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八苦に対する決定的な対処法~何故、聖白蓮は苦しい修行に耐えられたのだろうか?~

2010/05/24 03:21:55
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「精神修行、ですか」
「はい。心を鍛えて強い妖怪になる為にも、是非聖の修行をお聞かせ願いたいのです」
「はぁ……成程。私の修行ですか」

 気の無い返事をしたのは、命蓮寺の尼である聖白蓮。
 対するのは、同じく命蓮寺に住む妖怪の寅丸星。
 毘沙門天の代理を務める彼女は今、八苦を滅した尼僧である白蓮にその精神修行の極意を問うている最中であった。

「聖の事です。きっと、秘密の修行や素晴らしい秘伝を持っているのではないかと思いまして」
「これと言って特別な事をした覚えは無いのですけどねえ。滝行に断食に山篭り、定番の修行ばかりです」
「無論、聖がそれらをこなされたのも存じています。そして、私達もまた修行の一環としてそれらを行った経験があります。
 なればこそ、それらにプラスアルファとして行った修行を教えて頂きたい!」
「プラスアルファ……えーっと……?」

 真剣な星の視線に気圧されて、白蓮は仕方なく己の半生を振り返る。

 最初に浮かんだのは、今は亡き弟・命蓮との日々だった。
 カリスマ的な人気と強烈な法力を持ったチョイワル僧侶である彼は、正に時代の寵児そのもの。
 ついうっかり中身ごと穀倉を運んでしまうドジっぷりに加え、中身を数珠繋ぎにして返品する生真面目さも持ち合わせていた。
 祈祷の名目でダンスパーティーを開いて護法童子を招待して天皇の病気を治したりと、とにかく彼は若い頃から相当な無茶をしていたのだ。
 白蓮は、そんな弟に振り回されながらも一身に愛情を注いでいた。唯一の肉親なのだ。愛さない理由は無い。
 盗んだ飛鉢で走り出す不良少年だとしても、それでも彼は言うのは愛おしい相手だったのだから。

「……あの時は、色々と苦労をした物です」
「――! やはり、厳しい苦労は修行に必要不可欠ですか!」
「ええ。今でも、やはり苦労が必要なのだと思います」
「成程! 流石は聖です!」

 興奮する星に微笑み掛けながらも、白蓮の回想は次の出来事へ。
 弟を亡くした後、白蓮は人を辞めて魔道へと堕ちる。
 魔界の一角で修行に明け暮れ、ただひたすらに死の恐怖から逃げる日々。
 魔法使いになる為の修行は厳しい物だった。
 耳元で黒板を引っ掻かれる。十代の頃に創造したオリジナルの魔法呪文を朗読される。一ヶ月間下着を交換出来ない。娯楽絵巻でも読もうかなと思えばネタバレをされてしまう。
 それらは、修行と言うよりももはや拷問だった。
 心を破壊する拷問の数々だ。常人ならば精神をすり減らし、狂気と絶望の渦へと飲み込まれてしまいかねない拷問の数々。
 それでも、白蓮はそれらに耐える事が出来た。ただ、死の恐怖から逃れる為に。
 だからこそ、白蓮は力を手に入れる事が出来たのだ。
 魔法使いとしての力――不老にして、不死の肉体を。

「……やはり、苦痛に耐えるのが必要なのやもしれませんね」
「成程……聖もまた厳しい苦行に耐えたのですね」
「はい。心と身体を極限まで虐めてこそ、悟りが開けるのですから」

 心と体を虐めるとの言葉に少しばかり怖気づいた星を横目に見ながら、さらに白蓮の回想は次の段階へと進む。
 山のとある寺に集った妖怪の少女達。
 妖怪を崇める魔法使いとなった白蓮は、妖怪を保護する為、寺に妖怪を集めたのだ。
 舟幽霊に入道使いに虎の妖怪――どれもこれも、問題児ばかりだった。
 当然、命の危機に晒される事は何度も経験している。
 海で危うく溺れ死にかけた事もあったし、巨大な拳に握りつぶされかけた事もあった。
 それでも、白蓮は愛情を以って彼女達に接していたのだ。
 その心が通じたからだろうか? 何時しか、彼女達は白蓮を慕う様になっていた。
 かつての敵は何時しか同志へと変わり、その絆は何百年もの時を超えて今も繋がっている。
 だからこそ、先の異変においても白蓮は法界から無事に解放されたのだ。

