Coolier - 新生・東方創想話

夏のチルノ物語

2010/06/13 22:28:20
最終更新
サイズ
2.62KB
ページ数
1
閲覧数
786
評価数
4/14
POINT
700
Rate
9.67

分類タグ



誰だって溶けてしまいそうな、真夏ならではの気温が、ここ最近長く続いている。

人間、動物、妖怪、さらには躰のない幽霊までもがこの暑さにバテ
小賢しい虫たちは、彼方でミンミン此方でミンミン、まぁ騒がしく、そして鬱陶しく鳴いている。

虫たちの「休む間もなく鳴き続ける」という行動は、唯単に鳴いているわけじゃない。

虫それぞれに鳴く「意義」と「理由」があるらしいのだが、本当のところはどうなのだろう……

騒がしく鳴き喚いているだけの反面、どこか暗い気持ちで鳴いているようにも聞こえる。

自分の居場所を相手に知らせるために鳴いているならば
誰にも気づいてもらえない寂しさ故に泣いているように聞こえるし、

周りが鳴いているから自分も鳴いているならば、周りが静まってゆく……
つまり、周りが先に絶ってゆく恐怖を紛らわせるため泣いているように聞こえる。

ただ何も考えず、淡々と鳴いているならば
理由なく鳴き続けなければ鳴らない辛さ故に泣いているようにも聞こえる。

まぁ、人間じゃあるまいしそこまで考えていないのだろうけど。

しかし、虫という生き物は暑さを無視できるからすごい。虫だけに……


私は一度、この暑さに溶かされたことがある。

あれは不覚だった。たった一瞬の油断が、自身を消す一歩手前にまで追い込むなんて―――



―――夏の夜というのは、昼とは正反対の気温にまで下がることがある。

   だからといって、そう何度もあるとは限らないが、あの時の夜はそうだった。

   雲一つない夜空。
   
   広い範囲にわたる草木を、いっぺんに優しく撫でた夏風。

   どこからか、その優しい風に答えるように鳴る風鈴の音が、心の中に涼しげに響く……

   だが、それが罠だと気づかなかった私はまんまと騙され
   星空の下で、すやすやと夢の中に落ちた。

   それがいけなかったというのは言うまでもなく、次に目を開けた時には
   私の体は日天子に照らされ、すでに半分以上が溶けていた。

   どうにかしようと懸命にもがくも
   もう体とはいえないほどに溶けた「それ」は全く動いてくれなかった。

   原型を留めていないものを動かすのは、さすがに無理だ。

   ましてや個体ならまだどうにかなったかもしれないが
   私の場合、液体になるのだから原型も糞もないのだ。 

   そうこうしていると、偶然通りかかった霊夢に手荒く救助され、
   何とか一命を取り止めた。

あの時霊夢が通らなかったら、私がどうなっていたか知る由もない……

世界中の生き物をバテさせ、地上を一瞬にして灼熱地獄に変え
しかも最強と謳われているこの私を意図も簡単に罠にはめ、

死の底へ陥れようとする「夏」というのはとても残酷非道なものだ。

その真の正体というのは全くもって解らないが、もう殺されるなんてことはないだろう。

アタイだって、ちゃんと学習しているんだ。あの時の体験で相手の策はわかったんだ。

もうやられないね。アタイ最強だもん。


独り言を呟き、私は眠りについた。

雲一つない星空の下、気持ち良い風鈴の音を子守唄にし、夏風に優しく撫でられながら……
夏だなぁ……暑いなぁ……。

はじめまして、寝耳に湯でございます。
いやぁ、暑いですねぇ。蒸し暑いぃぃ。
最近、口から出るものは「暑い」とため息ばかりです。
この暑さでもまだ、なまっちょろいもんなのかな?
都会とか沖縄とは比べ物にならんのかな。北海道に生まれて良かったよ。

バカであるからこそチルノはめんこいよぉ。
というわけで、なんにも学習しないチルノを妄想してみました。
どうでしょうか。
あまり楽しまれなかったかもしれませんが、これからも何かと投稿してみようと思いますので、何ぞとよろしくお願いします。

チルノがいたら扇風機要らんのになぁ。暑いぃ……。
寝耳に湯
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.380簡易評価
5.90名前が無い程度の能力削除
一見バカっぽくないのにバカだこの妖精!
6.90とらねこ削除
溶けないで!
10.80コチドリ削除
「チルノちゃ───ん!?」

翌日、大妖精の悲痛な叫びが幻想郷にこだました。

初投稿おめでとうございます。同郷としてコメントするなら、本州の人に「北海道、暑いよね」
なんて言ったら、殺意を抱かれますよ、マジで。
熱帯夜でクーラーが故障したときのあの絶望感といったら……
14.60名前が無い程度の能力削除
チルノがいたら扇風機~……その通りですな~。
チルノにしては文章難しかったな、何となく。