Coolier - 新生・東方創想話

図書館に五月

2010/06/13 21:42:56
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 ぱらりぱらりと、ページをめくる。
 この百年、毎日のようにくりかえしてきた動作で。
 親指と人差し指で軽く触れ、少しだけたわめてぱらりとめくる。力をこめすぎてはいけない。紙が曲がってしまうから。背を開きすぎてはいけない。綴じが甘いと開き癖がついてしまうから。
 ぱらり、ぱらり、ページをめくる。
 しんとした図書館には、そんな音だけが聞こえている。
 私はいつもの安楽椅子に座っている。
 少し暑い。
 このあいだ春がきたばかりだと思っていたけれど、気がついたらもう初夏らしい。買い物から戻った咲夜のヘッドドレスに桜の花びらがついているのをみつけたのは、つい先日のことだったはずなのに、いつの間にか季節がすぎている。
 けれどそんな思いを口にすると、どうせまたお前は図書館に引きこもってるから云々と、白黒や巫女あたりから突っこみが入ったりするのだろう。
 だからわざわざそんなこと云わない。
 面倒くさい。
 放っておくから放っておいて欲しい。
 レミィはいつだってそうしてくれる。私が黙々と本を読んでなにも喋ろうとしなくても、ただ私が私のまま存在するのを許してくれる。だから私はあの子の隣がずっと気に入っていて。
 ――気がつけば、百年以上もここにこうして座っている。

 ぱらり、ぱらり、ページをめくる。
 もう何度この動作を繰りかえしてきたことだろう。誰もいない、しんと静まりかえった図書館で。百十八年かける三百六十五日で四万三千七十日。十秒で一回ページをめくっているとして――いいや、面倒くさい。どこぞの式あたりなら一瞬で答えを出すのだろうけれど、あいにくと魔女の本文は数学ではない。黒き悪意のしたたる魔術秘術が本懐だ。
 中途半端な数式を井戸の底に投げ捨てて、読んでいる本に意識をむける。本の中では、中性子星で生まれ育った原子核生物が、いま正に文明を築きあげようとするところ。
 本当に外の人間はおかしなことを考えるものだと、感心しながらページをめくる。読んでいるのはロバート・F・フォワードが書いた『竜の卵』というSFだ。草履虫みたいな外見をしたチーラという生き物が、抱きしめたくなるほど愛らしい。
 扁平な身体に十二個の目をもつチーラは、ブラックホールに匹敵するほど超高密度の星、中性子星で生まれた生物だ。その寿命は三十分。今こうしてページをめくる間にでも、彼ら彼女らにとっての一年がすぎていく。一杯の紅茶を飲み干す間にでも、新たなチーラが生まれ、成長し、やがて誰かと出会って愛しあい、死んでいく。
 ぱらり、ぱらり、ページをめくる。
 そんな音だけが、しんとした図書館に聞こえている。
 けれど私がページをめくると、それを追いかけて輪唱のように木霊のように、もうひとつ同じ音が聞こえてくる。
 実を云うと、今この図書館にいるのは私だけでない。そのことを考えると、自分の中であらためて新鮮な驚きが湧き上がる。この百年黙々と本を読み続けてきて、私はこの図書館でいつもひとりだった。やがて小悪魔を手元に置くようになったけれど、あれはあくまでも使い魔であり司書である。私と対等の存在ではないし、隣で本を読んだりなんて絶対にしない。
 けれど最近になって、この図書館の扉を開けて内部に入りこんできた者がいる。私の隣に座ろうとする者がいる。
 ――阿求が。
 目の前のソファにしどけなく座りながら、黙々と本を読んでいる。
 少しお行儀が悪い。
 横座りにした足先をソファからはみださせ、つま先にひっかけた草履をぶらぶらと揺らしてもてあそんでいる。背もたれに頭を乗せながら、がばりと開いた本を膝において読んでいる。
 ――ああ、そんなに思いきり開かないでほしい。
 開き癖がついてしまうじゃないか。背の綴じが甘いと割れてしまうじゃないか。それは大切な大切な本なのに。私のようなピブリオマニアがどれだけ本に愛着をもっているか、あの子は本当にわかっているのだろうか。
 そう思う。
 けれど阿求がすると、どうしても許してしまう。
 だって結界に閉ざされたこの幻想郷だ、きっとあの子はこの図書館にくるまで和綴じの本しか読んだことがないだろう。だから洋綴じの本の読みかたがわからなくても当たり前。
 それに、あの細い腕。
 ハードカバーを片手でもつことすらおっくうに思える細い腕。
 あの腕をみてしまうと、そんな風に本を下において読むことも、仕方ないと思ってしまうのだ。 
 ちらり、ふいに阿求が顔をあげる。
 私は慌てて『竜の卵』に視線を落とす。
 こっそりみていたなんてこと、気づかれてしまったらあとが面倒。きっとまたにやにや笑いながら、私を弄ってくるのだろう。私になにか恥ずかしいことを云わそうとして、顔をほころばせながら近づいてくるのだろう。
 ああ、どうしてこんなことになってしまったのか。
 静謐にして心やすらぐ私の図書館は、いつのまにかどこか緊張に満ちた場所に変わってしまった。
 幻想郷縁起執筆のために阿求が紅魔館を訪れたあの日、目を輝かせながらあちこちの書棚を歩き回る彼女に、私は『よかったらいつでも読みにきなさい』と許可を与えてしまったのだ。魔女にとって蔵書とは魔力を形作る源で、滅多なことでは他人に開放したりしないのに。その点あの白黒なんかはいかにもただの人間らしく、頻繁にひとの蔵書を覗こうとする。うざい。そんなだからあれはいまだに人間でいることができるのだろう。あの未熟な人形遣いですら、地下に鍵のかかる自分だけの書庫をもっている。
 そうだ、魔女にとっての書斎とは、厳重に鍵の掛かった自分だけの部屋なのだ。その密室で、魔女はたったひとり黒い情念を燃やして悪意の結晶と化していくのである。
 なのに、そんな魔女が構える奥津城のソファに、阿求は我が者顔で座っている。
 その意味を、このあどけない少女はわかっているのだろうか。
 以前から私は、御阿礼の子と幻想郷縁起に興味があった。生まれ変わり続ける単一の存在によって執筆されるという、幻想郷を記した年代記。みたものすべてを頭の中につめこんでいるという、まるでそれ自体が本のような存在、御阿礼の子。私が興味をもたないはずがない。
 だからその阿求に図書館を開放したのは、ある種の策略のはずだった。
 蔵書に興味を示していた阿求をおびきよせ、存分にその記憶の不思議を研究するための罠。
 撒き餌。
 釣り針。
 そのつもりだった。

 私は視線を落として黙々と本を読んでいる。阿求がいる方向からは、じっとこちらをみつめる気配がする。けれど私が頑として無視し続けていると、やがて諦めたように小さく息を吐く。もぞもぞと衣擦れの音をたてたあと、またぱらりぱらりとページをめくりだす。
 ――ちらりと視線をむけると、阿求は後ろをむいていた。
 ああ、あれは怒っている態度だ。
 あの首筋の角度。どこか力が入った背中の丸み。少し乱暴にページをめくるその動き。
 なんだかわからないけれど、阿求は私に対して怒っている。
 そうして私は、そのことに胸の痛みを感じている。
 なんでだろう、なんでこんなことになってしまったのだろう。
 なんで阿求はここにいるのだろう。なんで阿求は怒っているのだろう。なんで私は、そんなことに心を痛めてしまうのだろう。

