掛け軸を調べたら、謎の大穴があった
その穴は、どこまでも続くように延々と奥につながっていた
掛け軸が揺れていたから調べて見たのだが、一体だれのいたずらだ
僕はバツ悪そうにその穴の修復にかかろうとした。
ただ表面に板を張り付けただけなのだが。これで風でなびくことはないだろう
僕はため息をつきながら、その場を後にした。
翌日、また掛け軸がなびいていた。
掛け軸をはがしたら、塞いでいた板が燃えていた
崩れた板の向こうからまた延々と続く奥の世界が続いていた
僕はしぶしぶと思ったが、それ以上に疑問が生じた
どうして板の方が燃えていて、掛け軸の方は燃えていないのだろうか
少し気味が悪かったが、今度はそこに結界を張った
幸い、結界を張る為の道具が店に置いてあったのだ。
これでこの魔道具は永遠に使えないが、安心だ
僕はため息をつきながら、店番をしようと店に出た
就寝時間、
いや、僕は眠る必要が無いからただの怠けの時間と言った方が正しいかもしれない。
僕は再び寝室に向かったのだが、
掛け軸の後ろには、隠しきれないほどの大穴が開いていた
掛け軸が飾りのようだ。のれんのようにしか見えなかった
結界までも役立たずにしてしまうこの大穴は、一体何が目的で掛け軸の後ろで佇んでいるのだ
嫌な予感がするのでその大穴には入らなかった。
電気を消し、僕は必死に眠ろうかと努力したが、
後ろの大穴から誰かが覗いているようで、落ちつかなかった。
1時間ほどで限界が来てしまい、僕は立ちあがってしまった。
『なんなんだこの大穴は………………』
何の理由かは分からなかったが、何かの妖怪が絡んでいる事は感じた
掛け軸の後ろには、こんなに穴があくほど壁は厚くはないのだ。
おそらく、この穴は異次元か何かにつながっているのだろう。
それが僕の店にあると言うことは
僕に何か関係があるのだろうか。
僕は、いち早く商品だなの方に向かった。
非売品の所には草薙の剣が置かれている。
万が一の為に腰にかけておいた。
あとは、魔道具をいくつか。
ミニ八卦炉も持っていくことにした。
『どうして僕がこんな事をしなくてはいけないんだ』
そもそも、誰の悪戯でこんな大穴をあけたんだ。
それに、間違いなくこの穴には魔力が込められている
一体なんの嫌がらせなのだろうか。
犯人を追いつめてこの穴を直して貰おう。
だが、まずはこの穴に入る必要がある。
手掛かりを見つけて、犯人を追いつめる必要があるのだ。
僕は荷物をまとめて、その穴に入っていった。
店の中にあったとは思えないほど延々と続く穴だった
もう10分は歩いているというのに端につかないのだ。
ようやく光が見える所まで来たのだが、まだ遠くまで歩きそうだ。
僕はため息をついた。
そして延々と歩き続けた。
もうすぐで出口にたどり着く。
そう思った時、顔に何かがへばりついた。
驚いた僕は、急いでその何かを取ったのだが、それは柔らかく、ふわりと手の中から脱出した
『羽…………………?』
そう思った矢先、僕の体は羽まみれになっていた
『うわっ!!』
僕は驚き、羽を払った
全て白い羽なのだが、体にへばりつくのは何か不愉快だった
全て払ったと思ったら、また新しく僕の体に羽がへばりついた。
キリが無いと察した僕は、出口を目指して歩いた。
しかし、なぜ羽がこんなに落ちてきたのだろうか。
出口を出た僕は、その光景を見て愕然とした。
穴の向こうには、もう一つの世界が広がっていた。
それは真っ白な紅魔館のような作りの家が多く並んでいた。
さらに、川も透き通る美しい水が流れている。
その上に、定期的に掘られた女神が描かれた橋が歩行者を川の向こうへと導いている
西洋文化
その言葉が似合う世界だった。
そして、何よりも驚いた事があった。
この世界には、白い羽が振り続けているのだ。
雨のように、当り前のように
僕は、この羽は一体何なのか調べたところ、それは信じられない物だった
≪女神の羽 : 幸せを呼ぶ奇跡の羽≫
女神の羽
どうしてこの世界にはそんな大層な羽が降り続いているのだろうか
それにどうしてここの皆はその羽に全く興味を抱かないのだろうか
それどころか、その羽に不満を抱く声も聞こえた
『ったく。ここ一週間羽が降り続くらしいぜ』
『あー嫌だ嫌だ。羽なんか無ければいいのに』
どうして彼らがこの羽に不満を持っているのか全く理解ができなかった。
幸福が呼ぶ羽を、彼らは快く思ってないのだろうか。
この羽は商品になるので、できるだけ大量に掴んで懐に入れた
『兄さん。あんた異国の者?』
大柄の髭が濃い男性が僕に話しかけてきた。
『ええ。まぁ確かにそうですが。』
本当は異世界人なのだが、僕は適当に相槌をついた
『へぇー珍しいなぁ。お前さんの国って一体どんな所なんだ?教えてくれないか?』
男が目を輝かせて質問をしてきた。
それは気になる事だろう。自分の知らない情報を聞きたくなるのは誰だって同じだ。
