『私は何の妖精なのだろう?』
それは昔から思っている事であった。
一口に『妖精』と言っても種類は様々である。
大抵は自然の化身として生まれる事が多い。
例えばそれは火であったり、風であったり、水であったり、土であったり、花であったり
主に自然に在る物を媒介とした妖精ばかりだ。
そんな中で自分は一体何の妖精であるのか大妖精は解らなかった。
そこで大妖精は身近にいる妖精達の事を考えてみた。
例えばチルノは氷を操る事が出来る氷の妖精。
リリーは春の訪れを教えてくれる春告精。
サニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイア達は光の三妖精と言われていて
この三人はそれぞれ光の屈折等を利用して姿を消したり、音を消したり、何処に誰がいるのかが
解ったりする。
大体は能力から何の妖精だかが解る。
では『私は何だろう?』と考えると特殊な能力は特に思いつかないが皆に出来ない事が一つある。
それは短い距離の瞬間移動だ。
しかし、その能力の事を思うと余計自分の存在が解らなくなる。
結局その能力は『何なのだろう?』となり、いくら考えても答えは出ないで
『私は何の妖精なのだろう?』と言う疑問に落ち着く。
どんなに考えても堂々巡りになるだけで結局最後には『私は何の妖精だろう?』という疑問に
行き着いてしまう。
一人で考えても埒が明かない。
そこで大妖精はいつも遊んでいる皆に相談してみる事にした。
――
「大ちゃんが『何の妖精なのか?』か……」
「今まで気にしてなかったから、そう言われると確かにそうだね?」
「でしょ?チルノちゃんは氷の妖精だってのは解るんだけど結局私は何の妖精なのかなって
考えたら全然解んなくてさ……」
「でも、本当に大ちゃんは何の妖精何だろうね?」
大妖精はリグル、ミスティア、ルーミア、チルノの何時も遊ぶ四人に相談してみたが
結局皆首を捻るばかりで誰も大妖精が何の妖精なのか解る者はいなかった。
「アタイ知ってるよ」
『チルノ(ちゃん)!?』
そんな中一番期待していなかった者が自信満々に知っていると言ったのだ、皆驚いてチルノを見る。
チルノは腕を組みフフンと鼻を鳴らしながら胸を張って自信満々に言った。
「大ちゃんはね、『ツッコミ』の妖精だよ!」
その言葉に皆一瞬動きを止めたが、しばらくすると大妖精以外の三人が『成る程な』という感じで
無言で頷き出したので大妖精は慌てる。
「ちょ、ちょっとチルノちゃん!意味わかんないよ『ツッコミの妖精』何て聞いた事ないよ!?」
「えー?でも大ちゃんはいつも見事にツッコミいれるからアタイはずっとツッコミの妖精
だと思ってたよ?」
「いれてないいれてない」
その言葉に大妖精はチルノの肩を掴みブンブン首を振って否定する、が他の三人もチルノと同じ事を言い出す。
「そう言われるとそうだよね?」
「うんうん、大ちゃんのツッコミは何て言うか的確だよね?」
「み、皆まで何を言うの!?」
マズイ、と大妖精は思った。
このままでは『ツッコミの妖精』と言う訳の解らない存在にされてしまう。
どうにかしなければ、と慌てだす大妖精
しかし、次に放たれたルーミアの言葉により彼女は墓穴を掘る。
「『ツッコミの妖精』なのかー」
「いや、違うから!」
それは無意識の行動だった。
チルノの肩を掴んでいた手を離してポンっとルーミアの胸元に平手を当てていた。
ルーミアが隣にいたため思わず手が出てしまった。
それは自然でタイミング的にも見事な紛れも無い『ツッコミ』であった。
そのあまりの自然さに誰もその行動に何も思わなかった。
