「たあっ!!」
妖夢が訓練用に作ったまき藁に向かって木刀を振るうと、左からの一閃で宙に舞ったそれを本命の右がバラバラに砕いた。
「相変わらず良い腕ね。貴方のおかげで白玉楼の長い隠居生活にも張りが出て来るわ。
二本の刀から繰り出される技は無限大、どんな兵も軌道を読めないでしょうねぇ……
まあそうでなきゃ、五月蝿い私のお腹の虫の相手が勤まらないか。
多彩な料理もその剣技があってこそかしら?ほんと私には勿体無い従者だわ。」
幽々子に褒められて、恥ずかしそうにそんな事ありませんよと漏らすが、満更でも無さそうにヒュンヒュンと木刀を振り下ろす。
「ふふふ。でも確かに、まだまだねぇ?」
「えっ?」
「妖忌と比べると如何しても……技の出が遅い感じがするわ。まあ、力が劣るのだからしょうがないけど……
まだ刀に振り回される女の子って感じがしちゃうかな?」
「そ、そうですか……」
うって変わってションボリする。分かりやすい子ねぇ。
そしてクスクス笑を扇子で隠したその口で、何時ものように思いつきで言葉をつむぐと大抵の場合妖夢が災難を被るのだ。
「そうだ!妖夢、貴方には武者修行をして貰いましょうか?」
「は、はあ……」
悪い予感がする。
「武者修行……何をすれば良いんでしょうか?まさか辻斬りでもしろと?」
ありそうで怖い。
「妖夢~、そんな目で見ないで~。私は鬼かしら?違うわよ。でも動く物を相手にするのは確かね。
貴方には熊狩りをして貰うわ。」
「なるほど。」
白玉楼付近に大型の熊が出没すると言うのは最近風の噂で耳にするし、被害が出ているのも確かだ。
先日山に山菜取りに来ていた人間の女が襲われて、今も半身がが見つかっていないと聞くし……
私の剣の試し切り相手には丁度良いかも知れない。
流石幽々子様だ。
「分かりました。では早速行って来ます。」
「いいわね~、有言実行。即行動。誰にでも出切る事じゃないわ。」
「いえいえ、最近侵入者もいないせいでしょう、腕がなまってるんですよ……幽々子様のためなら火の中水の中です。」
「くすくす。頼もしいわよ、妖夢。」
そうと決まれば早速身支度だ。自慢の愛刀二本を背にくるりと鏡の前でターンするとなかなか決まってるじゃない。
パンパンと頬を叩いて、少女はいざ熊狩りに出向くのだった。
・
・
・
「どうしよう……餌でも撒けば良いのかなぁ?」
山についたのは良いが熊と出会えなければお話が始まらない。
幽々子様は最低でも十匹仕留めて来なさいとか言っていたし、何時もながら無茶振りなんだよ……
散々山を歩き回って、ようやく見つけた手がかりは幹を深々と切り裂く爪痕だった。
それを見ても恐怖ではなく武者震いをした自分は、勇敢なのか、はたまた未熟者の思い上がりか。
彼方此方に散在する思考と、それでも周囲への警戒を怠らない彼女は、一皮向けて大化けする一歩手前なのかもしれない。
だから妖夢は遥か後方で草が揺れる微かな音も聞き逃さずに、一直線に走り出し、
左手を後ろに回して踏み込みざま、草薮もろとも薙ぎ払った。
「どうやら当たりだったみたいね。」
バタリと落ちるその首は妖夢の体重程はありそうで、長い年月を生きて妖怪化したせいで凄まじい妖力を纏っていた。
妖夢の一閃で声もなく倒れた熊だったが、どうやら集団生活をしていた様で、同じ様な体躯の妖怪達がぞろぞろと集まって来る。
やれやれ、一匹しとめて一息つくと言うわけにはいかない様だ。
咆哮を上げて一直線に走ってくる妖怪達をすれ違いざまに一撃で切り伏せていく様は何とも勇猛で、
左右からの同時攻撃には両手の剣をタイミング良く振り上げる事で息の根を止める。
