――――古明地さとりは、困惑していた。
目が覚めた直後の、ぼんやりとした意識と視界を無理にはっきりさせるように首を振る。
眼前に広がる状況が飲み込めない、言い表せない恐怖が、疑問が、頭の中で渦巻く。
頬を叩き、眼をこすり、視界をはっきりさせる。
クリアになった目に映ったのは、滅茶苦茶にどかされた足元の掛け布団。
そして、そこに無造作に放られた下着が一枚。
さとりは、パジャマのボタンが全て外れている事に気づいた。
何故? 寝る前は確かに就寝用の下着を付けて、ボタンもしっかり閉めていたはずなのに。
ズボンの方は乱れた後も無く、下着が脱げているなんて事は勿論無い。
あまりにも蒸し暑い日が続いたせいで、寝苦しくなって眠っているうちに布団を蹴ってしまっていたのかと考えたが、すぐにありえないと考え直す。
自分は寝つきも寝相も良い方だ。
風呂に入り、氷をたっぷりと入れた紅茶を飲んで体を程よく冷まし、ピンと張ったシーツに毎日干している布団を首元まで被せる。
そうすればいつも数分と経たずに寝てしまう。
なのにどうした事か、ここ最近、朝目覚めると決まって布団がどかされている。
最近、そうだ、ここ最近、急にこのような状況が続くようになっている。
確か、最初に気づいたのは布団のずれ、そして次に衣服の乱れ。
今のように下着が外れているのではなく、パジャマがめくれている程度で、その時はやはり暑さのせいかと思っていたが。
さとりは確信した、これは、明らかに自分でやったことじゃない。
仮にあまりの寝苦しさで自分が布団を蹴ってしまったり、だらしなくパジャマをめくってしまったとしても、こんな、下着を脱ぎ捨てて、肌をあらわにするなんていうはしたない事を――。
考えられる事は一つ、誰かが寝ている間に寝室に入り込んでいるという事。
思い浮かんだのはまず三人、ペットのお燐、お空、妹のこいし。
他のペットは今では好き勝手に働いているし、わざわざ寝床に忍び込むなんていう真似はまずしない。
だとするとこの中の誰かが、しかし誰だかがわからない。
お空はまず違う、あの娘は物忘れは激しいが言いつけをきちんと守る、それに今の時期は間欠泉地下センター の温度調節に忙しい為、帰ってくる日は少ない。
お燐も同じで、火力を保つ為にせっせと死体を運んでいるはずだ。
しかし……どうだろうか、確か忙しいせいでまだ発情期が来てないし、持て余したお燐がこっそり抜け出して忍び込む可能性は否定出来ない。
もし燐なら、来た瞬間に第三の眼がすぐさまその心の中を読むはずだ、発情期の猫というのは、色々と激しいし。
だとしたら、残るのは……こいし。
いや、こいしも違う、いつも帰ってきたらあの娘が寝るまで傍にいるからだ。
朝早くから出かけ、夜遅くに帰る妹と過ごす唯一の時間。
最早日課と言ってもいい、すやすやと眠るあの娘は、妹だけあってか寝付きがいい。
考える程わからなくなる、では誰が。
いや、誰が、という事は今は重要視する事じゃない、問題視すべきことは、この行為が段々とエスカレートしているという事だ。
誰かとわからない存在に布団がどかされ、パジャマがめくられ、そして今日、とうとう下着が脱がされている。
おぞましい想像が頭を過ぎる、そうだとすれば次は一体、どうされてしまうのだろうかと。
誰が、どうしてなどと考えるのは今は後回しにしよう、考えるべきなのはどうやってその行為を阻止し、犯人を捕らえるという事だ。
早速、着替えて対策を練らないといけない。
困惑を振り払うように首を振る。
さとりは今、一つの決意を胸に抱く、相手が誰で三人の中の誰であろうと容赦はしない。
安らかな目覚めを、貞操を守る為に。
