Coolier - 新生・東方創想話

血のヴァレンタイン ~逆襲の永琳

2005/02/23 02:00:33
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 ―――成層圏、上空。



 眼下に蒼き宝石を仰ぎ、宇宙空間では激しい戦闘が行なわれていた。
 
 漆黒のソラに瞬く、刹那の煌めき。打ち消しあう星々の弾丸。黒天を切り裂く光条。
 それら、必殺の弾幕を互いに回避、防御、反撃を駆使し合う――二つの人影。

 高速で飛び回り、くるくると錐揉みしながら、ランダムに設置された対MS航宙機雷ライジングクレイモアから、
 嫌らしい時間差を置いて広範囲にばら撒かれる、無差別ボールベアリング弾を華麗に回避してゆく黒影。

 機体前面のエプロン装甲をギリギリで掠めるその弾幕を「当りはせんよ!」とばかりに無視し、
 白い残像を引きながら本体に追従する、両脇に浮遊するビーム砲台より間断なくイリュージョンレーザーが斉射された。

 GYURYURYRURYU――――!! と二条の殺人光線が螺旋を描くように黒天を貫き、
 不敵に哂う永遠亭の赤と黒の悪魔に襲い掛かる。


「あははははは! 無駄無駄無駄ァァーーー!!」

 敷設機雷の間隙を縫うように迫り来るレーザーを回避しようともせず、人型の要塞は嘲笑を放った。
 黒影が得意とする一撃離脱の高速戦術の要、光の速さで直進するレーザー兵器の脅威をものともせず、
 相手を小馬鹿にしたような薄笑いを浮かべ、片手に装備したビーム兵器『星天弓』を、銀河天頂方向に掲げた赤と黒の巨星。


「フィールド展開! ふふふ……その程度の出力ではこの八意の機体に、カスリ傷ひとつ負わせられないわよ」
「くっ……なんでフィールドがそんなに持つんだ!? おかしいぜ」
「あはは、まるで突込みが足りないわね。つまりはそういうことよ」

 全身を覆おう薄い防禦バリアが、耳障りな音を立ててイリュージョンレーザーの斉射を弾き散らした。
 これぞ月の科学力の結晶――『Ⅰフィールド』の効果である。
 光学兵器、ビーム兵器の威力をほぼ完全に遮断するそのバリアの前では、
 いかに強力無比な貫通力を誇る魔理沙のレーザー兵器群も単なる水鉄砲に堕する。


「まだだ、まだ終わらんよ!」

 決定的に相性の悪い属性兵器を見限り、魔理沙は射撃モードを光学から実弾に切り替えた。
 言うに及ばず、弾速の遅い実弾兵器を選択することは――コンマの遅れが命取りとなる高速戦闘において悪手とされる。
 それは霧雨戦闘教本に記載されている通りの基本戦術である。だが、彼女はあえてその愚を犯す選択を決断した。
 なぜなら、黒い魔法少女の実弾兵器――マジックミサイルは、そのハンディキャップを補って余りある威力を持つ、
 使いようによって如何様にも応用の利く基本武装なのだから。
 もっとも、相手にかなり接近しなくては、その弾速の遅さから、攻撃対象に効果的なダメージを与えるのは難しいのだが。
 まさに玄人好みの際どい武装と言えよう。


「―――なんの。私の速度を以ってすれば、
 鈍重なお前のどてっぱらに――アナハイム…いや、ノーレッジ魔導技研特製の魔弾をたっぷりご馳走してやれるぜ。
 覚悟しろ! シャ…永琳!!」

「望むところだ。来い! アム…魔理沙!!」

 
 その美しくも危険な死の香りに満ちた戦闘は、明滅する星々を呑み込む紫色に輝く銀河の渦を背景に、際限なく激化してゆく。



「――――――逝け! ファンネルたちッ」

 赤と黒のツートンカラーに塗装された妖しげな機影――八意永琳が、
 長いスカートをたくし上げ、内側に連装された射出口より、無数のビット(使い魔)を放出した。
 永琳の強力な無線思念波を受け、縦横無尽に虚空を駆け巡るビットたち。
 それらは標的たる黒き機影を囲い込まんと、ジグザグな雁行陣形を組むように列を成し、のたくる大蛇のように獲物へと襲い掛かる。
 高速で回避行動を取る黒影をぬっ殺そうと飛来する、回避困難な『無線誘導自律機動砲台』の役割を付加された使い魔たち。


