十六夜咲夜は、風呂が好きだった。
全ての仕事を一時忘れられる解放感。
疲れと共に憑き物まで落としてくれる、一日の終わりのご褒美。
悩みや問題まで水に流せたらなお良かったのに。
咲夜は一人、広く大きな脱衣所に居た。
汗の染み込んだメイド服を丁寧に脱ぎ、木製の籠へと入れていく。
他には誰も居ない。
梟の鳴き声が、やけに寂しく響いていた。
スカートを脱ぎ、着けていた銀の懐中時計を取り出す。
蓋を開けると、針は丁度午前二時を指していた。
誰も居ないこの時間に風呂を独占できるのは、メイド長の特権ではないかと思った。
実際は、この時間まで仕事が終わらず、いつも最後に一人で入っているだけなのだが。
以前は、主の生活時間帯が夜型だったため、昼過ぎに他のメイドと一緒に狭苦しく入浴していた。
主が完全な昼型になってからは、今のように一人で入浴できるようになった。
一人でのんびりと湯に浸かれるようになって、咲夜は歓喜した。
博麗の巫女さまさまである。
紅魔館の大浴場は本当に広く、洋風銭湯という言葉がぴったりだった。
柱は大理石でできており、獅子の石像が湯を吐きだしている。
あまり趣味が良いとは咲夜には思えないが、妖精メイドたちには好評だった。
そう、妖精メイドだ。
彼女たちもここを利用する。
風呂の風の字も知らなかったメイドたちに、風呂の習慣を着けさせたのも咲夜だ。
こんな立派な大浴場があるのに、水浴びだけというのはもったいない。
もっと言うと、薄汚れたメイドが主の世話をすることも認められなかった。
今ではこの場所は、紅魔館にとって無くてはならない生活空間となっていた。
服を全て脱いだ咲夜は、スライド式の曇りガラスの扉を滑らせた。
浴室からは白い湯気が溢れ出し、しっとりと体に纏わりつく。
中からシャワーの音が聞こえてきて、少しがっかりした。
どうやら先客が居るらしい。
こんな時間に一体誰が居るのだろう。
戸を閉めた咲夜は水音のする方へと近づいた。
湯気の向こうに、シャワーに打たれている紅い長髪が見えた。
「……美鈴、珍しいわね」
「ああ、咲夜さんでしたか」
紅魔館門番の紅美鈴。
彼女がこの時間に風呂に居るのは珍しかった。
普段の美鈴は妖精メイドよりも早く入るので、咲夜と時間が合うことは無い。
そういえば、美鈴と風呂で会うのは初めてだと、咲夜は気がついた。
美鈴はシャワーを浴びるのをやめ、手で顔を拭いてからこちらを見上げた。
いつも通りのへらへらとした笑顔を見ながら、咲夜は隣に腰かけた。
さっきは落胆したくせに、今は元気になっている自分の現金なところに、自分で呆れた。
「今日はどうしたのよ、こんな時間に」
「いや~、白黒が壊した門の修繕作業で遅くなっちゃいました。夜までやったかいあって、明日には修復が終わりそうです」
「あら、お疲れ様」
労いの言葉をかけると、美鈴は乾いた笑いで答えた。
そして、シャワーを手に取り、体にかけ始めた。
何の気なしに、美鈴の体を見渡す。
先ほどまでは湯気で見えなかったが、美鈴の肌には無数の傷があった、
「な……どうしたの、その傷!」
「えっ?あ、これですか?かすり傷で……」
「いいから、見せなさい!」
無理矢理押し切り、顔を近づけた。
左肩から左腕にかけて、擦り傷だらけだった。
皮が擦り?けているところもあり、赤く色づいている。
肩には青痣もできていて、見ていて痛々しい。
「今日、挑戦者が来まして…本当に大丈夫ですってば」
そう言いながら両手を振る美鈴。
右腕には刀傷ができており、大きな瘡蓋で閉じられていた。
咲夜にはまったく大丈夫な怪我には見えず、気が気ではなかった。
そして、目の前で振られている手を持て、咲夜はまた驚いた。
「その手は何!」
「え、いやこれはあいたったたたた!」
慌てて隠そうとする美鈴の腕を掴んで引っ張った。
手の中心部分の皮膚はぐずぐずに剥けており、端の部分は水ぶくれがいくつもできている。
ここまで酷いのは見たことが無い。
「酷い火傷じゃない!これはどうしたの!」
「いや、白黒のやつが門に向ってマスタースパークを撃ってきて、両手で弾いたんですが、門が少し壊れてしまいました……」
「あれを手で受け止めたの!?」
「は、はひぃ!!」
なんという無茶をしたのだろうか。
あれは熱の塊だ。そんなものを手で受けて、この程度で済んだということが信じられない。
妖怪故の頑丈さのおかげだろうか。
