※同作品集内の『村さとお茶会 - じょう - 』の続きです。
未読の方は先にそちらからお読みするのをおすすめします。
『おひめさま、このおはなばたけをおぼえていませんか?』
『きれいなばしょね』
『おぼえていませんか?』
『きれいだけれど、わたしのしってるおはなばたけじゃないわ』
『おひめさま、きょうもいいおてんきですよ』
『このたいようは、わたしにはまぶしすぎるわ』
『では、きょうはさんぽにいかないのですか?』
『でもなんだかわくわくするから、いくわ』
こうまぶんこ『わすれんぼうのおひめさま・げかん』より
相変わらず呑気にクッキーを頬張るナズが羨ましい。
「んぐんぐ」
「……」
「……」
沈黙が、痛い。
幽霊だって痛いものは痛い。
それが精神的なものならなおさらだ。
「で、結局なんの用ですか?」
さして沈黙を苦ともしていない様子でさとりが切り出した。
なに、と言われればこう返すしかない。
「その、お茶を、ですね?」
「なるほど……確かにお花見の時にそのようなことをおっしゃられた覚えがありますね」
まさか本当にただお茶をしに来るとは思っていなかったのか、さとりは少々驚いた風なことを言う。
「百年ほど前までは、あなたが来るのもそうそう珍しいことではなかったんですけどね……」
思い出すようにこぼしつつ、紅茶を口に含むさとり。
しかし私の関心は過去よりも、その口に向けられていた。
気苦労が多い割に、ハリのある柔らかい彼女の唇は、やや薄くも艶っぽい色をしていた。
なぜ柔らかい、と断定できるかといえば、あの経験があるから。
「あの、なんであの時キスなんてしたんでしょうか……」
「なぜ?」
カップを皿に戻し、さらにテーブルの自分の領域に戻した後で、さとりは少し考える。
いや、考えるようなそぶりをした。
「そのようなこと……一つに決まっているでしょうっ」
考えなくても、わかることでしょう?
ふざけているのか、などと言いたげな彼女の両目は、相変わらず不思議な光をたたえていた。
ただし、わざわざ口元に当てた手では隠しきれない真っ赤な頬のせいで、ミステリアスな雰囲気は完全にゼロだった。
「す、すすすすす」
すき焼き、などと言いそうになる自分を奮い立たせる。
「好き、だから……?」
「わざわざ確認しないでくださいよぉ……」
ああ、思い出したなどと、私は今さらに呆けたことを考える。
彼女は、さとりは出会った頃から言動の割にはウブだった。
色々とそれで遊んだような記憶もある。
その度に、照れ屋なこの妖怪が見せた表情があった。
「うぅ……」
こうやって、右の頬に右手を、左にも同様にして真っ赤になった面を隠そうとする。
変わらない。
「あなたも、変わりませんね」
「そうですか?」
少しだけ機嫌を損ねたさとりの語尾は、不自然に上がっていた。
これも、昔からよく聞いてきた彼女の癖。
「ええ、本当は照れ屋で純粋な癖に、わざと腹黒に見せようとして、親しい妖怪の前ではすぐにそれがバレるところなんか全然ですよ」
一気に言い切った後、弾が飛んできた。
私の髪のほんの一部を道連れにするのに失敗して、壁にめり込んで消滅する弾には、哀愁が漂っていたことだろう。
「……えーと」
「……な・に・か?」
「ほんのちょっぴり、強くなりました?」
口には出せないが、えへ、などと言う風に首をかしげる。
さとりが見せたのは、強者の笑みだった。
「あなたは、本当に……」
すぐにそれは消し飛んで、情けない表情が戻ってきたが。
どうやら、私はまた妙なものに触れてしまったようだ。
さとりは揺れていた。
体ではなく、あり方が。
「変わらないですね、罪なくらい。 ……淹れなおしてきます」
そう言ってさとりは席を立ち、台所へ消えていった。
「……ナズ、私……」
彼女の華奢な背中が見えなくなった後、私は自分の不甲斐なさをこぼそうとして、ある異変に気付いた。
「ナズ?」
館の主以上に華奢なあの子が、いなくなっていた。
「ぉー……」
「ナズ、こんなところにいたんですか」
ナズは、ふらふらとすぐ近くの廊下を歩いていた。
宝にでも反応しだしたのか、ペンデュラムはナズを導くようにして青い輝きを放っている。
この地霊殿も大分古い館であるからして、当然珍しい品も数多く存在する。
もちろんそのほとんどに警備のペットがついている。
余計な騒ぎを起こす前に、茶会をしていた応接間まで戻りたいところだが。
「ほら、ナズ……」
「む」
ひらり。
「戻りますよ?」
「ん」
ひらり、と
右へ、左へ、時には上へ。
伸ばした手を避けられてしまう。
本気を出せば、力が衰えた今のナズを無理やりに連れていくこともできた。
「んー……」
しかし、ペンデュラムに導かれるナズのあまりの真剣さに、何故か力ずくで連れ戻すことを躊躇ってしまう。
気の済むまでやらせてあげたくなってしまい、ついつい大人しく後をついていく内に、あるドアの前でペンデュラムの輝きは一瞬最高潮に達した。
「むー?」
そして、すぐに輝きは失われてしまった。
どうやらここはさとりの寝室らしい。
『さとりさまのおへや』と書かれたプレートがかかっている。
この先に何があるというのだろうか、気になるところではあるけれど。
「ほ、ほら怒られる前に戻りますよ!」
「んー! んー!」
今度こそ、嫌がるナズを強引に抱えて応接間まで戻ることにした。
「……どうして息を切らしているんでしょう」
「さ、さああああ?」
「むー」
少々イライラした様子のナズをきちんと席に戻した直後、さとりが再び姿を現した。
幽霊だって、疲れる時もあるんだい!