ツッコミを行なった大妖精でさえ意識していなかった。
しかしチルノの『ほら』と言う一言でその場にいた全員が認識した。
その見事な『ツッコミ』を認識してしまった。
大妖精がハッとした時には全てが遅かった。
「あー、やっぱり大ちゃんはツッコミの妖精みたいだね?」
「そうね見事なツッコミだったよね」
「やっぱりツッコミの妖精なのかー」
もう弁解のしようがなかった。
自分が行なった見事なツッコミにより皆大妖精は『ツッコミ』の妖精だと認識してしまった。
「ち、ちが……、私はツッコミの妖精なんかじゃ……」
半泣きが入り始めた大妖精の肩がポンと叩かれた。
それはチルノの手だった。
チルノはこちらを見てうんうんと頷き『解っている』と言う感じの顔をしていたため、大妖精はその時こう思った。
きっとこれはチルノちゃんのジョークだったんだ、と
くだらない事で悩む自分を励まそうとしてくれてるんだ、と
しかし仮にも⑨と呼ばれる彼女にそんな気遣いを求めてはいけなかった。
「よかったね大ちゃん、皆も大ちゃんを『ツッコミ』の妖精って認めてくれたよ」
信じた相手が悪かった。
「チ……」
「チ?」
「チルノちゃんのバカー!!」
大妖精はそのまま逃げ出した。
――
「はぁ……」
湖の端の方で大妖精は一人溜息を吐いた。
チルノのせいで皆に『ツッコミの妖精』と言う訳のわからない妖精にされてしまった。
「違うもん……、チルノちゃんのバカ……」
体育座りで大妖精は悩んだ。
このままほおって置くと幻想郷中に自分が『ツッコミの妖精』だと広まる恐れがある。
そうなってはもうどうしようもなくなる。
その前にこの変な誤解を解く必要がある。
そのための手がかりは一つ『瞬間移動』という能力だ。
これは何なのか?何のためにこんな力を持っているのかを知る必要がある。
もしも解れば自分が何の妖精なのか解る最大の手がかりになるはずだ。
だから大妖精は考えた、必死に考えた。
自分の存在を守るために考え続けたのだが、結局は謎のままであった。
「はぁ……」
いくら考えても答えは出ず、大妖精はお手上げと言った感じでそのまま仰向けに倒れた。
何だか今日は溜息ばかりついているな……
そう言えば、誰かが言ってたな、溜息を一つ吐く度に幸せも逃げていく、と
だとすれば今日は相当の幸せが逃げて行ってる事だろう。
「駄目だなぁ……、うん、一回違う考え方してみよう」
例えばそう、本当に自分が『ツッコミ』の妖精だったとしよう、そうするとこの能力はどうなるだろう?
例えば誰かがボケたら瞬間移動でその人の所まで行ってツッコミをして帰ってくる。
……あれ?
もしかして『瞬間移動』の能力ってそのためにあるのか?
大妖精はそれ以上考えるのを止めた。
そのまま考えていたら自分で自分を『ツッコミ』の妖精だと認めてしまいそうで怖かった。
「…………ん?」
危険な思考に行き始めた大妖精の目に一つの物が映った。
それはタンポポの花だった。
そういえばもうすっかり春になった。
これからきっとこの辺りも土筆やタンポポでいっぱいになるだろう。
「ふふ……」
大妖精はタンポポを一輪摘んでクルクルと指で回して遊ぶ。
例えば自分の能力が『瞬間移動』何て難しいものじゃなくて
『花を自在に咲かせる能力』だったり『ちょっとした奇跡が起こせる能力』だったのなら
解りやすいし、妖精っぽくて素敵なのになぁ……、と考えて
「って、両方とも被ってるよ!!緑色の髪でキャラも被ってるよ!!」
手にしていたタンポポを地面に叩きつけて自分にツッコミをいれた。
そしてそのまま跪く。
「…………」
ツッコミなのか?やっぱり自分はツッコミの妖精なのか?