ともかく、美鈴はピンピンしているように見えた。
怒鳴られて慌てる美鈴を見る。
そうすることで、少し冷静さを取り戻すことができた。
「……ちょっと、手を貸しなさい」
「うぇ?」
「早くする」
「は……はぁ」
まだ怒鳴ったことでビクついているのだろうか。
美鈴は恐る恐るといった感じに手を差し出した。
再び火傷を見る。
融けて剥けた皮膚と、水ぶくれ。
見ているのも辛い。
門を護るためとはいえ、美鈴はこんな辛い怪我を負ったのか。
「少し痛いけど、我慢しなさい」
「は、はい」
咲夜は、真っ赤な美鈴の手のひらに、自分の手のひらをそっと重ねた。
水ぶくれ特有のブヨブヨとした感触が手から伝わる
「……っ!」
美鈴もやはり痛むようで、触れた瞬間、苦痛で顔が歪んだ。
だが、すぐにまた笑顔に戻った。
(早く終わらせよう)
そう思った咲夜は、自身の能力を最大限に使い始めた。
「…………あ、あれ?」
十秒ほどして、美鈴も異変に気がつく。
不思議そうに手が重ねられている部分を見ていた。
「―――はい、見てみなさい」
咲夜はそっと、手を離した。
咲夜の言葉に従い、美鈴は自分の手を見た。
「え…え、なんで?治ってる!」
驚きに目を白黒させる美鈴を見て、咲夜は満足感を味わっていた。
何と言うことは無い。
時間を操る能力を使っただけである。
美鈴の手の部分だけ時間の流れを早くし、一瞬で完治する瞬間まで持っていったのだ。
それを簡単に説明すると、美鈴は驚きながら言った。
「凄い!凄いですよ!流石は咲夜さんだ!」
「……ほら、残りもやっちゃうから見せてみなさい」
「はい!」
美鈴の笑顔を見て、咲夜は気を引き締めた。
反対の手に触れたところで、不意に美鈴は言った。
「咲夜さんの手……柔らかくて、気持ちいいなぁ」
そう言った美鈴の顔はとても穏やかで、落ちついていて、まるで痛みなんか感じて居ないようだった。
「……」
心にむず痒さを感じながらも、咲夜は治療を続けた。
~~~~~~~~~~~~~~~
「これで全部ね」
「あ、ありがとうございます!」
美鈴は顔を綻ばせて礼を言った。
そして、立ち上がって自分の体を見て確認する。
両手の火傷はもちろん、青痣も、擦り傷も、全てが無くなっていた。
ものの10分で、咲夜は全ての怪我を完治させてしまったのだ。
「ほら、いつまでも見てないで、体を洗って湯につかりましょう」
「そうですね!早く洗っちゃいましょう!」
すでに洗い始めていた咲夜に続いて、美鈴も髪を洗い始めた。
咲夜は、ごしごしという体を擦る音だけを聞いていた。
目をつぶり、泡立った髪をさらに泡立たせる。
そうして無言の中、二人は少しづつ身を清めていった。
「ねぇ、美鈴」
「なんですか、咲夜さん」
唐突に、咲夜は尋ねた。
髪を洗っているから、美鈴のことは見ることができない。
「あなた、あんな怪我でどうしてお風呂に入っていたの?」
あの火傷では、湯に浸かるのはもちろん、シャワーを握ることも辛かっただろう。
石鹸を泡立たせれば傷に染み、強烈な痛みに襲われたはずだ。
美鈴は、何の疑問も抱いてはいないようで、即答で返してきた。
「当然じゃないですか。『門番は館の顔。顔は常に綺麗にしておかねばならない』私が小汚い格好で門に立っていたら、お嬢様の品位を貶めてしまいますから」
……咲夜は、なにも言うことができなかった。
自分の言葉のように言っているが、美鈴の言ったセリフは美鈴が考えたものではない。
何年か前に美鈴に対して言った、自分自身のセリフと一字一句違わないものだった。
なんだ、私の言ったことを守っていたのか。
咲夜は、自分の胸が熱くなるのを感じていた。
まったく、応用が利かない不器用な奴め。
二人は体を洗い終わり、一緒に浴槽へと向かっていった。
そして、美鈴が風呂に足を入れるのを見てから、咲夜は美鈴と離れたところで温まろうと少しづつ距離を開け始めた。
「あぁ!咲夜さんどこ行くんですか。折角なんだし、一緒に入りましょうよ!」
しかし、気づかれて声をかけられてしまった。
とりあえず屁理屈で押し通すことにする。
「……別に、2メートルや3メートル離れていたって、一緒に入っていることに変わりはないでしょう?」
「変わりますよ!一緒に入るっていうのは、隣り合って入ることを言うんです!」
「でもね美鈴……あ、ちょっと!」
「いいから!こっちに来てくださいよ!」