そう言いたいほどに、全力で戻った甲斐があったようだ。
「……どうぞ」
訝しげに紅茶のおかわりを注いでくれるさとりに礼を言いながら、次の話題を探す。
先ほどようやく昔の雰囲気に戻りかけたのだ。
この機会を逃すわけにはいかない。
「先ほどは言いそびれましたが、この紅茶美味しいですね」
「そうですか? 淹れ方はあまり工夫もしてないのだけれど……」
よし、嬉しそうだ。
どんどん畳みかけていこう。
「一番近かった雑貨屋が、店を閉めてしまいまして……今は少し遠い茶屋のものを使っているんです」
「おにまるが?」
「ええ……元から商品用の酒を宴会で無料で提供したりして、無駄な出費が多かったようですしね」
意外なようにも思ったが、そうでもなかった。
確かに、大酒呑みの鬼が多いこの地底でそのようなことをやってしまっては赤字になる。
ちなみにおにまるは、地霊殿から一番近いところにあった鬼が経営する雑貨屋だ。
基本的に酒類中心の品ぞろえで値段も安かったため一輪と何度か行った覚えがある。
そして地底から脱出するのに失敗するたび、泣きながら酒を呑んだ。
「あなた方の酒盛りには、なぜか私もよく呼ばれていましたね」
「そういえば、そうでした」
私が"意識"した記憶を読み取ったさとりが渋い顔をする。
一度、酒の代金を全額支払わせたことでも思い出したのか。
それとも酒盛りの前に説教をしたことだろうか。
「私はあまりお酒に強くないというのに……」
「それも、そうでしたね……」
アルハラ、ダメ、絶対。
「ん?」
「あ、ああ、ありがとうね……」
機嫌を直そうとしたのか、ナズがさとりにクッキーを差し出した。
「あら……」
クッキーとすれ違い様に、さとりの手がナズの口元に伸ばされる。
そしてナズの口についた食べかすを摘まんだ指は、持ち主の下に戻って行く。
「はい、綺麗になったわ」
「ん」
「あら、どういたしまして」
お礼に、差し出されたクッキーが一枚増えていた。
その可愛らしさに、さとりが笑顔になっていく。
それが、なんだか悔しい。
私は彼女を慌てさせるか、怒らせるか、泣かせるかできないのに。
「ん……」
対抗して、私はクッキーを三枚差し出す。
「なんでしょうか」
「あげます」
「いりません」
「あう」
テーブルに突っ伏す。
さとりの拒否に、急に頭が冷静になって脱力してしまった。
私は一体何をやっているのか。
「ん」
「あ、ありがとう……?」
四枚。
クッキーの好きなナズが四枚。
……負けない。
「どうぞ」
「いや、だから……」
私は五枚だっ!
