人間向けの長い説法の最中、近隣の残虐な妖獣との戦闘時、心痛で彼女が喋れなくなったとき。
千年の間に、話せない状況は数多あった。声を出せない際の意思疎通のために、二人で手や指先の言葉を決めた。
左手を一回転させるのは、「遅くなりそうだから先に戻っていて」。
手の甲を二本指で擦るのは、「一旦離脱して。後に山門で合流」。
人差し指と薬指をくっつけるのは、「待っていて、ここにいて」。
小指で唇に触れるのは、これはまあいいか。定めるだけ定めて、恥ずかしいので用いなかった。
これらの合図は、聖輦船の再浮上と聖復活、命蓮寺建立を経て使用されなくなった。幻想郷は極めて平和で、緊急連絡や秘密の伝達の必要がない。何事も声で伝えられる。いいことなのだろう。多分、淋しくはない。
かつての仲間や聖と暮らし始めて、彼女は本来の温かで平和な笑顔を取り戻した。毘沙門天様の代理としても、再び精力的に活動するようになった。二人きりの時間はほとんどなくなった。手のかかる虎のお守りから半ば解放されたのだ、喜ぼう。
卯月下旬の快晴の日、天狗の新聞記者が写真機を構えて寺に取材に来た。山の妖怪との親交を深められると、聖は撮影やインタビューの要請を快諾。私達に自慢の弾幕を披露するよう願った。
最初に一輪と雲山、ムラサ船長が指名された。寺院内の防弾領域で、入道の拳骨や稲妻、柄杓の水飛沫、碇を大暴れさせた。荒事慣れした鴉天狗は、迫る危機を軽々と回避。疾風のように近付き、シャッターを切った。三者ともかなり悔しそうにしていた。一輪は口を曲げ、雲山は雄々しい眉を抓っていた。船長はぬえに負け犬とからかわれて吠えていた。聖の命とはいえ、力作のスペルカードをあっさり撮られるのは気に食わないらしい。何事にも真剣なのが、命蓮寺の面々のいいところで困ったところだ。
「次、星さんとナズーリンさんお願いします」
「わかりました。聖、すみませんが」
困ったさん筆頭の彼女は、聖に宝塔の解放許可を求めた。たかがカメラ相手に、毘沙門天様の神光を放つつもりらしい。聖は宝物庫の鍵を渡し、船長に寺を聖輦船化させた。法の光の影響の少ない魔の世界へ、船は旅立った。道中、一輪とムラサに暑苦しく励まされた。簡単に撮影されたら許さないそうだ。
「精一杯努力しましょう。ね、ナズーリン」
「ほどほどにね」
魔界上空で、私と彼女は弾の幕を広げた。
私は古銭掘りや、金塊採掘の真似事で場を煌びやかにした。それなりに手は抜いたが、記者を満足させられたらしい。所詮鴉だ、光り物に釣られるのだろう。ネズミ何やってるのと一輪達はご立腹だった。聞こえない振りをした。
彼女は仲間の期待通り、全力でレンズに立ち向かった。妖虎らしく咆哮突進したかと思えば、光線と色珠で曼荼羅を創造。天狗をあややややと慌てさせていた。中でも宝塔の曲線を描き交差する光は、新聞屋の体力と神経に打撃を与えたらしい。再挑戦に次ぐ再挑戦の末に、遂に音を上げた。観衆が絶賛していた。
流石に闘う気を消耗したのか、聖とぬえのスペルカードを写すのは後日となった。
幻想郷への帰路、船内の応接間で全員揃ってインタビューを受けた。光弾の攻撃を撮れない分、天狗の少女は次々と質問してきた。命蓮寺の信仰の集まり具合、縁日の企画運営と収益について、守矢神社との仲、個々人の経歴や趣味特技好物。寺関連の問いには、主に聖と彼女が答えていた。私はやり取りに鼠耳を向け、時々回答者になった。
「白蓮さんは法界、一輪さんと雲山さん、水蜜さんは地底。星さんとナズーリンさんは山寺に残留。しかも約千年。粘り強い再会劇ですね。山の組織のような団結力です」
「組織ではありませんよ。私はこの子達を、我が子のように愛しく思っています」
赤面するような台詞を真顔で言うのが、聖一門の伝統だ。毘沙門天様の遣いとして途中参加した私は、彼女達の空気に苦笑する。なんて毒のない。
互いの関係について、順番に訊かれた。一輪と雲山は、戦友。一輪とムラサ船長は、親友。船長とぬえは、腐れ縁。聖と彼女は、帰依し合う尼僧と神仏。記者天狗は手帳に人物相関図を書いているようだった。
「で、星さんとナズーリンさんが主従と」
「まあそうなるね」
向かい側に座る彼女と目を合わせて、頷いた。
表向きは、上司と部下。裏では、行動を監視される側とする側。聖や一輪達は真実を知らない。ややこしい事態を避けるために、私は彼女だけに正体を明かしている。もっとも、共に長い年月を過ごした今では、裏の間柄も幾らか変化しているが。