 その疑問は、私にとってはどんな魔術書よりも難解な謎だった。



図書館に五月






 ぱらりぱらりと、ページをめくる。
 図書館にはそんな音だけが聞こえています。
 まるで柱時計がちっちと刻をきざんでいるような、規則正しいリズムです。きっとはるか昔この大図書館ができたその日から、刻が流れるようにこの音は聞こえ続けていたのでしょう。
 書斎スペースにおかれたマホガニーの重厚な机も、その上に鎮座したエミール・ガレのキノコ型したテーブルランプも、果てしなく高い天井まで続く本棚も、そこに詰められた千万無量の本たちも、きっと一日たりと休むことなく、常にこの音を聞き続けてきたのでしょう。
 それがなんだか、少しだけうらやましい。
 このひとの一番近くで、このひとがたてる一番優しい音を聞き続けてきたなんて、やっぱり少しだけうらやましい。
 ぱらりぱらりと、ページをめくる音がする。
 安楽椅子にちんまりおさまったパチュリーさんが、優雅な手つきで本のページをめくっている。
 まるでアンティークのビスクドールが座らされているみたい。
 陶磁器めいてつるつるとした白い肌。桜色の小さなくちびる。アメジストみたいな桔梗色の瞳。
 つややかな長髪が、全身を流れるように覆っている。まるで産まれてから一度も切ったことがないかのように長い、プラム色の綺麗な髪。ごてごてとついたたくさんのリボンが、なんだか髪の河にたゆたう草舟みたい。
『長い髪は魔力の源よ。だから伸ばしているだけで、みた目とかは関係ないわ』
『このリボンも魔力を高めるためのアクセサリ。お洒落でつけているわけじゃないし、そもそもリボンのなにが可愛いのかわからない。こんなのただの布じゃない、布』
 そんなことを、つんと顔をそらしながら云っていた。
 けれどそれ、本当なのかなぁと思うのです。
 本当はあなた、可愛いものが好きなだけなんじゃないですか?
 だってこんなに可愛らしいひとなのに、ちっとも装っていないなんて不自然です。いつだって心にもないことを云うひとだから、どんな言葉でも眉につばをつけながら聞いてしまうんです。
 ――今日だって。
 しばらく縁起補遺執筆のために時間がとれなくて、久しぶりにこうして紅魔館を訪れることができたというのに。
 パチュリーさんったら、ひどくどうでもいいような顔をして、『あら、またきたの』だなんて云ったんです。
 信じられない。
 馬鹿みたい。
 そんなばればれな嘘、いまさら吐く必要なんてまるでないのに。
 だってそのときのパチュリーさんからは、お風呂上がりの石鹸の香りがしたんです。肌は少しだけ上気していて、服は皺ひとつなく綺麗だったんです。
 おかしいと思った。廊下でばったり出会ったこぁちゃんが、やたらとわたしを引き留めようとするものだから。まるでしばらくの間図書館にいかせたくないかのように引き留めて、そうして三十分ほど経った時点であっさりと通すものだから。
 わたしと会う前に身支度を調えたいのなら、ちゃんとそう云ってくれればいいのに。そうすればわたしだって変にそわそわすることもなく、楽しくこぁちゃんや咲夜さんとお喋りすることもできたのに。自分の見栄でどれだけ他人に迷惑かけているか、ひきこもりのあなたにはわからないのでしょう。
 意地っ張り。朴念仁。恥ずかしがり屋。嘘つき。
 そんなに自分の気持ちを伝えることが恥ずかしいのでしょうか。そんなにわたしとむきあうのが怖いのでしょうか。どんなパチュリーさんだって、わたしは決して嫌いになったりしないのに。
 ――ほら、今だって、気づかれないようにじっとわたしのことをみつめてる。
 ちらり、顔を上げてみる。
 パチュリーさんは、あわてて視線をそらして本を読む。
 まあぁぁ、馬鹿みたい。水飲み鳥ですかあなたは。視線があったらにっこり笑ってみつめかえしてくださいよ。百年も生きてるくせになんだか頑是ない童女みたい。赤く染まった頬が色づきはじめた林檎みたい。
 じっと睨みつけても頑として視線を上げようとしないものだから、わたしは溜息を吐いてうしろをむきました。
 もう知らない、絶対顔をあわせてなんてあげません。
 そんなことを思いながら、ぱらりぱらりとページをめくる。
 本の中では、名探偵ファイロ・ヴァンスが、犯人のひととなりを分析しようと眠くなるほどの長広舌をふるっている。
『現代数学の諸概念は、個人を現実世界から放り出して、純粋な思惟の仮説のなかに放りこみ、アインシュタインが最も堕落した想像の形式と呼んだところのもの――病理的個人主義にみちびく。たとえばシルバーシュタインは五次元――そして六次元の空間の可能性を主張して――』
 長い。
 まわりくどい。
 うっとうしい。
 探偵小説の名探偵はいつもこうです。わたしは犯人が誰かが知りたいだけなのに、もったいぶって一番大事なことだけ教えてくれやしないのです。
 まるでパチュリーさんの言葉みたい。
 素粒子のスピンが五行の相克にどう影響しているかなんてどうでもいい。魔力子が粒子と波、両方の性質を同時にもっている話なんてどうでもいい。
 ――ただ好きと、それだけを云ってほしいのに。

 大体パチュリーさんはちっともわたしのことをわかってくれてない。どうやらあのひとは、わたしがこうして図書館にいる理由を、本を読みたいからだと思っているらしい。
 もちろん本は読みたいです。最初にこの図書館に足を踏み入れたとき、本に満ちたこの場所は夢のような世界にみえました。わたしが足繁く紅魔館に通う理由のうち、本を読みたいという欲求が何割かあることは否定いたしません。
 ――でも。
 パチュリーさんは、わたしの求聞持の能力を過小評価しています。
 あるいはわかっていて、考えないようにしてるのか。
 だってただ本を読みたいだけなら、ぱらぱらと全ページめくってしまえばそれでいい。その映像は完璧な形で記憶に焼きついているのだから、あとで掘り起こして読みかえしていけばそれでいい。むしろそうしたほうが、脳に詰めこめる本の数は確実に多いです。
 ただでさえこの阿求の身体は歴代の御阿礼の中でも弱いのです。きっとわたしの寿命はもってあと数年。おそらく二十の歳を数える前に死ぬでしょう。そうして死んだら色々な記憶をなくすでしょう。
 だから本当は、本を読むこと以外にやっておかないといけないことはたくさんある。
 できるだけ今のわたしを後生に残すために、さまざまな思いやできごとを書きつけとして記したり、次の阿刀だか阿戸だか阿斗だかのために各勢力に渡りをつけておいたり。幻想郷縁起の執筆が終わっても、やらないといけないことはあるのです。
 なのにわたしはこんなところで一冊一冊、一枚一枚、ぱらりぱらりとページをめくっている。
 ――その理由。
 五月二十一日のおだやかなお昼時、外はからりと晴れたいいお天気だというのに、こんな地下のほこり臭い図書館にこもってのんびりと活字を追っているその理由。
 わかってますかパチュリーさん?
 あなたのそばにいたいんです。