「ん」
六枚だと。
「ならば……っ」
「食べ物で遊ばないでください」
額を叩かれた。
一瞬感じたさとりの右手の暖かさが、とても心地よかった気がした。
「全く、子どもですか……ああ、片方は子どもでしたね」
「?」
「もう片方は大の、大人ですが」
大の、を強調されたらますますナズに見下されそうだからやめてほしい。
ただでさえ最近は命蓮寺で立場がないのだ。
「……あれ」
「う?」
「なんですか、何か忘れ物でも?」
「あ、ああいえ……」
本当に、私は何をやっているんだ。
ここに来た目的をすっかり忘れてしまっている。
せめて、昔くらい話せるように……。
「昔、ですか」
また私の意識を読み取ったさとりが、微妙な表情をした。
懐かしそうで、残念そうな、そんな複雑な顔。
「あなたは、昔通りのままでいたいのですね」
「そう、なんでしょうか……」
ただ、今のままだと気恥かしくてさとりとろくに会話もできない。
だからこそ、最低限私が地底にいたころのように話せれば、とも思ったのだけれど。
「昔通りに、また仲良くやりましょう、とそういうことですか」
「え、あ、いえ……」
なにか、曲解されてないだろうか。
昔喧嘩した時のように、さとりの眼の端に涙が溜まってきた。
これは、事態が泥沼化する前兆だったはず。
「さとり、そうじゃなくてですね」
こうなってしまっては、能力もうまいこと機能しないらしい。
現に第三の眼は、焦点があっていないように見えた。
「拒否したいならきっぱり拒否すればいいじゃないですか。 そんな気を使わなくても結構ですよ?」
徐々に、小さな顔が赤らんできた。
最後に見たのは、五百年前だったか。
それ以来もう喧嘩なんてしないようにしようと、決めたはずなのに。
なのに、私はまた彼女の何かに不用意に触れてしまったのか。
「私は嫌われるのには慣れていますからね!?」
「……」
さとりの剣幕に、ナズが脅えている。
人の心を知ることができるさとりだからこそ。
普段から自分自身を抑圧している彼女だからこそ出せる、この感情は、とても悲しいものなのだ。
また少し、思い出したことがあった。
ひょんなことから、彼女の嫌われる恐怖を知った。
「あの」
その時も、紅茶を飲みながら、気まぐれを起こしたという彼女と話した。
「わざわざ昔のままでいようだなんて言わなくてもいいんですから!」
嫌われることに慣れるはずがない、という話。
「ほら、嫌いなら嫌いって言ってくださいよ! ねえ、村紗水蜜!」
その力を捨ててしまいたいと言う、悲しみ。
でも、妹を守れるのは自分しかいないという、彼女の決意をどうして私は忘れていたのか。
「嫌われるのは、もう……どうでもいいんですよ……。 好かれたいと、思っちゃ、だめなんですか……?」
震える肩を、抱きしめたくても、できなかった。
強くも、脆い彼女をたった今傷つけているのは、誰だ?
決意をむげにしかけたのは、誰だ?
私だ。
「あの……さと」
「む!」
青い光が、応接間を包み込んだ。
そして、光が消失した後には。
「え……?」
さとりも、ナズもいなかった。
ただ、テーブルの上に紫色のペンデュラムが置いてあるだけだった。
それは、ペットの一人が強大な力を得てすぐの頃。
地底に、巨大な影が浮かんでいた。
そしてそれに近づく小さな影が、一つ。
「村紗、水蜜!」
「げっどうしてここに!?」
並走する船の甲板にいたのは、雲居一輪だった。
名前を呼んだ相手ではなかったことで、少々気恥かしさを覚えてしまうが、抑える。
百年ほど、姿を見なかった想い人の姿を探す。
いないようだ。
「村紗水蜜! 出てきなさい!」
もう一度、強い口調で呼ぶ。
そして、すぐさま目の前の尼入道の意識を読み取る。
水蜜、マスト。
上!
「情報提供、ありがとうございます!」
「ああ、しまった!?」
彼女さえどうにかしてしまえば、この船の進路を変えられるはずだ。
自動操縦だと聞いたが、恐らく船の形を形成しているのは船長を自称している彼女自身だろう。
妙な飛行物体を弾幕で叩き落としながら、上昇していく。
マストに備え付けられた展望台に、ようやく目当ての霊を見つけた。
「いましたね」
「げっどうしてここに!?」
「あなたと雲居一輪は本当に仲がよろしいようで……」
一言一句違わず感想を持ったことに嫉妬すら覚えるが、それどころではなかった。
「すぐにこの船の進行を止めなさい。 今ならまだ映姫に一緒に謝ってあげますよ」
「まるで子どもの扱いですね……」
まるで、どころかまるきり子どものすることだろう。
周りの迷惑も考えずに、ただひたすら突っ走るだなんて。
「ここまで堂々と外に出られたら、困ります!」
「あなたが立場を気にするなんて珍しいですね!」
薄い弾幕が飛んでくる。
威嚇だとわかりきっていたので、一切動かずにやりすごす。
「仕事ですからね……。 それよりもやはり、まだあなたはあきらめなかったのですか」
「ええ、それはもう聖に再びお会いするまでは!」
諦めない、という力強い言葉の後に水蜜は柄杓を振るった。
勢いで、彼女の自慢の帽子が飛んで行ったのが見えた。
飛沫のような弾を紙一重で避ける。
「そうですか……」
そう、あなたはそうあるべきだ。
絶対に諦めない気持ちは、妹を守り通すと決めた決意は、あなたがくれたものだった。
だから私は目を閉じずに済んだ。
そして私は、いつまでも自分を貫き通すあなたを好きになったというのに。
「でしたら、私も本気でお相手しましょうか」
あなたが遠くへ行ってしまうのを、ただただ見送ることも許されず。
「戦いは望まないところでしたが、仕方ありませんね。 聖の為、通らせていただく!」
ただただ、あなたにすがりつくだけならどれだけ気が楽だっただろう。
本心を隠したまま、私は手加減しながらの弾幕ごっこを始めた。
「二人とも一体どこに行ったのやら……?」
ペンデュラムを持って、私は地霊殿の部屋の一つ一つを確かめていた。
あの青い輝きの後、どうしてさとりとナズは消えてしまったのか。
なぜペンデュラムが光ったのか。
どうして、先ほどから妖怪どころかペットにも会わないのか。
わからないことだらけだったが、考えるよりも先に今は二人を探す方が先だろう。
「さとりー?」
「いたー! 突撃ー!」
「りょーかい!」「いっくよー!」「ごー!」
「うぇ!?」
私の声に反応するように響いた声に従って、ゾンビフェアリーが数匹突撃してきた。
それを柄杓で撃墜しつつ、反応したほうの声の主を探しあてた。
なぜか四つある耳。
真っ赤な髪の毛は、後ろの方で三つあみになっている。
そして、目を引くのはやはり、猫車。
「じゃじゃーん!」
「お燐……と!?」
久しぶりに会った火車は、掛け声とともに再びゾンビフェアリーを飛ばしてきた。
「行け!」
「のおおおお!」「りゃあああ!」
「危なっ!?」
「ぶっ」「ぎゅっ」
柄杓で打ち返す。
「さとり様に会いたいのかなぁ?」
「なにを……」
「会いたいの会いたくないのどっち!?」
「あ、会いたいに決まってるでしょう!」
若干お燐の怒声に押されたのもあるが、嘘偽りはない。
あのまま、はいサヨナラなんてできますか!