「それで、考えた策がこれかい?」
地霊殿の広間、難しい顔をしながら考え事をしているさとりに星熊勇儀はやや呆れ気味に言った。
大きな音を立ててテーブルに十冊ばかり積み上げられた本を置く、長い間読まれていなかったのだろう、途端にぶわりと埃が舞った。
「こほ……ええ、私の考える限りの確実な策です」
手で埃を払いながらさとりは心なしか自信ありげな表情で答える。
「なんというか、うん、お前さんらしいと思うよ」
(見た目が子供っぽいからって頭の中まで子供っぽくなんなくてもいいと思うけど。)
「ちょっと勇儀、聞こえて……けほ、……随分埃の被った本ですね、どこから持ってきたんですか?」
「ああ、地上の盟友に借りてきたんだ、ほらお前さんも会ってるだろ? あの魔法使い」
「こほっこほ……霧雨魔理沙ですね……ふぅ」
落ち着いてきた所で、本を睨む。
これは寝室に持っていく前に綺麗にしないと駄目かもしれない、ベットが埃まみれになる所なんて想像もしたくない。
この本達こそ、この策に必要なアイテムなのだから。
さとりが考えた策、それはシンプルに『寝ないで待ち構える』という事だった。
夜更かしというものが苦手だったさとりだが、どれくらい起きていられるかと 何度か試した事があり、その都度、布団に入ってしまうとやはり数分も経たないうちに眠ってしまっている。
自分の事ながら良すぎる寝付きに呆れてしまう。
犯人を捕らえる為には現場を押さえる必要がある、こちらが寝ていると油断させ近づいてきた所を捕まえる、それ故に布団に入っていなければならない。
この本は寝てしまわないように意識を本に集中させると同時に、カモフラージュの役割も果たす。
ドアが開いた瞬間、いかにも読んでる途中で寝てしまったという風を演出するのだ、そうすれば明かりを付けたままでも疑問を持たれる事はないだろう。
完璧な策だった、自分で自分を褒めてしまいたいくらいに。
「うふ、うふふふふふふ」
相手をまんまと出し抜いた時の、何となくお燐の驚愕に染まる顔を想像し、思わず笑みが零れる。
「なぁ、なんなら私が見張っててやろうか?」
その様子に不安を感じ、勇儀が提案する。
「いえ、ご心配には及びませんよ、身内の問題は身内で解決しますので……それに」
「それに?」
「年中お酒の匂いをさせてる人が寝室の近くに居てもすぐにバレちゃいますから」
「さもありなん、あはは、こりゃ手厳しいな」
「ふふ、お気持ちだけ受け取っておきます」
(ま、何とかなるかね)
苦笑いを浮かべる勇儀の心遣いはありがたかった、しかし来てもらったのは本を用意して貰う為だけであり、そこまでしてもらう必要は無い。
勿論、言った言葉通りの理由もあるが、彼女にそんな面倒を押し付けるような事は出来ない。
「お礼に今度、美味しいお酒と料理を用意しておきますよ」
「ほぉ、そりゃ楽しみだな……そんじゃ、そん時に面白い話も聞かせてもらうよ」
肩を鳴らし、手を振りながら帰る勇儀に、期待しないで下さいねと呟く。
「さて……と」 さとりは立ち上がり、本を拭く為の布巾を取りに台所へ向かった。
夜も更けて、もうどれくらい経っただろうか。
「ふぁ……んむ」
欠伸で出てきた涙を拭い、本の続きに集中する。
スタンドライトの淡く柔らかな光と、暖かな布団の温もりと感触、そして静かな寝室に規則的に響く紙の擦れる音。
眠気を誘うには充分だった、まどろむまぶたは重く、しかし起きていられるのは勇儀が持ってきた本が意外にも面白い物だったおかげか。
十冊のうち、読み終えた本は三冊目を超え、四冊目の本も既に中盤に差し掛かっている。
