私、霧雨魔理沙。普通の魔法使いだぜ。今日も本を借りに
パチェのところに来た。借りに来たんだぜ?私はあくまで本を
借りてるんだ。そりゃあ、たまにうっかりなくしちまったり、
どこに行ったかわからなくなったり、ベッドの中から三ヶ月前に
借りたやつが出てきたり、なんてことはあるがな。
「よう、邪魔するぜ」
「うん、邪魔ね。ねえところで魔理沙、最近楽しい夢、見てる?」
挨拶も早々に、パチェが話しかけてくるなんて珍しいったらありゃしない。
いつもは無表情に、本から目を離さずに、二回に一回は黙ってたり
するっていうのに。
「ん?夢?ああ、昨日はろくでもない夢だったな、頭が春な紅白巫女に
アミュレットで打ち落とされた挙句、そのまま魔界へ落ちてアリスの
人形に貼り付けにされてどういうわけか咲夜のナイフ投げの的にされて
『これで死なないようだったらフランドール様の餌にしようかしら』
とかいわれて、案の定死ななくて、はりつけのまんま
『クランベリートラップを改良した『ブルーベリートラップ』よ』
とかいわれてとてもかわせそうにない弾幕を食らっちまって、で、
そのあとに橙のやつが
『藍さまのまねをして作ってみたの!私の手料理、食べてみてよ!』
とかいうんだがこれがどう見ても料理の形をしてない代物。それを藍に
口をこじあけられながらまさに口にその物体が入ろうか、というところで
目が覚めたな」
今まで見た中でも最悪の夢だったな。
「・・・えらく細かく覚えてるのね。夢だってのに」
「まあ忘れようのない夢だったからな。で、何で夢の話なんか聞いたんだ?」
「新しい魔法をつk」
「帰らせてもらうぜ」
「ちょっと、話しは最後まで聞きなさいよ」
「最後まで聞かないほうがいい話なんだろ?」
「そんなことはないわ。とっても、とっても、魔理沙のためになるお話よ」
怪しい、怪しすぎる。
「大体、なんでお前が新しい魔法を作って、私のためになるんだ?」
「孚孚孚、良くぞ聞いてくれました」
聞くんじゃなかったぜ。
「実は、自由自在に夢を操る魔法を完成したのです!このパチュリー様に
不可能はないわ!うふ、うふ、うふふふふふふ」
「こら、その笑い方はやめろ。で、どうせ私にためすんだろ?」
「他に誰がいるって言うの?」
「やっぱり、帰らせてもらうぜ」
「じゃあ、紅魔館立ち入り禁止にしてもらいましょうかねえ、レミィに頼んで」
「汚いぜ」
「大体、私はいまから、魔理沙に楽しい夢を見てもらおうと思ってるのよ?
反対する理由がないじゃない」
「その魔法、初めてなんだろ」
「人間にはね。安心しなさい。ね、小悪魔?」
「はい、あんな幸せな夢はありませんでした・・・この図書館の本がきれいに片付いて、
わたしも本を読むことだけに没頭できるなんて・・・」
「怪しいな、だいたいなんでそんな都合よく行くんだ?」
「この魔法はね、あらかじめ本人にどんな夢が見たいかまず書いてもらうのよ。
でそのとおりの夢が見られる、という仕組みなわけ。おわかり?」
「仕組みはわかったが・・・人間だったら、あの頑丈そうなメイド長がいるじゃないか、
まずあいつに試せ」
「だめよ、咲夜には仕事があるもの」
「私にだって仕事があるぜ、薬草集め、きのこ狩り、薬の調合、魔術の研究etc.etc.」
「あなたは自由業でしょ、ほら、もうベッドの支度もできてるのよ、あたしのベッド
今日は特別にあなたに使わせてあげるわ」
「それは喘息のお前に悪いぜ」
「お気遣いなく。紅魔館にはお客様用の部屋だって、いくらでもあるんだから」
まずい、まずい。完全にパチェのペースだ。そりゃ私だって暇は暇なんだが、
君子あやうきに近寄らず、石橋は叩いてわたるもの。
「おッと、急用を思い出したぜ、じゃ!」
箒にまたがり急加速。いやあぶないところだった。さてウサ晴らしにアリスでもからかいに・・・
「おわっ!?」
目の前に幾重にも並んだナイフが。
「おい!咲夜!お客様はお帰りだぜ!」
つかつかつか、と扉から姿を現したるは、やはり時を止める悪魔の犬。
くそ、パチェめ、咲夜までたらしこんでたのか。
「あなたには悪いんだけど、私は魔法ってやつは苦手なのよね、魔法使いさん?」
「わかったぜ・・・これが、悪い夢だ」
これでぃすね
オチが好きです、後文体も
わおありがとうございます。
コメント拝見したあと筆がすいすい進みましたよ。
多謝多謝