Coolier - 新生・東方創想話

一週間後   終わり

2010/06/07 22:58:01
最終更新
サイズ
17.04KB
ページ数
1
閲覧数
2112
評価数
7/67
POINT
3000
Rate
8.90

分類タグ

僕はあと一週間で居なくなるそうだ

この事を知ったのは昨日

つまり今日で残り寿命は6日となった

昨日、変な手紙が来たのだ

≪あなたの寿命はあと1週間です。≫

あまりにも馬鹿馬鹿しくてその手紙を捨てた。

そんな事あるはずがないのだが、

真に受けとめると、実際に死ぬ残り寿命は6日後だ

だが、本気にするはずがなかった。

僕は気にせず本を読み始めた

『おい香霖ー!!』

今日も相変わらず魔理沙が商品をたかりにきた

『この商品借りてくぜー!!永遠に』

できる事なら魔理沙から商品を全て返して貰ってから死にたいものだ

その後は、僕はずっと読書をしていた。

今日も香霖堂は平和だった

その日は、霊夢は来なかった。












次の日、僕の残り寿命はあと5日

朝起きて店の掃除をはじめた。

箒をもつ時、何か違和感を感じた

箒を持っているはずなのだが、手に箒の輪郭が見えるのだ

だが、それは無意識に感じただけなので、見えるような気がするだけなので

僕は気にせず掃除をはじめた

『香霖ー!!』

今日も魔理沙は元気に僕の店のドアを蹴って入ってきた

『香霖ー?あれ?居ないのか?』

僕が掃除していたのは店の裏だ。

僕は大声を上げて

『魔理沙、君はいい加減僕の店のドアに愛を持ったらどうだ!』

と行った。

だが、さらに大きな声で返って来て

『うるせーよ!!無機物に愛なんて要らねえ!!!』

と言ってきた。なんて薄情な奴なんだ

僕は掃除を止め、店の中に入った。

『おい、香霖!!今日もこのうちわと扇風機と…………』

途中で魔理沙は話すのを止めた

一体何があったのだろうか

『香霖……………』

いつになく真剣な目だった。

『お前…………少し透けてねえか?』

魔理沙はそう言っていた。

僕も少し感じていたのだが、他の人からそう言われると、少し不安になった

『別に、なんにもないと思うよ。』

僕がそう言うと、

『あっそ』

と魔理沙は言った。

その後、魔理沙はゴミ箱に入っていた手紙に気がついた。

魔理沙は、その手紙を勝手に広げ、その内容を読んだ

その後、魔理沙は大声で笑った。

『はっはっは!!まぁこんな物に本気にすりゃあ落ち込んで影も薄くなるわな!!』

僕はそんなものに本気にした覚えは無いのだが、

もしかしたら、心の奥では本気にしてるかもしれなかった。

だが、魔理沙のその言葉を聞いて少し胸がスッとなった。

その後魔理沙は手紙をビリビリに破き、火を使って焼いた

手紙は灰となり、風に任せて飛んで行った










次の日、僕の残り寿命はあと4日だ

朝起きると、僕は少し疑問に感じた

そういえば最近霊夢の顔を見てないな

まぁ、厄介者が来なくなっても別に困らないのだが。

僕は布団をどけ、店の仕事をやろうと店に行こうとした

のれんをのけて、店の中に入ると昨日より違和感がさらに増した。

自分の手を見ると、向こうの出口の光がかすかに見えたのだ。

おかしい。

僕はあきらかにそう思い、店の鏡を取り出した。

自分の顔には、微かに後ろの棚が移っていた。

いや、透き通っていた

これは一体どういう事だ?

僕はさらに不安の気持ちが増した

≪あなたの寿命はあと一週間です≫

あの手紙の内容を思いだすと、その馬鹿げた内容がさらに本気に感じてしまっていた

一週間後、僕は消える

いや、まだ分からない。

そう自分を慰めている自分が居た

だが、今あきらかに透けている

僕の体は、透けている

そして、また僕の店に魔理沙がドアを蹴って入ってきた

『おい香霖ー!!』

僕は何も答えなかった。

もうそれどころじゃなかったからだ

魔理沙が僕を見つけると、魔理沙の顔は青ざめていた

『おい…………香霖…………!!!』

そうだ、彼女も気づいたのだ

僕がどんどん透けている事を

魔理沙は、その場で足を崩した

膝から床に落ちていった。

『おい……………まさか…………』

魔理沙も、あの手紙の事を本気にしだしていた

僕はあと一週間で消える

魔理沙は焦っていた。

焦って僕にすがりついてきた

『なぁ!どういう事だよこれ!!何透けてんだよ!!香霖!!』

魔理沙はそう言いながら僕の襟首をつかんだ

だが、そんな事をされても僕は何も感じなかった。

魔理沙は僕の襟首を離し、自分の頭に手を置いた

自分の頭を両手で押さえつけている。彼女もさすがに悩んでいるのだろう。

その後魔理沙は大声をあげ、こんな現実を認めないかのように走り去っていった。

彼女にしてはオーバーな反応じゃないのか?