「ハッ! 遅いぜ―――――そこっ!」

 ドルルルル―――

 迫り来るビットの軌道を瞬時に――電光の如く脳裏を貫くイメージと共に先読みした、霧雨 魔理沙のマジックミサイルが唸る。
 敵影を囲み、集中砲火を浴びせようと企てる永琳のビットたちの列を分断する、痛烈な爆裂魔法弾。
 必殺の陣形を崩されたビットたちは、続けて放たれる魔理沙のミサイルに―――あれよあれよという間に、
 目的を果たす事無く掃討されていった。


「………さすが、やるな―――霧雨魔理沙」

「おまえもな、八意永琳」

 にやりと不敵に微笑む二人。永琳がその圧倒的物量で押し込まん、とすれば、
 魔理沙はその卓越した高速機動を生かし、包囲殲滅される前に『ニュータイプ』特有の閃きで最善の一手を瞬時に見切り、
 徹底した火力集中で包囲網を未然に崩壊させる。
 静と動。対照的な二人の超越者たちが得意とする、戦いのセオリー。
 どちらも高度に熟練した使い手であり、その決着はなかなか着くことは無い。



「いい加減、諦めなさい! 霧雨 魔理沙。いくら一撃離脱を繰り返しても、
 この私――永遠亭の暗黒赤色矮星――月の頭脳、八意永琳の堅牢無比な城壁は打ち砕けやしないわよ!」

「なに言ってるんだ? 古来陥落しない要塞なんぞ、在りはしないぜ!」

「吼えるわね、所詮貴方の魔法は古代の力のコピー。
 まだ人間が居なかった時代の無秩序な力の原型を保持する私に敵うとでも?」

「知らないのか? コピーは改良を繰り返すことで、オリジナルを凌駕する性能を有することを。
 この向上心(パクリとは言わせないぜ)を以ってして、
 永琳、お前が持つ黴の生えた原型なんぞ……この私の得意とする魔砲で、跡形も無く吹っ飛ばしてやるぜ!」

「あらあら、痛いのは嫌だわ。生憎、私はおとなしくやられる程…優しくはないわよ」

「私もだ」

「ふふふ。気が合うわね、私たち……」

「まったくだ……」



「「  ぜ! は!  」」


 語尾を言い終わると同時に、二人は目の前の邪魔者を、完膚なきまでに排除する大技を放つ為に、スペルブースト詠唱に入る。



「――神代の記憶、とこしえより連綿と受け継がれし生命の螺旋よ、原初のカタチを呼び覚ませ。系統樹は…無限の分岐を刻む!」

「――強いぜ、凄いぜ、ぶっといぜ~。極楽極悪極大極太究極至高! 恋は……ぶっ放すもの、だぜ!!」


 ぐんぐんと高まる互いの魔力、霊圧。
 即時発動が利点のスペルカードの威力を、極限まで高める自己流詠唱が真空の宇宙を震撼させて、開放の時を待ち望む。




「進化の果てに―――自壊せよ」
「私が魔砲を放った後には、妖怪どころか―――人間も残らない」





  ――神符、天人の系譜!!   ――恋符、マスタースパーク!!



 二人のスペル宣誓と共に、解き放たれた強大なエネルギー波。
 
 永琳が放つは、両手に構えた星天弓につがえし矢より圧縮された、一条の極細の光輝。
 生命が進化する以前、原初のちからを宿した光糸は、
 標的を見定めるや否や、爆発的に枝分かれし、ありとあらゆる回避の可能性を潰さん、とする。
 いい感じにぶっ壊れた分裂思考を持つ彼女に、相応しいスペルである。

 対するは、普通の魔砲少女、霧雨 魔理沙――渾身の一撃。小細工無用の純粋なる極光の奔流。まさに、一途な恋心なりけり。


 同時に発射され、ほぼ等速で突き進む――死を呼ぶ光牙。









「魔理沙ァァァーーーー」
「えいりぃぃぃーーーーん」






 相容れぬ存在を排斥しようとする絶叫。
 二人の中間距離で激しく喰らいあう反属性の滅殺光線。

 すべてを真っ直ぐ貫き通そうとするマスタースパーク。
 無限に連鎖分裂し、すべてを包囲殲滅せんとホーミングする天人の系譜。

 溢れるちからは、完全に均衡し、危ういバランスを保ち続ける。


 ……

 ……

 バチバチとしのぎを削る死の奔流を前に、二人は少しでも精神的に優位に立とうと戯言をほざき合う。



「地上の魔法使い――霧雨 魔理沙よ、何故わからぬ! お前が守ろうとする地上の民たち。
 くだらぬ価値観に囚われ、旧態依然とした奴等になにを望む。
 お前も感じている筈だ……重力の井戸の底で、他者の足を引っ張り合う、腐れ切った人類の性根を! 
 地球上に残った人類などは、地上のノミだと言うことがなぜ分からんのだ」

