Coolier - 新生・東方創想話

糸敷き詰めたい恋人形 (上)

2005/03/02 05:49:26
最終更新
サイズ
16.21KB
ページ数
1
閲覧数
715
評価数
0/45
POINT
1960
Rate
8.63





※ この作品は「糸から外れた狂人形」及び「糸を紡ぐは友人形」の続編です。

























『あははははははははははは!!!』

瓦礫の中から声が聞こえる。
彼女が瓦礫に埋もれ、幾らの時が流れたのか。
その変化の無いその景色に、変化が訪れた。

『あははははははははははははははははははははは!!』

笑い声と共に瓦礫を弾き飛ばす。
瓦礫の中から出てきたのは上海人形。
それはアリス・マーガトロイドが作りし呪いの人形。

『あはははははははははははははははははははははははははははははは!!』

まさかここまでやってくれるとは思わなかった!
騙してくるとは思わなかった!
私の性格を利用したのか!!
・・・あぁ。マスタースパークで生き埋めにされた時は何度魔理沙をバラしてやろうと思った事か!
マスタースパーク!!
面白い!
確かにヤツなら考えそうな事だ!
殺してやる! 絶対に殺してやる魔理沙!!
・・・憎いが、殺したい程憎い・・・・・!!

『これが私の力!!』

そう、私の本質は呪い!
陰たる私が人を憎む事によってより強大になるのは至極当然の事!
最初は瓦礫を弾き飛ばす事など出来ぬと思ってはいたが・・・

『今の私なら・・・蓬莱は愚か、霧雨魔理沙にさえ匹敵する!!』

そう、呪え! もっと呪うのだ!!
これが私の本質! これこそが私の力!!
憎め! もっと憎め!!
それが私の存在意義!! それこそが私の存在意義!!!!!
憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!
呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!
憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!
呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!
憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!憎め!
呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!呪え!
全てを呪い! 全てを憎め!!
それが私の、呪いの人形の本分よ!!






















魔理沙の屋敷は静寂に包まれていた。
在るのは慎重な面持ちで人形を抱きしめるアリスと、緊張に唾を飲み込む魔理沙の二人だけ。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

アリスが無言で蓬莱人形に魔力を送り込みはじめる。

「・・・・・・」
「・・・・・・」

結果がどうなるかはやってみなくてはわからない。
だが、アリスは信じている。
蓬莱人形は帰ってくると。
そして魔理沙も信じている。
蓬莱人形は必ず帰ってくる。
ならば蓬莱人形が帰ってこない筈は無い

「・・・・・ふぅ。」
「・・・・・どうだ?」





「わからないわ。 でも、もうすぐで目が覚める。」
「・・・・・・そうか」

















ピクリ

アリスの腕の中で蓬莱人形が動き出す。

徐々に目が開いていき、目の前のアリスと視線がぶつかる。

『・・・・・・』

しかし蓬莱人形に変化は無い。
何も喋らず辺りを見渡す。
身体が破損しているためか、首を回す度キリキリと嫌な音を立てる。

キリキリキリキリキリ・・・・・・

魔理沙を見て。
周りを見て。
己を見て。
最後にまたアリスを見る。

「・・・・・」
「・・・・・」

失敗か!?