幻想郷には無い外の世界の本は、とても興味深く面白い、住んでいる場所から遠くの地へ来てしまった黒猫と名前がいっぱいある虎猫の友情を書いた本や、山へ狩りに来た二人の猟師がレストランという奇妙な食事処に入っていくといった本、今読んでいるのは楽器の練習をしている青年の所に動物達が訪れるといった、どれも変わった物語だった。
子供向けに書き直されているのか、ひらがなが多いのはありがたい、魔理沙には悪いがこれはしばらく借りておいて、じっくりと読み直そう。
「それにしても」
……遅い、そろそろ日が変わっていてもおかしくない時間だというのに。
もしかしたら今日は来ないんじゃないのかという考えがよぎる、しかしそれはないだろう。
ここ連日の行為が突然止まるとは思えない。
「んー……」
そろそろ視界がぼやけてくる、目を擦るが視界は晴れず、ぼんやりとした薄明かりと潰れた文字が見える、確か、狸の子供が来た所だっけか、続きは……。
駄目だ、頭が入らない。
寝てしまってはここまで起きて来た努力が水の泡になってしまう。
かっと目を開き、片手で頬を適当に叩く、じんじんと痛むほど叩けば少しは目も覚めるかもしれない。
気合を入れないといけない、今日中に解決しなければまた明日から、いや今日からか、私の寝室に忍び込んだ犯人がやって来るだろう。
そうなれば、安眠すら叶わなくなるかもしれない。
というか、プライバシーもへったくれもない。
それだけは避けなければならなかった。
睡眠をしている時は体を休めるだけではない、心を読む第三の目が、その瞳を閉じられる唯一の時間なのだから。
「ぁ」
持っていた本が手から落ち、顔に当たり枕元に落ちる。
「……痛っ」
ぼうっとしていたせいか、思い出したかのように本の続きを読もうと手を伸ばすが、だらしなく動かした手は本に合わさるだけで掴む事は無かった。
ああ、眠い。
まぶたが重い、頭にもやがかかったように、何も考えられなくなる。
心の奥底で、寝ては駄目だと警鐘を鳴らすが、遠く聞こえる鐘の音は頭に届く事は無い。
最早我慢の限界だった。
四肢の力が抜ける、第三の眼に手をかざし、閉ざさせる。
プツン、と何かが切れる感じ、シャットダウン、完全な無音。
瞼を閉じる、重く、心地良く、ブラックアウト、深淵の世界。
しかるのち聞こえてきたのは、静かな寝息。
………………
…………
……
「う……ん……うん?」
息苦しさと、腹から下に感じる重みにうっすらと目を覚ます。
一瞬、後悔、しかし直後に、確信する。
この体に感じる重みは、忍び込んできた者のものだと。
視線を体に移すと、被られた布団の中でもぞもぞと動いている、柔らかな手が腰を這い、荒い吐息の熱気がじんわりと体を汗ばませる。
布団の中を手探りで探ると、わしゃりと髪の毛の感触がした、撫でて見ると長く、肩まで伸びている。
この程度の長さだとはまずお空ではない、となると……。
「お燐?」
思いついた名前を、寝起き特有の掠れた声で呼ぶと布団の中の物はビクリと体を震わせた。
そのまま静止する、荒い息だけが部屋に響く。
「お燐なの? 怒らないから出てきなさ……っ!」
返答の代わりか、腰にあった手が背中まで伸びてくる、パジャマの中を通り、背中と布団を押し分けるように伸びた手が、下着のホックに触れる。
ぱちり、と外れる音、手慣れた様子でそのまま引っ張られ、パジャマの布地の感触が直に肌で感じられ、汗で濡れていく。
薄気味の悪さを感じ、もう一度名前を呼ぼうとしてさとりは気づいた。
布団の中の者の、心が読めない。
自分が目覚めると共に第三の目もまた目覚める、これがお燐なら、その心はどっと流れてくるはずなのに、まるで何も考えていないのかのように。
……考えて、いない?
