かちゃかちゃもぐもぐかちゃもぐもぐ。
「チルノはホントにアレよね~。」
「・・・・・」
白い、氷と雪で建造された屋敷の一部屋。
そこであたしはごはんを食べていたもぐもぐ。
「まさか氷精が・・・・ふふふ・・・・」
「・・・・・」
おなかが減っているのでもぐもぐたべるのだ。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ。
「いや、お間抜けにしても程があるというか・・・・」
「・・・・・」
もーぐもぐもーぐもぐもーぐもぐもーぐもぐ。
「普通はありえないわよねー。」
「・・・・・」
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐーーー
「・・・・・ホントチルノはお馬鹿ねぇ・・・・。」
もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ・・・・・
・・・・・・・・もぐもぐ・・・・・?
・・・・・・もぐ!!
「!? あたしを馬鹿っていうなーーーーー!!」
白き屋敷にあたしの怒声が響いた。
≪馬鹿っていうな≫
飛び散る怒声に飛び散るごはん。
あたしは茶碗を握り潰しそうな勢いで面を上げた。
いやまぁそんな手の力は持ちあわせていないが。
気分の問題。
大体「そうな」っていってるし。
「馬鹿っていうなーーーー!!」
視線の先には雪ダルマ・・・・じゃなくて。
視線の先にはのほほんとしたレティがいる。
流石に口にだしかねる単語だ。
昔言ったら殺されかけた。
あぁまったくもって恐ろしい。
第三回最萌トーナメントであたしとレティが当たったら迷わずあたしに入れるよーに。
「あら? お腹が減って死にそうだったのを助けたのは誰だったかしら?
命の恩人に対して随分な言い様なのね。」
「うっ・・・・・」
ぐっ、と言葉に詰まるあたし。
これは脅迫というやつではなかろうか。 いやそうに違いない。
確かにおなかがへってはいたが、それはレティが
「一緒にお食事でもいかがかしら。 いやん恥ずかしいん♪」
とか言ったから仕方なしにこうしてごはんを食べてるというのに・・・そういう事いうのかーー!!
こうなったら
「べらんめい! こんなメシなんざ食えるかバーローめい!!」
とか言ってやるーー!!
ちゃぶ台返ししてやるーー!!
「こんなごはんなんか・・・・・」
「え? なに? いらないの?」
「!! ううん! 食べる!! おいしい!!」
一瞬にして折れるあたし。
くっ!!
恐ろしきはレティの策略か!!
なんという事!
っていうかずるい!!
こちらが強気になれないのを見越してじわじわとなぶり殺しにしてくれるわーーって事なのか!! そーなのかー!!
くっ! こっちを見てニコニコしちゃって!!
きっと
「くくく・・・・これだからチルノをからかうのはやめられんのう」
とか思ってるんだ!!
ああ!!
なんて可哀想なあたし!!
あぁ、なんでこんな事になったのかしらーー!!
・
・
・
・
そこのアンタに教えてあげるわ!! どうしてこんな事になったのか!!
耳かっぽじって聞きなさい!!
・・・・・・・
アンタよアンタ!!
モニター前のアンタ!!
本来なら徹夜で整理券をゲットしても聞く事が出来ないという幻のサークル・・・
じゃなくて独白を今なら大サービスで聞かせてあげる!!
準備はいい!?
お菓子は用意した?
ジュースは?
トイレ行った?
それでは可憐なチルノの悲しい悲しいお話を聞かせてあげるわ!!
・・・・あ、用意したお菓子あたしにもちょうだい。(ぼりぼり)
つい先日の話だ。
あたしことチルノは湖の女王。
みずうみおぶくいーんだ。
確かおぶは「の」って意味だ。 流石、あたしはあたまがいい。
そんなあたしはつい先日、カエルを凍らせて遊んでいたのだ。
いつもの事だ。
カエルは湖に住んでいる。
だからあたしのモノだ。
だから何したって自由なのだ。
と言う訳で凍らせて遊んでいた。
なんでカエルかって?
さぁ、なんとなく。
水でも陸でも平気なのが魚より凄くてなんかムカついたからかも。
まぁとにかく遊んでいたのだ。
その日もあたしはいつものようにカエルを追い詰めていた。
カエルの周りをコの字に凍らせてやる。
すると一方向にカエルは逃げる。
それを繰り返すとそのうちカエルは陸に逃げる。
そこでびしーっと凍らすのだ。
いい? びしーっ! っと凍らす。
ここ、ここの腕の振りが大事。
こう、手を顔の横に持ってきて・・・・・びしーっ!って振り抜くの。
はい、せーの・・・びしーっ! びしーっ!
そうそう。
びしーっ! びしーっ!
うまいうまい。
びしーっ!
びしーっ!
びしーっ!
びしーっ!
びしーっ!
びしーっ!
・・・・・はっ! 気がついたらびしー講座をしてた!
でね・・・・・
・
・
・
・
あれ? 何の話だっけ?
