※110にある幽香の秘密と幽香の秘密2見て無いと意味がわからないかもしれません。
ある国に伝説が残っている。
その国はかつて偉大なる皇帝によって、平和で民のための巨大国家を作り上げた。
その国家は民の生活を保護し飢える事も無く戦争も無く、長年の平和を築き上げた。
しかしある人間は言う。
権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗する。
長年の平和の先に待っていたのは衰退であった。
名君と謳われた皇帝は既に無く、位を金でやり取りし、民から搾取に継ぐ搾取を続け。
圧制に苦しみ続けた農民達は暴虐の限りを尽くした皇帝を倒すため立ち上がった。
しかしいくら腐敗し、衰退していてもまだその国は強大で力があり、農民達は追い詰められていった。
そこで伝説が生まれた。
全滅を覚悟していた農民達の元にある女性が訪れ、奇跡が起こった。
その女性は先陣を切り、皇帝軍は混乱し農民軍が勝利。
その後もその剣と、時折見せる知略で農民軍を勝利へ導いた。
長年の戦乱のため、大地は血に染まり、皆の心が病んでいる時
彼女は祈りを捧げ、草木も生えなかった大地に花を咲かせ人の心に安らぎを与え。
皇帝軍は降伏、農民軍が国を統一した。
そうして彼女を皇帝にしようという人々の声に従い、彼女の元に行くと既に姿を消していた。
それ以来彼女は二度と国を訪れることは無く、どこかへと消えていった。
残ったその国の者達は彼女は天の遣いだったと信じ、今も英雄として祭られている。
その天の遣いの風貌は、緑髪の美しい女性であったそうだ。
ある国の歴史書より抜粋。
そんな人間界で伝説だの英雄だの天の遣いだの言われた彼女が何してるかと言うと。
幻想郷、いや東の国の人里離れた山奥の辺境の地にて。
日々脅えながら向日葵畑、花畑を育て、同居人に脅え、とにかく脅えていた。
彼女の名前は風見幽香、自称中級妖怪、通称最強の妖怪である。
自称と通称が合っていないのは勘違いのせいである。
彼女は元々花に関する妖怪として生まれ、戦闘能力をまったく持たない弱小妖怪である。
何しろ妖怪としての格が決まる肝心の能力が花を操る程度の能力である。
それに種族故に妖力も大して無かったため、妖怪としての身体能力しか頼りになる物はなかった。
彼女は強くなりたかった、同属のように他の妖怪に虐げられる生活は嫌だったのだ。
そして考えに、考え抜いて。
能力や妖力が役に立たないのならば、武器を使えば良いという結論をだし家を出た。
「私は妖怪最強になるのよ!」
「待って幽香、私達にはそんな力無いし無理よ!」
「こんな所で虐げられるのは嫌なの、わかってよお母さん」
「でも…」
「親不孝物でごめんなさい」
「幽香!幽香~!」
家を出る時、泣きながら私を引き止めていた母の姿が目に浮かぶ。
今頃何をしているのだろうか。
あれから一度だけ帰った時、私と母さんが住んでいた家は無くなっていた。
当たり前と言えば、当たり前だ。
家をでて何百年もたっているのだ。
今となれば
母さんはどこに行ったかもわからない。
生きているかもわからない。
あの平穏で幸せな日々はとうの昔に過ぎ去ってしまい、今更どれだけ手を伸ばそうと手に入らないのだ。
絶対に。絶対に。
あの家を出たとき、お母さんの娘としての風見幽香は死んだ。
今いるのは最強の道を追い続けていた風見幽香だ。
しかしたまにお母さんの食事が恋しくなる。それが少し悲しい。
家を出て失敗したなと思った事は、外の世界は思った以上に優しくなかったことだろう。
妖怪に襲われ傷つき、逃げ。時折人間に混じろうとしたら山賊に襲われつかまりかけたりしたのだ。
当時の私は人間にすら劣る力しか持っていなかった。
元々戦闘のやり方がわからず学ぶために家を出た強くない私は逃げに逃げて、ひたすら逃げ回った。
逃げ足には自信がある。花を操る能力は戦闘には使えないが逃げる事には使えるのだ。
初めの頃は、武器なんて物は力任せに振り回していれば良いと思っていた。
しかし違った。
なにしろ初めて剣を握り、相手に斬りかかった時自分の足を斬ってしまったからだ。
あれは痛かった。