僕だって一刻も早くこの世界を見回りたいのだ。
だが男の威圧は高く、喋らなければ面倒な事になりそうだ。
なので、私はその男に僕の住んでいる幻想郷の事を教えた。
魔理沙の事や霊夢の神社の事、さらにはどんな妖怪がうろついているかなど
その話を聞いた男は、メモを取っていた
『すげえな!そんな世界がこの世にあったんだ!!』
男は珍しそうにそう答えた。
『妖怪って本当に居たんだなぁ………。』
完全に僕の事を信じているようだった。
『なぁに。お前さんの目を見れば本当だって分かるよ』
男はそう言うと、僕にお金をくれた
『これは礼だ。受け取ってくれ』
そう言って、男はどこか遠くへ走って行った。
何気に悪い気はしなかった、だがさすがにいきなり金を渡されては少し動揺があった。
その金で路上にあった食べ物やで何か買う事にした。
この世界の金銭は全く分からなかったが、結構多い程度らしい。
僕は、パンにボールペンらしきものを挟んだ食べ物を貰った。
これは一体何の冗談か分からなかった。
僕は、店主にこの食べ物の食い方を聞くと
『ああ。あんた異国の者だね』
と言われた。
そして店主からこの変な食べ物の食べ方を教えてもらった。
名前が解読不能だったため、用途を調べたのだが、それには
≪飲み込む≫
しか説明が無かったので、少し嫌な予感がした。
店主が言うには、これはボールペンらしき物にパンを詰め込み飲み込む物らしい。
全く意味が分からなかったが、とりあえず言うとおりにした。
飲み込むと、何か異物が腹に入ったような感触がした。
気持ちわるくなったが、不満はとりあえず言わないことにした。
この世界を回る前に、少し見ていきたいものがあった。
そこには、名前は
≪図書館≫
と説明された図書館があった。
看板が無いので、僕のこの能力が無かったら一体何の建物か分からず、勝手に通り過ぎていただろう。
僕はその図書館に入り込み、どんな本を読もうか楽しみにした。
異世界の本だ、それは興味があるにきまってる。
まずはこの羽についての本を調べたいのだが、この図書館には受付がおらず、聞く事もできなかった。
誰かが本を盗んだらどうするつもりなのだろうか。
僕はとりあえず片っ端から探すことにした。
いつの間にか僕の手には大量の本が積み重なっていた。
迂闊だった。
まさかこんなに欲望にかられてしまうとは
≪皆の歴史≫
≪僕らの化学≫
≪天才哲学≫
≪社会の常識≫
どの本も僕の興味をそそるものだらけだった。
この世界にものすごく興味がある僕は、それらの本を読もうと積み重ねていた。
気づいたら前が見えなくなっていたのだ。
本棚から机の場所までものすごく遠く見える
僕は一歩一歩その机に近づこうとした。
途中、足を外してしまったり踏んでしまったりしたが、なんとか本を崩す事はなかった。
あと1Mで机にたどり着こうとした時だった。
突然、誰かが僕の所に突進してきた。
その衝撃で、持っていた本全てが崩れてしまった
『痛たたたたた…………』
突然ぶつかってきたのは赤い髪をした短髪の少女だった。服装は当然西洋の庶民のような服だった。
少女は赤い髪とは別な蒼い瞳をしていた。そしてその青い瞳が急に鋭い目つきに変わった
『痛いわね!!そんなに本を積み重なって歩かないでよ!!!!』
少女はそう言いながら、どこか遠くへ走って行った。
何かの本を片手に持ってそのまま図書館の外に行ってしまった。本当に大丈夫なのかこの図書館は
僕は、散らばった読みたい本をかき集め、再び積み重ねて本の塔を作った。
周りの皆は珍しそうに僕を見た。
僕は読書をしているとき、後ろから男の声がした
『その本、読めるのか?』
そういえば、この世界と僕が住んでいる世界と言語が一緒なのか、
本も普通に読んでしまっている。
一緒らしいな。結構ありがたい。
僕はそう思って、再び読書を始める。
この世界の天空には、女神が立っていると思われているそうだ。
その女神が、幸せを願うように空から羽を降らせているのだと言う。
だが、現実味のありそうな本でそれは全て打ち砕かれた。
羽が落ちてきているのは、僕たちの世界にない何か訳の分からない物質が原因なのだと言う。
それが昇華して、固体となって降って来ている
ものすごく馬鹿馬鹿しいと思ったが、これが常識なのだろう。
だが、最後の文で少しあやふやになり、気持ちわるくなった。
『これは悪魔で仮説に過ぎない。実際の所は全く分からない』と。
なんじゃこりゃ。僕はため息を吐いて本を閉じた。
続きは店に戻ってから読みなおそうか。
僕は本を片手に持ち出口に向かうと。本が急に消えた。
驚いた僕は、再びその本に置かれてあった所を確認すると。
その本は元の場所に置かれていた。
どうやら、持っていこうとすると勝手にその本は元の場所に戻るらしい。
ならばどうして彼女は普通に持って来れたのだろうか。
僕は諦めて出口に向かった。
だが、出口の手前の丸い穴に違和感を感じた。
何だこれは?