今行なった自分へのツッコミに大妖精は頭を抱えた。
『ツッコミの妖精』と認めたくない自分とソレを認める事で楽になろうとする自分
二人の大妖精が彼女の中で争っていた。
今はやや否定する大妖精が勝っているが、つい先程の行動により段々状況が変わり始めていた。
「う、うう……」
今だ争い、ハッキリしない状況に大妖精は妙案を思いついた。
ハッキリしないのならハッキリさせればいいのだ。
それが出来る者がいる。
緑髪でキャラ被っているで思い出した人物だった。
――
そして、大妖精は楽園の最高裁判長の所までやってきた。
四季映姫はそんな大妖精の話を聞いて頭を抱えた。
そんな事だけでわざわざ自分の所まで訪れたのか?と
「それで私の元に?」
「はい、自分でも馬鹿な事を言っている事、馬鹿な事で悩んでいるとも充分理解しています
ですが、堪えられないんです、ただでさえキャラ立ってなくてこのままじゃ変な立ち位置に
されそうで怖いんです!」
後半本音が駄々漏れになっていたが、言葉通り偽りはないのだろう。
それに調べてみたがこの子は妖精なのに特に悪戯もせず、説教が必要な問題は一つもない。
仮に死んだとして間違いなく天国に行ける存在だった。
この幻想郷では本当に稀な存在だった。
「……解りました、ではどんな結果でも受け入れるのですよ?」
本来ならこんな事はしない所だが、彼女があまりにも真面目で真っ直ぐな良い子なため
ちょっとした仏心が出てしまった。
こんな子が部下なら良かったのに……
そう思いながら映姫は能力を発動した。
――
湖の端、そこには満面の笑みを浮べた大妖精が立っていた。
「あ、大ちゃん!やっと見つけた!」
そんな彼女に声がかけられた、チルノの声だ。
「……チルノちゃん?」
「さっきはごめん大ちゃんアタイ調子にのってた、変な事言ってゴメンね?」
息を切らせて頭を下げて謝罪をするチルノ、あれからずっと自分の事を探していたのかもしれない。
だとすれば迷惑をかけてしまったな、大妖精は反省した。
だからゴメンと頭を下げるチルノに頭を上げてもらう。
「ううん、もういいよ、気にしないで」
「大ちゃん」
「それに元気じゃないチルノちゃんは何だかチルノちゃんじゃないみたいで……」
大妖精はクスクスと笑い。
「『お前誰やねん?』とかツッコミそうになるから」
大妖精はいいながらビシっとチルノにツッコミをいれた。
「……大ちゃん?」
視線の先、大妖精は笑顔であった。
笑顔ではあったのだが、目に光はなく遠くを見ていた。
その事でチルノは不安になってきた。
「何チルノちゃん?」
「ねぇ、やっぱりまだ怒ってるの?あたいが『ツッコミの妖精』何て言ったから怒ってるの?」
「ううん、違うよ、ただねあの時はあんなに嫌な事でもね認めちゃうと凄く楽になったんだ」
「え?」
「チルノちゃんありがとう、おかげで私はやっと自分の事が解ったの、ハハ、ハ、ハハハハハハ」
大妖精は遠くを見つめたままで笑い出した。
妙に堅い笑顔で瞳からは一滴の涙を流していた。
「大ちゃん?大ちゃん!?」
不安そうなチルノの叫びとやけに乾いた大妖精の笑い声が辺りに響いた。
――
これが後の世に史上最高のコンビと言われる事となる漫才コンビのツッコミの誕生の瞬間であった。
それは昔から思っている事であった。
一口に『妖精』と言っても種類は様々である。
大抵は自然の化身として生まれる事が多い。
例えばそれは火であったり、風であったり、水であったり、土であったり、花であったり
主に自然に在る物を媒介とした妖精ばかりだ。
そんな中で自分は一体何の妖精であるのか大妖精は解らなかった。
そこで大妖精は身近にいる妖精達の事を考えてみた。
例えばチルノは氷を操る事が出来る氷の妖精。
リリーは春の訪れを教えてくれる春告精。
サニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイア達は光の三妖精と言われていて
この三人はそれぞれ光の屈折等を利用して姿を消したり、音を消したり、何処に誰がいるのかが
解ったりする。
大体は能力から何の妖精だかが解る。
では『私は何だろう?』と考えると特殊な能力は特に思いつかないが皆に出来ない事が一つある。
それは短い距離の瞬間移動だ。
しかし、その能力の事を思うと余計自分の存在が解らなくなる。
結局その能力は『何なのだろう?』となり、いくら考えても答えは出ないで
『私は何の妖精なのだろう?』と言う疑問に落ち着く。
どんなに考えても堂々巡りになるだけで結局最後には『私は何の妖精だろう?』という疑問に
行き着いてしまう。
一人で考えても埒が明かない。