「………」


「月の民とて、同罪だ。たかが薬事法違反の禁忌を破り、クスリ漬けになったぐらいで、
 我が敬愛する悪のカリスマたる姫を……!!
 輝夜は私の母になってくれたかもしれない女性。
 それを奪ってくれた、くだらぬ奴等に……この『偽りの月』を地上に落とし、全人類を粛清した後に
 ……BC兵器を月面コロニーに撃ち込み、しかるべき報いを与えてやるのだッ」


 ……

 ……


 ………そう、永琳の目的は―――地上の民に、裁きの鉄槌を下すこと。
 その為に、彼女はあまりに巨大な災厄となりうる為、自ら封印していた秘術を用い―――巨大な偽月を生み出した。
 偽月の正体は、星間宇宙の彼方――アステロイドベルトより召還されし、巨大な岩石。
 大メテオを核とし、その周囲を秘術の力で覆い、自律移動を可能とした物である。
 宇宙空間にただ在るだけでも、永琳の様々な秘術の増幅回路となり、充分脅威なのだが……。


 その真の恐ろしさは『偽りの月』本体の巨大な質量にこそある。

 もし、この大質量を……

 眼下に輝く、青い惑星に、ぶちかましたら。


 想像を絶する災厄を、消して消えぬ傷跡を、当たり所が悪ければ、その存在すら―――



 地球は、只では……済まない。






 だが、それには当然のように疑問が付きまとう。



 今回―――何故、永琳はそのような暴挙に出たのであろうか?


 その答えは、宇宙人である永琳の存在特性にあった。



 ……数千年に一度の地球磁場異常。

 今年、二月十四日。

 その時、磁場異常により地球の電波防護スクリーンが薄れ……宇宙の果てから、とある有害電波が地表に降り注ぐ。

 それは、通常の人類には、どうということも無い程度の、せいぜいなにか勘違いしたSSを書く程度の毒電波だが――

 唯一の例外、正体不明の宇宙人――八意永琳にとっては、その電波は……壊滅的で致命的な狂気をもたらす。 

 
 古代に滅びし、宇宙人の遺跡に在る碑文に記されし警告がある。

 碑文いわく。即ち、逝なるその日を差して―――









    『めるぽ・ヴァンアレン帯んデー』    








 と呼称する、とある。





 抗いようの無い、運命のいたずら。
 どうしょうも無い程逝かれてしまった月の頭脳は、
 ありとあらゆる……その日、幸せに愛を交わす者達に……大いなる災厄をもたらす、はた迷惑な存在へと堕ちた。

 ――永琳の電波は止まらない。


 ……

 ……


「その反応速度、お前も並みの人類ではあるまい。
 ならば、重力の枷に囚われしアースノイドになど従わず、私と共に―――来い!」

 言葉を切り、魔理沙の返答を待つ永琳。だが――

「あー、悪いがパスだ。お前の言ってることは、まったくわけがわからん。
 取り合えず面白いんで、調子を合わせてみたが……そろそろついていけん」

「それが愚民どもにその才能を利用されているものの言うことか!」

「駄目だぜ、永琳。そんなんだから敵ばっかり作るんだ。お前ほどの女がなんて器量の小さい」

「ふ……所詮私と貴様は、敵同士。わかりあえる筈も無かったのよ」

「ああそうかい」

「それでこそ我が宿命のライバル、霧雨 魔理沙! お前の屍を越えて、私は真の理想郷を目指す!
 まず手始めに私の月を地上に落っことすのよ……四方から電波がやってくる!! 落ちろ!落ちろ!落ちろ!」

「おいおい、全部ぶっ壊したら理想郷もなんもないだろうに。それにお前なんかとライバル同士になった憶えはないのだが。
 お前が道化なのは分かっていたし、無害な電波なら放置しても良かったんだが、さすがにそりゃまずいぜ」

「貴方もそんなことを言う!
 だから貴方みたいなのを生んだ地球を壊さなくちゃ、この星は救われないんだよ!! 俗物どもが!」

「あー、駄目だな…。言ってることが矛盾してるし、色々と終わってやがる。説得は時間の無駄か。
 まあ、あれだ。地上には私の帰りを待っている、喘息持ちのお姫様が居るんでな。
 そんなことされて、幻想郷を粉塵まみれにする訳には―――いかないぜ」


