Coolier - 新生・東方創想話

人妖の境界

2005/02/26 12:01:03
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藍は抜き身の小太刀を持ってソレを見下ろしていた。

「た…助けてくれ…」

そうつぶやくのは一人の男。
見慣れない服装からして、結界の外の住人のようだ。
既にこの付近をさ迷い歩いたのだろう。
男の服はあちこちがくたびれており、全身に擦り傷を作っていた。

「た、たすけてくれたら、いいいくらでも……」

震える声で哀願する男。
世間ではいい大人と言われる歳に見えるが、今は取り乱し命乞いするばかりだった。

「………」

藍は何も答えない。
能面のような無表情で男との距離を詰めていく。

「ひっ!う、うわああああ」

腰が抜けているのだろう。
男は這ったまま逃げようとする。

「………」

それでも藍は何も言わない。
見苦しさ故ではない。
誰だって未知の恐怖と命の危機に見舞われれば錯乱する。
当然のことだ。
それを責めるつもりなど全く無い。

「だっ誰か……」
「……諦めろ……」

藍が小太刀を振り下ろし男の意識を絶つ。
殺したわけではない。
それはこれからだ。

「お前は何も悪くない…しいて言えば運が悪かったが、それとてお前のせいではない……」


藍は男を抱え上げると主の待つ家へと向かった……



*   *   *



マヨヒガには既に蝉の鳴き声も無くなって久しい。
秋が深まり、紅葉が見頃を迎える季節。

「ふう…」
「どしたんですか藍様?さっきから元気ないみたい」

洗濯物を干しつつため息をつく藍に橙が声をかける。

「そうかな?」
「そうですよぉ。ため息ばっかりついて」
「ああ、そうかもな。少し疲れているのかもしれない」
「やっぱり…お体平気ですか?どこか苦しくないですか?」

とたんに心配そうに詰め寄る橙。
内心、藍は舌打ちする

「(しまった)ああ橙、そんなに心配しないで、大丈夫だから…ほら泣かないで」
「で、でも藍様最近すごく忙しそうですし……」
「大丈夫だから…ね?」
「……はい」

橙はまったく納得してないようではあるが、それでもしぶしぶ引き下がった。

(そんなに心配させるような顔してたのか…?)

橙は日頃から藍を気づかっているが、今日は普通ではなかった。

(してたのだろうな…)

実は思い当たることがあるため、橙へのフォローは説得力を欠いた。
藍は自分の未熟を責める。

「橙。今日のお昼は適当に済ませてくれないか?」
「……またお仕事ですか?」
「いや、どうも疲れているようだから、休むことにする。頼めるか?」
「あ、はい!!」

とたんに元気になる橙。
こういうときは自分を労わって見せたほうが効果的なことを藍は経験から知っていた。

「じゃあ洗濯終わったら休むから。夕飯の仕度までには起きるつもりだが、寝過ごしたら起こしてくれ」
「はい!藍様」
「幸い、急ぎの仕事もないからな……」

そう、急ぐことは無い。
どのみち橙が起きてるうちにはやれるはずが無いのだから……



*   *   *



八雲藍は『神隠しの主犯』こと八雲紫の式である。
彼女は普段寝てばかりの主に代わって家の一切を賄っており、さらには幻想郷と現世の境界『博麗大結界』の見回りもやっている。
しかし現在は結界の巡回をすることは無い。
この時期、彼女は冬眠を迎える主の食料を集める使命があった。
妖怪の食料、それは一部の例外を除いて人間である。

(とっくに割り切ったつもりだったのだがな…)

その一部に該当する妖怪が藍だった。
藍は生粋の妖怪ではなく狐の化生である。
また長らく人の中で暮らしていたこともあり、人間を食料とはみなしていなかった。

(いや、既にその答えは得たはずだ。なら、私が迷うとしたら……)

生きていく上で殺めなくてはならない命など無数にある。
ましてや一番大切な者の為なら何をためらうのか。

(迷うとしたらそれは……)