「……こいし?」
先ほどまであった下着の線をなぞろうと這わせていた指が止まる、ややあって。
「にゃあい」
わざとらしい猫の鳴き声が聞こえてきた。
「何をしてるの、こいし」
「違うよお……さとり様、私はお燐だよぅ」
こいし声のお燐が布団の中で弁明を始めた。
「お燐は自分の事を『あたい』って言うわよ」
「う……」
「いいから、出てきなさい」
はーいという返事の後、腹に感じてきた重みが上半身へと移ってくる。
しばらくもぞもぞしていたが、大きく息をつきながらこいしが胸元の方から顔を出した。
感じていた息苦しさは密着していたせいの暑さか、汗だくの顔はばつの悪そうな笑顔を浮かべている。
「く、苦しかったー」
「何をしているの? それより寝てたんじゃなかったの?」
「えっと、えへへ」
どうやって答えた物かと、こいしは曖昧に考え始める、考えなくていいからまずはどいて欲しかった。
「起きてきちゃったから、その……」
しばらく考え込み、こいしはぽつりと呟いたが、どうも歯切れが悪い。
それが嘘の言い訳だということは心を読まなくてもわかる、さとりはあやす様に髪を撫で、勤めて優しい声で本当の、姉の寝室に入り込む理由を問いただした。
「もしそうだとしても、ねぇこいし? なんでお姉ちゃんの布団に入り込んでるの?」
「だって、寝られなくなっちゃったんだもん」
「そう、暑いものね、ねぇこいし、ならなんで私の布団の中にいたの?」
「潜り込んで、横に行こうとしたの」
「そう……ねぇ、こいし」
言い訳が苦しくなってきた所を、さとりはトドメの一言を、やはり優しく、しかし怒気を含めて言い放った。
「なんで私の服を脱がしているの?」
いつの間にかパジャマのボタンを外し始めていたこいしは、咄嗟に何かを言おうとしたが、悪戯を窘められた子供のように黙ってしまった。
それもそうだろう、起きてしまった、寝られないから姉の所へ来た、まだ許容出来る範囲の理由だ、例えそれが嘘だとしても。
だけど、服を脱がすなんてことはどう取り繕ってもまともな事ではない、実の姉が相手だとすれば、尚更だ。
こいしの言葉を待つ、スタンドライトに照らされたうつむき顔は困ったような表情で、密着した体は、もぞもぞと居心地の悪そうに動いている。
べったりと汗ばんだこいしの肌の感触に、さとりはこいしもまた、服を着ていない事に気づいた。
これではまるで、夜這いじゃないか。
「だ……」
こいしが小さく呟く、さとりはただ、次の言葉を待つ。
その言葉が何であろうと、たしなめなくてはいけない、もし本当に、夜這いまがいの行為を目的としていたならば、姉として、それはおかしい事だと教えなければいけない。
こいしの口が開く、熱気のこもった吐息が顔にかかり、くらくらとする。
「ダイエット……」
「……………………はい?」
そして出た言葉は、思いもしないものだった。
一瞬、言われた事が飲み込めず、こいしを見つめてしまう。
「ダイエット?」
この状況とは全く関連のなさげな言葉に、理解が出来なくてさとりは聞き返した。
「えっとね、私、最近地上の色んな所に行くんだけど……」
ぽつりぽつりと話し始める。
「紅魔館とか、白玉楼とか、山の神社とか、博麗神社とか、そこで美味しいものを食べさせくれて、その」
「つまり、太ったのね」
「……うん」
おもむろに、こいしの腹に手を探らせ、へその辺りをつまむと柔らかい弾力。
怒りというよりも、困惑というよりも、呆れてしょうがない。
「それで、ダイエットしようと思って」
「どこの世界に姉の服を剥ぐダイエットがあるの!」
声を出さずにいられなかった。あまりの馬鹿馬鹿しさに、そうしないとため息をついてしまいそうだった。
「知ってるお姉ちゃん、人肌って凄く暖かいんだよ、肌と肌をくっけるともっといいって、この季節だと暑いけど、汗もたくさんかけるし」