 魔理沙の脳裏に、紫色の寝巻きでジト目をする少女の姿が浮かんだ。
 そういえば、時刻は既に0時をとうに過ぎている。もう十五日だが、アイツはまだ起きて待っていてくれるだろうか。
 手早く片付けて、この懐の「   」を手渡したいのに。
 日中は野暮用で会いにいけなかったが、急に会いたくて会いたくて、仕方が無くなってきた。

「―――そろそろ、終わりだな」





 均衡が崩れた。魔理沙がマスタースパークを解除したのだ。
 彼女はそのまま高速で右側に大きく旋回し、永琳の後背を狙う。
 相対する力が無くなり、永琳の殺人光線が軛から解き放たれる。
 だが、既に効果時間の限界を迎えてしまった永琳のスペルは力無く先細り、宙に飲まれていった。



「―――計算通りね。貴方がそう来ることは……分かっていた」


 狂気の具間、理知的な彼女本来の顔が覗く。腐っても永琳。月の頭脳の称号は―――伊達じゃない。


 再び高速で行なわれる戦場の駆け引き。スペル終了間際の硬直時間の隙を狙い、最高速度で間合いを狭める魔理沙。
 内心ほくそえみながら、それをカウンターで迎え撃たん、とする永琳。

 両者の思惑がどう転ぶかは、数瞬の後に決まる。



「―――背後ががら空きだぜ! 喰らえ、魔符「スターダストレヴァリエ」

 星弾をマシンガンの如く侵攻方向へ無数にばら撒く、魔弾全力射撃を決行しながら、永琳に突撃する魔理沙。


「―――甘い。天呪、アポロ13…改。

 永琳がぶわりとスカートをたくし上げると、ずらりと並んだ物騒な砲身が現われた。
 全方向に向けられた黒光りする不吉な銃口には、既に剣呑な輝きを放つ粒子の先走りが満ちている。


「こんなこともあろうかと、(このセリフだけは外せないわね)徹底的に改造しといたの。私の愛銃は、凶暴ですのよ?」

 にやけた面で言い終えた永琳を爆心地とし、
 全方位に対応した16門の拡散ハイメガ粒子砲がスカートの下より一斉発射された。

「…げっ」
「…ふふ」

 魔理沙が連射した星型の実体弾は、永琳の粒子砲の輝きに貫かれて、目標に辿り着く事無く爆散する。
 それは先程の使い魔(ビット)を用いた包囲攻撃――薬符「壺中の大銀河」の末路を逆再現したかのような有様。
 永琳が会心の笑みを浮かべ言い放つ。


「あはははは! 単純過ぎるわね、貴方は。こんな初歩的な誘いに引っ掛かるなんて。
 ねえ、貴方がなんで私に敵わないか分かる? それは……霧雨 魔理沙が――――ガキだからよ」

 焦りの表情を出す魔理沙。が、次の瞬間、それは素晴しい悪戯を思いついた悪ガキのような笑みに取って変わる。


「はっはっはー。ガキで結構。女の子はこれぐらいのほうがいい。
 だが、その程度で勝ち誇るとは、永琳、あんたちょっとセコイぜ」

「なに? 負け惜しみ? 可愛いわね」

 ………

「どうだかね――――――ファンネル連続射出。
 フォー・オブ・アカインド・プラネットよ、我が身を護る防壁となれ! 儀符、オーレリーズサン!!」

 声紋に反応し、魔理沙のスカートから四基の宝玉が撃ち出される。
 四つのフィールド球は、魔理沙の頭上を頂点に綺麗な三角錐を形作るように配置され、
 中心に位置する彼女を囲い込むように平面状の、ビーム兵器を防ぐ防禦スクリーンを形成した。

 ―――バジュッッツ

 永琳の放つ粒子砲は、すべて魔理沙のフィールドに弾かれ、あらぬ方向に霧散した。

「なっ……Ⅰフィールド!? 貴方も実用化に成功していたの!? 原始的な魔法使い風情が」

「さあな、私はいつも通りにヴワル研からパクった(蒐集した)理論を使用してるだけだぜ? 
 永琳、お前はそうやって人を馬鹿にしてるから、足元を掬われる」

 
 既に魔理沙と永琳の距離は、互いの瞳に映る大銀河が見えるほどに狭まっていた。
 アポロ13を無効化され、うろたえる永琳。勝ち誇る魔理沙。勝敗の行方は決したかに見えた。



