正体不明!怪盗アキュー!
作曲 怪盗アキュー
作詞 怪盗アキュー
歌 怪盗アキュー
(テンテンテケテンテレテレテッテッテー)
アキュー!アキュー!アキュー!アキュー!
(テンテンテケテンテレテレテッテッテー)
アキュー!アキュー!アキュー!アキュー!
怪盗アキューを知ってるかい、正体不明の怪盗さ
すくうる水着で身を飾り、影から影へと消えて行き
辞書を片手に相手を倒せ、ばれないように相手を倒せ
逝け!アキューハンマー!
逝け!アキュービリビリアタック!
宝を求めて四苦八苦、華麗に盗むが怪盗パワー
時にはピンチもあるけれど、そんな時は必殺技さ
逝け!アキュー変装アタック
逝け!アキューけむり玉
今まで真面目に生きてたんだ、犯罪行為に手に染めて
一族の名の元に母の後を継ぐのだ怪盗アキュー!
すくうる水着で身を飾り、華麗に綺麗に宝を盗め
アキュー!アキュー!アキュー!アキュー!
宝は全て私のものさ、今日も盗んで盗んで盗みまくる
怪盗アキューのお通りだ!
第一話 華麗に登場!怪盗アキュー
母親が怪盗ということを知ったのは、私の死期がそう遠く無い時期であった。
今代の私がするべき幻想郷縁起を編纂し終え、年が二十となった日。
私は母親に呼び出された。
「なんですかお母さん」
「……」
母親は私が部屋に入っても目を瞑り座っていた。
家宝として伝えられている妙な服装で。
「その格好は一体?」
「ねえ阿求ちゃん、人里で有名な怪盗ヒエダノって知ってる?」
「はい、幻想郷に住む正体不明の怪盗ですよね、私が生まれる前から居たと聞いています」
「それ私なのよ」
衝撃の発言であった。
私の母親が怪盗。
木下さんの家のテーブルの足や、田吾作さんのカツラ、ドルビッチさんのペットのアメーバ、シュルルさんのクッキー、カイボラオーさんの家のりんごを盗んだのが母親だと言うのか。
「まさか母さんがそんな…」
「稗田家は代々怪盗一族なのよ」
衝撃の事実である。
稗田は幻想郷の歴史を編纂する裏でそんなことをやっていたというのか。
「一族…?」
「ええ、稗田家の長女は二十を迎えたら怪盗をやらなければならない」
神は死んだ。
私がそう思った瞬間、妖怪の山に住む秋の神様が川に落ちたらしいが本筋とは関係が無い。
私は長女なのだ、例え短命なのが決まっていてもそれは変わらない。
「そんな、じゃあまさか…」
「阿求ちゃん、貴方は今日から怪盗アキューよ!」
母親は三十後半の巨乳を揺らしながら。
まだ父親と夜も現役である身体に代々稗田家に伝えられているすくうる水着で身を包みながら私を指差してきた。
もうそろそろいい年をしているのだから自重して欲しい。
「いやでも、私が…怪盗?」
「ええ貴方は怪盗センスがあるわよ、私が保証する」
怪盗センスって何なんだ。
盗みなんてしたことの無い私にそんなものあるというのか。
「それ着て?」
「ええ、これを着て」
母親は自分の着ているすくうる水着を脱ぎ、私に渡して着た。
なんだかほかほかしているし、所々濡れている。
これを着ろというのか。
「さあ早く!」
結局着ることになってしまった。
どうしてこうなってしまったのだろう。
それが私稗田阿求の怪盗生活の始まりであった。
第四話 ライバル登場!慧音警部現る!
「おはようございます慧音さん」
「おはよう阿求」
怪盗になった私は嫌々ながらも怪盗となることにした。
今まで真面目に生きてきたのだ、盗みなんてとんでもないことだ。
そう思っていたのだが、これはこれで案外楽しい。
楽しくて楽しくて仕方が無いのだ。
ばれたらどうしようという罪悪感に、阿求としての顔とアキューとしての顔を使い分けるといったゲームのような感覚。
そして犯罪行為という背徳感がたまらない。
「また怪盗アキューが現れたらしいですね」
「ああ…一体誰がこんなひどいことを…」
「一体何が盗まれたのですか?」
「それはだな」
知っているが、尋ねる。
今の私はアキューで無く、阿求なのだ。
そうしていると近くにいた人達が突然騒ぎ始めた。
「怪盗だ!怪盗がまたでたぞ」
「なんだって!」
「今回はどこがやられた!」
「佐藤の家だ!」
「どのだよ」
「一丁目の佐藤がやられた!」
「だからどのだよ」
「今回は何を盗まれたんだ?」
「トイレットペーパーを根こそぎ盗んだらしいぜ…」
「なんだって、それじゃあ…」
「ああ朝地獄だったらしいぜ…」
「くっ怪盗アキューめ、ひどいことをしやがる…」
「一体正体は誰なんだ怪盗アキュー」
「慧音様は何をしてるんだ!」
「このままでは里が地獄になってしまう…」
今回盗んだ獲物は佐藤さんの家のトイレットペーパーだ。
私ってなんという極悪な怪盗なんでしょうか。
トイレに入った瞬間にある筈のトイレットペーパーが無いなんて地獄のような光景だ。