剣なんて適当に振り回していれば強いと思っていたが、それは気のせいだった。
かといって剣の練習をしようにもやり方がわからない。
家から出て、妖怪から逃げ、人間からも逃げていた私はすっかり弱気になり
故郷の事ばかり考え、故郷に戻りたくて仕方が無かった。
そのため花を操る力で故郷にしか存在しない桜を咲かせ、故郷の事を思い出していると。
たまたま凄腕の半人半霊の剣士と知り合った。
この地に何故桜があるのだろうと思い、見ていたらしい。
私はその人の腰にある剣を見て、この人は剣を使うことができる人だ是非教えて貰いたいと思い。
剣技を見せてもらうよう頼んだ。
凄かった。
とにかく凄かった。
何しろ咲かせた桜を真っ二つに斬り、近くにあった岩を真っ二つに斬ったのだ。
そのあまりの凄さに私がはしゃいでいると。
その剣士は
「この剣があれば木や岩どころか、妖怪や雨や時間や時空さえ斬れる」
そういったのだ。
その言葉に私は衝撃を受けたる
剣という物はそんなに凄い物だったのか、と。
その時の私は剣というものはただ人を斬る事ができ、しかも何人か斬るだけで斬れなくなる物と思っていたのだ。
これだ、これしか無い、このような細身の半人半霊の剣士でさえこのような威力があるのだ。
妖怪の私が学べばこの人よりもっと強くなれるに違いない。
この技術さえ手に入れたら私は逃げ惑う事をしなくて済む。
だから私は即座に土下座して頼み込んだ。
「私に剣を教えてください」
「すまん無理じゃ」
即座に断られた、しかし私はあきらめなかった。
もう必死に頼み込んだのだ、自分で何と言ったか思い出せないぐらいに。
後に師匠となったこの剣士の人に聞いたのだが、私は
「私の身体でも命何でも差し上げます、断られたら死にます」
などと言い、断ったら本気で自殺しそうだったので引き受けたと言っておられた。
正直自分でもそれは無いと思う。やりすぎだろ私。
というか身体差し出さないとダメなのだろうか。
そう思い涙目で聞くと、そんなのいらんと一蹴された。
助かったというか、少しは悩んで欲しかったというか悩むべきところである。
そうして剣の訓練なのだが、辛かった。
岩や木を簡単に真っ二つにしてたから私も簡単にそれができると思っていたのだが、全然できなかった。
師匠の持っている剣でしかそれは出来ないのではないか、それぐらいできなかった。
師匠は修行さえすればこれぐらいの剣技なら楽にできるといっているが私にはできそうに無い。
しかしそれを信じるしか無い私は日々鍛錬し、訓練して貰い。
時折故郷の事を思い出し、異国の地に桜を咲かせ一緒に花見をした。
しかし剣の修行をして未だにほとんどの物が斬れない時に、師匠は自分の国に帰ることになってしまった。
弟子として私も連れて行って欲しいといったのだが、断られた。
師匠が言うには
「お前が来たら死にかねない」
「それなら仕方が無いです」
即答だった。
どうやら知り合いに誘われて庭師をやるらしい。
庭師のことをあまり知らないが死人がでるくらい過酷な仕事なのだろう。
恐ろしい仕事だ。
そうして師匠と別れる日、私は師匠に剣を渡された。
「幽香、もうワシは教えることができない。しかし世界には色々な剣術使いがいる、旅をしてその者達に学ぶのだ」
「はい師匠!」
「選別にこれをやろう」
「これは…」
「大体のものが斬れる剣だ」
「大体のものですか」
「ああ」
「すべては?」
「斬れない」
「…ありがとうございます!」
「それではさらばじゃ幽香よ」
そうして大体の物が斬れる剣を手に入れた私は、世界各地で色々な剣術使いを尋ね、
実践を積むため、数々の国で敵の多いほうに付き人を斬り、時折妖怪を斬り、ひたすら剣の腕を磨き続けた。
長年訓練したのだ、初めの頃のように自分を斬る事は無い。
それに人間は師匠と比べ遅く、弱い。
何十人、何百人いたとしても師匠一人の方が怖い。
そうして私は数々の戦場や国々を渡り歩き剣の腕を磨き続けた。
問題があるとすれば、その師匠の剣の腕が凄すぎてほとんど身に付かなかったぐらいであろうか。
どの剣術使いの元に訪れても師匠程の使い手がおらず、師匠に比べたら弱かったのだ。