開き直り、こいしは意地の悪い笑みを浮かべる、つまり、この連日の行いは痩せる為に汗をかこうとしていただけだったのだ。
「ついでにお姉ちゃんとスキンシップを図ろうと思ってね」
胸元に顔を摺り寄せられる、べったりと髪が肌にはりつきこそばゆい。
「これはスキンシップと言わないわ、こいし」
「そう? 寝ているお姉ちゃんの顔眺めるのも楽しいよ」
ころころと、甘えるような声、さとりは楽しいとは思えなかった。
寝ているところを、ぴったりと摺り寄せられ寝顔を見つめられるなんて、妹だとしても気持ちのいいものではない。
寝顔を見るという事はさとりも毎日している、しかしそれはこいしが布団に入った時だけだ、間違っても寝ている所を覗きこむような真似なんて事は。
こいしの腕が、さとりの腕と体の間から差し込まれ、その細い指が肩を掴む。
ぬるりとした感触を感じ、さとりは身をよじらせた。
「こい……し?」
胸元のこいしの顔が、眼前に来る、額から滴る汗が垂れ、頬に当たった。
蒸し暑い夜に布団の中にいたせいか、上気した頬は薄紅色に染まり、艶やかな瞳がさとりを捕らえている。
呼吸が乱れる、抜け出そうと体を動かすが、下半身が言う事を聞いてくれない、
背中から伸びた青色の管が足元に伸びている、きつい感触に両足に管が巻きついてると知る。
「こいし、怒るわよ」
「お姉ちゃんが怒ってもあまり怖くないわ、それよりお姉ちゃんもずっと地霊殿にいて運動不足なんじゃない? たまには汗をかかないと」
開き直ったのか、こいしは意地の悪い笑顔を浮かべたままさとりの頬に自分の頬をすりよせた。
「あっ」
肩にあった指がなぞるように首筋へと動く、足元の管と、乗りかかるこいしの体重で身動ぎをするのがやっとだった。
その声に、こいしはぞくりと体を震わせ、くすくすと笑う、嫌な予感がした。
こいしの瞳に映る自分の顔は、同じくらい汗を掻いている。
頬に唇が這わされる、柔らかな感触に押され、そのまま顎に伝う。
暑さのあまりぼんやりとしてきた思考が、それ以上はと呟き、声にしようとしたが唇に塞がれ、出かかった息が喉で止まる。
鼻息が顔にかかる、舌は前歯をなぞり、離された時にはもう何も考えられなくなっていた。
「いい加減に……しなさい」
それでも何とか声を絞り出す、こいしの右手は愛しむように首筋をなぞったまま止まらない。
「ごめんお姉ちゃん、スイッチ入った」
「スイッチって……ちょっと!」
こいしの指先がはだけたパジャマを押しのけ鎖骨を骨沿いに滑らせる、言い表せないようなむず痒さにまた声が出る。
肩を押すが、思ったよりも力が出ず、少し持ち上げただけでどかすまではいけない。
万事休すとはまさにこの事だった、姉が自分をどうしようも出来ないと知るとますます調子を良くし、再度唇を重ねる。
間近に見えるこいしの目はすでに熱気で淀み、見つめているようで自分の世界に入り込んでいる。
また乗りかかる体重に、大きく息が出る、汗で濡れて気持ち悪いというのに、それを感じてしまいたいのは、さとりもまた、熱気とその雰囲気に飲まれていたからか。
背徳が背中をかける、体が震える。
気が付けば、その腕を背中に回していた。
ますます密着する体は燃えるように熱い、お互いの息が、顔にかかり苦しくなる。
もう忍び込む事をたしなめるなんてどうでも良くなっていた、今はただ、求められるまま求めて――。
「あ、もう限界」
不意に、こいしは呟いたかと思うとさとりの横に伏し、ぴくりと動かなくなった。
激しくなっていた息は急に穏やかになり、規則的な体の動きと呼吸。
「こいし?」
揺さぶるが、反応は無い。
「ちょっと、こいし」
なおも揺さぶってみたが、こいしは結局起きる事は無く、すっかり眠りについてしまっていた。