 ふいに背後から、ぱたんと扉が閉まる音がする。
 振り返って眺めると、さっきまでそこにいたはずのパチュリーさんの姿が、いつのまにか影も形もありません。安楽椅子では桜色の敷物がふわりと膨らみ、机の上に取り残された本が読んでくれるひとをなくして寂しそうに佇んでいます。
 一体いつのまに。
 またどうして。
 愕然とすると同時に、自然に口元がへの字型に曲がっていきました。
 あのひと、すぐに横着して自分の足を使わず飛んでいくものだから、歩いていく気配がしなかったのはわかります。でていったのだって、きっとなにか用事でもあったのでしょう。
 ――でも、なんでわたしになにも云ってくれないんですか?
 わたしがここで本を読んでいるのに。あなたの隣にいたくて、ここにこうして座っているのに。
 なのになんで、そんなに無視するような態度をとるのでしょう。
 ぐるぐるとささくれだってきた気分を落ち着かせようと、わたしは読んでいた本をぼふんとソファに投げ捨て、頬杖をつきながら深呼吸を繰りかえす。
 わからない。あのひとがなにを考えているのかわからない。
 けれど一番わからないのは、どうしてわたしがこんなやきもきしないといけないかということです。あのひとの一挙一動を気にして、なにを考えてるのか知りたくて、たまに示してくれるひどく小さな優しさに飛び上がるほど喜んで。
 ――ああ、なんでわたし、あんなひとを好きになってしまったのだろう。

 その疑問は、わたしにとってはどんなミステリのトリックよりも難解な謎でした。




 阿求は、一体なにに怒っているのだろう。
 わからない。それがちっともわからない。
 今日一日、あの子を怒らせるようなことをした覚えはまるでない。大体交わした会話自体が『あら、またきたの』と『紅茶でいいわよね?』くらいのものなのに、どうしてそれで阿求が怒ると云うのだろう。またきてくれたからまたきてくれたのかと問うただけだし、紅茶が嫌だったら別のものが飲みたいと云えばいい。怒る理由などまるでない。
 それ以外は、ただ黙々と本を読んでいただけだ。
 私は『竜の卵』をとりだして、阿求はミステリの棚からヴァン・ダインの『僧正殺人事件』を選んだ。ヴァン・ダインはいい。ファイロ・ヴァンスの百科全書的な博覧強記とペダントにまみれた会話文は、きっと阿求も気に入ってくれるはずだ。なによりも心理分析に数多の学問を援用することで、犯人をただ犯人としてではなく、全人的かつ本質的な存在として描き出そうという文学的蛮勇が感じられるのだ。
 阿求はいい本を選んだとそう思って、ただひたすらに私は本のページをめくっていた。読書の邪魔をしたくないから声をかけることはなかったし、たまに阿求のことを眺めるにしても、ちらちらとみていただけだから本人に気づかれてはいないはず。ただ阿求の存在を隣に感じ、ふわりと漂う自分のものではない香りに心を和ませ、自分とは違うリズムでページをめくるその音に耳を澄ませながら本を読んでいた。
 それだけだ。
 怒る要素なんて、どこにもないじゃないか。
 いくら考えてもわからなくて、思わず私は首をかしげる。一体この子は、なにに怒っているというのだろう。
 ――ああ、もしかして。
 ふいに記憶の奥のほうから、以前読んだ本のシーンが思い浮かぶ。その小説の中では人間の女の子がなぜか突然怒りだし、周囲のひとにはその原因がさっぱりわからないという今と似たようなシークエンスが描かれていた。
 その原因はたしか。
 そう――原因は。
 たしか本の中ではPreMenstrual Syndromeだと云っていた。
 日本語に訳せば『月経前症候群』となるのだろうか。どうやら人間の女の子には月経という生理現象があり、その一週間ほど前にはさまざまな心身症が現れることがあるらしい。
 下腹痛、頭痛、めまい、動悸、不眠、いらいら、憂鬱、無気力感、パニック、孤独感。
 次々と思いだされるその症状に、ぞっと背筋が冷たくなっていく。
 間違いない。きっと阿求はこのPreMenstrual Syndromeに罹患しているのだ。
 だってそれ以外では説明がつかない。こんな風に突然阿求がいらいらしだした原因が、それ以外には想像もつかない。
 ああ、なんてことだろう。
 あの小さな阿求が、いま正にそんな重篤な症状に襲われているなんて。それなのに私に心配をかけないよう、あえてそれを黙っているなんて。
 今すぐその症状を軽くしてやりたい。ファイロ・ヴァンスのあの素晴らしいペダンティズムを十全に楽しんでもらうために。阿求のそのあまりにも短い人生が、一分一秒に至るまで光り輝いたものであるために。
 ――でも、一体どうすればいいんだろう。
 人間の身体のことなどよくわからない。実を云うとその月経という現象がどういったものかすらわかっていないのだ。なぜか小説の中では、具体的な現象について触れられることがなかったから。

 そうだ、まずはそれを調べることが肝心だ。
 阿求の気を散らさないよう、私はふわりと浮き上がってドアにむかった。図書館の本に当たってもいいけれど、浜の真砂ほどもある蔵書の中から該当の記述を探しだすのは困難だ。それよりも人間に直接聞いたほうが早いだろう。
 もちろん、阿求になんて聞けるはずがない。
 ――でも、紅魔館にはちょうどいいメイドがひとりいる。
 数年前にレミィが突然あの子を連れてきたときは、なんで人間なんかをと思ったものだけれど、今はそれがありがたい。
 そっとドアを閉めた音がはたして阿求に聞こえたか、それが少しだけ気になった。




