「見えた!」
映姫の服を着たさとりは心を読み、ワイシャツブレザーでスカートなしの映姫の右ストレートの軌道を把握する。回避行動に移る。
しかし驚きの運動不足。重心移動ができなかった。
「避けられない!」
圧倒的な諦め。そして、めりこんだ。
メメタァ
柔らかなさとりの顔がちょっと低反発気味に凹む。
「さとり様あああああ!?」
響くお燐の悲鳴。
ちょっと粋にツイストを掛けつつ華麗に吹っ飛ぶさとり。
頭からの三途の河原に軟着陸。ぐきっという滑走音も高らかに、少女さとりは元気です。
「……ひゅふーひゅふー……お燐、こいしに伝えて。お姉ちゃんは、頑張ったって」
「さとり様あああああ!」
「私ここにいるのに何故言伝」
地霊組は仲が好い。
「さとり。反省しましたか?」
「ひゅふーひゅふー。これで、ひゅふー、勝ったつもぶふっ……!」
吐血が第三の目に入り悶絶。
「あ、あのさぁ、古明地の。あ、妹もいるのか。姉の方」
「なんでひゅふー」
「語尾みたいに……あんた身体はそこまで俊敏じゃないんだから、格闘技はやめときなって」
「ふっ……心の読める私に体術など通用するものきゃ」
噛んだ。
悶えた。
「疲労困憊だね、お姉ちゃん」
こくりこくりと頷いてみせる。
結構痛いらしくて声の返事はない。
「四季様も許してあげてくださいよ」
「さとりがしっかりと謝るまで、私の拳は許しはしないわ」
「あなたの仕事は沙汰を告げることで裁くことではありません」
「えー」
「なんですかその珍しいまでの不満顔は抱き締めますよ」
「こほん。判ったわ、許しましょう」
元地蔵の閻魔様はカナヅチであり、あわや乳の海に溺れ死ぬという事態であったがギリギリで回避した。
「さとり、あなたの罪を許します」
「そう……これで心おきなく旅立てる、わ……」
「ちなみに今黄泉路に着くと妹を悲しませた罪で河原の石を積ませますよ。七十一段くらい」
「それきっと私の身長より高いわ」
復活した。
「お姉ちゃん、体力ないのに不死身だよね」
「こいしの心配がお姉ちゃんの力になるわ」
「してない」
「ぐふぅ!」
無駄に大ダメージを負った。
「で。さとり」
「何よ、閻魔様」
しゃがむ映姫。
上を見上げるさとり。
映姫はそっと靴と靴下を脱いだ。
「返しなさい。私の服」
「嫌」
踏み。
「一度あなたを踏んでやりたいと思っていたわ」
「むきゅう」
「さとり様、それ多分他の人の科白です」
「ヒ○カチュウだったかしら」
「随分大きい半濁点だねお姉様」
映姫から溜め息が漏れた。
「何故私の服を盗んだのですか。窃盗は重罪ですよ」
「私を踏みつけむにゅうている足をどかしむにゅうたら教えてむにゅうあげるわ」
「ちょっと楽しい」
「ああ……さとり様ぁ」
「閻魔様がいけない笑みを浮かべてる」
あたふたしてるお燐と、暢気に眺めてるこいし。
そして、他の死神からの好奇の視線が若干痛い小町。
その三十秒後にそっと足はどかされた。
「さぁ、言いなさい」
「仕方ありませんね」
さとりは観念した。
「眠るときは目を閉じます」
「えぇ」
「第三の目も閉じます」
「えぇ」
なんとなく読めた映姫様。
「というわけで無意識で」
「アイデンティティ盗まれた!」
妹は嘆く。
姉は立ち上がり、そっと妹の肩に手を置き、
「ついでに服ま」
「窃盗罪。家内へ忍び入り或は土蔵を破り候類、金高雑物の多少に依らず死罪。だそうですよ?」
「幻想なのに優しくない世界……!」
さとりは驚愕した。命の危機を感じた。
「服盗んでは駄目ね」
「服以外も駄目です。が、とりあえず服返しなさい」
「ブラウス着てるじゃないですか」
「スカートがないというのは心許ない」
「下着付けない主義なのにそれはいささかハレンチでは?」
「最近つけるようになったわ」
「それはなにより」
ちなみに白い褌は濡れると透けるので要注意である。
「ではさとり」
「はい」
「罰を受ける覚悟は?」
「控えめに」
「そう」
映姫は溜め息を吐く。
「海へ行きましょうか」
「パレオでよければ五着ほど」
「にゃ!?」
お燐が小さな悲鳴を上げた。
僕等の夏は始まったばかりだ。
というか海ってどこだ。
映姫の服を着たさとりは心を読み、ワイシャツブレザーでスカートなしの映姫の右ストレートの軌道を把握する。回避行動に移る。
しかし驚きの運動不足。重心移動ができなかった。
「避けられない!」