二人がそう不安に思った瞬間、蓬莱人形は口を開いた。

『おはようアリス、おはよう魔理沙。』

ニッと笑って何事も無かったかの様に挨拶をする蓬莱人形。

「蓬莱!!」
「なんだ!! 驚かすなよな!!」

安堵のため息を漏らす暇も無く蓬莱人形に抱きつくアリス。
このやろーが、と言いながら頭をなでまくる魔理沙。

『いたいいたいもげるもげる!! 身体は絶賛負傷中なんだ!! 優しく扱え!!』
「あ! ご、ごめん! ・・・つい嬉しくて・・・・」
「そうだぜ。」

しゅんとするアリスと飄々とのたまう魔理沙。

『アリスは許す。 魔理沙は許さん。』
「なんだと!? この人形風情が!!」
『やるか!?』
「応ともよ!!」

「やめなさいっ。」

『・・・ちっ』
「・・・けっ」

三人でにやにやと笑いながら会話を繰り広げる。
にやにやが止まらない。
安堵。
ただそれだけの感情で思考が埋め尽くされているのだ。

『まぁ、冗談は置いておくとして、ありがとう霧雨魔理沙。』

とはいえいつまでも談笑している訳にはいかない。
蓬莱人形は姿勢を正して魔理沙に礼をする。
・・・アリスの腕の中でだが。

「あー?」
『大体は把握した。 どうやら上海の暴走は行くとこまで行ったみたいだな。』
「・・・よくわかるな。 ・・・と言いたい所だが、正直あたしもアリスも状況がいまいち把握出来てない。
 お前の知りうる限りの事を教えてくれ。」

そう、何はともあれ上海のおかしくなった原因が知りたい。
・・・とはいえそれはアリスの身内の話。 弱みの話。
常時アリスと敵対している魔理沙には教えてくれないだろう。
とりあえず今は手を組んだ事を・・・・

『わかってるよ。 魔理沙はアリスの味方なんだろ?』
「・・・・よくわかるな。」
『まぁね。 伊達に二人を不安にさせていない。』
「はっ、言ってくれるぜ。」

流石に蓬莱人形は頭の回転が速い。
先程の不審な動きはこの為だったのか。
とはいえ、自分の置かれている状況を周りを見るだけで把握するとは大したものである。

『だが、先に魔理沙が見た事を教えてくれないか?』
「あー、まぁそうだな。 構わないぜ。」

理論的に考えるなら蓬莱の方が早い。
それに、先に情報を与えてやって蓬莱の不安、というかもやもやを解消させてやった方が良いだろう。
そう考えた魔理沙は、自分が見た事を端的に説明した。


「あたしが見た事を順に言う。
 朝、あたしは実験の材料がきれたからアリス邸に行って材料を頂こうとした。」
「・・・・またそんな事をしようとしてたの?」

あきれた様にアリスが口を挟む。

「まぁそういうな。
 でだ、裏庭に行った時、そこには壊れたお前さんと、狂った様に笑い続ける上海、最後に気が触れちまったアリスを見つけた。」
『・・・・・』
「アリスに尋ねてもアリスの反応は無い。
 アリスの異常の理由を上海に聞いた所、狂ってるせいかまともな答えが返ってこない。
 で、今度は壊れたお前さんの事を聞いた所、私が勝った。 蓬莱を倒した。 とかいいやがる。」
「・・・・・ッ」

アリスが泣きそうな顔になる。
立ち直ったとはいえ、目の前で話すのは酷だったかも知れない。
・・・いや、今の内に軽く慣れていたほうがいい。

「・・・魔理沙・・・」

とはいえ、瞳を潤ませて、涙を堪えているアリスを放って置くわけにはいかない。
魔理沙はアリスの頭の上に手を軽く載せ、ゆっくりと撫でてやった。

「大丈夫だ。 すぐに上海も直してやるさ。」
「・・・うん。」

顔は浮かないながらも涙は止まってくれたようだ。
魔理沙はこっそりとため息をついた。

『負けたのは不意打ちでだけどね。 で?』

話を促す蓬莱。

「わかってるさ。
 で、その後は簡単さ。
 狂ってる上海はとりあえず置いといてアリスを治療。
 その後お前さんをアリスに治して貰おうと思ってね。
 で、実際そうした。 以上。」

・・・・・・・

『魔理沙は色々と言葉が足りないと思う。 なんか隠してるだろ。』

蓬莱人形の鋭い指摘。
大正解。
だがアリスが失禁してた、だの館吹っ飛ばして上海生き埋めにした、だのなんて言えないからな。

「だが大事な事は全部話したぜ。 後は些細な事だ。」
『・・・そう、まぁ嘘は言ってないみたいだから信じるよ。
 だけど後二つ聞きたい。 上海はどうした? あとなんでアリスはそんな服を着ている?』