「――阿求?」
「うわぁぁぁーーっ!!」
 びっくりした。びっくりした。
 突然声をかけられて、息が止まるかと思うほどびっくりした。
 気がつけばわたしはうとうとしていたらしい。いつのまにかパチュリーさんが戻っていたことに、まるで気がついていませんでした。驚いてうしろを振りむくと、目を丸くした彼女の顔がすぐ近くにありました。
「あ……ごめんなさい。驚かせちゃったわね」
「い、いえ……」
 思わずもごもごと呟きながら、わたしはうつむいて口元に手をあてます。
 ――ああ、うかつ。よだれとかでてないですよね?
 口を拭ってもどうやら冷たいものは垂れていなくて、少しだけほっとする。でもよりによってパチュリーさんにみっともないところをみせたかと思うと、内心忸怩たるものがありました。
 ああ、それもこれも全部ファイロ・ヴァンスが悪いんです。よくわからないなんちゃら学のなんたら理論を並べたてるばっかりで、犯人なんてちっともわからない。そりゃあ読んでいて眠くもなりますよ。ヴァン・ダインさんが書くお話自体は面白いのですけど、とにかくこのファイロ・ヴァンスは好きません。もしわたしが縁起にこの名探偵のことを書いていいなら、ぼろぼろにこき下ろしてやりたい気分です。
「……大丈夫?」
 そんな風に心の中で罵詈雑言を並べ立てていると、ふいに優しげな声がかけられます。顔を上げると、彼女はなんだかひどく心配そうな様子でわたしのことをみつめています。
「え? いえ、大丈夫ですよ? 寝ぼけてなんかないですし」
「そう? ならいいんだけれど……それより悪かったわね、驚かせてしまって」
 眉をハの字に曲げながらパチュリーさんはそう云って、最後にもういちどごめんなさいと謝った。
 しかも両手を腿にあてながら、ぺこりと日本風にお辞儀して。
 ――え? なにこれ?
 頭の中で、警報がぴこんぴこんと鳴っています。
 どうしたんだろう、パチュリーさんらしくない。
 こんなしおらしいひとはパチュリーさんじゃありません。こんなに心配そうな表情を浮かべるひとは、わたしが知ってる日陰の魔女さんじゃありません。
 それによくみたら、なんかあちこち服がぼろぼろになっています。いつものナイトキャップにはナイフで切られたみたいな鉤裂きがあるし、リボンはあちこち折れ曲がっていて、裾のフリルが汚れてます。
「えっと、パチュリーさんこそ大丈夫ですか? なんかさっき一戦交えてきたって感じですけど……」
「あ、ええ。ちょっとね」
 ぼそりとつぶやいて視線をそらす、そんな彼女はやっぱりおかしい。
 白磁のような頬にさっと朱を散らし、髪のリボンを気まずそうに弄っている。なにか云いづらいことを云おうとしているように、口をぱくぱく開けたり閉めたり忙しい。
 そんな風にしばらくもじもじやったあと、パチュリーさんは意を決したようにわたしをにらみつけて云いました。
「――ねぇ阿求! よかったらピクニックにでかけない!?」
 正直、気が狂ったんじゃないかと思った。

 服を着替えたパチュリーさんと、紅魔館のお庭を歩いていく。
 図書館の暗闇に慣れた目に、五月の陽光がひどくまぶしい。
 臆面もなくすこんと晴れ上がった青い空。からりと乾燥した心地よい風。幻想郷に、また夏がくる。
 煉瓦敷きの歩道の左右には美鈴さんのお花畑が広がっています。この五月を盛りとして咲き誇るベゴニアが、色とりどりの花を咲かせてます。赤にピンクに黄色に白、紅魔館の壁みたいなワインレッド。
 そんな花々の間を蝶が飛びかい、頭上では新緑に湧いた妖精たちがきゃらきゃら笑いながら鬼ごっこ。妖精は楽しかったら大声で笑い、悲しかったら身も世もなく大泣きする。それが少しだけ羨ましい。少なくとも彼女たちは、すぐそばにいるひとがなにを考えてるのかわからなくて悩むことなんて、滅多にないのでしょうから。
 パチュリーさんは、わたしより少しだけ先を歩いています。
 なんだか無理してはしゃいでいるようにみえる彼女の背中で、色とりどりのリボンが蝶のように揺れています。珍しくちゃんと足を使って歩いていて、咲夜さんが用意してくれたバスケットも自分でもっているんです。
 いつもこのひと、絶対荷物を自分でもったりはしないのに。
 明らかに自分でもっていったほうが早いときでも、じっと荷物の前で突っ立って、誰かがもってくれるのを待つようなひとなのに。
 一体なにを考えているのかわかりません。
 わからないと云えば、紅茶入りの水筒とバスケットを用意してくれた咲夜さんが、なんだかひどくにこにこしていた理由もわかりません。その様子をみたパチュリーさんが、頬を紅くしながら顔をそらした理由もわかりません。
 理由なんてなにもわからない。
 けれどたったひとつだけわかることがある。
 パチュリーさんが突然豹変した原因が、きっとわたしがうつらうつらしていた三十分ほどの間にあることです。彼女が無言で図書館をでていってから、服をボロボロにして戻ってくるまでの間に、動かない大図書館を動く大図書館にした要因があるはずです。
 ――それは、一体なんだろう。
 首をひねりながら眺めていると、パチュリーさんはふんふんと鼻歌なんかを歌いだすのでした。




「咲夜! 私に月経をみせなさい!」
 キッチンにひらりと飛びこんで云い放つ。
 テーブルで苺を切り分けていた咲夜が、無表情のままその切れ長な目をすっと細めて。
 ――直後、包丁といっしょにたくさんのナイフが飛んできた。

「な、なんなのよ一体……」
「それはこっちの台詞ですわ、この変態魔女……」
 床に倒れてぜーぜーと荒い息を吐く。咲夜は咲夜で『ベリーインレイク』が直撃したせいで、全身ずぶぬれになって椅子の座面にもたれてる。
 意味がわからない。なんでこの子は突然弾幕戦を仕掛けてきたのだろう。幸い今日は調子がいいから喘息発作を誘発することはなかったけれど、人間の女が考えることはさっぱりわからない。
「なにが変態なのよ、ただ月経のことを聞いてみただけじゃない。よくわかんないけれど、人間の女の子なら普通に起きる生理現象なのでしょう?」
「それは普通に起きますけどねぇ……なるほど、もしかしてどういう現象か全然しらないで仰ったんですか?」
 あきれ顔でそう云った咲夜に、口惜しいけれどこくりとうなずいた。この私が自分の無知を認めないといけないなんて屈辱の極みだ。けれど背に腹は代えられない。阿求の症状を知り、対策をとるためにはなんとしても咲夜からの情報が必要だったのだ。
 気がつけば荒れていたキッチンも、元のとおりに片づけられている。いつのまにか用意されていた安楽椅子にふわりと飛び乗って、私は疲れきった身体を横たえる。さすがにパーフェクトメイド、そつがない。眉を上げてさあ話せと伝えると、咲夜は少し頬を赤くしながら私に月経とはなにかを語ってくれた。
 ――その内容は、驚くべきものだった。
「え……に、人間の女の子って、そんな風になるの……?」
「なります! なんですかパチュリーさま、そんなこともご存じなかったんですか。まったくローティーンの男の子じゃないんですから」
「うっさい! 死ね!」
「そんな今さら凄んだって遅いです。なんだか罵倒の語彙まで幼児に戻ったみたいですわね」
 にやりと意地悪そうな笑みを浮かべる咲夜だったけれど、その顔は耳まで赤くなっている。きっと私も似たようなものだろう。お互いに恥ずかしさを隠すようにぎゃーぎゃー罵りあったあと、ふと訪れた沈黙にぷいと顔をそらして黙りこむ。
 ひどく気まずい。
 私はどうも、人間の女にとって聞かれたくないことを聞いてしまったようだった。