「終わりだ。さらば、我が宿命のライバルよ……なんてな」

「…………」


 永琳が纏う鉄壁の防禦を破る一撃が、魔理沙の周囲を回る四つの宝玉を加えた二基の浮遊砲台から放たれる。


「喰らえ、―――天儀「オーレリーズソーラーシステム」
「―――!」


 魔理沙の掛け声と同時に計六つの玉は、ぎゅおん ぎゅおん と唸りを上げ、
 永琳のボデェの至る所にデンプシーロールの爆発的な連打の如く叩き込まれた。
 そのまますべての天球儀が密着した状態から、太陽の輝きを圧縮した絶望的な光熱が放たれる。

 エネルギー兵器を遮断するフィールドは、実体を持つファンネルには効果は無く、内部に突入した六つの天儀は、
 永琳の体を覆う12000枚の特殊装甲を――強化した炎のこぶしでメシャリと嫌な音を立ててひしゃげさせてゆく。

 そのうちのひとつが偶然、永琳の帽子の中に仕込まれたⅠフィールドジェネレーターを
「ガッツ!」と直上から打ち下ろされたチョッピングライトの一撃で粉砕し、沈黙させる。
 バチバチと永琳の頭から火花が散り、ボスンと髑髏の煙が噴き上がる。
 同時に永琳が纏うプレッシャーが消え失せた。
 その刹那――
 秘密の場所にある予備ジェネレーターへと切り替わる一瞬の――だが、致命的な隙が永琳の機体に生じた。



「―――チャーンス! いまこそ、パチェと私の……愛に満ちたパクリ…んにゃ、ユニゾンスペルを披露する時か」

 ニヤリと危険で魅力的な笑みを浮かべる魔理沙。
 ファンネルをスカート内に呼び戻し、
 懐から取り出したミニ八卦炉を引っ掴み、永琳のどてっ腹に押し当てながら不敵に告げる。



「まだまだ終わらんよ、いくぜ? これが愛の力だ―――零距離射撃、ノンディレクショナルレーザー!!」
「ジェネレーターが死ぬ!? 防ぎきれないッ」

 永琳の腹から、くるくる回転する眩いカラフルなレーザー光線が溢れ出す。
 その光のサイクロンは、物理的衝撃波を伴って永琳の体をズタズタに引き裂いていった。

 あばばばば……という永琳の苦鳴が魔理沙の耳に木霊した。
 光撃を放ちながら突っ込んでいった勢いもそのままに、
 魔理沙と永琳はぐんぐんと永琳の背後に浮かぶ偽りの月へと加速していく。



「はっはっはー。逃がしゃしないぜ? そのままめり込んどきな」
「……………」
 






 迫る月面。



「じゃあな。逝くなら独りで逝ってくれ。私はこの辺で離脱するから」
「…………い」


「んにゃ? なんか言ったか」
「………ない」



「あー?」

 目を伏せながらなにやらブツブツ呟く永琳を気味悪そうに見咎める魔理沙。
 なにを言っているのか気になり、耳を済ませてみると……。

 ………

 ………

 ………

「―――逃さない……は、こっちのセリフよ!!」

「な!?」



 突如絶叫に近い勝利宣言が、永琳の口から放たれた。しかも、その内容たるや……まさに狂気。

 スカートの下に隠されしメガ粒子砲の砲身に、
 許容量以上の莫大なエネルギーが充填されているのに気づき、魔理沙は叫ぶ。

「ダメだ! 放射熱とオーバーロードで自爆するだけだぞ、やめろーーー永琳!」

「問答無用………アポロ13――――――ヒート、エンド!」



 カッ

 永琳のスカートより目が眩む程の白光が迸った。遅れてくる―――大爆発。




 
 ちゅどおおおおおおおおおぉぉぉぉん


「ぐぁ」
「あはははは!!!」


 自爆。

 完膚なきまでに、自殺行為。

 アポロの砲身に満ちたエネルギーを、臨界まで上昇させ、一気に解き放つ。

 戦いのセオリーを完全に無視した自爆攻撃。

 蓬莱のクスリを服用したジャンキ…いや、伝説の蓬莱人、八意永琳ならではの異常行為である。





「うにゃーーー」

 至近距離で喰らった爆風に煽られ、偽りの月の進行方向―――遥かなる地球へ向け、かっとんで行く魔理沙。

「―――逃しゃしない、て言ったのよ」


 ボロボロの世捨て人が、ゴミ集積場から這い出てきたかの如き無残な姿で呟く永琳。
 この機を逃さず、温存していた切り札――もはや、爆発の衝撃で本来の威力は望めないが――を投入する。 