「むー、アンタもいいやつなんだけどねー……。 融通が効かないっていうかねー」
「さっきからなんなんですか、あなたは」
「いやぁね? 会いたいのなら、通すわけにはいかないってわけ」
「私を倒していけ、と?」
「そゆこと。 あたいだってさとり様の見染めた相手なら誰でも文句はないけれど」
復活したゾンビフェアリーが次々に再浮上し、私を包囲する。
「泣かすような相手じゃあねえ?」
「……見てたの? ずっと」
だとしたら随分と悪趣味なことだ。
「いやぁ、見てたっていうか、ねえ?」
「?」
お燐の燃えるような瞳は、私の手にあるペンデュラムに向けられていた。
やはり、二人の失踪とこれが何か関係しているのか。
「まあ、なんでもいいから勝負だよ! 船長!」
「名前で呼んでほしいところなんだけど!」
ゾンビフェアリーに号令がかけられる直前に、スペルカードを懐から取り出す。
「錨符『幽霊船長期停泊』!」
「にゃっ」
「のっ」
「みっ」
まずはアンカーで第一波のフェアリーを叩き落とす。
「こんな単純なスペルで私たちを……」
「次っ!」
一番近いところにいた第二波の内の二体に座標を定めて、再びアンカーを射出。
「ぎゅっ!?」
「あぶなっ……ってにゃあっ」
ぎりぎりでアンカーを回避した者も、ついでに出しておいたバラマキ弾に落とされた。
そして、こちらの第三撃。
「おっとっと」
アンカーどころか、バラマキ弾も回避された。
だが、甘い。
第二撃で放ったアンカーが、弾けて無数の弾幕と化し、お燐を背後から襲った。
「かかりましたね!」
「にゃあ!? 弾けた!?」
お燐が元アンカーを回避するのに必死になっているこの隙を、逃すわけがない。
「いっけえ!」
トドメ第四撃が、お燐に直撃した。
「やああああん!? 汚いぞー!」
そのまま、お燐は天井を突き破って飛んで行き。
「さ、さとり様ああああああ……!?」
星になった。
さあ、また妙なのが来る前にさとりたちを探しだそう。
「聖、白蓮ですか……」
「そう、私たちを救ってくれた素晴らしきお方なのよぅ……」
なぜか説教をした後に『ついてこい』と無理やり参加させられた酒盛りの真っ最中だった。
もちろん、説教したのは私で、されたのは目の前でグダグダしている村紗水蜜だ。
「お美しく、聡明で、優しく、強くて……完璧なお方なんです」
「……ふむ」
完璧すぎて、反吐が出そうだ。
それだけの人が、村紗を、私の好きな人をずっと縛り付けているからそう感じたのだろう。
それを口に出す気はないけれど。
「つまり、あなたはその女性を救うために何度も地底から脱出しようとしている、と」
「ええ、そうなんですよぅ。 悪いのは人間どもなんですよー! だから」
「見逃しませんよ」
「「ケチー!」」
なぜかダウンしていたはずの一輪までもがブーイングしてくる。
嫌われてるのは慣れているからなのだろうか。
なぜだか、嫌な気がしない。
それが、彼女たちといるのが楽しいと気づけたのは水蜜たちと疎遠になってからのことだった。
「待てー!」
「ワゥン!」
「グルル……」
「にゃーん」
「カー! カー!」
「き、キスメ~アタ~ック!」
「いっぺんに、来すぎでしょうがっ!?」
先ほどから数分おきに、ペットやら妖精やらつるべ落としやらが次々に襲い掛かってきた。
逃げつつも、まとめて柄杓から放った弾幕で脅かしておく。
そして、隙を見て強行突破。
これを何度繰り返してきたか。
「やっぱり、これが何か関係している……?」
逃げながら、首にかけておいたペンデュラムを手に取る。
ナズのものよりも少々小さめなそれは、相変わらず輝かない。
まだまだ探し物からは遠い位置にいるのか、私は。
「っ! さとりー!」
「はいよっ!」
突然、天井から見知った顔が落ちてきた、が。
「あなたじゃ……ないっ!」
「すりかえ……きゃうんっ!」
「言わせませんって」
「容赦ないねぇ、全く」
黒谷ヤマメ。
普段は滅多に地霊殿にやってこないはずの彼女が、どうしてここにいるのか。
「やっぱり、あなたもこれ?」
ペンデュラムを土蜘蛛に見せる。
「あー、ごめん、私らもよくわからないのさ」
ただ、と言って彼女は腕から線上の弾幕を放ちだした。
「細綱『カンダタロープ』……アンタの邪魔をしなきゃいけないことしか、わからないね!」
鞭のようになった弾幕が、大きくしなる。
蛇、いやそれよりももっと躍動的に、蠢き出す。
「じゃあ、やりあおうかね」
「あなたも好きですね!」
「戦いは嫌いじゃないのさっ!」
後ろからやってくる大勢の気配を感じた。
ここが、正念場か。
「あー、これも聞かなきゃいけなかったねぇ」
「はい?」
「アンタ、さとりを見つけてどうするつもりなんだい?」
「思い出したことを言うんですよ!」
守りたいって思ったことも!