・
・
・
・
え? カエルを凍らせる話?
・
・
・
・
あ、あーーーあーーーあーーー!
そ、そうよ! 忘れてた訳じゃないわ!
ただ・・・そう! 忘れてたのよ!!
・
・
・
・
あれ?
ま、まぁいいわ!
とにかくカエルを凍らせてたの!
びしーっと。
でね、その日もカモを見つけて追い込んでいったの!!
逃げるカエル!!
追いかけるあたし!!
でも!!
その日のそのカエルは・・・・とんでも無い事をしでかしたのよ!!
・・・・そのカエルは・・・・陸に着いた瞬間・・・アイツはあたしを挑発したの!
「へん、馬鹿めが。 俺がこうするとは・・・・・思わなかっただろう!!」
・・・・って湖に戻ったの!!
え? なんでカエルの言葉がわかるかって?
そんなのてきとーよてきとー。
ただアイツはこっちを見て、目をパチクリしてたのよ!
あれは挑発のポーズだったわ!!
・
・
・
・
あ! もしかしたら口、ニヤリって笑ってたかも知れない!!
ってゆか笑ってた! 間違いない!!
・
・
・
・
ううん! てゆーか実際声に出して言ってた!!
まぁちがいない!!
・
・
・
・
え? カエルが言葉を喋れる訳が無い? 元からそういう風に出来てない?
・
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・
・
そ・・・・そんな事知ってるわよ!!
今のはアンタを試しただけ!!
ふふん、あたしの話を聞く権利は持ってそうね!!
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・
・
なに? 話が脱線しすぎで進まない?
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・
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・
・
・
・
・
ダッセンって何?
あ! わかった! こう・・・・ダッセェエーーーーン!! とかいって声だしながら暴れるやつ!!
・
・
・
・
え? それはどっせい?
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・
・
・
そんくらい知ってたわよ!?
大体なによ!
訳わかんない言葉つかって!! 冷凍するわよ!!
・
・
・
・
ふん! それでいいのよ! 黙って聞いてなさい!
・・・で!
カエルがあたしを挑発して湖に戻ったの!!
このやろー! 馬鹿にしやがってーーー!!
って思ってね! 湖の中を追いかけてやったの!!
「ふん! 水も陸も平気なのはアンタだけじゃない!! 某MSも、あたしだって平気なのよーー!!」
ってね!!
でね!!
腰ぐらいまで水に入ったその時!!
いきなりカエルがこっちに戻ってきたの!!
「ふん! 観念したか!!」
そう思ったわ!!
カエルは
「すまねえ・・・・俺が悪かったよ・・・さぁ・・・是非冷凍にしてくんな・・・・」
って言って白旗を振ったわ。 こうぴらぴらー・・・って。
・
・
・
・
・・・・振ったの!! 喋ったの!!
白い旗振ったったら振ったの!! 喋ったの!!
・・・で!!
そのあとよ!!
恐ろしい事が起こったのは!!
「・・・チルノ・・・どうしたの? さっきからボーーッとして・・・」
「え? いや・・・・・まぁなんていうか無我の夢中に達してたのよ。」
「無我の境地?」
「そうそれ。」
「はぁ・・・要は考え事してたって事? どうでもいいけど御飯あったまるわよ。 あったまらないうちに食べたら?
おなかぺこぺこなんでしょ?」
「あ・・・・うん。」
・・・・と。
もぐもぐ・・・・つまりは・・・・もぐもぐ・・・・・
もぐもぐ・・・・え~~と・・・・もぐもぐ・・・・・
もぐもぐ・・・・・・・・・・・・もぐもぐ・・・・・
もぐもぐ・・・・・・・・・・・・もぐもぐ・・・・・
もぐもぐ・・・・・・・・・・・・もぐもぐ・・・・・
もぐもぐ・・・・忘れた・・・・・もぐもぐ・・・・・
もぐもぐ・・・とりあえず・・・・もぐもぐ・・・・・
もぐもぐ・・・ごはんの・・・・・もぐもぐ・・・・・
もぐもぐ・・・あとで話す・・・・もぐもぐ・・・・・
「・・・・ごちそーさま。」
「はい、お粗末じゃないけどお粗末さまでした。」
「ふいーー生き返ったーーー。」
「いや、まぁ・・・・よく食べたわねー。」
「うむ、レティよ。 わらわはまんぞくじゃーおもてをあげーーい。」
「もうあげてるけど・・・・。」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「さがれーーーーい。」
「・・・・・・・」
「さーがーれーーーーーい」
「・・・・まぁ、いいけど。 とりあえず私食器洗ってくるわ。」
「うーーむうむうむ。 それではわしは今から無我の夢中に達するーー。 邪魔するでないぞよーー?」
「・・・・・了解しましたーーーぁ。」
・・・・・・で。
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・
あーーちょっと待った! 今思い出す!!
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わすれた。
・・・・・今回はあんたに華を持たせてやるわ!