何しろ遅い、師匠のように目で追いきれぬ斬撃や移動をして来ない。
そして斬れない、達人でさえ岩を斬るのは苦労するというのだ。
しかし色々な戦い方を学ぶには、弱くても色々な流派を習うのは都合がよかった。
人間という者は不思議で、同じ剣なのに多種多様な戦い方があるのだ。
時折、剣術のはずなのに剣をほとんど使わないような所もあったが。
そうして手当たり次第に色々な流派を学び戦い方に幅が出てきて、学んだ事が無い剣術が無くなって来た頃。
私は斧やナイフや槍と言った武器も習う事にした。
武器といったら剣ぐらいしか知らなかったのだが、思った以上に色々あるらしい。
だから私は色々な武器を学び続けた。
ハルバード、弓、鎖鎌、手裏剣、投げ斧、戟、暗器とにかく何でも学んだ。
とにかく強くなろうと当時の私は必死だったのだ。
学んだ武器は身につけるために戦場で実際に使ったり、ひたすら訓練した。
そうして鍛え続けた私は
対人間相手には無敗を誇り、いつのまにか英雄とか天の遣いとか救世主と言われていた。
正直何故そうなったかがよくわからない。
私はとにかく敵を求めただけなのだ。
それが凱旋パレードの主役になり、皇帝と結婚させられそうになったり。
何がなんだかわからない事になってしまった。
実は一時期ある国の将軍として仕えたこともあるのだが何年も容姿が変わらないため、ばれるのが嫌で逃走したが。
最後の方は「やはり天の遣い」「神の使い」などとよくわからない事を言われていた。
そうして私は古今東西の武器を学び、自信をつけていた。
対妖怪は実はあまり経験が無いというのに。
そうしてたまたまある東の国を訪れて武器を学んでいる最中にある噂を聞きつけた。
曰く
妖怪が多く住み着き、ここに迷い込んだら最後、妖怪に喰われてしまう場所。
妖怪達が覇権争いを繰り広げている場所。
長年鍛え続けた剣の腕をようやく妖怪達にぶつけることができる、
そう考えた私は
噂の妖怪達が集まる人里離れた山奥の辺境の地を訪れた。
今の私なら、強大な力を持つ妖怪に勝てると信じて。
結果を言うと無理だった。
今では命がけで脅えながら向日葵畑と花畑を育てる毎日である。
一瞬で夢が挫折したのには訳がある。
何年も何年も地道に剣の技術を磨き、何年も何年も地味に体を鍛え、何年も何年も戦う方法を身につけた。
いつか必ず強くなり勝てると信じて。
しかしここに来て、現実を知った。
技術の差では覆すことのできない絶対的な力の差というものを。
初めここに訪れて見たのは、自身一人では絶対敵わない妖怪の徒党であった。
一人一人が自身より強い妖力を持ち、火を操る能力、磁力を操る能力、大地に干渉する能力といった戦闘向きの妖怪などが大量にいて隠れた。
一対一でも勝てるか怪しい者が集団でいる、戦闘になったら絶望的である。
それを見てどうにかやり過ごそうと、隠れていると突然周囲に大量の大中小様々な虫が現れ、その妖怪達と戦闘になり。
多勢に無勢一人一人倒され、生きながら虫に食われて死んでいった。
それを見て私は全力で逃げた。
後ろから先ほどの妖怪達の断末魔を聞きながら
その辺りで既に心が折れそうだった。
何故逃げ切れたかは未だにわからない。
私は剣には自信がある。
しかしそれだけだ、射程外から攻撃されても、物量で来られてもどうしようも無い。
あの半人半霊の師匠から貰ったわりとなんでも斬れる剣、事実今まで斬れない物などなかった愛用の剣が急に心細く感じられた。
今までこの剣があれば何でもできると思っていたのに。
師匠から見せて貰った全ての技さえ受け継いでいれば違ったのだろうか。
火を斬り、磁力を斬り、大地さえ斬れたのだろう。
しかし私が斬れるのは精々人と妖怪と木々と石ぐらいだ。
人間の剣術家に、師匠のようなことができる者はいなかったのだ。
だから私の剣術の腕は、師匠には絶対敵わないけど、人間には絶対負けない。
そんな腕だ、しかし私だって英雄と言われた自負がある。
逃げているうちにまた膨大な妖力を感じ、そちらを見ると森の開けた場所で
頭に角を生やした小さな少女と、三メートル近くある巨大な妖怪が激戦を繰り広げているようだ。
…いや恐らく戦っていたという方が正しい。