「共に堕ちん、強敵よ。――――天網蜘網捕蝶の法」


 ビュルルルルルルル


 永琳のボロボロの袖口から、数条のビームウイップが放たれた。
 

「うにゃーー……うおっ、なんだこりゃ」

「ふふふ……捕まえた」

 絡み付いたビームで、グイグイと引き寄せられる魔理沙。


「ううむ、私をどうするつもりだ? おいしくないぜ、普通の魔法使いは」

「あはは、食べはしないわよ。ただ―――月が落ちるのより、少しだけ早く、一緒に堕ちるだけ」


「……」
「ふふふ」


「あー、遠慮する」
「遠慮しないで」

 ジタバタと自分と永琳とを繋ぐ、嫌な運命の赤い糸から逃れようとする魔理沙。
 しかし、ギリギリと体に食い込み締め付けるビームは外れる事無く―――がっちりと。
 永琳の蛇のような執念を顕すかのように、巻きついて離れない。



「このままでは二人とも大気圏で燃え尽きてしまうぜ。……ものは相談だが、いったん仕切りなおしをする気は?」
「無い」


 簡潔な答え。さすが月の天才。常人とは思考回路が異なり……過ぎだ! 


「即答かよ……死ぬ気か?」
「ふふ、死んでも死なないわ。安心して頂戴」


「………」
「………」


 露骨に嫌そうな顔をする魔理沙と、落ち着き達観した永琳。
 ひとかたまりの機影はどんどん地球の重力圏内に近づいて逝く。
 このままでは地上の重力に引かれ、諸共に大気圏内で萌え尽きてしまうだろう。


「パチェ……すまん」
「――幻想郷よ、私は還ってきた」


 ………

 ………

 突っ込むのは、やめておこう。今の永琳はガトーショコラのように、脳細胞が口溶け良く崩壊しているのだから。



 と

 その時。



「―――ちょっと、魔理沙! これはどういうことよ!? なに、あの馬鹿でかい月は。
 どうしてどんどんこちらに迫ってくるのかしら!? 魔理沙!」


 眼下に広がるブルースフィアを背景に、息を切らして魔理沙を怒鳴りつける少女が一人。
 左右に控えるのは可愛らしい二体の人形たち。

 アリス・マーガトロイド。彼女こそは―――魔理沙の真のライバルにして、数少ない(アリスにとって)友人。
 魔法の森に生えるM.Mの運用方法に若干の意見の食い違いがあるものの、互いに実力を認め合った好敵手である。
 今回のヴァンアレン帯の異変を一緒に探るべく、魔理沙と出発したのだが

「遅いんだよ、お前は! ああ、どうしょうもなく、救いようが無い程、見事なほどに、完膚なきまでに遅いぜ!
 いいか? 速いってことはそれだけで絶対のアドバンテージを持つんだ。即ち、速くないことは悪。そう、悪なんだよ。
 あー、アリサ。お前がいくらカタツムリさんのように遅くても、それはまあ、お前の自由だ。だが、だがだがだがっ!!
 最速疾風霧雨伝説、マジカル・グッドスピード魔理沙のパートナーとして、この速度にすらついて来れないのでは、
 全然まったく、クールでホット、キュートでクレバーなまでに―――話にならん!!
 もう一度言おう、ワリス。いいか? 速くない魔砲少女は……生きていない魔砲少女と同義なんだぜ?
 従って、あんまりモタモタしてると遥か後方、地平のゴミ溜めの境界に置いていくことになる。
 まあ、取り合えず私は独りで先行するから、遅れないようにキリキリ着いて来いよ? のろまなアリサ」

 との、ありがたくて涙が出る、どこぞの最速の人が言うような友情の言葉と共に、遥か後方に置き去りにされた経緯を持つ。
 んでようやく追いついたと思ったら、事態はもうどうしょうも無い程手遅れっぽい。
 これじゃあ、アリスでなくても怒るのは当然であろう。


「魔理沙魔理沙って―――馴れ馴れしくないか…こいつ。よっぽど友達が居ないのね。
 それは兎も角、ライバル同士の間に入るな! 人形遣い! 子供は嫌いだ! ずうずうしいから」

 新たな乱入者に向けられる永琳の色々混じってるキツイ言葉。
「五月蝿い黙れ」とぐるぐる巻きになっていた手を僅かに動かし、マジックミサイルを永琳の口にどごんと叩き込む魔理沙。
 ガクリと気を失う永琳。だがビームウイップは術者の制御が無くとも効果が続く永続型スペルだったらしく、戒めの輪は外れない。
 とりあえず、ソレは置いといてアリスに暢気に話しかける魔理沙。


「おう、アリス。遅かったな。オマエならきっと私に追いつけると信じていたぜ。
 まあ、こういう訳なんでちゃっちゃとあの月を食い止めてくれ。私はこの馬鹿に縛られてて動けんのでな」