「あんまり主人と召使っぽくないよね。星は偉そうに命令しないし、ナズーリンは敬語使わないし」
「あんたもね。聖には礼儀正しく接してよ」
「どんな言い方でも真心は伝わってくるわ、好きに話して」
新入りのぬえが指摘し、ムラサ船長に肘で小突かれた。聖の春の笑みが全てを包んだ。
「威厳と忠誠心、双方の不足ですね。幻想郷では稀少なケースかもしれません」
天狗は事例を挙げた。
紅魔館では、館主の吸血鬼がどんなにわがままを言おうがメイドが瀟洒に尽くすそうだ。
白玉楼では、捉えどころのない亡霊姫に半人前の庭師が振り回されている。何をしてもカリスマと敬意は枯れないという。
境界の妖怪は、手下の式神を無限の頭脳と日傘の暴力で操縦しているらしい。
永遠亭では、臣下の薬師が主を異常なまでに補佐している。敬愛も執着も普通ではないのだとか。
幻想郷担当の裁判官は、サボりがちな死神の性根を圧倒的な力で叩き直すそうな。
私達もよく知る守矢神社は、仕えられる側と仕える側のバランスが取れている。神と巫女の在るべき姿だろう。
地底の洋館では、主人が読心の能力と情でペット達の手綱を握っているとのことだ。
なるほど、どこの上下関係にも当てはまらない。もともと本物の主僕ではないし、当然か。
主従ではなし、その他でもなし。
彼女は何やら考え込んでいるように見えた。装束の白羽衣を引いては戻していた。
障子の外の様子が変わった。夕刻の陽が射した。幻想郷に帰還したらしい。
最後にと、黒髪の記者は再度写真機を取り出した。蓮の墨絵の襖を背景にして、寺の住民達を撮影した。集合させたり、数人で組ませたりして。元気娘二人組、一輪とムラサ船長は聖と一緒に写ったものが欲しいと頼んでいた。
私と彼女もフレームに収まった。特別な格好をしたり、手を繋いだりはしなかった。単純に並んで一枚。注文をつけられると面倒なので、愛想笑いをしておいた。ゴシップ愛好家の天狗らしい、捏造気味の見出しがつけられるのだろう。
写真とは滑稽な言葉だ。画に真は写らない。探し物は見えるものの奥に隠れている。
弾幕取材と質問攻めから、幾刻も経った深夜。私は覚醒した。多くの妖の例に漏れず、鼠妖怪も夜行性だ。古の山寺では聖と彼女に倣って活動時間帯を朝に移していたが、聖の封印と寺院の荒廃後は夜型に戻った。命蓮寺が建てられてから、朝向きの生活を再開した。けれどもまだ安定しないのか、起きてしまうことがある。こういうときは睡眠を潔く放棄する。身体の時計に抵抗しない方がいい。
灰白の寝衣姿で、自室を抜けた。暦は夏に前進するも、夜間は冷気が溜まる。膝下丈の裾でも冷える。廊下を歩みながら、靴下を履くのだったと微かに後悔した。
ぬえの奇怪な鳴き声は聴こえなかった。あの娘も日が暮れてから活発になる。今晩は熟睡できているのか、望月に浮かれて外出中か。
食事部屋と続いている厨房に入って、鉄のやかんに水を汲んだ。炉に載せて台座のつまみを捻る。法力の仄青い火が点った。紫泥の急須と丸っこい湯呑みを出して、さて何を淹れようと暢気に迷った。妖怪に寛容な聖は、仏道の五戒の一、飲酒を許している。しかし主流は茶類だ。棚に来客用の上茶や食後用の煎茶、棒茶、抹茶等が収納されている。小袋を二、三開けて、葉の捩れた緑茶を選んだ。沸騰前のぬるい湯を注いで、徐々に茶葉を開かせた。
弱く照明を灯した食堂で、熱の浅い茶を飲んだ。老いた樫の森のような、奥行きのある香味。乱れることのない粛とした空間、何の脅威もない時間。皆私の好きなものだ。日中の騒がしい寺も眺めている分には悪くないが、凪の夜が恋しくなる。
毘沙門天様への報告は当分なし。明日は炊事と掃除の当番もなし。紛失物を探す依頼もなし。平穏そのものだ。
水晶の振り子に天気や珍品の行方を尋ねていたら、戸が引かれた。ムラサ船長かぬえか、
「おや珍しい」
白い寝着物に臙脂の帯の、彼女だった。妖虎の彼女も夜行性で、聖の不在中は月の刻に動いていた。今は古寺時代のように、太陽の時に順応しようとしている。暗い間に起きてもまた寝ると言っていた。この一年、夜更けに会うことはなかった。
私は急須を掲げて、
「酒盛りじゃないよ」
「わかります。私も貰えますか」
「どうぞ」
彼女の持ってきた小柄な茶碗に、半冷めの一杯を注いだ。
私の左隣に座って、無言で碗を傾けることしばし。十畳以上の広い室内を見回し、耳に手をつけて気配を確かめ、
「ナズ」
古い略称で、彼女は私を呼んだ。薄明かりのような優しい声が響いた。私も応じて、
「そっちの呼び方、うっかり人前で使わないようにね。主従の芝居が台無しになるよ、星」