ただ、その直後に飛び上がっていなければ巨体の下敷きになっていただろうが……
「6…7…8…!!」
八匹目を切り伏せると同時にその勢いで後ろに回り込み、九体目の首も血しぶきと共に宙を舞った。
「ふう……!」
さてと、漸く残り一体ですか。
どうもリーダーらしく、身の丈は六メートルはある。
「グルルル……」
「まるで小山……立派な牙ですね。でも私の剣のスピードについて来れなければただのお飾り、ねえ大将さん?」
また一直線に走ってくる……なんとも芸の無いことね。
今度は相手の速度に合わせて後ろに跳び、大きく広げられた口に両足でまたいで飛び乗った。
「しっ!!」
右の長刀に霊力を込め、肩越しに思いっきり振り下ろすと、
真っ二つに割れた体が勢いそのまま、妖夢の左右を通り抜けて地に伏した。
・
・
・
「お疲れ様、今晩は熊料理かしら?私は鍋が良いな~。お野菜もたくさん食べられそうだし♪」
ねぎらいの言葉もなくそんな事を言う主。
一寸ムッとするが幽々子様の笑顔を見られると思うと、如何しても料理を他の物に任す気にはならない。
「期待しててください。何しろ食材は、それこそ幽々子様が食べられない程ありますから。」
「何時だってあなたには期待してるわよ、だから早く~。」
「やれやれ、お茶でも飲んで待ってて下さい。熊の料理は初めてで、手間取るかもしれませんが……
何時ものように期待に応えて差し上げます。」
エプロン姿も可愛いなあと、台所を見てニヤニヤ笑う幽々子の視線を受けると、一寸照れちゃう妖夢は今日も元気だったとさ。
妖夢が訓練用に作ったまき藁に向かって木刀を振るうと、左からの一閃で宙に舞ったそれを本命の右がバラバラに砕いた。
「相変わらず良い腕ね。貴方のおかげで白玉楼の長い隠居生活にも張りが出て来るわ。
二本の刀から繰り出される技は無限大、どんな兵も軌道を読めないでしょうねぇ……
まあそうでなきゃ、五月蝿い私のお腹の虫の相手が勤まらないか。
多彩な料理もその剣技があってこそかしら?ほんと私には勿体無い従者だわ。」
幽々子に褒められて、恥ずかしそうにそんな事ありませんよと漏らすが、満更でも無さそうにヒュンヒュンと木刀を振り下ろす。
「ふふふ。でも確かに、まだまだねぇ?」
「えっ?」
「妖忌と比べると如何しても……技の出が遅い感じがするわ。まあ、力が劣るのだからしょうがないけど……
まだ刀に振り回される女の子って感じがしちゃうかな?」
「そ、そうですか……」
うって変わってションボリする。分かりやすい子ねぇ。
そしてクスクス笑を扇子で隠したその口で、何時ものように思いつきで言葉をつむぐと大抵の場合妖夢が災難を被るのだ。
「そうだ!妖夢、貴方には武者修行をして貰いましょうか?」
「は、はあ……」
悪い予感がする。
「武者修行……何をすれば良いんでしょうか?まさか辻斬りでもしろと?」
ありそうで怖い。
「妖夢~、そんな目で見ないで~。私は鬼かしら?違うわよ。でも動く物を相手にするのは確かね。
貴方には熊狩りをして貰うわ。」
「なるほど。」
白玉楼付近に大型の熊が出没すると言うのは最近風の噂で耳にするし、被害が出ているのも確かだ。
先日山に山菜取りに来ていた人間の女が襲われて、今も半身がが見つかっていないと聞くし……
私の剣の試し切り相手には丁度良いかも知れない。
流石幽々子様だ。
「分かりました。では早速行って来ます。」
「いいわね~、有言実行。即行動。誰にでも出切る事じゃないわ。」
「いえいえ、最近侵入者もいないせいでしょう、腕がなまってるんですよ……幽々子様のためなら火の中水の中です。」
「くすくす。頼もしいわよ、妖夢。」
