ヤカンが見つからない。
「咲夜」
呼んでから気づいた。
彼女はもういない。
いたら今頃、私はこんなことをしていない。
「あーあ……」
啖呵を切って決別したのに、結局、依存が抜けていない自分がいる。
だいたい、決別したといっても、離反されたのと同じだ。ついカッとなって大口を叩いたが、あのときの私は相当に滑稽だったろう。
大きくため息をついた。でも、何に対するため息だか。
今私がいるのは調理場。だだっぴろい。妖精メイドの頭数が多くて、全員分の食事を作るには、そうならざるをえなかったのだ。
逆に言えば、私一人の食事を作るのには向いていなかった。お陰で苦労している。
この館は広くなった。
それは絶対的に広くなったのではない。私以外に誰もいなくなったから、相対的に広くなっただけだった。
咲夜は空間を戻さなかった。まあ、戻そうものなら色んなものが大変なことになって、紅魔館全体が崩れるだろう。
そこは、咲夜に感謝しなくてはいけない。出て行ったけれど、最後の最後まで、彼女は私の「従者」だった。
――でも、広くたって意味がないのだ。
もうこの館に、私以外の住人は居ないのだから。
「痛っ」
蛇口から流れる水を、つい直接触ってしまった。痛みが走る。
流水に弱いという吸血鬼の性質が、こんなときでも発揮された。桶か何かに溜めてから触らなくてはいけないのに。忘れていた。
これでも、昔は料理をしていたのだ。
咲夜が来てから出て行くまで、ずっと任せてたから――。
「……はぁ」
またため息をついた。咲夜咲夜咲夜咲夜。私はどれだけ、アレに依存していたというのだ。
便利な道具に頼って余裕ぶっていたら、何もできなくなっていたなんて。
全く、わが身に降りかかると笑えない話だ。笑えなすぎて笑える。
ヤカンは流し台の下の棚に入っていた。コンロにかけて、お湯を沸かそうとする。
――火は付かなかった。
そこでようやく思い至った。コンロの火はパチェの魔法を利用していた。
今火が付かないのは、当然の話だ。
仕方がないから、自力で火をつけた。七曜を操れなくても、コレくらいのことなら出来る。
図書館はどうなったろう。居なくなってから見に行っていないけど、本は残っているのだろうか。それとも持って出て行ったのだろうか。
どっちにしろ、多分魔理沙も来なくなるだろう。来る運命が見えない。あいつは、パチェに会いたくて来てたらしい。
主のない図書館に、うまみは無い。魔理沙にとって。……私にとっても。
窓に何かぶつかる音がした。
見れば、毛玉だった。
以前ならこんなことは無かった。美鈴が全部撃墜していたから。
魔理沙に対する防御率は酷いの一言だったけれど、彼女は彼女で役に立っていたのだ。
立派にこの館の一員だった。
そして、私が裏切った。
お湯が沸いた。料理の用意をする。
戸棚から箸を出す。――フランの分がまだ残っていた。
持っていくのを忘れたのだろう。処分しようかと思って、やめた。取りに来るかもしれない。
いや、そんなのは言い訳だ。取りに来るわけがない。唯一の妹との関係は、確執がある、なんてものじゃなくなったのだ。
決定的な溝。多分、今までの生の十倍をかけても、多分埋まらない。
そんな溝は、紅魔館の元住人全てとの間に生まれている。私の不用意な発言と行いのせいで。
みんな出て行ってしまった。
誰も帰っては来ないだろう。少なくとも、明るい運命は見えない。仕方が無いのだ。私が酷く裏切ってしまったのだから。
けれど、けれど、だ。私は、自分を曲げるわけには行かなかったのだ。
それは吸血鬼の誇りだとか、紅魔館当主の面子だとか、そんなのとは関係が無い。強いて言うなら、レミリア・スカーレット個人の「芯」だった。
料理が出来上がった。私は席について、それを食べ始める。
出て行くとき、みんなが私に言った言葉が、脳裏をよぎった。
私は思わず、それに反論していた。
「三分じゃない、カップうどんはお湯を入れてから一分で食べはじめる、それが、決まりなんだッ!」
いや、重要なのかもしれないけど……
「うんめぇ!」を操る程度の能力でもどうにもならなかったか。
3分は柔らかすぎる
2分が丁度良い
手が滑って簡易10点入れてしまいましたごめんなさい。
あんなに笑かしてもらったのに……ホントすみません。
確かにうどんは設定時間より短めに作りますが、猫舌なので氷を幾つも入ないと食べられんのです。
個人的に、スープを喉に『流し込んで』、お嬢様が大丈夫なのか気になるところ。
体に悪いのは分かってるけど、やっぱりアレは、豪快に飲み干してこそ美味いモノですからねぇ……
あ、私はソバ派なんで。
それでは。
お嬢、1分じゃない。1分半がベストだ
3分が標準のはほとんど見たこと無いだろう。1分じゃ食うどころか麺をほぐすこともできないと思うんだが。
俺は3分半でふたをあけ、かき混ぜた頃に4分になり、少し固めを3分の1食ったところで5分になり、
ここで製作者の意図した通常の5分の麺を食う。そして残りの3分の1を6分の少し柔らかくなったのを食うのだ。
カップ麺って30秒で食べ始めるものじゃないの?
それはそうと作者さんよ、俺、実はカップヌードル派なんだ……屋上で先に待ってるぜ…
俺はブタメンは粉々に砕いて食べてたけど何か問題が?
そいでわ
屋上で待ってます
バリバリガリガリムシャムシャゴクン
つまり……九州だけは絶対に許さない。絶対にだ。
と期待してたんですが、またこの作風ですか。
○チでやれとは言いませんが、そろそろ止めませんか?こういう作風。
最近のあなたの作品は、思いつきで投稿したかのような雑な作品ばかりです。
もう少し真面目に作品を書いてみてはいかがでしょう?
創想話には見た目のインパクトで脊髄反射的に点を入れてくれる人が多いから、
ある程度の点数は稼げるんだろうけど。
作品の感想にほとんどなってないのでフリーレスで。
カップうどんはどん兵衛に限る。
寂しげな光景を思い浮かべていたらまさかのラストw紅魔館のみんなに「ちょっw」って言いたくなりました。
しかしプチでというコメントの人、毎回作品を読んでいるのは…ツンデレですかね。
喚く狂人さん好かれてて羨ましい限りです。
カップ麺は二分半。
これはゆずれない。
3分のもあるのか
って力石も言ってた
みんなにもあったよね?
どちらに投稿するかは、作者自身の判断に委ねられている筈なので、誰が何を言おうと気にする必要は無いと思います。
そもそも、その事について読者がとやかく言うのは禁じられていると思うのですが……
私としては、いつも楽しいお話を読ませてくれる貴方には感謝していますので、これからも頑張って欲しいです!
面白かったです!
氏は真面目に考えてノリのあるギャグを作れる作家だと思っていますので。
中長編にシフトするというのなら、それはそれで応援いたします。
某所投稿の氏の最長作品は結構お世話になっていますので。
ただ、自分の作品は大事にしてください。そして筆は折らないでください。自分はそれが一番心配です。
次回作も期待しています。
ただ、この作品はちょっと滑った感があるのでこの点で。
悪い意味で裏切られた
駄菓子のブダメンお湯入れて三秒、バリバリ食べるのおいしいです^q^
最後の最後までシリアスものと思って読んでたら最後にやられたwほんとしょうもないなw
ちなみに10~20分はおいて食べます。
まあ、ぺヤングを食えば仲直りできるよ!