「そう言えば、昔は皆にも手を焼きましたっけ……思い返せばあれもまた精神修行の一環だったのかもしれません」
「ううっ、お恥ずかしいばかりです」
「星に噛まれた事だって一度や二度ではありませんが……そこで流した血や零した肉があったからこそ、今の私と星があるのだと思います。
 上っ面だけではなく、痛みや熱を伴うスキンシップがあったからこそ相手の本心が理解出来る。きっと、そう言う事なのでしょう」
「痛みや熱があってこそ、絆が生まれる――成程!」

 星の瞳には、じんわりと涙が滲んでいる。
 白蓮の優しい言葉は、さながら砂漠に染み込む雨粒の如し。
 優しい言葉と純粋な愛情が、星を感涙させていた。

「思い返せば、修行とは即ち己を虐めては虐げ、極限までいたぶる事。
 その苦痛から目を背けずに、一つの目的に向けて一心不乱に突き進む信念こそが、精神の強さなのでしょう」
「素晴らしい。流石は聖です!」
「星の信念が鋼の如く頑強であるならば、きっとその修行は成功しますよ。星の修行が成功する事を、心から願っています
 ……最初にお願いされていたプラスアルファについては、力になれませんでしたけどね」
「とんでもない! 思えば、基礎の修行を疎かにしようとしていたのは他ならぬ私です!
 私は……私は、そんな自分が恥ずかしい! 基礎の修行にしっかりと取り組む事で、必ずや強い心を手に入れて見せます!」
「その心意気ですよ」

 手と手を取り合い、見つめ合いながら言葉を掛け合う白蓮と星。
 白蓮は優しく星の手を握り、星に至っては白蓮の愛に感涙してしまっている。

「思い返せば、私も最初から強い人間ではありませんでした。死を恐れる愚かな人間の一人だったのですから。
 それでも、修行を通じる事で徐々に強くなれたのでしょう」
「成程……」
「最初は、逃げたくもなりました。どうしてこんな事をしているのだろうかと自分が嫌になる事もありました。
 弟の破天荒な行いを見守るのも、魔界での修行も、貴女達妖怪との日々も……正直、痛くて苦しい事ばかりでした」
「お恥ずかしいばかりです。本当に、ご迷惑をお掛けしてしまいましたからね」
「それでも私は耐えました。この修行が何時の日にか血肉となる事をを信じて。ひたすらに、愚かな行為なのではないかと感じながらも、ただ真っ直ぐに」
「素晴らしいです」
「……そしてある時にふと気付いたのです。今までは辛かった修行が、楽しくなっている。
 あらゆる苦痛を相手にしても、それらを受け入れられる自分になっていると」
「つまり、それは」
「はい。修行に修行を重ね、ひたすらに己の心を研ぎ澄まし、苦行に苦行を重ね続けた結果――」




















      _,,..,,_
    ,'´⌒ ⌒' ,
    i (ノノハ), )
    ノ ,リ.゚ ヮ゚ノi(_   気が付けばマゾになっていたのです。修行って楽しいですね♪
   ( (,( i:::lxl::i,)つ)
   )/(ソ:::八:ヽ\
   ~~'i.フ'i.フ`~'
       ̄  ̄


星「やっぱり修行はやめときます」
最初は、天子が命蓮寺で座禅をしたら肩を叩かれてビクンビクンと喜ぶネタだったんです
でも聖さんがドMの方が面白そうだったんです
それだけの事なんです
はるか
[email protected]
http://www.geocities.jp/youjo_teisyoku/
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コメント



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1.60No.1削除
ぅぅぅ……なんとなく読めていましたけどね。

ちょっと違和感のあった部分  ↓ もの、とひらがな表記のほうがいいかもです。
>色々と苦労をした物です
>厳しい物

どことなく重複表現っぽい部分 ↓
>厳しい苦労
6.100名前が無い程度の能力削除
〉盗んだ飛鉢で走り出す


俺の負けだwww
8.80名前が無い程度の能力削除
マゾひじりんか・・・
12.100名前が無い程度の能力削除
無償の愛的な…
13.70ぺ・四潤削除
耳元で黒板を引っ掻かれる。十代の頃に創造したオリジナルの魔法呪文を朗読される。
な、なんて恐ろしい修行だ……!
そして一ヶ月穿き続けた下着は何処にやった!
18.100名前が無い程度の能力削除
天人の強さの秘訣がここに・・・っ!
23.100名前が無い程度の能力削除
さdとまzは表裏一体だよ
28.80名前が無い程度の能力削除
苦行を重ねてある一線を超えればそこには……
31.100名前が無い程度の能力削除
M蓮寺w