「こんにちわ、毎度おなじみ清く正しい射命丸文ですよー」
掃除中の境内に風を纏って颯爽と登場した鴉天狗。
折角集めたごみが遥か遠くへ吹き飛ばされてしまう。
いや、いいんですけどね。結果として綺麗になってくれましたし。
どうせなら掃除する前に来て欲しかったですけど。
「こんにちわ、文さん。今日も新聞の配達ですか?」
「いやあ、そういうわけでもないですが。もしお暇でしたらお話でもしたいなって」
いつもの図々しさはなりを潜め、まるで年頃の女の子のように可愛らしくはにかんでいる。
こういう所を見ると、私より遥かに長く生きているとは思えません。
だからこうしてお友達感覚で付き合えているんですけどね。
「構いませんよ。お茶を淹れるので中へどうぞ」
「お邪魔しまーす」
からんころん、からん。
「よくそんな靴で歩けますね」
「天狗下駄って言うんです。山道を歩くときなんかは重宝しますよ」
「でも、いっつも飛んでるじゃないですか」
「それもそうですね」
「……」
「早苗さーん。どこ見てるんですかー?」
「綺麗な脚が妬ましい」
「ありがとうございます。これも天狗下駄の効果です」
「あとで一つ譲ってください」
「文々。新聞を年間定期購読してくれたらサービスしますよ」
「ふむ。考えておきます」
「毎度ありー」
・・・
「へぇ、小さいくせにやたらと高性能なんですね」
「そうなんです。外の技術力は日進月歩ですから」
幻想入りするときに持ってきた携帯やデジタルカメラの使い方を文さんに説明中。
ライバルの新聞記者が携帯カメラを持っていて、興味が湧いたとか何とか。
いつの機種なのか、後で確認しにかないとなりませんね。
「うーむ…。こんな便利なものがあったら、そろそろアナログカメラが幻想入りしそうですねえ」
「かもしれませんね。でも、文さんにはアナログの方が似合ってますよ。格好いいです」
「ありがとうございます」
小さなボタンを押してデジカメにご執心の文さん。
いちいち驚いたり唸ったりしてて可愛いんですけど。
「あや? 早苗さんは何をしてるんですか?」
「お気になさらず。好きなだけデジカメを弄っていいですよ」
「いや、なんでけーたいのレンズを向けてるんですか。絶対何か撮ってるでしょ」
「怒った顔も可愛いです」
「あ、もしかして動画?! いや、やめてくださいよ、撮られるのは苦手なんですから」
「永久保存しておきますからご心配なく」
「ちょっと、だから、嫌だって言ってるのにー」
カメラから顔を逸らして必死に逃げる文さん。
ほんと可愛いなあもう。
色んな角度からその姿を撮影し、満喫した所で撮影時間が終わる。
「文さーん。もう撮り終わったから顔上げていいですよー」
「本当に?」
「本当ですよ」
のそのそと顔を上げる文さん。
ちょっと拗ねてるみたい。
「いきなり撮るの止めてくださいよ。恥ずかしいんですから」
「文さんだっていっつも隠し撮りしてるじゃないですか。これでおあいこです」
「動画はずるいですよ。はい、お返しです」
唐突にフラッシュが炊かれる。
あ、デジカメで撮られたみたい。
もう使い方覚えちゃったんだ。
「本当便利ですよね、これ」
「そうですね」
「あれ、早苗さん? ちょっとくっつきすぎですよ?」
「折角だから一緒に撮りましょうよ。ツーショット写真」
「だから自分が撮られるのは嫌だって…」
「はい、笑ってー」
文さんを抱き寄せ、顔を近づけ、撮影する。
一応撮れたものの、文さんの表情がいまいち。
私と一緒に写るのがそんなに嫌なんですかー?
