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私が幻想郷縁起を編纂し始めたのは、千年以上前のことだ。
といっても私の年齢はまだ十代であり、祖先であり、私である阿一が書き記したものだ。
初代の書いた幻想郷縁起は文字も読みづらく、聞いたことをそのまままとめただけで資料としての価値はあまり無い。
言ってみれば、興味本位のインタビュー集のようなものだ。
この内容で人間が妖怪に打ち勝つなんていったことは無理だろう。
私の一族は生まれた時から短命なのが確定している。
その短い人生を使ってやることは、幻想郷の歴史を編纂する
ただそれだけだ。
初めの頃は形にならなかった幻想郷縁起だが、阿爾、阿未と何代も転生していくうちに資料として通用する物にはなった。
幻想郷縁起を書き上げると転生のための準備のために村から離れる。
今私はその準備のため雪山へと向かっている。
阿一族、いや生まれ変わりなのだから全て私とも言うべきか、私達というべきか。
とにかく私は先祖であり私の阿礼の求聞持の能力、つまり見たもの、聞いたものを忘れないという能力を受け継ぐが
過去の私達の大抵の記憶は受け継がれない。
一部だけ受け継がれる物は感情だ。
過去の私達が何を思い、何を考え、どうやって死んでいったかは覚えている。
だから過去の私達が誰が好きでどういう思いをもっていたかがわかるのだ。
不思議な事に、私達は同一人物に恋慕の念を抱いている。
過去の私も私と同一人物のようなものだから、当たり前と言えば当たり前なのだが。
もう一度言うが、私は記憶はほとんど受け継がれない。
だから私は、生まれてから一度も会ったことの無い人物に恋をしているのだ。
これがどういう状態かわかるだろうか
どこにいるかも、顔もわからないのに常に会いたいと思ってしまい胸が苦しい。
どうしようもなく愛しているのに、その人物は近くにいない。
何年も、何年も私はそのどうしようも気持ちを抱き、生きてきた。
子供の頃から苦しめられたがようやく会える。
あの人に、どうして昔の私はその人物に好意を抱いたかようやくわかる。
ようやく会う機会に恵まれた。やっと会える。
余りの嬉しさに顔が緩み、だらしないことになっているような気がする。
「やっと来たわね」
「ようやく会えましたね」
私達が恋して止まない相手がどこからともなく現れた。
本を書き終えないと会えない相手にようやく会えた。
嬉しさのあまり抱きつきたく衝動に駆られるがなんとか耐える。
まだだ、まだ私と彼女は初対面であり、千年以上の付き合いなのだ。
「どうもこんにちは、初めましてでいいんですかね」
「久しぶりでいいんじゃないかしら」
「わかりました、お久しぶりですレティホワイトロックさん」
「レティでいいわね。久しぶりね、えと…今の名前は?」
「阿求です」
「そう阿求、よろしくね」
私達が愛して止まない、レティホワイトロックさんにようやく会えた。
やっと会えた、ようやく会えた、また会えた。
歓喜の感情に包まれ、幸せすぎて死にそうだ、子供の頃からの思いがようやく叶う。
こんな感情を抱かせる彼女はどんな人物なのだろうか、今の私には情報が圧倒的に足りない
「阿求は冷静なのね、阿弥はいきなり抱きついてきたのに」
なにやってんだ、私の前の私
気持ちはわかるがそこは抑えておけばいいのに。
「知っての通り、私は記憶を受け継いでおりません」
「ええ」
「なのでまずは質問をさせて戴きます」
「わかった、なんでも聞いて頂戴」
私達はレティが大好きだ。
死んでも愛するぐらいに愛している。
しかし成長するに連れて、疑問に思うことがある。
私は人間だ。
彼女は妖怪だ。
それなのに彼女を愛した私と、彼女に一体何があったのか。
それがずっと知りたかったのだ、知る機会をずっと待っていたのだ。
長年の疑問がようやく解ける、私は彼女の返答に期待していた。
「では聞きます、何故私は貴方をこんなにも愛しているのですか」
「わからないわ」
「えっ?」
「阿求、いや阿一の考えなんて未だに私も疑問なぐらいよ」
「大恋愛や、物凄く感動的な出会いをしたのではないですか?」
「どうなんだろ、ちょっと長くなるけどいい?」
