―――ねぇ… 貴方は幼い私とお姉さんな私、どちらがお好みかしら?
幼と姉の境界。
《昨日》
「――藍。単刀直入に言うわ。あなた……ロリでペド?」
「ブゥゥーーーーーーーーー!!」
いつも通りの八雲家の団欒。
もうすぐ春だというのに、あー?んなこと知るかよ、と言わんばかりに最近めっきり寒さが増してきた今日この頃。
冬眠中でぐーすか眠りこけていた筈の一家の主、八雲 紫が…なんのきまぐれか珍しく起きてきて、
かいがいしくご飯の世話をしてくれてる便利で割烹着の良く似合う式に放った第一声が これだ。
「ななななななにをおっしゃるデスカゆかりさまッ! いったいなんおきょんこがあてそなこというのカですの?」
「………さあ?」
「アハ、アハハハハ……(スーハー、スーハー……落ち着け、私。大丈夫。大丈夫よ…どうせいつもの紫様の気まぐれに違いないんだから。決して橙によからぬ欲望を感じていることを看破された訳では無い筈。大体いつも寝てばかりのあの方にそんな乙女心の機微が分かるわきゃないのよ。うん、だいじょう…」
「あ、ついでに猫みみマニアでシスコン気味かしら」
「はは……ブブゥゥウウゥゥーーーーーーーー!!!!」
盛大に味噌汁を噴き続ける藍。最初の言葉で正面に噴霧。誤魔化すように笑い、なんとか落ち着きを取り戻し再び椀に口を付けたところで、追撃のセカンドブリットが急所にクリティカルした。当然のように再び正面に口の中のものをぶちまける。
まずい。
まずいまずいまずい!
なにがまずいって…もし、こんな本当のことを、密かに狙ってる橙に聞かれたら――長年の夢、光源氏計画が頓挫してしまう。
はっ!
橙はッ!?
まさか……
慌てて今更のように周囲確認、サーチアンドデストロイを施行。
ぎょるん!
ぎょるん!
ぎょるるるるーーーーーん!!
「……(ほっ…。よかた。ここには居ないようね。あ、そういえば橙は永遠亭のてゐとかいう兎の所に明日までお泊りしてるんだっけ。ハフゥゥーーー……よかた。本当に、本当に……よかったわ)」
じー
「……(それにしても、珍しく静かだと思ったら、いきなり何を言い出しやがるのか、この妖怪耳どし)」
じぃぃー
「!?」
いつのまにやら動揺しまくりの藍を向かいのちゃぶ台から見詰める…否、睨みつける敬愛するご主人様の味噌汁まみれのご尊顔が。
「……一度目はある程度予測できたから、傘で防げたけど、二度目は……しくじっちゃったな。うふ、うふふ。さすがね、藍?
ここまで面白い反応を返してくれるとは。本当にあなたといると退屈しないわ。ええ、本当に、本当に―――本当に」
恐っ!
魅惑的な笑顔なのに、鬼気迫るプレッシャーを受けた。
うふうふとにこやかに微笑む主人の態度がいつ豹変して「ダラァッツ!(擬音)なに晒すのかしらね? このテンコー狐さんは」食事ごとひっくり返されるちゃぶ台。「ヒィィッ! あなた、許して…!ごめんなさいごめんなさいごめんなさ(エンドレス」「やかましいわ!(擬音)黙りなさい、藍。(異常に優しい口調)いいこと? 一家の主にここまでの無礼を働いて、まさかなんのお咎めもなく済ませようだなんてご都合主義を、この私――幻想の境界、八雲紫が許していいのかしら。いや、許されるわけが無いよね?そうでしょう、藍」「うはぁ、反語ですか!? 落ち着いて落ち着いて! ブレイクブレイク……ごめんなさいゆるしてくださいゆかりさま」「……逆さ剥き、下半身テンコー禁止一週間の刑」「ええぇぇーーー!? そんな殺生なッお願いです、それだけは勘弁してくださいぃぃ」
もわもわもわ
妄想おわり。
「――そんな殺生なッお願いです、それだけは勘弁してくださいぃぃ」
「……? なに言ってるのよ、藍。少しは落ち着きなさいな」
「ああん、やめて…! 上だけスッパは勘弁し……え? お、怒ってないんですか!? 紫様」
「……あなたが普段どういう目で、わたしを見ているかがよく分かったわ。まあ、それは置いといて」
「(んげ。墓穴!?うう……テンコー! テンコーしたいわぁ…爽快なテンコーだけが私を癒してくれるのよ……)」
「実は……マヨヒガいちのロリペドシスミミ萌え式たるあなたに、相談したいことがあるのよ。いいかしら? 藍」
「は、はいいっつ! こんな私でよろしければいくらでも語ってください! 己の萌えをッ」
「いや、違うから。それはどこぞの冥土長と存分に夜通し語り合って頂戴。私は霊夢ぐらいが好みだから」
「――残念です……て、なに私が変態なの大前提に話し進めてるんですかー!?」
「? 違うの?」
「ち・が・い・ま・す!私はノーマルですッ完全に瀟洒にあなたにお仕えする忠実なる式です!!(ごめん、橙。今は心にも無いことを…)」
「まあいいわ、どっちでも」
「(いいの!?)」