僕はその穴に手を突っ込むと、
中には紙があった。
その紙には、なんとも嬉しい事が書かれてあった
≪期限5日;本を借りる場合、この紙を持って最高5冊の本を持って図書館から出てください。≫
そうか。この紙を使えば本は借りれるのか。
僕は再びあの本を手に取り、出口に向かった。
図書館の外はもう夜になっていた。
本に夢中になっていたからだろうか。少し後悔した。
だが、夜になってもこの街は綺麗だった。
街の電灯が一つ一つ、窓から出てきているのだ。
その光の色はそれぞれ青い色を帯びているが、それがまた綺麗だった。
今日はこの街に泊まろう。
僕はそう決心し、宿を探した。
名前と用途がわかる能力を使って、宿屋を探したのだが、なかなか見つからなかった。
途中で風俗とか自殺屋など物騒な店を見かけたが、それは無視した
この世界には月が無い事を知った。
代わりに、星の量が僕の世界の色と違い、全て優しい青色だった。
そんな青黒い空は、僕の世界では絶対に見えないような光景だった。
だが、急に鳴ったサイレンの音で僕の心の安らぎは消えた
『天使だ!!天使が来たぞ―――!!』
その声と共に店と住民の皆はシャッター等を閉め、戸締り用心をしていた。
一体、天使の何が恐ろしいのだろうか。
空には相変わらず、女神の羽が降り落ちていた。
『くそっ!!だから羽なんて嫌いなんだ!!』
どこからかそんな声が聞こえた。
僕も少し身の危険を感じた。
何が来るのか分からないのだが、何か身の危険を感じたのだ。
急いであの穴に戻らなければいけないのだろうか
僕は走って急いで穴に向かって言った。
途中、優しく微笑む女性の声が周りから聞こえた。
その微笑む声は、だんだんと多くなり、次第に増えていった
止めろ!!
僕は心の中でそう叫んだが、その声はさらに重なりを増やしていった。
この家を曲がればもうすぐで穴まで辿りつくはずである。
僕は急いでその穴まで全速力で向かった。
これでやっと女性の微笑む声とはおさらばできる。
まだ、この大穴をあけた犯人が分からないが、もうそんな事どうでもいい。
微笑むが不気味でしょうがなかったからだ。その瞬間
微笑む声と共に少女の叫ぶ声が聞こえた。
何事かと僕は再び羽の降る街に向かった
『いやぁ………!!止めて!!来ないで!!』
少女の周りには天使が大量に居た。
見ての通り、少女は逃げ遅れたのだ。
少女の家はここから遠い、のにかかわらず
美しい花を見つけて、その花を取ろうと寄り道をしたからである。
天使の口の周りには赤い液体がへばりついていた。
一見血に見えるが、それは全て天使の唾液である。
ああ。もうお終いだ
少女はそう思った。
まだお母さんの誕生日、まだ贈っていないのに
『ママ……………』
僕の目の前には、真っ白な布を身につけた羽の生えたシスターのような人が大勢いた。
もしかして、彼女たちが天使なのだろうか。
皆が恐れられている天使なのだ。何か嫌な気がしてたまらなかった。
後ろから見るとそれは普通の女性だった。
『何を………しているんです?』
僕は声をかけると、そのシスターは後ろを振り向いた。
体は普通の人間だ。だが顔は口しかなかった
顔全てを覆い尽くすかのような大きな口しか
その口から血のような物が流れていた。
これが恐れられていた天使なのだろうか
そう思っている暇はなかった。
天使は急に飛びあがり、僕に襲いかかろうと突進してきたのだ。
僕はとっさに草薙の剣を引き抜いた。
そして天使に向かって切りつけたのだ。
まだ4Mも離れていると言うのに、全ての天使は真っ二つになっていた。
真っ二つになった天使は、崩れるように地に落ちて砂になった。
なんなんだ…………?
