※同作品集、幽香の秘密読んでたらわかりやすいと思います。
※独自設定というか妄想が凄いです。
この話をする前に幻想郷の戦いの歴史を私が知っている限り、話そうと思う。
今現在、幻想郷では戦いといえばスペルカードルールが主流で
時折里の人間や外から迷い込んだ人間が妖怪に食われるだけで、妖怪が死ぬなんてことは滅多に無い。
しかしだ。
スペルカードルール成立前の戦いはどうだったであろうか。
私が知る限り、どちらかが死ぬまでの殺し合いばかりであった。
何故そんなことが起きたかというと
この幻想郷を作った隙間、八雲紫は誰もが認める強大な妖力を持っている。
妖怪拡張計画も彼女が発案、実行に移したらしい。
どういう原理かは知らないが、外の世界で勢力を弱めた妖怪や忘れられそうになっている妖怪をここに押し込めた。
しかしだ、聡明で強大な力を持っていたとしても。
彼女が一種族一人の仲間がいない妖怪故に理解できなかったのだろう。
種族の違う妖怪同士が突然見知らぬ場所に押し込められた時にどういう行動を取るかを。
いくら力が衰えたといえ妖怪は妖怪である、粗暴な性格をした者が多い。
一部の戦いを嫌がる妖怪は地底に潜ったが、大多数は地上に残り覇権争いが勃発した。
今の歴史書には、この時代のことは書かれていない。
当たり前だ。
この時代を経験した大多数の妖怪は死に、残ったのものも口を噤んだのだから。
ここは平和な場所、そういうことになっている。
あの時代は最初から存在しなかったようなことになっている。
歴史というものは勝者が作るものだ、だから生き残りの会議であの時代はなかったことになった。
しかしあの時代を知らない、今を生きる妖怪や人間は気にならないのだろうか。
外の世界では科学とやらが発達して妖怪が迷信となり、ここに来た。
世界中の妖怪を集めれば数万、数十万を超える妖怪がいるはずなのに実際はほとんどいない。
いるはずの妖怪がいない、その単純すぎる疑問を。
単純な疑問の答えは、単純だ。
大多数が死んだのだからここにいない。
その単純な答えさえ導き出せないぐらい平和なのだろうか。
生き残ったのは殺し合いの強者だけだ。
最近来た妖怪や神、最近生まれた人間はこの事実を知ることは無い。
何しろ誰も言わないのだから。
だからこそ私は困っているのだ。
本当は化け物クラスの妖怪をスペルカードルールが弱いからと馬鹿にしたり、徹底的にやっつける奴らに。
私風見幽香は中級妖怪である。
当時の生き残り限定で言うなら私は完全に弱者だ。
しかし馬鹿にしないで貰いたい
花を操作するだけの戦いにまったく向かない能力でここまでの強さをもった妖怪は中々いない。
生まれた時私はこの能力に絶望して軽く死のうとしたが、人間の世界では凡人が天才に打ち勝った例はいくらでもあるという言葉を知り、打倒天才を掲げ努力をすることにした。
いくら強い妖怪といえども、策を練り技を鍛え体を鍛えたら私だって勝てる、そう信じて。
そう決めた私は、平和主義者の実家から家出して、
両親と妖怪の種類的に最初から絶望的だった魔術や妖術をあきらめ、
元々妖怪故に高い身体能力をいかした武術や剣術、槍術、弓術を人間達に混じり鍛えた。
元々妖怪というものは身体を鍛えたりしない、生まれつき強いため獲物の人間を襲うだけなら鍛える必要などないからだ
だから上を目指すために私は身体を鍛え続け、弱小妖怪から中級妖怪レベルの強さを持てた。
いくつかの人間の世界の国では私は「剣聖」とか「姫将軍」などと尊敬されていたのだ。
年を取らないため人間ではないことがばれそうになったから逃亡したが。
何度も言おう
私は中級妖怪だ。
「幽香お姉ちゃんステージ貸して~」
「勝手にして」
いつものように向日葵の世話をしていると、ミスティアが訪れた。