少し違和感に感じたが、今度は後ろから紫が出てきた

『霖之助さん。』

彼女は、いつもの彼女と違って少し悲しそうだった。

彼女でも解決できないことなのか?

『紫さん、これは一体どういう事か分かりませんか?』

僕はそう質問すると、

『私は存じているのだけど、もう……………』

その後から話が途絶えた。

『紫さん、一体何があったのか教えてもらえませんでしょうか?』

『知っても、もうどうしようもないわよ』

だが、何も知らないで死ぬよりはマシだ

『お願いです。』

僕はそう言うと、紫は元気の無い声で話した

『結界があなたを選んだの』

結界

紫が作った結界が?

それなら、これは紫が望んだことなのか?

だが、紫は僕の心を読みとったかのように

『私はこんな事望んでない』

と答えた。

『結界が、あなたを選んだ。結界が………………。』

途中で紫は悲しい顔になり、ついに泣いてしまった。

『どうして…………………?』

どうやら、本当に紫が望んだ事ではないそうだ。

ならば、質問したい事がいくつかある

『結界を消せばいいんじゃないですか?』

僕がそう答えると、

『私だって考えたわよ……………。でも、もう無理なの。私の力ではもうどうしようも………』

その言葉で全ての希望が打ち砕かれた

ならば、あの手紙はなんなのだろうか、

『それならば、僕の店に手紙が来たのですがあれはなんですか?』

僕がそう質問すると、紫は

『……………………………………』

何も答えなかった。

まぁ、誰が書いたのかは大体予想がつくが

『あなたが書いたのではないのですか?』

僕がそう言うと、紫は崩れ落ちた

僕は紫を抱き上げ、布団に寝かせた。

紫がなぜあの手紙を書いたのかも、大体予想がつく。

結界からどこかでその話を聞いて、それを知らせるために手紙を書いたのだろう。

だが、あれだけの文章とは酷過ぎはしないだろうか。

いつのまにか結界は紫より地位の高いものになっているのだろうか。

その日は、

『ごめんなさい……………ごめんなさい…………』

と紫が謝罪する声を聞きながら、別の布団を隣の部屋に持って言って寝た。

本当は寝る必要など無いのだが、今日は寝たかった。

そして忘れたかった。こんな現実











次の日、今日で僕の寿命はあと3日だ

紫は結局、僕の家に泊まった。

朝起きると、紫は僕の布団の上に乗っていた。

ビックリした僕は、暴れてしまい紫を振り落してしまった。

その際、紫は転げ落ちて頭を床にぶつけた

『酷いわ霖之助さん。振り落すなんて』

『酷いのは君だ。おかげで嫌な夢を見るもんだ。』

僕はそう言うと、紫は泣きっ面で答えた

『もうすぐ消えるから、あなたの顔をもっと見たかっただけなのに』

僕はその言葉を聞いて、少し焦っていた

そうだ、顔

今日の僕はどのくらい透けているんだ?