全てが砂になった時、目の前にはあの図書館での少女が居た。
僕はそれを見た瞬間、嫌悪感が湧いた
やはり、もう帰ろうか。そう思っていたが、急にその赤髪の少女が語りかけてきた
『あんた…………そんなに強かったのか!!』
少女の目には輝きがあった。
その時、サイレンが鳴った。
『終わった…………終わったんだよ。』
少女がそう言うと、子供のようにはしゃいでいた。
まぁ、見た目からすると魔理沙と同い年だろうが
僕は剣を片付け、その場を去ろうとした
『ねぇ、ちょっと待ってよ。』
少女は急に僕の肩をつかんだ。
僕は嫌々振り向いた。
『あんたさぁ!そんなに剣の腕が達者だったんだ!』
少女の目はより一層輝きを増していた
何かを期待してる目だった。
その後、急に少女は土下座をしてきた
『なっなんのつもりだ?』
『この通りです!どうか私は弟子にしてください!!』
と少女が頼み込んできた。
『はぁ!?』
僕は当然、そう言った
『あんたの剣術見習いたいんのよ!!ねぇお願いよ!!』
少女の目は本気だった。
だが、当然答えは
『ふざけるな。』だ。
『なによなによー!!』
少女はじだんだ踏みながら悔しそうにしていた。
僕は呆れてしまい、その場から離れようとした
『あっ!ちょっとどこ行くのよ!!』
『帰るだけだよ。国に』
僕はそう言うと、少女はそれを拒むかのような言葉を言ってきた
『おーしーえーてーよー!』
ものすごく大きな声で僕の耳を貫通するかのようにその言葉は響いた。
『何か勘違いしているかもしれないが、これは僕の力じゃなくてこの剣の力だ。だからこんな僕に頼っても意味はないよ』
僕はそう言うと、少女はしかめっ面して答えた
『馬鹿にしてるでしょ。剣なんて所持者が上手くなきゃどんな切れる剣だって使いこなせないのよ!!』
少女は再び土下座をして
『だからお願いよ!!私を弟子にしてください!!どうしても剣術を学びたいんです!!』
僕は何も聞かずにその場を去った。
『待って待ってー!!』
少女はついて来た。
どうせすぐあきらめるだろうと思って街をぐるぐる徘徊したのだが、少女はしつこく僕の弟子にしてくれと頼んできた
いい加減うざくなったので、一喝した。
『いい加減にしろ!!そんなに剣術学びたいなら独学で学べばいいだろう!!』
その後、しばらく沈黙が続いた。
少女が急に泣き出してしまった。
しまった。さすがにいいすぎたか?
いや、正論を言ったはずなのだが。
『なによぉ!!誰も剣なんて振らないからあんたに頼んでんじゃないのよぉ!!』
少女は涙声で大きな声を出した。
そして泣き叫んだ。
そして、家の中から物音がした。
窓を開けようとする音が聞こえた。
まずい。このままでは何か誤解されそうだ。
しかし、彼女は泣きやみそうにない。
ならばしょうがない。と僕は渋々口を開けた
『…………………わかった。』
そうつぶやいた瞬間、
『うるせーぞ!!今何時だと思ってんだこの野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!しばくぞオラァ!!』
という声が響いた。
だが、すぐに静かになり、皆戸締りをしていた。
そう言った後、少女はやっと泣きやんでくれた。
『ほっ…………本当に?』
『当たり前だろ。君が望んだ事だろうが。今さら何を言ってるんだ。』
勢いとは言え、めんどくさい事を言ってしまった。少し後悔をした。
少女の顔は、泣き顔から笑顔に変わった。
『ぃやっほぉ!!ありがとうサムライさん!!』
少女は再びはしゃぎ、また大声を上げた
『うるせーっつってんだろぉが!!撃つよ!?マジで撃つよ!?』
また男の声がした、
そして、また扉が閉まる音がする。
僕は、彼女にこう伝えた
『もう少し声を小さくしてくれ』
彼女は両手で口の周りを囲み、囁くようにスタンバイしていた。
僕は急にめんどくさい気が湧いてきた。
だが、少女の中には嬉しい気持ちが湧いているのだろう。
未だに、静かではあるもののはしゃいでいた
『そうだ師匠!!お名前はなんというんでありますか!?』
少女が笑顔でそう言った。
そう言えば、まだ名前を言っていなかったな。
『僕の名前は森近霖之助。ただの人間だ』
僕は嘘をついた。本当は相手の名前と用途が分かる半妖なのだから。
正直にいえば、彼女の名前も確認できる。彼女に名前を要求しなかったのもそのためだ
『私の名前はアリア・ブルーズ!よろしくね!!森師匠!!』
『僕の苗字は森近だよ』
僕がそう言うと、さらに少女は笑った。
そして後ろから銃を向ける音が聞こえた。
引き金に指を置く音が聞こえ、いつでも撃ってやるぞという殺気を感じ、無言になった
『今日はもう遅いから、また明日に会おう。』
僕はそう言うと、少女はこう提案した
『ふーん。それじゃぁ私の家に来ますか?師匠!』
『お断りだ』
僕はあっさい断った。
もう目の前に穴があるのだ。どうしてそんな必要がある
僕は穴の方に向かった。店に帰ろうとした。
『師匠!!明日の朝9時にこの噴水で待ってるからねー!!剣術を教えてくださいねー!!』
少女はまた大きな声で叫んだ。
後ろで銃声が聞こえた。その後少女の怯える声が聞こえ、走っていく音も聞こえた。
そう言えば、空にはもう羽は降っていない