「文さんが笑ってない」
「こういうのは苦手だって言ってるじゃないですか、もう」
「じゃあ、もう一回だけ」
「だからぁ」
「はい、チーズ」
ちゅっ、 カシャ。
「上手に撮れましたー」
「ちょ、ちょっと早苗さん、なにしてんすか!!?」
「綺麗に取れてますよ。見ます?」
「いや、見せなくていいですからっ」
満面の笑みの早苗と、赤くなってあたふたする文。
それもそのはず。
携帯の画面いっぱいに写された写真は、早苗が文のほっぺにキスしている写真なのだから。
「これを待ち受け画面に設定しておきましょう。よし、決定」
「いや、そんな写真すぐ消してくださいよ。今すぐに!」
「そんなに私のこと嫌いなんですか?」
「嫌いじゃないですけど、その写真を使われるのは嫌です」
唸る文と、それを眺めて楽しそうな早苗。
撮った写真をちらちら見せて遊んでいる。
「私の言う事一つ聞いてくれたら、消してあげてもいいですよ」
「うぅ…、試しに言ってみてください」
「文さんからキスしてくれたら、消してあげます」
腕を組んでふんぞり返る早苗、苦渋の選択を迫られ頭を抱える文。
一時の恥か一生の恥か。
どちらにしろ得をする早苗さん。
さあ、どう出る射命丸文。
・・・
「わ、分かりました。キスしたらちゃんと写真消してくださいね。それと、新しく撮るのも駄目ですよ」
「分かってますってー。ほら、かもんかもん」
にこにこ顔で頬を差し出す早苗に、少しずつ近付く。
てか、早苗さんがばっちり目を開けてこっちを見てるんですけど。せめて目を閉じてくださいよ。
ただでさえ恥ずかしいのに、見られてるなんてどんな羞恥プレイですかこれ。
ああ、もうどうにでもなれ、ままよ。
「ほらあ、あんまりのろのろしないでくださいよー」
焦らされ、ちょっぴり赤くなっている早苗さん。
あれは怒っているのか恥ずかしいのか。
とにかく、やることは一つ。
「失礼しますね」
早苗さんのあごを掴み、こちらを向かせ、唇へ、 キ、 キスを、 しましたっ、やったぞ!
これで文句無いだろ! 恥ずかしいわこんちくしょう!
「そ、それじゃあ、今日、のところ は、この辺で失礼します。 ご、ごきげんよう!」
早苗さんに背を向けて一目散に逃げる。
ああ、恥ずかしい恥ずかしい。
半強制だと言えこんなことになるなんて。
ああもう、少しは常識とか慎ましさを身に付けてくださいよこの現代っ子はっ。
今すぐ飛んで逃げたい所なのに、がっしりと体を掴まれる。
いや、あの、早苗さん? これ以上まだ何かさせるおつもりですか?
「やるだけやって逃げようなんて何考えてるんですか! きっちり責任とって下さいよ!!」
「誤解生みそうだからその台詞はやめてっ。これ以上ここにいたら恥ずかしくて死んでしまいます!」
「わ、私だって恥ずかしいですよ。頬っぺたにしてもらうつもりだったのに、く、くち、唇に不意打ちなんて!」
「だって私だけ恥ずかしいなんて不公平ですもん、早苗さんもこれに懲りたらあんまり私を虐めないで」
ぎゃーぎゃーぎゃー。
― 30分後 ―
「それで、なんでこんなことになってるんでしょうか…」
「恋人同士ですることの定番といったら膝枕だからです」
散々喧しく騒いだ後、文の方が折れて早苗の言いなりになる事に。
文に膝枕してもらってご満悦の早苗。
諦めきっているような、まんざらでもないような、微妙な表情の文。
「はあ、膝枕してもらえるなんて夢みたいです」
「いっそ全て夢だったらいいのに」
「証拠写真でも撮っておけば良かったですね」
「勘弁してください。それこそ恥ずかしさで死んでしまいますよ」
早苗からキスした写真はきっちりと削除した。
今日の出来事を証明するものは二人の記憶だけ。
忘れてしまえば、無かった事と同じになる儚いもの。