咲夜は手を引かれ、為す術もなく壁際まで連行された。
手を引かれながら咲夜は、美鈴のガッチリとした手の感触を味わっていた。
こら、さっきあれだけ触ったでしょう。
なんで今になって、こんなに気になるのよ。
二人は一緒に浴槽に身を沈めた。
大きい浴槽の端っこで二人隣り合う。
肩が触れるか触れないかの位置で、隣に美鈴を感じた。
妙に意識するのもなんとなく嫌なので、とりあえず風呂を楽しむことに決めた。
咲夜は天井を見上げた。
本当に、この大浴場は無駄に広い。横にではなく、縦にである。
なにも3階分をぶち抜きで造ることは無かったのではなかろうか。
これのおかげで一度に大量のメイド妖精が収容できるが、掃除をする側としては面倒で仕方がない。
湯気で薄ぼんやりとしか見えない、天井の白熱灯。
頭の中を空っぽにして見上げていたら、おでこに冷たい雫が当たった。
びっくりして体をこわばらせると、水音がぱちゃりと響き渡った。
なんとなく、情けない姿を見せたかと思って美鈴を見ると、案の定美鈴は笑いを堪えていた。
「…っく……っふふ……」
「…………」
ジト眼を作って睨んでみる。ジト眼の作り方がわからないからこれでいいのかは分からない。
やはりというか効果は無く、こちらをお構いなしに美鈴はただ笑いを堪えるばかり。
10秒だったか。1分だったか。
美鈴はようやく落ち着きを取り戻した。
「いや……すみません。咲夜さんがすごくリラックスしてて、珍しいなぁって見てたら、あんな凄い顔で驚いて……ぐふっ、ふっふふふははははっははっは!」
話すうちに、凄い顔とやらを思い出したのだろう。
今度はお構いなしに笑い始めた。
恥ずかしい。頭がクラクラしてきた。血が上ったからだろうか。
「あはは、はは……いやぁでも、びっくりした顔、可愛かったですよ」
「………………は?」
「いつもの険しい表情も凛々しくてかっこいいですけど、やっぱり女の子らしいさっきの顔の方が咲夜さんには似合ってますよ。ついでにあの時『ひゃん!?』とか女の子っぽい悲鳴とか出してたらがばぁっぐ!」
とりあえず、おべんちゃらばかり吐き出す口には湯をぶち込んでおいた。
目や鼻にも湯が入ったらしく、美鈴は悶絶している。ざまぁみなさい。
まったく、なんだ今の言葉は。
いつのまにおべんちゃらばかり上手くなって。
ああ、またくらくらしてきた。
まだ湯に入ったばかりだというのに。
「あの、咲夜さん?」
復活した美鈴の顔が、突然目の前に現れた。
突然覗きこまれて少しびっくりした。
翡翠色の瞳が宝石みたいで綺麗だ。
少し心配そうに美鈴は言った。
「大丈夫ですか?顔が真っ赤ですけど、のぼせちゃいました?」
「―――ッ!」
ガボォン
ボゴボゴ
ボゴボゴ ドクン ボゴボゴ
ボゴボゴ ドクン
ドクン ドクン ボゴボゴ
ドクン ドクン ドクンドクンドクンドクン
水の音で満たされたかった。
なのに、気がついたら馬鹿みたいに早鐘を鳴らす心臓の音しか聞こえなかった。
目に熱い湯が入るのが嫌で、目をつぶる。
目を閉じると、隣にいる天然馬鹿の顔ばかり浮かんできた。
どれもこれも、憎らしいほどの笑顔。
こんなやつにのぼせていることが悔しい。
笑顔ばかり浮かんでくるのが癪で、ちょっとだけ目を開けてみた。
入ってくる湯はやっぱり熱くて、少し涙が出た。
「―――っぷあ!」
「あ、咲夜さん出てきた」
顔を手で拭いて美鈴を見ると、いつも通りのへらへらと軽い笑顔だった。
本物を見たらたまらなくなって、つい抱きしめたくなったけど、なんとか思い留まった。
今の私は、そういうことをして良い『場所』にはいない。
それがやっぱり悔しくて、苦しくて、自分の気持ちと現実との違いを再確認させられた。
「……のぼせたわ。もう出るわね」
悔しさと苦しさから脱したくて、浴槽から逃げた。
「あ、咲夜さ―――」
声を聞くのもたまらなかったから、時を止めて逃げた。
少しふらつきながら、脱衣所を歩く。
ちょっと隣に居ただけだろうに、本当にのぼせるとは情けない。
ボタボタと滴る水滴の音が、やけに大きく聞こえた。
真っ白になった頭の中を整理することも忘れて、大きなバスタオルを頭から被った。
被っただけで、拭こうとはしない。
そんな力は残っていなかった。
いつだったろう。
美鈴が私の心に入り込んできたのは、いつだったろう。
入りこまれたことにすら気付かないのが普通なのだろうか。