圧倒的な諦め。そして、めりこんだ。
メメタァ
柔らかなさとりの顔がちょっと低反発気味に凹む。
「さとり様あああああ!?」
響くお燐の悲鳴。
ちょっと粋にツイストを掛けつつ華麗に吹っ飛ぶさとり。
頭からの三途の河原に軟着陸。ぐきっという滑走音も高らかに、少女さとりは元気です。
「……ひゅふーひゅふー……お燐、こいしに伝えて。お姉ちゃんは、頑張ったって」
「さとり様あああああ!」
「私ここにいるのに何故言伝」
地霊組は仲が好い。
「さとり。反省しましたか?」
「ひゅふーひゅふー。これで、ひゅふー、勝ったつもぶふっ……!」
吐血が第三の目に入り悶絶。
「あ、あのさぁ、古明地の。あ、妹もいるのか。姉の方」
「なんでひゅふー」
「語尾みたいに……あんた身体はそこまで俊敏じゃないんだから、格闘技はやめときなって」
「ふっ……心の読める私に体術など通用するものきゃ」
噛んだ。
悶えた。
「疲労困憊だね、お姉ちゃん」
こくりこくりと頷いてみせる。
結構痛いらしくて声の返事はない。
「四季様も許してあげてくださいよ」
「さとりがしっかりと謝るまで、私の拳は許しはしないわ」
「あなたの仕事は沙汰を告げることで裁くことではありません」
「えー」
「なんですかその珍しいまでの不満顔は抱き締めますよ」
「こほん。判ったわ、許しましょう」
元地蔵の閻魔様はカナヅチであり、あわや乳の海に溺れ死ぬという事態であったがギリギリで回避した。
「さとり、あなたの罪を許します」
「そう……これで心おきなく旅立てる、わ……」
「ちなみに今黄泉路に着くと妹を悲しませた罪で河原の石を積ませますよ。七十一段くらい」
「それきっと私の身長より高いわ」
復活した。
「お姉ちゃん、体力ないのに不死身だよね」
「こいしの心配がお姉ちゃんの力になるわ」
「してない」
「ぐふぅ!」
無駄に大ダメージを負った。
「で。さとり」
「何よ、閻魔様」
しゃがむ映姫。
上を見上げるさとり。
映姫はそっと靴と靴下を脱いだ。
「返しなさい。私の服」
「嫌」
踏み。
「一度あなたを踏んでやりたいと思っていたわ」
「むきゅう」
「さとり様、それ多分他の人の科白です」
「ヒ○カチュウだったかしら」
「随分大きい半濁点だねお姉様」
映姫から溜め息が漏れた。
「何故私の服を盗んだのですか。窃盗は重罪ですよ」
「私を踏みつけむにゅうている足をどかしむにゅうたら教えてむにゅうあげるわ」
「ちょっと楽しい」
「ああ……さとり様ぁ」
「閻魔様がいけない笑みを浮かべてる」
あたふたしてるお燐と、暢気に眺めてるこいし。
そして、他の死神からの好奇の視線が若干痛い小町。
その三十秒後にそっと足はどかされた。
「さぁ、言いなさい」
「仕方ありませんね」
さとりは観念した。
「眠るときは目を閉じます」
「えぇ」
「第三の目も閉じます」
「えぇ」
なんとなく読めた映姫様。
「というわけで無意識で」
「アイデンティティ盗まれた!」
妹は嘆く。
姉は立ち上がり、そっと妹の肩に手を置き、
「ついでに服ま」
「窃盗罪。家内へ忍び入り或は土蔵を破り候類、金高雑物の多少に依らず死罪。だそうですよ?」
「幻想なのに優しくない世界……!」
さとりは驚愕した。命の危機を感じた。
「服盗んでは駄目ね」
「服以外も駄目です。が、とりあえず服返しなさい」
「ブラウス着てるじゃないですか」
「スカートがないというのは心許ない」
「下着付けない主義なのにそれはいささかハレンチでは?」
「最近つけるようになったわ」
「それはなにより」
ちなみに白い褌は濡れると透けるので要注意である。
「ではさとり」
「はい」
「罰を受ける覚悟は?」
「控えめに」
「そう」
映姫は溜め息を吐く。
「海へ行きましょうか」
「パレオでよければ五着ほど」
「にゃ!?」
お燐が小さな悲鳴を上げた。
僕等の夏は始まったばかりだ。
というか海ってどこだ。
短編と言うより断編な長さですね
でも、これはこれで十分楽しめました。
最後に作者名を見たときなぜか胸の奥がキュンとしました。これがギャップ萌えというものでしょうか。
上はお堅い上着で下は赤いリボンがワンポイントの白ぱんつだけというのもギャップ萌えと言うやつなのだと思います。くまさんぱんつでも可。
乳の海で溺れ死んでみたいものです。
……だが好きだ。
こんな短い作品なのに、途中で読むのを放棄させるぐらいに。