使い慣れた呼称に切り替えた。
千年も近くにいれば、主君としもべの演技や、監視対象と監視者の関係は薄れていく。隠し事の要求される環境になければ、なおのことそうなる。「ご主人様」という敬称が消え、「ナズーリン」という少々発音困難な正式名称が消え、
「インタビュー中、ぬえが鋭いから焦ったわ。全部ばらせたらなってちょっと思う」
「弟子で代理でも君がここの本尊だ。観察者付きなんて知れたら、見る目が変わる。寺の経営に支障が出るかもしれないよ。君は正直者だから、明かしたくてうずうずしているのだろうが」
「ごめんね。急にご主人様に復帰したから、戸惑ってる。言葉遣いもまだ少し難しい」
「ちゃんとできてるよ、毘沙門天様」
星の丁寧語が消えた。荒れ寺では、これが私達だった。現在も、周囲に誰もいない場合には、二人の頃の呼称や口調を使っている。一輪や船長がいつ乱入してくるかわからないので、結構恐ろしいけれど。一対一になる機会も、滅多にない。
「寝ずにうろついて、どうしたんだい。宝塔探しなら手伝うよ」
「失くしてない。あれは大結界を越えるときの揺れで落としちゃったの。今日はなんとなく落ち着かないだけ」
「考え事してたね、そういえば」
ばれてたか。黄金と黒の虎頭を傾げ、星は柔らかく笑った。湯呑みの縁の反りをなぞり、
「記者さんやぬえ達の話を聞いてて、疑問に感じたの。ナズと私は言葉で表現するなら、何なんだろうなって」
「無意味な難題だね。夜明かしのネタにはいいかもしれないが、そんなにはっきりさせたいものかい?」
「謎は解明できなくても、最大限考えなさい。聖に教わったわ」
湯気の立たないお茶を飲みながら、ひとの関係を列挙した。
主従。却下。表の役柄でしかない。
見張られる側と見張り。歳月によって、完全な正解ではなくなった。監視の壁を越えて、双方が歩み寄った。
友人や親友。そこまで軽くも重くもない。
他人。ない。無関心ではいられない。
腐れ縁。自嘲し誇るような悪縁ではない。
仲間や同志、戦友。星と一輪やムラサ船長はそうだろうが、私は違う。聖奪還に彼女達ほどの熱意は持たなかった。加えて、星が毘沙門天様らしからぬ悪行をしたときには、神格を剥奪する用意がある。こんな危なっかしい味方はいない。
家族。聖は肯定するだろう。私は違和感を覚える。星もずれていると意見した。私達は乾き切っても湿ってもいないのだ。
姉妹。ますますない。どっちが上だ。
「じゃあ恋人?」
「千年間襲い掛からないほど私は無欲ではないよ」
「うん、言ってみて無いなって反省した。私も虎になってるはず」
敵。参拝者のない山寺を去るか否かを巡って、口論になったことはある。最終的に彼女の意志を尊重した。殴り合いや仲違いには発展しなかった。
理解者。私は彼女を完璧に理解しています、そんな風に断言できようか。胡散臭い。
しっくり来る単語は、脳内の字引きにはなかった。
茶器を持ち上げたら軽かった。二煎目を淹れるか。立とうとして、
「あ、ナズ」
星が人差し指と薬指の先をくっつけた、右手を見せた。倉庫で思い出の品と再逢した気分だ。使い古したサイン、「待っていて、ここにいて」。笑っている自分に気付いた。
「私がやってくるから。のんびりしてて」
「口で言えばいいのに」
「何だか懐かしくなって」
二人きりの時間は、久し振りだから。嬉しそうに、彼女は両手で急須を抱いていった。
私も離れた指同士を、触れ合わせてみた。この合図は、様々なときに用いた。争いの中での使用が最も多かったか。スペルカードルールなどない、生死でしか決着のつかない時代だ。星と私は役割を分担していた。力と経験で勝る、彼女が前衛。非力だが小回りの利く私は後衛。彼女が華々しく妖怪衆を貫いている隙に、妖気のくさびを撃った。卑怯な手段を嫌う彼女に隠れて、鼠の毒や地形の罠も武器にした。率先して闇に潜った。死なせたくなかったのだろう。どちらも相手を護り通した。
やつれた星が説経のための声を一時的に失ったときにも、「ここにいて」と指にせがまれた。この真っ直ぐ馬鹿、考え過ぎるな。毘沙門天様も酷い仕事をくださったものだ。胸中で愚痴を零し、彼女に従った。居心地はまあまあよかった。
やや近しい距離と、節度。へばりつかず、離れず。形容し難い縁だ。ひとつ確実なのは、
「お茶っ葉、小匙で足したわ」
「出がらしでも構わなかったよ」
「美味しくしようよ、もう」
星の方が、私好みのお茶を淹れられるということ。翠色の甘味が引き出されていた。きっちり葉の量や湯温を見ているからか、特殊な御業か、妙に舌に馴染む。