この館で働くようになって、気がついたらあれこれと世話を焼かれるようになっていた。
気がついたら楽しく話すようになり、共に食事をとるようになり、彼女に笑顔を見せるようになった。
そしていつの間にか、当然のように彼女の隣へと向かうようになった。
仕事の合間に彼女と交わす言葉は楽しく、彼女と共にする食事は美味しく、彼女の笑顔は私の心を休めた。
彼女と仕事は違うが、常に安心感を与えてくれた。
『門には美鈴が居る』と考えると、それだけでどこか心が安らいだ。
今思うと、それは『館の安全が守られる』という安心感では無かったのかもしれない。
いつでも、門には美鈴が居てくれる。
門に行けば、美鈴に会える。
それは、『私にとっての安心』だったのかもしれない。
少し体が冷えてきた。
いつの間にか、髪から滴る雫も無くなっていた。
すでに冷たくなり始めたバスタオルで、湿った髪を乱暴に拭き始めた。
美鈴の生傷を見たとき、息が止まりそうになった。
美鈴の仕事をあまり見ることができないから、話に聞き、想像することしかできない。
シエスタをしているだの、花の手入れに勤しんでいるだのと聞くと、そこまで辛い仕事をしているようには思えなかった。
美鈴の肌はぼろぼろだった。
力試しに来た挑戦者から受けた打撲、痣、刀傷。
地面に擦ったのか、擦り傷や切り傷も数多くあった。
なにより、マスタースパークを受け止めたという火傷は酷かった。
これ以上魔理沙からの襲撃を受けたら、美鈴は死んでしまうのではないかと思ってしまうほどだった。
馬鹿だ。あんな体で風呂に入るなんて。あんな手で石鹸を使っているなんて。
あんな体で笑っていられるなんて、大馬鹿だ。
もっと痛がっていいのに。
もっと甘えていいのに。
治すときに触れた美鈴の肌は、筋張っていて固かった。
傷やへこみで表面はざらざらしていて、とても少女の肌とは思えなかった。
筋肉と筋の鎧を纏った、門を護る戦士の体。
(咲夜さんの手……柔らかくて、気持ちいいなぁ)
さっきの言葉を不意に思い出し、両目の端から涙がこぼれた。
こぼれた涙は頬を伝わり、白いシャツに染み込んだ。
あれ、いつの間に私はシャツを着たのだろう。
なんだ、もう着替え終わっているじゃないか。
そんなことにも気がつかないなんて、どれだけ考えることに夢中だったのだろう。
両手で頬を叩く。
乾いた音と共に痛みが走った。
そうすることで、涙を止めた。
彼女の信じる十六夜咲夜に、きっと涙は似合わない。
私の信じる紅美鈴に、笑顔しかないように。
~~~~~~~~~~~~~~~
「あれ、咲夜さんもう大丈夫なんですか?」
「ええ、大丈夫よ。少しのぼせたけど、今は何ともないわ」
着替えが終わり、髪も乾かした咲夜は、白いYシャツに青いスウェットというラフな格好で美鈴を迎えた。
湯気を立ち上らせた美鈴の肌には、相変わらず傷が刻まれている。
咲夜は美鈴に近づき、まだ濡れている肌にそっと触れた。
「え…ちょ、咲夜さんくすぐったいですよ」
「美鈴」
咲夜はひとしきり撫でてから、美鈴に言った。
「あんまり無茶しちゃ駄目よ」
それを聞いた美鈴はしばらくきょとんとしていたが、言葉を飲み込んでから力強い笑顔になった。
「大丈夫ですよ!紅魔館も咲夜さんも、私が護ります!みんな大好きですから!」
……ああ。
こういう、どこまでも真っ直ぐな殺し文句に、私はのぼせてしまったのだろう。
この、信じきることのできる安心感。
それを与えてくれる彼女。
どちらもすでに私の世界の一部であり、私の心をめぐる血脈。
ずっと感じていたい。
ずっと私に感じさせてほしい。
あなたの世界に私が住みたい。
私の世界に暮らしてほしい。
でも、そんなことを言う勇気は、今の私にはまだないから。
咲夜は踵を返し、自分の服を両手に抱えて扉へ向かった。
扉を開けると共に、冷たい風が脱衣所に吹き込んだ。
「美鈴」
「はい?」
振り返らずに、言葉だけを風に乗せる。
顔を見ると、この程度のことも言えなくなるから、振り返らない。
そんな、どうしようもない根性無しから、貴女に贈る言葉。
「私は、一人でお風呂に入る時も、あそこまでリラックスしないわ」
「……へ?」
―――そんなことを言う勇気は、今の私にはまだ無いから。
「あなたが隣に居たからよ」
今はこれが精一杯。
FIN
全ての仕事を一時忘れられる解放感。
疲れと共に憑き物まで落としてくれる、一日の終わりのご褒美。