 月経は子を産む性としての宿命――か。
 なんでだろう、咲夜が云ったその言葉を思いだすたび、暗澹とした気分になってくる。
 そんないつ訪れるかもわからない機会のために人間の女は毎月身体を縛られているなんて、なんだか理不尽な気がするのだ。
 妖怪はそんな生理現象をもっていない。そもそも生殖する必要がない以上、あたりまえの話だ。
 私たち妖怪は、人間のように土から生まれた存在ではない。この世界が子どものころにみた、混沌とした夢の残滓だ。宇宙卵が産みだした幻想だ。
 吸血鬼のように母の胎内から生まれる妖怪もあるにはあるけれど、それはあくまでも生殖にまつわる幻想から生まれるだけであり、生物学的な意味で発生しているわけじゃない。レミィやフランを生みだしたものが、卵子や精子であるはずがない。
 妖怪は子を産んだりはしない。人間のように成長することもない。
 私は私。たったひとりのパチュリー・ノーレッジだ。
 生まれたときから、ずっと。
 遙か未来にいたるまで私は今の私、知識と日陰の少女であり続けるだろう。レミィが永遠に赤く、永遠に幼いのと同じように。
 子を産むために母胎を危険にさらす妊娠行為を行うこともなく、産んだ子の世話で自分の時間をとられることもない。ましてや毎月のように血を流して体調を崩し、しかもそのためにPreMenstrual Syndromeなどという症状に悩まされることもない。
 この身体もこの精神も、すべて私の物だ。
 子どものために捧げる部分など、髪の毛一本たりともない。
「――阿求、ですか?」
 ふいに穏やかな声をかけられて、顔をあげると咲夜が優しげな笑顔を浮かべている。
「そうよ、あの子はPreMenstrual Syndromeで困っているみたいなの。なにか解消法がないかと思って」
「ふぅん? 阿求が? PMSで?」
「ええ。なにかおかしなことでも?」
 不思議そうに首をひねった咲夜に問いかける。彼女はふいに空中からふたりぶんの紅茶を作りだし、ティーカップを差しだしながら詳しく聞きたいですと私に云った。
 だから、説明した。
 阿求の様子が朝からずっとおかしいことを。
 私には全く心当たりがないことを。
 それに以前からあの子はときどきそんな風になることを。
 ちくいち差し挟まれる疑問に答えながら、私は咲夜に語っていった。なぜか彼女が感じる疑問は私の態度に関することが多くて、それで阿求のなにがわかるのかといぶかしんだものだけれど。
 そうしてひととおり喋り終わったあと、咲夜はぶすっとした顔で頬杖をつきながらこう云った。
「はぁ、それは阿求も大変ですわねぇ。まさかまだそんなだったなんて……」
「そう! そうなのよ! やっぱり大変よね! 下腹痛! めまい! いらいら! 憂鬱! 無気力感!」
 我が意をえたりとうなずくと、なぜか咲夜は氷のような冷たい視線で私のことを睨みつけていた。
 あれ? なんだろう? また私はなにか地雷でも踏んだのだろうか。
 本当に面倒くさいな人間の女の子は。触れてはいけない話題が多すぎる。顔の良し悪し、体型の凹凸、体重、年齢、それに生理現象。
 自分の身体のことぐらいもっとオープンに語ればいいのに、ことその領域にいたると人間は途端に繊細になるらしい。
「それで、パチュリーさまは一体どうしたいんですか?」
 あきれ顔で溜息を吐きながら、咲夜が云う。
「どうしたいって、決まっているでしょう? 阿求の症状を治してやりたいのよ」
「なぜ?」
「なぜ?……なぜですって」
 咲夜の問いに、思わず私は絶句する。
 なぜ――なぜ?
 なぜ、私は阿求のことがこんなに気にかかっているのだろう。なぜ阿求には日々を健やかにすごして欲しいと思うのだろう。
 あの子がもつ求聞持の能力に興味があるからか。そのあまりに短い生を不憫に思うからか。触れただけで壊れてしまいそうなか細い身体に憐れを感じているからか。
 それとも、なにか別の理由がそこにはあるのか。
 なぜか、私は咲夜のその問いに答えることはできなかった。色んな思いが頭の中でごっちゃになってしまって、ひとつの言葉として紡ぎだすことはできなかったのだ。
 そうして私が口ごもっていると、咲夜はうっすらと目を細めながら微笑みを浮かべた。
「まあ、いいです。阿求のその症状でしたら、簡単に治りますわ」
「本当!? ならごちゃごちゃ云ってないで今すぐ教えなさい! まったくあんたの言葉は回りくどくていけないわ」
 腕組みをしてうそぶく私に、咲夜は首をひねりながら苦笑する。
「誰の口が云いますか誰の。ただ、簡単とは云っても、もしかしたらパチュリーさまには難しいかもしれませんよ。あなたにできますかねぇ?」
「ふん、偉そうな口叩くじゃない。私を誰だと思っているの? 古今東西、あまたの秘術を修めた花曇の魔女よ。私にできないことなどあるはずがない」
 勢い込んでそう云うと、咲夜はにやりと悪魔的な笑みを浮かべる。最近この子も、段々レミィに似てきたかもしれない。
「それでは、私の云うとおりにしてください。まずは阿求を外に連れだして――」
 その計画を語る咲夜は、なぜだかひどく楽しそうだった。