静寂が訪れる、枕元に放っておいた本が汗で濡れているのを見つけると、段々と冷静さを取り戻してくる。
「わ、私は何をっ」
抑えた顔から火が出そうなほどに熱くなる、わなわなと震え、自分が今何をされて、何をしようとしていたかを考えて、途端に覚めた感覚は自分の愚かさを突きつける。
女同士なのに、姉妹なのに、こんな、こんな。
ふと、我に帰る、ふるふると首を振るい意識をはっきりさせる。
これはいけない。
さとりは、汗だくのまま眠るこいしをきっと見つめる、寝顔を浮かべる妹は、先程の意地の悪い表情を露とも浮かべず穏やかで、さとりの目を覚ますのには充分だった。
ぐっしょりと濡れた布団をどかし、パジャマのボタンを付け直す、これではもう寝ることなど叶わないだろう、なら。
さとりは、新たな決意を胸に秘め朝を待った。
地霊殿が明るくなり、こいしが目覚めたらまずは思いっきりたしなめなければならない。
そしてもうこのような事がないように、対策をしなければならない。
さとりは拳を固く握り締め、決意を確認するように一人頷いた。
このままでは、自分は間違いを起こすだろう、こいしは怒られた程度で言う事を聞くような妹では無い、きっとまた来るだろう、その時に自分が拒める自信が無かった。
やらなくてはならない、性急に。
自分達の貞操を守る為、また二度とこういう事がないようにこいしの贅肉を無くす為に。
もうどれくらい経っただろうか、いつの間にか寝室の外からは仕事の早いペット達の声が聞こえる。
さとりはこいしを残したままベッドから降り、寝室を出る。
まずは汗を流そう、一晩もあんな状態で居たせいか、滝のような汗が体中に滴っている。
その後は――――。
古明地姉妹は相思相愛と信じて疑わないぜ
それにしてもこいしちゃん、どうしてこれからって時に寝ちゃうのさ
でもきっとさとり様は一晩中こいしちゃんとウフフ
嫌と言いつつだんだんノッてきてっしまうさとり様がいいな!こいしちゃんもうちょっとがんばれよ!
お燐に発情期があるんだ。…………よし!(何かの決意)
ところでさとり様の下着ってスリップみたいのじゃなくてブラなんだ。
ブラする必要なんかあるんですk(ハート弾)
さとり様の下着については個人的な趣味です、ええ個人的な。
お燐の発情期は彼女も猫です……し、と、いうことは、橙も!?
……よし!
誤字、スペース等修正しました、毎度すみません
>>12
そうして生まれたのがお空のニュークリアフュージョン道場です、嘘ですごめんなさい
まじえろい。
以下、気になった点。
>さとりは今、一つの決意を胸に抱く、相手が誰で三人の中の誰あろうと容赦はしない。
「相手が三人の中のだれであろうと」でしょうか。
>寝ているところを、ぴったりと摺り寄せられき寝顔を見つめられるなんて、妹だとしても気持ちのいいものではない。
「ぴったりと擦り寄られ寝顔を見つめられる」ですかね。
>間違っても寝ている所を覗きこむような真似などとは。
「真似などは」でしょうか
どのような文章が省略されているのか今一つ分かりませんでした。
的外れだったら御免なさい。
読点の使い方が独特で少し読みにくいところもあるように思いました。
全体としては面白かったと思います。
指摘部分今修正しました、助かります。
読点の付け方に関しては自分も手探り状態でして、その、見直すと確かに必要の無い部分もあったかなと思います。
勉強させていただきます、ありがとうございました。
懐かしいなぁ…
内容はうろ覚えなんですけどねぇ、本屋探して見ようかしら
>>23
古明地姉妹は和みますわホント
すごくよかったです。ドキドキしました。タグで、てっきり勇儀が夜這いかけてるのかとww
児童文学は面白いものがたくさんありますよね
勇儀が夜這い……あると思います
つまり姉妹ちゅっちゅが素敵。