悩みや問題まで水に流せたらなお良かったのに。
咲夜は一人、広く大きな脱衣所に居た。
汗の染み込んだメイド服を丁寧に脱ぎ、木製の籠へと入れていく。
他には誰も居ない。
梟の鳴き声が、やけに寂しく響いていた。
スカートを脱ぎ、着けていた銀の懐中時計を取り出す。
蓋を開けると、針は丁度午前二時を指していた。
誰も居ないこの時間に風呂を独占できるのは、メイド長の特権ではないかと思った。
実際は、この時間まで仕事が終わらず、いつも最後に一人で入っているだけなのだが。
以前は、主の生活時間帯が夜型だったため、昼過ぎに他のメイドと一緒に狭苦しく入浴していた。
主が完全な昼型になってからは、今のように一人で入浴できるようになった。
一人でのんびりと湯に浸かれるようになって、咲夜は歓喜した。
博麗の巫女さまさまである。
紅魔館の大浴場は本当に広く、洋風銭湯という言葉がぴったりだった。
柱は大理石でできており、獅子の石像が湯を吐きだしている。
あまり趣味が良いとは咲夜には思えないが、妖精メイドたちには好評だった。
そう、妖精メイドだ。
彼女たちもここを利用する。
風呂の風の字も知らなかったメイドたちに、風呂の習慣を着けさせたのも咲夜だ。
こんな立派な大浴場があるのに、水浴びだけというのはもったいない。
もっと言うと、薄汚れたメイドが主の世話をすることも認められなかった。
今ではこの場所は、紅魔館にとって無くてはならない生活空間となっていた。
服を全て脱いだ咲夜は、スライド式の曇りガラスの扉を滑らせた。
浴室からは白い湯気が溢れ出し、しっとりと体に纏わりつく。
中からシャワーの音が聞こえてきて、少しがっかりした。
どうやら先客が居るらしい。
こんな時間に一体誰が居るのだろう。
戸を閉めた咲夜は水音のする方へと近づいた。
湯気の向こうに、シャワーに打たれている紅い長髪が見えた。
「……美鈴、珍しいわね」
「ああ、咲夜さんでしたか」
紅魔館門番の紅美鈴。
彼女がこの時間に風呂に居るのは珍しかった。
普段の美鈴は妖精メイドよりも早く入るので、咲夜と時間が合うことは無い。
そういえば、美鈴と風呂で会うのは初めてだと、咲夜は気がついた。
美鈴はシャワーを浴びるのをやめ、手で顔を拭いてからこちらを見上げた。
いつも通りのへらへらとした笑顔を見ながら、咲夜は隣に腰かけた。
さっきは落胆したくせに、今は元気になっている自分の現金なところに、自分で呆れた。
「今日はどうしたのよ、こんな時間に」
「いや~、白黒が壊した門の修繕作業で遅くなっちゃいました。夜までやったかいあって、明日には修復が終わりそうです」
「あら、お疲れ様」
労いの言葉をかけると、美鈴は乾いた笑いで答えた。
そして、シャワーを手に取り、体にかけ始めた。
何の気なしに、美鈴の体を見渡す。
先ほどまでは湯気で見えなかったが、美鈴の肌には無数の傷があった、
「な……どうしたの、その傷!」
「えっ?あ、これですか?かすり傷で……」
「いいから、見せなさい!」
無理矢理押し切り、顔を近づけた。
左肩から左腕にかけて、擦り傷だらけだった。
皮が擦り?けているところもあり、赤く色づいている。
肩には青痣もできていて、見ていて痛々しい。
「今日、挑戦者が来まして…本当に大丈夫ですってば」
そう言いながら両手を振る美鈴。
右腕には刀傷ができており、大きな瘡蓋で閉じられていた。
咲夜にはまったく大丈夫な怪我には見えず、気が気ではなかった。
そして、目の前で振られている手を持て、咲夜はまた驚いた。
「その手は何!」
「え、いやこれはあいたったたたた!」
慌てて隠そうとする美鈴の腕を掴んで引っ張った。
手の中心部分の皮膚はぐずぐずに剥けており、端の部分は水ぶくれがいくつもできている。
ここまで酷いのは見たことが無い。
「酷い火傷じゃない!これはどうしたの!」
「いや、白黒のやつが門に向ってマスタースパークを撃ってきて、両手で弾いたんですが、門が少し壊れてしまいました……」
「あれを手で受け止めたの!?」
「は、はひぃ!!」
なんという無茶をしたのだろうか。
あれは熱の塊だ。そんなものを手で受けて、この程度で済んだということが信じられない。
妖怪故の頑丈さのおかげだろうか。
ともかく、美鈴はピンピンしているように見えた。
怒鳴られて慌てる美鈴を見る。
そうすることで、少し冷静さを取り戻すことができた。
