなんともいえない切なげな顔でチラチラとその赤い頬を衣玖に見せた。
あああんっ、衣玖は天子の頬にむしゃぶりつきたい衝動に襲われつつも、霊夢の目もあるしそもそも今はそういう時ではないと必死に耐える。
「……総領娘様。もう気にしないでください」
衣玖が優しく呼びかけても、天子は何も答えない。
だが衣玖には秘策があった。
古来、人間教育における第一の原則は「まずは己が実行してみせる」事にある。
衣玖はそれを実践してみせるつもりでいた。
霊夢が同席している事には少し抵抗があるが、結果的に見れば霊夢のような第三者がいるほうが良いかもしれない。
衣玖は、覚悟を決めた。
そして……。
ぷフォッ……
衣玖の尻が、優しい風を生んだ……。
丸みを帯びたとてもまろやかな音であったという。
「衣玖」
天子は驚きのあまり目をぱちくりとさせていた。
霊夢はそのまた隣で、鼻を抑えながら茶をすすっている。
「総領娘様」
衣玖は、屁の香りをまといながら聖母の様な笑みを浮かべた。
「たしかに、恥ずべきことです」
優しく天子の肩を撫でる。
「ですが。責められる事でも、責める事でもないのですよ。誰しもにありうる事なのですから……」
そう言って優しく天子の肩を抱いた。
衣玖の外側と内側両方の香りに包まれながら、知らず知らずのうちに天子は涙していた。
「い、衣玖ぅ……私どうしても恥ずかしくて……ごめん……ごめんね」
「私こそ、ひどい事をいってしまって……許してください」
「衣玖ぅぅぅっ」
砕けてしまった天子の心は衣玖の優しさによって修復され、二人は再び幸せな時間を取り戻したのだ。
特に関心もなさそうにそんな二人を眺めながら、霊夢は茶をすする。
「……?」
だがふと、違和感を感じたのか己の下腹部に手をあてた。
しばし黙考した後、霊夢は自分の右側にいる二人にチラリと目を向ける。
天子と衣玖はまだ二人の世界の中にいて霊夢のことなど眼中になさそうだ。
「……」
なるべく体を動かさないようにしながら、霊夢はこっそりとお尻の左側を、くいっ、と浮かせた。
あと一言だけ……「てんこちゃんがヘなんかこくわけねぇだろこのダラズ!」
かなりの荒技を駆使なさいますね、作者様は。
そして私も一言。
「桃が主食の天子、お茶が主食の霊夢のオナラが臭い訳ないんじゃっ!
萃香は……、フォロー不可能なんじゃっ!!」
俺も一言
「てんこちゃんがそんなえぐい音だすわけねぇだろ!」
酒呑みの屁なんて想像しただけでもwwwww
少しずつ二人の親密さが増しているようで、また天子が霊夢には心を許してるようで安心しました
あと私も一言
「てんこちゃんのおならは青酸ガスのにおいだよ!」
すいかちゃんになんぞ恨みでもあるんか!
爆笑しました。
やべ、深夜なのに笑いが止まらんwww
大家さんに怒られるwwww
萃香が豪気すぎるw
この表現素晴らしいです。というか全体的にさりげない描写が光る