そうと決まれば早速身支度だ。自慢の愛刀二本を背にくるりと鏡の前でターンするとなかなか決まってるじゃない。
パンパンと頬を叩いて、少女はいざ熊狩りに出向くのだった。
・
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「どうしよう……餌でも撒けば良いのかなぁ?」
山についたのは良いが熊と出会えなければお話が始まらない。
幽々子様は最低でも十匹仕留めて来なさいとか言っていたし、何時もながら無茶振りなんだよ……
散々山を歩き回って、ようやく見つけた手がかりは幹を深々と切り裂く爪痕だった。
それを見ても恐怖ではなく武者震いをした自分は、勇敢なのか、はたまた未熟者の思い上がりか。
彼方此方に散在する思考と、それでも周囲への警戒を怠らない彼女は、一皮向けて大化けする一歩手前なのかもしれない。
だから妖夢は遥か後方で草が揺れる微かな音も聞き逃さずに、一直線に走り出し、
左手を後ろに回して踏み込みざま、草薮もろとも薙ぎ払った。
「どうやら当たりだったみたいね。」
バタリと落ちるその首は妖夢の体重程はありそうで、長い年月を生きて妖怪化したせいで凄まじい妖力を纏っていた。
妖夢の一閃で声もなく倒れた熊だったが、どうやら集団生活をしていた様で、同じ様な体躯の妖怪達がぞろぞろと集まって来る。
やれやれ、一匹しとめて一息つくと言うわけにはいかない様だ。
咆哮を上げて一直線に走ってくる妖怪達をすれ違いざまに一撃で切り伏せていく様は何とも勇猛で、
左右からの同時攻撃には両手の剣をタイミング良く振り上げる事で息の根を止める。
ただ、その直後に飛び上がっていなければ巨体の下敷きになっていただろうが……
「6…7…8…!!」
八匹目を切り伏せると同時にその勢いで後ろに回り込み、九体目の首も血しぶきと共に宙を舞った。
「ふう……!」
さてと、漸く残り一体ですか。
どうもリーダーらしく、身の丈は六メートルはある。
「グルルル……」
「まるで小山……立派な牙ですね。でも私の剣のスピードについて来れなければただのお飾り、ねえ大将さん?」
また一直線に走ってくる……なんとも芸の無いことね。
今度は相手の速度に合わせて後ろに跳び、大きく広げられた口に両足でまたいで飛び乗った。
「しっ!!」
右の長刀に霊力を込め、肩越しに思いっきり振り下ろすと、
真っ二つに割れた体が勢いそのまま、妖夢の左右を通り抜けて地に伏した。
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「お疲れ様、今晩は熊料理かしら?私は鍋が良いな~。お野菜もたくさん食べられそうだし♪」
ねぎらいの言葉もなくそんな事を言う主。
一寸ムッとするが幽々子様の笑顔を見られると思うと、如何しても料理を他の物に任す気にはならない。
「期待しててください。何しろ食材は、それこそ幽々子様が食べられない程ありますから。」
「何時だってあなたには期待してるわよ、だから早く~。」
「やれやれ、お茶でも飲んで待ってて下さい。熊の料理は初めてで、手間取るかもしれませんが……
何時ものように期待に応えて差し上げます。」
エプロン姿も可愛いなあと、台所を見てニヤニヤ笑う幽々子の視線を受けると、一寸照れちゃう妖夢は今日も元気だったとさ。
誤字やミスも多いし、状況も説明とあってない。胃が弱いとか言うまえに当たり前の努力をして下さい。
胃の中を全部吐き出させる気かよw
面白いとおもいます。
面白いがゆえに続きが気になって、
もう少し長いといいなぁとおもいます^^
でもかっこいい戦いだったよ。