そこで大妖精はいつも遊んでいる皆に相談してみる事にした。
――
「大ちゃんが『何の妖精なのか?』か……」
「今まで気にしてなかったから、そう言われると確かにそうだね?」
「でしょ?チルノちゃんは氷の妖精だってのは解るんだけど結局私は何の妖精なのかなって
考えたら全然解んなくてさ……」
「でも、本当に大ちゃんは何の妖精何だろうね?」
大妖精はリグル、ミスティア、ルーミア、チルノの何時も遊ぶ四人に相談してみたが
結局皆首を捻るばかりで誰も大妖精が何の妖精なのか解る者はいなかった。
「アタイ知ってるよ」
『チルノ(ちゃん)!?』
そんな中一番期待していなかった者が自信満々に知っていると言ったのだ、皆驚いてチルノを見る。
チルノは腕を組みフフンと鼻を鳴らしながら胸を張って自信満々に言った。
「大ちゃんはね、『ツッコミ』の妖精だよ!」
その言葉に皆一瞬動きを止めたが、しばらくすると大妖精以外の三人が『成る程な』という感じで
無言で頷き出したので大妖精は慌てる。
「ちょ、ちょっとチルノちゃん!意味わかんないよ『ツッコミの妖精』何て聞いた事ないよ!?」
「えー?でも大ちゃんはいつも見事にツッコミいれるからアタイはずっとツッコミの妖精
だと思ってたよ?」
「いれてないいれてない」
その言葉に大妖精はチルノの肩を掴みブンブン首を振って否定する、が他の三人もチルノと同じ事を言い出す。
「そう言われるとそうだよね?」
「うんうん、大ちゃんのツッコミは何て言うか的確だよね?」
「み、皆まで何を言うの!?」
マズイ、と大妖精は思った。
このままでは『ツッコミの妖精』と言う訳の解らない存在にされてしまう。
どうにかしなければ、と慌てだす大妖精
しかし、次に放たれたルーミアの言葉により彼女は墓穴を掘る。
「『ツッコミの妖精』なのかー」
「いや、違うから!」
それは無意識の行動だった。
チルノの肩を掴んでいた手を離してポンっとルーミアの胸元に平手を当てていた。
ルーミアが隣にいたため思わず手が出てしまった。
それは自然でタイミング的にも見事な紛れも無い『ツッコミ』であった。
そのあまりの自然さに誰もその行動に何も思わなかった。
ツッコミを行なった大妖精でさえ意識していなかった。
しかしチルノの『ほら』と言う一言でその場にいた全員が認識した。
その見事な『ツッコミ』を認識してしまった。
大妖精がハッとした時には全てが遅かった。
「あー、やっぱり大ちゃんはツッコミの妖精みたいだね?」
「そうね見事なツッコミだったよね」
「やっぱりツッコミの妖精なのかー」
もう弁解のしようがなかった。
自分が行なった見事なツッコミにより皆大妖精は『ツッコミ』の妖精だと認識してしまった。
「ち、ちが……、私はツッコミの妖精なんかじゃ……」
半泣きが入り始めた大妖精の肩がポンと叩かれた。
それはチルノの手だった。
チルノはこちらを見てうんうんと頷き『解っている』と言う感じの顔をしていたため、大妖精はその時こう思った。
きっとこれはチルノちゃんのジョークだったんだ、と
くだらない事で悩む自分を励まそうとしてくれてるんだ、と
しかし仮にも⑨と呼ばれる彼女にそんな気遣いを求めてはいけなかった。
「よかったね大ちゃん、皆も大ちゃんを『ツッコミ』の妖精って認めてくれたよ」
信じた相手が悪かった。
「チ……」
「チ?」
「チルノちゃんのバカー!!」
大妖精はそのまま逃げ出した。
――
「はぁ……」
湖の端の方で大妖精は一人溜息を吐いた。
チルノのせいで皆に『ツッコミの妖精』と言う訳のわからない妖精にされてしまった。
「違うもん……、チルノちゃんのバカ……」
体育座りで大妖精は悩んだ。
このままほおって置くと幻想郷中に自分が『ツッコミの妖精』だと広まる恐れがある。
そうなってはもうどうしようもなくなる。
その前にこの変な誤解を解く必要がある。
そのための手がかりは一つ『瞬間移動』という能力だ。
これは何なのか?何のためにこんな力を持っているのかを知る必要がある。
もしも解れば自分が何の妖精なのか解る最大の手がかりになるはずだ。
だから大妖精は考えた、必死に考えた。
自分の存在を守るために考え続けたのだが、結局は謎のままであった。
「はぁ……」
いくら考えても答えは出ず、大妖精はお手上げと言った感じでそのまま仰向けに倒れた。
何だか今日は溜息ばかりついているな……
そう言えば、誰かが言ってたな、溜息を一つ吐く度に幸せも逃げていく、と
だとすれば今日は相当の幸せが逃げて行ってる事だろう。
「駄目だなぁ……、うん、一回違う考え方してみよう」
例えばそう、本当に自分が『ツッコミ』の妖精だったとしよう、そうするとこの能力はどうなるだろう?