隣の座布団に戻って、星は右手の小指を舐めていた。視線をやると、火傷したと苦い微笑を浮かべた。
「お湯が跳ねちゃった」
「有能なようで抜けているね、君は」
まあ、それでいい。何でもこなせる者は面白みがない。十点満点の課題があったとして、星はたまに九点や八点も取るだろう。憔悴し切って〇点になる可能性もある。足りない一、二点くらいは私が補おう。大量失点は誤魔化す。ゼロは縦棒一本で十になる。
「薬は要る?」
星はまた人差し指と薬指の言葉を作って、首を横に振った。了解。
「疑問、解明できないね。ぴんと来ない」
「そんなものだよ。語には限りがある」
しりとりのように、二者を表す言の葉を繋げた。教祖と信者、犬猿の仲、打算、縁戚、相棒、お隣さん、共犯者、教師と教え子。どれでもない。名詞の檻や括りは脆い。これだと直感で閃かなければ、飛びつけない。
うっとうしくはなかった。星は私の安らぎを乱さない。昔と違って、安寧を脅かす者もいない。楽しい時間は、淡く光る。
紅い指をかじり、星は短く声を上げた。思い当たるものがあったようだ。身体ごと私に面して、
「これは、駄目かな。まとまった単語じゃないし、ナズは絶対に馬鹿にするだろうけど」
「いいよ、どこから貶そうか」
「あ、あのね。覚えてるかな」
傷ついた小指を、自身の唇に触れさせた。ああ、と理解した。未使用の、恥ずかしくて仕方がない一言。聖一門ならではの、くすぐったいメッセージ。彼女の予想のままに、
「星はどうしようもない虎だね」
「やっぱり」
嘲笑してやった。ただ、外れてはいないのかもしれない。
忠誠、友情、親愛、恋慕、憎悪、どれでもない。自然なひとつの在り方。
しっくり来て、胸で大人しくなった。
私は頬杖をついて、さりげなく同様の指の言葉を返した。
「君なりの正答だよ、きっと。気に入った」
本堂の屋根に上って、沈む満月を見送った。
皆といるとき、こっそり手指の暗号で話してもいいかと問われた。ナズにだけ伝えたいこともあるから、と。
「好きにするといい。私も気が向いたら送るよ」
ただの星と私に、戻りたい日には。
一輪や船長のように、新聞屋に写真を分けてもらおうかと思った。一枚くらい、彼女と写ったものを保管していてもいいだろう。
月日や事物は流れていく。聖輦船は埋葬されて蘇り、聖は封じられて目覚めた。私達は山中の寺から、異郷に移り住んだ。ぬえが命蓮寺の一員になった。月は欠けて陰に入り、晴れの翌日は雨雲が渦巻く。幻想郷はいつ滅びるかわからない。監視の任には終わりがあるかもしれない。善いことも悪いことも、辛いことも素敵なことも永遠ではない。
不安定な世の中で、星は小指を唇に運ぶのだろう。私も黙って指を操る。宝物を探して。
ゆびさきことばの意味は、「私と共に生きてください」。
千年の間に、話せない状況は数多あった。声を出せない際の意思疎通のために、二人で手や指先の言葉を決めた。
左手を一回転させるのは、「遅くなりそうだから先に戻っていて」。
手の甲を二本指で擦るのは、「一旦離脱して。後に山門で合流」。
人差し指と薬指をくっつけるのは、「待っていて、ここにいて」。
小指で唇に触れるのは、これはまあいいか。定めるだけ定めて、恥ずかしいので用いなかった。
これらの合図は、聖輦船の再浮上と聖復活、命蓮寺建立を経て使用されなくなった。幻想郷は極めて平和で、緊急連絡や秘密の伝達の必要がない。何事も声で伝えられる。いいことなのだろう。多分、淋しくはない。
かつての仲間や聖と暮らし始めて、彼女は本来の温かで平和な笑顔を取り戻した。毘沙門天様の代理としても、再び精力的に活動するようになった。二人きりの時間はほとんどなくなった。手のかかる虎のお守りから半ば解放されたのだ、喜ぼう。
卯月下旬の快晴の日、天狗の新聞記者が写真機を構えて寺に取材に来た。山の妖怪との親交を深められると、聖は撮影やインタビューの要請を快諾。私達に自慢の弾幕を披露するよう願った。
最初に一輪と雲山、ムラサ船長が指名された。寺院内の防弾領域で、入道の拳骨や稲妻、柄杓の水飛沫、碇を大暴れさせた。荒事慣れした鴉天狗は、迫る危機を軽々と回避。疾風のように近付き、シャッターを切った。三者ともかなり悔しそうにしていた。一輪は口を曲げ、雲山は雄々しい眉を抓っていた。船長はぬえに負け犬とからかわれて吠えていた。聖の命とはいえ、力作のスペルカードをあっさり撮られるのは気に食わないらしい。何事にも真剣なのが、命蓮寺の面々のいいところで困ったところだ。