『本当に僕の力で倒したのか?』
僕はそう疑問に思いながら、穴の中を歩いていた。
向こう側には光があった。
部屋に入ると、僕の寝室に魔理沙が居た
『香霖!!』
魔理沙はお化けでも見たかのように僕を見ていた
『おい霊夢!!香霖が居たぞ!!』
魔理沙はそう言った後、霊夢もこの寝室に来た
『あら霖之助さん!一体どこに行ってたのよ。』
霊夢がしかめっ面でそう聞いてきた
『いや、いきなり現れたんだよ、』
と言ってきたのだ。
どうやら、二人にはこの大穴は見えないらしい。
『おい香霖、その本なんだよ。』
と魔理沙が言った、
僕の懐には4冊の本が入っている。
『あと、その羽は何よ』
そして、所々羽が挟まっていた。
その穴は、どこまでも続くように延々と奥につながっていた
掛け軸が揺れていたから調べて見たのだが、一体だれのいたずらだ
僕はバツ悪そうにその穴の修復にかかろうとした。
ただ表面に板を張り付けただけなのだが。これで風でなびくことはないだろう
僕はため息をつきながら、その場を後にした。
翌日、また掛け軸がなびいていた。
掛け軸をはがしたら、塞いでいた板が燃えていた
崩れた板の向こうからまた延々と続く奥の世界が続いていた
僕はしぶしぶと思ったが、それ以上に疑問が生じた
どうして板の方が燃えていて、掛け軸の方は燃えていないのだろうか
少し気味が悪かったが、今度はそこに結界を張った
幸い、結界を張る為の道具が店に置いてあったのだ。
これでこの魔道具は永遠に使えないが、安心だ
僕はため息をつきながら、店番をしようと店に出た
就寝時間、
いや、僕は眠る必要が無いからただの怠けの時間と言った方が正しいかもしれない。
僕は再び寝室に向かったのだが、
掛け軸の後ろには、隠しきれないほどの大穴が開いていた
掛け軸が飾りのようだ。のれんのようにしか見えなかった
結界までも役立たずにしてしまうこの大穴は、一体何が目的で掛け軸の後ろで佇んでいるのだ
嫌な予感がするのでその大穴には入らなかった。
電気を消し、僕は必死に眠ろうかと努力したが、
後ろの大穴から誰かが覗いているようで、落ちつかなかった。
1時間ほどで限界が来てしまい、僕は立ちあがってしまった。
『なんなんだこの大穴は………………』
何の理由かは分からなかったが、何かの妖怪が絡んでいる事は感じた
掛け軸の後ろには、こんなに穴があくほど壁は厚くはないのだ。
おそらく、この穴は異次元か何かにつながっているのだろう。
それが僕の店にあると言うことは
僕に何か関係があるのだろうか。
僕は、いち早く商品だなの方に向かった。
非売品の所には草薙の剣が置かれている。
万が一の為に腰にかけておいた。
あとは、魔道具をいくつか。
ミニ八卦炉も持っていくことにした。
『どうして僕がこんな事をしなくてはいけないんだ』
そもそも、誰の悪戯でこんな大穴をあけたんだ。
それに、間違いなくこの穴には魔力が込められている
一体なんの嫌がらせなのだろうか。
犯人を追いつめてこの穴を直して貰おう。
だが、まずはこの穴に入る必要がある。
手掛かりを見つけて、犯人を追いつめる必要があるのだ。
僕は荷物をまとめて、その穴に入っていった。
店の中にあったとは思えないほど延々と続く穴だった
もう10分は歩いているというのに端につかないのだ。
ようやく光が見える所まで来たのだが、まだ遠くまで歩きそうだ。
僕はため息をついた。
そして延々と歩き続けた。
もうすぐで出口にたどり着く。
そう思った時、顔に何かがへばりついた。
驚いた僕は、急いでその何かを取ったのだが、それは柔らかく、ふわりと手の中から脱出した
『羽…………………?』
そう思った矢先、僕の体は羽まみれになっていた
『うわっ!!』
僕は驚き、羽を払った
全て白い羽なのだが、体にへばりつくのは何か不愉快だった
全て払ったと思ったら、また新しく僕の体に羽がへばりついた。
キリが無いと察した僕は、出口を目指して歩いた。
しかし、なぜ羽がこんなに落ちてきたのだろうか。
出口を出た僕は、その光景を見て愕然とした。
穴の向こうには、もう一つの世界が広がっていた。
それは真っ白な紅魔館のような作りの家が多く並んでいた。
さらに、川も透き通る美しい水が流れている。
その上に、定期的に掘られた女神が描かれた橋が歩行者を川の向こうへと導いている
西洋文化
その言葉が似合う世界だった。
そして、何よりも驚いた事があった。
この世界には、白い羽が振り続けているのだ。
雨のように、当り前のように
僕は、この羽は一体何なのか調べたところ、それは信じられない物だった
≪女神の羽 : 幸せを呼ぶ奇跡の羽≫
女神の羽
どうしてこの世界にはそんな大層な羽が降り続いているのだろうか
それにどうしてここの皆はその羽に全く興味を抱かないのだろうか
それどころか、その羽に不満を抱く声も聞こえた
『ったく。ここ一週間羽が降り続くらしいぜ』
『あー嫌だ嫌だ。羽なんか無ければいいのに』
どうして彼らがこの羽に不満を持っているのか全く理解ができなかった。
幸福が呼ぶ羽を、彼らは快く思ってないのだろうか。
この羽は商品になるので、できるだけ大量に掴んで懐に入れた
『兄さん。あんた異国の者?』
大柄の髭が濃い男性が僕に話しかけてきた。