 ――これは、罠かもしれないと思うのです。
 タンポポととシロツメクサが咲く緑の丘を、パチュリーさんといっしょに歩いていく。途中までは里と神社を結ぶ支道を歩いていたのに、彼女は突然『この野原を突っ切っていったら楽しそう』なんて云いだして、止めるのもまたずに踏み分け入ったのです。
 ふくらはぎまで伸びた草の上に、パチュリーさんのマキシ丈フリルワンピがふわりと乗っています。その裾を船の航跡のように背後に曳きながら、魔女は草の海を進んでいく。
 さわさわ。
 さわさわ。
 風がふいて草原が揺れる。
 一斉になびく緑の絨毯が波のようで、一瞬海にいるのか陸にいるのかわからなくなりました。
 けれどそんなことを考えるのもおかしなこと。
 海なんて、もうとうの昔にこの地から消え去ってしまったのです。だからふいに耳に沸き起こってきたこの潮騒も、どこまでも続く海原も、ただ求聞持の記憶から立ち上ってきた昔日の思い出なのでしょう。
 それがいかに、完璧な記憶であったとしても。
「……阿求?」
 ふと声が聞こえてきて、記憶の底から意識が浮き上がっていく。顔をあげると、パチュリーさんがけげんそうな顔つきでわたしのことをみつめていた。五月の陽光が頭上から降り注ぎ、キャップのフリルが白磁の顔に黒い影を落としている。
「あ、ごめんなさい、ちょっとぼーっとしてました」
「そう? 大丈夫? 体調は悪くないかしら」
「大丈夫ですよ、そもそもそんなことパチュリーさんに心配されたくないですし」
 ぱたぱたと駆けよって、彼女がもっていたバスケットを奪い取る。
 なんだか今日はやたらとひとの体調を心配するパチュリーさんですけれど、もともとわたしは体力自体はそれなりにあるのです。なんといってもこの身体で縁起執筆のために幻想郷中を渡り歩いているのですから。ただ、先が短いだけなのです。
「パチュリーさんこそ大丈夫ですか? 普段立ち上がることすら稀なのに、こんなお日様の下を歩くの大変じゃないですかね」
「私は……いいのよ。魔女だもの」
「答えになってませんよぅ」
 口を尖らせながらそう云うと、パチュリーさんは困ったように苦笑した。
 そんな顔をなんとなく眺めながら、やっぱりわたしは思うのです。
 これは、罠かもしれないと。
 もしかしたらわたしは、なんだかよくわからない魔女の隠れ家のような場所におびき出されて、なんだかよくわからないひどい目にあわされてしまうのかもしれません。
 だってそうとでも考えなければ説明がつきません。あんなにわたしに興味ないふりをしていたパチュリーさんが、こんなにもわたしに構ってくれているなんて。なにか下心でも想像しないと納得することはできません。
 パチュリーさんが、わたしを一冊の本のように思っていることには気づいてる。
 今までの年月でも、彼女はわたしによく物語をせがんできたのです。まるで本を開くように『何年何月何日のあなたの話が聞きたいわ』とそう云って、まるでページをめくるように『そこはもういいから一時間ほど飛ばしてよ』なんてわがままなことを仰るのです。
 もしかしてこのひとが興味をもっているのは、わたし自身ではないのかもしれない。
 もしかしてパチュリーさんはこのわたし稗田阿求が好きなのではなくて、ただ御阿礼の子が好きなだけなのかもしれない。ただ完璧な記憶をたもつ求聞持の力に興味があるだけで、その中身がわたしである必要はないのかもしれない。そう思ったことは一度や二度ではありません。
 でも、それでも構わないと思っていた。
 このひとが本に注ぐ愛情の深さは、身にしみてわかっていたから。
 このひとがページをめくる手の優しさは、みていてうっとりするほどのものだから。
 ――あんなたおやかな指先で、わたしをそっとめくってくれるなら。
 それでもいいと、ずっと思っていた。
「ふふ、こういうのも楽しいわね、阿求」
「あら、阿求のかんざしにテントウムシが止まってるわよ。ふふ、生花と勘違いしたのかしら?」
「そう云えば阿求、縁起の執筆は進んでる? なにかあったらいつでも頼りなさい。この私にできないことなんてなにもないんだから」
 ――ああ、そんなに阿求阿求云わないでください。
 勘違いしてしまうじゃないですか。
 普段はパチュリーさん、『あなた』と呼んだり名前を抜かして呼びかけることが多いのに、今日はやたらとわたしの名前を連呼するんです。あのとき図書館に戻ってきて以降、もう五十二回も呼んでいるんです。
「ちょ……ちょっと疲れたかも……。ごめんね阿求、あの大きな木のふもとで少し休んでいかない?」
 あ、五十三回目。
「ほら云わんこっちゃない。はしゃぎすぎですよパチュリーさん」
 大きなケヤキの幹にもたれかかって、パチュリーさんはぜーぜーと荒い息を吐いている。蒼白になった顔、たらりと垂れる汗ひとしずく。もつれた髪の毛が二、三本、そのお人形のような頬に貼りついている。
 わたしはたもとから手ぬぐいを取りだし、その汗ばんだ額をそっと拭ってあげました。パチュリーさんは恥ずかしそうに頬を赤らめながらも、珍しくされるがままになっていた。
 ふと風が吹いてきて、わたしたちの肌を優しくくすぐります。木陰に吹き渡る風はやはり涼しくて、火照った身体にうっとりするくらい気持ちいい。パチュリーさんもようやく落ちついてきたのか、気持ちよさそうに目を細めていて、ざわついた梢の投げかける影がその白い肌の上で踊っています。
「あのぅ、そろそろ本気でうかがっていいですか?」
「え?」
「なんで急にピクニックなんて云いだしたんです? 変ですよ。変だって、自分でわかっているんでしょう?」
「そうね……」
 つぶやいて、彼女はふと視線をそらします。
 その視線の先に、鏡のように凪いだ霧の湖が広がっている。
 普段は霧に閉ざされた湖も、不思議と今日は澄み渡り、臆面もなく晴れ上がった空を写して青く青くたたずんでおりました。
「なんでかしら……自分でもわからないのよ」
「わからない?」
「ええ……なんでこんな気持ちになるのか、自分でもわからないの。変でしょう? どうして私はこんなに……」
 その先の言葉はごにょごにょと、口の中に消えていきました。
 続きをまってみたけれど、パチュリーさんは赤くなった頬を隠すように手で覆ってしまい、うつむいたままぴくりとも動きません。風がその長髪をふわりとなびかせます。どこからか飛んできたモンシロチョウが、そのキャップについた月飾りに我が物顔で止まります。
 ――なんでだろうって、なんだろう?
 頭の中で、こくんと首をひねってみる。なんだか求めたものと違った返答が帰ってきたようです。なんで変なのかを訊ねたわけじゃなく、なんでピクニックなのかを聞きたかっただけなのに。
 でも、いいや。
 よくわからないけど、もういいや。
 どうせひとがなにを考えてるかなんて、本当のところはわかりません。求聞持だって他人の心までは読めません。ましてや頭の中が大図書館であるパチュリー・ノーレッジの思惑を読み切ろうなんて、誰にもできることではないでしょう。
 だったら、楽しんでしまえばいい。
 このひとが気まぐれにみせてくれた優しさを、喜んでしまえばいい。
 少なくとも彼女がこうして体調を崩してまでここにいてくれるという事実は、否定しようのないことだから。
「ねぇ、パチュリーさん?」
「なぁに、阿求」
「湖、霧ひとつなくて綺麗ですね。こんな日に水遊びなんかしたら、きっと楽しいと思いません?」
 くるりと振りかえりながら訊ねると、顔をあげたパチュリーさんはうっすらと笑っていた。