愛おしいって思ったことも、全部!
「ふうん……なんにせよ、手加減をしないよ!」
「こんなものってわあ!?」
「神のご慈悲は簡単に切れないよ!」
「……さて?」
「……」
「村紗水蜜。 どうしてあなたはここから出たいのですか?」
「会いたい人が、いるんですよ」
「残念ですが、あきらめてください。 協定が……」
「私は、あきらめませんよ」
「いいですか……」
「例え何があろうと、私は絶対にあきらめません」
「おや、アレだけの有象無象を抜けて、ヤマメまで倒してきたのね。 妬ましいくらい強いんじゃない?」
「状況はむしろ妬ましくないと思いますが?」
予想はしていたが、ヤマメを倒しても、邪魔者はまだまだいるようだった。
相変わらず、気難しそうなパルスィまでもが来ているとは思わなかったが。
「その背景は妬ましいわ」
「屁理屈みたいですね……」
「恋愛だってそうよ……例え裏切ろうがなんだろうが、好きだからの一言でどうにかなってしまうわよ」
「それは極論では……」
「理論とか、理屈じゃないのよ」
やはり、彼女は難しい。
恋愛感情を忘れた自分には特に今の話は。
「アンタ、好きってことを形に当てはめようとしてないかしら」
「はあ……?」
「だから、理屈じゃないのよ。 もうちょっと私みたいに素直になりなさいな」
難しく考えるな、とでも言いたいのか。
イマイチ飲み込めないようで、飲み込めたような。
別に好きってことに理由はいらないってことでいいのか。
だとしたら、嬉しいかもしれない。
「あー、妬ましい。 イライラするからちょっと落とされなさい」
「お断りしますよ!」
「ダ・メ・よ!」
今日だけで何度見たかわからない弾が、今度は円状になって飛んできた。
「さとり、どうして聖輦船を没収したりしないのですか?」
「あら、没収されたいのですか」
「いえ、そうではなく……」
「意地の張った誰かさんがいるからですよ」
最悪の予想が当たった。
「いた……」
「残念そうだね」
赤い一本の角が特徴的な彼女は、杯を持っていなかった。
つまり、今日の星熊勇儀は本気と言うことなのか。
私の心配を感じ取ったのか、鬼が笑った。
「ははは、なんだい! 私がいるから、あきらめるのかい?」
あきらめる。
その一言で何かが私の中で爆発した気がした。
「まさか!」
「……好きって言う気持ちがわからなくて逃げ回っていた弱虫にできるのかい?」
「やってみせますよ! だから!」
だから、スペルカードの前に、もう一つ宣言しなければならない。
「本気の鬼だろうが博麗の巫女だろうが毘沙門天だろうが! 邪魔するなら錨で吹き飛ばす!」
「そうかい……だったら私も少しは楽しめそうだ!」
「忘れていたことを、彼女に伝えるためにも止まってたまりますか!」
その部屋は、さとりの寝室は応接間からそれほど遠くない場所にあるはずだった。
しかし今やその位置を変え、地霊殿の一階部分の最奥に存在した。
この閻魔からもらった屋敷は、昔から不思議なことばかり起こった。
地上で迷子になっていたはずの人間の子どもが突然中庭から出てきたり、逆に侵入してきた賊がいつの間にか入口に戻されたりした。
さとりの思い出の大半は、ここで生まれた。
初めて、こいし以外の家族ができた。
こいしが目を閉ざした。
上司兼友人ができた。
不思議な人間と出会った。
そして、村紗水蜜と出会ったのもここだった。
「……初対面の時からお説教でしたね」
聖輦船を使って地底の天井に大穴を開けようとしたり。
かわいそうでできもしないくせに、鬼の子を人質にとったり。
何度説教してもあきらめないの一点張りだった、珍しい幽霊。
その強さに、さとりも憧れ、それを自分のために振るってもらえる聖白蓮という人物が羨ましかった。
そして、晴れて水蜜は聖白蓮と再会するという目的を達成した。
今なら、私が告白しても水蜜の重荷にはならないだろうか。
そんな期待と心配をしながら、勇気を振り絞って告白した。
わざと、明確に好きと言わずに。
水蜜が地獄に戻ってくる口実をつけやすくするために。
「でも、やっぱり私はその程度の存在にしかなれないわけですか……」
水蜜は、また昔のような関係を望んでいた。
結局、さとりは彼女の一番にはなれないのだ。
最悪一番でも二番でも良かった。
でもそれすら、きっともう私より大きな存在が位置しているのだろうか。
そう考えて、目の前が真っ暗になった日もあった。
結局、それは事実だった。
ベッドのまくら元に置いておいた宝物を手に取る。
