※かえるゲコゲコみてないと意味不明な内容な気もしますが。
例え読んでいても意味不明なので説明すると、静葉がカエルを愛してるってことです。
とある岩辺に腰をかけ、ぼんやり空を眺めてるゴスロリな少女がいた。
川が近いため、川の香りが辺りを包みこんでいる。
「けろー」
「ケロケロ」
そんな彼女の元にガサガサと草むらで音を立てつつ向かってくる、一つの影があった。
「こんにちは、でも帰ったほうが良いわよ」
ゴスロリな少女の名前は鍵山雛、厄をため込む程度の能力を持つ厄神だ。
人間や妖怪の厄を自分の周りに集め戻らないようにしている。
しかし周りに厄を集めているので、近くにいると人間でも妖怪でも関係無く不幸な目に遭うため
彼女に近寄るものは居らず、彼女も他の者に近寄ろうとしない。
「けろー」
「ケロケロ」
そんな彼女の言葉も気にせず、雛の元にやってくる一つの影は、
肩にカエルを載せた秋静葉であった。
「…そんな理論で厄を受けない方法があったの、思いも付かなかったわ」
「けろー」
「ケロケロ」
そうして静葉は雛に抱きついたが、災害が発生する様子は無い。
その前に、けろーとケロケロとしか話してない二人の言葉を何故か雛は理解しているようであった。
カエルの言葉がわからない者のためにフィルターをかけてみることにしよう。
ぴょんきちと愛し合い婚約をしたことにより、ある実験を行うことにした。
目的地はいつも厄を貰い受けている、厄神様の元。
私は人間達の厄を貰いうけその力で紅葉の力を操っている。
「雛さん遊びにきたよー」
「元気にしてたか厄神様ケロ」
岩に腰かけている雛ちゃんを見つけ声をかけるとこちらに気がついたようで、手を振っている。
しかし私が近づこうとすると彼女は一定距離を保ち、それ以上近寄って来ない。
「こんにちは、でも帰ったほうが良いわよ」
人間や妖怪の厄を集めている彼女の近くによると災害に襲われる。
今まで何度か近寄ったのだがその度に怪我や事故に巻き込まれた、しかし今回私には秘策がある。
「大丈夫、私妖怪でも人間でも無い。カエルのお嫁さんだから」
「まあまだ婚約なんだけケロ」
そう雛さんの能力で集めた厄は、人間と妖怪にしか影響を与えない。
そもそも雛さんに近づく物全てなら、大地や木々、生き物でさえ災害に巻き込まれるはずだ。
しかし、ぴょんきち曰く
「カエルは厄の影響を受けないケロ」
その言葉を聞き私は発想を逆転させることにした。
人間や妖怪にしか厄の影響が無いなら、それ以外になればいい、と。
「…そんな理論で厄を受けない方法があったの、思いも付かなかったわ」
「だからこれからは一緒に居られるよ」
「よろしく頼むケロ」
その言葉を聴いた雛さんは、少しだけ笑っていた。
この笑顔を見たら同姓だろうと引き付けるだろう、そんな笑みを。
ああやっと彼女のことを抱きしめることができる。
誰にも近づかず、誰も寄せ付けなかったこの可愛らしい少女を。
秋も終わり、私と姉とカエル達の季節が終わった。
そのため家の回りに住み着いているカエル達や、いつのまにか家の裏に作られていた池にすんでいるカエル達は
冬眠準備に入るために忙しく走り回っている。
その結果カエル達、本人曰く友人達の世話をしていた姉の静葉もやる事が徐々に少なくなっていき。
私穣子も収穫祭も終わった事でやる事が無くなり暇になっていた。
カエルがいなかった今までなら、私と姉さんで来年の秋までのんびり過ごす予定だったのだが、
今この家には私と姉とその肩に乗っているカエルがいる。
それに冬は冬眠するが春や夏は活発に動くであろう他の大量のカエル達もいる。
姉妹だけで過ごしていた暇な月日が今年からは楽しく過ごせそうだ。
代わりに非常に、非常に疲れそうだが。
「ケロケロ」
「けろー」
「ケロケロ」
「けろー、お姉ちゃんぴょんきちは冬眠しなくて大丈夫みたい」
普通カエルは冬眠するために準備に入るものなのだが、何故かしないで良いらしい。
いつの間にか鳴き声がケロケロに変わっていたぴょんきちと、けろーと鳴く姉。
内容はわからない、はずなのだが私の脳には。
「静葉のためなら冬眠ぐらい我慢できるケロ」
「ぴょんきち素敵…」
「どうだ、俺が冬眠しないのは迷惑かケロ?」
「ううんそんなことないよ、一緒にいれて嬉しいよ」
そんな風に脳に直接響いてきた。
それどころか最近、辺りに住み着いているカエル達の会話も理解できるようになってきて。
少々精神が病んできた。
カエルの言葉がわかるなんて私の頭は毒電波にも汚染されてしまったのか。