例えば誰かがボケたら瞬間移動でその人の所まで行ってツッコミをして帰ってくる。
……あれ?
もしかして『瞬間移動』の能力ってそのためにあるのか?
大妖精はそれ以上考えるのを止めた。
そのまま考えていたら自分で自分を『ツッコミ』の妖精だと認めてしまいそうで怖かった。
「…………ん?」
危険な思考に行き始めた大妖精の目に一つの物が映った。
それはタンポポの花だった。
そういえばもうすっかり春になった。
これからきっとこの辺りも土筆やタンポポでいっぱいになるだろう。
「ふふ……」
大妖精はタンポポを一輪摘んでクルクルと指で回して遊ぶ。
例えば自分の能力が『瞬間移動』何て難しいものじゃなくて
『花を自在に咲かせる能力』だったり『ちょっとした奇跡が起こせる能力』だったのなら
解りやすいし、妖精っぽくて素敵なのになぁ……、と考えて
「って、両方とも被ってるよ!!緑色の髪でキャラも被ってるよ!!」
手にしていたタンポポを地面に叩きつけて自分にツッコミをいれた。
そしてそのまま跪く。
「…………」
ツッコミなのか?やっぱり自分はツッコミの妖精なのか?
今行なった自分へのツッコミに大妖精は頭を抱えた。
『ツッコミの妖精』と認めたくない自分とソレを認める事で楽になろうとする自分
二人の大妖精が彼女の中で争っていた。
今はやや否定する大妖精が勝っているが、つい先程の行動により段々状況が変わり始めていた。
「う、うう……」
今だ争い、ハッキリしない状況に大妖精は妙案を思いついた。
ハッキリしないのならハッキリさせればいいのだ。
それが出来る者がいる。
緑髪でキャラ被っているで思い出した人物だった。
――
そして、大妖精は楽園の最高裁判長の所までやってきた。
四季映姫はそんな大妖精の話を聞いて頭を抱えた。
そんな事だけでわざわざ自分の所まで訪れたのか?と
「それで私の元に?」
「はい、自分でも馬鹿な事を言っている事、馬鹿な事で悩んでいるとも充分理解しています
ですが、堪えられないんです、ただでさえキャラ立ってなくてこのままじゃ変な立ち位置に
されそうで怖いんです!」
後半本音が駄々漏れになっていたが、言葉通り偽りはないのだろう。
それに調べてみたがこの子は妖精なのに特に悪戯もせず、説教が必要な問題は一つもない。
仮に死んだとして間違いなく天国に行ける存在だった。
この幻想郷では本当に稀な存在だった。
「……解りました、ではどんな結果でも受け入れるのですよ?」
本来ならこんな事はしない所だが、彼女があまりにも真面目で真っ直ぐな良い子なため
ちょっとした仏心が出てしまった。
こんな子が部下なら良かったのに……
そう思いながら映姫は能力を発動した。
――
湖の端、そこには満面の笑みを浮べた大妖精が立っていた。
「あ、大ちゃん!やっと見つけた!」
そんな彼女に声がかけられた、チルノの声だ。
「……チルノちゃん?」
「さっきはごめん大ちゃんアタイ調子にのってた、変な事言ってゴメンね?」
息を切らせて頭を下げて謝罪をするチルノ、あれからずっと自分の事を探していたのかもしれない。
だとすれば迷惑をかけてしまったな、大妖精は反省した。
だからゴメンと頭を下げるチルノに頭を上げてもらう。
「ううん、もういいよ、気にしないで」
「大ちゃん」
「それに元気じゃないチルノちゃんは何だかチルノちゃんじゃないみたいで……」
大妖精はクスクスと笑い。
「『お前誰やねん?』とかツッコミそうになるから」