魔法の森の人形遣いに作ってもらった、ぬいぐるみ。
髪の毛同様瞳も黒いが、微妙な工夫で力強さを感じさせる。
緑の縞が入った、赤いリボンのセーラーを着用したそれは、モチーフがなんなのかわかりすぎるほどに特徴が捉えられていた。
そしてその頭には、ボロボロになった帽子。
こんなもの、と言おうとしても言えない。
せめて投げようとしても、投げられない。
できる、はずがない。
例え終わろうが、村紗がもがいた年数とほぼ同じだけ続いたさとりの恋慕は、消え去らないのだから。
「あきらめ、られるはずがないじゃないですかぁ……」
さとりが吐き出すように言った直後、ドアが突き破られた。
「さとりいっいいいいいいい!?」
「水蜜!?」
文字通り、転がり込んだ。
「い!?」
そして壁にぶつかって停止した。
撃沈アンカーすら素手で打ち返す、歩く反則をなんとか突破した私は、さとりの寝室に侵入したようだった。
ナズはどこに行った、などと疑問が湧きだしてくるが、それよりも。
「ようやく、見つけた……」
首に下げたペンデュラムは、未だに弱い光を放ち続けていた。
「どうして、ここが……緊急時にはこの部屋は……」
「敵襲時には自動的に一階の一番奥に行くようになっている、でしたっけ? 怖い、お、にから……」
建てた本人たち曰くちょっとした仕掛け、らしい。
なんとかさとりにそのことを伝えようとするものの、壁に激突した痛みで言葉が続かない。
幽霊だって、辛いものは辛い。
女の子を泣かせたままなのも、辛い。
「今さら、なんなんですか。 帰ってもいいんですよ」
「ご、誤解……」
なんとか息を整えて、ここまで来る間に考えたやりたかったこと、やるべきことを始めた。
まずは。
「失礼!」
「え……」
抱きしめる!
「あわ、み、みなみ」
次。
さとりの不思議、いや綺麗な瞳を捉えて、近づく。
「ごめんっ!」
「うむぅっ……」
キスし返す!
次、舌を……!?
「げふぅ」
お腹に容赦ない一撃が加えられた。
痛いものは、やっぱり痛いわけで。
「ぷはっ……調子に……乗らないでください……」
「あ、あは、真っ赤じゃないですかー」
「う……うるさいっ」
目もそこまで潤ませては迫力も何もあったものじゃない。
「さとりは、やっぱりかわいいですよ」
「んなっ……!?」
「やっぱり、花見の時のは思い違いじゃなかったんですよ」
「なっなっ……なんなんですか、今度は褒め殺しですか? 言ったでしょう、気を遣わないでと……」
「いいえ? 本心ですよ?」
いまだに第三の眼が錯乱しているさとりを安心させてやるように、また抱きしめた。
殴られた。
「ひどいなぁ……」
「本当になんなんですかぁ!?」
さっきから泣きそうになったり怒ったり忙しい。
ああ、私のせいか。
「ごめんなさい、私がバカでしたよ」
「ええ、そうですよ。 あなたは大馬鹿です。 死んでも治らなかった大馬鹿ですよ!」
二度も言われたが、事実なので受け止めておくことにする。
大事にしてあげたいだなんて思っていたことを忘れてたなんて。
ついつい、自分のことしか見えていなかったなんて。
聖白蓮という光に、さとりは消えていたわけではなく。
ただ私がさとりを見ようとしていなかった。
「あなたが欲しかった答えかどうかはわからないんですけれどね」
「はい」
さとりは、目を瞑っていた。
緊張しているのだろうか。
「私は、さとりのことがよくわからないくらい好きなようです」
「は?」
「とりゃ」
「んむ」
目を開いたのを見計らって三度キス。
「ぷあっ。 聖は、とにかく尊敬できる人」
「ぷはっ……私は?」
「よくわからないけれど好きな人!」
「私の方がわけわからないです」
それもそうかもしれない。
ただ、そうとしか言いようがない。
大昔に守ってあげたい、なんて思ったこともあったけれど、最近可愛いと思ったこともあったけれど、好きになった理由がわからないのだ。
「わからない、ですが……たまには、そういうのもいいかもしれませんね」
「そうでしょうか?」
「あなたが言ったんでしょう……」
ため息一つついて、よくわからない可愛い生き物は、私の為に笑顔を見せてくれた。
今までに見たことのない、満面の笑み。
……ちょっとヤケも入ってるのかもしれない。
「私は多くの意識を、心を読んできました。 だから、あなたにも明確な答えを望みました」
そして、私はそこから逃げようとした。
恋愛はわからないなんて言ってあきらめて。
「ですが、なんか好きってわかっただけでどうでもよくなっちゃいました」