 ――やっぱり私、咲夜にだまされたのかしら。
 やけになって鼻歌を歌いながら、背筋に冷たいものを感じてる。草原を駆け回ってはしゃぎながら、自分が自分でなくなっていくような気がしてる。
 似合わない。知識と日陰の少女にこんな行動は似合わない。
 楽しげにはしゃぐのって、一体どうすればいいのだろう。みていて気が塞がないようなほがらかな笑いって、一体どんな笑いだろう。私にとって笑いとは、皮肉や逆説ににやりと口元を歪ませるという行動だ。楽しくて声を上げて笑うことなんて、生まれてから一度もしたことない。
 ああ、私をみつめる阿求の視線が冷たい。
 じっとりとした目で、警戒するようにながめてる。
 ――でも。
『PMSできついとき横にいるひとが無愛想だと、なんかそれだけで死にたくなりますわ』
 咲夜はそんなことを云っていた。
『このひとはこういうひとなんだとわかっていても、それでもむかついてむかついて。たまに大嫌いになりますね』
 そんなことも云っていた。
 だから私は、そこらの脳天気な妖精みたいに、慣れない口調ではしゃいでる。
 そんなおり、いぶかしがりながら後ろをついてきていた阿求の気配がふと消える。
「……阿求?」
 ふりむくと、彼女はうねる草原をながめながらぼんやりと風に吹かれていた。
 その無表情な瞳の色。
 いまにも消えてしまいそうな気配のなさ。
 だらりと身体の脇に垂れている両手。
 ――ああ、この子は今、過去をみているのだ。
 以前からこの子は、時々こんな状態になる。
 阿求は、そんなときの自分が外からどのようにみえるのか、自分で気がついているのだろうか。現在と同じ強度で眼前に立ち現れる、過去の記憶。時代を越え、世代を越えて今ここにいる阿求の脳に浮かび上がってくる、誰かの人生の物語。
 それをみているとき阿求は、ひどく儚げな風情になる。
 まるで目の前に存在していないような、その肉体自体が過去の思い出の残響のような、そんな儚いひとになる。
 縛られているのだ、と思う。
 過去に。
 阿礼に。
 幻想郷縁起に。
 かつて是非曲直庁と阿礼の間にどのような取り決めがあったのかは知らない。それがどんな必要に迫られてなされた契約だったかも。もしかしたら当時の幻想郷のひとびとにとって、あるいは阿礼自身にとっても、この記憶の一部と能力を引き継ぎながら無限に転生し続けるというシステムは、福音だったのかもしれない。
 けれどどうしてこの阿求がそれに縛られないといけないのだろう。
 他の誰でもないこの阿求。いつのまにか私の図書館に入りこんでいた稗田阿求。
 彼女はもう、ほとんど阿礼ではないのに。
 どうして過去と使命に縛られながら死んでいかないといけないのだろう。
「――あ、ごめんなさい、ちょっとぼーっとしてました」
 雲間から光が射すように意識を取り戻し、阿求はそう云った。
「そう? 大丈夫? 体調は悪くないかしら」
 つとめてなんでもないふりをして、私は答える。本当はちょっとどころではなかったけれど、過去をみていた阿求には現在の時間感覚がまるでないのだ。
「大丈夫ですよ、そもそもそんなことパチュリーさんに心配されたくないですし」
 阿求はぱたぱたと駆けよってきて、つんと顎をそらしながらバスケットを強奪していった。
 その中には阿求が好きなものばかり入っている。北京ダックのパイ包み。苺のホイップクリームサンドウィッチ。砂糖漬けしたさくらんぼが乗った杏仁豆腐。全部咲夜が作ってくれた。
 あの子は阿求の好物に詳しかった。私は阿求がそんなものを好きだったことをはじめて知った。
 考えてみれば、今まで私はこの子のことをほとんど知ろうとはしてこなかったように思う。ただ阿求がそばにいてくれることに安心して、それ以上踏みこもうとはしなかった。
『とにかく阿求がリラックスしてすごせるように計らってあげてください。ちゃんとあの子の目をみて喋って、あの子の名前を呼んであげて、あの子がそばにいてくれて嬉しいんだって態度で示してあげてください』
『そばにいてくれて嬉しいって、ちょっと咲夜。私は別に――』
 反論しようとしたその瞬間、気がついたら顔の横にぶっといナイフが刺さっていた。
『もしあの子の前でそんなことを仰ったら、私があなたを殺します』
 低い声でささやく咲夜の眼差しは、数年前レミィが拾ってきたころのように物騒なものだった。

「――湖、霧ひとつなくて綺麗ですね。こんな日に水遊びなんかしたら、きっと楽しいと思いません?」

 そうだ、きっと楽しいことだろう。
 うららかに晴れたこんな五月の昼下がり、阿求といっしょにする水遊びは、もしかしたら図書館で本を読んでいるより素敵なことかもしれない。
 そう思ってしまった自分がいる。
「そうね、楽しいかもしれない。でも阿求、私はそういう遊びかたを知らないの。あなたが私に教えてくれるかしら?」
 問いかけると、阿求は花のように満面の笑顔を浮かべてうなずいた。
「――はい!」
 妖怪は、意外と自由なのかも知れない。
 木陰の下から外にでて、まばゆい陽射しに目を細めながらそう思う。
 変わることや成長することは、人間の専売特許なのだと思っていた。けれど気がつけば私は、今朝方までの私とほんの少し違っていた。楽しげにスキップをする阿求に笑いかけることもできている。ふいに手を握って振られても、照れて振りほどかないでいられてる。
 そんなのは魔女らしくない?
 そうかもしれない。私は花曇の魔女らしくないのかもしれない。
 けれどそれで魔女らしさを喪失し、もしかして力を落とすことになったとしても。この子の晴れやかな笑顔をすぐそばで見守ることと比べたら、なにほどのものでもないと思ってしまうのだ。
 変わることは、少し怖い。
 足下が崩れ落ちるような、振りかえったら道がなくなっているような、そんな恐怖感をちらりと覚える。それと、なにかが失われることへの悲しみを。
 思えば咲夜もこの数年で別人のようになった。
 当初のすべてを憎むことでぎりぎり正気をたもっているような鋭利さは、気がつけば理知的な鋭敏さに成り代わっていた。それを変えたのがレミィなのか美鈴なのか、それともこの幻想郷そのものなのかはしらない。今の咲夜は当時よりも桁違いに幸せそうにみえるから、それはきっといいことだったのだろうと私は思う。
 でも、当時の咲夜のことも、それはそれで好きだったのだ。
 私はあの毒のしたたる切っ先を愛でていた。黒く黒く塗りこめられた刃が放つ輝きを、宝石のように慈しんでいた。
 けれどそれらは、今はもうない。
 なにかを得るということは、なにかを捨てることだと私は思う。
 ひとが変わるということは、それまでの自分を殺すことだと私は思う。

 着物を大胆におはしょりにして、細い大腿をさらしながら湖水に足をひたす稗田阿求。水面にできたさざなみが五月の陽光を乱反射させていて、まるでダイヤモンドを散らしたようだった。
「パチュリーさん! ほら、あなたもきてくださいよぅ」
 そう云ってほがらかに笑う阿求のもとへ駆けながら、私は――。

 この子との子どもだったら産んでもいいと、そう思っていた。




 夏草。
 太陽。
 野辺の花。
 木々のざわめき。
 土の匂い。
 それと、パチュリーさんの膝の暖かさ。 
 そんなものに包まれて、五月二十一日のうららかな午後がすぎていく。
 幸せすぎて少し怖い。
 湖畔にそびえるニレにもたれて、パチュリーさんはこっくりこくりと居眠りしている。
 魔女さんなのに、居眠りしている。
 普段さんざんっぱら『人間はよく眠ることができるわね、思考と意識を手放すことが怖くないのかしら』なんてすまし顔で云っていたのに、慣れない水遊びで疲れたのか、子どもみたいに眠っている。
 そんな彼女の膝に頭を乗せて、わたしもゆうらりゆらりと船を漕ぎだしているところ。
 自然とくっつきそうになる重いまぶたを押し上げて、頭上で揺れるパチュリーさんの寝顔を仰ぎみる。ただでさえお人形みたいな小作りの顔が、無防備な寝顔になるとびっくりするほどあどけなく変わる。
 正直わたしもはしゃぎまわって疲れてて、このままこの柔らかい膝の上で眠ってしまいたいと思うのです。
 でも、もったいなくてできません。
 だってパチュリーさんの寝顔なんて、この先もう二度とみられないかもしれないのですから。
 だから求聞持の記憶にしっかり焼きつけたいと思うのです。あらゆる瞬間のあらゆる角度から、この世にも稀なる可愛い寝顔を心の中に記憶すること。
 それが幻想郷の記憶として生を受けた、この阿礼乙女の責務に違いないと思うのです。
 ――ああ、でもくじけてしまいそう。
 ふとももが、死ぬほど柔らかい。まるで眠りに誘う魔法みたい。
 それに、疲れた身体がひどくだるい。
 やっぱり少し、はしゃぎすぎたかと思うんです。
 だってパチュリーさんったら、おっかなびっくり湖に足をひたしたかと思ったら、そのまますってんと転んでしまうんですもの。あまつさえ『むきゅー』なんて可愛らしい声で鳴きだして。
 そりゃあテンションもあがるというものでしょう。
 わたしが笑いながら追い打ちで水をかけてあげると、怒ったふりをしながらも口元は笑顔になっていて。しかも舞い散った水しぶきにさっと小さな虹がかかって、思わず見とれていると、パチュリーさんからもぱしゃんとお返しがかえってきたのです。
 それはもう、盛大に水を掛け合って、駆けずり回って、転がり合いました。
 ――でもさすがにね。
 いくら水曜日だからって、『プリンセスウンディネ』を使うのはどうかと思うんです。