彼女はあの時代を生き抜いた数少ない生き残りの妖怪だ。
ようするに化け物クラスだ。
ミスティアは、人間の書いた本には人を惑わす程度の能力と書かれているが、それは勘違いである。
彼女の本当の能力は人妖を操る程度の能力だ。
彼女はその能力で何十、何百もの妖怪種族や徒党を組んでいた妖怪達を惑わし内部分裂を行わせ生き残りを皆殺しにした。
生まれたときからの付き合いという戦友と組んでいた妖怪を殺し合わせた時は、意識を確保したままお互いの体を操り殺し合わせ。
夫婦の妖怪と戦ったときは、夫と妻を戦いの最中に体を交わらせ、最中に殺害したり。
ある種族を一人一人操り不信感を抱かせ、勝手に殺し合わせたりと。
かなり性格が歪んでいる妖怪なのだ。
今の笑顔で気持ちよさそうに歌を歌う彼女や、人の良さそうな顔で屋台をやっている彼女は偽者だ。
あれを知っている私なら絶対に、歌を馬鹿にしたり、屋台で食い逃げなどできない。
そんなことしたら、精神破壊されていつのまにか死ぬか。死ぬよりひどい目に合うに決まっている。
しかし妖怪達が壊滅する寸前、スペルカードルールが制定された。
戦乱につぐ戦乱で戦うことに嫌気がさしていたため、生き残りの妖怪達はそれを受け入れた。
その中に何故かミステイアに抱きつかれた私もいた。
正直何故こんなことになったかはわからないが、私はミスティアに好かれている。
心当たりはあるといえばあるのだが、それが原因なのだろうか。
確かあれは…
妖怪の断末魔が四六時中聞こえてくる中私は向日葵畑を世話しつつ死守していた。
大した力が無い私がなんとか戦えていた理由は、あの隙間のおかげである。
隙間の強大な力は知られていたため、それと引き分けた私は手を出されなかったのだ。
時折自分の力を過信した妖怪は来たが、それぐらいなら私でも勝てるため血祭りにあげていた。
「…えっ?」
向日葵に水を上げていると、何者かが倒れていた。
体の右半身が吹き飛び、息も絶え絶えな妖怪が。
ほっといたら死ぬだろう、しかし私は話相手に飢えていた。
何しろここに訪れるのはあの化け物の隙間と、戦いを売りにくる馬鹿な妖怪だけだったのだから。
そんな生活を送っていたため私の精神は病む寸前だったのだ。
だから私は彼女を抱きかかえ部屋に運ぶことにした。
「…ぉ…ぇ…は……?」
「風見幽香よ、助けてあげるから黙ってて」
よく聞こえなかったが多分「お前は誰だ?私をどうする気だ」的なことを言おうとしたと勝手に察したため
それに返答する、花を操る程度の能力故に薬草となる薬や自分が怪我したときのために医療道具は揃えてあるのだ。
「その子をどうする気?」
突然後ろから殺気やら膨大な妖力やらを浴びた。
正直気を失わなかったのは奇跡としかいいようが無い。
振り向いたら多分私は死ぬ、それほどまでに怖かった。危険だった。
「手当てするつもりだけど」
「手当て?」
「だって死にかけじゃないこの娘」
全身が振るえ、声も震えそうになったが耐え切る。
散々顔を合わせていたから少しは慣れていたのが功を奏した。
そうすると後ろの隙間は笑い始めた、私も笑った。
前者は愉悦の笑い、こちらは覚悟を決めた笑い。
「そう、本当に貴方は面白いわね、いいわその娘を殺すのは止めてあげる。
手当ては任せたわね、私に二度も土を付けた妖怪なのだから、では御機嫌よう。」
そういうと気配が消え、一息付く
先ほどまで呼吸すらできなく酸素が足りない。
それにしても二度も土をつけた? 確か負けたってことでしょ?
えっ? あの隙間に二度も勝った? この娘が? どういうこと?
なにそれこわい
それがミスティアとの出会いだった。
よっぽど強大な妖怪か、血を浴びた妖怪なのか知らないが恐ろしい速度で体が再生していった。
目を覚ましたらどうしよう、戦う?