「はい」
私は今と同じように雪山に住んでいたのよ。
でその日は、いつものように山の散策をしていたわけ。
で、お昼頃だったかしら足元に変な感触がしたと思ったら人が埋もれていたのよ。
「はぐぁ」
私がふんずけた瞬間何か変な声を出したような気がするけど、
まあ別にいいかなと思って、無視しようと思ったんだけど。
その人間が突然立ち上がって
「あなたが雪女ですか! 是非お話を!」
と私に話しかけたと思ったら意識失って倒れたのよ。
まあ当たり前よね、人間が雪に埋もれてたのだから体が弱ってるに決まってる。
脆くて、すぐ死ぬ人間にこの雪はきついのでしょうね。
で話しかけてきたこいつに私は心当たりがあったの、顔見知りの妖怪が「変な人間が妖怪の話を聞きまわってる」とかいってたから。
きっとこいつのことなんだろうなと思って、暇だったし寒気を操って死に掛けてた人間から冷気を吸い取って家まで運んだの。
で寝かせてしばらくたったらそいつが目を覚ましてね。私にむかってこういったのよ。
「結婚してくれ」
話がそこで一旦途切れる。
レティさんはこちらを見つめて、感想を待っているようだ。
そんな目で見つめないで欲しい、照れるではないか。
それにしてもまったくもって意味がわからない、昔の私は何を考えていたのだろうか。
頭を抱えたくなる、何をもって突然結婚を申し込んだのだろうか。
「こんな出会いだけど、阿求はわかる?」
「わかりません」
「そうよね、貴方がわからないなら私がわかるはずがないわよねじゃあ続き話すわね。」
「お断りよ」
「何故!私はこんなに愛しているのに」
「意味がわからないわ」
「チクショウ、チクショウォォォォォォォ」
私が断るとその人間は泣きながら家から出て行ったわ。
すぐに戻ってきたけど
先ほどの乱れに乱れた態度から、突然真剣な顔になっていて驚いたわ。
「雪女殿、もしよければ話をお聞かせ願いたい」
「暇だしいいわよ」
人間なんてただの餌にしか思ってない妖怪もいるけど、私みたいに暇で暇で仕方が無く
常に何か面白いことを望んでいる妖怪もいるのよ
当時の私は付き合いというものを知らず、ほとんど何も知らない存在だったからね。
だからただの人間の話なんてものに付き合ったの。
最初から面白い人間ではあったからね。
「名前は?」
「レティ・ホワイトロック」
持っていた竹に筆に私の名前を書き込む
その間に可愛らしい名前だ、私の目に狂いは無いとか言ってたけど聞き流したわ。
「結婚してください」
「お断りよ」
名前を書き終えるとこちらに向き直りまた結婚を申し込んできた。
「人間をどう思ってますか」
「なんとも思って無いわね」
実際の話、妖怪も人間も私の中ではどうでもいい存在だった。
なにしろ私はこの雪山を出たことが無く、同じ山に住んでいる妖怪と何度か話したことがある程度なのだから。
私がもしこの時まともな判断をもっていたら、この人間何てとうに殺されるか追い出されてるような気もする。
「私と愛しあいましょう」
「お断りよ」
「どんな能力をもっていますか?」
「寒気を操る程度の力よ」
「寒気? 雪ではないのですか、一体どんな力ですか」
「例えば今貴方温度をどう感じる?」
「雪山にいるのに、暖かいぐらいです」
最初見たとき寒さで死に掛けていたからその人間の寒気を無くし、体調を良くしたのだ。
そうでなければただの人間がこれほど早く立ち直れるわけが無い。
「寒さというものを操るのが私の能力、私が力を使えば貴方なんてすぐに凍死させられるわよ」
「なるほど、恋人になってください」
「お断りよ、試しに力を使わないと」
いい加減むかついたのか、ちょっといじわるしたくなったのよね。
むかつくという感情もこの時初めて知った気がする。
もしかしたら悪戯してやろう程度の感情だった気もするけどそこまでは覚えてないの。
「さささささむい、やめめめてててください」
能力と止めるとその人間は全身を震わせ、悴んでいたわ。
まあ当然よね、私みたいな雪女と違って寒さになんて慣れていないのだから。
「どんな能力かわかった?」
「あったかい…はい恐ろしい能力ですね、そんな貴方のことが大好きです」
「私はなんとも思ってないわよ」