おそらく橙のことだろう。
その頭を撫でた手で命を奪ってきた。
実際に殺しているわけではないが、見殺しなら同じだろう。
その事実が、藍の心を重くする。

(まさか永遠に隠し通せるわけも無い。いつかは橙も私のしていることに気付くだろう…)

そうなったときどうなるのか、藍には検討もつかない。
誰かにとって優しい者でも、別人に対してはいくらでも冷酷になれる。
真理ではある、しかしそれを橙に教えたいとは微塵も思わなかった。

(こんな時間もいつか……)
「藍様ーお時間ですよ」
「ああ、今行くよ」

橙の声に反射で答えてから意味を理解する。
どうやら夕刻らしい。

「起きてたんですか?」
「ああ、でもずいぶんと楽になったよ。ありがとう橙」

橙の頭を撫でながら夕餉の支度に向かう藍

(こんな時もいつかは終わる。でもせめて今くらいは……)



*   *   *



深夜、橙が寝たのを確認して藍は家を出る。
紫は起きてこない。
冬が近づくと、紫は覚醒している時間が少しずつ短くなる。
今は二日に一度は起き出すが、徐々に三日・四日と睡眠間隔が長くなり、じきに冬眠に入る。
そうなる前に備えを蓄えなければならない。
ちなみに藍と橙の分は別に人間である必要は無いので、隙間を漁ればいくらでも確保出来た。

「さてと、何処からだったかな…」

紫が空けた結界の隙間の場所は既に教わっている。
藍がすることは、そこに人間がいるかどうか確かめるのみである。
紫なら特定の場所を選んでピンポイントに捕獲することも出来る。
にも関わらずそうしないのは、自分が満足するまで人間を食べては幻想郷の人妖のバランスが崩れるからだ。
あくまでも結界の外から、運によって捕獲量を決めている。
そのため何時かは必要量が揃わない時が来るかもしれない。
しかし幸いなことに、冬を越すだけならそれほど大量には人を食べる必要の無い紫だった。

(今年は多いな。これだけ集れば、越冬だけなら困るまい)

毎年蓋を空けねば分からないため、藍はこの時期は気を使うのである。

(後は、出来るだけいない方がいいのだがな…)

あくまでも橙のためであるが、運の良し悪しだけで死ぬことになる者への憐憫もあった。
それでも巡回中に人を見かければ、逃がさない。
橙のことがあっても、それとは別に紫にだけは誠実でありたい藍だった。
しかしそろそろ、今宵の範囲は終了する。

「今夜は何事もなさそうだな…」

思わず安堵する藍。
しかしそれは大いなる油断だった。

「キャアーーー!!!」

絹を裂いたような悲鳴が当たりに響く。
藍は露骨に顔を歪めて舌打ちする。

「なんだってこんな時間に出歩くんだ!?」

急いで駆けつける藍。
助けるためではない、捕らえるためだ。
既に妖怪の時間である。
こんな時間にここにいるほうが悪いのだ。

(あれか!?)

悲鳴を頼りに辿り着いた藍が見たのは、十にも満たない少女と襲い掛かる一匹の妖怪だった。
走りながらも苦無を三つ投擲する。
藍から放たれた苦無は過たずに妖怪の顔をかすめる。
食事を邪魔された妖怪が藍に振り向き、驚愕する。
妖気の桁が違う。
それだけで十分だった。
藍がいることさえ教えてやれば、たいていの妖怪は逃げてくれる。
少女は服装からして近隣の村の住人のようだ。