『ええ。まぁ確かにそうですが。』
本当は異世界人なのだが、僕は適当に相槌をついた
『へぇー珍しいなぁ。お前さんの国って一体どんな所なんだ?教えてくれないか?』
男が目を輝かせて質問をしてきた。
それは気になる事だろう。自分の知らない情報を聞きたくなるのは誰だって同じだ。
僕だって一刻も早くこの世界を見回りたいのだ。
だが男の威圧は高く、喋らなければ面倒な事になりそうだ。
なので、私はその男に僕の住んでいる幻想郷の事を教えた。
魔理沙の事や霊夢の神社の事、さらにはどんな妖怪がうろついているかなど
その話を聞いた男は、メモを取っていた
『すげえな!そんな世界がこの世にあったんだ!!』
男は珍しそうにそう答えた。
『妖怪って本当に居たんだなぁ………。』
完全に僕の事を信じているようだった。
『なぁに。お前さんの目を見れば本当だって分かるよ』
男はそう言うと、僕にお金をくれた
『これは礼だ。受け取ってくれ』
そう言って、男はどこか遠くへ走って行った。
何気に悪い気はしなかった、だがさすがにいきなり金を渡されては少し動揺があった。
その金で路上にあった食べ物やで何か買う事にした。
この世界の金銭は全く分からなかったが、結構多い程度らしい。
僕は、パンにボールペンらしきものを挟んだ食べ物を貰った。
これは一体何の冗談か分からなかった。
僕は、店主にこの食べ物の食い方を聞くと
『ああ。あんた異国の者だね』
と言われた。
そして店主からこの変な食べ物の食べ方を教えてもらった。
名前が解読不能だったため、用途を調べたのだが、それには
≪飲み込む≫
しか説明が無かったので、少し嫌な予感がした。
店主が言うには、これはボールペンらしき物にパンを詰め込み飲み込む物らしい。
全く意味が分からなかったが、とりあえず言うとおりにした。
飲み込むと、何か異物が腹に入ったような感触がした。
気持ちわるくなったが、不満はとりあえず言わないことにした。
この世界を回る前に、少し見ていきたいものがあった。
そこには、名前は
≪図書館≫
と説明された図書館があった。
看板が無いので、僕のこの能力が無かったら一体何の建物か分からず、勝手に通り過ぎていただろう。
僕はその図書館に入り込み、どんな本を読もうか楽しみにした。
異世界の本だ、それは興味があるにきまってる。
まずはこの羽についての本を調べたいのだが、この図書館には受付がおらず、聞く事もできなかった。
誰かが本を盗んだらどうするつもりなのだろうか。
僕はとりあえず片っ端から探すことにした。
いつの間にか僕の手には大量の本が積み重なっていた。
迂闊だった。
まさかこんなに欲望にかられてしまうとは
≪皆の歴史≫
≪僕らの化学≫
≪天才哲学≫
≪社会の常識≫
どの本も僕の興味をそそるものだらけだった。
この世界にものすごく興味がある僕は、それらの本を読もうと積み重ねていた。
気づいたら前が見えなくなっていたのだ。
本棚から机の場所までものすごく遠く見える
僕は一歩一歩その机に近づこうとした。
途中、足を外してしまったり踏んでしまったりしたが、なんとか本を崩す事はなかった。
あと1Mで机にたどり着こうとした時だった。
突然、誰かが僕の所に突進してきた。
その衝撃で、持っていた本全てが崩れてしまった
『痛たたたたた…………』
突然ぶつかってきたのは赤い髪をした短髪の少女だった。服装は当然西洋の庶民のような服だった。
少女は赤い髪とは別な蒼い瞳をしていた。そしてその青い瞳が急に鋭い目つきに変わった
『痛いわね!!そんなに本を積み重なって歩かないでよ!!!!』
少女はそう言いながら、どこか遠くへ走って行った。
何かの本を片手に持ってそのまま図書館の外に行ってしまった。本当に大丈夫なのかこの図書館は
僕は、散らばった読みたい本をかき集め、再び積み重ねて本の塔を作った。
周りの皆は珍しそうに僕を見た。
僕は読書をしているとき、後ろから男の声がした
『その本、読めるのか?』
そういえば、この世界と僕が住んでいる世界と言語が一緒なのか、
本も普通に読んでしまっている。
一緒らしいな。結構ありがたい。
僕はそう思って、再び読書を始める。
この世界の天空には、女神が立っていると思われているそうだ。
その女神が、幸せを願うように空から羽を降らせているのだと言う。
だが、現実味のありそうな本でそれは全て打ち砕かれた。
羽が落ちてきているのは、僕たちの世界にない何か訳の分からない物質が原因なのだと言う。
それが昇華して、固体となって降って来ている
ものすごく馬鹿馬鹿しいと思ったが、これが常識なのだろう。
だが、最後の文で少しあやふやになり、気持ちわるくなった。
『これは悪魔で仮説に過ぎない。実際の所は全く分からない』と。
なんじゃこりゃ。僕はため息を吐いて本を閉じた。
続きは店に戻ってから読みなおそうか。
僕は本を片手に持ち出口に向かうと。本が急に消えた。
驚いた僕は、再びその本に置かれてあった所を確認すると。
その本は元の場所に置かれていた。
どうやら、持っていこうとすると勝手にその本は元の場所に戻るらしい。
ならばどうして彼女は普通に持って来れたのだろうか。
僕は諦めて出口に向かった。
だが、出口の手前の丸い穴に違和感を感じた。
何だこれは?