「とにかく変な人間だったのよ、碌な防寒の準備もしないで、妖怪の元に来る、正気と思えない行動。
未だにあの人が何を考えていたなんてわからないわね」
「祖先が迷惑かけて申し訳ありません」
「いいのよもう」
恥ずかしさで逃げたい衝動に駆られる。
しかしどうしてそんな人物を追い出さなかったのか、殺さなかったのか。
私なら間違いなくこんな人物は嫌うはずなのに。
「続けるわね」
で、話を聞き終えるとその人間はお礼を言い山を降りていったのよ。
次の日また来たけど。
次の日どころじゃないわね。
私が暇と言ったのを覚えていたのか、私と雑談しに来たのよ。
その間にも貴方は私の女神だ結婚してくれとか、可愛い可愛い結婚して欲しいとか言ってたけど。
それを除けば私も暇を潰させて貰ったのよ。
毎日のように櫛だの簪だの着物とか贈り物とか言ってもってきたし。
最初は人間なんてなんとも思ってなかったけど。
この人間は何か違うのかも知れない。
そう考えていたら。
ある日その人間は来なくなったの。
毎日来ていたのに、何で来ないのだろう。
今日は話しに来てくれないのかな。
人間如きを気にした自分に驚いたわよ。
それまでずっと一人で過ごしてたせいかしらね、会話なんてものあまりしたことなかったし
いつのまにか私はあの人間をどうでもいいとは思っていなかったの。
来なくなって一日目
来る途中にまた遭難してしまったのかしら。
そう思い雪山を散策してみるが、発見出来ず。
来なくなって二日目
もしかして病気にでもなってしまったのだろうか。
人間はこういうとき、どうするのだろう。
お見舞いとやらをするとか言っていたが、私も行くべきだろうか。
で三日ほどたった日、まだ来ないあの人間の元に行こうと決めたの。
あの人に送られた着物とかで人間の振りをするには充分だったの。
で生まれて初めて山を降りて、山の麓の村に住んでるとか言ってたから人間に聞いてみたの。
「阿一って知ってる?」
「なんだあいつの知り合いか?」
「知ってるの?」
「ああ、阿一なら妖怪の回し者だったから処刑されたよ」
処刑?
この人間は何を言ってるのだろうか。
「もう少し話を聞かせて」
「あんな奴のことなんて口にしたくないが…この雪山に妖怪がいるのは知ってるか?」
「ええ」
「時折人間を凍死させる極悪な妖怪なんだが、討伐しようって話になってた国一の陰陽師を呼ぼうとしたんだが、
阿一の奴が一人反対してな、彼女はそんな悪い妖怪じゃない、討伐なんてもっての他だ。とか言い出したんだよ」
「それで?」
「妖怪側の奴だったんだろうな、処刑されたよ」
「それだけなの?」
「ああ、それで充分だろ。何しろ妖怪達の話を聞きまわってる変人だ。きっと洗脳でもされてたんだろうよ。で阿一の財産は村の物になったわけだ、あいつ金持ちだったからその代金で陰陽師を」
悲しそうな表情で話を切る
「この続きは聞きたい?」
「いえ充分です」
そこから何があったなんて大体予想が付く。
その予想は間違いなくあってるだろうし、聞くべきでは無い。
「そうね、私もあまり言いたくなかったからありがとね」
そういい私の頭がなでられる。
そんな子供じゃないという感情と、気持ちよさの余り昇天しそうになるが耐える。
「一部話は省略するわね、私はあまり言いたくないし。気になったら昔の本でも読んで頂戴、恐らく書かれてる」
「しかしこの話ではレティさんと、私達は結ばれないのでは?」
「そう、そこが言いたかったの。
昔から人間と妖怪の恋愛なんて不幸な結末にしかならないわ、阿一にもそんな話をいくつかしてもらった。
その途中で「私はそんな不幸な結末にはさせないから結婚してください」とか言ってたけど、嘘つきよね。
何しろ勝手に私の日常荒らしていって、勝手に消えて言ったのだから。でもね、その人間は違ったのよ」
阿一が死んで百年程たったかしら。
その間私はよくわからない胸の痛みで、雪山に入ってくる人間を殺し続けて時折人間に討伐されかかったのよ。
まあ全て返り討ちにしたけど。
でもいくら人間を殺してもその胸の痛みはなくならなかった。
その時は感情なんて碌にわからなかったから仕方が無いわよね。
で、その日も人間がやってきたのよ。
いつものように私はその人間を殺そうとした、しかしその人間何て言ったと思う?