無理無理、あの隙間に勝ったことがある妖怪になんて勝てるはずがない。
じゃあ今殺してしまえば…
ダメだ、ダメージが通りそうに無い
というか攻撃したらこっちが何故か死にそう。
ハハハ、私もここまでかな…
「…ここは?」
目を覚ましてしまった
早いってレベルじゃない
私がこんな怪我したら再生するのに何週間かはかかる。
それなのに半日で目を覚まし再生してるってどういうことよ。
「私の家」
「私をどうする気だ?」
「何もしないわよ」
そもそも私が何かしたところで、何もできそうに無いし。
あっハエだ、部屋の中にまで入ってくるなんてうっとおしいわね。
「ぎゃっ…」
えっ?
ありのままに今起こった事を話すわね、ハエを叩こうとしたら彼女を殴っていた。
何を言ってるかわからないと思うが私も何が起きたかわからない
落ち着いて考えてみよう。
ベットに寝かせていたはずの彼女がいきなり私の前に現れて、殴るはめになった。
腕が半端無く痛いわね、一体体は何でできてるのよ。
尻餅をついている彼女を見ると右腕の爪が伸びてて…
「クハハハハハハ、流石は風見幽香だな。私の一撃を簡単に見切るなんてな。噂は本当だったんだな!」
「ハエが…」
「ハエが止まるより遅い?私も訓練が足りないな。
こんな力を隠し持ってるのに、普段は弱小妖怪の振りをしているだけという噂を嘘と思ってしまったなんて私は愚か者だ、さあ殺せ」
待て、慌てるな。
冷静に、冷静に考えてみよう。
私は死にかけの彼女を介抱し、部屋に入ってきたハエを叩こうとしたら彼女ぶん殴ってた。
このことから導かれる答えは
1、ハエを庇った
そんなことは考えられない
2、私に殴られたいドM
無い、むしろそれならどうしていいか凄く困る
3、攻撃されかかった
うん、どう考えても答えはこれよね。
なんでよ! 私貴方の命の恩人なのになんで攻撃されかかってるのよ。貴方の攻撃なんて受けたら私一撃で消し飛ぶわよ。
命が助かったという歓喜でついつい笑ってしまう。
「クハハハハハハハハハ、攻撃? 攻撃しようとしたの?」
「ああ、あの隙間でさえ恐れるという妖怪が実際あってみればただの弱小妖怪で試してみたくなってた…」
隙間が私を恐れる
そんなことあるわけがない、私が隙間を恐れるの逆でしょうが。
知らない間に死ぬ危機に瀕して、知らないうちに助かっていた。
ダメだ笑いが止まらない。
「アハハハハハハハハハハ」
「どんな理由か知らないが、力を隠しているのだな…そんな弱小妖怪の振りをするとは…」
やった、やったわ!助かったわ!
ありがとう神様! ありがとうハエ!
いや待って弱小妖怪ってなによ、私は中級妖怪よ!
誰がなんと言おうが私は中級、決して弱小じゃないわ!
確かにアンタみたいに凶悪な妖力も無いし、特殊能力は無いわよ。
でもね、私は決して弱小なんかじゃないわ、中級妖怪よ。
でも私の事強いと勘違いしてるこいつにそんなこといえないし、ええいもうとにかく話をあわせちゃえ
「貴方程度に力なんて出すわけないわよ」
「ああ、そうだろうな…良い冥土の土産ができたやってくれ」
やってくれ?
ああ殺せってことか、無理無理私の攻撃じゃ貴方の防御力突破できないわよ。
そうだいいことを思いついた、こいつを味方に引き込んでしまおう。
「殺す気なんてないわよ、話相手になってくれれば」
「この私でさえ話相手止まりか…流石最強だな。わかった誓おう、今後私ミスティアローレライが生きている限り全身全霊をかけ貴方様を守り、話相手になろう」
あははははは、完璧だわ。
隙間に勝ったことがあるというこの娘さえいればあの隙間に脅えて過ごす生活なんてしなくて…
あれ?
この娘が味方になるってことは…
「今後この家に住ませて貰うぞ」
「………」
今までは、時折来る隙間に脅えるだけでよかったのよね。
それ以外は向日葵畑の世話と時折来る妖怪の撃退だけだったし。
でこれからは
家に化け物が追加されて四六時中顔を合わせることになる、と。
…あれ?幽香大ピンチ?