なにせお互いの攻撃する光景が速すぎるためまったく見えなかったのだから。
そうしてしばしそちらを見ていると、勝負が付いたのか巨大な妖怪は崩れ落ち、そこに一撃を受け吹き飛んだ。
その辺りで心がベキベキに折れたがぎりぎり持ちこたえた。
何度も言うが私は剣に自信はある。
しかし、見えない速度の攻撃や、防御したら吹き飛ぶような攻撃を防御する術を持たない。
今までどんな剣士が相手でも負ける気はしなかったというのに。
そういえば師匠の斬撃は恐ろしく速かった。
そして移動も早かった、方法はそのうち教えてくれると言っていたがその前にどこかに行ってしまったため、やり方がわからない。
独学であれを学ぼうとしたが、やり方すら謎だ。
師匠、私はどうしたらいいんですか。
師匠の言葉通り世界各地の剣術学んだけど、勝てる気がしません…。
ここは地獄だ、地獄に来てしまったんだ。
私のような妖怪が来たら行けない場所だったんだ。
しかし不意打ちすれば、もしかしたら勝てるのではという一縷の望みもまだ残っていた。
剣士というものは武士道が、とかと師匠は言っていたがそんなものは知らない。
勝てれば何をしたっていいと思う、ごめんなさい師匠不出来な弟子を許して。
そんなこと考えつつ逃走していた私は道に迷い。
たまたま見つけた向日葵畑にいた妖精達を追い払い、向日葵を見て心を落ち着かせ遊んでいた。
私は花に関する妖怪のためか、花を見ると精神が落ち着くのだ。
逆に何も無い荒れ果てた土地を見ると心が落ち着かない、辺り一面を花まみれにしたくなる。
そうして暇潰しが終わり、あまり好きでは無い向日葵をなぎ払い桜に植え替えよう。
そう思い向日葵に攻撃を仕掛けると、突然出てきた隙間にその攻撃が直撃し、死を悟った。
そして私は化け物相手には不意打ちすら不可能ということを悟った。
何しろこれだけ膨大な妖気を纏っているのに、それをまったく感じさせず突如として隙間から出てくるのだ。
私はそれで全てをあきらめた。
行き成り出てきたとはいえ、攻撃をしてしまったのだ。助かるわけが無い。
膨大な妖力と殺気は心臓を鷲掴みし、これが殺されるという感覚なのか、と覚悟を決め体が震えていたところ、何故か見逃されて。
その化け物に「向日葵畑を広大にしないと殺す」と脅迫され今に至る。
運が良かった、隙間が居なくなった瞬間腰が抜けて…
いやこの先は余り思い出したくない。
あれは絶対に言えない私だけの秘密だ。
命が助かったという自棄の笑いと、その秘密だけは今でもはっきり覚えている。
「幽香お、おねーちゃん冷めちゃうよ」
声をかけられ、現実に戻る。
そういえば今は彼女と朝ご飯を食べている最中であった。
「幽香お、おねーちゃんどうしたの?」
「人生のままならなさを感じているだけよ」
死にかけだった妖怪、ミスティアと住み時間がたった。
男の様な話し方も大分直り、時折どもる程度で外見だけは可愛らしい少女の妖怪だ。
実際は人妖惑わす対集団戦のエキスパートで、素早さがこの地でトップクラスで、
あの隙間に勝った事があるぐらいの妖力も化け物クラスの妖怪だけど。
実際の話、化け物クラスの妖怪が相手でもこちらの剣が相手に当たれば私だって勝てる可能性はある。
ただその剣の当たる可能性が限りなくゼロに近く、こちらが先手を取れる可能性がゼロなだけだ。
その前にこっちが死んでいる。
そのような確実に勝てない相手と同居し、私は日々内心脅えている。
何しろこちらは相手と戦闘になった瞬間に死ぬのが決定しているのだ。
しかし今は命の恩人という立場があるから多少無茶ができる。
彼女も命の恩人の私に強く出れないから言葉遣いを直させてもらった。
あの話し方威圧的で怖かったし、怖かったし、怖かったし。
「そんなに強いのに?」
「強く無いわよ」
「確かにその妖力の無さをみたら幽香お、おねーちゃんただの弱小妖怪だもん」
「弱小なんかじゃないわよ」
「擬態ってやつだよね、本当凄いよ」
私は何の間違いか、助けてあげた相手に弱小呼ばわりされている。
チクショウ、弱小じゃないのに、弱小じゃなく中級なのに。
擬態ってなによ、こんな弱小なの振りでしかできないよねーっていう嫌味?