「レティ、死んでも愛してるだから私と結婚してくれ」
昔と同じ顔で、昔と同じ声で、昔と同じままでそこにはその人間がいたのよ。
その時ようやく胸の痛みがとれて。
「いいわよ」
「…えっ?」
思わず承諾してしまったのよ。
その時の表情ったら最高だったわね。
いつも無表情で結婚してくれと申し込んで来たのに、私の承諾を聞いた途端
顔を満面の笑みにして抱きついてきたのよ。
胸の痛みが無くなった私は、次は自身の体が溶けそうなぐらい胸や顔が熱くなったのよ。
何で死んだはずの人間が生きてるなんて事はその時は気にならなかったわね。
抱きつかれてからしばらくたってから聞いてみたけど。
「貴方なんで生きてるの?」
「閻魔に頼んで転生させて貰った」
そうして私は妖怪の生活が気になり興味本位で聞きまわっていた時の妖怪達の事を纏めた本とやらが過剰に評価されたことと。
村人達に処刑され、レティのことに対する無念やら恨みやらで悪霊になりそうだったから、妖怪についての本を書き続ける事、悪霊にならないことという条件で蘇らせてもらったらしい。
記憶はほとんど受け継がれないらしいけど、私の事を愛してるという感情だけは維持してたらしいのよね。
妖怪と人間の恋は報われないって言われるけどあれは嘘ね、私達は幸せになれたのよ。
確かに人間はすぐに死ぬ、私達の寿命と比べ蝋燭のようなもの。
でもね、死んでも蘇って私の元に来てくれる。
記憶を失っても私の事を愛してくれる感情だけは忘れない。
感情というものを理解していなかった私でも、そんなことをされると嬉しくて嬉しくて仕方が無いのよ。
「死んでも愛してたぞレティ」
「いいの私で? 私妖怪だし、あなたの事まだ気になってる程度よ」
「今はそれでいい。しかし何年何十年何世代かかろうとも、お前の心を溶かしてやるよ」
「やっぱり人間って馬鹿ね」
その言葉を聞き思わず笑ってしまった。
何と面白く変な人間なのだろう。
そんな人間を気に入ってしまった私も変な妖怪なのだろうか。
まあいい。
あれほど痛かった胸も痛くなく、これほど晴れやかなのだから多少変なぐらいは気にしない手おこう。
続きがどうなったかを聞くなんて無粋なことなのだろう。
何しろ昔の私なのだ。
まったくもってその時代の記憶は無いが。
大体想像は付くし、もうそろそろ我慢もできなくなってきた。
先ほどから腕も体も震えている。
目の前で微笑むレティさんに思いをぶつけろと叫んでいる。
「これでこの話はお仕舞よ、聞きたいことはある?」
「最後に一つ」
「なにかしら」
「また私と結婚して頂けませんか」
「いいわよ」
彼女に口付けをした時、おかしな事に今まで記憶に確実に存在しなかったことが
湧き出てきた、思い出したというべきなのだろうか。
しかしそれらは断片的であり、形にならない。
これはなんだ?
どこかの森を
成長した私のような人物と、小さなレティさんが手を握り歩いている。
「私、はやく大人になりたい」
「どうして?」
「大人になってね、阿一おねーちゃんを私のお嫁さんにするの」
「嬉しいけど…私たちは女同士だから…」
「おねーちゃんわたしのこと嫌いなの?」
「そんなことない」
「私が阿一おねーちゃんを幸せにしてあげる」
「おねーちゃんこれあげる」
「これは…指輪?」
「うん私とお揃い、これで結婚できるね」
「…ええ」
場面が変わり
白い装束を着て神輿のようなものに乗っているレティさんと、私が何かを話している
「なんで貴方が山の神の生け贄になんてならないとダメなのよ!」
「村のため何だからしかたがないよ」
「村なんてどうでもいい、私なら貴方を逃がしてあげれるから一緒に逃げましょう」
「嬉しいな、おねーちゃんにそう言って貰えるなんて」
「じゃあ早く」
「でもダメ、私が逃げたら違う人が生け贄になるだけだよ。だからごめんなさい」
「私と結婚するんでしょ!」
「まだ覚えててくれたんだ…」
なんだこの記憶は
私はこんなことを経験したことは無い。
この記憶は誰の物だ。
どこかの部屋で私が泣きながら、誰かにひたすら謝っている。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
あの子をみた?
ああ田吾作の奴が見たらしい
本当?本当なの?
妖怪?
あああの娘は妖怪となって生まれ変わったんだろう。
生きてた、死んで記憶を無くしても生きててくれた
私が送った指輪をまだつけていてくれる!