「……ちょっと、手を貸しなさい」
「うぇ?」
「早くする」
「は……はぁ」
まだ怒鳴ったことでビクついているのだろうか。
美鈴は恐る恐るといった感じに手を差し出した。
再び火傷を見る。
融けて剥けた皮膚と、水ぶくれ。
見ているのも辛い。
門を護るためとはいえ、美鈴はこんな辛い怪我を負ったのか。
「少し痛いけど、我慢しなさい」
「は、はい」
咲夜は、真っ赤な美鈴の手のひらに、自分の手のひらをそっと重ねた。
水ぶくれ特有のブヨブヨとした感触が手から伝わる
「……っ!」
美鈴もやはり痛むようで、触れた瞬間、苦痛で顔が歪んだ。
だが、すぐにまた笑顔に戻った。
(早く終わらせよう)
そう思った咲夜は、自身の能力を最大限に使い始めた。
「…………あ、あれ?」
十秒ほどして、美鈴も異変に気がつく。
不思議そうに手が重ねられている部分を見ていた。
「―――はい、見てみなさい」
咲夜はそっと、手を離した。
咲夜の言葉に従い、美鈴は自分の手を見た。
「え…え、なんで?治ってる!」
驚きに目を白黒させる美鈴を見て、咲夜は満足感を味わっていた。
何と言うことは無い。
時間を操る能力を使っただけである。
美鈴の手の部分だけ時間の流れを早くし、一瞬で完治する瞬間まで持っていったのだ。
それを簡単に説明すると、美鈴は驚きながら言った。
「凄い!凄いですよ!流石は咲夜さんだ!」
「……ほら、残りもやっちゃうから見せてみなさい」
「はい!」
美鈴の笑顔を見て、咲夜は気を引き締めた。
反対の手に触れたところで、不意に美鈴は言った。
「咲夜さんの手……柔らかくて、気持ちいいなぁ」
そう言った美鈴の顔はとても穏やかで、落ちついていて、まるで痛みなんか感じて居ないようだった。
「……」
心にむず痒さを感じながらも、咲夜は治療を続けた。
~~~~~~~~~~~~~~~
「これで全部ね」
「あ、ありがとうございます!」
美鈴は顔を綻ばせて礼を言った。
そして、立ち上がって自分の体を見て確認する。
両手の火傷はもちろん、青痣も、擦り傷も、全てが無くなっていた。
ものの10分で、咲夜は全ての怪我を完治させてしまったのだ。
「ほら、いつまでも見てないで、体を洗って湯につかりましょう」
「そうですね!早く洗っちゃいましょう!」
すでに洗い始めていた咲夜に続いて、美鈴も髪を洗い始めた。
咲夜は、ごしごしという体を擦る音だけを聞いていた。
目をつぶり、泡立った髪をさらに泡立たせる。
そうして無言の中、二人は少しづつ身を清めていった。
「ねぇ、美鈴」
「なんですか、咲夜さん」
唐突に、咲夜は尋ねた。
髪を洗っているから、美鈴のことは見ることができない。
「あなた、あんな怪我でどうしてお風呂に入っていたの?」
あの火傷では、湯に浸かるのはもちろん、シャワーを握ることも辛かっただろう。
石鹸を泡立たせれば傷に染み、強烈な痛みに襲われたはずだ。
美鈴は、何の疑問も抱いてはいないようで、即答で返してきた。
「当然じゃないですか。『門番は館の顔。顔は常に綺麗にしておかねばならない』私が小汚い格好で門に立っていたら、お嬢様の品位を貶めてしまいますから」
……咲夜は、なにも言うことができなかった。
自分の言葉のように言っているが、美鈴の言ったセリフは美鈴が考えたものではない。
何年か前に美鈴に対して言った、自分自身のセリフと一字一句違わないものだった。
なんだ、私の言ったことを守っていたのか。
咲夜は、自分の胸が熱くなるのを感じていた。
まったく、応用が利かない不器用な奴め。
二人は体を洗い終わり、一緒に浴槽へと向かっていった。
そして、美鈴が風呂に足を入れるのを見てから、咲夜は美鈴と離れたところで温まろうと少しづつ距離を開け始めた。
「あぁ!咲夜さんどこ行くんですか。折角なんだし、一緒に入りましょうよ!」
しかし、気づかれて声をかけられてしまった。
とりあえず屁理屈で押し通すことにする。
「……別に、2メートルや3メートル離れていたって、一緒に入っていることに変わりはないでしょう?」
「変わりますよ!一緒に入るっていうのは、隣り合って入ることを言うんです!」
「でもね美鈴……あ、ちょっと!」
「いいから!こっちに来てくださいよ!」
咲夜は手を引かれ、為す術もなく壁際まで連行された。
手を引かれながら咲夜は、美鈴のガッチリとした手の感触を味わっていた。
こら、さっきあれだけ触ったでしょう。