 他にも、色々なことをした。

 野辺に咲くシロツメクサを摘んできて、花冠なんかをふたりで作った。パチュリーさんはそういうの本当に不器用で、いくら教えてあげても上手く編めないようでした。
 同じ魔女さんでも、アリスさんはあんなに手先が器用なのに。
 そんなことをわたしが云うと、彼女はむっとした顔をして一言二言呪文を唱えました。そうすると突然周囲のシロツメクサの茎がぐんぐんこちらに伸びてきて、やがてわたしの身体を覆うマントと王冠になったのです。

 ああ、それに、咲夜さんのお料理もとても美味しかった。
 王女さまみたいなシロツメクサのマントを羽織って、パチュリーさんといっしょに食べた。
 北京ダックのパイ包み。苺のホイップクリームサンドウィッチ。砂糖漬けしたさくらんぼが乗った杏仁豆腐。全部、わたしの大好物でした。
 バスケットをもったままちょっとはしゃいだりしたものだから、崩れてやいないかと少しだけ心配しておりました。
 けれどさすが咲夜さん。パーフェクトメイドです。
 バスケットの中には時が止まった結界が張られていて、その中で崩れたり傷んだりしないよう、見目鮮やかなお料理が整然と並んでいたのです。
 そうしてその光景をみた瞬間、わたしはなんとなくわかった気がした。
 どうしてパチュリーさんが急に優しくなったのか。
 誰がピクニックなんていうアイデアを彼女に吹きこんでおいたのか。
 けれどそんなこときっと、わからないほうがいいのです。わたしはその思いを心の奥に押しこんで、美味しいお料理に舌鼓をうちました。
 パチュリーさんはそんなわたしを複雑な顔でみつめていて、ふと『私も料理の勉強でもしてみようかしら』なんてとんでもないことを云いだした。

 ああ、今も目を閉じると、求聞持の記憶にまざまざと浮かんできます。まるで今まさに同じ体験をしているかのように浮かんできます。
 パチュリーさんの笑い声。
 慣れないことに顔を赤くしたその様子。
 きょとんと小首をかしげた不思議そうな顔。
 今日一日口にしてくれたすべての言葉。わたしにむけて浮かべてくれたすべての表情。
 この日わたしは産まれてはじめて、阿求として生を受けてはじめて、自分が御阿礼の子でよかったと思うことができたのかもしれません。
 だってわたしは、愛しいひとの一番可愛らしい瞬間を、いつだって眼前に浮かべることができるのだから。

 ああ、この記憶があれば、わたしは何千年だって生きていけるでしょう。
 たとえこれから先色々なことがあって、もし辛い目にあったり悲しい思いをしたりしても、今日のこの日を思いだせばきっとどんなことでも乗り越えていけるでしょう。
 もし、そのときわたしの隣に、このパチュリーさんがいなくても。
 もし、わたしが阿刀だか阿斗だか阿戸だかになって、今と全然違うわたしになっていたとしても。
 今日のこの日の記憶を思いだせば、わたしはいつだって幸せになることができるでしょう。
 幻想郷は、続いていきます。
 たとえ何千年何万年が経ち、外の世界がパチュリーさんが読んでいる小説のように奇怪な形に変貌していても。ひとびとの精神に幻想がある限り、この幻想郷は続いていくはずです。

 だからこんなわたしの初恋も、きっと永遠なのでしょう。
 今日一歩踏みだしたパチュリーさんの勇気も、咲夜さんの策略も、ファイロ・ヴァンスの退屈も。それどころか、この幻想郷に息づくすべての人間や妖怪さんたちの思いまで、未来永劫存在しつづけていくのです。

 ――この幻想郷の記憶たる、わたしの中で。

 そんなことを考えながら眠りに落ちるその瞬間、紫さまがにやりと笑う口元が、無意識の中にみえた気がした。

(了)
以上です。お読みいただきありがとうございました。
デルフィ
delphi@1kw.jp
http://delphi.hanagasumi.net/
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コメント



0.1470簡易評価
2.100名前が無い程度の能力削除
いい作品でした。
頑張ってはしゃぐパッチェさんにニヤニヤしながら読ませていただきました。
パッチェさんの無駄知識人ぶりも良かったです。
6.100名前が無い程度の能力削除
パッチェさんが可愛すぎて困る。
阿求さんが可愛すぎて困る。
7.100名前が無い程度の能力削除
どうしてこんなに可愛いんだろう。
あなたの書くパッチェさんと阿求さんはずっと読んでたくなります。
10.100名前が無い程度の能力削除
もう、ほんと、これこそ純愛だと……泣きそうです。
14.100コチドリ削除
お話の内容や文体、登場人物の造形、情景の描写。
全てが心地よく愛おしい、切なくなるほどに。
最強の文系少女同士の淡い恋物語、とてもとても素晴らしかったです。

……でも、転生して阿斗と名乗るのは止した方がいいかもね、あっきゅん?
16.100名前が無い程度の能力削除
ラストの一文が効いてるなー。
スキマの中から一部始終を見ていたゆかりんの目元は、きっといたずらっぽく片目だけ閉じられていた、そんな気がしました。

そしてパッチェさん可愛いよパッチェさん。あと咲夜さんの料理の描写が美味そうで腹が減るw
17.100木冬削除
たぶん、恋ですよ、それは。妬ましい(羨望)。

あと、ファイロ・ヴァンスは素晴らしい。
18.100名前が無い程度の能力削除
すばらしい純愛、ありがとうございます
24.100名前が無い程度の能力削除
すばらしく優しいお話でした。感動しました!
26.100名前が無い程度の能力削除
今更ながら、あなたのファンになってしまいました。
27.100名前が無い程度の能力削除
よかった…
28.100天井桟敷削除
それぞれの心情を丹念に書かれて。
素敵な作品、ありがとうございました。
31.100名前が無い程度の能力削除
文章が素晴らしいです。
それにキャラがみんな可愛いらしいです。
ほんとに良い作品でした。
32.100とーなす削除
くわあ、可愛いなちくしょう!
同じものを見ている筈なのに、全くかみ合わない前半部、少しずつ少しずつ互いに歩み寄っていく後半部、どちらも素敵で面白かったです。
33.90名前が無い程度の能力削除
脇役咲夜がまたいいキャラしてる。100年生きてもウブなパチュリーもかわいい
阿求、阿斗だけはダメだw
34.無評価名前が無い程度の能力削除
阿求のためにピクニックに行き、はしゃぐパチュリーが可愛すぎる。
そんなパチュリーが好きな阿求も可愛すぎる。
二人にはつかの間の春かもしれませんが、紫と一緒に、できるだけ長く、叶う限り幸せなこの二人の姿を見ていたいと願わずにいられません。
48.100名前が無い程度の能力削除
ほんとにすばらしい