「え?」

助かった少女は、今だに事態が把握出来ずに呆けている。
それでも自分が助けられたことは分かったのだろう、おずおずと藍に礼を述べる。

「礼などいらん。それよりなぜこんな時間にここにいる?」

ややつっけんどんになってしまったが、気の重い仕事を増やしたこの少女に好意的である理由はなかった。

「ええと…お母さん病気で、お医者さん…」
「なるほど、話は分かった。しかし妖怪にはそんな事情を酌む義理は無いな…少し寝てろ……」

藍の手刀が少女の首に吸い込まれ、その意識を絶つ。

「まったく、いかな事情があろうと、こんな時間に出歩くなんて喰ってくれといってるようなものだ…」

そういってため息をつく藍。
本当に面倒なことを起こしてくれた。

(小さな疫病神め……)
「そうは思わないか?なあ、霊夢」
「ええ、あんたの言う通りね」

少女の悲鳴は妖怪だけでなく、博麗の巫女をも呼び寄せていた……



*   *   *



人間と妖怪が、月明かりの下に対峙する。
今宵の月は激しい狂気をになう紅い月ではない。
静謐な狂気をたたえた蒼い月……

「こんばんは霊夢。今夜はいい月だな」
「ええ、ほんとにいい月だわ。あんたみたいな物騒なのが出歩くくらい」
「物騒なのはお互い様だろう。どれだけの妖怪を払ったんだ?あと返り血くらい拭っておけ」
「あら失礼、さあ…いちいち覚えてないわね」

殺伐とした会話をしながら、二人は笑みさえ浮かべて向かい合う。
初めて会ったわけではない。
日頃の結界の見回りの中で会うこともある二人だった。
そのときは挨拶などもする。
しかし今は和やかさなどかけらも存在しなかった。

「あんたが人攫いなんて珍しいじゃない。紫の御飯なわけ?」
「ああ……」
「今年はどれだけ集めたの?」
「さあ、いちいち覚えていられない」

二人は徐々に殺気を帯びる……

「だけどそうだな……『この子一人で、紫様の冬支度が終わる』というのはどうだ?」
「だめね。私は人間で、博麗の巫女。あんたは妖怪で、八雲の式。そういう風に出会ったんだから」
「初めに妖怪のテリトリーを侵したのはこの少女だ。それでも私が殺されるのか?」
「そうよ……運が無かったわね」
「運か…」

藍の顔が自笑に歪む。
不条理だと思う。
しかし自分もまた、それを他人に押し付けてきたのだ。

「どうする?」
「結界が近すぎるわ…お互いに術はなし、得物と体術のみでどう?」
「あら?多少は嗜みがあってよ?」
「私が苦手だとでも思うわけ?」

妖艶に微笑む藍の口調が昔に戻る。
それは八雲紫の式ではなく、かつて三国に渡って妖威をなした天孤のモノだった。

「……成仏させてやるわ、九尾の天孤」
「身の程を教えてやるよ、博麗の巫女」

幻想郷における原初の戦い、人妖の『生存競争』が静かに幕を開けた……



*   *   *



二人の少女がにらみ合う。
霊夢の右手にはお払い棒。
対する藍は左腰に納めた小太刀。
得物は両者共1尺9寸ほどだが、リーチは背のある藍が上。

「はっ!」
「!」

最初に動いたのは藍。
一足跳びで霊夢の間合いを侵しての居合抜き。
霊夢は半歩退いてそれをかわす。

(次は…鞘!)

その読みは的中し、藍は右で小太刀を振りぬくとそのまま左の逆手に持った鞘で薙ぎ払う。
霊夢は鞘を潜って回避すると同時に藍へと肉薄する。

(獲った……!?)

刹那、霊夢の頭上で尋常ではない殺気が閃く!
藍は鞘を潜られた瞬間、左手の肘を支点に手首を内に返すことにより、横薙ぎを打ち下ろしに化けさせた。

「ちっ!」

既に退けない霊夢は本能の警告を無視し、神速で鞘の間合いの内側に滑り込む。
藍の鞘は霊夢に触れることなく空を切る。
お互いに距離が無い。
霊夢は自分の主導で間合いを空けようと零距離から体当たりをかける。

「ふ!」

そのタイミングは藍が洞察する所だった。
藍はその場から一歩も退かず、右半身を引いてそのまま回転し、衝撃を受け流しつつ遠心力を利用した右肘を叩き込む!
まともに喰らえば即死確定の一撃を、霊夢は自分の肘で迎え撃つ。

―――ゴッ!!