ふふふふふふ…
「皆の者落ち着け!」
「慧音様、アキューの残忍な犯行をなんとかしてくだせえ」
「このままじゃ夜も眠れません」
「私に考えがある、私は今後怪盗アキューを捕まえるべく警部となる!」
警部ですか、怪盗を捕まえるのは警部の仕事ですからね。
良いでしょう、しかし私は捕まりませんよ。
慧音さん、いや慧音警部。
第十二話 救え!紅魔館の秘宝 前編
紅魔館の地下には宝が眠っているという。
当主であるレミリア・スカーレットが厳重に、誰にも見せたことが無いぐらいに大切にしている宝が。
それを聞きつけた私は早速盗み出すために紅魔館に忍び込み、今地下室への階段を降りている。
そこで出会ったのだ。
紅魔館の秘宝。
いやフランドール・スカーレットという一人の少女に。
「貴方だーれ?」
地下室の部屋に忍び込むと、一人の少女に出会った。
これが秘宝の正体なのだろうか。
「私は怪盗アキューよ、秘宝を盗みにきた」
「秘宝?」
可愛らしい顔を傾げ、不思議そうな顔をする少女。
部屋を見回しても壊れた物が散乱しているだけで秘宝のような物は無い。
「ああ、紅魔館の秘宝と呼ばれる君を。名をなんという?」
「私はフランドール・スカーレットだよ」
「そうかなら君を盗ませて貰っていいか」
「ダメ」
「だろうな」
首を振られ断られる。
まあ当然か、者を物のように盗むなんて怪盗で無く誘拐だ。
「私はここから出たらダメだから」
「どういうことだ?」
その少女から聞いた言葉に私は驚きを隠せなかった。
何しろ少々気が触れているため、その生きてきた時間のほとんどを地下室で幽閉されて過ごしていたというのだ。
私の聞いた話とはまったく違う。
私の聞いた秘宝はこんな薄暗い部屋に幽閉されていていいはずが無い。
「だからダメ、貴方も帰った方がいいよ私に殺されちゃうから」
「いや…」
秘宝というものは人に見せてこその秘宝だ。
「怪盗アキューの名に賭けて私は君をこの部屋から盗む」
十五話 救え!紅魔館の秘宝 完結編
レミリアとフランは和解し、あの薄暗い地下に閉じ込められることはもう無いだろう。
私の仕事は終わりだ。
「ねぇアキュー、もう行ってしまうの?」
「貴方なら我が家にずっといても…」
帰ろうとした私は和解した二人に引き止められていた。
正直な話、ここにいても良いと思っているが…。
「私は怪盗である前に人間だ、吸血鬼の横には立てないよ」
寿命。
人間と吸血鬼の間には絶望的な差がある。
どうあがいても一緒にいることはできないのだ。
私は人間の中でも特に短命、ここにいても彼女たちを悲しませてしまうだけだ。
「だったら私の下僕にしてあげる!」
「ダメよ…貴方がやったらアキューが死んでしまう」
フランドールはまだ自分の力を扱い切れてない。
下僕にしようとしたら私はきっと転生できないぐらいに破壊されてしまうだろう。
「だったらお姉さまが!」
レミリアは首を振る。
「私は碌に血が吸えないから無理なのよ」
「だったら私が何年かかってでも絶対力を制御する、だからお願い」
「それは…」
無理だろう。
今までずっとあそこにいたのだ、そんな急に力を制御できるわけが無い。その前に私の寿命が尽きる。しかしこれを言っていいのだろうか
悩んでいる時に、普段人里で聞きなれている声が聞こえて来た。
「こらアキュー待てー!」
遠くの方から声が聞こえてくる。
慧音警部の声だ、見つかってしまったらしい。
「アキュー早く行ったほうがいいわよ」
レミリアが私を急かす。
「ねえアキュー、また来てくれる?」
「いや来ないだろう」
「どうして!」
「隠された宝がある所に行くそれが怪盗さ、ここにはもう隠された宝は無い」
怪盗は、どこまでいっても怪盗なのだ。
隠された宝を盗まない怪盗なんて怪盗では無い。
「じゃあ待ってる、宝を用意して待ってるから!」
「それならばまたくるかも知れないな…さらばだ!」
宝がある所に怪盗アキューあり。
どんな物でも盗む、それいけ僕らの怪盗アキュー!
これからも隠された宝を盗んで盗んで盗みまくるんだ。
総集編 完
とっつぁんの声で脳内再生されたwwww
ツッコミ所が多くて面白かったですwww
ただ、面白かったのは間違いないです~
誤字 地下の会談→階段
レオタードの怪盗がいるんだからすくみずでもいいじゃない。違った、透くうる水着だな。素晴らしい。
「なんだかほかほかしているし、所々濡れている。」……どの部分がですか?
誰も突っ込まないから俺がしよう。総集編って何だよwww
だがすくうる水着なAQNと仲良し姉妹に免じて許す
紅魔館編を総集編でなく読みたいな。
それがやりたかっただけだろww
うん、まぁ良い話……かな?w
突っ込みどころ満載ですが、阿求の背景を思うと物悲しいですね……