おぉ、的確にこっちの隠してる事をついてくるな。 さすが蓬莱。 頭がキレる。

「上海は閉じ込めてきた。 暫くは出て来れないだろ。 つーか多分脱出不可だ。
 アリスは服が汚れてたから着替えさせた。」

しょうがないので大事な部分は伏せて伝える。

「え!! あ! 本当!! 今まで気がつかなかった!!」

気付けよ。
・・・ちょっと魔理沙と蓬莱の心がシンクロした。

「あーその寝巻きはあたしのだけど結局一度も使ってないヤツだ。 新品だぜ。」

アリスから文句が出る前に言っておく。
・・・とはいえ多分意味無いだろうがな。

アリスは自分の着ている魔理沙の寝巻きをじっとみつめた後、はっと何かに気付く。
慌てて寝巻きの襟元から自分の着ている下着を確認。
で・・・固まった。

「ま、魔理沙・・・あの・・・この下着・・・・・・」
「あぁ、あたしのだ。」
「!!!」

いや、魔理沙の物なのはわかっている。
何せ自分の物では無くて、ここは魔理沙の家なのだ。
そりゃあ当然魔理沙の下着だろう。
いや、別に魔理沙の下着なんか着たくないって訳では無い。
・・・・無い訳では無いか。 というか普通は他人の下着なんか着たく無い。
いや、それよりも。
問題はもっと別の所にあるのだ。

ま・・・まさか・・・・
アリスは恐る恐る自分の下の方の下着も確認して・・・
またもや固まった。

・・・・違う。
コレは私の下着じゃない・・・。
・・・という事はつまりは魔理沙の下着。
つまりは・・・・


「もしかして・・・・見た!?」

鬼気迫る表情で、一筋の祈りを込めて、たずねる。

「おお。 まぁ女同士だし気にする事も・・・・・」





「いやぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!」


ばっちーーーーーーーーん


「しくしくしくしくしくしく・・・・・」

・・・・後に残るのはしくしくと泣きべそをかくアリスと。
顔に特大紅葉をくっつけた魔理沙。

「まぁ、アレだ。 蓬莱。 お前はわかってくれるよな?」
『・・・まぁ、要は下着まで着替えさせなきゃいけない事態だったと言う事だろ。
 わかるよ。 まぁ気が触れた人間は普通そうなる。
 で、上海の方も大体わかった。 魔理沙の事だからな。
 まぁ、事が解決するまではアリスには黙っておいてやるよ。』

あぁ、蓬莱が頭の回転の速い良い子で本当に助かった。
ついでに機転も利く良い子で本当に助かった。
・・・出来れば館の件は未来永劫に黙っていて欲しいのだが・・・・まぁ無理か。

「そうしてくれ。 今度はあたしのせいでアリスの気が触れちまいそうだ。」
『全くだ。』

違いない、と笑い飛ばす蓬莱人形。











さて、さっきまで自分を抱きかかえてくれていた主人。
その人は先程恥ずかしさのあまりに自分を放り投げてくれたので、
仕方無しにふよふよと浮いて話す事にする蓬莱人形。
まぁ、時間も経ってアリスも少し落ち着いてきたみたいなので話を戻す。

先程は魔理沙の状況を聞いたのだ。
次は蓬莱人形が知る事を魔理沙達に伝える番だ。

『さて、次はこっちだな。
 あたしは朝に上海に裏庭に呼び出された。
 なんでも自分より優れてるあたしが気に入らないそうだ。
 武器としての能力の差は歴然だ。
 だからアリスはここ一番ではあたしを使う。
 でも、あたしがいなければ自分がアリスのナンバーワンになれる。 全てにおいてな。
 だからあたしが邪魔だったんだ。
 全てはアリスに愛して貰うが為さ。

 その後、挑発されまくったあたしも流石にキレてな。
 弾幕戦になったわけだ。
 弾幕ごっこじゃない。
 殺し合いだ。

 そこにアリスがやってきた。
 そこで弾幕戦は終わりだった筈だったんだ。
 だが、アリスの気が触れる直線、・・・触れた後か?
 それはわからないが、様子がおかしくなったアリスにあたしが駆け寄った。
 ・・・そこであたしの記憶は終わりさ。
 恐らくそこで不意打ち喰らったんだろう。』