骨と骨が激突する嫌な音が響く。
霊夢は激突の衝撃を利用し距離をとる

―――仕切りなおし……

霊夢は顔を歪めて肘をさすり、藍は小太刀を納めて腰に戻す。
両者が動いた時間は一分に満たない。
しかし二人の額には汗が滲み、その肩も既に大きく上下していた。

「…………」
「…………」

お互いに言葉は無い。
喋っている暇など無い。
すぐにでも息を整えなくては、次の瞬間に『殺される』
しかし二人の思いは同じだった。

《強い…》

霊夢のお払い棒は御神木から切り出した、対妖怪特効の概念武装。
藍の小太刀は紫の隙間に漂っていた業物を、自分の血で研いだ妖刀。
双方、まともに決まれば一撃で決着をつける威力があった。
しかし……

(まずいわね……)

霊夢は先ほどの太刀合わせによって彼我の戦力差を推し量る。
攻防共に、藍の技量に紙一重届かない。

(だけど…)

霊夢は藍の戦い方を知っている。
かつて月の異変を解決する際、二人は組んだ経験があった。
そのとき霊夢は遠距離担当だったため、藍は霊夢の近接戦闘は初見である。

(ならば!)
「!?」

今度は霊夢が先に動く…いや、消える。

『幻想空想穴』

霊夢の切り札の一つであり、霊術ではなく体術の内である。
藍の間合いに入ると霊夢は棒を振り下ろす。
抜刀している暇はない。
藍は身体を捻って自然体から半身にしようとした。
しかしその瞬間、霊夢は切っ先の軌道を変えて藍の体の軸に向けて突きかかる!

「クッ!」

藍は攻撃と回避を同時に行う手段に円運動を多用する。
ならばその軸に対して攻撃すれば、当たらぬまでも体勢を崩せる。
霊夢の思惑どおり、藍は仰け反って回避しそのまま後ろに倒れ込む。

「え……」

しかしそこから先は霊夢の予想を越えていた。
藍は倒れ込みつつ左手で霊夢の左袖を掴むと、一緒に引き込んだ。
前のめりに引き倒される霊夢。
そのまま藍は霊夢の背中に右手を添えると体制を入れ替える。
いつの間にか、倒れ込んでいたのは霊夢の方が先だった。
霊夢が地面に着くと同時に、藍は右手から体重を落とす。

霊夢の身体が海老のように仰け反り、この瞬間に決着が着いた……



*   *   *



「もう動けるのか?」
「なんとか……」
「無理しないほうがいいぞ。肋骨は何本か逝っただろ?」
「……」

きれいに折られているため、痛みはあまり無かった。
むしろ肘の方がよほど痛む。
致命傷ではない。が、既に戦闘不能だった。

「何で殺さないわけ?」
「……あの娘には逃げられたな」
「?」

あたりを見回す霊夢だが、既にあの少女の姿は無い。
二人が対峙している間に目を覚まして逃げ出したらしい。
その判断だけは正しかった。

「私たちが争う理由も、これで無くなった。なら、こんな所で命をかける必要も無いだろう?」

二人はあの少女の処遇をめぐって、人間と妖怪として対立したのだから。
しかし霊夢には気なることがあった

「でもいいの?紫に必要なんでしょ?」
「まぁ、あんまり良くないけど、冬支度は大体終わってるしな」
「は?」
「だから、既に冬を越せるだけの人間は集っていると言ったんだ。」
「な…」

あまりといえばあまりの言葉に絶句する霊夢。
割とレアな光景ではある。

「ならどうして、こんなことになったわけ?」
「さあな、いい月夜だからじゃないか?」

はぐらかす藍を見て霊夢は苦い顔で得心がいく。
初めから自分との戦闘を利用し少女を逃がすつもりだった。
博麗の巫女が邪魔をしたというなら、紫にも面目が立つだろう。

「さて、そろそろ帰ろう。動けるか?送ってやるから掴まれ、霊夢」
「……はぁ。なんか怪我し損ね、私……」
「そうか?わりと楽しいひと時だったじゃないか」
「ぜんぜん楽しくなんかないわよ…」

憂鬱につぶやく霊夢とは対照的に、藍の方は楽しげであった。



*   *   *



霊夢を神社に送り届けると、藍はやや急いで家へと向かう。

(あの少女はどうなっただろう)