「文さんにも膝枕してあげましょうか?」
「いや、私はいいですよ」
「えいっ」
「あややや?」
二人の位置が逆転し、今度は早苗が膝枕をする側に。
乱れた文の髪を撫で、相変わらず笑顔の早苗。
「えへへへ」
「ご機嫌そうですね」
「一度やってみたかったんですよ」
「早苗さんの夢に、私が付き合わされてるわけですか」
「別に誰でも良かったわけじゃないですよ? こんなことするのは文さんだけです」
「弄りやすいって事ですか」
「文さんが好きだからです。大好きですよ」
あ、まずい。
早苗さんと目が合ってしまった。
これは本気だ。適当に流しちゃいけない言葉だ。
嬉しい、けど。
恥ずかしさで腕で顔を隠す。
「何で貴女は、そういうことを平気で言えるんですか」
「近頃の女の子は積極的なんです」
「直球過ぎて困ってしまいますよ…」
「文さん、顔真っ赤ですよ。これはカメラに収めておかないと」
カメラの方へ手を伸ばそうとする早苗さんの手を押さえる。
もう片方の手を伸ばそうとしてたので、そちらも手で押さえる。
私の両手で、早苗さんの両手を掴まえる。
顔を隠せなくなり、早苗さんとまた目が合う。
今度は、目を逸らさない。
「撮るのは駄目です」
「私の手を押さえていると、顔が隠せませんよ?」
「早苗さんに見られるんだったら、別にいいです。でも、撮るのは駄目」
私の言葉を聞いた早苗さんの顔が、悪戯っ子の笑いから幸せそうな笑みに変わる。
心なしか腕の力が弱まった気がする。
「えへへ。もしかして文さんも」
「ええ、早苗さんのことが好きですよ」
「嬉しい。これで晴れてカップル成立ですね」
「そうですね」
しばらく無言で見つめ合う。
恥ずかしさで逃げ出したくなる。
とても人様には見せられない醜態だ。
「文さん可愛いです。キス、してもいいですか?」
「唇になら、してもいいですよ」
「はーい」
二人の思い出を、写真ではなく心に焼き付けて。
掃除中の境内に風を纏って颯爽と登場した鴉天狗。
折角集めたごみが遥か遠くへ吹き飛ばされてしまう。
いや、いいんですけどね。結果として綺麗になってくれましたし。
どうせなら掃除する前に来て欲しかったですけど。
「こんにちわ、文さん。今日も新聞の配達ですか?」
「いやあ、そういうわけでもないですが。もしお暇でしたらお話でもしたいなって」
いつもの図々しさはなりを潜め、まるで年頃の女の子のように可愛らしくはにかんでいる。
こういう所を見ると、私より遥かに長く生きているとは思えません。
だからこうしてお友達感覚で付き合えているんですけどね。
「構いませんよ。お茶を淹れるので中へどうぞ」
「お邪魔しまーす」
からんころん、からん。
「よくそんな靴で歩けますね」
「天狗下駄って言うんです。山道を歩くときなんかは重宝しますよ」
「でも、いっつも飛んでるじゃないですか」
「それもそうですね」
「……」
「早苗さーん。どこ見てるんですかー?」
「綺麗な脚が妬ましい」
「ありがとうございます。これも天狗下駄の効果です」
「あとで一つ譲ってください」
「文々。新聞を年間定期購読してくれたらサービスしますよ」
「ふむ。考えておきます」
「毎度ありー」
・・・
「へぇ、小さいくせにやたらと高性能なんですね」
「そうなんです。外の技術力は日進月歩ですから」
幻想入りするときに持ってきた携帯やデジタルカメラの使い方を文さんに説明中。
ライバルの新聞記者が携帯カメラを持っていて、興味が湧いたとか何とか。
いつの機種なのか、後で確認しにかないとなりませんね。
「うーむ…。こんな便利なものがあったら、そろそろアナログカメラが幻想入りしそうですねえ」
「かもしれませんね。でも、文さんにはアナログの方が似合ってますよ。格好いいです」