なんで今になって、こんなに気になるのよ。
二人は一緒に浴槽に身を沈めた。
大きい浴槽の端っこで二人隣り合う。
肩が触れるか触れないかの位置で、隣に美鈴を感じた。
妙に意識するのもなんとなく嫌なので、とりあえず風呂を楽しむことに決めた。
咲夜は天井を見上げた。
本当に、この大浴場は無駄に広い。横にではなく、縦にである。
なにも3階分をぶち抜きで造ることは無かったのではなかろうか。
これのおかげで一度に大量のメイド妖精が収容できるが、掃除をする側としては面倒で仕方がない。
湯気で薄ぼんやりとしか見えない、天井の白熱灯。
頭の中を空っぽにして見上げていたら、おでこに冷たい雫が当たった。
びっくりして体をこわばらせると、水音がぱちゃりと響き渡った。
なんとなく、情けない姿を見せたかと思って美鈴を見ると、案の定美鈴は笑いを堪えていた。
「…っく……っふふ……」
「…………」
ジト眼を作って睨んでみる。ジト眼の作り方がわからないからこれでいいのかは分からない。
やはりというか効果は無く、こちらをお構いなしに美鈴はただ笑いを堪えるばかり。
10秒だったか。1分だったか。
美鈴はようやく落ち着きを取り戻した。
「いや……すみません。咲夜さんがすごくリラックスしてて、珍しいなぁって見てたら、あんな凄い顔で驚いて……ぐふっ、ふっふふふははははっははっは!」
話すうちに、凄い顔とやらを思い出したのだろう。
今度はお構いなしに笑い始めた。
恥ずかしい。頭がクラクラしてきた。血が上ったからだろうか。
「あはは、はは……いやぁでも、びっくりした顔、可愛かったですよ」
「………………は?」
「いつもの険しい表情も凛々しくてかっこいいですけど、やっぱり女の子らしいさっきの顔の方が咲夜さんには似合ってますよ。ついでにあの時『ひゃん!?』とか女の子っぽい悲鳴とか出してたらがばぁっぐ!」
とりあえず、おべんちゃらばかり吐き出す口には湯をぶち込んでおいた。
目や鼻にも湯が入ったらしく、美鈴は悶絶している。ざまぁみなさい。
まったく、なんだ今の言葉は。
いつのまにおべんちゃらばかり上手くなって。
ああ、またくらくらしてきた。
まだ湯に入ったばかりだというのに。
「あの、咲夜さん?」
復活した美鈴の顔が、突然目の前に現れた。
突然覗きこまれて少しびっくりした。
翡翠色の瞳が宝石みたいで綺麗だ。
少し心配そうに美鈴は言った。
「大丈夫ですか?顔が真っ赤ですけど、のぼせちゃいました?」
「―――ッ!」
ガボォン
ボゴボゴ
ボゴボゴ ドクン ボゴボゴ
ボゴボゴ ドクン
ドクン ドクン ボゴボゴ
ドクン ドクン ドクンドクンドクンドクン
水の音で満たされたかった。
なのに、気がついたら馬鹿みたいに早鐘を鳴らす心臓の音しか聞こえなかった。
目に熱い湯が入るのが嫌で、目をつぶる。
目を閉じると、隣にいる天然馬鹿の顔ばかり浮かんできた。
どれもこれも、憎らしいほどの笑顔。
こんなやつにのぼせていることが悔しい。
笑顔ばかり浮かんでくるのが癪で、ちょっとだけ目を開けてみた。
入ってくる湯はやっぱり熱くて、少し涙が出た。
「―――っぷあ!」
「あ、咲夜さん出てきた」
顔を手で拭いて美鈴を見ると、いつも通りのへらへらと軽い笑顔だった。
本物を見たらたまらなくなって、つい抱きしめたくなったけど、なんとか思い留まった。
今の私は、そういうことをして良い『場所』にはいない。
それがやっぱり悔しくて、苦しくて、自分の気持ちと現実との違いを再確認させられた。
「……のぼせたわ。もう出るわね」
悔しさと苦しさから脱したくて、浴槽から逃げた。
「あ、咲夜さ―――」
声を聞くのもたまらなかったから、時を止めて逃げた。
少しふらつきながら、脱衣所を歩く。
ちょっと隣に居ただけだろうに、本当にのぼせるとは情けない。
ボタボタと滴る水滴の音が、やけに大きく聞こえた。
真っ白になった頭の中を整理することも忘れて、大きなバスタオルを頭から被った。
被っただけで、拭こうとはしない。
そんな力は残っていなかった。
いつだったろう。
美鈴が私の心に入り込んできたのは、いつだったろう。
入りこまれたことにすら気付かないのが普通なのだろうか。
この館で働くようになって、気がついたらあれこれと世話を焼かれるようになっていた。
気がついたら楽しく話すようになり、共に食事をとるようになり、彼女に笑顔を見せるようになった。