僕は急いで店の中に入り、鏡を取り出して僕の顔を見た


僕の顔は昨日よりさらに透けていた

顔の目立たない所はほとんど見えなくなっており、全体的に後ろの棚が見えるようになっていた

服は透けていなかったので、ほとんど浮いているように見えた

僕は本当にもうすぐで消えるんだ

そう実感し、完全に自覚した瞬間だった

僕は膝から崩れ落ちると、紫が僕の店に入ってきた。

紫は、後ろから肘を僕の首にまわした。

抱きついている。そう言った方が近い状態だった

『暖かい…………』

紫はそう言いながら、申し訳なさそうに、離れたくないようにきつく抱きしめていた。

その時僕の店のドアが開いた。

乱暴だが、今度は蹴っていなかった

魔理沙が店の中に入ってきた。

その時、魔理沙が怒鳴り声を散らした

『紫ぃ!!!』

魔理沙がそう言うと、紫の襟首をつかみ僕から距離を離していた

『てめぇのせいだってな…………てめえの作った結界のせいだってなぁ!!!』

魔理沙は涙混じりの声で紫に怒涛を上げていた

『どういうつもりだこのやろぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』

森中に響き渡るであろうその大声は、僕と紫を圧倒させていた。

だが、紫は冷静に答えていた

『私が望んだ事じゃない。結界が望んだ事なの。』

その後、紫は僕には言ってない言葉を放った

『結界は霖之助さんに嫉妬してたらしいの。』

その言葉を聞いて、僕は一体何の話か分からなかった

『私が………私が霖之助さんが好きだから……………』

僕は紫が何を言っているのか分からなかった。だが、

彼女も完全には関係が無いわけではない事が分かった

『結界は霖之助さんを消そうと考えて…………考えて……』

そう言った後、魔理沙はさらに声を張り上げて

『だったらお前が嫌いって言えばいいじゃねえかよ!!』

あまりにも酷過ぎる言葉を吐いた。

だが、紫は反論した。

『もう…………無理よ……………。』

無理

それは僕が消えるのは、もう必然

そう言っているようなものだった

『もう結界は………霖之助さんを消し始めている………。一度消えた物はもう………元に戻らないの………』

その後、紫は恐ろしい事を言った

『完全に消えるまで』

その言葉を言った後、魔理沙の顔はさらに青ざめていた

『嘘だ…………嘘だ……………』

その後の魔理沙は、手をだらんと垂れてしまい、紫の襟首を離していた

魔理沙はそのまま、静かに僕の店を後にした

紫はその場で座りこんだ。

その場で座りこんだまま、何も動かなかった

紫はその場で泣いていた。

ただ涙を流していた。

僕は慰めるように紫の頭を撫でた

そうすると、紫はさらに涙を流した

余計な事をしたのだろうか。僕は少し申し訳ない気持ちになった。

だが、僕の命もあと3日

僕はその3日の間に、店の中の本を読み切ろうと読書を始めた











次の日、僕の命はあと2日

朝になると、まず店の中にある鏡を見つけて自分の顔を見た

昨日より段違いに透けていた

服もほとんど浮いている状態だった。

紫は、一度布団まで連れて行ったものの

いつまでも僕の手を離さないので、本が読みづらかった

結局僕は彼女の手を一晩中つなぎ、読書を続行する事に決めた

そして朝、紫さんはまだ起きていた。

半日以上寝ているような人が徹夜をするなど、かなり珍しい事だった。

僕と紫の目が合うと、紫は笑顔で僕の顔を見た。

まず、手を離して貰いたかったが、離して貰えそうになかった。

その時、ドアが開く音がした

魔理沙が今日も入ってきたのだ。

そう言えば、霊夢も最近来ていない。

だが、僕のこの事を知らずに勝手に居なくなってもいいかもしれない。

元々、霊夢とは他の人と比べると仲が良いだけで実際はそんなに仲は良くないのだ。

僕が居なくなってもどうも思わないだろう。

だが、そう思っている矢先に、魔理沙は吹っ切れたように大声を上げた

『おい香霖!!』

昨日から大声しか聞いていないような気がしたが、読書の時はやけに静かだったので耳が痛かった

『なんだ?大声を出さないでくれ。こっちも頭が痛いんだ』

魔理沙は急に、僕の目の前で 僕の言う事を聞くように普通の声で言った

『なんだよそれ…………それがもうすぐ勝手に消えようとして私達に迷惑をかける奴の言葉かよ……。』

そう言った後、魔理沙は僕の襟首をつかんだ

『なっなんだよ魔理沙。』

魔理沙は顔を赤くし、涙を流し、涙混じりの声でこう叫んだ

『私の事を好きだって言え――――――――――――!!!!』



いきなりなので意味が全く分からなかった。

だが、今の僕は間違いなくビックリしている。

言い終わった後、魔理沙は顔をさらに赤くし、そして僕の胸の中で泣き崩れてしまった。

魔理沙が僕の胸の中で泣いているときに気付いたのだが、魔理沙の後ろに霊夢が居た

どうやら魔理沙が目の前にいたせいで存在が認知できていなかったらしい。

霊夢はこっちを見て目を見開いていた

霊夢の手には、何か手紙が書かれていた

だが、霊夢はその手紙を握りしめ、外へ走っていった。

『霊夢!?』

僕はそう叫ぶと、魔理沙も後ろを見た

『え!?霊夢も居たのか!?』

そう魔理沙が言うと、さらに知らなかった事実を言った

『あいつ最近神社にこもりっぱなしって聞いたのに………』

神社にこもりっぱなし!?