「次、星さんとナズーリンさんお願いします」
「わかりました。聖、すみませんが」
困ったさん筆頭の彼女は、聖に宝塔の解放許可を求めた。たかがカメラ相手に、毘沙門天様の神光を放つつもりらしい。聖は宝物庫の鍵を渡し、船長に寺を聖輦船化させた。法の光の影響の少ない魔の世界へ、船は旅立った。道中、一輪とムラサに暑苦しく励まされた。簡単に撮影されたら許さないそうだ。
「精一杯努力しましょう。ね、ナズーリン」
「ほどほどにね」
魔界上空で、私と彼女は弾の幕を広げた。
私は古銭掘りや、金塊採掘の真似事で場を煌びやかにした。それなりに手は抜いたが、記者を満足させられたらしい。所詮鴉だ、光り物に釣られるのだろう。ネズミ何やってるのと一輪達はご立腹だった。聞こえない振りをした。
彼女は仲間の期待通り、全力でレンズに立ち向かった。妖虎らしく咆哮突進したかと思えば、光線と色珠で曼荼羅を創造。天狗をあややややと慌てさせていた。中でも宝塔の曲線を描き交差する光は、新聞屋の体力と神経に打撃を与えたらしい。再挑戦に次ぐ再挑戦の末に、遂に音を上げた。観衆が絶賛していた。
流石に闘う気を消耗したのか、聖とぬえのスペルカードを写すのは後日となった。
幻想郷への帰路、船内の応接間で全員揃ってインタビューを受けた。光弾の攻撃を撮れない分、天狗の少女は次々と質問してきた。命蓮寺の信仰の集まり具合、縁日の企画運営と収益について、守矢神社との仲、個々人の経歴や趣味特技好物。寺関連の問いには、主に聖と彼女が答えていた。私はやり取りに鼠耳を向け、時々回答者になった。
「白蓮さんは法界、一輪さんと雲山さん、水蜜さんは地底。星さんとナズーリンさんは山寺に残留。しかも約千年。粘り強い再会劇ですね。山の組織のような団結力です」
「組織ではありませんよ。私はこの子達を、我が子のように愛しく思っています」
赤面するような台詞を真顔で言うのが、聖一門の伝統だ。毘沙門天様の遣いとして途中参加した私は、彼女達の空気に苦笑する。なんて毒のない。
互いの関係について、順番に訊かれた。一輪と雲山は、戦友。一輪とムラサ船長は、親友。船長とぬえは、腐れ縁。聖と彼女は、帰依し合う尼僧と神仏。記者天狗は手帳に人物相関図を書いているようだった。
「で、星さんとナズーリンさんが主従と」
「まあそうなるね」
向かい側に座る彼女と目を合わせて、頷いた。
表向きは、上司と部下。裏では、行動を監視される側とする側。聖や一輪達は真実を知らない。ややこしい事態を避けるために、私は彼女だけに正体を明かしている。もっとも、共に長い年月を過ごした今では、裏の間柄も幾らか変化しているが。
「あんまり主人と召使っぽくないよね。星は偉そうに命令しないし、ナズーリンは敬語使わないし」
「あんたもね。聖には礼儀正しく接してよ」
「どんな言い方でも真心は伝わってくるわ、好きに話して」
新入りのぬえが指摘し、ムラサ船長に肘で小突かれた。聖の春の笑みが全てを包んだ。
「威厳と忠誠心、双方の不足ですね。幻想郷では稀少なケースかもしれません」
天狗は事例を挙げた。
紅魔館では、館主の吸血鬼がどんなにわがままを言おうがメイドが瀟洒に尽くすそうだ。
白玉楼では、捉えどころのない亡霊姫に半人前の庭師が振り回されている。何をしてもカリスマと敬意は枯れないという。
境界の妖怪は、手下の式神を無限の頭脳と日傘の暴力で操縦しているらしい。
永遠亭では、臣下の薬師が主を異常なまでに補佐している。敬愛も執着も普通ではないのだとか。
幻想郷担当の裁判官は、サボりがちな死神の性根を圧倒的な力で叩き直すそうな。
私達もよく知る守矢神社は、仕えられる側と仕える側のバランスが取れている。神と巫女の在るべき姿だろう。
地底の洋館では、主人が読心の能力と情でペット達の手綱を握っているとのことだ。
なるほど、どこの上下関係にも当てはまらない。もともと本物の主僕ではないし、当然か。
主従ではなし、その他でもなし。
彼女は何やら考え込んでいるように見えた。装束の白羽衣を引いては戻していた。
障子の外の様子が変わった。夕刻の陽が射した。幻想郷に帰還したらしい。
最後にと、黒髪の記者は再度写真機を取り出した。蓮の墨絵の襖を背景にして、寺の住民達を撮影した。集合させたり、数人で組ませたりして。元気娘二人組、一輪とムラサ船長は聖と一緒に写ったものが欲しいと頼んでいた。