そしていつの間にか、当然のように彼女の隣へと向かうようになった。
仕事の合間に彼女と交わす言葉は楽しく、彼女と共にする食事は美味しく、彼女の笑顔は私の心を休めた。
彼女と仕事は違うが、常に安心感を与えてくれた。
『門には美鈴が居る』と考えると、それだけでどこか心が安らいだ。
今思うと、それは『館の安全が守られる』という安心感では無かったのかもしれない。
いつでも、門には美鈴が居てくれる。
門に行けば、美鈴に会える。
それは、『私にとっての安心』だったのかもしれない。
少し体が冷えてきた。
いつの間にか、髪から滴る雫も無くなっていた。
すでに冷たくなり始めたバスタオルで、湿った髪を乱暴に拭き始めた。
美鈴の生傷を見たとき、息が止まりそうになった。
美鈴の仕事をあまり見ることができないから、話に聞き、想像することしかできない。
シエスタをしているだの、花の手入れに勤しんでいるだのと聞くと、そこまで辛い仕事をしているようには思えなかった。
美鈴の肌はぼろぼろだった。
力試しに来た挑戦者から受けた打撲、痣、刀傷。
地面に擦ったのか、擦り傷や切り傷も数多くあった。
なにより、マスタースパークを受け止めたという火傷は酷かった。
これ以上魔理沙からの襲撃を受けたら、美鈴は死んでしまうのではないかと思ってしまうほどだった。
馬鹿だ。あんな体で風呂に入るなんて。あんな手で石鹸を使っているなんて。
あんな体で笑っていられるなんて、大馬鹿だ。
もっと痛がっていいのに。
もっと甘えていいのに。
治すときに触れた美鈴の肌は、筋張っていて固かった。
傷やへこみで表面はざらざらしていて、とても少女の肌とは思えなかった。
筋肉と筋の鎧を纏った、門を護る戦士の体。
(咲夜さんの手……柔らかくて、気持ちいいなぁ)
さっきの言葉を不意に思い出し、両目の端から涙がこぼれた。
こぼれた涙は頬を伝わり、白いシャツに染み込んだ。
あれ、いつの間に私はシャツを着たのだろう。
なんだ、もう着替え終わっているじゃないか。
そんなことにも気がつかないなんて、どれだけ考えることに夢中だったのだろう。
両手で頬を叩く。
乾いた音と共に痛みが走った。
そうすることで、涙を止めた。
彼女の信じる十六夜咲夜に、きっと涙は似合わない。
私の信じる紅美鈴に、笑顔しかないように。
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「あれ、咲夜さんもう大丈夫なんですか?」
「ええ、大丈夫よ。少しのぼせたけど、今は何ともないわ」
着替えが終わり、髪も乾かした咲夜は、白いYシャツに青いスウェットというラフな格好で美鈴を迎えた。
湯気を立ち上らせた美鈴の肌には、相変わらず傷が刻まれている。
咲夜は美鈴に近づき、まだ濡れている肌にそっと触れた。
「え…ちょ、咲夜さんくすぐったいですよ」
「美鈴」
咲夜はひとしきり撫でてから、美鈴に言った。
「あんまり無茶しちゃ駄目よ」
それを聞いた美鈴はしばらくきょとんとしていたが、言葉を飲み込んでから力強い笑顔になった。
「大丈夫ですよ!紅魔館も咲夜さんも、私が護ります!みんな大好きですから!」
……ああ。
こういう、どこまでも真っ直ぐな殺し文句に、私はのぼせてしまったのだろう。
この、信じきることのできる安心感。
それを与えてくれる彼女。
どちらもすでに私の世界の一部であり、私の心をめぐる血脈。
ずっと感じていたい。
ずっと私に感じさせてほしい。
あなたの世界に私が住みたい。
私の世界に暮らしてほしい。
でも、そんなことを言う勇気は、今の私にはまだないから。
咲夜は踵を返し、自分の服を両手に抱えて扉へ向かった。
扉を開けると共に、冷たい風が脱衣所に吹き込んだ。
「美鈴」
「はい?」
振り返らずに、言葉だけを風に乗せる。
顔を見ると、この程度のことも言えなくなるから、振り返らない。
そんな、どうしようもない根性無しから、貴女に贈る言葉。
「私は、一人でお風呂に入る時も、あそこまでリラックスしないわ」
「……へ?」
―――そんなことを言う勇気は、今の私にはまだ無いから。
「あなたが隣に居たからよ」
今はこれが精一杯。
FIN
風呂上りのワイシャツ咲夜さんというのがまたよし。
こういう距離感好きだなあ。
良し
でも、ささいな問題でしょう。だって、めーさくだもの。
これは続編希望