それともこの光景は全て夢で本当の私は今頃ベットの中で寝ているのか。
悩むに悩んだ私は。
「ダメよぴょんきち、穣子ちゃんが見てる」
「だがそれがいいケロ」
「ちょっと出てくる」
現実逃避をする事にした。
私はおかしくなんて無い、私は常識人なんだ。
これは夢なんだ、これが現実なんて認めない。
いつの間にか涙が溢れてきて視界が悪くなり走り回っていると頭に赤いリボンをつけた可愛らしい少女と出会った。
といってもまったく前も見ずに走っていた私が、その少女に突っ込んで押し倒すような形になってしまったのだが。
「ごめんなさいごめんなさい」
「危険だから早く離れたほうがいいわよ」
彼女がそういうと横から衝撃を受け、錐揉み回転をし地面に転がった。
何が起きたのかと周りを見渡すと木を薙ぎ倒し奥の木に突き刺さって気絶している天狗を見つけた、スカートが捲れて黒白縞々のパンツが丸見えである。
それを見てわかったが、どうやら私は速さの限界に挑んでいる天狗に跳ね飛ばされたらしい。
まあいつものことだから無視しておこう。
下手に天狗に関わると面倒事に巻き込まれる。
押し倒してしまった少女に視線を向けると服に付いた土を払い、私に関わる気が無いのかふらふらとどこかに飛んでいった。
カエルパンツだ。
どこからどうみてもカエルパンツだ。
赤いリボンをつけた少女が飛ぶとカエルパンツが見え凝視していると声をかけることも忘れ、気がついたときには少女の姿は遥か遠くへ消えてしまった。
カエルパンツということはあの人も姉と同類なのだろうか。
そんな名前も知らないカエルパンツの少女とは後に再会することになる。
カエルパンツを見てから、人気の無い場所で賢者になった私は頭に冷静さが戻り家に帰ることにした。
今の私ならどんな相手にも勝てるような気がする。
先ほどのカエルパンツの少女私好みだったなぁ…。
脳内フォルダに何重にも鍵をかけ厳重に保管することにしよう。
そう思い家のドアを開けるといつものように肩にぴょんきちをのせた姉と、家に住み着いているカエルと会話しながら。
「ケロケロ」
「けろー」
「ケロケロ」
「けろー」
「ケロケロ」
「けろー」
掌にぴょんたを乗せ、先ほど会ったけろーと鳴くカエルパンツの女の子。
この家では見たことの無い顔だが私の見ぬうちに姉に洗脳されてしまった被害者だろうか。
それとも元々カエル好きだったのかわからない。
私がわかるのはカエルパンツを履いていたことぐらいだ。
そもそも姉はいつのまに知り合っていたのだろうか、あとカエルパンツはいいものだと思う。
ちなみに今の会話は。
「貴方、ぴょんた?」
「ああそうだが」
「雛ちゃんが何のようだ」
「貴方、彼女、事」
「あいつに何かあったのか?」
「伝える、産んだ」
どうやらカエルパンツを履いた少女は鍵山雛という名前らしく、カエル語も片言だ。
断片的な単語を少しずつ言い、なんとか会話を成り立たせている。
ぴょんたの周りで歓声があがり、ぴょんた本人も何か大喜びしている。
どうやら赤ちゃんが生まれたらしい。
って鍵山雛って厄神様じゃないの、だから先ほど災害に巻き込まれた訳か。
カエルパンツ様は厄を溜めているらしく近くに居たら災害に巻き込まれるって聞いたことあるけど、やっぱり本当だったのかしら。
もしそうなら早く帰ってもらわないと。
でまた帰るときにカエルパンツ見させて貰おう。
カエルパンツ様はぴょんたと話し終えた後のカエルに言い寄られてけろーと言いながら首を捻り、悩ましげな顔をしている。
なにこれ可愛い。
どうやら数が多すぎて時折聞き取れないらしい。
「姉さん」
「けろー
(なに?) 」
「いつのまに厄神様と知り合いになったの?」
「けろー
(前々から知り合いだよー) 」
「災害巻き込まれて無い、大丈夫なの?」
「ケロケロ
(カエルは災害に巻き込まれないケロ、だから安心だケロ) 」
「けろー
(厄の災害は人間と妖怪にしか影響ないからね) 」
「ケロケロ
(カエル一族に名を重ねるようになった静葉は影響外だケロ) 」
その言葉を聞いた私は内心大喜びであった。
なにしろ災害に巻き込まれたということはまだ私はカエルの世界の住人で無いのだ。
もしいつのまにかそっちの世界にたどり着いていたら私は衝撃の余り姉のカエルパンツで首吊り自殺でもしていたことであろう。
ありがてぇ、ありがてぇ。
そっちの世界にいってなかったことがありがてぇ。
あれ? 私今堂々とけろーとしか話さなくなった姉とぴょんきちと話してなかった?