私と彼女もフレームに収まった。特別な格好をしたり、手を繋いだりはしなかった。単純に並んで一枚。注文をつけられると面倒なので、愛想笑いをしておいた。ゴシップ愛好家の天狗らしい、捏造気味の見出しがつけられるのだろう。
写真とは滑稽な言葉だ。画に真は写らない。探し物は見えるものの奥に隠れている。
弾幕取材と質問攻めから、幾刻も経った深夜。私は覚醒した。多くの妖の例に漏れず、鼠妖怪も夜行性だ。古の山寺では聖と彼女に倣って活動時間帯を朝に移していたが、聖の封印と寺院の荒廃後は夜型に戻った。命蓮寺が建てられてから、朝向きの生活を再開した。けれどもまだ安定しないのか、起きてしまうことがある。こういうときは睡眠を潔く放棄する。身体の時計に抵抗しない方がいい。
灰白の寝衣姿で、自室を抜けた。暦は夏に前進するも、夜間は冷気が溜まる。膝下丈の裾でも冷える。廊下を歩みながら、靴下を履くのだったと微かに後悔した。
ぬえの奇怪な鳴き声は聴こえなかった。あの娘も日が暮れてから活発になる。今晩は熟睡できているのか、望月に浮かれて外出中か。
食事部屋と続いている厨房に入って、鉄のやかんに水を汲んだ。炉に載せて台座のつまみを捻る。法力の仄青い火が点った。紫泥の急須と丸っこい湯呑みを出して、さて何を淹れようと暢気に迷った。妖怪に寛容な聖は、仏道の五戒の一、飲酒を許している。しかし主流は茶類だ。棚に来客用の上茶や食後用の煎茶、棒茶、抹茶等が収納されている。小袋を二、三開けて、葉の捩れた緑茶を選んだ。沸騰前のぬるい湯を注いで、徐々に茶葉を開かせた。
弱く照明を灯した食堂で、熱の浅い茶を飲んだ。老いた樫の森のような、奥行きのある香味。乱れることのない粛とした空間、何の脅威もない時間。皆私の好きなものだ。日中の騒がしい寺も眺めている分には悪くないが、凪の夜が恋しくなる。
毘沙門天様への報告は当分なし。明日は炊事と掃除の当番もなし。紛失物を探す依頼もなし。平穏そのものだ。
水晶の振り子に天気や珍品の行方を尋ねていたら、戸が引かれた。ムラサ船長かぬえか、
「おや珍しい」
白い寝着物に臙脂の帯の、彼女だった。妖虎の彼女も夜行性で、聖の不在中は月の刻に動いていた。今は古寺時代のように、太陽の時に順応しようとしている。暗い間に起きてもまた寝ると言っていた。この一年、夜更けに会うことはなかった。
私は急須を掲げて、
「酒盛りじゃないよ」
「わかります。私も貰えますか」
「どうぞ」
彼女の持ってきた小柄な茶碗に、半冷めの一杯を注いだ。
私の左隣に座って、無言で碗を傾けることしばし。十畳以上の広い室内を見回し、耳に手をつけて気配を確かめ、
「ナズ」
古い略称で、彼女は私を呼んだ。薄明かりのような優しい声が響いた。私も応じて、
「そっちの呼び方、うっかり人前で使わないようにね。主従の芝居が台無しになるよ、星」
使い慣れた呼称に切り替えた。
千年も近くにいれば、主君としもべの演技や、監視対象と監視者の関係は薄れていく。隠し事の要求される環境になければ、なおのことそうなる。「ご主人様」という敬称が消え、「ナズーリン」という少々発音困難な正式名称が消え、
「インタビュー中、ぬえが鋭いから焦ったわ。全部ばらせたらなってちょっと思う」
「弟子で代理でも君がここの本尊だ。観察者付きなんて知れたら、見る目が変わる。寺の経営に支障が出るかもしれないよ。君は正直者だから、明かしたくてうずうずしているのだろうが」
「ごめんね。急にご主人様に復帰したから、戸惑ってる。言葉遣いもまだ少し難しい」
「ちゃんとできてるよ、毘沙門天様」
星の丁寧語が消えた。荒れ寺では、これが私達だった。現在も、周囲に誰もいない場合には、二人の頃の呼称や口調を使っている。一輪や船長がいつ乱入してくるかわからないので、結構恐ろしいけれど。一対一になる機会も、滅多にない。
「寝ずにうろついて、どうしたんだい。宝塔探しなら手伝うよ」
「失くしてない。あれは大結界を越えるときの揺れで落としちゃったの。今日はなんとなく落ち着かないだけ」
「考え事してたね、そういえば」
ばれてたか。黄金と黒の虎頭を傾げ、星は柔らかく笑った。湯呑みの縁の反りをなぞり、
「記者さんやぬえ達の話を聞いてて、疑問に感じたの。ナズと私は言葉で表現するなら、何なんだろうなって」
「無意味な難題だね。夜明かしのネタにはいいかもしれないが、そんなにはっきりさせたいものかい?」
「謎は解明できなくても、最大限考えなさい。聖に教わったわ」
湯気の立たないお茶を飲みながら、ひとの関係を列挙した。