大妖精はいいながらビシっとチルノにツッコミをいれた。
「……大ちゃん?」
視線の先、大妖精は笑顔であった。
笑顔ではあったのだが、目に光はなく遠くを見ていた。
その事でチルノは不安になってきた。
「何チルノちゃん?」
「ねぇ、やっぱりまだ怒ってるの?あたいが『ツッコミの妖精』何て言ったから怒ってるの?」
「ううん、違うよ、ただねあの時はあんなに嫌な事でもね認めちゃうと凄く楽になったんだ」
「え?」
「チルノちゃんありがとう、おかげで私はやっと自分の事が解ったの、ハハ、ハ、ハハハハハハ」
大妖精は遠くを見つめたままで笑い出した。
妙に堅い笑顔で瞳からは一滴の涙を流していた。
「大ちゃん?大ちゃん!?」
不安そうなチルノの叫びとやけに乾いた大妖精の笑い声が辺りに響いた。
――
これが後の世に史上最高のコンビと言われる事となる漫才コンビのツッコミの誕生の瞬間であった。
えーき様、そこは閻魔の立場であっても嘘をついてあげようよwwwww
でも大ちゃん以上に自然にツッコミできる人物が思い当たらない……
作者限定でのフランちゃんぐらいか。
ボケとツッコミの間が悪いと白けるからやっぱり瞬間移動はそのためかwwww
大ちゃんは湖の妖精ではないかと勝手に思ってる
えーきさま、そういうときくらい嘘をいってあげればいいのに
と言うか、妖精ってのは死なないのでは……
でも、凄く馴染んでるヨ。天職(?)だねきっと
ごめん。スゴク笑った...ドクターペッパーこぼしちゃった...
ネタを作るのはどっちなんですかねぇ…?
それに気がついて、SS書いた作者さんGJです。マジお見事!!
本当に考えればキリがないぜ。
それ以上考えるのを止めた、って所が可愛い。
閻魔様のとこまで行くその行動力と真面目さがステキ。
なんて想像している。たまにある話だから。
作者特定余裕でしたww
咳が止まらなかったりしたときに舐めるといい人です。
マジ狩るの人ですよ、きっと!
あそこの紅魔館、ツッコミ役がフランちゃんしか居ない事で有名だし。
改めて探してみたら意外と少なかったのにびっくしりました……
むしろマジ狩るの人の方ですね。言われて気づきました。なんでこんな大事な人忘れてたんだろう……
大ちゃんはむしろ大いに誇るべき。無理か。
いやあ大ちゃんかわいかったです。
素晴らしいSSありがとうございました。
ほんと大ちゃん何の妖精なんでしょうね。
そういえばおやつ氏の『最初の一歩』の大ちゃんはかっこよかったなあ。
確かにハマっているけど……。でも、可愛かったです。
最近のそそわではとても貴重ですね。
メタネタや超設定を入れないと笑いが取れない作者さん達には見習ってほしいものです。
「瞬間移動→量子論(不確定性原理)」
という連想が頭に浮かび、
「何の妖精か同定される→大妖精消失」 という流れか! っと考えたけど考えすぎだったぜ!
面白かったよ
できればもう少し漫才的な要素が欲しかった
冒頭からギャグだと判りやすいから、「ツッコミの妖精」なんていう破天荒な設定でも受け入れられましたし、このオチでもそんなに後味が悪くないように思いました。
これ読んだら、ツッコミ役なのに一発ギャグの無茶ぶりされて、スベッて半泣きの大ちゃんが思い浮かんだけど、違和感がないのはなんででしょう?
二次創作界隈の大妖精だと普通にあり得そうで怖い……w
常識人は壊れギャグ役かツッコミ役になる運命なのだよ……