僕は、霊夢を探しに外に行った

『あっ!香霖!!』

僕は二人にお願いをした

『魔理沙!!紫!!霊夢を手分けして探してくれ!!』

僕がそう言うと、魔理沙は箒を持って空を飛び、

紫はスキマの中に入っていった。

すぐに見つかるだろうと思っていたが、見つからなかった。








霊夢を探してもう何時間経っただろうか。

空はもう暗くなっている。

今は夏至の時期にいるので、午後8時は回っている事は確実だった。

僕は、一度香霖堂に戻ると、

そこに霊夢は居た

『霊夢…………?』

霊夢は、奥の部屋の入り口で座っていた

そして霊夢は、か細い声でこう喋った

『霖之助さん……………』

僕はさらに霊夢に近づいた。そして霊夢の声はさらに聞き取りやすくなった

『霖之助さん………。明日居なくなるんでしょう…………?』

明日居なくなる

どうして彼女は僕が明日居なくなる事を知っていたのだろうか。

『異変を感じたの……………』

霊夢は、さらに話を続けた

『結界に異変が……………。魔道具で調べたら…………。』

所々、声が弱々しくて聞きとれなかった。

ただ分かった事は、霊夢は僕が居なくなる事を知っていた。

どのようにして知ったのかは、何か道具を使ったのだそうだ。

『いつ知ったんだ?』

僕がそう質問すると、

『6日前…………』

と言った。

つまり、僕の所に手紙が来た時にはもう、霊夢は知っていた

僕の店に来なかったのもその為か

霊夢は、涙を流した。

僕は、彼女にとったら別に居なくても良い半妖

そう思っていたが、どうも違うそうだ。

もう少し、ランクが上だったらしい。

その後、僕はまた質問をした

『どうして僕の店に来なかったんだ?』

僕がそう言うと、霊夢はポケットから手紙を取り出した。

一度握ってくしゃくしゃになっているが、広げればちゃんと見れる物だろう。

だが、この手紙と何が関係するのだ?