さぁ教えて!
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あ、そうそう! ホントは覚えてたんだけど!!
で!
降伏したカエルが近くに来て!
「チルノ女王・・・貴女に凍らせて頂けるとは・・・このカエル。 なんと幸せな事か!!」
っていうのよ!
「ふっ、くるしゅうない、面を上げよ。」
って言おうとしたその瞬間!!
「馬鹿め!! ひっかりおったな!!」
・・・襲い来るカエル!!
・・・・・あたしは瞬時に反応したわ!!
閃光のような右ストレート!
っていうか→P!
なんであたしはすいむそうに出てないのよー!
・・・しかしカエルは
「甘い!! 風船バーーリア♪」
とか言いながら膨らんで私の攻撃をガード!!
ええいキサマは麦わら船長か!?
「くくく・・・今度はこちらの番だな!! 喰らえ!! カエルびーーーーーむっ(はぁと)」
高出力のビーム攻撃!!
恐らく黒い奴のマスターなんとかよりも強い攻撃!!
あたしは避けた!!
「なにい!! まさか!! ・・・あたれ!! ・・・あたれぇ!!」
たくさんのビーム!!
あたしは避ける!
気合(アチョ)避け! チョン避け! カエル酒!
「まさか・・・・キサマは連邦の・・・・」
「気付くのが遅かったようね!! そう! 連邦のアイツとは私の事よーー!!」
絶望したカエルの顔面に振り下ろされる打ち下ろしの右!!
っていうか↓↓P!
なんであたしはすいむそうに出てないのよー!
「ぐはっ・・・・燃え尽きた・・・・ゼ・・・・」
・
・
・
・
勝った。
強く、そして果敢な敵だった・・・・・。
「お前の・・・・名は・・・・?」
あたしは優しく語りかけた・・・・・。
「キング・・・・アーサー・・・・・(がくっ)」
・・・・・息絶えたか・・・・。
あたしは空を見上げた・・・・。
綺麗な青い空・・・・・。
そして
「勝ったぜ!! 見てるか!! とうちゃーーーーーん!!」
「こら、チルノ。 嘘ついちゃ駄目でしょ。」
「はっ!! レティ!! いつの間に!? っていうかなんで考えてる事わかったの!?」
「隣の部屋での食器洗いが終わってからずっと居るわよ。
てゆーか最初から聞いてたし。」
「うそっ!? レティは読心術の使い手!! なにぃあの技はー! 知っているのか以下略ーー!!」
「いやいや、全部口に出して言ってるから。
っていうか暴れてたから。 カエル側とチルノ側にわかれて。」
「くっ・・・・・」
「大体、チルノはカエルを追いかけて湖に突入。
戻ってきたカエルに飛びつかれてびっくりしてついつい放冷。
周りの水が一瞬にして氷になっちゃって脱出不可能。」
「うぅ・・・・」
「そのまま餓死寸前の所をたまたま私が見つけたんじゃない。
発見時には「お願い~なんか食べさせて~」って泣いてたしさ。」
「ち・・・・ちがうもん・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・ごめんなさい。 ちがいません。」
「うん。」
・
・
・
・
・
・
・
・
なによ。
そのかわいそうな人を見るような目は・・・・・
あ、あれよ!?
ホントのホントはあたしのが正しいんだけど、今回はレティの言ってたとおりという事にしといてあげたの!!
ホントよ!?
・
・
・
・
ホントだってば!!
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
え~~い!!
そのお菓子とジュースよこせーーーー!!
・・・・ってあーーーーーー全部食べ終わってるーーーーー!!
ずるい!!
あたしの為に用意しなさいねって言っといたのにーーーー!!
アンタなんか嫌いだーーー!!
ばーーかばーーかブタのけつーーーーーー!!
・
・
・
・
!? アンタ今馬鹿はオマエの方だろとか思ったでしょ!!
冷凍保存してやるーーーーーっ!!
そしてその後アンタの姿を見たものはいないてんてんてんまる!!
はい! おしまい!! かえればかーーー!!
だがそれがいい。
>ジャンル変更
こういうことだったのですか。てっきり東方以外に行くのかと。
申し訳ありませんでした!
そういう風に捉えられる可能性を考慮していませんでした。
もちろん東方はこれから先もハマリ続けます。
ただ「あぁコイツのSSは温かい系しか無いな」よりは
「今回はどんなジャンルだろ?」と思って頂けるSS書きになりたいのです。
紛らわしい書き方をしてしまい、申し訳ありませんでした。
…え?いらないですか、そうですか(´・ω・)
ま、まあとにかく、なんともお馬鹿で可愛らしい駄目っぷり満載のチルノですね。
このSS、いやむしろチルノの生態観察日記とでもいうような文章見てるだけで
いかにかの氷精の頭が悪いかがよくわかりまs(完璧なフリーズ
次回作はどのようなジャンルで来られるのでしょうか、楽しみにしてますよー。