僕はその穴に手を突っ込むと、
中には紙があった。
その紙には、なんとも嬉しい事が書かれてあった
≪期限5日;本を借りる場合、この紙を持って最高5冊の本を持って図書館から出てください。≫
そうか。この紙を使えば本は借りれるのか。
僕は再びあの本を手に取り、出口に向かった。
図書館の外はもう夜になっていた。
本に夢中になっていたからだろうか。少し後悔した。
だが、夜になってもこの街は綺麗だった。
街の電灯が一つ一つ、窓から出てきているのだ。
その光の色はそれぞれ青い色を帯びているが、それがまた綺麗だった。
今日はこの街に泊まろう。
僕はそう決心し、宿を探した。
名前と用途がわかる能力を使って、宿屋を探したのだが、なかなか見つからなかった。
途中で風俗とか自殺屋など物騒な店を見かけたが、それは無視した
この世界には月が無い事を知った。
代わりに、星の量が僕の世界の色と違い、全て優しい青色だった。
そんな青黒い空は、僕の世界では絶対に見えないような光景だった。
だが、急に鳴ったサイレンの音で僕の心の安らぎは消えた
『天使だ!!天使が来たぞ―――!!』
その声と共に店と住民の皆はシャッター等を閉め、戸締り用心をしていた。
一体、天使の何が恐ろしいのだろうか。
空には相変わらず、女神の羽が降り落ちていた。
『くそっ!!だから羽なんて嫌いなんだ!!』
どこからかそんな声が聞こえた。
僕も少し身の危険を感じた。
何が来るのか分からないのだが、何か身の危険を感じたのだ。
急いであの穴に戻らなければいけないのだろうか
僕は走って急いで穴に向かって言った。
途中、優しく微笑む女性の声が周りから聞こえた。
その微笑む声は、だんだんと多くなり、次第に増えていった
止めろ!!
僕は心の中でそう叫んだが、その声はさらに重なりを増やしていった。
この家を曲がればもうすぐで穴まで辿りつくはずである。
僕は急いでその穴まで全速力で向かった。
これでやっと女性の微笑む声とはおさらばできる。
まだ、この大穴をあけた犯人が分からないが、もうそんな事どうでもいい。
微笑むが不気味でしょうがなかったからだ。その瞬間
微笑む声と共に少女の叫ぶ声が聞こえた。
何事かと僕は再び羽の降る街に向かった
『いやぁ………!!止めて!!来ないで!!』
少女の周りには天使が大量に居た。
見ての通り、少女は逃げ遅れたのだ。
少女の家はここから遠い、のにかかわらず
美しい花を見つけて、その花を取ろうと寄り道をしたからである。
天使の口の周りには赤い液体がへばりついていた。
一見血に見えるが、それは全て天使の唾液である。
ああ。もうお終いだ
少女はそう思った。
まだお母さんの誕生日、まだ贈っていないのに
『ママ……………』
僕の目の前には、真っ白な布を身につけた羽の生えたシスターのような人が大勢いた。
もしかして、彼女たちが天使なのだろうか。
皆が恐れられている天使なのだ。何か嫌な気がしてたまらなかった。
後ろから見るとそれは普通の女性だった。
『何を………しているんです?』
僕は声をかけると、そのシスターは後ろを振り向いた。
体は普通の人間だ。だが顔は口しかなかった
顔全てを覆い尽くすかのような大きな口しか
その口から血のような物が流れていた。
これが恐れられていた天使なのだろうか
そう思っている暇はなかった。
天使は急に飛びあがり、僕に襲いかかろうと突進してきたのだ。
僕はとっさに草薙の剣を引き抜いた。
そして天使に向かって切りつけたのだ。
まだ4Mも離れていると言うのに、全ての天使は真っ二つになっていた。
真っ二つになった天使は、崩れるように地に落ちて砂になった。
なんなんだ…………?