やっぱり私みたいな中級妖怪には命の恩人と言えども従うのは内心嫌なんでしょうね。
彼女が恩を仇で返すような妖怪で無く、本当に助かった。
仇で返されたら私なんてとっくに死んでいる。
いや彼女のことだから錯乱させて、自殺させるかも知れない。
可愛らしい外見と違い、かなり残虐で鬼畜な性格をしているし。
「何で本気ださないの?」
「無駄だからよ」
今でさえ本気出してるのに弱小呼ばわりだ、それの本気って何。
人間みたいに愛と勇気でも手に入れればもっと強くなれるとでも言うつもりかしら。
馬鹿馬鹿しい。
人間が一番強い瞬間は執念による力だ。
「やっぱりおねー…ちゃんは凄いよ」
「凄くないわよ」
ここで「私ってば凄いのよ」とか言ったら、「へえ雑魚の癖に調子のってるね」とか言われて、殺されそうだ。
この時の私はミスティアの言葉の真意に気がついていなかったのだ。
彼女が私の事を「普段力を隠してるだけで、本当はとてつもなく強い妖怪」という勘違いに。
気がついたときは完全に手遅れになっていて、言うに言えなくなっていたのだ。
この時の会話を全てわかった後に思い出すと恐らくこういう意味になる。
「幽香さんは、私の速度を見切り反撃でき、八雲紫の気配の無くタイミングすらつかめない隙間攻撃を察知し攻撃できる力がある。
格があまりに違い強大すぎる力を持ち。私達ですら、いつでも殺せる雑魚と思っていて本気を出すのが無駄と思っていて、
いつも本気を出さず弱小妖怪のフリをして誘い、強大な力を持つ相手にしか本気を出さない最強の存在」
この時の私が気がついていれば後の惨劇は避けられたと思うが、あいにく当時の私は。
脅え、とにかく脅え、日々生きる事に必死だったがために気がつかなかった。
そんな勘違いに気がついていないかつての私とミスティアの一日は、早い。
何しろ向日葵畑と花畑の世話と、襲撃者の妖怪の撃退に一日追われるのだ。
ここは古今東西の妖怪達がおり覇権争いをしている地獄のような場所である。
だからこの向日葵畑にもひっきり無しに襲撃者が訪れるのだ。
まあ私はどんな強者が来ても無視して向日葵畑に水をやり、肥料をあげ世話をしているのだが。
なにしろこれを育てないと私はあの隙間に殺されるのだ。
襲撃者なんてミスティアが勝手に皆殺しにしてくれるし。
そもそも私襲撃者に勝てないし。
そもそも私襲撃者に勝てないし。
そもそも私襲撃者に勝てないし。
自分で言ってて憂鬱になる。
私が弱いんじゃない、周りが強すぎるだけだ。
「幽香ね…ねーちゃんゴミ掃除終わったよ~」
「そう速かったわね」
ここでいうゴミ掃除は普通の意味で無く、襲撃者のことである。
彼女は自分より弱い妖怪のことなんてゴミにしか思っていない。
内心私の事もそう思っているだろうが、攻撃さえしてこなければどう考えられていてもかまわない。
とにかく死にたくないのだ。
普通妖怪というものは生に対する執着は薄いとされてるが、私はずっと人間世界にいたせいか思考が人間よりなのだ。
お礼をいうために振り向くとミスティアは
なんか口から指のようなものがはみ出てたり。
長い爪に何か赤黒い何かが大量に突き刺さり。
手にいくつもの苦悶の表情を浮かべた首を持って。
全身血まみれだった。
そんな彼女は満面の笑みでこちらにやってくる。
「幽香おねーちゃん褒めて、褒めて」
「ミスティアいつもありがとね」
こんな時だけ彼女は何故かどもらない。
頭を撫でられるのが好きなのか、血まみれで私の前にやってきて頭を撫でてと言って来る。
何で私なんかに頭を撫でて欲しいのだろうと考えながら彼女の頭を撫でると、ミスティアはとても嬉しそうな顔をする。
血で濡れて、なんか変なのが口からでているのは見えない。
そんなものは最初から存在しなかった。
「どうやって殺したかというとね~」
朝食を終えた頃、向日葵畑に三人ほど侵入者がいた、幽香お姉ちゃんはそれを無視して水をやっている最中だ。
どうやらこんな雑魚妖怪程度、私がさっさと始末しろと背中が語ってるので侵入者の元に向かう。