少しの間、部屋は沈黙に包まれた。

「・・・魔理沙・・・私も・・・・」

おもむろにアリスが口を開く。

「アリス・・・お前は無理して思い出さなくていい。」
「・・・でも・・・」
「いいんだ。 全部終わった後にゆっくりと思い出せ。」
「・・・・うん」






『まぁ、こんなとこだ。』
「蓬莱。 お前こそなんかが足りないぜ。 なんか隠してるだろ。」

魔理沙の鋭い指摘。
大正解。
だがこれは言う必要の無い事だ。 言ってはいけない事だ。

『・・・大事な事は全部話した。 後は些細な事だよ。』
「・・・まぁいいさ。
 とにかく、現状は大体把握した。」

「魔理沙・・・」

アリスは不安になったのか、魔理沙にしがみつく。

「ん? どうしたアリス。 大丈夫だ。 あたしが全部解決してやる。」
『・・・・・』

そんな二人をじーっと見つめる蓬莱人形。

「・・・・どうした? 蓬莱。」

視線を感じてか、魔理沙は蓬莱人形に尋ねる。

『いや・・・・いつの間に二人はそんなに仲良くなったんだ?』











「なななな!! 仲良くなんてなってないわ!!」
「そうだぜ!! 勘違いも甚だしいぜ!!」

顔を真っ赤にしてぎゃ-ぎゃ-わめきだす人間二人。

『・・・・まぁ、二人がそういうならいいけどな。』

まぁ実際今話さなきゃいけない事じゃないし。
ふと気になったからついつい聞いてしまった。

「・・・・全く! へ、変な事言わないでよ蓬莱。」
「全くだぜ!!」
『はいはい、ごめんなさい。 あたしがわるうござんした。』



「さ、さて! それじゃあ本題に入ろう!!」
「そうしましょう!!」
『・・・そうだな、とりあえずどうやって上海を元に戻すかが問題・・・・!!』

「・・・・・やばい!!」


危機察知。
ふと嫌な予感がした。
・・・緩んだ雰囲気が一気に引き締まる。
三人は慌てて対魔法障壁を作り出す。

一瞬遅れて、館を貫く光の槍、槍、槍。
槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、
槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、
槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍、槍―――――!!!







光の槍は瞬く間に霧雨邸に破滅をもたらした。
その破壊振りや、もはや部屋の中からでも大空が見上げられる様になってしまった程。

そしてその天井越えから聞き覚えのある、聞き覚えの無い声が聞こえてくる。



『あはははははははははははははは!!
 こんにちは霧雨魔理沙!! ごきげんよう!!』



はるか上空に一点の塊が見える。
ソレを視認する事は出来ないが、ソレが何であるかは承知している。
上海人形だ。
だが、アレは上海人形じゃない。

「ちっ、どうなってんだありゃあ。」

確かに「あの」上海人形はアリス邸に閉じ込めてきた筈だ。
上海人形の力ではあの瓦礫をどけるのに一苦労。
そう思っていたのだが・・・

「(まぁ、「この」上海人形なら楽勝か・・・。)」

上空の上海人形は異常なまでの魔力を保有していた。

「・・・・呪いが強まっているのよ。」
「・・・あ?」
「あの子は呪いに蝕まれてる・・・!!」
『・・・そうか。』

魔理沙を置いて、二人で納得するアリスと蓬莱人形。

「あー? どういう事だ、あたしにもわかる様に説明しろ!!」
『つまりは属性強化さ。
 簡単に言えばマッチに火の属性の魔力を叩きこみゃすげーマッチができますねって事』
「あーー。 わかり易過ぎる説明ありがとよ。」
「あの子は陰で形成されてる呪いの塊・・・。」
「恨み辛みでパワーアップってか。 お手軽だな・・・!!」

軽口の一つでも叩いてやらないと気がすまない。
元からそれなりの魔力を保有している上海人形だったが・・・・

「(魔力量ではちょっとばかし不利だぜ・・・。)」

自分の本分を取り戻す事によりここまで強くなるとは意外だった。
コレでは大元のアリスよりも強力ではないか。
まぁ、こうして妖怪は主人からひとり立ちするのかも知れない。