「ありがとうございます」
小さなボタンを押してデジカメにご執心の文さん。
いちいち驚いたり唸ったりしてて可愛いんですけど。
「あや? 早苗さんは何をしてるんですか?」
「お気になさらず。好きなだけデジカメを弄っていいですよ」
「いや、なんでけーたいのレンズを向けてるんですか。絶対何か撮ってるでしょ」
「怒った顔も可愛いです」
「あ、もしかして動画?! いや、やめてくださいよ、撮られるのは苦手なんですから」
「永久保存しておきますからご心配なく」
「ちょっと、だから、嫌だって言ってるのにー」
カメラから顔を逸らして必死に逃げる文さん。
ほんと可愛いなあもう。
色んな角度からその姿を撮影し、満喫した所で撮影時間が終わる。
「文さーん。もう撮り終わったから顔上げていいですよー」
「本当に?」
「本当ですよ」
のそのそと顔を上げる文さん。
ちょっと拗ねてるみたい。
「いきなり撮るの止めてくださいよ。恥ずかしいんですから」
「文さんだっていっつも隠し撮りしてるじゃないですか。これでおあいこです」
「動画はずるいですよ。はい、お返しです」
唐突にフラッシュが炊かれる。
あ、デジカメで撮られたみたい。
もう使い方覚えちゃったんだ。
「本当便利ですよね、これ」
「そうですね」
「あれ、早苗さん? ちょっとくっつきすぎですよ?」
「折角だから一緒に撮りましょうよ。ツーショット写真」
「だから自分が撮られるのは嫌だって…」
「はい、笑ってー」
文さんを抱き寄せ、顔を近づけ、撮影する。
一応撮れたものの、文さんの表情がいまいち。
私と一緒に写るのがそんなに嫌なんですかー?
「文さんが笑ってない」
「こういうのは苦手だって言ってるじゃないですか、もう」
「じゃあ、もう一回だけ」
「だからぁ」
「はい、チーズ」
ちゅっ、 カシャ。
「上手に撮れましたー」
「ちょ、ちょっと早苗さん、なにしてんすか!!?」
「綺麗に取れてますよ。見ます?」
「いや、見せなくていいですからっ」
満面の笑みの早苗と、赤くなってあたふたする文。
それもそのはず。
携帯の画面いっぱいに写された写真は、早苗が文のほっぺにキスしている写真なのだから。
「これを待ち受け画面に設定しておきましょう。よし、決定」
「いや、そんな写真すぐ消してくださいよ。今すぐに!」
「そんなに私のこと嫌いなんですか?」
「嫌いじゃないですけど、その写真を使われるのは嫌です」
唸る文と、それを眺めて楽しそうな早苗。
撮った写真をちらちら見せて遊んでいる。
「私の言う事一つ聞いてくれたら、消してあげてもいいですよ」
「うぅ…、試しに言ってみてください」
「文さんからキスしてくれたら、消してあげます」
腕を組んでふんぞり返る早苗、苦渋の選択を迫られ頭を抱える文。
一時の恥か一生の恥か。
どちらにしろ得をする早苗さん。
さあ、どう出る射命丸文。
・・・
「わ、分かりました。キスしたらちゃんと写真消してくださいね。それと、新しく撮るのも駄目ですよ」
「分かってますってー。ほら、かもんかもん」
にこにこ顔で頬を差し出す早苗に、少しずつ近付く。
てか、早苗さんがばっちり目を開けてこっちを見てるんですけど。せめて目を閉じてくださいよ。
ただでさえ恥ずかしいのに、見られてるなんてどんな羞恥プレイですかこれ。
ああ、もうどうにでもなれ、ままよ。
「ほらあ、あんまりのろのろしないでくださいよー」
焦らされ、ちょっぴり赤くなっている早苗さん。
あれは怒っているのか恥ずかしいのか。
とにかく、やることは一つ。
「失礼しますね」
早苗さんのあごを掴み、こちらを向かせ、唇へ、 キ、 キスを、 しましたっ、やったぞ!
これで文句無いだろ! 恥ずかしいわこんちくしょう!