『伝えたかった……………』

霊夢は。急に言葉を発した

『伝えたかった事が……たくさんあったから…………私じゃ………あの結界はどうしようもなかったから………』

霊夢の体が震えていた

『伝えたい事が………たくさんあったから………それを………手紙…………あ………あ』

霊夢は、他の二人とは違うような悲しみだった。

この手紙に伝えたい事があるのだろう。

僕はその中身を読んでみた。

だが、その中はとても読めなかった。

水で滲んでいたのだ。

良く見たら霊夢の服がぬれていた。

『霊夢、お前水たまりか湖かどこかに落ちたか?』

僕がそう言うと、霊夢は自分の服を確認した後、僕が持っていた手紙を奪い、中身を見た。

その滲んだ字を見た瞬間、霊夢は泣き叫んでしまった。

手紙をびりびりに破き、泣き叫んでいた。

これがあの幻想郷の中で一番強い巫女なのだろうか。

今の彼女は、とても弱い、守らなくてはいけないような少女に見えた。

僕は、霊夢の頭を撫でた。

撫でた瞬間、泣き声が嘘のように止んだ

だが、涙は延々と流れていた

霊夢は僕の手を握り、それを自分の顔にひっつけた。

僕の手をでこで触っているようだった。

その後、霊夢は僕の手を握ったまま、でこから離した時、僕に言いたい事を言った

その内容は、朝に魔理沙がやってきた時

僕に怒鳴った内容と同じだった。















次の日 今日が僕の命日だ

その日、香霖堂にはたくさんの人が来た。

マグカップを買ってくれたメイドや

全体的に氷の妖精と

緑色の妖精

また、あの兎の子も来ていた。

『霖之助さん、本当にここでいいのかしら?』

紫はそう言うと、

『ああ。ここが一番落ちつく』

と返した、

僕が死ぬ場所

それは僕の机と椅子の上だ

霊夢と魔理沙が手を握っていた

紫も僕の手を握っていた。

他の人は、悲しそうに、または寂しそうに僕の顔を見ていた。

そうだ、今日の僕はどのくらい透けているのだろうか

だが、この人だかりでは鏡は見えなかった。

だが、自分の手を見る限りではほとんど透けていた

僕の手を見ても、もうほとんど机しか見えなかった。

僕がどんどん居なくなっている事が分かってきた。

僕の体は、確実に徐々に無くなって来ている。

僕の目は、どんどん濁って白くなってきている。

周りの声がどんどん小さくなってきている。

そうだ。僕は消える

もう何も怖い物は無かった。

だが、願い事は徐々に頭の中に増えてきた。

無念はあったが、もうしょうがないことだ

後悔もあったが、もうしょうがないことだ

まだやりたい事もあったが、もうしょうがないことだ

二人の成長も見たかったが、それも……………

霧雨の親父さんと過ごした日、馬鹿をした日

霧雨の親父さんに娘ができた。そして親父さんがおおはしゃぎしてむりやり酒3リットルくらい飲まされた日

霊夢が僕の店に来た時の日

初めて持っていかれたのが高級お茶の葉だった時の日

しかも初めて持っていかれた日が初対面の日

紫と初めて会った日

そして3秒で後悔したあの日

それら全ては、僕の大切な

僕の大切な



願い事は、もう未来の事しかなかった


魔理沙が他の人の事が好きになって幸せになりますように

霊夢が他の人の事が好きになって幸せになりますように

紫が幻想郷をずっと平和にしてくれますように

僕は笑った。

笑顔でこの幻想郷を離れよう

そう思った。

もう霊夢の顔も魔理沙の顔も

視界が白く濁んで見えなかった。

霊夢も魔理沙も必死に叫んでいたが

もう聞きとれなくなっていた




やがて、視界は真っ白になり      何も聞こえなくなった。




















1ヶ月後  霖之助さんの命日から30日目

霖之助さんの命日

霖之助さんの服は、その場に落ちてしまった。

あの日、霖之助さんの服は完全に消えてしまったのだ。

その後と言うと、紫は自分の結界を自ら壊し

また新しい結界を張ったのだそう。

だが、壊すのには13日かかったのだ。

霖之助さんを助けるには、とても足りない数字だったのだ。

こうして、結界は新しい物に張りかえられた。

だが、もう遅かったのだ。

私と魔理沙の間には、虚しさしか残っていなかった。

時間と言う物は残酷だ、その悲しい心も、忘れない様に必死になっても

結局心の傷は癒え、悲しいも忘れてしまう。

今はなんともない自分が憎いくらいだ。

殺してやりたいくらいだ。

今日も、神社の裏に生えている花を持って香霖堂に向かう。


香霖堂には、紫が居座っている。

霖之助さんが来てからか、ずっと紫が居座っているのだ。

さらに、魔理沙もずっと居座っている。

だが、二人とも険悪でどっちがここに住むかいつも喧嘩をしている

私はそれを見て、呆れながら花を置いて、手を合わせ、霖之助さんにお願いや話を心の中で念じたりする

だが、当然そんなもの届くはずが無い。

霖之助は死んだのではない。消えたのだから。

いつもそう思うと、悲しくなってくる。

もう来るのをやめようかと思っていたが、そうはいかなかった。

やっぱり私もこの場所が好きなのだ。だから離れたくなかった。

今日は、あの日滲んでいて読めなかった手紙を

書きなおして霖之助さんのお墓の上に添えた

読んでくれないかもしれない。読めないかもしれない。

でも、この手紙だけはどうしても渡したかった。

私は手紙を墓に添えた後、霖之助さんの墓を背にして去ろうとした




頭に霖之助さんの手の感触がした

あの日、撫でてくれたの感触が。

その瞬間、私は後ろを振り向いた。





そこには、ただ霖之助さんの墓の上に私の書いた手紙が置いてあるだけだった
どうもこんにちは。
最後と魔理沙にあの言葉を叫ばせたくて書きました。
霊霖、魔理霖、紫霖と3つ入ってますが、どうだったでしょうか?
楽しんでくれたら幸いです。
ND
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.2300簡易評価
6.100名前が無い程度の能力削除
悲しすぎて、何も言えない(泣)
8.100奇声を発する程度の能力削除
涙腺が…
とっても良かったです!
11.100名前が無い程度の能力削除
何も言えない・・・
17.100名前が無い程度の能力削除
名作
涙線が崩壊
21.100砂時計削除
産 廃の作者さんですか?
あっちでも名作書いてらっしゃいますよね、うん
39.100名前が無い程度の能力削除
ああ…と声が漏れてしまった。
涙腺がやばい。
43.100名前が無い程度の能力削除
面白かった
61.無評価名前が無い程度の能力削除
涙腺決壊。嗚呼もう手元のティッシュが底をつくな・・・。