「どうもこんにちは。最初に言いますが、幽香お姉ちゃんが嫌がるんで帰ってくれませんか、そうしたら半殺しで許しますけど」
「ぎゃはははははお前みたいなガキが面白いことをいいやがる」
「あんな雑魚妖怪に負けたお前なんて怖くねーよ」
「見てくれはいいから俺たちの奴隷でもしてやろうと思ってな」
目的地に着くと花畑を踏み荒らす三匹の馬鹿な狼の妖怪がいた。
頭が悪い、このような馬鹿で雑魚で存在が無駄な妖怪が何故この地に訪れたのだろう。
吐き気がする。
お前らのような妖怪が幽香お姉ちゃんを奴隷とか身の程以前に生きている価値すらない。
「花畑が血まみれになると幽香お姉ちゃん嫌がるんですよ」
「あんな雑魚をお姉ちゃんだなんて、噂倒れらしいなローレライ」
「お前を殺し名前をあげさせて貰うぜ」
「殺す前に遊ばせて貰うがなうひひひ」
もういいや、やっちゃおう。
向日葵畑が血塗れになるから私の大好きな殺し方がは止められてるけど、こんな奴らなら別にいいだろう。
おねーちゃんも許してくれる。
「じゃあ殺していいですか」
「お前ごときに俺たちが殺されるわけねーだろうが」
「土下座して謝ったら許してやるぜ」
「俺たち寛大だからよ、今なら許してやるぜ」
遅いな、それに自分達が何されたかもわかってない愚か者らしい。
男達の一人から奪いとった物の触感を楽しみ、ああやはり生きた妖怪の腕の触感は良い。
でも毛深くてまずい、とても食えたものじゃない。
「まずいですね」
「おいお前それは」
「いでええええええええ俺の腕が俺の腕がああああ」
「お前なにしやがった!」
真ん中にいた男が血が湧き出て、痛みで暴れまわっている。
自分の腕が食いちぎられたことにようやく気がついたらしい。
「ごめんなさいもう言わなくていいわ」
「えーこれから盛り上がるのに」
ミスティアは襲撃者を殺す度にどうやって妖怪を殺したかを嬉しそうに言ってくる。
しかもその方法は大体が弄り殺しだ。
容姿のせいで馬鹿にされることが多かった彼女は、相手に最初は勝てるように思わせて
徐々に絶対に敵わないことを知らしめて、絶望の表情を浮かべた妖怪を自殺させるのが大好きだそうだ。
最近のブームは見逃す振りをして安堵させた後に、惑わし自殺させる。
そんな情報は知りたくなかった。
いつものように可愛らしい妹のようなキャラで、上手い歌を歌っていて欲しい。
こんな性格の彼女だが歌は上手く、落ち着くのだ。
「あまりここを血で汚さないで欲しいのだけど」
「ごめんなさい~」
ミスティアがここに来た頃、襲撃者が現れるたびに臓器がバラバラに散らばり、血まみれの向日葵畑になったのだ。
ちらばった臓器の掃除なんて私はやりたくない。
そんなのは嫌だ、私は見たくない。あの隙間だって嫌だろう。
だからそういう殺し方を禁止にした。
それなのに彼女は襲撃がある度に、
嬉しそうに首を持ってきて。
嬉しそうに殺し方を話し。
嬉しそうに妖怪を食べている。
妖怪というものは、妖怪を食べることにより妖力や魔術が増すらしい。
しかし私は妖怪なんて食べたことが無いのだ。
ていうかミスティアに聞いて初めてその情報を知った。
何しろ私はほとんど人間界で生活してきたのだ、妖怪の世界の話は疎い。
それに妖怪の死体を食べるぐらいなら、死んだほうがマシだ。
弱小妖怪、いや中級妖怪が一番手っ取り早く強くなれる方法があいての妖怪を食べることらしいが、私には無理絶対無理。
嬉しそうな顔で頭を食べる彼女を見て。いつも気分が悪くなる。
触感が、とか味がとか、そんな情報聞きたくないのよ。
こんな化け物と顔をあわせ脅える毎日はもう嫌だ。
逃げよう、私は常にそう思っているが。
逃げ切れるとは思えない。
死にたくないから見てみぬ振りをして、脅えながら必死に生き抜いている。
「幽香お姉ちゃんも食べようよ」
「いらないわ…」
食事時に妖怪の頭なんて持ってこないでよ。
気分悪くなって食べたもの全部吐きそうになるのよ。
ああもう誰か助けて!