主従。却下。表の役柄でしかない。
見張られる側と見張り。歳月によって、完全な正解ではなくなった。監視の壁を越えて、双方が歩み寄った。
友人や親友。そこまで軽くも重くもない。
他人。ない。無関心ではいられない。
腐れ縁。自嘲し誇るような悪縁ではない。
仲間や同志、戦友。星と一輪やムラサ船長はそうだろうが、私は違う。聖奪還に彼女達ほどの熱意は持たなかった。加えて、星が毘沙門天様らしからぬ悪行をしたときには、神格を剥奪する用意がある。こんな危なっかしい味方はいない。
家族。聖は肯定するだろう。私は違和感を覚える。星もずれていると意見した。私達は乾き切っても湿ってもいないのだ。
姉妹。ますますない。どっちが上だ。
「じゃあ恋人?」
「千年間襲い掛からないほど私は無欲ではないよ」
「うん、言ってみて無いなって反省した。私も虎になってるはず」
敵。参拝者のない山寺を去るか否かを巡って、口論になったことはある。最終的に彼女の意志を尊重した。殴り合いや仲違いには発展しなかった。
理解者。私は彼女を完璧に理解しています、そんな風に断言できようか。胡散臭い。
しっくり来る単語は、脳内の字引きにはなかった。
茶器を持ち上げたら軽かった。二煎目を淹れるか。立とうとして、
「あ、ナズ」
星が人差し指と薬指の先をくっつけた、右手を見せた。倉庫で思い出の品と再逢した気分だ。使い古したサイン、「待っていて、ここにいて」。笑っている自分に気付いた。
「私がやってくるから。のんびりしてて」
「口で言えばいいのに」
「何だか懐かしくなって」
二人きりの時間は、久し振りだから。嬉しそうに、彼女は両手で急須を抱いていった。
私も離れた指同士を、触れ合わせてみた。この合図は、様々なときに用いた。争いの中での使用が最も多かったか。スペルカードルールなどない、生死でしか決着のつかない時代だ。星と私は役割を分担していた。力と経験で勝る、彼女が前衛。非力だが小回りの利く私は後衛。彼女が華々しく妖怪衆を貫いている隙に、妖気のくさびを撃った。卑怯な手段を嫌う彼女に隠れて、鼠の毒や地形の罠も武器にした。率先して闇に潜った。死なせたくなかったのだろう。どちらも相手を護り通した。
やつれた星が説経のための声を一時的に失ったときにも、「ここにいて」と指にせがまれた。この真っ直ぐ馬鹿、考え過ぎるな。毘沙門天様も酷い仕事をくださったものだ。胸中で愚痴を零し、彼女に従った。居心地はまあまあよかった。
やや近しい距離と、節度。へばりつかず、離れず。形容し難い縁だ。ひとつ確実なのは、
「お茶っ葉、小匙で足したわ」
「出がらしでも構わなかったよ」
「美味しくしようよ、もう」
星の方が、私好みのお茶を淹れられるということ。翠色の甘味が引き出されていた。きっちり葉の量や湯温を見ているからか、特殊な御業か、妙に舌に馴染む。
隣の座布団に戻って、星は右手の小指を舐めていた。視線をやると、火傷したと苦い微笑を浮かべた。
「お湯が跳ねちゃった」
「有能なようで抜けているね、君は」
まあ、それでいい。何でもこなせる者は面白みがない。十点満点の課題があったとして、星はたまに九点や八点も取るだろう。憔悴し切って〇点になる可能性もある。足りない一、二点くらいは私が補おう。大量失点は誤魔化す。ゼロは縦棒一本で十になる。
「薬は要る?」
星はまた人差し指と薬指の言葉を作って、首を横に振った。了解。
「疑問、解明できないね。ぴんと来ない」
「そんなものだよ。語には限りがある」
しりとりのように、二者を表す言の葉を繋げた。教祖と信者、犬猿の仲、打算、縁戚、相棒、お隣さん、共犯者、教師と教え子。どれでもない。名詞の檻や括りは脆い。これだと直感で閃かなければ、飛びつけない。
うっとうしくはなかった。星は私の安らぎを乱さない。昔と違って、安寧を脅かす者もいない。楽しい時間は、淡く光る。
紅い指をかじり、星は短く声を上げた。思い当たるものがあったようだ。身体ごと私に面して、
「これは、駄目かな。まとまった単語じゃないし、ナズは絶対に馬鹿にするだろうけど」
「いいよ、どこから貶そうか」
「あ、あのね。覚えてるかな」
傷ついた小指を、自身の唇に触れさせた。ああ、と理解した。未使用の、恥ずかしくて仕方がない一言。聖一門ならではの、くすぐったいメッセージ。彼女の予想のままに、
「星はどうしようもない虎だね」
「やっぱり」
嘲笑してやった。ただ、外れてはいないのかもしれない。
忠誠、友情、親愛、恋慕、憎悪、どれでもない。自然なひとつの在り方。