あのときは助けてあげれなくてごめんなさいでも今なら
もしかしたら色々な話をすれば彼女の記憶が…
次々と断片的な記憶が湧きでて、頭が痛み吐き気がする。
脳が直接揺らされてるような感じだ。
この記憶は…阿一のものか?
レティさんは元々人間だったのか?
そして妖怪となって生き返ったのか?
これは本当にあった出来事なのか?
あの子を討伐する? ふざけないで!
また殺すの? 村の掟とかいう勝手な都合で生贄で殺しすなんてて私は絶対に認めない!
今度こそあの子を守ってやる 、絶対に守ってやる
妖怪と仲良くしてるやつなんてころしてしまえ
あいつに主人が
子供の恨みだ
陰陽師を呼べ!
…村長さん、なんで?
すまぬお前一人の感情で村を危険にさらすわけには
わたしはしぬの?
そのきずではもう…すまない…
レティ…ごめんなさ…
聞くと経験するでは違いがありすぎですよ、阿一さん
だからそんなに必死に結婚申し込んでたんですね。
だから妖怪のことを調べ回ってたんですね
だからレティさんを愛していたんですね
阿一さん、貴方にはもうすぐ転生してもらいます。
はい
しかし記憶をもって転生させることはできません。
なんでですか
前世の記憶を受け継ぐと人間の精神は狂ってしまいます、それに死者の記憶がよみがえることはありえません。
そこをなんとかしてください、お願いします。記憶をなくしたら意味がないんですなんだってしますだから記憶を消さないでくださいおねがいします。
許可できません。
あの子の元に記憶をもったまま転生させてください、お願いします。
無理です
おねがいします、おねがいします
ここからは独り言です。
記憶をすべて受け継ぐと精神がおかしくなってしまいますが、一部のみなら精神が維持できます。
えっ?
それに私が部屋を留守にしている間に転生許可の書類の内容を変えるのはしかたがないですね
閻魔様っ…
私はそんな条件の転生許可を絶対にだしませんからね、それではあと書類は任せましたよ
ありがとうございますありがとうございます
厳罰ですかね、私も柄にも無いことを
レティ!やっと私は!
そうか、そういうことだったんだ
私はそう思い、そうやって死に、そうやって蘇ったのか
「泣いているけどどうかしたの?」
「嬉し涙ですよ、ところでレティさん」
「なにかしら」
「その指輪は?」
「わからないけど、いつのまにかつけてたのよ」
レティさんがつけている指輪は、先祖代々伝えられている古ぼけた指輪にそっくりであった。
そうか、やはりこの記憶は…。
千年前からの付き合いの、会ったことも無い人物への両思いの夢がようやく叶う。
生きていてよかった。
村では腫れ物のような扱いだった私はこの時から始まる日々のために生きていたのだろう。
ただ本を纏めるだけの人生だったら、私はとっくに死を選んでいる。
本を纏めるという目的が達成された後、私は自由だ。
その自由の日々を使い、死ぬまで彼女を愛そう。
彼女の声も、体も、存在も全てが愛しい。
今回も
何度も何度も何度も抱きしめられ。
何度も何度も何度も口付けし。
何度も何度も何度も愛して貰おう。
なんたって私は彼女から結婚を申し込まれていたのだから。
彼女を手放すことは無い、確かに私は長生きできない。
しかしこれほど幸せな人生は無い。
レティさんは未来永劫私達のものだ。
阿礼乙女「何度でも蘇るさ!」
ストレートなのは良いけど、なんか腑に落ちない感じ。
処刑やら使うなら、そこをしっかり書いて欲しいなと思う。
感情移入もしやすいし。
もっと丁寧さが欲しいな(キリッ
ただ、ちょっと物足りないというか、腑に落ちないというか……
阿一がレティのことを好きになった理由とか、処刑のくだりとか、もっと深く掘り下げて欲しかったです
阿一がなぜ転生できるようになったのか。求聞持の能力を持つようになったのか。
突然特殊な能力の子が生まれるのも何か不自然ですし、何かしらの切っ掛けがあるだろうとはずっと思っていました。
でもこんな不純な動機だったとはww いや、不純すぎて純粋になったというべきか。
笑えばいいのか感動すればいいのニヤニヤすればいいのかよくわからないww
あと、阿弥ちゃんに萌えたww
→イイナハシダナー!→ゆっくり幸せになっていってね!!!(感涙←今ここ
読み返して今、もう一度言おう。今度という今度こそ、ゆっくり幸せになっていってね……!!
素晴らしいですね。