違うのよ、落ち着くのよ穣子。クールになるのよ。
カエルと話せる訳無いじゃない。
「けろー
(穣子ちゃんも早くあきらめてカエルと愛し合えばいいのに) 」
「ケロケロ
(穣子は自称常識人だから中々認められないんだろうケロ) 」
「けろー
(穣子ちゃんは昔から変態なのにね) 」
「うるさい! あと私は変態なんかじゃないよ!」
「けろー
(はいはい) 」
実際ケロケロとけろーにしか耳には聞こえて来ないのだ。
それなのに脳が勝手にその言葉を翻訳してしまうだけなのだ。
異常だ。異常すぎる。
実際カエルと愛し合えるわけないだろう。
私は豊穣を司る程度の能力を持っていて、パンツが好きで、たまに生焼き芋の匂いがするとか矛盾したことを言われるだけの神様よ。
カエルと会話する程度の能力なんておかしいじゃない。
「もしかして、皆実はカエルと会話できる…?」
「ケロケロ
(いや、俺たちに一定以上の感情持ってる奴にしか言葉はわからないケロ) 」
「けろー
(じゃあ穣子ちゃんもぴょんきちの事を…私からぴょんきち取ろうとしたら穣子ちゃんだって容赦しないんだから) 」
「取るわけないでしょ!それに一定以上の感情って?」
「ケロケロ
(個を認めてくれる程度の感情持ってたら大体会話はできるケロ) 」
「じゃあ他にもいっぱいいるんじゃないの?」
ということは私がカエルの言語を理解できてもおかしくは無い。
よかった、私はおかしくなかったんだ、カエルとわかりあえない者達のほうがおかしかったんだ。
「ケロケロ
(いやここ幻想郷では俺達カエルのことを見てくれる者なんて静葉とアンタと、そこの厄神様ぐらいケロ) 」
「そうなの?」
「ケロケロ
(ああ俺たちは何の力も持たないただのカエルだ、今まで戦闘に巻き込まれたり、凍らされたり、空腹で食われたりと
まともな扱いをしてもらったことは無いケロ、時折揉め事に巻き込まれて死んで行くだけだったケロ。
そんな俺たちの気持ちをわかってくれたのがそこにいる厄神様だ、
俺たちが大量に死んだ時に発生した怨念や恨みといった厄を貰いうけ、俺たちのために泣いてくれたのは彼女だけだったのケロ) 」
「けろー
(雛ちゃん優しい子だからねー)」
「ケロケロ
(しかも厄神様は俺達カエルの言葉も少しわかるんだケロ、そのためカエル達の中でも人気があり言い寄るカエルが絶えなかったケロ) 」
「けろー
(ぴょんきちまさか浮気する気?) 」
「ケロケロ
(そんなことしないケロ、俺には静葉がいるケロ) 」
「けろー
(ぴょんきち…) 」
「ケロケロ
(静葉…) 」
そうか、カエル達とカエルパンツ様の間にはそんな事があったのか。
私は近づくと災害が訪れるというカエルパンツ様いやカエルパンツ様のことを誤解していたのかも知れない。
今まで厄神様の事を
人の恨みや怨念をかき集めて、嫌がらせするのが大好きな奴とか言われて信じていた自分が恥ずかしい。
所詮噂は噂なのに何故信じてしまったのだろう。
本当はカエルパンツを履き、カエル達のために泣けるカエル大好きな…
ごめんやっぱり分かりあえない。
見知らぬカエルのために泣けるってうちの姉並に末期じゃない。
私カエルのことは好きだけど愛してるってレベルじゃないわよ。
ただペットとしてはいいかなレベル。
まあ可愛いは正義っていうし、けろーと言ってる姿可愛いから良いのかな。
片言なのがさらにいいかも。よし決めた仲良くなろう。
「あのカエルパンツ様」
「へっ、えっ?」
言い間違えた。
間違えた時は既に遅く、カエルパンツ様はスカートを押さえながらこちらを睨んでいた。
なにこれ可愛い、もうカエル好きの末期でも怨念や恨み集めて嫌がらせしててもどっちでもいいや。
「すみません、言い間違えました」
「見たのですか?」
「はいばっちりと、良いカエルパンツですね」
「………」
開き直ってカエルパンツ様で押し通すことにしよう。
顔を真っ赤にしてこちらを睨んでいるカエルパンツ様が凄く可愛い。
災害に巻き込まれてもいいや、もう。
何で雛様?って思ったけど雛様の髪ってでっかいアマガエルが抱きついてるように見えなくも無いか…?
ところで厄が人間と妖怪にしか影響を与えないなら神様も影響ないんじゃないのかって言うのはもしかしてツッコんじゃいけないところ?
雛さま可愛いよ雛さま。
あぁ雛さま大好きな俺はスカート押さえてにらんでくるその姿を見れただけで有頂天にいけそうだ。
ゴスロリは形容詞じゃないですよ。
と思ったけど静葉姉が可愛く見えてきたのでよし。