個人的には、この作品単体にストーリーが見受けられないのが少し残念に思いました。
しかし、次回作への期待は否応無しに高まるというもの。今後も貴方の作品を楽しませて頂きます。
誤字報告をば。
>膨大な妖力と殺気は心臓を鷲掴みにされ、これが殺されるという感覚なのか、と覚悟を決め体が震えていたところ。
→膨大な妖力と殺気は心臓を鷲掴みし、これが殺されるという感覚なのか、と覚悟を決め体が震えていたところ。
でしょうか。
みすちー怖ぇえええ!! リグルもこの時はヤバい奴だったのか……
剣を使うゆうかりんも結構新鮮で。そのうち剣が日傘に変わるのに何かエピソードがあったりするのかな?
『あれは絶対に言えない私だけの秘密だ。』向日葵何本かに肥料をあげちゃったのかwww
短編で一話完結にしては。
なんというか、展開に花がないといいますか、切れがないといいますか。
壮大な前振りの割には、本文が平坦すぎて。
え? もう少し何かないのかな?
と、読み返してしまいましたw
下手に描写を増やしたせいで、まったり感が強くて。
へー、そうなのかー、という常闇の妖怪気分でおわってしまった感が。
一場面の文章を削って、何か別の展開を足したらもう少し楽しめたかなと思います。
匿名最高点の50+コメントということでこの点数を。
短時間で作品を仕上げることは読者にとって必ずしもプラスの印象にはならないということを。人によっては、もうちょっと時間掛けて作りこんだほうがいいんじゃないの? と思っちゃう人もいるかもなので。
お節介失礼いたしました。
起承転結が見られないためか盛り上がりに欠けていますが、幽香が可愛いからおっけーね!
そういえばこの頃の人里及び守護者って何をしてるんだろう
リグル本人かその関係者だよねぇ……
確かに無数の虫にたかられたら勝てないよ。
蟻の大群には象でも勝てないって言うし。
今回は短い気もするけど、最初に英雄のエピソードとか入ってて楽しかったです。
続きを待ってます。
妖忌(?)に教わった剣でも太刀打ちできない世界とは。
妖夢の台詞から考えれば、妖忌の振るう剣は、雨を斬り、時間を斬り、境界すらも斬ります。
半分は人の身である妖忌ですらそうなのですから、完全な妖怪である幽香が人間に毛が生えた程度なのはおかしいかと。
それとも、妖忌は幽香には全てを伝えなかったのでしょうか。
確かに萃夢想でそんなセリフがありましたね。
六十年と生きていない妖夢でさえ気の流れを斬れるらしいし、その師たるや。
……改めて考えると、どんなチートジジィだよ。
短時間でここまで出来る手腕は見事ですが、それだったら最初から、もう少し推敲に時間を当ててもいいかも。
それと、加筆修正云々は、タイトルよりもタグに書いた方が良いかと思います。
このゆうかりんはとことん不憫だなあ…。どんなに努力しても絶対勝てないってことは、身の回りでもよくあるんで、思わず同情してしまいますね。
話やキャラはとても綺麗でしたけど。
もっと幽香姉ちゃんを追い込んで!!
てか、もうこの幻想郷は俺ではこの先生きのこれない!!
隙あらば掴んでやろうって執念がないととても捕まえられないよ
幽香「これ、何の肉?」
みすちー「えーっと……あれは化け狐だったかな……狐だよ!」
しかし、いくつか文章に直せそうなところがあります。
直せるところを直さないで点数が引かれるのはもったいないことです。
内容に関しては文句など何一つとしてないので、
ご自身のためにも、もう少しばかり推敲を、どうか……!
気が向いて剣の練習しようとしたらたまたま妖怪が攻撃仕掛けてきてスパッとかね?
それ見てみすちーが更に誤解したりとかね。
絶対オプションで「強運に恵まれる程度の能力」とかあるよな、この幽香ww
ところであれだね? リグルも生き残り組みなんだね? しかも上級妖怪をまとめてぶっ殺してたね?