「………ハァ? あんた馬鹿ぁ? 言いたかないけど、私の武装の威力じゃあ無理に決まってんでしょうが!」

「んー、月からなんか満月光線を受信して『月は出ているか?』てな感じでなんとかならんか?」

「そうそう、サテライトキャノン―――発射…ってんな物騒な兵器あるわけ無いでしょうが!!
 生憎そういうマイクロウエーブを受信するⅩ型アンテナなんか体のどこにも付いてないのよ」

「そいじゃあ、その古臭い人形の封印された光の翼で……」

「ええ。蓬莱、上海――月光蝶よ!……ちーがーうー!!
 ふざけんな馬鹿―っ! なに考えてんのよ、まったく……まともに答えてよ魔理沙」

「そりゃ残念」

「もう……で、真面目な話、どうすればいいの? 魔理沙」

「ん。そうだな……アリス」

「な、なによ魔理沙」

「少しの間でいい。お前の人形軍団でなんとかあの月の侵攻を食い止めてくれ。後は私がなんとかする」

「む、無茶言わないでよ! アレが一体どれだけの質量だと思ってるの!? 無理よ、無理だわ」

「たのむ」

「………」

 柄にも無く、真摯に頭を下げる魔理沙を動揺しながら見やるアリス。
 たしかに魔理沙が言うとおり、異空間にしこたま貯蔵してある自分の人形たちを全て一度に投入すれば、
 幾ばくかの時間は稼げるであろう。だが、そんなことをすれば……可愛い人形たちは………。

「………」

「………」

「……守りたいやつが居るんだ。たのむ……アリス」

「……………………わかったわ。でもあまり長くは持ち堪えれないわよ? 期待しないで」

「すまんな」

「よしてよ、気持ち悪い。この貸しは高くつくからね、魔理沙」




 しばしの逡巡を経て、吹っ切れたように顔を上げ、迫り来る巨大な偽月を見据えるアリス。


「上海、蓬莱。――これから、ブクレシュティの人形館に存在する全予備戦力を召還するわ。
 私一人ではあの大群の指揮権を一度に掌握し切れないから、それぞれ軍勢を三つに分けて統制します。
 ――あなたたち掛かる魔力的負担は相当のものとなるでしょうけど……お願い、私と共に戦って」

 ――………(こくり)

 ―――………(こくん)

 一秒の迷いも無く、信ずるマスターの頼みを聞き届ける上海、蓬莱。
 ともすればあまりの魔力負荷に、人形の我が身に籠められた魂を定着させる『魔血魂』が焼き切れる可能性のある危険な任務である。
 しかし、二人は嫌がるそぶりなどまったく見せず、むしろやっと大好きなアリスの役に立てる、と嬉々として命令を心待ちにする。
 そんな二人の笑顔を見て、アリスの目にじわりと涙が浮かぶ。


「…………覚悟はいいわね、二人とも。
 このくだらない仕事が終わったら……霊夢たちと一緒にブッシュ・ド・ノエルでも食べながらお茶しましょうね。
 ――大丈夫。貴方たちのどちらとも、死なせはしないわ。
 でも……どうしても駄目なときは、私を置いて安全な場所に離脱して頂戴。
 自律起動に必要な魔力は……魔理沙かパチュリーにでも分けて貰って……」

 アリスが言い終わる前に、上海の小さな可愛らしい手がぺちん、と絶対者たるマスターの横っ面を張り飛ばす。
 魔力で威力を増幅されないただの、軽い一撃。だが、そのほっそりとした腕に宿る想いは……重かった。
 これまで自分の人形に手を上げられたことなど無いアリスは呆然として頬を押さえて呟く。


「な……神綺様にも殴られたこと無かったのに」

 ――………。

 悪びれる様子も無く、上海人形は弱音を吐くアリスを睨みつける。
 無口な彼女の全身からは、怒りのオーラが立ち昇っていた。
 傍らでその様子を見守る蓬莱人形も、上海の行動を止めるでもなく無言で佇む。
 しばらく呆然と頬をおさえていたアリスは、ふたりの目に宿った、自分の身を案じる真剣な光に気がついた。
 ふっ、と微笑み自らの弱気を戒め、アリスは二人に告げる。


「―――そうね、ありもしない最悪なんか、今から言っても仕方ないわよね。
 ごめん……二人とも。もう、弱音なんか、吐かないわ。ええ、絶対に――――――絶対に、みんなで生きて帰りましょうね」