しっくり来て、胸で大人しくなった。
私は頬杖をついて、さりげなく同様の指の言葉を返した。
「君なりの正答だよ、きっと。気に入った」
本堂の屋根に上って、沈む満月を見送った。
皆といるとき、こっそり手指の暗号で話してもいいかと問われた。ナズにだけ伝えたいこともあるから、と。
「好きにするといい。私も気が向いたら送るよ」
ただの星と私に、戻りたい日には。
一輪や船長のように、新聞屋に写真を分けてもらおうかと思った。一枚くらい、彼女と写ったものを保管していてもいいだろう。
月日や事物は流れていく。聖輦船は埋葬されて蘇り、聖は封じられて目覚めた。私達は山中の寺から、異郷に移り住んだ。ぬえが命蓮寺の一員になった。月は欠けて陰に入り、晴れの翌日は雨雲が渦巻く。幻想郷はいつ滅びるかわからない。監視の任には終わりがあるかもしれない。善いことも悪いことも、辛いことも素敵なことも永遠ではない。
不安定な世の中で、星は小指を唇に運ぶのだろう。私も黙って指を操る。宝物を探して。
ゆびさきことばの意味は、「私と共に生きてください」。
文章だけで涙腺がゆるんでしまうほどに美しく、またストーリーも絶妙に心に響く。
ゆびさきことば……いい、最高です。
今回も素晴らしい作品をありがとうございました。
いいよ100点置いてくよもう
たとえ百年ぶりの再会でも、昨日の夜別れたかのように自然な会話を始めていそう。
そんな星とナズーリンがとても羨ましいです。
文章を味わう幸福を与えてくれる作品に、感謝。
この星ナズは美しい
何、いや、なんだろうw
ここまで魅力的な星とナズーリンを……おおうw
この一行,よいですね.
星とナズ。この二人の関係は作中でも言っているように色々十色に入り組んでいて、どんな言葉もしっくりこない。読みながらこの二人の関係を表すに相応しい言葉は何かとずっと考えていましたが、どれも正解のようでどれも間違っている。当てはまらない。すっきりしない。
なのに最後の一行を見た瞬間、すとんと胸の内に落ちてきました。
素晴らしい。ハラショー。
いやもうほんとありがとうございますw
見慣れない呼びかけが使われてるのに全く違和感を感じない不思議!素晴らしい
なんか暖かさを感じました
こんな感覚は久しぶりで……
半冷めの一杯、熱々の一杯、いいですなぁ
なんだかお茶が飲みたくなってきましたよ、この空気にもう少し浸りながら
この空気がとても好きです。
ほのぼのした
しかし、糖度なんて言葉では表せない関係がこの二人にはあります。
相変わらずというかなんというか、暖かくそして幽かにきらきら光るガラス細工のような文章を紡ぎますね
御馳走様でした
深山さんの星ナズは温かい主従関係でなごみます。良い作品をありがとうございます。
ちょうど釣り合うようにもたれあうというか、互いに後ろを見張り合うというか。
ことーばに~ できなーいー!!(感涙
お返事を書くときはいつも緊張気味です。言葉がおかしかったら、すみません。
>文章だけで涙腺がゆるんでしまう
ありがとうございます。ピアノを数音鳴らすように、のんびり書きました。涙を滲ませる感性は、素敵だと思います。
>星とナズーリンがとても羨ましい
>羨ましいな、こういう相手が居るって
簡単になれる間柄では、ないでしょう。でも、皆様がこういう関係を誰かと結べるよう、願います。
>関係
>最後の一行を見た瞬間、すとんと胸の内に落ちてきました
愛や情よりも深い結びつきは、何かなと考えました。ふっと言葉が降りてきたので、そのまま使いました。頷いてくだされば幸いです。
>見慣れない呼びかけが使われてるのに全く違和感を感じない不思議
安心しました、ありがとうございます。呼び捨てと略称。ありかなと思って、書いてみました。
>背中合わせ
>二心同体
本当に、言い表し難い関係です。僅かな差しかない色見本を、見比べているかのようでした。
こういう表現がさらりと使えるようになりたい。
どんな言葉でも語り尽くせない、二人の絆の深さにこっちまで安堵しちゃいますね
ですが、最後の一文を見てから大きな的外れだと思いました。
まぁ尼公のお言葉どおり、答えが出ない謎について考えるのはいい経験になりました。
またナズ星で書いて欲しいと思ってたらウッヒョー!
タメ口の星ちゃんは俺のイメージになかったけど全然違和感なかったです。むしろアリ。
素晴らしい。
文才ありすぎて感動した
美しい文章が読めて幸せです。
ナズーリンと星はどこか静かでいいなぁ