Coolier - 新生・東方創想話

命の輝き

2005/02/19 01:59:51
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信じられなかった。私が負けるなんて。
力だけならお姉様を上回る自信すらあったのに。
それがただの人間に負けるなんて。

それから私は不思議とこの人間、霧雨魔理沙に惹かれていった。
私を初めて負かした相手だからだろうか。
不思議と気になっていた。
魔理沙が遊びにくるときはなにかと一緒に遊んでいた。

楽しかった。
何百年も地下室に居たから、こんなに楽しいのは久しぶりだった。
ずっと地下室にいたのが勿体無く思えるくらい。

それから私はできるだけ地下牢から外へ出るようにした。
と言っても一人で行くのは危険だからと咲夜が言うので、
お姉様が外に出るときについていくだけだったけど。

お姉様は大抵博麗神社に行っていた。
そこにはその神社の巫女、博麗霊夢という人が居た。
なんでも魔理沙とも知り合いらしい。
そして、他愛も無い話や時たま弾幕ごっこで楽しんでいた。

これも楽しかった。
お姉様や魔理沙の意外な一面を知ることができた。
そしてこの霊夢と言う人も弾幕ごっこが強かった。
お姉様がよくここに来るのは、霊夢に惹かれてるかな、とか思ったりもした。


何十年かすると、魔理沙の来る回数が減ってきてるような気がした。
それに私が弾幕ごっこに誘ってもやってくれない。魔理沙は、

「もう、私も年だからな。フランの相手できるほど体力無いんだよ」

なんてことを言ってきた。
私は何を言ってるのだろうと思った。
魔理沙はまだ数十年しか生きてないじゃないか。
私の十分の一程度しか生きてないじゃないか。
そう思っていると、私の考えてることが判ったかのようにこう言った。

「人間と吸血鬼は同じ存在なんかじゃないんだよ。何百年も地下にいたフランには判らないかもしれないが
 共に生きることはできないのさ。いつか判る時が来るよ」

何を言ってるのか判らなかった。
何か難しい話をされている、とくらいにしか思わなかった。


そしてそれからまた何十年か経ち、
魔理沙はもう紅魔館に来なくなっていた。
私は会いに行こうかとも思ったが、家を知らない。
お姉様や咲夜に聞いてみても、

「これ以上人間とかかわることはあなたのためにならない」

といって教えてくれない。
一瞬むかっときて、咲夜を殺そうとも思ったがお姉様も一緒になって言うのでしかたがない。

そうして楽しいこともなく、私がまた地下室にこもり気味になってきたある日。
突然お姉様に呼ばれた。

「フラン。あなたに教えてあげるわ。あなたがまだ知らない人の運命ってものを」

そういって連れて来られたのは咲夜の自室。
そういえばここのところ地下室にこもりっきりで咲夜に会っていない。
食事とかもほかのメイドが持ってくるし、本当に会うのは久しぶりだ。
そう思いながら部屋に入ると・・・

咲夜は眠っていた。
近づいてみるととても穏やかな寝顔だ。
しかし、咲夜が寝てるなら何しに此処にきたのだろう。
そう思ってお姉様のほうに顔を向けた。
するとお姉様はこんなことを言った。

「フラン・・・咲夜は寝ているんじゃないの。自らの運命を終えたの。」

えっ、それってどういうこと?と問いかける前にお姉様が言った。

「咲夜はね・・・死んでしまったのよ・・・」

お姉様の言ってることが理解できなかった。
だって咲夜はまだ百年も生きていない。
それなのにもう死んでしまうなんてありえない。

「フラン、人間の命はとても短いの。私たちと比べればまさに一瞬なの」

それを聞いて魔理沙の言葉を思い出す。
魔理沙はこのことを言っていたのではないだろうか。
咲夜にさらに近づいてみる。
よく見ると咲夜とは思えないくらい顔が変わっている。体もとても細い。
呼びかけても何も答えない。
ゆすってみても何も言わない。
名前を呼んでも何も答えない。

咲夜はもういないんだ。
そう思うとだんだんと涙がこぼれてくる。
一度出た涙は止まることなく。
ただただ咲夜の顔を濡らし続けた・・・


それから・・・
私はまた自分から外に出ることにした。
人間という種族のことを知りたかったから。
お姉様は

「やめなさいフラン!また、あの悲しみを味わいたいの?
 人間と関わってはだめよ!」

と言って、反対した。
でも私はその反対を押し切った。
私は解ってる。お姉様の本心じゃないことに。
お姉様も知りたいと思っているはずだ。
だから、あの巫女と関わりを持っていたに違いない。
だから私は率先して人間のことを知ろうと思う。

たとえこの先に何が待っていても・・・
フラン支援で書いたやつ

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コメント



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18.40上泉 涼削除
こればかりは、例えばパチュリーが教科書を用いて教えるなどという事は出来ないですからね。
魔理沙という人間に惹かれた理由も。咲夜という人間の死に涙してしまった理由も。

 いつか判る時が来るよ

答えを求めて外の世界へ飛び出したフランに、魔理沙のこの言葉を。