やっぱりヤケ気味なようだ。
でも、流石に私だってこのままじゃ行けないってわかってる。
「さとり、あなたのことがどうして好きかわからない、バカな私を好きでいてくれますか?」
「そのバカを、好きになったのはどちら様ですか?」
ああ、それはあなただね。
「嫌われているのは慣れていますけれど、あなたにフラれると、死んでしまいそうに思えるのが不思議だわ」
「そうしたら、ずっといっしょにいられますかね?」
「映姫が許してくれないかもしれません」
「じゃあ、そうなったら一緒に地獄にでも落ちますか?」
「ああ、聖白蓮はこう言う気分だったのね。 心配になってきましたよ」
「はっはっは、思う存分心配してください! 私は、全部あきらめませんよ!」
私は、聖を尊敬し続けることも、さとりを好きで居続けることも、彼女のことを好きな理由を探すことも諦める気はない。
「欲張りですね」
「悪いですか?」
「いいえ?」
その問答に可笑しくなって、二人で笑い合っていると、ペンデュラムが大きな輝きを放った。
そして。
「むぅ?」
「ナズ!」
「あら」
抱き合った二人の間にナズが出現した。
まさか、あの紫色のペンデュラムは。
「まあ、いっか」
「ん?」
「いいですね、どうでも」
今は、とにかくなんか嬉しい。
わけわからないけれどね!
「あーもう恋愛ってわけわからない!」
「そうですね!」
「おー!」
でも、その中から私はきっと何か見つけ出せる。
そう心に決めて、私はもう一度さとりとキスをした。
近づいてくる大勢の足音に覚悟を決めながら。
『おひめさまは、わたしのことをおきらいになったのですか?』
おうじさまがなきながらききます。
『ごめんなさい、わからないの』
おひめさまもないています。
なにもないはずなのに、なにかがありそうでくるしいのです。
『なんだかくるしいの。 わからないけど、あなたのことがいとおしいの』
こうまぶんこ『わすれんぼうのおひめさま・げかん』より
-じょう-の方ですでに村紗とさとり絵本の内容になぞらえている場面がありましたけど、これはべたな展開ってことになるのかなあ。古風なRPG風というか、おひめさまを助けに行くおうじさまの役どころですね、村紗。
でもすごくかっこわるい……。最後までイマイチ決まりませんでした。キスするにしてももうちょっとクールにやればいいのに……おうじさまをやるのは難しいですね。そんな村紗だと惚れてたかどうか分からないけど、さとり様。
それにしてもさとり様がいじらしくて可愛いです。
>例え終わろうが、村紗がもがいた年数とほぼ同じだけ続いたさとりの恋慕は、消え去らないのだから。
こことかたまりません。宝物のぬいぐるみの帽子だけが本物とか、もうね(む? そういえばさとりが村紗に惚れてること、アリスは知ってるんですか。人形作ってるあたり)。
しかい村紗は罪作りです。ただのニブチンだと思ったらそういうことか、という感じでしたが。でもいかんな、あれはいけません。怒らせすぎだし泣かせすぎです。どうにかしなくてはと分かっているくせに、やり方がヘタクソと言ったらありません。子供のナズーリン以下とか酷い話だ。気遣っているのはありありと伝わってくるのに、相手をちゃんと見てるのかどうか。心が筒抜けな分さとりはもどかしさがつのりますね。
『さとりさまのおへや』というネームプレートはペットが書いたものなのかな。
ひらがなで書かれているので、絵本のおとぎ話のような感じがします。
ペンデュラムがここに反応して、ペンデュラムが光ったあとにさとりとナズーリンがいなくなったわけだから、ここに……何て言うんだろうおとぎ話へのスイッチみたいなのが入った感じがしました。
村紗は「わすれんぼうなおひめさま」兼「わすれられるかもしれないおうじさま」なのかなあ。忘れたことを思い出しつつ、忘れられないように「おしろのふかいところにいるおひめさま」をに会いに行く。行く手には強敵が次々現れておひめさまに会わせまい邪魔する。物語の主人公としては「かっこいいおうじさま」役な感じです。内実は「わすれんぼうなおひめさま」で、おうじさまは泣いてるさとりの方ですが。村紗、あんまりかっこよくないですし。
これは何だっけな、『少女革命ウテナ』を思い出しました。いやかなり違うと思うんですが、おとぎ話的な後半の展開が、何となく。多分ただ「おうじさま」「おひめさま」っていうキーワードに反応しただけと思いますが……。