気が休まるどころか、自分で自分の首絞めてるじゃない。
自分の家に済ませるならあの娘達みたいなまだぎりぎり私でもなんとかなる程度の妖怪とメイドじゃないと嫌よ。
どうしよう、やっぱり前言撤回して追い出した方ががががが
あああこの妖力は、この妖力は!
後ろからよく浴びる妖力が
「こんにちは、あの娘がどうなったか見に来たわよ」
「…帰れ」
何でこんなタイミングで来るんだ。
人が、いや私は人じゃなくて妖怪だけど、こんなに悩んでるのに
「八雲か、私を殺しに来たのか」
「いいえそんなことしないわよ」
「では何をしに?」
「貴方が従うか従わないか見に来ただけよ、どうだった?」
「弱小妖怪の振りをして力を隠しているが相当強いな、恐らく私如きでは勝てないな」
「ふふふ、私のお気に入りだからね」
横で化け物と化け物が何か話しているが、よく聞こえない
あまりの妖力の差に気合を入れておかないと気を失いそうになるから必死なのだ。
私が弱小妖怪なら耐え切れなかっただろうが、私は中級妖怪なのだ。
ぎりぎり耐えれる。
「では御機嫌よう、また来るわね」
「ああまたな」
化け物が一人が居なくなったため、ようやく我慢できるぐらいになった。
私を置いて二人で何話してたのよ
何がどうなったの。私が欲しいのは話相手よ、化け物なんて欲しく無いわよ。
嫌よこんな化け物クラスと一緒に住むなんて、なんか話し方も粗暴だし、怖いし、怖いし、怖いし。
そうだ、可愛らしい話し方をさせればちょっとだけ心が休まるかも…。
いやでも実際は化け物だし機嫌損ねたら私の命が、ああもうどうすればいいのよ。
心休まる日常を頂戴!
ああもう誰かたすけて!
次回も期待しています
続編ありがとう!!
幽香カワイイよ幽香。
まさかミスティアにそんな能力が……
精神を操るその力、ルナサやメルランとどちらが上なのか気になる。
この幽香をもっと見たいです、是非とも続きを!
原作の設定から大きく外れざるおえないネタですが拒否感を感じることなく読みやすかったです
ただもしまたこういった形の作品を書くことがありましたら、もっと独自設定をしっかり組み上げて「もしかしたら本当にそうなのかもしれない」というような作品が読んでみたいです
続きがあるのならどんな話になるのか楽しみだったり。
続編ありがとう
今まで出てきたやつ全員が脅威的能力の持ち主か
やばい、普通にやばいぞそれ
ていうかちょっと書き急ぎ過ぎたような気もします。
みすちーが出てきてからもう少し細かい描写とか欲しかったような気がしました。
あ、いえ、ミスティア様です。はい! すみません!
まだまだゆうかりんの今後が楽しみです。
絶対他にも似たようなことやってるな。ゴミ拾いにしゃがんだ瞬間に、攻撃を避け、何事かと立ち上がったときに頭突きでカウンターとか。
シリーズ希望。おいちゃん100点あげちゃうから!
さくっと読めて、くすっと笑えて、ほわっとなれますね。
さあ早く3を。
このシリーズ好き
3がくるのを待ちきれないぜ
てか最強ミスチーもいいもんすね
べね。
いいぞもっとやれ。
いや、面白かったです。
あれ? 急いで書いた?
ちょっと練りが足りないと思いますよ?
ゆうかりんGJすぎる!
このシリーズ地味に好きだわ
同じく努力家な魔理沙がマスパをパクったのはもしやリスペクト?
その分、点数を加算してあげたいところだけど、昨日もう100点入れちゃったからムリだw
もっと練るんだ!
そしてハァハァ言わせてくれ!(下系じゃなくてね
独自色が見えてきません
このシリーズは、幽香がただの弱者ではなく、強者になろうとして努力をしてある程度の実力を付けている
という点にある気がします。
その絶妙加減に脱帽です。
そもそもssでネタかぶりなんて一杯あるんだし。
もっと普通に楽しめばいいのにねぇ。