「話が逸れたわね。実はね、藍。あなたに折りいって頼みたいことがあるのよ」
「ブツブツ(紫様にとって私って一体……)」
「……聞け」
すぱーーん
普段の優雅な扇を使うと痛むので、幽々子に貰った丈夫な鉄扇で藍の頭を強打する紫。
「ぶべらっ」
「……頼みというのはね、私の年齢・身体的特徴の線引きに関する境界のことなの。わたしの崇拝者が増えるにつれて、巷ではおば…とか失礼なことを抜かす輩が幻想人口の全体数に比例するかのように浸透してきて……これじゃあいけないと思うわけです」
「(あたたたた……)でも紫様かなり長生きだし、別に間違ったこと言ってないんじゃ……あ、嘘ですッ戯言ですッ、だからスキマ送りは勘弁してー」
「……茶々いれないの。まだまだ子供ね、監は。そんなんだから橙にあと一歩という所で警戒されるのよ」
「ははぁ、そうだったのですか……う、何気にバレバレ?」
「……ここでいちいち突っ込み入れてたら話が本当に進まないから、聞かなかったことにしてあげる。
でね、監。あなたのように小さな少女にしか興味を示さない変態狐の意見が聞きたいの。
私の外見はある程度自由に境界を操作して、幼女からお姉さんきゃらまで変更可能。
それで聞きたいのはどちらの姿が…」
「幼女」
「……ふふ、あなたに聞いた私が馬鹿だったわね…。うん、矢張りこの路線がベスト…とはいかないまでも、ベターなのかな」
「当然」
「う、完全に目が据わってるわよ? 監。では、どういう服装が…」
「猫みみチャイナ」
「……そ、それは余りにも露骨過ぎない? もう少し気品とか…」
「冥土服犬みみ」
「例の完全で瀟洒なメイドと被っちゃうじゃない…他に」
「下半身スッパ…」
めしゃっつ
「(カハッ)……ここは、オーソドックスに黒いゴスロリなどは如何でしょう」
「う~ん。それじゃあ普段とあまり変わらな…」
だん!!
ちゃぶ台を右足で勢い良く踏みしだく天弧。
瞳にメラメラと間違いつくした情熱のほのおが宿る。
そのままビシッと己の主人を指差して、ジオン公国の指導者の如き熱弁を振るう。
「いいですか! 紫様。あなたは普段からそういう少女らしい格好をしていながら、おば…ゲフンゲフンと呼ばれることがある!
服装が可愛い、金髪が美しい、魅惑的な笑顔が素晴しい、胸も大きそう、などなど…
それだけのアドバンテージを持ちながら、心無い一部のアースノイドどもは侮辱的な暴言ネタを吐く!
常識的に考えて、そんなことはありえないのにだッ! そうだろう諸君? そうともさ、我が同胞たちよ!
そこで、わたしは無い知恵を絞り……千の夜、万の月の満ち欠け、億の星の瞬きを見守りながら考え、ついに悟った!!
『ゆかりんはおば…足が…』
そう言われることの――真の理由、諸悪の根源。
それは―――何か!!
はっ…
分かってしまえば、なんてことは無かったのだよ……同志諸君。
今からそれを証明してあげようじゃないか。
愚昧なるアースノイドに。
わたしはここに宣言しよう!
妖怪・人類すべてに提言しよう!
八雲 紫に必要な萌えとは…
即ち
ロリだと言う事をッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
立てよ、郷民!
幻想郷を八雲 紫の幼女萌えで覆いつくすのだッ!
さあ
恥ずかしがることは無い。
全員心を一丸と為し、こころの底の、奥深くから突き上げる衝動と共に解放し、こう叫ぶのだ。
ジーク ゆあきん!
ジーク ゆあきん!
ジーク ゆあきん!
ジィィク ゆぁぁきぃぃ……」
ごすっ
「………お、落ち着きなさいな…。(ここまで進行しているとは…恐しい弧、八雲 藍)」
さすがに自分の名を萌え仕様にして連呼され、頬をうっすらと染めて恥らう紫。
拳を振り上げたまま気絶している監を、なにか別のイキモノを見るような目で見やる。
「ん……でも、監があそこまで狂うほど…私の幼女姿ってそんなにいいものなのかしら…?
ちょっと試しにやってみようかな……?」
まんまとロリペド橙燃え天狐に引き摺られ、その気になってしまった八雲 紫。
その翌日、幼女化したゆあきんを巡り、幻想郷で壮絶な争奪戦が繰り広げられることになろうとは、
――この時、誰も予測していなかった。
ちゃーー、ちゃーちゃー、ちゃーちゃー、ちゃーちゃー(猪○のテーマ)
しかし天狐様だけに聞いて判断かますとは残念無念。
妖夢あたりに聞けばお姉さま属性がいかに素晴らしいかを熱く語ってくれそうな所ですg(ぼーふーしんせんざーん!!
幼くてもお姉さんでもかわいいよゆあきん
続きを、続きをプリィィィィィッズ!
私も参戦したいくらいd(隙間が見えないくらいに敷き詰められた弾幕)
誤字発見
「藍」が「監」になってしまっている所が四カ所ありました。