それはもはや藍の預かり知らぬことである。
無事に家に着いたか、それとも別の妖怪に食われたか。

(しかしあの子は運が良かった。あのままなら私が確実に殺していたのだから)

藍は先日捕らえた男のことを思う。
死にたくなどなかっただろう。
だがそれは叶わなかった。
いったい少女と男はなにが違ったというのか

(運…か)

人間が妖怪と遭遇したのだから、それは不運だろう。
しかし人間と妖怪はなにが違うというのか?
藍は霊夢や紫ほどハッキリした境界を持っていないが故に迷うのだ。

(私はなんなのだろう…)

少なくとも、藍は妖怪として紫に会えたことを幸運と思う。
そして橙に会えたことも……

(なら、二人にとって私は……)

藍は奇妙に自信を無くしていた……

「ただいま……」

藍は物音を立てずに玄関を潜る。
まだ丑三つ時。
紫も橙も眠っているはずである。
だから、居間において紫が橙を膝枕して待っていた時、藍は意外さを禁じえなかった。

「紫様…」
「お帰りなさい、藍。遅かったわね」

今にも眠そうな声と表情で紫が出迎える

「ええと…どうなさったのです?」
「それは私が起きてること?それともこの状況?」
「…両方お願いします…」

紫は眠たげに目を細めながらも、橙の髪を優しく撫でる。

「橙に起こされたのよ…この子ったら『藍様がいない、藍様がいない』って」
「………」
「そのまま飛び出して探しに行こうとしたのを、私が止めて待ってたのよ。帰ってきたらすぐに起こすと約束してね」

「慕われてるわね」と微笑む紫

「そうでしたか…申し訳ありません、お休みのところを。後でよく言って聞かせますので……」
「そうじゃないでしょ?」

紫の顔が初めて曇る。
それまでは眠たげであっても、機嫌が良かった。
眠っているところを邪魔されたというのに。

「橙は貴女を心配してるのよ。それのなにを咎めるの?」
「しかし……」
「藍、私たちはなんなの?」

藍はその言葉に、唖然として紫を見返す。
殴られたような衝撃だった。
忘れたくないこと、そして忘れてはいけなかったこと……

「家族……です」
「そうよ」

何時の間にか、藍の視界が滲んでいた。
近すぎて見えなくなっていたこと……
藍は、二人の家族。
その事実以上に貴重な存在意義など、藍は知らない。
人間と妖怪の境界など、この絆に比べれば取るに足らない悩みだった。

「なら、貴女がすることは他にあるでしょう?」
「……橙に、謝らないといけませんね。そして紫様にも」
「ええ、そうね…」

紫があくびをかみ殺しながら答える。
そろそろ限界が近いらしい。

「紫様…」
「ん…」
「これからもよろしくお願いします。離さないで、傍にいてくださいね……」
「…ん…こちらこそ……よろしくね……」

紫は既にうつむいて、その瞳を閉ざしている。
既にこの会話は覚えてないかもしれない。
それでも藍に大切なモノ、『自分は何者か』を思い出させてくれた。

(さて、紫様と橙を運んで…もう寝ている時間は無いな。昼間休んでおいて本当に良かった)

二人を床に運びながら、藍はつぶやく。

「家族…か……」

自然と、藍の顔がほころぶ。
何時かは離れる時が来るかもしれない。
しかしこのとき、確かに藍は幸せだった。






二度目まして、おやつです。
最萌の藍様支援…だった何かです……
前作よりも前に出来てたんですけど、結局手直しが間に合いませんでした……
藍様負けちゃったしなぁ。
私も水道水組一歩手前状態です。
このまま消すのも…と思ったので、せっかくなのでこちらに上げさせていただこうと思います。
楽しんでいただければ幸いです。



おやつ
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コメント



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53.90東京狼削除
 汝我を忘れしか、子までなせし仲ならん、来つ寝
70.100名前が無い程度の能力削除
いい・・・

なんでコメントが少ないんだろう?

便りがないのはいいこと、みたいな?