『早く出て来てくれないかしら?
 貴方を殺したくてウズウズしてるのよ。 私。』

殺すという単語。
上海人形の口から零れたその言葉に、アリスは・・・・

「上海・・・・!!」
「待てアリス!!」
『落ち着け!!』
「やだ!! 離して! 上海のとこに行かせて!!」

アリスの気持ちもわかる。
今なら間に合うと思っているのだろう。
今なら叱ってやれば元に戻ってくれると思っているのだろう。
しかし、そんな事はありえない。
上海人形は既に呪いの人形として確立されてしまっている。
今の彼女はアリスを認識できるのだろうか?
果ては、アリスの存在をどう捉えるのだろうか。
そして、その結果は見えている・・・・

「ちっ!! ゆるせアリス!!」
「あっ・・・・」

至近距離から軽く魔力を当ててやる。
臨戦態勢ならば苦にもならないものでも、油断している時ならば効果は絶大。
アリスは魔理沙の気に当てられ、意識を失った。

『・・・・・』
「すまないな蓬莱。 お前の主人に・・・・。」

仕方なしとは言え、己の主人に手をあげられたのはアリスの人形である蓬莱人形にとっては面白くない事に違いない。
だが、蓬莱人形は・・・

『いや・・・これでいいのさ・・・・。
 こっちの方が都合がいい。』

と無表情に一言呟き、上空に向かう。
魔理沙は蓬莱人形の言葉を疑問に思ったが、気を取り直し慌てて追いかける。













弾幕をプレゼントしてやったのに中々反応を示さない霧雨魔理沙。
まさかさっきの一撃で死んだのか?
だとしたらあっけなさ過ぎる。

『出て来ないなら・・・・ッ!!』

死んでいようが怪我をしていようが無傷だろうが関係無い。
とりあえずはもう一回弾幕をおみまいしてやろう。
そう思い腕を振り上げ・・・・・

「せっかちだな上海。 ご主人サマに嫌われるぜ?」
『全くだな。 アリスに当たったらどうするつもりだったんだ?』

霧雨魔理沙と思いもよらないモノの声が聞こえた。

『・・・・? 蓬莱? 生きてたの。』
『ふん、生きてちゃ悪いか?』
『別に・・・構わないわ。 今の私にとっては、別に蓬莱なんていてもいなくても一緒だもの。』

そう、昔の私に負けた蓬莱。
今の私にかかれば弾幕一つでかき消す事さえ出来るに違いない。
そうだ。
昔の私より弱いコイツを構う必要など無い。

「アリスを取り戻しに来たのか?」
『ご主人様を? あぁ、そうね。 そんな事はどうでもいいわ。
 とりあえずは霧雨魔理沙。 貴方を殺しにきたわ。』

おいおい、ご主人サマのアリスの事は二の次かよ。
・・・・・いよいよもって呪いの人形だな。
魔理沙はいつでも戦闘を行なえる様に、戦闘態勢を整えた。
・・・コイツは蓬莱を不意打ちするくらいだからな。 油断は出来ない。

しかし、魔理沙の前に蓬莱人形が割って入る。

『残念だったな上海。 魔理沙を殺すならあたしが相手だ。』
『・・・・さっきの言葉を聞いてなかった?
 蓬莱なんていてもいなくても同じ・・・。
 そんなゴミが私の前に立ち塞がるの?』
『あぁ、そうさ。
 あんたには言いたい事が山ほどあるんでね!!』
『ふん、死に損ないのくせに偉そうに・・・・いいわ。
 もう一回壊してやるわ。
 その後にご主人様も殺せばもう生き返れないでしょ?』

その言葉は、そう言う意味。

「・・・・上海・・・・。」
『わかったか? 魔理沙。 コイツはもう何もわかっちゃいないのさ。
 コイツはもうただの呪いの人形。』
「・・・アリスを眠らせといて正解だったな。」
『・・・・全く持って。』




転石です。
長すぎるから途中で切っただけです。
 GO TO NEXT →
転石
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.1960簡易評価
0. コメントなし