「そ、それじゃあ、今日、のところ は、この辺で失礼します。 ご、ごきげんよう!」
早苗さんに背を向けて一目散に逃げる。
ああ、恥ずかしい恥ずかしい。
半強制だと言えこんなことになるなんて。
ああもう、少しは常識とか慎ましさを身に付けてくださいよこの現代っ子はっ。
今すぐ飛んで逃げたい所なのに、がっしりと体を掴まれる。
いや、あの、早苗さん? これ以上まだ何かさせるおつもりですか?
「やるだけやって逃げようなんて何考えてるんですか! きっちり責任とって下さいよ!!」
「誤解生みそうだからその台詞はやめてっ。これ以上ここにいたら恥ずかしくて死んでしまいます!」
「わ、私だって恥ずかしいですよ。頬っぺたにしてもらうつもりだったのに、く、くち、唇に不意打ちなんて!」
「だって私だけ恥ずかしいなんて不公平ですもん、早苗さんもこれに懲りたらあんまり私を虐めないで」
ぎゃーぎゃーぎゃー。
― 30分後 ―
「それで、なんでこんなことになってるんでしょうか…」
「恋人同士ですることの定番といったら膝枕だからです」
散々喧しく騒いだ後、文の方が折れて早苗の言いなりになる事に。
文に膝枕してもらってご満悦の早苗。
諦めきっているような、まんざらでもないような、微妙な表情の文。
「はあ、膝枕してもらえるなんて夢みたいです」
「いっそ全て夢だったらいいのに」
「証拠写真でも撮っておけば良かったですね」
「勘弁してください。それこそ恥ずかしさで死んでしまいますよ」
早苗からキスした写真はきっちりと削除した。
今日の出来事を証明するものは二人の記憶だけ。
忘れてしまえば、無かった事と同じになる儚いもの。
「文さんにも膝枕してあげましょうか?」
「いや、私はいいですよ」
「えいっ」
「あややや?」
二人の位置が逆転し、今度は早苗が膝枕をする側に。
乱れた文の髪を撫で、相変わらず笑顔の早苗。
「えへへへ」
「ご機嫌そうですね」
「一度やってみたかったんですよ」
「早苗さんの夢に、私が付き合わされてるわけですか」
「別に誰でも良かったわけじゃないですよ? こんなことするのは文さんだけです」
「弄りやすいって事ですか」
「文さんが好きだからです。大好きですよ」
あ、まずい。
早苗さんと目が合ってしまった。
これは本気だ。適当に流しちゃいけない言葉だ。
嬉しい、けど。
恥ずかしさで腕で顔を隠す。
「何で貴女は、そういうことを平気で言えるんですか」
「近頃の女の子は積極的なんです」
「直球過ぎて困ってしまいますよ…」
「文さん、顔真っ赤ですよ。これはカメラに収めておかないと」
カメラの方へ手を伸ばそうとする早苗さんの手を押さえる。
もう片方の手を伸ばそうとしてたので、そちらも手で押さえる。
私の両手で、早苗さんの両手を掴まえる。
顔を隠せなくなり、早苗さんとまた目が合う。
今度は、目を逸らさない。
「撮るのは駄目です」
「私の手を押さえていると、顔が隠せませんよ?」
「早苗さんに見られるんだったら、別にいいです。でも、撮るのは駄目」
私の言葉を聞いた早苗さんの顔が、悪戯っ子の笑いから幸せそうな笑みに変わる。
心なしか腕の力が弱まった気がする。
「えへへ。もしかして文さんも」
「ええ、早苗さんのことが好きですよ」
「嬉しい。これで晴れてカップル成立ですね」
「そうですね」
しばらく無言で見つめ合う。
恥ずかしさで逃げ出したくなる。
とても人様には見せられない醜態だ。
「文さん可愛いです。キス、してもいいですか?」
「唇になら、してもいいですよ」
「はーい」
二人の思い出を、写真ではなく心に焼き付けて。
たまりませんね。頬が緩みました。
これでまた今週も乗りきれそうだ
堪らんな!
文の恥ずかしがりっぷりが可愛かったです。