『村さとお茶会』という題名の物語には、劇中劇的に『わすれんぼうなおひめさま』の物語がある(紅魔館の絵本の物語ではなく現実世界の物語として)。おかしなことにこの二つの物語は登場人物が同じだという。
『村さとお茶会』のキャラクターは途中から、同時におとぎ話のキャラクターにもなっています。
してみると、(お燐はさておいて)唐突で脈絡がないようなヤマメたち体験版組の登場は、おとぎ話の主人公曰く「邪魔者」として登場した以上、物語には必要なキャラクターであり役割があり、登場にはちゃんと脈絡があって、出てきて当然のキャラクターなんですね。「村紗水蜜」が「古明地さとり」に会いに行くならまだしも、「ヒーロー」が「ヒロイン」を助けに行くのに、なんの障害もないのでは物語にならない、ヒーローには苦難がなくてはならないですから(いや、助けるというのとも違うかなあ……)。
登場のからくりは『村さとお茶会』のキャラとしては地霊殿に作られたおかしな仕掛けで、『わすれんぼうなおひめさま』のキャラとしては物語そのものに仕掛けられたもので、彼女たちは主人公の行く手をさえぎるべたな敵キャラクターです。身も蓋もない言い方だと主人公に苦労させて成長させる役。だから、邪魔者は邪魔しつつ主人公の進もうとしている道に、それとなく先導している。問いかけたり、諭したり、覚悟を見極めたり……おとぎ話だあと思います。
パチュリーが書いたおとぎ話だとこうなってて、
わすれんぼうなおひめさま:とてもやさしくてかわいい、くにのにんきもの
ないているおうじさま:とおいくにからやってきた、つよくてかっこいいおうじさま
作品世界そのものだとこんな感じ。
おひめさま:わすれっぽくて、とおくへいってしまった、かっこわるいおうじさま
おうじさま:おしろのふかいところにとじこもっている、きらわれものの、ないているおひめさま
いやまあそういう印象を受けたという話です。最終的には村紗は忘れていたことを思い出して、地霊殿の深いところに閉じ籠もって忘れようとしたさとりのところに真っ直ぐぶつかっていきましたね。
村紗、あんまりビシっとは決めてくれませんでしたけど、色んな人に後押しされてますけど、それでも最後は自分の針路はひとりで決めて航海して、さとりのところまでたどり着いたかと思います。かっこ悪いかっこ悪いばっかり言っていますが、ある意味かっこいいとも思いました。主人公のかっこよさはこうでないといけないなという感じがします。ぶきっちょもんが諦め悪くてガムシャラなのはいいですね。
作中にこの絵本のようなおとぎ話を挿入して、登場キャラクターをそれになぞらえた行動をとらせる、というのは手法としてはそんなに珍しいもんじゃないかもしれません。でもそのおとぎ話と作品が混ざり合っているような、作品そのものがおとぎ話になるという展開は、不思議で面白い構造をしていると思いました。
……これは感想なのかなあ。違うような気がします。でもとりあえず自分が読んで思ったことは書けるだけ書いてみました。実際のところもっと色々と思っているんですが、文字にするにはこの辺が限界っぽいです。情けないというか……無念。ついでにとんちんかんなこと書いていると思います。すみません。
それとこれ……多分これが一番伝わりやすいと思うんで。
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でも口先だけです。まだまだ死にたくありません。ラオウにはなれません。おかげさまで0じゃなくなりましたし、ムラさと。
リーオさんにも夏星さんにも感謝してもしきれないほどの恩を感じています。なにも返せませんが、ありがとうごさいます。
あ、あとナズーリンかわいかったです。
最後に誤字報告。
>やはり、二人の疾走とこれが何か関係しているのか。
失踪、かな。
ちょっと相田みつをが入ってしまいましたが、例え欠点だらけで普段はダメ駄目でも、
譲れないモノの為ならば必死であがく、そんなキャラクターに私は共感を覚えますね。
状況に流されて、そのハードルをどんどん低くしていく者が、私を含めてなんと多いことか。
最後に、これから先も間違いなく苦労するであろうさとり様に、願わくば幸多からんことを。
評点忘れはありましたが、まさか名前を忘れるとは……
まさに、『わすれんぼうのおひめさま』状態、水蜜を笑えねぇ……
さとりってなんやかんや皆から愛されてるよね。ムラサもこれからもっと大変になると思うわww
そしてどこまでもチビGJ!
ハードルは高めに設定して下をくぐり抜けるのが俺