 ――………。

 ―――………。


 常に肌身離さず持ち歩く禁断の魔道書「The Grimoire of Alice」の封印を解き、
 左手で支えながら、ひとりでにバラバラと捲くりあがるページに目を通すアリス。
 魔道書より吹き荒れる黄金の魔力風が、帯のように展開された文字列と共にアリスの周囲をシュルシュルと回天した。
 彼女の脳裏に直接刻み込まれてゆくルーン。
 精神の深奥で像をなした極大令呪を外界に顕現させ、口にすべく、右手を高らかに掲げ―――詠唱を解き放つ。
 左右の定位置につき、微動だにしない上海、蓬莱。三者の描く正三角形の力場、トライフォースに金色の光が満ちてゆく。


「――七色の魔力で紡がれし、七つの魂よ。
 遥か頭上、北天に輝きし死を呼ぶ七つの凶星、北斗の導きに従いて我らが前に立ち塞がりし雲霞の如き軍勢を、
 破軍のコトワリを以って粉砕せよ。
 七色の魔法使いアリス・マーガトロイド、蓬莱人形、上海人形の名に於いて命ずる。
 ブクレシュティに眠りし、全ての魂を持たぬ人のカタチよ、
 天空に輝ける七つの仮初の魂の元、我と共に聖戦を完遂し、銀河の暗天を征服し尽すレギオンとなれ」




「―――顕れ出でよ! 凄戦符の終………ドール、クルセイダーズ・ラスト・ウオー!!!!」




 アリス、上海、蓬莱の頭上の空間が巨大な逆正三角形のカタチに裂け―――


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 ……空間の裂け目から濁流の如き勢いで飛び出してきた――大小様々、多種多様な夥しい数の人形たち。
 その者たちが形成する巨大な繭のような紡錘陣形が、
 続々と三つのレギオン(軍団)に分かれ、圧倒的質量を持つ偽りの月へと大河の如き行軍を開始する。



「……くっ、さすがにこの数はキツイわね……けど、こんなことで負けてなんかいられないのよ!」

 ――………!

 ―――………!


「上海! 右翼の指揮は任せたわ、貴方の指揮下の強力な物理攻撃を持つ人形たちは、
 私と蓬莱の一斉射撃の後に機を見計らって全軍突入し、実力行使であの馬鹿でかい岩塊を内部から強襲。
 所構わず滅茶苦茶にして、あわよくば動力源を破壊してアレをどうにかするのよ!」

 ――………。(こく)

「蓬莱! 貴方は左翼の射撃部隊を指揮して。
 私の本隊が極大の呪いを放った後に、全火力を一点に集中させて、敵の出鼻を挫くこと!
 それまでは適当に弾幕を張って私のサポートをして頂戴。
 いいわね? この作戦はタイミングが命だから……私の本隊が危険に晒されても、焦って先走らないように」

 ―――………。(こくこく)


 
「では、征くわよ――――――全人形兵団、微速前進。」




 数千にも及ぶ小さな人形たちの軍勢、ドールズバッドカンパニー。
 それぞれの特性に合わせた三つの軍団単位は、すべての人形たちを併せてもなお及ばぬ巨大な偽月に立ち向かう。

 その大半は異空間で自動製造された、オリジナルの能力に劣る量産型の自動人形とはいえ、
 その数の暴力は決して馬鹿に出来るものではない。

 ましてや、これらを統括する三軍の提督は卓越した人形たちとの相性により、
 その潜在能力をフルに、限界以上に引き出すカリスマを所持しているのだ。

 これであっけなく敗退するようでは、まさに人間失格…否、魔法使い失格と言えるだろう。
 宇宙を震撼させる、アリス率いる多種多様な人形兵団。
 士気軒昂な荒くれどもは、忠実なるマスターの僕として銀河を二分する不倶戴天の敵勢力
 ―――八意永琳の遺志が宿りし巨大な偽月へと臨む。

 生か死か。訪れる結末は二つに一つ。もはや永琳と魔理沙のことは完璧に忘却の彼方へ。
 これより紡がれるは――
 ――圧倒的なまでの戦力差を覆す、名将蓬莱、上海を従えし人形軍総師アリス・マーガトロイドの戦いの物語。

 ―――鉄火雷迅、疾風業火吹き荒れる死の交響曲。




「――――――これより要塞侵攻作戦を行なうわ。
 蓬莱、上海………あなたたちの命、このアリス・マーガトロイドに預けて。
 さぁ………いざ征かん、星と屍の境界――――――星々の大海へ!!」








 そして、巨象と蟻の―――絶望的な戦闘が始まった。






《後編へ》
害力「無間の超低音速ヴァレン帯」
しん
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