全てが砂になった時、目の前にはあの図書館での少女が居た。
僕はそれを見た瞬間、嫌悪感が湧いた
やはり、もう帰ろうか。そう思っていたが、急にその赤髪の少女が語りかけてきた
『あんた…………そんなに強かったのか!!』
少女の目には輝きがあった。
その時、サイレンが鳴った。
『終わった…………終わったんだよ。』
少女がそう言うと、子供のようにはしゃいでいた。
まぁ、見た目からすると魔理沙と同い年だろうが
僕は剣を片付け、その場を去ろうとした
『ねぇ、ちょっと待ってよ。』
少女は急に僕の肩をつかんだ。
僕は嫌々振り向いた。
『あんたさぁ!そんなに剣の腕が達者だったんだ!』
少女の目はより一層輝きを増していた
何かを期待してる目だった。
その後、急に少女は土下座をしてきた
『なっなんのつもりだ?』
『この通りです!どうか私は弟子にしてください!!』
と少女が頼み込んできた。
『はぁ!?』
僕は当然、そう言った
『あんたの剣術見習いたいんのよ!!ねぇお願いよ!!』
少女の目は本気だった。
だが、当然答えは
『ふざけるな。』だ。
『なによなによー!!』
少女はじだんだ踏みながら悔しそうにしていた。
僕は呆れてしまい、その場から離れようとした
『あっ!ちょっとどこ行くのよ!!』
『帰るだけだよ。国に』
僕はそう言うと、少女はそれを拒むかのような言葉を言ってきた
『おーしーえーてーよー!』
ものすごく大きな声で僕の耳を貫通するかのようにその言葉は響いた。
『何か勘違いしているかもしれないが、これは僕の力じゃなくてこの剣の力だ。だからこんな僕に頼っても意味はないよ』
僕はそう言うと、少女はしかめっ面して答えた
『馬鹿にしてるでしょ。剣なんて所持者が上手くなきゃどんな切れる剣だって使いこなせないのよ!!』
少女は再び土下座をして
『だからお願いよ!!私を弟子にしてください!!どうしても剣術を学びたいんです!!』
僕は何も聞かずにその場を去った。
『待って待ってー!!』
少女はついて来た。
どうせすぐあきらめるだろうと思って街をぐるぐる徘徊したのだが、少女はしつこく僕の弟子にしてくれと頼んできた
いい加減うざくなったので、一喝した。
『いい加減にしろ!!そんなに剣術学びたいなら独学で学べばいいだろう!!』
その後、しばらく沈黙が続いた。
少女が急に泣き出してしまった。
しまった。さすがにいいすぎたか?
いや、正論を言ったはずなのだが。
『なによぉ!!誰も剣なんて振らないからあんたに頼んでんじゃないのよぉ!!』
少女は涙声で大きな声を出した。
そして泣き叫んだ。
そして、家の中から物音がした。
窓を開けようとする音が聞こえた。
まずい。このままでは何か誤解されそうだ。
しかし、彼女は泣きやみそうにない。
ならばしょうがない。と僕は渋々口を開けた
『…………………わかった。』
そうつぶやいた瞬間、
『うるせーぞ!!今何時だと思ってんだこの野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!しばくぞオラァ!!』
という声が響いた。
だが、すぐに静かになり、皆戸締りをしていた。
そう言った後、少女はやっと泣きやんでくれた。
『ほっ…………本当に?』
『当たり前だろ。君が望んだ事だろうが。今さら何を言ってるんだ。』
勢いとは言え、めんどくさい事を言ってしまった。少し後悔をした。
少女の顔は、泣き顔から笑顔に変わった。
『ぃやっほぉ!!ありがとうサムライさん!!』
少女は再びはしゃぎ、また大声を上げた
『うるせーっつってんだろぉが!!撃つよ!?マジで撃つよ!?』
また男の声がした、
そして、また扉が閉まる音がする。
僕は、彼女にこう伝えた
『もう少し声を小さくしてくれ』
彼女は両手で口の周りを囲み、囁くようにスタンバイしていた。
僕は急にめんどくさい気が湧いてきた。
だが、少女の中には嬉しい気持ちが湧いているのだろう。
未だに、静かではあるもののはしゃいでいた
『そうだ師匠!!お名前はなんというんでありますか!?』
少女が笑顔でそう言った。
そう言えば、まだ名前を言っていなかったな。
『僕の名前は森近霖之助。ただの人間だ』
僕は嘘をついた。本当は相手の名前と用途が分かる半妖なのだから。
正直にいえば、彼女の名前も確認できる。彼女に名前を要求しなかったのもそのためだ
『私の名前はアリア・ブルーズ!よろしくね!!森師匠!!』
『僕の苗字は森近だよ』
僕がそう言うと、さらに少女は笑った。
そして後ろから銃を向ける音が聞こえた。
引き金に指を置く音が聞こえ、いつでも撃ってやるぞという殺気を感じ、無言になった
『今日はもう遅いから、また明日に会おう。』
僕はそう言うと、少女はこう提案した
『ふーん。それじゃぁ私の家に来ますか?師匠!』
『お断りだ』
僕はあっさい断った。
もう目の前に穴があるのだ。どうしてそんな必要がある
僕は穴の方に向かった。店に帰ろうとした。
『師匠!!明日の朝9時にこの噴水で待ってるからねー!!剣術を教えてくださいねー!!』
少女はまた大きな声で叫んだ。
後ろで銃声が聞こえた。その後少女の怯える声が聞こえ、走っていく音も聞こえた。
そう言えば、空にはもう羽は降っていない
『本当に僕の力で倒したのか?』
僕はそう疑問に思いながら、穴の中を歩いていた。
向こう側には光があった。
部屋に入ると、僕の寝室に魔理沙が居た
『香霖!!』
魔理沙はお化けでも見たかのように僕を見ていた
『おい霊夢!!香霖が居たぞ!!』
魔理沙はそう言った後、霊夢もこの寝室に来た
『あら霖之助さん!一体どこに行ってたのよ。』
霊夢がしかめっ面でそう聞いてきた
『いや、いきなり現れたんだよ、』
と言ってきたのだ。
どうやら、二人にはこの大穴は見えないらしい。
『おい香霖、その本なんだよ。』
と魔理沙が言った、
僕の懐には4冊の本が入っている。
『あと、その羽は何よ』
そして、所々羽が挟まっていた。
続き待ってます!